メス堕ちしたくない俺の苦難八割TSチートハーレム記   作:丸焼きどらごん

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▶主人公 は ファーストキス を 奪われた !
▶主人公 は セカンドキス を 手に入れた !
▶主人公 の メス堕ち ポイント が たまった !
▶主人公 は 職業:女 を 手 に 入れた !(手 に 入れて いた



10話▶職業~メス堕ちと女子力は違くない???

 職業。

 一般的な意味の他に、この世界でそれは"魂の指針"とされる職業(クラス)のことも指し示す言葉だ。

 

 七歳を超えるとすでに何かしらの職業(クラス)適性に目覚めており、専門の機関で調べてもらうのが通例らしい。

 その適正は生まれながらにもつ先天的なものか、成長の過程で育まれた後天的なものかのどちらか。

 種類は多岐にわたり、戦闘系の職もあれば「一般的な意味での職業」に対応する職業(クラス)も存在する。

 例えば農家に生まれた場合、親の仕事を見て育ち【職業(クラス)農業師(ファーマー)】を取得していたり、とか。

 その場合その所業に適したスキルや魔術を覚えやすくなるので、適性に合った職を選ぶ者が多いとのことだ。

 

 

 この世界ではどんな種族でも職業(クラス)階級(ステージ)を高め、魂の力を磨くことが生涯を通しての共通目的とされている。

 単純に階級が上がると出来ることが増えて便利だし、なんでも種族内で階級上位者が増えるごとに属する種族全体の力が増すというのだ。

 なんとも不思議な話である。

 

 でもって職業の種類ってのは、俺が思っていた以上に多いようだ。

 

 

 

 …………というか基準がガバすぎるだろ!

 なんだよ、【職業(クラス)(フィーメイル)】って!! 性別は職業じゃねぇ!!

 

 

 いや待て。もしかして「女」は種族のカテゴリーとしてカウントされてる? 稀に取得することによって種族を変える職業が存在するらしいから……。

 女しかいない種族もいるって聞いたことがあるし、その二つの特性が嫌な感じに合体しちゃった感じ?? 最悪だよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むむむむむ!? …………ふぅ~む。確かに、今のミサオ様には【職業(クラス):女《フィーメイル》】が追加されているようですね。なるほど、これが性別反転を引き起こした呪いの正体ですか」

 

 奇妙なメガネをかけて俺に内包された職業を見定めているのはシャティだ。

 彼女は魔術師(ソーサラー)の他に神官(プリースト)の職業も取得しており、道具こそ必要とするが本来専門機関でなければ調べることが出来ない職業を鑑定することが出来るのだ。

 

 

 

 魔族アルマディオによる襲撃の後、壊れた宿について店主に謝りつつ再び宿の食堂へ落ち着いた現在。

 俺は魔王に寄生されている事実だけ伏せて、身に起こった悲劇を仲間たちに説明していた。

 先ほど知ったばかりのこと……「メス堕ちポイント」と【職業:(フィーメイル)】のことも含めてだ。

 

 何故それを知るに至ったかについては「頭の中で声がする」と事実でありながら苦しい説明をするしかなかったが……それについてはあっさりと受け入れられた。

 神託のようなものだろうってことで、この世界ではよくあるらしい。いや、神託どころか魔王託なんだけどな!?

 

 ちなみにアルマディオの野郎だが、あんなズタボロだったくせにしぶとくも起き上がって一度退散している。

 去り際に「婚礼の準備が出来たら迎えに来る!」とかほざいていたが、二度と来ないでほしい。来るなら次こそ殺される覚悟で来いや。それまでにお前の姉ちゃん(ガーネッタ)に許可とっておくから。

 

 

 

「呪いの正体が職業とは、いったいどういうこと?」

 

 アシュレの問いかけにシャティはう~んと人指し指を顎に添えて考えてから、自分の考えを述べた。

 

「ええとですね。まず呪い自体はミサオ様の望みを逆に叶えるもの……でしたね?」

「あ、ハイ……」

 

 思わず肩をすくめて小さくなる。

 

 俺が受けた呪いは、俺が抱いていた一番の望み……女の子といちゃいちゃラブラブしたい! 出来ればえっちな事もしたい! という性欲が反転した結果だ。

 それはもう呪いの事を魔王の存在意外、あらいざらい話した時に仲間みんなに知られているのだが……今思うと素直に話さず誤魔化していればよかったと後悔する。

 か、肩身!

 

「なんといいますか……呪いそのものは「望みの逆」という結果に誘導する役割を果たしたにすぎないのですよね。呪い自体は効果が成った時に消えたも同然でしょう。後に残ったのはもたらされた結果だけ、というわけですわね」

 

 え、呪い(魔王)はゴリゴリに残ってるんだけど……!?

 

「つまりその結果が【職業(クラス):(フィーメイル)】というわけか。女にする、という事象を引き寄せるために必要だったんだね」

「ええ。……私がさっき申し上げたガチガチに組まれた原初の魔術式。あれはその結果をミサオ様に結び付けているもので、強いて言うならそれが"呪い"ですわ。呪いと言うにはすでに厄災の魔王が放っていた、あの毒々しいまでの気配は発していませんが」

本人(魔王)が俺の中に居るのに!?)

 

 つっこみたくても、隠しているため押し黙るしかない俺である。

 

 でもってシャティはそうキリっとした顔で説明を述べながら……何故かずっと、俺の頬をぷにぷにと柔く揉んでいる。

 そのせいもあってほぼ喋れないんだけど、シャティのおっぱい様を眺められる最高のポジションなので文句を言うに言えない。

 

「アシュレが言うように女性になるという結果をもたらすにあたって必要だったもの。それが【職業:女】です。しかもミサオ様の特性である「一度強くなったら弱くならない」という、存在の維持をつかさどる力と変に絡み合っている様子も見受けられます。つまり呪いで引き寄せ職業として定着させられた所に、その職業を維持する力が働いて……いわば二重ロック状態なんですよね」

「そ、そんな……!」

 

 ただでさえメス堕ちポイントとかいうものがレベルアップの効果で溜まりやすくなってるのに、その上この職業を引き剥がせない原因の一つになってるってのか!?

 

「まあまあ、そう落ち込まないでくださいな。肉体変化を伴う職業なんて貴重ですよ! ミサオ様っ!」

「貴重でもいらないって!」

 

 俺は頬っぺたを揉むシャティの手をそれぞれ掴んで離させると、涙交じりに訴えた。

 

「な、なあ! 職業(クラス)を消す方法ってないのか!?」

 

 それに答えたのはアシュレだ。

 

「……基本的に職業はひとつ取得するだけでも難しいし、みんな職業階級(クラスステージ)を上げることを目指しているからね。少なくとも私は消そうとした、という事例すら聞いたことがない。果たしてそんな方法があるかどうか……」

 

 その情報に絶望感が増す。ベテラン冒険者のアシュレでも事例を聞いたことが無いって、いよいよもって希望が小さくなってきた。

 これが単純な解呪案件だったらどれだけ気楽だっただろう。

 

 

 

 俺はこの世界に来てから初めて、自分が持っているチート能力を恨めしく思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が打ちひしがれていると、シャティが気遣わしげに声をかけて来た。

 でもその気遣いはちょっと斜め上だったんだけど……!

 

「み、ミサオ様。元気出してください。厄災の魔王の呪いですよ? それを受けても無事どころか、こんな貴重な職業を身につけられるなんて豪運です! それも女の子になれる職業だなんて、強運です! もう、世界の運命はミサオ様に味方しているってことですね!」

「俺にとっては不運以外のなにものでもないんだけど!?」

 

 そりゃ、死んだり仲間がひどい目にあったりするような呪いを受けるよりはマシだろう。でもラッキーと受け入れるのはちょっと無理かなぁ!? シャティもかろうじて言葉を選んだのか幸運とまでは言わなかったけど!

 っていうかさ。俺が女になってから、シャティの様子がちょいちょい変じゃないか? 魔王が言う「魅了」の効果もあるかもだけど、なんかこう……それとは別の違和感もあるっていうか……具体的にはアルマディオに雷ぶっ放したあたりの台詞とか……。

 俺の中に蓄積されたオタクとしての知識、勘がひとつの答えをはじき出しそうなんだけど、俺の理性がそれを拒否している。

 

「あ、そういえば。えーと……メス堕ちポイント、でしたっけ? 神託が告げた【職業(クラス)(フィーメイル)】のクラスアップに関する数値の名前は。神託といえど、その名前は少々頂けませんわね。だって女の子になる職業(クラス)ですよ。なんて尊い! それを"堕ちる"と表現するのは不愉快ですわ。例えばですけれど、堕ちるでなく昇るという表現が適切だとは思いません? つまりメス昇り、もしくはメスという表現も気に食わないので女の子昇りポイントという名がふさわしいかと思うのですが!」

「それはそれで卑猥な響きじゃない!?」

 

 いよいよもって発言おかしくない!? 女の子昇りポイントってなんだよ!

 俺が置いてけぼりをくらっているのを察したのか、シャティはひとつ咳払いした。

 

「……とりあえず、その名称は仮に女子力と呼ぶことにして」

『まさかのセンス』

「とんでもないところに落ち着いて納得しないでくれシャティ! メス堕ちと女子力じゃ意味合い違いすぎるからな!?」

 

 確かに魔王が命名したメス堕ちポイントをそのまま口にした俺もアレだったけど!

 でも違う。女子力と呼称するのは間違いなく違うって! 初っ端の命名者の魔王ですらつっこんだじゃん!

 

「まあまあ、いいじゃないですか」

 

 流された……だと!?

 

「ともあれ、ミサオ様の現状をもっと把握する必要がありますね。職業についてもですが、まさか魔術装甲が砕けるなんて……驚きました。一度魔装工芸核(アーティファクト)も摘出して確認した方が良いかと」

 

 身に起きている最大の問題を置いておかれた……。

 

 確かに普通なら魔力切れや魔装工芸核(アーティファクト)破壊以外で砕けることなどありえない魔術装甲が壊れたのも気になるけど、俺的にはそれってもっと後でいいんだけど!

 

「ねえ、シャティ。それもそうだけど、今のミサオには服が先じゃないかな? 彼女をあられもない姿のままで居させるわけにもいかないよ」

「アシュレ、彼女って言うのやめてくれない!? わざと? わざとか!?」

「あ、すまない。……君が可愛らしいから、ついね」

「う……」

 

 なんかめっちゃ爽やかイケメン笑顔で返されて黙らされてしまった……。これが顔の良さ力……!

 ちなみにあられもない姿とは言われるけど、流石に裸ではない。

 

 そういやぁ、様子が変といえばシャティだけでなくさりげなくアシュレもなんだよな。

 気のせいかと思ってたけど、やっぱり俺に対するあたりが柔らかくなっている。というか、変にキラキラして見えるのはなんだ? いや、もとからアシュレは美人だしキラキラしたエフェクト纏っていてもおかしくないんだが。でも今はこう、妙に胸がざわつく感じのキラキラなんだよな。

 イケメン力? くそぅ、上手く言えない俺の語彙力がカス。

 

「ミサオママ、いいにおい」

「も、モモ?」

 

 肩を落としていると、いつの間にか近くに寄ってきていたモモにすりっと頬を擦りつけられて困惑した。

 わぁ、柔らかぁい。すべすべ~……じゃなくて!

 

 モモは俺の事を親のように慕ってくれているが、出会う以前の経験によって男に対しての警戒心が強い。それは懐いてくれている俺に対しても例外ではなく、接するにあたってけして触れてくることはなかった。

 それが……ほっぺすりすり……だと!?

 

(女になったからって事!? あ、あのモモが。あのモモが俺に触れてくるなんて)

 

 感動のままに、しかしモモを怖がらせないようにそっと手を伸ばし頭を撫でる。すると尻尾をブンブンとふって胸元にぎゅ~っと抱き着いてきてくれた。

 …………!

 か、感動だ。

 これはけして下心ではない。純粋に感動! しているので! ある!

 見た目は中学生くらいなんだけど、仕草やたどたどしい言葉使いからもっと幼く感じるモモのその行動に俺の中の父性が疼く。これが庇護欲というものだ。

 

 しかしそんな俺の感動に水を差すのは、例によって魔王である。

 

『ねえ、ミサオ。感動している所悪いけどさぁ』

(あん?)

 

 

 

 

 

【メスママリンッりんっ♪】

 

 

 

 

 

「がふっ!!!!!!」

 

 血を吐くような勢いでむせた。

 

「ミサオママ?」

「あ、いや……なんでもないよ、モモ。はは……」

 

 しかし俺の胸元から不思議そうに顔を見上げてくるモモに「メス堕ちポイントたまっちゃうから離れてくれない?」とは言えない。俺はただただ、引きつった笑みで首を横に振るしかできなかった。

 お、おぎゃ……。

 

『やっぱり、これはメス堕ちも時間の問題かな? あ、君の仲間が言うには女子力だっけ! あはは。ミサオって母性強いんだね』

(父性だが??? ちょっとこのメス堕ちポイントくんさ、判定が雑じゃねぇか? 女の体になったからって女フィルターかけてくるのマジでやめねぇか?)

『ん~? そういうわけじゃないと思うけど。君って女の子になる才能あるよ。僕に裸を見られたときの反応も女子だったじゃん』

(言・う・な!!)

 

 嫌なことに脳内で喋られることに大分慣れてしまった。クソがよ。

 ……そういえば、さっきこいつが呪いとは別の部分。祝福とか言ってたのが、もしかしてこの妙にいつもよりみんなが距離近いやつのことか? 多分、魅了とイコールで繋がると思うんだが。

 

(そういえば呪いナビさんよ。祝福(スキル)ってやつの説明はまだかよ)

『あ、やっとナビって呼んだね! ふふふん、いいだろう。教えてやろうとも。いいかい? 君が手に入れた職業には当然職業特有の技能(スキル)があるわけだけど……』

 

 魔王はナビと呼ばれたことに上機嫌になると、さっそく説明を始めようとした。

 しかしその直前。ぴとりと首筋に冷たい何かがあたり、「?」と振り返れば間近に迫力美人顔。

 俺はガーネッタに首元を嗅がれていた。

 

「が、が、が、ガーネッタ!?」

「なんだい、面白い子だね。ガチョウの鳴き声みたいだよ? …………ふむ」

 

 クスクス笑いつつガーネッタは俺を観察するように眺めると、次は……首筋を舐めてきたぁぁ!?

 

「うひ!?」

 

 さすがに飛び上がる様にして後ずさった。

 ガーネッタさァん!? 例の約束は是非とも実行したいのですがさすがにみんなの前でっていう高度なプレイは俺にはまだ早いんですけど!?

 心構えが何もできておらず慌てる俺だったが、ガーネッタはお構いなしに俺の両頬を掴んで視線を自分に固定した。

 

「が、ガーネッタ!? なにをしてらっしゃいますの!?」

 

 シャティが慌てたように俺とガーネッタの間に入ろうとするが、彼女はガーネッタの言葉に動きを止めた。

 

「魅惑的な芳香に……甘い体液。さらに、蠱惑的な魅了眼……ってね。シャティ、これを聞いて心当たりは?」

「……! まさか、それはっ」

「ああ。シャティにアシュレ、モモ。そしてこの私もすでに影響を受けている」

「…………!」

 

 シャティは何か思い当たる節があるのか少々考えた後。……恐ろしい事を述べた。

 

 

 

「あの……ミサオ様? 落ち着いて聞いてくださいね?」

「え……」

『…………』

 

 なになになに。前振りが怖いんだけど!

 

「……ひょっとすると、あなたはとんでもない職業(クラス)を得てしまったのかもしれません」

「とんでもないって……具体的には?」

 

 すでにとんでもない事になってるのにこれ以上があるの!?

 そうビクビク構えている俺に……シャティは言いにくそうに、本当にとんでもない事を言ってくれた。

 

 

 

「え~と……です、ね? もし、その職業(クラス)……(フィーメイル)を極めてしまった場合、なのですけども……。ただでさえミサオ様は魔王を倒した優秀な戦士ですのに、その職業によってとぉっても貴重な存在になってしまった可能性がありまして……その……」

「う、うん。いいぞ、言ってくれ。出来れば一思いに」

「わ、わかりました!」

 

 気分は断頭台前の囚人である。何も悪いことしてないはずなのに、言葉の刃のギラつきを感じずにはいられない。

 

 

 

 

 

 そして、言葉の(ギロチン)は振り落とされた。

 

 

 

 

 

「ミサオ様はこれから、世界中から貞操を狙われることになるかもしれませんね!」

 

 

 

 

 

 シャティ。一思いにとは言ったけど、明るくサムズアップつきで言われても俺のダメージは軽減されないッ!!

 

 

 

 

 

 




2023.12.9修正

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