メス堕ちしたくない俺の苦難八割TSチートハーレム記   作:丸焼きどらごん

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76話▶新・魔術装甲~鎧が布にジョブチェンジしたんだが

『あはははははははははははははははははははははははははははははははッ!!!!!!!!』

「……! …………! ……………………!!」

 

 昨日少しでもこいつに「しおらしい」なんて感想をもった俺が馬鹿だった。

 見た目だけは無駄にいいから妙な錯覚をしちまったらしい。

 

 ふよふよ浮いている美ショタ魔王は、笑った勢いなのか俺を中心にくるくると空中を前転して回っている。

 腹をかかえての大笑いしやがって。腹立たしいし単純に視界が鬱陶しいな!

 

 俺はそれに対しても怒りが爆発寸前だが……今は羞恥心の方が勝って大爆発の秒読み中だ。

 何が恥ずかしいって、今の俺の服装がだよ!

 

「ロハルドさんッ!! なんだよこれ!? 俺の魔術装甲は!? 二人であんなに話し合って完成させたロマンの結晶はーーーー!?」

 

 自分より頭二、三個分身長のデカいロハルドさんの胸倉を掴んで、がっくんがっくん前後に揺さぶって問い詰める俺である。

 彼は先ほど新しく調整してくれた魔術工芸核(アーティファクト)を手渡してくれたばかりだったのだが……。うっきうきでおニューの魔術装甲を展開させて俺が悲鳴を上げたのもつい先ほど。期待値有頂天からの地獄フロア阿鼻叫喚階である。

 いや、昨日の今日でもう新しい魔術工芸核を仕上げてくれたスピードにも、俺達が必要としていた機能をたまたまとはいえつけてくれていた事にも感謝してるぜ? でもその外観がビックリするくらい変わってたんだから文句の一つや二つや百も出てくるってものだ。

 

 しかもその見た目が、よりにもよって……!

 

「ふむ。ミサオくん……ワタシは一向にかまわんのだが、このままだと口と口がぶつかるぞ?」

「!?」

 

 ビクッと肩が跳ねた俺は無言で手を開いてロハルドさんの胸倉を解放した。

 

 く、くそぅ……。今の俺とロハルドさんじゃあ身長差がありすぎて、それを引き寄せる斜めの直線は確かに危ない。勢い余った時が危ない。低くなった身長が恨めしい……!

 

 俺が悔しがっていると、やっと笑いが収まったらしい魔王が口を開く。

 

『あのさ。見てて思ったけれど、彼って女の君にはさして興味なさそうだよね。一向にかまわんと言われつつ、すごく平坦に対応された気分ってどんな? ねえ、どんな気持ち? ちょっと屈辱感あったりするの? ねぇ』

(うっるせぇよバーカ!! お手本みたいな煽り台詞いいよってからにッ!!)

『あはは~』

 

 魔王にしおらしさのようなものを感じた俺はマジで幻でも見ていたんだと思う。

 こいつの何処がしおらしいってんだクソがよ。心臓に毛どころか針金生えてるような奴だぞ。

 

(にしても……ッ)

 

 魔王の事は置いておくとして、俺は非常にしょっぱい気持ちで自分の体を見下ろす。正確にはその体に纏っている"衣装"をだ。

 そんな俺に声をかける仲間達だったが……。

 

「ミサオ様! とってもとっても、とぉっても、お可愛らしいですわっ! ロハルド様はとても良い仕事をしてくださいましたね!」

「ワタシは今のミサオくんにとっての最適解を作り出したにすぎないけどね。残念ながらワタシの趣味ではないが、そう手放しで褒められると嬉しいものだ」

「うん。似合っているよ、ミサオ。……それにしても、流石ですねロハルド殿。あの見た目で以前と防御力など変わらないのでしょう?」

「もちろんだとも、アシュレ嬢。というより、修理とは違うが壊れたミサオくんの魔術工芸核を材料にしているからね。先ほど述べた機能に加え、全体の性能が増していると思ってくれて構わない。戦いの経験を積んだ分、中心核そのものが進化している。……やはりミサオくんはワタシの作品を持つに相応しい人間だった」

 

 満足そうに頷いているところ悪いけど、普通だったら嬉しい評価も今は全然嬉しくない……!

 ロハルドさんの趣味じゃないなら、これに作り直す必要なくねぇか!? もっと前の形に近づけることもできたんじゃん!?

 今の姿にとって一番いい形にしてくれたってのは、まあ理解してもいいけどさ。それもまたロハルドさんの職人としてのプライドによるものだろうから。……でも納得できるかどうかは別の話なんだよなぁ!

 あと、身にまとう本人の意見も大事じゃない!? 前はとことん話し合って二人でデザイン決めたのに、なんで今回は勝手にやっちまうの!? 俺、ロハルドさんだから信じたのに!

 

 せめて、せめてもっと別の……!

 というか今の俺に一番合っている調整がこれってのは流石に違うんじゃないか!? 似合うわけないだろうが俺みたいな三白眼そばかす地味眼鏡野郎に!

 

「……。ふふっ。ミサオママ、かわいい」

 

 俺がプルプル震えているとモモが尻尾をパタパタさせながら近づいてきて、俺の姿をいろんな角度から眺めはじめた。

 

「も、モモ。お世辞とか別に言わなくていいからな? むしろ似合わないから別の形にしろってパパと一緒にロハルドおじさんに言ってほし……」

「へぇ、華やかなもんだ。娘時代にそういう格好に憧れたこともあったねぇ。でも私にはそういうの似合わないから、ミサオが羨ましいよ」

「は!?」

「ふぅん、なかなかじゃないの鬼人。褒めてつかわしてあげてもいいわよ?」

「ちょっ」

「し、師匠。僕も、その。とってもお似合いで、可愛いと思います!」

「ルキまで!? おいせめてお前は味方であれよ! 同じ男だろ!? 俺も男なの! お前、これ自分で着てみたいって思うか!?」

「…………」

「目をそらすな!!」

 

 ガーネッタにルリル、ルキまでロハルドさん側ってどういうことだよ。唯一口を開いていないマイヨールに関しては真顔で拍手している。こいつが一番ムカつくなオイ。

 でもみんなさ。着てる本人がこの反応ってことを加味してくれないか? 俺、めちゃくちゃ嫌がってるよね? なに、みんな目が節穴っちゃってる???

 

 みんな褒めてくれてはいる。

 褒めてくれるけど……! 

 でもさ、この姿って……!

 

 

 

 

 

 

「どう見ても魔法少女じゃねぇかーーーーーーーー!」

 

 

 

 

 

 

 ……そう。

 ロハルドさんが俺のために新たに誂えてくれた魔術工芸核が作り出した魔術装甲。その姿は想像していた元のハイパーかっこいいスタイリッシュ鎧ではなく、キラキラ魔法少女のような衣装だったのである……!

 

 唯一同じなのが色味だけ。

 黒を基調として差し色に赤が使われているのだが、なんだかすごく…………敵側から仲間になった追加戦士枠の魔法少女っぽい趣!

 ビロードのような生地にキラキラと輝く星のような飾りが散っていて、レースやフリル、銀糸と金糸で模様が描かれた刺繍など非情に繊細な作りは俺みたいな素人から見ても金貨何枚分? って感じの超一級品な衣装だということがわかる。わかるのだが、問題はそれが俺の魔術装甲ってことなんだよな。

 妙にスカートの丈は短いしよ……! 代わりとばかりに太ももまで覆う二―ソックスのフェチ感も何なんだよ。絶対領域とかいらんわ!! 俺が主に魔法少女みを感じたのは特にここだよ! 魔法少女ってすごいよな。スカートの中身を絶対に見せないまま動き回るんだから。

 

『ミサオ、少女という年ではないだろ?』

(んなこたぁ今どうでもいいんだよ! みたいだな~って思ってるだけで! ただの感想だよ! まさか自分が魔法少女だとは思ってねぇよ思ってたまるか!)

 

 魔王の野郎は相変わらず余計な茶々をいれてくるし!

 

 

 でも本当になんで!?

 シャティ達ならともかく俺がこんなの似合うわけないだろうが! いやそもそも鎧が服にジョブチェンジしてんのがおかしいんだよ!! 最早別ジャンルだろ!! ロハルドさんいわく性能は前以上らしいけど納得いかねぇッ!! 魔術装甲って言ってるじゃん。装甲! これ布じゃんか!

 

 

 

 

「だぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁッ! もうッ!!」

 

 

 

 

 俺はたまらず頭をかかえて、掻きむしるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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