ニートだった俺がヤクザの大幹部!?   作:セパさん

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・裏世界ラボ別館様より【性別が逆転した話】の二次創作です。リンク下記

https://www.youtube.com/watch?v=Mfg5TCDwqp0

・タグにはついていませんがTSものです。苦手な方はバックしてください。


牧村ユカ奮闘記

 皆さまこんにちわ。俺の名前は牧村ユタカ……改め牧村ユカです。

 

 現在別館のぶっ飛んだ世界線に呑み込まれ所謂(いわゆる)【女体化】をしております。いや、広域暴力団員のアラサーがTSって誰得!?もう一体何日この姿でいるのか数える気にもなりません。

 

 

「林田さんの選んでくれた服でクローゼットが一杯だよ……。折角のスーツや私服がどんどんタンスの肥やしになっていく……。」

 

 とはいえ体格まで変わった俺が今までの服を無理に着る訳にもいかないよねぇ。常時萌え袖ってどこのアニメキャラだよって話。

 

 アニメといえば、今まではスーツの胴回りを広くして銃器(どうぐ)を隠し持っていたけれど、レッグホルスター装着して太ももの銃器をスカートで隠すのって何だか格好いいよね。あ!やってみたくなってきた!

 

「ねぇカジ!今川工房のネット通販からレッグホルスターを注文してくれない?」

 

「アニキ、どっかカチコミですか!?」

 

「違うよ、流石にこの格好じゃ何処に道具を隠しても不自然だから、対策を考えただけ。」

 

 

 後日

 

 

「うわぁ思った以上の出来だ!スカートの色には注意しないといけないけれど、これならバレる事もなさそうだね。どうかな?」

 

「あの……はい、すげぇ似合っていると思います。」

 

「……………。」

 

「ちょ、ヒロ!何で倒れてるの!?ちょっと!誰か助けて!」

 

「あ~、牧村さん。その恰好とポーズ、刺さる人には刺さると思うんすよ。何気ないOL風の清楚系美女が自分からスカートめくりあげて、綺麗な太ももをあらわにしたと思ったら、そこに銃器を隠し持っているって。」

 

「ええ!傍から見るとそんなアレな映像になってたの!?」

 

「やっぱアニキは無防備すぎるんすよねぇ。キャパ超えしたヒロはこっちで何とかしておくんで、仕事に入っていてください。」

 

「あ~、うん。今日はうちのマンションに槙野君が来るから、申し訳ない話だけれどヒロが倒れたのは丁度良かったかも……。」

 

「でも今は槙野もあの有様っすからねー。誰か付いていきます?」

 

「ううん。マンション内のBarで合うだけだから危険は無いよ。ありがとう。」

 

 ~~♪

 

「おっと噂をすればだね。じゃあ、ヒロの介抱よろしく。」

 

 ドアを開けると目の前には男性であれば目を奪われるであろう豊かな胸が特徴的な、眼鏡をかけたやや大柄な女性。俺と同じ世界線に吞み込まれた被害者である槙野君が立っていた。Tシャツにジーパン姿という見た目とアンバランスな恰好をしているが、その美貌に陰りは見えない。……林田さんの気持ちが解ってしまう。なんて失礼な考えさえ過る。

 

「槙野君、毎回呼び出してごめんね。しかも今回はこんな夜遅くに。」

 

「いいえ、全然構いません。むしろ今の状況だと林田から逃げられるだけこっちに来た方が安全っす。」

 

「じゃあ事前に連絡した通りなんだけれど、お金の返済以外でちょっと相談事があるから上に行こうか。」

 

「はい、わかりました。」

 

 

「……なるほど。海外勢を本格的に取り込むプロジェクトですか。確かに牧村さんの出会い系アプリやインカジは独自性も高く、悪質な真似をしていないので以前からコアな海外ユーザーはおりましたね。」

 

「そう。でもリスクもまた計り知れない。勝算がないわけではないけれど、このご時世アナリティクスの表示ひとつ、国名の記載ひとつで大炎上するからさ。」

 

「八方美人も蝙蝠(コウモリ)も嫌われる国際情勢ですからね。Go〇gle傘下のように〝母国のスタンスを取る〟という真似も難しいでしょうし、何より牧村さんの運営会社は特殊で規模も違いますので……」

 

 槙野君はやはり頭が回る。自分の中で漠然としたアイデアでしかなかったものがどんどんと形となって現実味を帯びていく。そんな真面目な話をしている時だった……

 

「初めましてお嬢様方、一杯ご一緒に如何ですか?」

 

 急に現れたのは瀟洒(しょうしゃ)なスーツに身を包み、取ってつけたような笑顔をした青年だった。

 

「……牧村さんは何回目っすか?」

 

「え?何回目って?」

 

「ああ、そういえば優秀なボディーガードに守られてましたね。俺ぁこの姿になってから数えられないくらいっすよ。チャラ男から反グレから油ぎったオヤジに至るまで。」

 

「あはは……。御気の毒様。」

 

「にぃちゃん。二人ともおめぇに興味なんてねぇから、火傷したくなければさっさと帰れ。」

 

「まぁ槙野君、話だけでも聞いてみようよ。どうせここは会員制なんだから変な人じゃないよ。あ、こちらの席へどうぞ。」

 

「いや、牧村さんの隣は流石に危ない。にぃちゃん、こっちに来い。」

 

「いやぁ麗しいお二方からアプローチをされてしまうとは、こちらもどちらの席に座るか悩んでしまいます。」

 

 俺は槙野君が「天性のバカだな。」と言ったのを聞き逃さなかった。それにしても20代前半くらいかな?一体どんな子だろう?……という俺の疑問はすぐに晴れた。その青年は卓に座るや否や自分の来歴を自慢げに滔々(とうとう)と語り始めた。

 

 曰く議員の息子であり、曽祖父の代から議員を続けている名門の家系。自身も日本で最も優秀な大学を卒業し、被選挙権を手にした(あかつき)には当選はもちろんのこと、国政の中枢を担う事は確定しており、現在でも現職の議員でさえ自分に頭はあがらないとのこと。

 

 槙野君の眼光はどんどんと氷に近くなっていくが、俺は笑顔のまま彼の話を聞き続けた。お酒を促しつつ、相手が酔って潰れ去ってくれるように。こうして聞いてみるとまるで興味の無い人間の自慢話は中々に退屈なものと実感する。

 

「そんな訳れぇ、2人が俺に出会えたのらぁ、ほんろーに幸運。何なら君たちのパパに口利きもしてあげようかなぁ。条件次第だけどねぇ、まぁ……わかるよねぇ?」

 

 どんどんと呂律も回らない様相を呈してきた自称議員の息子であるが、彼がトイレに行っている間にスマホで真実を調べてつつ、守秘義務により何も話せない神無月さんの【一人言】を聞いてみたら何てことない外れクジ。

 

 確かに父親は議員であるらしいが国政に打って出ている大物というほどでは無く、何より長男が既に二世議員となっており、この男の話であった学歴や講演会に支持されているなんて話も嘘八百。

 

「おれぁあ、こうやって我慢の連続で生きている訳!ああ、泣きたい。男が涙を流していい場所ってどこか知ってる?そう、女の胸の中!」

 

 そういって男は槙野君の豊満な胸に向かってダイブした。正直このビルからダイブした方がまだ生存率が高そうな選択をするとは……。なんて思ってしまう。槙野君は予想通り怒髪天に達したようで、拳を振り上げ引き離そうとするが、その前に……。

 

「酔いを覚まされては如何でしょうか?」

 

 俺はレッグホルスターから道具を取り出し、冷たい鋼の輝きを笑顔のまま向けた。痣が出来る程度には押し付けているので、プラスチックと勘違いすることもないだろう。

 

「へ?あ?は?」

 

 男は間抜けな声を出しながらまるで事態が呑み込めないといった印象だ。まぁ当然だろうけれどね。神無月さんは後ろを向いてボトルの整理をしている。リスキーすぎるかとも思ったが、このままでは槙野君が何をしでかすか解らなくて怖い。

 

「女性に乱暴するなど、名門の汚穢となってしまいますよ。とはいえ面白いお話でした。もし使える情報があればまた後日、別の姿でお会いするかもしれませんね。まぁ、貴方様に運がありましたら……ですが。」

 

 そうして乾いた銃声が轟いた。……なんてね、確かに引き金は絞ったけれど、中に詰めているのは空砲。耳を(つんざ)くような音が男に直撃し、そのまま後ろへ飛び上がり気絶した。

 

「ああ神無月さん、ボトルを落として割ってしまったようです。申し訳ございません。」

 

「それは大変です。お怪我はございませんか?」

 

「こちらの男性が驚いて倒れてしまいました。ああ、失禁までされていますね。」

 

「それではご家族へご連絡し、連れ帰って頂きましょう。床の掃除は今手配致します。ご不快を招き申し訳ございません。きっと酔い過ぎて起きれば荒唐無稽な事を沢山言うと思うのですが、困りましたね。今日は生憎と監視カメラの調子が悪く、たった今修理をしていたところでしたので、わたくしの知る範囲を口頭で説明する他ありません。コンシェルジュ失格ですね。」

 

 神無月さんはそう言って、モノクル越しにひとつウィンクをした。

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