メス堕ちしたくない俺の苦難八割TSチートハーレム記   作:丸焼きどらごん

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15話▶秘密の花園~女になったら女にモテています。ナンデ?

「昨日は取り乱してしまいすみませんでした」

「あはは……」

 

 朝食の席でぺこりと頭をさげたシャティ。

 俺はもさもさ咀嚼していたパンを飲み下すと、どう答えたもんかと頭を悩ませた。

 

 

 アシュレに続き、シャティからの突然の告白。

 嬉しくないわけがないんだけど、出来れば二人とも俺が女になる前に言ってほしかったな~……って。うん……。

 

 

 なんで性別変わった途端にモテるんだよーー!?

 

 

 いや、アシュレ話を思い出す限り……俺が女になって【職業(クラス)(フィーメイル)】の魅了が出たから、その効果で気が緩んだのが発端で告白してくれたんだけどさ。

 あ、でもこれってシャティも同じか?

 

『それもあるのだろうけど、彼女の場合は君が「女になった事そのもの」に理由もあるんじゃない?』

(それは俺も薄々感じてたけど……)

 

 ……いかん。もう魔王が脳内で話しかけてくることに完全に慣れちまってる。我ながら順応性高すぎないか俺。まだ一日だぞ。

 

『自覚はあるんだ……。さしもの僕も、君の順応力には感心しているよ。同時に呆れてもいるけどね』

(ぐっ)

 

 これに関しては言い返せねぇ……!

 

 

 ともあれ今はシャティだ。昨日も言葉の端々から感じてたけど、もしかしてシャティって……。

 俺は行儀悪くテーブルに肘をつくと「あー」とか「うー」とか言いつつ少し迷ってから、意を決して麗しの魔術師に問いかけた。

 

「あのさ。…………もしかしてだけど、シャティって女の子が好き? 恋愛的な意味で」

「はい!」

 

 即答されたーー!?

 

「あ! 別にそれだけがミサオ様に愛を向ける理由じゃないですからね!? そんなに短絡的ではありません! ミサオ様のことは前々から可愛らしいなと思っていましたわ」

(そこは「かっこいい」とか「頼りになる」じゃなくて可愛いなんだ……)

 

 自分なりに精一杯かっこつけていい男アピールをしてきたつもりだったので、少しショックである。

 どうも俺の「つもり」は本気でただのつもり、だったらしい。

 

「でも、そのですね。魅了の効果もあってのことですが、女性になった姿を見たら歯止めが利かなくなりまして……。愛は元々ありましたが、その種類が変化したというか……」

「ライクからラブになったって受け止めていいのかなこれ……。それが女になって起きた変化だってなら、それはそれでかなり複雑なんだけど。というかさ、俺可愛いって思われてたの? かっこいいとかそういうんじゃなく?」

 

 一縷の望みをかけて聞き返してみたが、直後に希望は断たれる。

 

「ええ! すっごく強いのに、と~っても素直なところとか! わたくしのお願いに一生懸命取り組んでくれたところとか! こちらが気づいていないと思って成果を上げた後にチラチラ「褒めて!」て顔で見てくるところとか仔犬みたいで本当に愛らしいな可愛らしいなって思っていましたし、あれだけの実力がありながらコロコロ転がされてくれて本当に……あらいやだ。今のは忘れてくださいまし。ほほっ」

 

 顔を手のひらで挟んでうっとり頬を染めるシャティ。……うん。

 それってジャンル的に(おろ)かわいいって奴じゃないかな……!?

 あと今、仔犬って言った!? やっぱり女になる前の俺、恋愛対象としての好意は向けられてなかったじゃん! それが女になった途端に昇格するとか複雑でしかたがねぇよ!! ねえ、シャティさん!?

 

 

 そんなショックを受ける俺に、俺達を見て笑っていたガーネッタから更に追加情報がもたらされる。

 

「今さら気づくミサオもにぶいね。その子、旅の途中私たちにずっと愛を囁いてたよ」

「!?」

 

 え、昨日アシュレにも愛してるって言ってたけど……ガーネッタにも!? しかも「私達」ってことは、もしかしてもしかして、モモにも!? 旅の間、ずっと!?

 それで女になった途端俺にもって、いやいやいや。節操なさすぎだろ!

 俺の中のシャティの清楚イメージがたった一日でガラガラと崩壊してきているんだけど……!

 白い羽に白い髪、白系の衣服という全体的に白くて清楚な百合の花を具現化したような天使のような美少女がそっちの方面で百合なんてまさかそんな。

 

『節操無しって、それを君が言う? み~んな大好きなんでしょ? しかも今日は夢で見た女にも惚れたと言うじゃないか。節操ないねぇ』

(速攻で痛いところ攻めてくるのやめろお前)

『僕は常識的観点からの正論を述べているだけ。よかったねぇ、こんな親切な魔王は他に居ないよ』

(お前は人の反応楽しんでるだけじゃん!)

 

 魔王と忙しく脳内会話をしつつも、女になってから知る仲間の真実がこれってどういうことだよと未だ挙動不審となっている俺である。

 愕然としている俺に、向かい側でお茶を口にしていたアシュレが苦笑した。

 

「ええと……うん。流石に魔王を倒すための道中、君の前では彼女も自重していたから気づかないのも無理は無いだろうさ。君の目が届かないところ……宿屋では毎晩ベッドにもぐりこまれて困っていたけれど」

「女子部屋でそんなことが!?」

 

 つまり俺の彼女候補が彼女候補に寝取られそうになってた……ってこと!?

 

『付き合ってないんだから寝取りではないでしょ』

(そうだけど! 今そこはいいだろ!)

『そのちょっとした認識の差で戦争は起こるんだよ』

(……。薄々感じてたけど、お前って俺の事をとやかく言えないほどにオタクなんじゃねぇの? わりと根深めの)

『…………。さて、どうかな』

 

 こいつ自分に都合が悪い時ははぐらかしやがって……!

 俺の意識は駄々洩れだってのに、ずるい! ずーりぃッ!! ぎぃぃぃぃッ!!

 

(……にしてもこれまでの旅の中。宿屋では当然俺は別室だったから、まさかそんな魅惑の花園が女子部屋で展開されていたとは……!)

 

 ショックはショックである。しかしそれはそれとしてめくるめく妄想が脳内で展開し始める俺である。許してほしい。だってこんな美少女同士がこう。あれやこれやなことになってる可能性を考えたら……こう……!

 

「こら」

「あだっ」

 

 妄想していたらデコピンされた。

 

「あ、あしゅれ?」

「あのね、ミサオ。何を考えているか、君は顔に出すぎるよ。……一応言っておくけど、変な間違いは起こっていないからね」

「ご、ごめん」

『心を読めなくても駄々洩れじゃない。君の考え』

 

 ぐうの音も出なかった。

 俺が気恥ずかしさに肩をすくめていると、アシュレはデコピンで赤くなった俺の額を撫でた。

 

「まったく。もう一度、はっきり言った方がいいかな? 私もシャティのことは好きだけど、それは仲間として。愛しているのは君だ」

「ぅぐ!!」

 

 い、イッケメェェェェェェン!!

 

 さらっと愛を囁いてきたアシュレに心臓をおさえる俺。顔が熱い。

 

(あ、朝からそれ言えるのすごくない!? しかも人前で! さらっと! すさまじいイケメン力……! これはアシュレレベルでなければ許されない所業……!)

 

 めちゃくちゃ嬉しいけど、ちょっと気を緩めるとすぐメス堕ちポイントたまりそうで怖い。

 今は音しなかったし、多分耐えられたはず。……いや耐えられることもあるんだ、これ!?

 

「もうっ、アシュレったら。ミサオさまを愛しているなら、教えてくださればよいのですわ。わたくしは丸ごと愛しましたのに! 今までつれない態度をとられて、わたくしとぉ~っても傷つきました」

「おや、シャティ。その時は私が慰めてやったじゃないか」

 

 蠱惑的に笑うガーネッタの発言に、俺の脳内では再度めくるめく百合の花園劇場が展開されかけた。

 

「ミサオ。もう一度言っておくけど、誰が誰とも変な間違いは起こっていないからね。モモは私が守ったし、ガーネッタはシャティを抱きしめて甘やかしていたくらいだよ」

「そ、そうなんだ。へ~。ふ~ん。抱きしめて甘やかして……」

 

 再びアシュレに念押しされたけど、俺としては新たに刺激的な情報を手に入れてしまった状態である。

 

 そんな風にどこかソワソワした気分を味わっていると、次いで口を開いたのは卵料理を食べていたモモだ。

 ジト目でシャティを見ている。

 

「シャティは……あつくるしい」

「まあ、モモ。わたくしの翼はご不満でした?」

「羽根布団はきもちいいけど、べたべたくっついてくるのが嫌」

「そんなぁ~」

「ちょっとその辺詳しく」

 

 一番の間違いは起こってないとアシュレ印の安心が得られたので、その他に女子部屋で何が起こっていたのかすごく気になる。モモ、ちょっとパパに詳しく話してみなさい。

 

 俺が机に手をついて乗り出していると、コトンっと机に木の器が置かれた。

 中では野菜と肉の腸詰がたっぷり入った滋味深そうなスープが旨そうな香りと湯気を放っている。

 

「おまちどうさん」

「おっ、サンキュー! ジャン!」

「……今日は大丈夫そうだな」

「んー、まあな。結局昨日なんも食えなかったし、腹が減ってしょうがねぇよ」

「そりゃよかった」

 

 そう気さくに笑って肩を叩く茶髪の男は宿屋の息子、ジャン。

 厨房の奥で寡黙に料理を進めている店主とは異なり、よく喋る人懐こい男である。

 ……実を言うと、男友達って呼べる相手はこいつだけかもしれない。めちゃくちゃいい奴。

 

「あー、なんだ。元気になったんなら、仲間同士でよく話し合っておけよ。昨日の事は冒険者ギルドにシャティさん達が上手く説明してたようだけど、魔王を倒したこととか、呪いをうけた事とかも、まだ俺と親父しか知らないんだろ」

「それなぁ」

 

 女になって。

 告白されて。

 夢で恋して。

 

 そっちの方に考えが偏ってたけど、そういえば昨日って馬鹿魔族に襲撃されていたし、魔王を倒したのも昨日だった。

 

『君、記憶の上書き保存しかできないの? 部下の彼はともかく僕を倒したことを忘れるなよ。魔王だぞ』

(魔王らしい態度をとってから言えよ。それに、だから倒せてねぇんだわ……)

 

 不機嫌そうな魔王をおざなりにあしらうと、スープにパンを浸して口に運びつつ考える。

 

「……あ、報告ありがとな。なんか言われなかったか?」

 

 シャティの趣味やらなんやら考えだすと話が進まないので、まず昨日の処理を気絶してた俺に代わって済ませてくれたらしい仲間に礼を言う。

 

「ふふっ、お気になさらず。あの魔族とは以前からいざこざがありましたからね。魔王の事を除いて説明するのは難しく無かったですし、周囲への被害無く終わった事もあり報酬を頂けたくらいですわ」

「石畳の舗装代は? バキバキにしちゃったろ、俺」

 

 馬鹿魔族を叩きつけた時にクレーターを作ったし、あと魔物の血とか切り落とした肉とかで住んでる人間にとっては結構な大惨事だったんじゃねーの。

 

「その辺はギルドと町が負担してくれるとのことだよ。掃除もね。あれだけの魔物の数を見た後で無事に終わったとあって、ずいぶん感謝された」

「相手の狙いは俺だったんだし、その辺は責められなかったか?」

「シャティが上手く言ってくれたさ。あと冒険者ギルトとしては「いい宣伝になった」、だとさ。所属する者が強さを提示すれば仕事を斡旋する組織自体の信用も上がるからね。ああいった分かり易い形で多くの人間が冒険者の戦いを見る機会はそう無いし、すっかりパフォーマンス扱いだよ」

 

 可笑しそうに笑うガーネッタに続き、笑顔のシャティがぐっとサムズアップした。

 

「あ、ミサオ様も魔術装甲を纏っていましたから、今のお姿もバレていませんよ。装甲が砕けた時はすぐアシュレが隠してくれましたし」

 

 そうそう。あの後、避難誘導していたアシュレが颯爽と駆けつけてマントでばさっと囲って周りから見えないようにしてくれたんだよな。だから俺……冒険者アイゾメミサオがこんな姿になってることは、まだ馴染みのギルドの奴らも知らない。

 ……その前にちょっと顔出ししてしまった気もするが、シャティによる雷魔法の直後だったからな。光で眼がくらんで、見物人も俺の顔見るどころじゃなかっただろ。多分。

 

「魔術装甲もどうすっかな……。修復したいけど、その前に呪いの事で賢者を訊ねた方がいいか……う~ん」

「そうですねぇ。色々考えることは多いですが、まず今後の方針を決めなければ動くに動けません。ここはすぱっと決めてしまいましょう」

 

 俺のぼやきにシャティが居住まいを正す。

 今までもそうだったが、こうして基本となる舵取りをしてくれるのはいつだって彼女だ。

 ずいぶんイメージは崩れたけど、ちゃんと締めるところは締めてくれるようでほっとする。

 

『それをコロコロ転がされてるって言うんじゃないの? 完全にパーティーの主導権握られてるじゃない』

(ち、ちがっ! 違う! 適所適材ってやつだ!)

 

 なんだかパーティーのリーダーとしての存在意義が揺るがされた気がする。でも乗せられた自覚はあるけど、決めたのは俺だから。転がされてねぇから!

 こう、リーダーは決断するのが仕事じゃん? 方針を決めるのは参謀。うん、大丈夫大丈夫。魔王に惑わされるな、俺。

 

 

 

「では、改めて。少し情報を整理してから、今後のわたくしたちの身の振り方を決めましょう」

 

 

 

 内心でキョドる俺をよそに、シャティが穏やかに笑って仲間達の顔を見回した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2023.12.14>>加筆修正
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