真っ白な空間の中、一人の少年がその場で立っていた。
少年は患者服のような服を着ておりぞの場を動く気配がない。
すると扉が開く音がして外から50人を超える大人が入って来た。
どれもこれも体系的に軍人やその系統を専門とした大人が入って来ては少年を囲う。
全員が入るとスピーカーから声が聞こえ始める。
『ではこれから№000の戦闘試験を始める』
その言葉に少年は反応しない。
ただただ前を見据えるだけ。
『ではまずは戦闘開始だ。始め!』
その合図と共に周りにいた大人たちが一斉に動き出す。
そして少年も動いた。
少年はまず目の前の一番近くにいる軍人に飛びかかると、そのまま押し倒してしまう。
「っ!このガキ!」
軍人はすぐさま少年を振り払うと後ろへと距離を取る。
しかし少年はすぐに距離を詰めると軍人の顔を掴み地面に叩きつける。
地面はひび割れ、軍人の体は吹き飛ばされて壁に激突する。
少年は退屈なのかその場で背伸びして大人たちに挑発する。
そんな態度が気に食わなかったのか軍人たちは武器を手に取る。
そして武器を構えながら襲い掛かる。
だが結果は先ほどと同じだった。
少年に触れた瞬間に武器を持った手ごと弾かれてしまい攻撃ができない。
さらに今度は別の方向から来た軍人が攻撃を仕掛けるがそれも同じように弾かれる。
まるで見えない壁があるかのように一切の攻撃が通らないのだ。
『・・・もういいだろう。これぐらいで十分だ』
スピーカーからの声に軍人達は攻撃を止めた。
しかし少年は物足りないとスピーカーからの指示を無視して大人たちを攻撃する。
もちろん全ての攻撃が防がれてしまうのだが、それでも飽きずに何度も何度も攻撃を繰り出す。
すると突然少年の手元には漆黒の剣が握られており振りかざすと炎が舞い上がる。
次の瞬間、爆発音とともに部屋中が揺れ始めた。
少年は爆風によって宙に投げ出されてしまいそのまま落下していく。
床にぶつかる寸前で体制を立て直す。
「...ハハハ!」
するとなぜか少年は笑っていた。
その姿を見た大人たちも思わず顔を引きつらせる。
『あー、えっと、これで試験を終了とする。各自持ち場に戻り待機するように』
そう言うとスピーカーからは何も聞こえなくなる。
どうやら強制的に終了させられたようだ。
「もうここは用済みだ」
少年は剣を腹に巻かれているベルトに収め右手にオレンジ色の鳥の絵が描かれた物を握る。
そして開けるとそこから機械音が流れる。
エターナルフェニックス!
少年は再び閉じ、ベルトに差し込み剣を引き抜く。
抜刀!!
エターナルフェニックス!
少年の前に炎の鳥が纏い収まると黒とオレンジ色の鎧の姿に変わった。
「...さぁ...終焉の時だ!」
少年は近くにいる大人を無差別に殺していく。
その姿はまさに悪魔のようであった。
悪魔の様に笑いながら次々と殺しためらう姿はない。
まるでおもちゃのように遊び感覚で殺す。
そしてその場にあった機材は全て破壊されつくし残ったものは血の海となった部屋だけであった。
満足した少年は背中に炎の翼を羽ばたかせ姿を消した。
「はぁ~い!一夏、いる?」
真っ暗な部屋の中に入って来たのはスコール・ミューゼルである。
彼女は扉を開けるとそのまま奥へ進んでいく。
するとそこにはベッドの上で寝ている一夏の姿が見えた。
スコールは一夏に近づき頬に触れようとした。
しかしスコールの首には剣が突きつけられていた。
一夏は冷たい視線をスコールに向ける。
「...俺の寝込みを襲うな...そういったよな?」
「あら?残念ね。せっかく美味しい話が合ったのに」
スコールはわざとらしく両手を上げて降参ポーズをする。
だが一夏はその行動すら信用できないのか睨み続ける。
「...話を続けろ」
「オーケー。まずはこれを見てちょうだい」
そう言ってタブレットを取り出す。
「まあ簡単に言えばもうじきIS学園ではクラス対抗戦が始まるわ。
その時にあなたの元弟が出場するの。そこで私たちにデータ取を依頼が来たの」
「...織斑千冬を殺していいのか?」
「駄目よ。今回はデータ収集が任務だから」
「なら俺は降りる」
「はぁ...その時に篠ノ之束が無人機を送り付けるからそれは破壊して構わないわ」
「…………」
その言葉に一夏は無言になる。
そしてしばらくして剣を下ろした。
「分かった。任務を受ける」
一夏は剣を抱え、机にあるペンダントを握りしめ部屋を出て行った。
それを確認したスコールはクスリと笑う。
「本当に可愛い子ね。あの子は……」
スコールはそのまま通信機の電源を入れどこかに連絡を取る。
「もしもし私だけど、例の計画を進めてちょうだい」
それだけを言うとすぐに連絡を切る。
「ふぅ~。さてあの子に会ったら一夏はどんな反応をするのかしら」
そう言いながらスコールは楽しげな表情を浮かべていた。
一夏はIS学園のアリーナの天井に座りながら中で行っている
織斑秋良と鳳鈴音の試合を観察している。
正直言うと一夏にとってはチャンバラと同じで見ていてあまり面白くない。
さっさと試合が終わらないか、目的の物が来ないかと思っていると背後から気配を感じる。
振り向くと青髪の生徒が立っていた。
「...刀奈か」
「何よ。久しぶりに会った彼女にその態度は」
不機嫌そうな顔をする更識楯無、いや更識刀奈に一夏は特に何も言わなかった。
すると刀奈は急に真面目な顔になり一夏に話しかける。
「それで?今回はどんな任務?」
「...織斑秋良のデータ取りと...あれの処分」
一夏が指をさすとアリーナのバリアを突き破り侵入する黒い機体が
目に映った。
「アレってまさか!」
「じゃあな刀奈」
一夏は刀奈の頬にキスをして仮面を被りアリーナに侵入、黒い機体と秋良の間に着地する。
突然現れた一夏に二人は驚き固まってしまう。
一夏は二人の様子を無視して目の前の敵を見る。
「おい!お前は何者だ?」
「……答える必要はない」
一夏はそう言い黒い機体に目を向けて剣を構える。
「まさかアンタ生身でISを相手する気?!」
鈴音は一向にISを展開しない一夏に驚く。
だが一夏は全く気にせず戦闘態勢に入る。
「さあ、来い。貴様の力はそんな物なのか?」
「!!」
一夏の挑発に激昂したのか黒い機体はビーム砲を一夏に向ける。
一夏は刀身を黒い機体に向けて炎を纏う。
「!」
発射されたビームを一夏は真っ二つに切り裂いた。
「!?」
「この程度のビームで俺を倒せると思うなよ」
一夏はそう言って再び構える。
その直後、その場にいた一夏の姿が消え黒い機体の目の前に一夏が剣を振り抜いた状態で立っていた。
そして次の瞬間、一夏の斬撃によって黒い機体の腕が切断される。
「なっ!一体何をしたの?」
「ISのハイパーセンサーでも捉えられないとは……」
「……」
一夏は黙り込みその場から離れる。
黒い機体は火花を出しながらその場で機能停止した。
「...任務終了」
一夏の背中に炎の翼を羽ばたかせその場から去ろうとする。
しかし、それを許さないと秋良、鈴音は武器を構える。
「待ってくれ!君はいったい何なんだ」
「ちょっと待ちなさいよ!」
一夏は無視して飛び立とうとしたがそこに刀奈が現れる。
「あら、もう帰っちゃうの?」
「……俺にはすべきことがある」
一夏はそう言い羽ばたいた。
「おいスコール!IS学園に刀奈がいると聞いてないぞ!」
『仕方がないじゃない。彼女もあなたに会いたいと思っていたんだもの』
「……次からはちゃんと言ってくれ」
通信を切りながら一夏はため息をつく。
「まったく……刀奈め」
そう呟きながらも一夏の顔は嬉しそうな笑みを浮かべていた。
週一更新予定ですのでよろしければ評価、お気に入りをよろしくお願いします