メス堕ちしたくない俺の苦難八割TSチートハーレム記   作:丸焼きどらごん

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49話▶迷宮入り口~乙女の照れ顔は破壊力高い

 

「なんだよさっきの! しかも迷宮行くって……俺もみんなもこんな格好だぞ!?」

 

 突然謁見の場から連れ去られ、現在大きな滝の前に居る俺と仲間達。

 流石というか、突然だったにも関わらず空を飛ぶシャティの後を的確に追いかけ……途中何度か見失っただろうに、みんなはちゃんと追いついてきた。

 今日も俺の仲間は優秀です。

 

 けど着替えさせられた格好そのままで来たもんだから、みんな冒険には適さない正装だ。

 目の保養的には効果抜群なんだけど、このまま迷宮へ行くのは安全面的にちょっといただけないぜ……!

 

 

 

 ……というかさ。

 今はシャティに色々問いただす場面なんだけど、それ以上に気になってること言ってもいいかな……?

 

 さっきは緊張で突っ込むどころじゃなかったんだが、ルキお前。

 

「ルキ。ちゃんと自分は男だって主張しないと駄目だぞ」

「ぼ、僕だって断りましたよぉぉぉッ! で、でもお仲間の皆さんと合わせた方がいいって、有翼族の方達が……」

「そこで折れて流されてどうすんだよ!! 俺と違ってお前にはちゃんと玉も棒もついてんだろうがッ!!」

「ご、ごめんなさいぃぃぃぃ!」

 

 頭を抱えて蹲るルキだったが、現在その恰好は薄緑色のドレスに包装されていた。

 髪飾りも添えられて、薄く化粧まで施されている。

 

 ルキは確かに顔がいい。だが女に間違われるかといえば、まあギリギリありそうだけど服装と合わせて考えれば少年だと分かるだろう。

 だっていうのにドレス着させる有翼族どうなってんだよ! 主に倫理観とか!!

 

 それに仲間と合わせるっていっても……。

 

「逆になんでアシュレは男物なの?」

「こちらの方がお似合いになりますと言われてね……ははっ」

「俺は弟子のドレス姿よりアシュレのドレス姿の方が見たかったよ!!」

 

 そう。アシュレだけ女物でなく男性用の正装を着こまされていた。

 そこらのイケメンがモブに見えるくらいの美男子っぷりだが、俺としては普段から男装しているアシュレの可憐なドレス姿めちゃくちゃ見たかったよ!! ギャップの威力ってすごいんだからな! 見たかったよ!!

 

「まあまあ、ミサオ様。ちゃんと着替えは持ってきてもらっていますから」

「持ってきて"もらって"……?」

 

 首を傾げると遠くから何やら可愛らしい声が響く。

 

「お姉さま~! お着替え持ってまいりましたー!」

「まあ、フュリエ。ありがとうございます」

「お姉さまのためですから!」

 

 上空から舞い降りたのは有翼族の少女で、それに続き何人か下りて来た。手には俺たちの荷物。

 

「シャティの妹?」

「いえ、この子たちは……」

「シャティお姉さまの元恋人で、今は親衛隊をしております!」

「!?」

 

 思わずむせた。し、親衛隊ぃ!? いやその前に元恋人って!?

 シャティはどことなく気まずそうに頬をかいているが、説明のため口を開いたのは後から来た有翼族のお姉さまだ。

 

「シャティ様は愛多き方。たいくつなここでの生活に彩りを添えてくれた、ワタクシ共の女神なのです。使命のため旅立つとワタクシ共に未練が残らぬようにと別れを申し出てくださいましたが、たとえ恋人で無くなろうともシャティ様をお慕いする気持ちは永遠で神聖なもの。お役に立てるとあらば、いつでも力をお貸ししますわ」

「まあ、リュシャーティ。そんな風に言ってくださるなんて……感動ですわ」

 

 シャティに声をかけられ頬を染めたお姉さまは、俺にはたいへん冷ややかな視線を向けて来た。ヒェッ!

 

「シャティ様の愛が現在あなた様に向けられていることは我々も理解しております。ですがこの強固な絆はけして色あせないと……心にとめておいてくださいませ」

「あ、はい」

 

 なにやら目の前でキラキラした薔薇色……いや、この場合百合色? の空間が始まったなぁと眺めていたら、俺の分の荷物を持ってきてくれた子に釘を刺された。

 

 え、なに。俺はこれをどういう感情で受け止めればいいの?

 

 ポカンとしている内にシャティの親衛隊を名乗る有翼族の女性たちは、名残惜しそうに飛び去って行く。俺達はそれを全員でポカンと見送り……シャティを見た。

 シャティはしばらくの沈黙の後、「てへっ」とばかりに自分の頭をあざとかわいくコツンと叩いた。

 

「まっ、細かい事はいいですよねっ。さくっと迷宮、行っちゃいましょう!」

「細かくないが!?」

 

 

 

 

 持ってきてもらった服に着替え終えてからシャティに話を聞けば、ざっくり言うとこんな感じ。

 

 シャティは自分の役割に誇りを持っていたが、厄災の魔王を倒せたので自分の使命は完遂されたものとみなした。

 ので、今後は自分のために生きると決め報告がてら役職……なんでも巫女姫とかいう巫女の中でも特別な存在だったらしいそれを返上しに来たのだとか。

 でもって一族が英雄の血を取り入れたいと考えていたことは知っていたため、義務だけ果たしたら「俺のため」にさっさとトンズラする気満々だったようだ。

 

 これからの自分の人生に愛する相手……俺の存在は不可欠だから、自分以外の相手をあてがわれるのは我慢できないからと。

 

 愛する者と言われ、今後のシャティの人生に俺を組み込んでくれている事は非常に嬉しい。

 嬉しいんだけど……!

 

「俺がもともと男で、男に戻るため行動してますって言ったらさ。少なくともあんな逃げるように立ち去らなくても、協力とかしてもらえたんじゃないか?」

「あ、そうか師匠は元々男だった……。だから女の子が好きって……そっか。なるほど」

「ルキ、独り言なんだろうが話の腰折るのやめてくれねぇか!? お前まだ俺が男だって認識出来てねぇのかよ! 慣れろって! 見た目に惑わされるな」

 

 ぼそっと弟子がこぼした一言につい反応してしまったが、恐縮する弟子を横目に咳払いしてシャティの反応を待つ。

 

「…………」

「シャティ?」

 

 しかしいつも明朗な答えを返してくれるシャティとしては珍しく、沈黙が続く。うつむいていたので確認するように下からその顔を覗き込んでみると……。

 

「…………あの、その。ミサオ様に男が近づくと思ったら、とても嫌で。……それ以外、なにも考えていませんでした……」

 

 いつもの余裕のある笑みや暴走している時の圧がすごい満面の笑みではなく、恥じ入るように顔を赤らめぽつぽつと話すシャティ。

 

 わぁ……!

 

「おや。聡明なシャティにしては珍しいね」

「もうっ、ガーネッタ。からかわないでください」

「…………っ」

 

 思わず「か、かっわ……!」と心臓を押さえてしまった。

 女の子のガチ照れ顔ってさ……アシュレの時も思ったけど、破壊力ありすぎだと思う。

 めちゃくちゃ可愛い~~!

 

 

 

 

 とか思ってたら。

 

 

 

 

【メスキュンりんっ♪】

「これは違うだろぉが!!!! きゅんとしたけどさ!! ちゃんと男として!! ときめいてるが!!!!」

 

 思わず地面に頭を打ち付けた。

 

『今さらでしょ』

(お前がそれ言うなよ腹立つなこの元凶野郎!!)

 

 普段とのギャップにときめく。それは恋として実に王道だと思う。

 でも今のは違うだろ? 初めて聞いた音だけど、違うだろー!? もともとこのメス堕ち判定ガバガバだけど!

 

 俺が地面に頭突きしたままめり込んでいると、それを助け起こしたシャティがキラキラとした目を俺に向けてきた。

 

「まあ! もしかしてミサオ様、また女子力があがったのですか? まあ。まあまあまあ! もしかして、女の子っていいなって思っちゃいました? わたくしの影響で? きゃ~! 嬉しいですっ!」

「もぎゅっ」

 

 感極まったシャティに抱き着かれてその幸せ谷に顔をうずめることになった俺。

 シャティ語である女子力(メス堕ちポイント)に一瞬混乱したため避けられず、その柔らかさに一気に思考がぶっ飛ぶ。

 

 や、やわらか……! 幸せが押し寄せてくる……!

 いやけど、これはまずい! ちょ、待っ!!!!

 

 

【メスエロリンっ♪】【メスキュンりんっ♪】【メスエロリンっ♪】【メスキュンりんっ♪】【メスエロリンっ♪】【メスキュンりんっ♪】【メスエロリンっ♪】【メスキュンりんっ♪】【メスエロリンっ♪】【メスキュンりんっ♪】【メスエロリンっ♪】【メスキュンりんっ♪】

 

 

「シャティ、やめっ、やめて。うきゃっ!? ほんとやめ、変な声出……っ」

「ミサオ様~!」

(うぎゃああああああああああああああああ!!!!!!)

 

 シャティの幸せ谷に挟まれたまま体中を撫でまわされて、バグが起きたようにメス堕ちポイントが溜まっていく。誰か止めてくれ!! 俺は女に子になりたくない!!

 

「あわっ、あわわわわわ! そんな、ししょ、シャティさ……っ、わっ、そんなっ、あわ」

 

 視界の端で弟子が顔を真っ赤にしてこちらを凝視している弟子が見えるがお前は見てないで止めろよ!!

 しかし俺を助けてくれたのはそんな頼りない弟子ではなく……。

 

「シャティ、やりすぎだよ」

「ぴゃっ」

「シャティ、やっぱりあつくるしい」

 

 シャティの脳天に涼やかな笑顔でチョップをかましたアシュレと、俺をシャティから引き剥がしたモモ。

 おかげでやっと一息つけた。

 

「はぁ……! はぁ……ッ!!」

 

 荒く息をするが、火照った体は一瞬で「これ、大丈夫? また職業階級上がってい?」という思考でざぁっと冷め切った。

 おそるおそる魔王を顔を確認するが、奴は意味深に笑うばかりだ。このやろっ。

 

「終わったかい?」

 

 唯一見物をしていたガーネッタはまるで子猫のじゃれ合いを見ているように笑うと、ついっと指を動かした。

 その先には苔むした崖に囲まれた、美しい大滝。水飛沫が跳ねあがり、ちょうど陽の光を受けて虹を浮かび上がらせている。

 

「だったらそろそろ迷宮へ行こうじゃないか。シャティ、この裏側だろう? 入口は」

「……こほん。さすがですね。その通りですよ、ガーネッタ」

 

 先ほどまでの興奮っぷりが嘘のように鳴りを潜めたシャティは、俺にぱちんと可愛らしくウインクだけ投げよこすと滝へと向けて手を伸ばした。

 

【有翼族が元巫女、シャティ・ティティシエールが望みます。猛き水の本流よ。緩み綻び花開き、我らを迎え入れなさい】

 

 それは絶対的な命令の言。単純な言葉の並びの中には幾重にも重ねられた魔術の音が混ざっていて、この一瞬で高度な術が構築された。

 激しく流れ落ち水煙を上げていた滝の一部がたわむように揺れ、一瞬後に膨らんで中心から睡蓮の花のように開いていく。

 そうして一部だけぽっかり口を開けた滝の向こうには、封印紋が光る迷宮(ダンジョン)の入り口。

 

 

 

 

「ようこそ、皆様! 天空都市の迷宮へ。……といっても、場所と難易度のせいでなかなか人は来ないんですけどね」

 

 

 

 

 

 

 

 

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