メス堕ちしたくない俺の苦難八割TSチートハーレム記   作:丸焼きどらごん

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21話▶謎の金髪幼女~ホールケーキ二個分奢らされた

 光り輝く魔石で作られた花が色とりどりに咲き乱れるファンタジックなカフェっぽい店。

 そこで俺はなぜか幼女にケーキを奢っている。

 

 奢っているというか、奢らされているというか。

 

 

 

 目の前に座っているのは、ふわりと広がる柔らかそうな金髪に青いドレス、赤い瞳の美幼女だ。

 見た目はたいへんお可愛らしいそれが、我が物顔の満面の笑みで数種類のケーキをぱくついていた。

 人の金であることなどまったく考慮していない食べっぷりだが、そもそも小さな体のどこにそんな化け物みたいな量入るんだ??? という疑問が尽きない。

 俺なら一個食べれば満足というか、それ以上だと胸焼けするってのに幼女はすでに二ホール分くらい食っている。

 いっそ清々しくはあるものの、見てるだけで腹いっぱいだわ……。

 

 見た感じ七歳くらい……かな。小学一年生とか、多分そんくらい。

 いつ自警団に通報されるかと若干ひやひやしているが、今のところ周囲の女性客からは「似てないけど姉妹かしら? 仲いいわねぇ」みたいな視線が送られている気がするので大丈夫だと思う。思いたい。

 実は「やだ似てないわ。きっと姉妹じゃないわ。誘拐よ」とか思われてたりとかしない……よな!? モモだっているし、少なくとも怪しまれてはいないと思いたい。

 

 この子の保護者は何処だよ……! 早く引き取りに来い!

 

「……ってわけだ。冒険者証はそう簡単にあげたり、交換できる代物じゃねぇんだよ。わかったか?」

「あら、そうなの。綺麗だから欲しいな〜と思って手に入れたのだけど、しばらくすると消えちゃうなんて詐欺だわ」

「詐欺じゃねーよ! 冒険者として実績積まないんならギルドにとって穀潰しだからクビってだけだ」

「ふぅん。でも残念。あなたの冒険者証、欲しかったのにぃ」

「ケーキで我慢しろ」

「はぁい」

 

 ギルドで冒険者証を献上しろなどと言われた時には見た目の良さなど関係なく「なんだこの高飛車なガキ」としか思えなかったが、餌付けしてみれば反応は思いのほか素直だ。

 

 って、あ~あ。こぼしてるこぼしてる! 上品な身なりのわりには雑だなこいつ!

 

「おいおい、綺麗なドレスが汚れちまうぜ。あと顔にクリームついてるぞ。ふいてやるから、こっちむけ」

「ん」

 

 こぼれた食べかすをつまんで取り除き、べっとり幼女の顔についているクリームを塗れ布巾でぬぐってやる。

 ……頬っぺたもちもちしてるな。

 

『この子もとびきり綺麗な容姿だけど、さすがにチョロい君でもデレないんだ』

(ったりめぇだろうが! 俺をなんだと思ってるんだよ!)

『惚れやすくてチョロい雑魚』

(俺に負けたやつがなに言ってんだぁぁぁあ!? あ゛!?)

『強さ的な意味で雑魚って言ってるわけではないの、わかってるだろ?』

(………………。あ゛ぁん!?)

『はい、そこで間を挟んじゃったから君の負けー。凄んでも怖くないし、どっちかというとそれも負け犬の遠吠え? 心の声で濁音出せるのすごいねぇ。えらいえらーい』

(はぁー!? 負けてねぇし!! 誰が負け犬だ! 負け犬に負けた雑魚はお前だろうが!)

『今のだと自分のことを負け犬って認めたことになるけど?』

(ああ言えばこう言う!)

 

 落ち着け俺。こいつに付き合っていたら精神力がいくらあっても足りない。

 

 けどな、魔王。確かにこの子は一見天使かな? って見た目してるが、相手は幼女だぞ。

 ならば……俺達には鉄則があるだろう!

 

(ロリには紳士たれ。イエスロリショタ、ノータッチ! 当然だろ)

『うわっ、言い方。それ本当に言う人初めて見た。なに、自分ではかっこいいとか思ってる?』

 

 ドン引かれた。

 

 うっせーやい、うっせーやい! 他に言い方が思いつかなかったんだよ!

 

 ノータッチ、は貫けなかったが(ここまで抱っこで運んできて今も口もとをぬぐっているため)幼女には紳士であることが求められるのは基本!

 断じて邪まな視線で見たりなんかしないぜ。

 

 

 

 

 ……けど、なんで俺が世話焼いてるんだろうな。

 

 

 

 

 何故こうなったかといえば、幼女本人の駄々と冒険者ギルドの奴らのせいだ。

 

 この金髪幼女、冒険者証の中でも三番目のランクである黄金(きがね)を出すほどだからただ者ではない。

 体は子供らしくなよっちいから、想像するに桁外れの魔力をもっているとか、魔術方面の強さがあるとかそんなところだろう。

 だがそんなただ者ではない幼女が冒険者ギルドに入ったのは、単にたまたま見かけた冒険者が持っていた冒険者証が綺麗で自分も欲しくなったから、らしい。

 

 俺は再登録で手に入れた白金(しろがね)の冒険者証をよこせと言われたわけだが……。

 当然断ったら、その場で床に転がり「やだ! やだ! ほしい! ルリルちゃん様のと交換してあげるから、ちょうだい!」と駄々をこね始められてしまった。

 

 ほとほと困っていたら、受付嬢の妖精に「おめでとうございます! さっそく冒険者としてのお仕事ですよ! さあ、初心者さんに冒険者とはなにか教えてあげてください~」とかなんとかいいように押し付けられてギルドの建物からほっぽりだされたのである。

 いや、俺も今登録したばっかの初心者だろあんたから見れば! そう思ったけど「面倒見てやれよ白金のお嬢ちゃん」「黄金だす力のある子に何か言っても俺らじゃ返り討ちにされるかもしれんし」とかよぉぉ……! 他の冒険者の連中まで言い出しやがってよ……!

 

 押し付けやがって、マ~ジで納得いかねぇ!

 今の俺には実績こそないが、白金ランクだぞ! もっと敬えよ!

 

『押せば押し切れる奴だなって思われたんだよ。強さはともかく、性格が舐められてるね。君、分かり易いし。その子の手を振り払えなかった君の負けじゃないか?』

(ぎぃぃぃぃぃぃい!!)

 

 仕方がないからギルド近くの飲食店に入り、駄々をこねる幼女を甘いもので懐柔。その後冒険者とは、冒険者証とはなにかをかみ砕いてかみ砕いて説明し終わったのが今さっきだ。

 つ、疲れた……。

 

 幼女は納得したようだが、ケーキを食べる手は止まらないし勝手に追加注文までしやがる。凄まじく図々しい。

 

 あと。

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

 モモがさっきからめちゃくちゃ不機嫌なんだよな……!

 ど、どうしよう。この空気。

 

 

 

 

 

 

 

 

 モモは途中まで何も言わず見守っていたのだが、少し前から視線がひりついてきているし、尻尾の毛も逆立っている。

 分かり易くめっちゃ機嫌悪い。どうした。

 

 と、ふいにモモが幼女の口元をぬぐっていた俺の腕をぐいっと引き寄せ抱きしめてきた。

 

「ミサオママは、モモのママだから」

(キリっとした顔で何を言うかと思えば、それ!?)

 

 いやママではないが。パパだが。

 

「え、二人って親子なの? でもあなた獣人じゃない。しかも珍しいキメラ種。……ああ失礼? この呼び方はあなた達にとって不愉快なものだったわね」

「それは別にいい。でも、ママはモモのだから。とらないで」

「まあ、独占欲? 可愛らしいわね~。世話を焼かれているルリルちゃん様を見て羨ましくなっちゃったのかしら!」

「…………」

「むくれちゃって、図星? 可愛い子。ほ~っほっほ! でも安心おし。ルリルちゃん様は世話を焼かれて当然なの。この世全てはルリルちゃん様の下僕! ママではないわ。下僕よ!」

「散々世話焼かせておいて下僕呼びかよ!?」

 

 図々しいけど懐いたのかな、まあまあ可愛いところもあるなと思ったらそうじゃなかったんかい!

 

「それでも、ダメ。ママに甘やかされるのは、モモの特権」

「ふぅん? ……ねえ、あなた。良かったらあなたがその子をママと呼ぶ理由を教えてくれない? ルリルちゃん様、とぉっても興味があるわ」

 

 頬杖をついてニンマリ笑う幼女。

 ……んんー? さっきから思ってたけど、こいつの態度にちょいちょい違和感を感じるな。

 こう、ただの我儘なクソガキだと考えていたわけだが。

 モモに対する態度が少々お姉さんぶってるというか……つーか俺の事も「その子」呼びっておかしいだろ。

 子ってなんだよ! お兄さんだが!?

 

 モモは俺との関係を聞かれたことで張り切ったのか、立ち上がって腰に手を当てむんっと胸を張る。

 

「わかった。話してあげる」

 

 ……お?

 なんというか、モモは基本的に人見知りだ。それがこんなに自分から積極的に話すなんて珍しいな。

 それだけパパをとられたくないって事か~。そうかそうか~。可愛いなぁモモは。

 

 

 

 

 と思っていたら。

 

 

 

 

【メスママリンっ♪】

 

 

 

 

「なんでだよ!!」

「うわっ、なによ」

 

 モモの可愛さにデレデレしていたら、最近耐えられていると思っていたメス堕ちポイントが溜まってしまった。

 今のはどう考えても母性でなく父性だっただろうがよ……!

 

 これは一度腰を据えて魔王にメス堕ちポイントや【職業(クラス)(フィーメイル)】の他スキルについて聞かねばなるまい。

 あいつ自分は呪いナビだぞって言う割に、普段は俺をおちょくるばっかでこちらから質問せねばろくにナビしやがらないのだ。

 

 思わず机に額を打ち付けると、幼女にドン引かれた。

 でも許してほしい。こうでもしないと衝動が発散できないのだ。

 ち、ちくしょう……!

 

 しかし俺の反応にも慣れたもので、モモは気にせず自分の話を始めた。

 マイペースな子である。

 

「……モモには記憶が無いの。自分がどこから来たのか、本当の家族が何処にいるのかも分からない。何も分からないまま見世物小屋につかまって、ミサオママに助けてもらうまで、ずっとそこにいた」

「やだ、獣人奴隷? 今どき流行らないわ。馬鹿なヤツって居るのね。でもあなたがここに居るってことは当然ぐちょぐちょにすり潰して消し炭にして根絶やしにはしたのよね」

 

 恐ろしいこと言い出したぞこの幼女。なんかこう……表現! 言い方!

 ま、まあいいや。えーと、モモを捕まえていた奴らの事だな。

 このままだとあらぬ誤解を与えたまま話が進みそうだったので、俺もちょっと捕捉する。

 

「国からの依頼だったから、しょっぴいて騎士団に突き出したよ。罰はそっちでしてくれたろうさ。……まあ、その前にぼっこぼこにしてやったけどな」

 

 突き出した、のくだりまで眉根を寄せていた幼女に最後ニヤリと笑って付け加えると、たいへん満足そうな笑みを頂いた。

 こいつ結構血の気が多いな? 嫌いじゃないが。

 

 

 

 

 

 …………そう。

 俺とモモの出会いは、冒険者として獣人奴隷の解放を国から依頼された事が始まりだ。

 

 これは人族の国でのことで、獣人国家と友好を築きたいってのに国内で獣人を奴隷を違法取引やらVIP向けの闇見せ小屋みたいなのやらやってる奴らが居るから、見つけて潰してくれってなものだった。

 ……今思うと冒険者に頼む仕事か? って気はする。

 何でも屋みたいなところはあるけどさぁ、信用とかそっちの面で本来は騎士団とか国の戦力で解決するべき問題じゃねぇかなって。よくわからんけど。

 

 でもってそれを無事見つけて潰したまではよかったんだけど……。

 保護された獣人の中で、モモだけが記憶を失っており帰る場所が無かったのだ。

 

 あんまりにも心細そうで、うっかり「一緒に行くか?」と聞いたらものすごい勢いで頷かれて今に至る。

 更に名前も無いのは不便だからって名付けたら「パパ」と呼ばれるようにもなった。

 

 色々旅する中でモモの記憶を取り戻すことや、故郷を探すことも目的のひとつとなっている。

 

 

 

「まあ、そうなの。あなたもたいへんだったのねぇ」

 

 話しを聞き終えてはわ~といった感じに頬に手を添えてモモに同情の視線を送る幼女。

 我儘なだけでなく、ちゃんとこういう事に対し同情できる心はもっているらしい。

 

「でもあなたのように目立つ特徴の子なら、すぐに身元が分かりそうなものだけど」

「だよなぁ。初めは俺もそう思ってたんだけど、これが一向にみつからねぇ」

「まあ、獣人国家や集落は多いものね。閉鎖的なところも少なくないし」

「そうそう」

 

 ……それにしても。最初の駄々やわがままさはともかく、やっぱりなんだか幼女と話している感じがしないんだよな。

 なんとなくこの年齢にしてはものを知っている話し方をする。

 

 

 そして同情をよせられた当の本人であるモモはそのことについては特に気にする風でもなく、ぎゅっと俺の腕を抱き込んでひっつき幼女を睨む。

 

「……だからミサオママは、モモのママなの。ママに手を出さないで、おじさん」

「……ん?」

 

 

 なんか今変な単語混ざらなかった?

 

 

 俺は「そういえば赤ちゃんが生まれると上の子がかまってほしくて幼児返りするって聞いたことがあるなぁ~。モモもそういう感じ? かわいい~」とにやけていた顔がさっと真顔になった。

 

 え、なに、おじ……さん……。おじさん言った?

 

「あら、ばれてしまったの? 鋭いのね。でもおじさんはやめてくれないかしら! 一族の中では立派な子供なのよ! ぷんぷん」

「は? え……え!?」

 

 

 待て。

 二つの意味で、待て!!

 

 盛大に困惑して二人を交互に見つめる俺だったが……。

 

 

 

「!?」

 

 突如背後に現れた殺気に身をひるがえした。

 

 

 

 避けた瞬間、俺が座っていた椅子が木っ端みじんに砕けた。しかもそれにとどまらず、床までが一部破砕され周囲で悲鳴が上がる。

 それを成したのは一人の男で……何故か小奇麗な執事服を着ていた。

 とても荒くれ者には見えないのに、今の一撃には確実に殺すと言わんばかりの殺意。

 だというのに表情は真顔なものだから不気味だ。

 

「…………」

「ちっ」

 

 何かを問う間もなく、男は予備動作すら感じさせない鋭い動きで脚を鞭のごとくふるう。

 それを片腕で受けきると、流して男の懐に飛び込み胸倉を掴んだ。

 

 褐色の肌に灰色の短髪、くすんだ灰青色の瞳。

 そして一番の特徴は……額からのびる、一本角。

 

「竜人か!」

 

 掴んだ胸倉を引き寄せて男の腹に膝を叩き込んだ。堅い鱗を感じ取ったが、俺の前では無意味である。

 男は息を詰まらせるが、そこで気を緩めて下手に暴れられても困るからな。反撃すら許さず男の首裏に、今度は組んだ両手を振り下ろした。

 めきっとなにやら不穏な音を立てながら、男の体からぐったりと力が抜ける。俺はそれを受け止めると、ごろんと床に転がした。

 

 ……まあ竜人なら、この程度でどうにもなるまい。

 

「おお~」

 

 ぱちぱちぱち。

 そんな拍手をしていたのは、モモにおじさん呼ばわりをされた金髪幼女。

 

「マイヨールを倒すだなんて、なかなかやるのね。闘士(ファイター)職業(クラス)かしら」

「一応それも持ってる。……つーかお前の知り合いかよ!」

「ええ。……マイヨール、起きなさい」

 

 幼女が声をかけると、一本角の竜人がのそりと身じろぎしてからぷるぷる震えつつも立ち上がった。

 ……手加減はしたけど、タフだな。

 

「……ルリルベレスぼっちゃま、ご無事ですか」

「それはあなたでしょ? まったく、ルリルちゃん様が心配なのはわかったけれど、相手の力量をちゃあんと見極めなきゃ駄目よ? その前に状況もね。も~。見た目に似合わず脳筋ちゃんなんだから~」

「しかし……」

「あとルリルベレスと、ぼっちゃまと呼ぶな! 可愛くないでしょ? ルリルちゃん様! こう呼びなさいっていつも言ってるじゃない」

「……申し訳ございません、ルリルちゃん様」

 

 

 

 俺は目の前のやり取りを見つつ、壊れた椅子と床の修繕費と店への説明は当然こいつがするんだよな? と考えることで現実逃避した。

 

 俺もケーキ食べようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2023.12.20>>加筆修正
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