メス堕ちしたくない俺の苦難八割TSチートハーレム記   作:丸焼きどらごん

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▶主人公 は 幸せ谷 に 埋まった
▶着替え を 手 に 入れた
▶部屋 が 爆発 した



6話▶襲撃~服って弾け飛ぶものなんだ……

「マジかよ……。どうすんだよ、こんなに壊しちまって」

 

 俺は青空天井になった宿の一室を呆然と見回してから、元凶を睨む。

 半壊した部屋の向こう側。二階に位置するこの部屋の外ということは空中なのだが……そこには現在招かざる客が、黒いマントを羽のように広げて浮遊していた。

 

 青々とした快晴を背負って浮いているのは、その背景が似合わない、なまっちろくて不健康そうな肌色をした魔族。獣のようないかつい脚部と、複雑に捻じれた二本角が特徴的である。

 深紅の前髪から覗く眼光が鋭く俺を捉えるが……。

 そいつは俺を見た途端、きつく細めていた金眼をキョトンと丸くした。すると冷たくクールな印象が途端に間抜けになる。

 

「ん? アイゾメミサオでは……ない? おかしいな。奴の魔力を追ってきたはずだが……。むむぅ?」

 

 爆破の影響で埃と煙が立ち込めている中だが、流石に前の俺と体格差がありすぎてシルエットで違和感に気付いたらしい。

 今の俺の身長、パーティー内で一番背が低いモモと同じくらいだからな……。せいぜい百五十㎝そこそこだ。

 三十㎝も低くなった視界には未だ慣れない。

 

 それにしても……。

 

(め、面倒くさい奴が来やがった……!)

 

 あの魔族とはそこそこ長いつきあいなのだが、ぶちのめしてもぶちのめしても復活しては挑んでくるので苦手としている相手である。しつこさが凄い。

 

『おや、あの子か。そういえば君たち、僕に対峙した時無傷だったけど……まさか魔王軍スルーしてきたの?』

(決まってんだろ。こっちは五人だぞ? 魔王を倒そうって時に馬鹿みたいに戦って消耗できねぇし、少人数の利点を活かさない手はねぇだろうが)

『それもそうだねぇ。ってことは魔王軍は無傷か。ふぅん』

 

 魔王の元を目指す時、当然奴を守護する魔王軍がいたのだが。こちらには以前魔王軍に所属していた仲間が居たので、道案内をしてもらい潜伏したままラスボスの元へたどり着くことが出来た。

 その後は邪魔が入らないよう結界を張り、孤立無援になった魔王を倒したってわけだ。

 倒せてないけどな! そいつ今俺の中に居るけどな!!

 卑怯というなかれ。俺は単発で強い奴を相手にするのは得意だが、持久戦、消耗戦には向いてない。出来なくはないが、仲間の負担を考えれば避けるのは当然だ。

 誰も欠くわけにいかないからな。それが魔王と戦うにあたっての最低条件だった。そうなりゃ当然、短期速攻電撃作戦一択ってわけだ。

 魔王相手に五人とかいう人数で挑もうってんなら、これくらいする。

 辿りつけさえすれば俺が勝てるって確信もあったし、下手にどっかの王国の軍に頼んだり他の冒険者パーティを頼っても連携取れると思わなかったからな。

 

 んでもって、たった今俺を襲撃してくれやがったこいつは一応……魔王軍の幹部だ。

 名前はえっと……なんだっけ。いつも聞く前にぶっ飛ばしてたからよく覚えてねぇな……。

 魔王城からとんずらする時にシャティが攪乱の魔術を撒いてきたはずだが、どうやらこいつはそれを突破したらしい。

 

 俺は油断なく魔族を見つめるが……。

 ふと、とんでもないことに気が付いてしまった。

 

「おい貴様。アイゾメミサオは何処にいる?」

 

 当然ながら俺が本人だとは一ミリも気づいてないらしい魔族が尋ねてくるが、俺は今ちょっとそれどころじゃない。たった今なくなった。

 

(おいおい。おいおいおいおいおいおいおい。ちょっと待てや)

 

 

 怪我はない。

 体力も回復してる。

 こいつごときに負ける気はしない。

 

 だけど今、別の事でピンチだ。

 大変情けなくも、死活問題である。主に俺の尊厳的なものの。

 

 

『あちゃ~。ぷふーっ』

(なんで俺はお前を殴れないんだろう)

 

 ば、馬鹿にしやがって……!

 

 

 何がピンチって、たった今こいつがぶちかましてくれた魔術でボロボロだった服が全部千切れて吹き飛んだんだよ!

 おいここ魔王の時みたいに精神世界でも何でもなく現実世界だぞふざけんな!

 自分自身のラッキースケベイベントはいらねぇよッ!! ラッキーでもなんでもねぇッ!!

 

 

 奴の攻撃に対し、とっさの判断で防御魔術を発動出来たところまではいい。

 だがすでに魔王との戦いでボロ布同然だった服は爆風と魔力障壁の摩擦に耐えられなかったらしく、ギャグ漫画かよってくらい派手に弾け飛んだ。

 かろうじて煙で隠れちゃいるが、風がひゅうとでも吹けば俺はこの馬鹿野郎の前に全裸を晒すことになる。

 まだ自分でもちゃんと見てないのに、何で真っ先にこんな野郎に裸を見られないといけないんだよ!?

 

(よし、このままぶちかまして空の星になってもらおう)

 

 俺の判断は早かった。でかい魔術一発ぶちかまして追っ払おう。幸い相手は空だし、他に被害は出ない。

 そう思い拳に魔力を溜め始めたのだが……。

 

「おい貴様、なんとか答えたらどうなんだ。それともアイゾメミサオはやはりこの部屋にいるのか? ……チッ、煙が邪魔だな。……はっ!」

「ぎゃあああああああ!? テメェ馬鹿やめろ!!」

 

 この野郎、風の魔術で煙を吹き飛ばしやがったぁぁぁぁぁッ!

 馬鹿ーーーーー!!

 

 俺は咄嗟に股間と、次に今はこれがあるんだったと気づいて胸を隠した。すると両腕が塞がってしまうため、溜めていた魔力が霧散する。そんなアホな。

 

(し、しまった!)

「よし、これで見えるように……。……!?」

「うおおぁぁぁあああああ!! こっち見んなッ!!」

 

 ざぁっと煙が晴れた中、隠すものが無くなった中での対峙。

 大事なところを隠しちゃいるが、俺は馬鹿魔族の真ん前で裸を晒す事になってしまった。

 極力見られる面積を減らすべくしゃがみ込むが、戦う者としては完全に無防備となる悪手である。

 

 けどしょうがないじゃん!? 全裸ファイト出来るほど俺のメンタル強くはねぇよ!! 魔王戦ラストの時みたいにハイになってれば話は別かもしれないけど! 今もう完全にしらふだよ!

 

 これどうすんだ、と頭が真っ白になった時だ。

 

 

 

 ガァンッ

 

「がっ!?」

 

 

 

 一発の銃声が鳴り響き、苦悶の声があがった。

 

 

 

 

 

 

 ダメージを受け声を発したのは俺ではなく相手魔族のもので、見れば頬から青い血を流している。

 俺は体を抱え込んだまま……銃声の発生元、背後を振り返った。

 

「アルマディオ。あんた、何の用だい? ……って聞くのは愚問だけどね。けど、その子に何してるのさ。女の子を引ん剝くなんて、品の無い子だね」

「ち、ちがっ」

「この絵面で言い逃れする気かい?」

「誤解だ! ぼっ、俺様はそんな破廉恥じゃない!」

「どうだか」

 

 灼熱を思わせる鮮やかな赤い巻き毛を翻し、一本走る顔の傷に挟まれた金の瞳が魔族を射抜く。

 頭部の片側に位置する一本角がうねる様に伸びて腕に絡み、複雑に変化し銃の姿になっていた。

 その武器を構えているハイパーいい女の名は、ガーネッタ。元魔王軍所属の半魔族だ。

 俺のパーティーにおける超優秀な狙撃手である。

 

 ちなみに今撃たれてあわあわしている馬鹿野郎の姉だったりする。

 確かガーネッタ本人に聞いた話によると腹違いだっか。髪と目の色は似ているが、青白い馬鹿魔族の肌に対してガーネッタは健康的な褐色肌だ。

 

 そう思い出していると、「ああ、思い出した」と脳内魔王の声。

 

『そうだった。アルマディオだ、アルマディオ』

(俺はともかくお前は部下の名前覚えてろよ。幹部だぞ。しかもお前の仇をとるためにその日そのまま速攻で駆けつけてくれた奴。忠義者じゃねぇか)

『だって微妙に長くて覚えにくいし』

(いや……まあわかるけど……。五文字以上の名前、長いよな)

『でしょ~?』

 

 しまった、つい共感してしまった。

 

 どうやら俺と同じく名前を憶えていなかったらしい魔王。そのことについてだけ馬鹿魔族をちょっぴり不憫に思いつつも、俺はガーネッタに感謝しながらさっと物陰に隠れた。幸い先ほど受け取った着替えは無事だ! 今のうちに着替えよう……!

 

 サンキュー、ガーネッタ姐さん!

 

「……ふ、ふんっ。貴女か。魔王様亡き今、この俺様こそが魔王軍の頂点。それに角を向ける意味を分かっているのか? 姉さん!」

「あんたが? 馬鹿言うんじゃないよ。厄災の魔王は死んだ。ならあの魔王軍も誰が引き継ぐまでもなく、そこまでさ。あんたはさっさと実家帰んな」

(実家あるんだ……。兄妹の会話って感じだな)

 

 呆れたように述べると、ガーネッタはアルマディオへ向けて雑に銃を乱射した。

 その勢いはすさまじく、さながら地上から空へ流れる逆流星群。奴はそれをタップダンスするように避けている。

 角が変形しているガーネッタの武器は、そこから自在に魔術の弾丸を放つことが出来るのだ。つまり魔力さえあれば弾切れの概念は無い、一人マシンガンである。しかもその状態で長距離狙撃可というぶっ壊れ性能。

 

「う、うるさい! 魔王軍を裏切った姉さんは黙っていてくれないか! 俺様は魔王様の仇を討ちに来たのだ! ぼ……ごほん。俺様は主君の無念を晴らし、我が好敵手(ライバル)と決着をつける。だからそんな女になど興味はないしひん剥いてもいない! 事故だ! さ、さあ! あいつは何処だ? 死んではいないだろう。この俺様がわざわざ出向いてやったんだ。出てくるがいい! 我が宿敵、アイゾメミサオぉぉぉぉッ!」

(お前がウルセェわッ!!)

 

 見た目の貫録と噛み合わない間抜けさがにじみ出ているアルマディオだが、厄介なことに町一つ軽く消し飛ばすくらいの力はあるんだよな、こいつ。

 すでに宿への損害が出ているし、下手に戦うと勝つ分には問題なくとも周囲への被害が心配だ。

 

 ちなみに宿敵とかライバルとか言われてるが、あいつ的にはそれは奴の一方的な認識。俺はあんな暑苦しい馬鹿とそんな関係築きたくない。というかライバルか宿敵かどっちかに統一しろよ。

 

「……ミサオママ、大丈夫?」

 

 物陰に隠れて着替えを漁っていると、ひょこっと目の前に赤い瞳が収まった愛らしい顔が現れる。

 桃色の髪を高い位置でツインテールにした獣人の少女、モモだ。

 ところでごく自然に呼ばれてしまっているんだが、モモ? ママじゃないよ? パパだよ? いやパパでもないんだけど性別的に適してるのはパパ呼びだよ?

 

「も、モモ。なあ……ママ呼びは固定されちゃったのか?」

「だってミサオママ、いま女の子……」

「それは、そうなんですが……」

 

 純粋な瞳で見つめられてはどう返していいか分からなくなる。これが無垢の力というものか……!

 

 とりあえずその話題は落ち着いて、改めて話すとして。

 俺は姿の見えない二人の仲間の事を問いかける。

 

「モモ、シャティとアシュレは?」

「シャティは結界。アシュレは避難」

「おお、流石……」

 

 襲撃から数分も経っていないが、仲間たちはすでに自分たちの判断で動いていたようだ。

 シャティは周囲に被害が出ないための結界を。アシュレは宿に居る人間の避難誘導を。そしてガーネッタとモモは騒ぎの中心へ戦闘要員として来てくれた、といったところだろうか。

 

 ふと空を見れば純白の翼を広げて飛び回り空から結界を構築し始めているシャティが、地上に目を向ければ蒼銀の鎧を身に纏ったアシュレが人々を誘導しているのが見えた。

 

『ふぅん。君のパーティー、優秀だね』

(ふふん、そうだろう。そうだろう)

 

 感心する魔王に得意げに頷くが、そんな場合じゃなかった。

 シャティの結界があるなら周囲への被害は心配しなくていいな。ならさっさと着替えてあいつをぶっ飛ばし……たいところだが。

 

「うーん……」

 

 今はガーネッタが姉の貫録を発揮しているため時間稼ぎ出来ているが、実のところ純粋な力はアルマディオのが上だ。だからすぐに俺も加勢しなければならないんだけど……。

 袋から持ち上げた服……否。布を見る。

 

 そう、布。

 俺にこれを服と称するのはちょっと難しい。

 

 服より布のきれっぱしに見える面積しかないのが、さっき渡された着替えの実態である。

 めちゃくちゃざっくり言うと上はマイクロビキニ。下は超がつくミニのホットパンツ。履いたら多分、ちょっとケツがはみ出る。上はもっとやばい。

 

(大は小を兼ねるんだし、持ってきてくれるなら大きくても他の服でよくなくないか!? それか自分の服着るよこれ着るくらいなら! さっきの爆発で荷物全部吹き飛んだけどよォッ!)

 

 シャティはサイズの問題を考えてモモの服を持ってきてくれたらしいが、モモ……彼女の服は特殊すぎる。

 モモはつたない喋り方に幼げな表情こそしているが、見た目は十四歳ほど。本来その体に合う服なら縮んだ俺に問題ないはずなんだけど……これは流石に……。

 

「俺が、これを……?」

 

 一見布面積が少なくエッチな服だが、モモは獣人。各所に自前の毛皮を備えているため、そんな服でもけしてエロく見えないのだ。胸も発展途上なのでマイクロビキニに見えるこのサイズも彼女の大事なところを隠すには十分である。

 

 獣人はいくつかの形態を持つ場合があり、モモもそれに該当する。その変化に対応しどんな姿でも動きを阻害しない機能美に優れた逸品なのだが……。

 俺が着るには、やっぱり、ちょっと……!

 

 俺が服を前に渋っていると、それを見たモモがへにゃりと眉尻を下げた。それに連動して黒い狼耳もピンクの兎耳もしおっと折れる。

 

「ミサオママ、そのお洋服、いや? ……モモとおそろいは、いや?」

「着させていただきます」

 

 即答だった。

 着られる服があるだけでもありがたいことだよな!

 

『変わり身早くない?』

(うっせ)

 

 モモはとある理由から記憶喪失であり、保護して名前を付けた俺の事を親のように慕ってくれている。

 そんな子が目を潤ませながら、悲しそうにおそろいは嫌かと聞いて来たんだ。断れる奴がいるか? 居たら鬼だ。俺は違う。俺はパパだぞ!

 

 そんな俺の熱いパパパッションがほとばしった時である。

 

 

 

 

 

【メスママリンッ♪】

 

 

 

 

 

 

「今!?」

「!?」

 

 突然大きな声を出した俺にモモがビクッとするが、曖昧な笑みで「いや、はは。なんでもないぞモモ」と言って誤魔化した。……誤魔化せたかなぁ?

 

 

 

 また例の謎の音だ。今日でもう三回目。

 だからこの気が抜ける音はなんなんだよ。微妙にバリエーションあるところがなんか嫌だな!

 それとまだ意味は分からないものの、なんとなく含まれていた音にすごく不満を覚える。何故だ。

 

(本当になんだよこの音……)

『メス堕ちポイントが溜まる音』

(なんて?)

 

 聞き捨てならないワードが聞こえた気ぃするんだが。

 

 だが魔王に問いただしている暇はない。……アルマディオの奴、本気の気配を出し始めた。

 

「ええい、もういい! 出てこないなら、出てこさせるまで。仲間がいたぶられているとあらば、奴も隠れておられまい? ……姉とはいえ、容赦はせんぞ」

 

 アルマディオは言うなり、宙を片腕で薙ぐ。

 それを見たモモが兎耳の方をぴくぴく動かしたと思うと、四つん這いとなり戦闘態勢に入った。

 

 モモの耳はふたつある。

 物理的な音を鋭くとらえる狼の耳と、魔力的な反応に敏感な兎耳。

 キメラ種とも呼ばれる特殊な獣人であるモモは、あらゆる驚異を瞬時に察する。

 それがこの様子ってことは……。

 

「結界を張ったようだが、この数に耐えられるかな? 出でよ、我が下僕ども!」

 

 アルマディオの周囲に紫色と金色の魔方陣が無数に出現する。

 

 

 

 そしてそこから顔を覗かせ始めたのは、魔王城でスルーした魔物の軍勢だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




▶モモ>>
獣人族。女。闘士。桃髪ツインテ。
記憶喪失のところを操に保護され名付けられた。操の事を前はパパと呼んでいたが、彼が女になってからはママ呼びになった。音と魔力の気配に敏感。



2023.12.4>>修正加筆
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