メス堕ちしたくない俺の苦難八割TSチートハーレム記 作:丸焼きどらごん
45話▶世界の形~異世界はやはりちょっとおかしい
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今日は天空都市へ向かうにあたって、この世界と俺が居た世界の違いについて少し記録しておこうと思う。
俺が異世界転移してきたこの世界だが、元居た世界の常識は基本的に通用しないものだと思っている。
それが何故かといえば世界の構造そのものが違うからだ。
異世界なんだしそりゃそうだというものだが、旅をしているとその事実をものすごく分かり易い形で目の当たりにする。
俺は旅する過程で"人族領"を出た時、早々に目を丸くした。もはや懐かしい記憶である。
宇宙があって、空があって、大地があって、海があって、俺達が住む星は丸くて太陽の周りを回ってる。
そんな常識からしてそもそも通用しないのがこの世界だ。
とはいえ俺も義務教育の中で得た知識を信じているだけに過ぎず、実はこれまで学んだ常識も情報操作されて元居た世界の本当の姿も知らないとか、そんな可能性だってある。
それはもう確認のしようもないのだし、考えるだけ無駄なのだが。
ともあれ、世界の形である。
この世界では多様な種族が暮らしているにも関わらず、種族同士の戦争というものがほとんどない。
あったとしても小規模から中規模なもので、俺が知る戦争と言えるような大規模なものまで発展しないようなのだ。それは何故か。
厄災の魔王という定期的に表れる共通敵が居ることも大きな要因だが……単純に住んでいる土地が離れすぎている、というのが大きな理由だと思う。多分。
人族、獣人族、妖精族、エルフ族、竜族、有翼族、魔族……などなど。生活形態や寿命や考え方、信仰。
それぞれ違う種族が一つの場所に暮らしていればいくらでも諍いは置きそうなもんだが、この世界は"一つの場所"と定義するには広大だ。
多様な種族がそれぞれ本拠地とするエリアを持っており、多くの場合その中で生活が完結している。
でもって、その離れ方ってのが単に距離が離れているというだけではない。
区切られてるんだよな、この世界。
この世界の大地は全てが繋がっていない。
いや、繋がっているといえば繋がっているのだが。その形はとても不思議だ。
俺のいた世界では海で隔てられている大陸や島だが、この世界ではその海ごと。もっと言えば空も含めた"区画"全てが"空間"で隔てられている。
いざ文字にして書こうとすると少し理解が難しい。
なんて書けばいいんだこれ。
広大な空間があるとする。
そこに大陸や島にあたるものが浮いていて、付随して海や空がある。それを植物の根のようなものが繋いでいるといえば良いのだろうか。
根というにはいささか大きすぎるし、形はともかく材質は鉱石やら不定形のスライムのような謎物質やら様々であるのだが。
転移魔術を使ったり空を飛行しない場合、その根を使い上へ下へ、もしくは平行に他エリアへ移動するのだ。
エリア間の移動さえしてしまえば、その中での移動はそう難しくないんだけどな。
上へ下へ、と言っても何処が空間の上部で下部かは分からない。上へ昇れば下から出るし、下へ下れば上に出る。
だからこの世界は大地という形ではないにしろ、何かしら繋がってはいるんだろう。
月やら太陽やらエリアごとに変化する上に、下手したら近づけば三日月に座れるような場所もあるから宇宙って概念があるのかすら不明だが。
距離感や法則がちょいちょいバグってんだよな。
そしてこれから向かう予定の天空都市は"空"が大部分を占めるエリアに存在する。
大陸や島と言える規模の安定して地に足をつけて移動できる場所がほとんどなくて、空を飛ぶ手段を持たない者にとってはなかなか困難な土地だ。
土地という言葉を使っていいのかもよくわかんねぇよ。
以前は散々恐れおののいた場所だが、さすがに経験を積んだ今となってはビビることはないはずだ。
弟子も居るわけだし、迷宮という大きな目標もある。ここは堂々としたところ見せないとな!
【俺のチートハーレム記 ○ページ目より】
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「…………」
「うふふ、ミサオ様ったら。そんなにくっつかなくても大丈夫ですよぅ」
「ははっ、ミサオは相変わらずだね。以前も私から手を離さなかったもの」
俺は魔王をも倒した男である。そして黒金級冒険者だ。
ベテルキクスへ行くために大渓谷を下りていくときもビビったりなんかしなかった。
俺は強い。この間ってすごい功績を積んで一気に冒険者としての格をあげたし弟子だって出来た。
尊敬されてる。そう、俺は強い。
なのに……。なのにいぃぃぃぃぃぃぃッ!!
『なにそれ自己暗示? だっさ』
(自己暗示じゃないが。事実だが)
『でもビビらないように自分に言い聞かせてるんだろう? だったらそれは自己暗示だよ』
魔王の言葉に何も返せなくて心の中でも黙るしかなくなった俺は、嫌でも目に入ってくるその光景を見て顔を引きつらせていた。
下を向いているはずなのに空を見上げているような……眼下に底無く続く、空と雲しか見えないその光景を。
現在俺は転移した先……足場にはいささか小さすぎる浮遊する大地の上で、シャティにしがみつきながら膝をがくがく震わせていた。
そんな俺の様子をこてんっと首を横に傾けるというあざとい仕草で問うてきたのはルキだ。
「師匠って……高い場所、駄目な人なんですか?」
「高いとかそういうレベルじゃないんだよなぁ!! ルキ、逆になんでお前平気なの!?」
「平気じゃありませんよ。けど師匠の怖がり方見ていたら逆に冷静になったといいますか……」
「は、はぁ? 怖がってねぇし」
思いのほか弟子が強かだったので思わず虚勢を張る。
が、それは秒でバレたらしい。
「ミサオ、流石にそれは無理があるよ」
「が、ガーネッタ姐さぁん」
「そんな声を出されてもねぇ……」
「ミサオママ大丈夫? まかせて。モモがちゃんと落ちないように見ているから」
「さ、サンキュな。モモ……あはは……」
しれっとしている他メンバーに信じられない気持ちになる。
この光景を見たら地に足をつけて生きる生物として恐怖心を抱くのが普通じゃないのか?
俺はこの場所において最も安心できる有翼族シャティの腕に抱き着く力を強めつつ、恐る恐る飛び石の様に点々と浮かぶ足場を移動する。
俺だって飛行魔術を用いて飛べないわけじゃないが、だからといって怖くないわけでもないんだよ!
すでに視界内に捕らえている天空都市の入り口が、どうしようもなく遠かった。
2024.1.13>>加筆修正