メス堕ちしたくない俺の苦難八割TSチートハーレム記   作:丸焼きどらごん

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三章
32話▶闇堕ち~と思っていた時期が俺にもありました


■  ■  ■

 

 賢者カリュキオスから求めていた情報を得た俺たちは、さっそく教えてもらった迷宮を目指して旅立つことにした。

 

 後になって思えばまだ聞きたいことは他にもあったのだが、賢者が隙あらばべたべたスキンシップしてきてはここに残らないかと無駄な色香と共に誘って来るのだ。

 もう逃げるように旅立ったわ。

 

 いくら色っぽくても男のそれでは真顔にしかならない。

 俺がメス堕ちさせられるのを危惧するのは女の子相手だけなんだよな。

 

 ここまで書いて、何で俺は女の子にメス堕ちさせられそうになってるんだろうって改めて考えてしまった。

 

 

 

 アシュレはかっこいい。

 知ってはいたけど、俺が男だった時に厳しかった様子とのギャップもあってか余計に際立って見える。

 息をするように俺を気遣いエスコートしてくれる様は正に騎士であり紳士。

 ここ最近は変な輩どもから守ってくれるしな。

 守られてどうするんだよって思うけど、スーパーダーリンってのはこういう存在の事を言うのだろうかと納得させられる。参考にしたい。

 こう……素直にときめいてしまうので、メス堕ちというより乙女堕ちさせられそうになるのだ。

 

 

 かっこいいといえばガーネッタもだ。

 豪放磊落な性格ながら、年上らしく一歩下がった位置で全体を見てくれている様子がなんとも頼もしい。

 冗談めかして場の空気を緩ませてくれる所なんかには女性らしい包容力も感じて、これが子持ち逆ハークイーンの度量と貫録かと感服する。

 うっかり全てを委ねてしまいたい誘惑にかられ、夜のお誘いに乗って嫁入りしそうになる。

 ……この場合、嫁堕ち?

 

 

 頼もしいけどかっこよさにときめいたりすることが無いのはシャティだ。

 最近清楚潔癖なイメージが崩れているものの、シャティはかっこいいより可愛いだからな。

 自分の魅力を十全に知ったうえでの可愛さ、最高だと思う。

 だから精神的にはメス堕ちポイント溜まんないんだけど……スキンシップが一番激しいので、油断すると女性としての体の"良さ”ってものを教え込まれそうになるのだ。

 協力こそしてくれているが、俺が女の子のままで居ればいいのにって一番思ってそう。危険。

 今のところガーネッタを抜いて快楽堕ちさせてきそうな女子ナンバーワン。なんだよこの字面。

 

 

 同じくスキンシップが多いものの、邪な思いを一切含ませていない天使は我が娘モモ。

 俺をお嫁さんにしたいとか言っていたが、純粋に家族になりたいという気持ち故の発言のようだ。愛おしい。

 そんなモモだが、素直に甘え上手で可愛いので俺の中の母性が刺激され実はアシュレに次いで俺のメス堕ちポイントがたまる原因となっている。

 俺がいくら父性だと主張してもメス堕ちポイントの野郎は頑なに母性としてカウントしてきやがるの腹立つ。

 モモもモモで「ミサオママ」呼びで固定なもんだから、ほだされての母堕ちが危惧される。

 

 

 

 

 乙女堕ち。嫁堕ち。快楽堕ち。母堕ち。

 メス堕ちの中にいくつもバリエーションあるのおかしくねぇか!? と思うものの、カテゴリ分けしておけばメス堕ちポイントが溜まりそうになった際、抗う事も多少は出来るようになる気がするので記しておく。

 把握、大事。

 

 魔王が無駄な努力とか言ってるが無視だ無視。この手記の中にお前の居場所はない。

 

 魔王といえば、忌々しい事に最近は脳内で喋るにとどまらずよく実体化するようになった。

 こまっしゃくれた顔の良いショタに煽られ続ける日々は常に屈辱にまみれている。

 勝ったのは俺なのに、いろいろおかしい。

 

 それもあってか、最近妙にイライラする頻度も上がってきた。

 よろしくない傾向だと思うので、常に冷静を心掛けていこうと思う。

 

 

 

 

 

【俺のチートハーレム記 ○ページ目より】

 

 

■  ■  ■

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミサオ様、なにか怒ってらっしゃいます……?」

「え」

 

 問われて初めて自分がしかめっ面をしていた事に気がついた。

 慌てて「そんなこと無い」と否定するも、最近妙に些細なことが気に障るのは事実だったりする。

 手記に冷静さを心がけようと書いたばかりだというのに……いかん、いかん。

 

 でも、こう。多分これって体調の悪さに起因するものなんだよな。

 

 熱も無いのに微妙な頭痛が続いているし、加えて体がとにかく重いしだるい。

 旅に支障が出るほどではないが、それがひどく煩わしかった。

 

 そのせいなのか思考に鈍色のフィルターがかかったような感覚もあり、仲間の声に反応するにもわずかなタイムラグが発生する。

 よくよく考えなくても他意などないだろう言葉に対しても、悪い想像をしてしまい心の中に悪感情がとぐろを巻く。

 

 ……などなど。

 

 その感情の変化に対し魔王が気づかないわけもなく、日に日に笑みが深まっていく様子が更に腹立たしい。

 八つ当たりのように遭遇した魔物に対して不必要なほどの火力を振るい、無駄な自然破壊までしてしまう始末だ。

 

 

 

 頭で駄目だと分かっているのに、重く深く荒れ狂う不快な感情が制御できない。

 

 

 

(まさか、メス堕ちの前に闇堕ちしかけてるのか、俺……!?)

 

 はっ! とばかりに思い至る。

 な、なんてことだ。理不尽に耐えつつも強く逞しく女の体で頑張っていた俺が闇堕ちだって!?

 

 しかし状態が状態だ。

 耐えられていると思い込んでいただけで、やはり相当なストレスが溜まっていたに違いない。

 

 あと、職業を得るという結果に落ち着いたとはいえもともと魔王の呪いだしなこれ。

 呪いが俺の心を蝕んでいると思えばこのすっきりしない感覚も納得だ。魔王が上機嫌なのもさらに納得がいく。

 

 ま、魔王め! 直接ふるえる力が無いとはいえ、やはり邪悪な奴!

 だが俺は屈しない! 闇堕ちに気付いたからには耐えてみせるぜ! 呪いになんか負けるかバーカ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな風に奮起していた数十分前の俺、お元気ですか。

 俺は今死にそうです。数十分後の俺より。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は自分の状態を自覚した後、素直に仲間達にその内容を伝えることにした。

 こういうのって一人で悩むとドツボにはまるパターンだからな。俺は詳しいんだ。

 

「……って感じでさ。もしかして俺、魔王の呪いで女になるだけでなく闇に呑まれはじめてるんじゃ……」

 

 我ながら深刻そうな面持ちで恐る恐る仲間達の様子を窺う。

 

 

 しかし俺の予想に反して、みんなの様子は非常にあっけらかんとしたものだった。

 魔王でさえ俺が自分の状態を話していくうちに楽しげだった様子から急速に興味を無くし、つまらなそうにあくびを始める始末。「なんだ、そういうことか」って分かったような口ききやがって。何がそういうことなんだよ。

 

 つーかさ! 俺の闇堕ちってそんな程度なの!? 俺が闇堕ちしたら大変だよ!? 魔王より強いんだぞ!? 闇堕ちして第二の魔王になったら手とか付けられないよ!? ねぇ!

 

 が。俺の悲痛な主張もなんのその。仲間達からの視線はどこか生暖かい。

 なになになに。その優し気な視線が何故か今とても怖いんだが。

 

「ミサオ様。女性になってからそろそとひと月が経ちますよね?」

「え? あー……うん」

 

 い、一か月か。

 そこそこ長い期間を改めて自覚して肩が沈む。

 

 落ち込む俺をよそに、シャティはなにやら納得顔で頷きながらアシュレを見た。

 

「ふむふむ。人族の女性としては順当な周期ですね。どうです? アシュレ」

「うん。おそらく、そうだろうね。私は対処も慣れたものだが、ミサオにはまだ辛いだろう」

「ひと月ごとに来るなんて、人族は大変ですね……」

「まあ、こればかりは生理現象だから。シャティの回復魔術やガーネッタの薬湯にはいつも助けられているよ」

「おや、役に立っていたならよかったよ」

「お世辞抜きにこれまで飲んできたどの薬よりも効く」

「ははっ。そりゃ良かった。娘達にもよく作ってやってたから、経験が活きたね」

 

「?????」

 

 俺が理解できないままに仲間達が納得しているし、なにやら共通の話題で盛り上がっている。

 置いてけぼりにされながらもじわじわ嫌な予感が腹の底からせりあがってくるようだ。

 

 だが俺が身構える前に、シャティがオリハルコンの武器もかくやという言葉の切れ味でもってズバッと述べた。

 

 

 

「ミサオ様、その症状はですね。月のものが近いからなのですよ~」

 

 

 

 …………。

 

 ……………………。

 

 ………………………………。

 

 

「は?」

 

 一言。

 

 深呼吸。

 

 一拍。

 

 ………………。

 

 

 

 

 間をおいてから、すぅぅぅぅぅぅぅぅっと鼻から息を吸い、止めた。

 今口を開けたら色々な感情が溢れてしまいそうで。

 

 待て待て待て待て待て。今聞いた言葉はなんだ。理解してはいけない気がする。まずは落ち着け。

 ドクドクと跳ねる心臓の音が耳の近くで聞こえるようだし、冷や汗も背中をびっしょり濡らすほど。

 きっと顔は真っ青だ。

 

 つきのもの。

 月のもの。

 

 そ、それって。まさか……!

 

 

『月のもの、月経、女の子の日。……ま、生理だね』

 

「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 心の準備が整う前に魔王から止めを刺された俺は、大絶叫した後に頭を抱えて地面を転げまわるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2023.12.29>>加筆修正
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