光の戦士と暁のベル・クラネルがダンジョンにいるのは間違っているだろうか   作:dukemon

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FF14は面白すぎるから思わずに書いたものだ。
FF16は来年か


旅立ち

1、

 

光の戦士・ロックは友人で暁の仲間のベル・クラネルの要請で、石の家に帰った。

 

「数ヶ月ぶりだな。ベル。俺に頼みたいことがあるとは何なのか?」

 

終末の災厄を退けてから、最も忙しい暁の成員はベルだ。

各地の獣人種族との交渉、イシュガルドとドラゴン族との折衝、ボズヤとダルマスカと元第Ⅳ軍団の会談など。

 

ちなみに、もっとも暇な成員は俺だ。

待機状態で、つい先日まで趣味の物作りをやっていた。

 

「はい、実はニーズヘッグさんと共にアシェンの基地の一つを発見しました。痕跡を見ると、ファダニエルのものだと思われます」

 

「ほう」

 

「問題は、中に保管していたイデアに関する情報は誰かに持ち出された」

 

「まさか、神降しのものか」

 

「……その可能性が高いです。資料を見ると、塔の建設に関するものだと思います。それからすぐにアイメリクさんに報告したけど……大変なことが起きた」

 

大変なこと?蛮神なら霊鱗でテンパード化を防ぎられる。それにベルとニーズヘッグなら普通の蛮神など一ひねりで潰せるはずだが。

 

「モンスターが転移門を通してきた……僕の母星から」

 

「なんだと!?帰れるのか!」

 

ベルは6年前次元の狭間に落ちて、別の星から転移されてきた。

その時はミンフィリアに拾われて、暁に入った。

暁のみんなにとって頼れる弟分のようだ。

いろんな人が彼の帰郷に手を尽くしていたが、結果は芳しくない。

まさか、このような奇跡が起きたとは。

 

「帰れると言いたいけど……頼りたいことはそこなんです。ロックさん、僕と一緒に母星に行きませんか」

 

2、

 

ベルと一緒に現場に行くと、イシュガルドの兵士たちがモンスターたちと戦っている。

銃を持ち出して、遠くから要害に狙撃すると、モンスターは塵になって消え去った。

 

「その塵は大丈夫か?」

 

「ラハさんに頼って、クリスタルタワーの設備で解析してみました。結果は無害だそうです」

 

「なるほど……よし、行こう!」

 

転移門を抜いて、俺とベルはあちらにたどり着いた。

すぐにベルの手を握ってテレポを発動する。

 

「仮説通りですね」

 

ウルティマ・トゥーレの光景を見ると安心した

 

「ああ、これで帰還手段を確認した。扉が閉じても、俺ならウルティマ・トゥーレを経由して帰れる」

 

終末を退いてから、宇宙の果てにあるウルティマ・トゥーレに自分はなぜかテレポで行くことができる。

たとえ別の星に行っても、それは同じだと今は確認した

これで安心して探索できる。

 

もう一度扉を抜いて、モンスターを討伐しながら上に登っていく。

 

モンスターたちは壁から生まれて、眼前の侵入者に対して攻撃する。

この場所は生きている。というのは正直な感想だ。

俺たちはまるで巨大な生物に飲み込まれているようだ。

さらに、ここのモンスターは構成上デュナミスを混ざっている。

終末の災厄に関係があるだろう。

 

「ここはどこだと心当たりがあるか?」

 

「ダンジョンだと思います。壁からモンスターが生れ落ちる場所は、僕が知る限りダンジョンしかありません。異質だと聞いていたが、これほどのものとは思えなかったです」

 

「なるほど、あのモンスターが湧き出すところか。つまり、上に目指せばオラリオってところに着けるのか?」

 

俺はベルがそれを話した記憶を掘り出した。

 

「はい、オラリオは僕の母星ではもっとも栄えている都市です。祖父も僕が大きくなったら、オラリオに行くことをお勧めしましたよ」

 

「『出会いを求めて』だろう」

 

ベルの顔が一瞬で赤くなった。

6年前、ミンフィリアに拾われてきた彼が冒険する理由がかわいい女の子に出会いたいと言った。

 

「僕が忘れたい恥ずかしい記憶を掘り返さないでくださいよ!」

 

「ははは。いや、別に悪いではないよ。旅に出る理由など人それぞれだ。婚活も立派な理由だぜ。まあ、今のあなたじゃ引く手あまたと思うぞ」

 

「過大評価ですよ」

 

「それはない」

 

ベルは自分自身に対する評価が低すぎる。

なぜか俺に比べて、自分がまだまだと思い込んでいる。

 

彼は『迷宮神聖譚』という英雄物語を全本暗記するほど故郷の英雄譚が好きだ。

それを一冊の本にして、アーテリスで出版した。

近辺諸国でかなりの人気を得ている。

 

しかし、俺から見れば、ベルはわずか十代の頃にその英雄たち超えるほどの偉業を達成したすさまじい英傑だ。

 

3、

 

迷っては帰って数日、上に数階層登っていくと、モンスターが突然弱くなった。

 

「上層に入ったようです」

 

ベルがモンスターの魔石を槍で貫きながら宣言した。

俺は大剣で周りのモンスターを粉砕した。

 

「今日でオラリオに到着できそうだ」

 

上層の冒険者は多く、冒険者の後につければ迷うことはない。

 

「今からオラリオ到着すると何をするかを考えておこう。俺はまず拠点を確保してから、情報収集を進む」

 

「僕は……」

 

ベルは何かを躊躇っている。

俺はため息をつくと、彼に言った。

 

「神降ろしのことについて心配するな。故郷に帰って家族に顔を見せるがいい」

 

「……いいえ、依頼を出したのは僕です。それに、そのことを放置すると、多くの犠牲者が出るかもしれません」

 

「幻体を出せば一日で行き帰れる範囲だろ。これぐらい大丈夫だ」

 

ベルが出口に近づくまで悩んで、やっと答えを出した。

 

「ありがとうございます。僕は絶対に二日以内で帰ります。だからもし何かが起きたら」

 

「わかっている。何があったらリングシェルで連絡する。おまえもだ」

 

4,

 

俺たちは今、違法入国状態だ。

このまま正門から出られない。

だから、夜中から壁を飛び越して外に出る。

ベルはそのまま故郷に向かって、俺は朝を待つと正門から正規入国者として入る。

 

長い行列を並び、検問を通して、ようやくオラリオに再び戻った。

このような都市で拠点を作るには金が必要だ。

ここで使える銭はない。

ダンジョンで拾った魔石を売れば数週間金について悩むことはないが、換金はギルドで行っている。

冒険者の資格はない人はギルドで換金できない。

 

もともと、神の眷族(ファミリア)になることを考えたが、神を見た時点で取り消した。

ここの神はもともとアーテリスの古代人だと一目で分かった。

宇宙の旅か別の星に来た影響か、彼らの在り方はかなり変わったけど、元同族の眷族になることにさすがに気を引ける。

 

幸い、憲兵たちはかなり親切で、オラリオに住みたいと言っていたら多くの情報とアドバイスを教えてくれた。

 

現在、オラリオに二大派閥《ロキ・ファミリア》と《フレイヤ・ファミリア》がある。

ロキ・ファミリアは、幹部や主神に面接を受けてから入団できるが、フレイヤ・ファミリアは主神が認めるものしか入団できない。

無論、どちらの入団試験も簡単なものではない。

 

ダンジョンについて少しだけの情報を得た。

アーテリスに通じる転移門は17層にいるから、そこから一階降りると安全階層の18層、リヴィラの街がある。

 

 

 

昼になると小腹がすいたので、空き地で調理をして昼食を作ろうとした。

 

すると、なぜか人々が来て、物欲しいそうな顔で食事を見ている。

 

「俺の分が作り終わったら、おまえたちにも作ろう」

 

仕方ないのでそういうと、群衆が歓声を上げた。

 

後で知ったことは、あそこはダイダロス通りと呼ばれるスラム地区に近い空き地だった。

あのような場所で料理をするなど、貧しい人々たちが当然引き寄せられる。

もともとは自分の食事を作るつもりだったが、気が付くと炊き出しのようなことをしている。

人が多すぎるから近くにいる憲兵が手伝ってくれた。

 

食料が配り終わった時には、日がすっかり沈んだ。

 

「まずい……食料がからっぼ、金もない……今日は野宿か……」

 

「はあ?それじゃなんで炊き出しをするのか?」

 

手伝ってくれた憲兵が完全に驚いだ。

 

「してない。あいつらが物欲しいそうな顔をしていたから作っただけだ。まさかあれほどの人が集まったとは思わなかった」

 

「……人が良すぎるって言われなかった?」

 

「散々言われたぞ……」

 

憲兵がため息をして、懐からこの世界の金を出して渡してくれた。

 

「今晩はこれを使え。安宿なら三日くらい過ごせるはずだ。オレもアンタの飯を食ったから、飯代かわりだ」

 

「感謝する」

 

「あれ、本当においしかった。飯屋をやる気ならきっと大成するぞ」

 

「生憎、俺は旅が好きだから、一つの場所に留まるには性が合わない」

 

ハシャーナという憲兵と別れたから、彼がおすすめした安い宿屋でゆっくり眠った。

 

 

 

 

 

翌日、ベルからの連絡で目が覚めた。

 

「ロックさん、今どこにいます?」

 

「宿屋にいる。ベルはおじいさんに会ったのか?」

 

「……いいえ、僕が失踪してから一年後、おじいさんは僕を探しに村に離れました。でも、村の人たちには連絡先を教えてくれました。オラリオのヘルメス・ファミリアに頼めばおじいさんに手紙を届けます」

 

「わかった。正門で待とう」

 

鎧と兜を装備して、早くに正門に向かうと、凄まじい人集りに会ってなかなか進めない。

周囲の話し声を聞くと、どうやら二大派閥の一つ《ロキ・ファミリア》が遠征から帰ってきたようだ。

いっそ屋根を伝って行くかと思い始めたとき、ベルの声が聞こえた。

 

「ロックさん!こっちです!」

 

振り返ると、そこには竜騎士の全身鎧と兜を被っているベルがいる。

 

「ベル!正門で待とうと言ったはずでは?」

 

「ロックさんのエーテルを感じたから、ここに来たんです」

 

「え?なにそれ。ここから正門までかなりの距離があるんだぞ」

 

「なぜだが知りませんけど、地上に上がってから妙に調子が良いから」

 

ヤ・シュトラクラスの感知能力か……

 

「ところで、これほどの人が騒いでいるってどういうことなんですか?」

 

「ああ、オラリオの二大派閥の一つ《ロキ・ファミリア》が遠征から帰ってきたから」

 

「《ロキ・ファミリア》?」

 

俺は昨日に集めた情報をベルに伝えた。

といっても、基本的なものだけだ。

団長は小人族の《勇者(ブレイバー)》フィン・ディムナ

副団長はハイエルフの《九魔姫(ナイン・ヘル)》リヴェリア・リヨス・アールヴ

大幹部のドワーフの《重傑(エルガルム)》ガレス・ランドロック

以上の三人は最古参のメンバーで、三首領と呼ばれることもある。

 

次は幹部陣の《剣姫》《凶狼(ヴァナルガンド)》《怒蛇(ヨルムガンド)》《大切断(アマゾン)》を紹介しようとすると、異変が感知した。

俺とベルは真下を見つめている。

 

「エーテルの流れはおかしいです。地下に何があります」

 

「下水路にいく道を探すぞ」

 

「はい」

 

大通りには地図が書いてある看板が設置されている。

オラリオは世界の中心で、商人や観光客など外部からの人間も来る場所だから、ダイダロス通りのような場所以外、地図に記載されている。

都市の管理施設は東のメインストリートにいる。

 

ベルは東のメインストリートに到着したら、迷わずに入り組んだ路地に入った。

俺は黙って彼の後ろについていく。

すると、彼はある石造りの小屋の前に足を止まった。

 

「この中に下水路に入る螺旋階段があります。けど、下水路には汚水を浄化するための魔石製品が多くあるから、僕の感知能力が遠く見えない」

 

「いや、充分すぎる。俺は迷路探索が得意だから。行くぞ!」

 

5、

 

ベルが松明を持って、後ろにいる。

俺が先頭で迷宮のような下水道を探索する。

 

「よく整備されているな。ここ」

 

「ええ、メンテナンスもしっかりしている」

 

汚水の悪臭はなく、水も清浄そのものだ。

等間隔で設置された魔道具は浄化用のものだ。

しばらく歩くと、古い両開きの扉がある。

年月を感じたものだが、最近開いた痕跡がある。

 

「この先だな」

 

記憶されたオラリオの地図と今まで歩いてきた道を重ねると、目的地に近いと理解した。

 

扉を押し開けると、そこに多くの魔石が放置されてある。

その傍に真っ白なローブを纏っている少年、いや、子供が二人いる。

そして、魔石が光を放ち始めた。

 

音より早く、ベルは空を蹴って魔石に接近する。

俺は光の加護を使う準備を始めた。

 

ベルの槍が紙一重でそれを触れる前に、蛮神が召喚された。

それと同時に、光の加護が発動する。

ドーム状の光壁がベルと蛮神を覆っていく。

 

顕現した蛮神は赤熱の炎を纏い、とこかに蜥蜴に似ている火の蛮神イフリートだ。

コンマ数秒後、それはベルの攻撃を受けて爆散した。

 

「え?」

 

昔はそれなりに苦戦した相手だったが、今回はベルの一撃により核ごと消し飛ばされた。

明らかに異常だった。ベルは竜騎士の力すら使ってない。

 

「何をしている!」

 

だが、今はそんなことを考えている暇はない。

白ローブ二人が襲いかかってきた。

だが、弱い。

 

ベルは瞬時に近くにいる一人を制圧して、俺はもう一人を蹴り倒した。

 

「よし、話を聞かせてもら……っ!」

 

こちらを見た瞳がひどく曇っている。

 

「これは!」

 

俺とベルは須臾の間、二人のローブを剝ぎだして、下にいるものをできるだけ遠くへと投げた。

何かがわからないが、あれはロクではないものだ。

そして、激しい爆発が起きた。

 

俺たちは子供たちを抱きしめ、爆発から守った。

武器を失った相手は喉を狙って噛んできたが、手を噛ませてやった。

少し痛い。

 

しばらく揉めてから、相手が疲れて地面に座り込んだ。

ベルのほうも同じだ。

 

「どうして僕たちを死なせてくれないのか?」

 

「死なせてよ!」

 

二人の顔がひどく暗く、まるで死人のようだ。

 

「バカなことを言うな。子供を殺す趣味などない」

 

俺は冷たく言い放った。

ベルに近い年の子供が自爆攻撃してくることに流石に怒った。

 

「…………あなたはさっき起爆装置を押す前に言ったよね。母、と」

 

「……………」

 

ベルの質問に相手は黙り込む。

 

「あなたたちの顔立ちは似ている。兄弟なのか?」

 

「………………」

 

「そうか。父母に命令されて……」

 

「「ふざけるな!!!」」

 

二人の顔は怒りを満ちている。

俺とベルは同時に勘付いた。二人の親もすでにこの世にいない。

それと、彼らは今でも両親を愛している。

 

「故人に対する侮辱について心から謝罪いたします。僕の知り合いの一翼がそういう者だから、失礼しました」

 

わざと怒らせて、話を進むのか。

…………しかし、自然にニーズヘッグをディスする気がする。

 

それから、彼らは自分の親に関することをぽつりぽつりと言い始めた。

ベルは、ただ真摯に彼らが愛するものとの思い出を聞いている。

 

二人の親は冒険者だった。

彼らにとって誇らしい親だと、言葉の端だけでもよく理解している。

正しい行いをし、人々を守りながら家族を慈しむ人だ。

そして、7年前の事件で主神が送還され、両親は闇派閥(イヴィルス)に殺された。

 

それからは地獄だと、彼らが言いた時。

 

「これ以上は言わなくていいよ」

 

「僕たちが誰に命じられてこんなことをするのを知りたいだろ!なら、聞けよ」

 

「例えば、俺たちが人さらいにあった時のことをな!あの時……」

 

「確かに、僕はあなた達に命令した誰かに激しい怒りを感じている。それを知りたい気持ちもある。けど、これ以上言えば、あなた達が再び自分の心を傷つける。それなら、僕は知らなくていい。それより、もっと親のことを聞かせてよ」

 

「なぜ……こんなに、僕たちの父と母のことを知りたいのか?」

 

ベルは少し戸惑う表情をしている。

 

「僕はまだまだ未熟だから、立派な人を知りたいのは当然だろ。二人が亡くなったから、あんた達から聞くしかないよ。もし、あなた達が死んだら、僕はあの二人がどれだけ偉い人だと知らずに一生を終えるだろう……だから、少しだけでいい、話してくれ」

 

二人は両親との思い出を話していると、涙が流れ始めた。

言葉が途切れ途切れとなって、やがてすすり泣きをした。

ベルはそっと自分とほとんど年と変わらない子供を抱きしめた。

 

………やっぱり、ベルには敵わないな、と心から感心した

 

 

 

泣き終えた後、自分は年に近い相手に抱きしめられて慰めることを恥ずかしいと思っているのか、二人の顔が少し赤い。

 

「僕……ガネーシャ・ファミリアに出頭するよ」

 

「俺も」

 

「いいのか?出頭すれば、罪に問われるかもしれない。もしよければ、僕が住んでいた村に連れてあげてもいい。あそこの人々は優しいから、きっと……」

 

二人の将来を心配しているベルに、二人は首を振った。

 

「悪いことをしたら、まずは謝れ、そして全力で償う」

 

「大事なのは、自分が悪いことをした事実から目を離すな……って父が言っていた。俺たちはすでに、父と母との思い出を汚している。だからこれ以上、逃げてはいけない」

 

それから、俺たちは二人を護衛しながら、地上に戻った。

彼らに導かれて、ガネーシャ・ファミリアの本部に向かった。

途中で、二人は自分が知っている情報を教えてくれた。

 

情報と言っても、闇派閥の主神はタナトスということだけ。

たぶん、子供は捕まえて情報を吐く可能性が高いから、わざと何も教えてくれなかっただろ、と年長の子供が自嘲した。

 

「ここまでかな」

 

悪趣味の石像の下を通して、二人の子供はガネーシャ・ファミリアの門前で振り返った。

 

「名前を聞かせてください」

 

「俺はロックだ」

 

「僕は、ベル・クラネル。冒険者だ」

 

「今日、俺たち兄弟の命を助けてくれたことに感謝する。ロック、ベル」

 

そして、彼らはそこに入った。

俺たちは背を向けて、離れていく。

 

 

6,

 

「ベル。さっきのあれは自我が強化されてないイフリート?」

 

俺たちは宿へと続く道を歩きながら情報を整理している。

 

「ええ、僕の霊鱗と光の加護は反応しなかったから、人をテンパードにするほどの力はありません。あと、ラハブレアとファダニエルの術式より精度が低いから、たとえ放置しても数分で自然に消えると思います」

 

あの二人は古代でも創造魔法のエキスパートだったからな。

それと一つ気が付いたことがある。

 

「この星のエーテル量はアーテリスより少ないから、創造魔法には不向きだ。普通のものならともかく、ここで魔法生物を作るのは膨大な魔力と天才的な魔力操作技術が必要だ。蛮神召喚はアーテリスよりずっと厳しいものになるだろう」

 

「本当によかった……これからどうしますか?」

 

安心したベルはそう聞いてきた。

 

「目先の敵は闇派閥だ。データを盗んだものはタナトスとは限らないが、そうじゃなくても彼は犯人とつながっている。俺は一旦18階層のリヴィラの街へ行き、そこを中心に捜査する。ベルはどうする?」

 

「ボズヤ、ダルマスカと元第Ⅳ軍団との協定はすでに結んだけど、色々と不安があるから、一か月に一度ボズヤに行くつもりです。ヘルメス神に連絡を取ってから、冒険者登録をします」

 

「そうか。なら、俺はダンジョン中層以下の調査をして、ベルはオラリオ、および上層と中層の調査をするか?正直、俺がずっとオラリオにいるのは不可能だ。ベルの仕事はまだ書信で処理できるけど、俺は現場に行かなければならない」

 

ヴリトラと共に虚無界へ向かうとか、神域調査とか。どれも自分の戦力が必要なものだ。

 

「それはいいですね。実際、ニーズヘッグさんは僕の力に新たな封印を施してくれたから、彼の好意を踏みにじるようなことはできるだけしたくはないです」

 

「竜化封印か?それはもうやっただろう?」

 

ベルの封印のことは知っている。

過去の事件で、ニーズヘッグの眷属となったベルは今、ドラゴン族にかなり近い。

竜の姿は邪竜、聖竜、幻竜に封印されたが、いつか自己進化の特性で完全にドラゴン族になる。

グ・ラハ・ティアの情報によると、第八霊災が起きた未来で百年後のベルに助けられた。その時の彼はすでに白い鱗と赤き目の竜になった。

竜の姿になっても人助けを続き、いつしか『仁竜』に称えられる竜の英雄となった。

 

ちなみに、そのことを聞いていたベルは大いに驚いたが、自分を含む暁の成員は『ベルなら仕方ない』と思っている。

 

「竜化だけではありません。竜の力全体に対する封印です。ニーズヘッグさんは竜化封印だけでは足りないと言っていました。ウルティマ・トゥーレの影響か、僕の竜化進行はかなり進んでいます。無論、いつでも封印を解除して、自分で再封印するようにしているから、身の危険はありま……」

 

「ふ・ざ・け・ん・な!」

 

俺は激怒した。

 

「竜化が進んでいるなど聞いてねえぞ。人としての時間はあと何年残っているんだ。言え!」

 

「……これから竜の力を使わずに生きていれば、あと二十年」

 

短い過ぎるだろう。俺は頭を抱えている。

 

「大丈夫です。どんな姿になっても僕は僕なんです。それに、あの決断をした時点でとっくに受け入れました」

 

吹っ切れた様子でベルはそう言い放った。

 

「はあ……納得できないけど、言っても無駄だととっくに理解している。主神選びはどうする。これ難航するぞ」

 

大きな眷族はオラリオ調査に不向きで、そもそもベルは時々アーテリスへ行かなければならない。こういう勝手な行動を容認できる組織は少ない。

 

「それなら、ロックさんは僕の主神になりませんか?恩恵(ファルナ)は超える力の応用でしょう」

 

「できない。そもそも俺の超える力は古代人よりずっと下手だ。エメトセルクとヴェーネスなら見ただけで再現できるかもしれないが。俺には無理だ」

 

街の憲兵と冒険者を見た時点で、恩恵(ファルナ)が超える力の応用だと理解した。

たぶん起爆剤として作用している。

俺やアーテリスの住民はもともと超える力を持っているから恩恵(ファルナ)を持つことはできない。

ベルは普通に執念で器の昇華を何度も果たせたから、竜の力と恩恵(ファルナ)はなくても戦えるけど、この世界で冒険者になるために恩恵(ファルナ)が必要だ。

 

「これから会うヘルメス神に頼みますか………」

 

「そうするしかない」

 

そう話している間、俺たちは細道を歩き、大通りに近づいている。

ベルはふっと足を止まった。

彼はある廃教会に見つめている。

何の変哲もないところだが、静寂な雰囲気が漂っている。

 

「どうした?」

 

「……僕のお義母さんは行方不明になる前に言っていました。母は火葬されたけど、彼女が好きな場所で簡易な葬式を行いました。その場所はオラリオにある廃教会です」

 

すぐに、ベルが言いたいことを理解した。

 

「外で待つよ」

 

「良ければ、一緒に来てませんか?そこで、これまでの旅を報告するつもりです」

 

「無論だ」

 

よく見ると、教会は長く修繕されていないから崩れかけだが、まだ形が残っている。

中央にいる祭壇の前で、ベルは跪いた。

俺も黙禱を捧げた。

 

(貴方の息子は数多くの命を救い、あまたの憎しみと悲しみを癒すもの。彼の歩みはいつも誰かに希望をもたらし、心の灯火を照らす。俺が知る限り、最高の英傑だ。どうか彼を見守ってほしい)

 

数分後、ベルは祈りを終え、立ち上がった。

そして、正門に目を向かっている。

 

「ある神がここに近づいているようです」

 

「もしかすると、ベルのお母さんの知り合いかもしれないぞ」

 

一分後、教会の扉が押し開かれた。

少女の姿をする神が揚げ物を食べながら教会に入った。

 

「え、お客さん?」

 

「いや、僕は母の墓参りをしに来ました。14年前、この教会で葬式を行ったそうです。何か知っていますか?」

 

「力になれなくて、ごめんね、ボクは数ヶ月前から神友からこの場所を借りただけで、詳しいことは知らない」

 

彼女の視線が向かう先を見ると、祭壇の先にある小部屋の扉を見える。

あそこで住んでいるだろう。

 

「そうですか。お邪魔しました。それでは」

 

俺とベルはこの場所から離れようとする。

すると眼前の少女は慌てて、ベルを引き留めようとする。

 

「えーと、ぼくの眷族にならないのか?」

 

「え?」

 

話を聞くと、ヘスティアという神は下界に来てから半年、一人の眷族もいない。

特技はなくて、眷族としての展望もないから残当としか言えない。

自堕落の生活をして、怒った神友に追い出された。

この教会は神友が貸してあげたもので、仕事も神友の紹介で得たものだ。

 

「話を聞けば聞くほど………入る理由などないと思うぞ。ベルは恩恵(ファルナ)こそ得ていないけど、スペックだけなら普通に引く手あまた人物だぜ」

 

「う……」

 

「まあ、落ち着いてください。神は権能があると聞いていましたから、宜しければ権能について話してもらえませんか?」

 

「一応、火の神という類で、神友のヘファイストスも火の神だが、彼女は鍛冶の火を司るから、鍛冶の権能がある。ぼくは……なんで説明するか……竈の火で不滅の聖火?」

 

俺は自分の顔が引き攣っているのを感じた。

ベルの口が大きく開いている。

竈の火だけならいい。しかし、竈の火と不滅の聖火という組み合わせが象徴するものは………

 

「……やっぱりだめなのか」

 

「いやいやいや、是非入らせてください!あの権能を司る神なら、僕は全力で尽くしますよ」

 

「え!」

 

「待て、ヘスティア神。貴女が司る聖火が意味することは……人の営みなのか?」

 

これほどの大権能を持つ神が眷族を持っていないとはさすがに信じられないが。

 

「強いて言えば、そうだよ」

 

「ベルのことをよろしく頼む」

 

俺は頭を下げて頼み込む。

 

「先に言うけど、ぼくの権能は下界でほとんど発揮できないよ」

 

「「構わない」です」

 

ベルは深呼吸をして、言い始めた。

 

「僕は……長い旅をしていました。その旅の途中で、僕は何気ない日常を守る人の大切さを感じた。ヘスティア神、貴女の権能は使うものではありません。誰もが持つ力なんです。それ故、軽く見られることもあるけど、それは尊いものであると知っています。どうか、僕をあなたの眷族にしてください」

 

ヘスティア神は嬉しそうに微笑んだ。

 

「……ボクの権能についてこれほど高く買っている子供があるとはな。ふふふ」

 

「ベルの師匠として、心からこの出会いに祝福する。祭壇の前で恩恵(ファルナ)を刻もう。ベルの母にそれを見せるんだ」

 

そのあと、ヘスティアがベルのステイタスを見てひっくり返った。

 

 

 

 

 

 

ベル・クラネル

『Lv1』 

 力:0

 耐久:0

 器用:0

 敏捷:0

 魔力∶0

 

魔法

ドラゴンソング・エルピス

即興詠唱。詠唱文による効果変化

 

スキル

 

竜星の終焉を切り開く者(ドラゴンスター・エルピス)

対竜種、対モンスター超域強化

終末の獣に対する特攻

 

果てを歩く者(エンドウォーカー)

デュナミス干渉可能

 

旅人の加護

魂に対する全異常状態の無効化

 

竜血励起(ドラゴンブラッド)

竜詩使用可能

竜化可能

肉体能力強化

自己進化

封印により任意発動

 

英雄憧憬(ゾディアーク・アゼム)

早熟する

英雄に対する憧れが続く限り効果持続

憧れの丈により効果向上

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルの冒険記録(アーテリス編)

 

 

8歳の時、アーテリスに転移し、その影響で瀕死になった。たまたま通りかかったミンフィリアに拾われて、暁の血盟に入った。

その時は戦いの術はないから金庫番であるタタルの手伝いをしていた。

アーテリスの共通語もこの時身につけた。

基本的なサバイバル術はサンクレッドに仕込まれた。

 

砂の家襲撃事件で、最も早く襲撃の前兆に気付いた。ミンフィリアと暁の戦闘員は時間を稼いて、ベル、タタルとノラクシアなどの非戦闘員を逃がせた。

その後、自分の無力さを嘆き、光の戦士の直弟子となった。

『戦闘の才能はない。だが何かきっかけがあれば化ける』というのは師匠である光の戦士の評価だ。

 

ナナモ女王暗殺事件の時は、石の家にいる暁の構成員は追跡を撒くため散開し、イシュガルトを目指すという計画を立てたが、無事に雪の家に辿り着いたタタルたちと違って、ベルはクルザス高原で遭難。ニーズヘッグの眷属に助けられた。

 

そのドラゴンはニーズヘッグの眷属でありながら、父祖たる天竜が起こした戦いの虚しさを理解している。

だが、彼もニーズヘッグの命令に抗い続いているため、精神は狂い始める。

正気でいられる最後の間、彼はベルを助け、竜詩戦争の真実を教えた。

その後、どこかに飛び去って、二度とベルの前に現れなかった。

その無名の竜はどういう思いで、ベルに真実を伝えたか?それは永遠の謎となるだろう。

 

ベルは一日悩んで、ニーズヘッグを会いに行くと決めた。

自殺行為だと誰も思っているだろう。愚者だと誰も嗤うだろう

だが、その愚者はやり遂げた。

 

一人と一翼の間に何の約束をしたのは誰も知らなかった。

わかったことは、光の戦士、氷の巫女、蒼の竜騎士と賢者の孫が霊峰ソーム・アルの頂上に到着すると、右手の指を三本失って、左手が喰い千切れたベルは笑って彼らを待っている。傍に、ニーズヘッグと竜の大群が飛んでいる。

『二つの竜眼をニーズヘッグさんを返してください。これで竜詩戦争が終わります……』

彼はそう言うと気絶した。

それから、ニーズヘッグは休戦の旨を伝えると、その場から飛び去った。

 

ニーズヘッグと約束をした時に、ベルは竜血を飲んで、ニーズヘッグの眷属になった。

そのため、自己進化の特性で、治療を続くと失った手と指を取り戻した。

 

一ヶ月後、蛮神ナイツオブラウンドを討滅し、二つの竜眼を手にした光の戦士は蒼の竜騎士、氷の巫女とベル・クラネルと一緒にニーズヘッグに訪れ、竜詩戦争の終結を幻竜ミドガルズオルムの前で宣言した。

《白き竜騎士》の異名で、ベル・クラネルの名前はその時からエオルゼア全土に轟いた。

 

その後、千年も続く戦争を終戦へと導いた実績により、諸国の要請を受けて、獣人種族との交渉人として活躍した。

第一世界にまつわる事件により昏睡状態に陥った時、見舞いに来た者は種族問わずに数千を超えた。

第一世界において、光の戦士が来るまで、レイクランドで罪喰いを狩りながら、クリスタリウムとエルフ族との争いを調停し続ける。レイクランドが夜を取り戻した後、立会人としてクリスタリウムとエルフ族の平和条約を見届けた。

 

原初世界に帰還した後、光の戦士による推薦で第Ⅳ軍団との戦いに招聘された。

彼の尽力の結果、第Ⅳ軍団は平和的に解体し、新生ダルマスカ王国と新生ボズヤ共和国の一部となる。

暁の一員として、星海にハイデリンと対面し、仲間と共に彼女を乗り越え、旅人の加護を授けられた。

ウルティマ・トゥレーにて、蒼の竜騎士と共に竜星の滅びを直面し、終焉を謳う者へと続く道を切り拓いた。

そして今、ベル・クラネルは母星に戻り、新たな冒険の旅に出ようとしている………

 




竜騎士ベルの実力はレベル7以上レベル8未満だが、気合と執念によって強さが変わる。
ちなみに、アーテリスではほとんど自分より強い相手と戦ってきたから、ジャイアントキリングのほうが得意で、技量も高い。
竜騎士であるから、飛行タイプのモンスターは彼にとってカモでしかない。
スピードは暁の血盟最速だが、総合的な強さはだいたい四番目だ。
 
三番目はグ・ラハ・ティア。単純に隙は無い。
二番目はエスティニアン。攻撃力は狂っている。
不動の一番目は光の戦士。チート。
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