メス堕ちしたくない俺の苦難八割TSチートハーレム記   作:丸焼きどらごん

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24話▶買い物②~試着室の変態大魔王

 

 下着屋で精神のHPとMPをごりごり削られた俺が次に連れていかれたのは、シャティの宣言通り服屋だ。

 

 俺としては「宿に帰ったらいよいよ着替えないといけないのか……見るのかこの体……」と、今まで散々逃げて来た女体化マイボディとの本格対面をもう少し後だと想定していた。

 だが服屋に到着するなり「ではミサオ様、手始めにわたくし達が見繕ってきますからどんどん試着してくださいね! あ、先にさっき買った下着を身に着けるんですよ!」といった言葉と共に問答無用で試着室にぶち込まれたのだ。

 え、え? っと戸惑っている内に試着室に持ち込まれる服の数々。

 それがちゃんと俺の要望通りシャツやズボンなど……冒険に適したシンプルなものであるため、着るのが嫌だと拒否も出来ない。

 

 

 俺は思いのほか早く訪れた初着替えの機会に、覚悟を決めるしかなかった。

 

 

 ……で。

 今まで胸の支え兼下着をつけていない胸部を隠すのに使っていた皮鎧と、もらったまま清浄魔術で誤魔化しながらずっと着ていた服を脱ぎにかかったわけだ。

 

 ボタンをひとつひとつ外していくと、鎖骨の下へ視線がすすみふたつの白いふくらみが見えてきて、緊張のためか頬をツゥっと伝った汗がふくらみの間に滑り落ちる。

 それが妙に生々しい。

 

 荒くなる呼吸を自覚しつつ目を瞑ったまま震える手でボタンを一番下まではずす。

 そして目を開けると、今までずっとシャツの下で存在を主張していた双丘が現れたわけだが……!

 

 

 

 

「でっ……!」

 

 デカい。

 

 それは思わず口をついて出てしまった、自分の新たな胸部装甲への初感想である。

 二つの山は立派な渓谷を作れるくらいには、大きかった。

 

『感想それなんだ』

(だって……言うだろこれは! つーかお前は見るなよ!)

『無理だよ。君と僕は一心同体なんだからね』

(その言い方やめろや寄生虫)

 

 すかさず茶々を入れてくる魔王に文句を言うが、相手はどこ吹く風だ。

 こいつ下着選びの時はまだ大人しかったのに、服屋の試着室に入った途端に存在感出してくるのやめろよ。着替えにくくて仕方がねぇ。

 

 

 

 ……それにしても本当にでっけぇな、おい。

 素直な感想である。

 

 重いなぁとは感じていたけど、インナーマッスル強者である俺としては普通に支えられていたから視覚的に目の当たりにするまで実感が無かったぜ。

 これ、今の俺の身長からしたらバランス悪くないか? いや大きいのはいいことなんだが。……違う! この場合はよくねぇよッ!! だってこれ俺のだもん!!

 あああああああ!! 胸好きの自分とでもその胸は俺のなんだよなってアホみたいな矛盾で情緒が迷子!

 

 

(くっ!! 本来ならいい眺めのはずなのに、自分のだからか特に興奮しねぇ……ッ!)

『興奮したらしたで困るんじゃないの?』

(それもそうなんだけどさぁ……。というかお前はお前で平然としてるのなんか腹立つ)

『そう言われてもね。ふ~んって感じ』

 

 なんだろう。

 こう、本当に興味無さそうな雰囲気で言われると妙に屈辱を感じる。

 

 それにしてもなかなかのものでは? と感じてはいたけど、どうも着痩せするタイプだったらしいな俺。想像していたより俺のお胸様は迫力がある。

 鍛えたげた胸筋がこれに変換されたのかと思うと微妙な気持ちだ。

 筋肉もしっかりあるにはあるんだけど……脂肪になった比率、高くない?

 

「…………」

 

 シャティから散々ブラの付け方をレクチャーされたので、それを付けるためだから! と誰にしているのかわからない言い訳と共に胸に手をかける。

 

「……! おお……!」

 

 ずんっと手に感じる独特の重量感と柔らかさ。自分のものとはいえ感動を覚える。

 

 

 ここ数週間シャティがその肉体を存分に活かしてくっついてきたので、女性の胸の柔らかさというものを女になって初めて知った俺だったのだが。

 ……同時に彼女は怪しい動きで体を触ってくるため、うっかり欲に身を任せるといつメス堕ちポイントが溜まるか気が気ではなかった。

 だから堪能するとまでいかなかったし、流石に堂々と揉ませてくれ! とも言えるはずもなく……。ちゃんと触るのは初めてなわけで。

 

 何度も言おう。

 感動である。

 

 初めてが自前の胸ってのが塩っ辛くてしょうがねぇけどな!!

 

 

 

 

 しかし一回見てしまえば、まあ気楽なもんだ。

 これからしばらく付き合っていく体相手に毎回わたわたしていられない。

 あとは着替えるだけ。そう考え下着をつけようと買い物袋に手を伸ばしたのだが……。

 

『顔真っ赤だけど大丈夫?』

「はぁ!?」

 

 魔王の言葉に思わず下着をとり落す。

 真っ赤とかそんなはずないだろ。俺はこんなに冷静で……。

 

 しかし俺が反論する前に、魔王が試着室の鏡を指差した。

 そこには言い訳のしようもないほどに赤く染まった顔の俺が映っていて、見た途端かっと熱を自覚する。

 

「こ、ここここここここれはだな! 室温が高いだけで、熱いだけで! あ~、熱い熱い。熱こもってんなぁ!! ここ! あちぃなぁッ!!」

『興奮しないとか言っておいてしっかり照れてるじゃないか。へぇ』

「だから照れてない!」

 

 反論するが我ながら説得力がない。

 魔王はそんな俺の反応を楽しんでいるのか、うんうんと頷いている。なにを納得してんだテメェ!!

 

『いや、ふふ。いいよ、そんなに恥ずかしがらなくても。君って十六そこらでこちらに来たのだろう? だったら多少ネットや本で何かしら見ていても、十八禁のものとか本格的に触れる機会無かったんじゃないの。いや、それは隠れて見てたのかな? 一番性に興味があって多感な時期に馬鹿正直に守ってる子なんて少ないでしょ。でも生は無理だよねぇ。画面からお嫁さんは出てきてくれないもんねぇ~』

(妙に理解を示すのヤメロ!!)

『それで、ええと……五年? 童貞のままで、僕の呪いが反転して女になるほどそういったことに興味津々な君。そんなミサオが初めて生で見た女性の体なわけだから、照れても僕は仕方のない事だと思うよ? たとえそれが自分の体でもね』

「言うな言うなみなまで言うなぁッ!!」

 

 分かっているから安心しろとばかりの慈愛すら感じる声色が逆に気持ち悪いし、赤裸々に俺の照れを分析されてたまらず心の声に留まらず悲鳴をあげる。

 すると試着室の扉がコンコンと叩かれた。

 

「ミサオ様、どうかなさいました?」

「何でもないです!!」

 

 試着室といっても商品売り場からは薄い扉一枚隔てただけ。

 当然、宿の部屋に居る時の感覚で魔王と肉声で話せば俺の声だけはシャティ達にも聞こえるわけだ。

 今の俺はデカい独り言を喋っている不審者である。

 

 俺はなんとか心を落ち着かせて内心で会話できるよう切り替える。

 でも冷静になればなろうとするほど、頭の中を言い訳だけがぐるぐるまわって纏まらない。

 それが魔王には全部筒抜けだってんだから最悪だよ!!

 

『そういえば、今の君はメス堕ちポイント溜まらないみたいだね。反応は処女みたいなのに。一応自分の体だからってこと? なんだかおもしろいね』

(処女言うのやめろ! そこは童貞のがまだマシだよ! ……けど、そ、そうなのか? 俺、メス堕ちポイントに抗えてるのか? まあそうだよなぁ。自分の体見て自分で溜めてたら馬鹿みてぇだよなぁ!)

 

 ほんの少しだけ気分を良くした俺だったが、俺は「上げて落とす」概念をもう少し理解しているべきだったかもしれない。

 

『……でも触ってみて、どう? 手のひらの感覚を感じてる胸の方は、どう感じる? 指と手のひらが沈んでる触られ心地は……どう?』

「えっ」

『気持ちよかったりするのかなぁ? ねえ、ミサオ』

 

 安心していた所にふいにぶち込まれたその言葉に、特に意識していなかった部分が急に気になり始める。

 

 不本意だがこれは俺の体だ。

 自分の体を自分で触っている……ただそれだけ。

 

 の、はずなのに!

 

 魔王が余計なことを言うから触っている方の手から触られてる方の胸に意識する場所が移り変わりやがった!

 するとむず痒い感覚が這い上がってくるようで、ぶんぶんと頭を振ってそれを振り払う。

 

 だがこの俺をおちょくることを生きがいにしていると言わんばかりの魔王野郎が、そこで黙るはずもなく。

 

『せっかく大きな姿見もあるんだし、もっと初めて見る女性の裸体を観察したらどうだい? ほら、その胸の下とかさ……おへそ周りやくびれとか。そんななだらかなライン、男の時は無かっただろう。最初ベルトが合わずに困っていたよね』

(…………)

『……それだけじゃない。首も手首も足首も、以前の君に比べると頼りないほどに細い。可愛いと思わない? ふふっ、だけど女性の体の魅力は曲線美とふくよかさにもある。細いくびれから豊かな丸みを帯びている場所に繋がっていて、華奢さと豊満さを兼ねそろえているってわけさ。そんな体の部位はミサオにとって。どこも新鮮だろう?』

(………………!)

『なぁに、罪悪感を感じることは無いさ。だって、それはミサオの体なんだから! どこをどう見たって誰も怒らないし、軽蔑しない。……見たいところ、たくさんあるんじゃないかなぁ。………………ね?』

(~~~~~~~~~~!!)

 

 こいつは妙な言い方をしてからかってるだけだ。

 そう分かっているのに、ここ数週間そむけていた自分の体の変化が気になって仕方がなくなる。

 平静を装いたいのに、すでに顔だけでなく全員が内側から発熱しているように熱い。

 

 

 そりゃ気になるわ!! でもそれを自覚したら……ッ。

 

 

 

 

 

 

 

【メスエロりんっ♪】

 

 

 

 

 

 

 

 

(ああああああああああもぉぉぉおぉおおおお!! 悪魔がぁぁあぁぁあああああ!!)

『悪魔ではなく元・魔王ね。……ふふっ。それで、どうかしたの? 今のはどういった気分でポイントが溜まったのか、僕としては是非聞きたいものだよ。ああ、そういえば仲間の体を見ていた時は良いおっぱいだなんだって考えてたのに、さっきから胸って考えてるよね。なに、おっぱいって言うの恥ずかしくなっちゃった? あははっ。そうだねぇ。胸だと体の一部位だけど、おっぱいだと性的な意味をおびて聞こえるもんねぇ』

(分析をするな!! へ、変態変態変態! お前なんか変態大魔王で十分だ!)

『大魔王って、昇格してるの? やったね』

(ポジティブの塊かな!? アホ! 馬鹿! ぼけ! もうやだお前!)

『かわいそうに。語彙力、そんなのしかないんだ』

(うわあああああああ!! お前なんか嫌いだぁぁぁぁ!!)

 

 ここぞとばかりに俺を追いつめるこの悪霊をどうにかすべく、やはり早々に冒険を進める必要がある。

 

 賢者! 助けてくれ、賢者!! 早くあんたの所へ行きたい! 馬鹿野郎! 決まった道順で行かないとたどり着けない結界とか余計なもん張ってんじゃねぇよ!!

 

 ぅあああああああ!!

 男に戻れなくなるのも、こいつとずっと一緒にいるのも嫌だぞ! 俺!

 

 

 

 

 

 

 その後なんとか羞恥心を振り切り、下着を身に着けるのに成功した俺だったが……。

 基本の服をそろえた後、さんざんシャティにお勧めの服を「買わなくてもいいから着てください!」と彼女が満足するまであれこれ着せ替えられるはめになったので追加ダメージがヤバかった。

 

 

 ……大事なものを失った気がするのは、気のせいだと思いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2023.12.23>>加筆修正
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