その天使は堕天しない   作:夕映えの戦士

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1話

…気に入らねぇ

 

 ベリアルは友人の背中を見て小さく呟いた。

 

「ん?どうかしたか?」

 

 俺の呟きに気付いたのかケンがこちらを向いた。

 

「なんでもねぇよ。で?話ってなんだよ?」

 

「ああ、そうだったな。先日惑星クシア付近に調査に向かった宇宙警備隊員が数名消息を絶っている。そのため私とベリアルで調査に向かおうと思ってな」

 

 エンペラ星人の起こしたウルティメイトウォーズ。何とかエンペラ星人とその怪獣軍団の撃退に成功した俺たちウルトラ族は宇宙警備隊を設立し、宇宙の治安維持活動を行っている。全く、俺たちの種族はつくづくお人好しばかりだと実感させられる。

 

「別に構わねぇがなぜ俺たちなんだ?宇宙警備隊の隊長サマが直々に手を下すほどの案件なのか?」

 

 認めたくないがケンは強い。光の国に代々伝わる聖剣、『ウルティメイトブレード』を使用したとはいえ、幾つもの惑星を滅ぼし、俺たちウルトラ族をいともたやすく蹴散らしていったあのエンペラ星人を退かせるほどの実力者だ。その実力を認められ、ウルトラ長老のジジィ共に宇宙警備隊の隊長として任命され、多くのウルトラ族の連中から慕われている。そんなケンが直々に動くなど相当な案件でなければありえない。

 

「消息を絶った隊員はウルトラサインすら出していなかったそうだ。それだけ緊迫した状況であったといえるだろう…。だから宇宙警備隊の中でも実力のある我々で向かおうというわけだ」

 

 数百万光年離れた距離でも瞬時に通信を送ることが出来るウルトラサイン。ウルトラサインは送信するためのエネルギーの消費や動作も少なく、例え敵に敗れ絶命する間際だったとしても救難信号や他の隊員への警戒のための信号として送信することは可能なはずである。それがなかったということは、それを妨害するだけの知能や能力が相手にあるか、相手の力があまりに強大でウルトラサインをする隙すらなかったということだろう。

 

「…なるほどな。相手にとって不足はねぇって訳だ。とっとと俺様の力で捻じ伏せてやる…!終わったらテメェの奢りで酒盛りだ!とっとと行くぞ!」

 

「お前ならそう言ってくれると思ったよ。行こう!」

 

 俺はケンへの嫉妬心を事件の元凶へとぶつけ、ストレスを発散するために現場へと向かった

 

 

 

 

 

 

「あれが惑星クシアか」

 

 俺たちは赤い球体状の宇宙船から降り惑星クシアを確認する。青く美しい星がそこにはあった。

 

「ああ。なんでも高度な科学技術を持っていて宇宙の平和のために巨大な人工頭脳を開発しているらしい」

 

「へぇ。それは立派なこって。そろそろ反応が途絶えた座標につくんじゃねぇか?」

 

 惑星クシアを横目に見つつ、俺たちは隊員の反応が消えた場所へと到着した

 

「特に何もないようだな」

 

 周囲には小惑星や岩石が漂っているだけで特に異常はない

 

「まさかそいつがさぼっているだけじゃねぇだろうな?」

 

「そんなことはないだろう」

 

 俺の発言にケンが否定する。ウルトラ族は基本的にクソ真面目な奴らばかりだ。そんな奴らが職務放棄し何処かへ向かうとは考えにくい。

 

「だったらどこに…。」

 

カーーーーン

 

 そう呟くと鐘の鳴るような音が周囲に響き渡った。

 

「なんだ!?」

 

 目の前の空間が歪み、青と赤のぶよぶよとした物体が突然姿を現した。そいつは自身の体の孔から繊毛のようなものを出すと再び周囲の空間が歪み、生み出された無数の穴から大量の怪獣達がが出現した。

 

「どうやらコイツが元凶みてぇだなぁ。ケン!!」

 

「ああ!」

 

 俺たちは怪獣軍団との戦闘を開始した。怪獣たちはそれぞれは大したことないがぶよぶよしたやつが怪獣の精神を操っているのか攻撃に合わせてバリアを張ったり、同時に別方向から光線を放ったりと連携して俺たちを攻撃してくる。おまけに光線を吸収してくるやつや、俺たちの苦手な冷凍光線を放つやつまでいやがる

 

「チッ!面倒くせぇ!おいケン!俺が奴らを引き付けて一か所にまとめる。お前はそいつらをまとめてふきとばせ」

 

「わかった」

 

うおぉぉぉぉ!

 俺は腕を十字に組み、光線を放つ。赤い稲妻を帯びたその光線は前列の怪獣を破壊させその他の怪獣達を後退させた。

 

ア”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!

 

 後退した怪獣たちを音波攻撃で一か所にまとめる

 

「今だ!」

 

 ケンのウルトラホーンが伸び顔に髭が生え、強化形態へと姿を変える。l

 

「ありがとうベリアル!」

 

 ケンはベルトからウルトラ長老から託された新たな武器を取り出す

 

ウルトラアレイ!

 

 ケンがそう叫ぶとウルトラアレイから閃光が放たれ、怪獣たちを一掃した。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「大丈夫か?」

 

 ケンのウルトラホーンがもとに戻り、髭がなくなる

 

「ああ、大丈夫だ…。この形態はやはり体力を消耗するようだ…」

 

 俺はケンを支える

 

「だが、こいつはもう丸腰だ。お前が手負いであるとはいえ十分に倒せる」

 

「ああ。私とベリアルならやれる!」

 

 俺たちはぶよぶよに向かいもう一度構える。するとぶよぶよとした怪獣はもう一度繊毛を出そうとした

 

「させるかっ…!!」

 

 俺は奴が行動に移す前に殴り掛かった

 

「待て!ベリアル!」

 

 ケンの静止の声が響く前にぶよぶよの繊毛が震え、鐘のような音が響いた。するとぶよぶよとした怪獣は消え、俺の目の前には別宇宙へと続く扉『スターゲート』が発生し、ブラックホールのように俺を飲み込もうとする

 

「しまったっ!?」

 

「ベリアル!!」

 

 ケンが手を伸ばす、俺はケンの手をつかもうとするがスターゲートの引力に負け、吸い込まれてしまった

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

 周囲にいくつもの銀河を包む水泡が見え、俺は周囲の光の粒子に包まれながらスターゲートの奥へと吸い込まれてゆく。スターゲートの向こうには幾つもの宇宙があり、目印もなしに自身の宇宙へと戻るのは不可能に近いと昔読んだ書籍に書かれていた。俺はもう帰ることはできないのであろう。

 

「ケン…マリー…」

 

 俺は憎らしい友人と初恋の人を思い浮かべ、引力に身をゆだねる。数分、何時間、何日経ったのだろうか?俺は地面へとたたきつけられた。

 

「痛ってぇなぁ!」

 

 背中の痛みを感じつつ周囲を見渡す。そこには建造物が立ち並び、この星の知的生命体と思しき悲鳴が聞こえた

 

「どうやらどこかの惑星に飛ばされためてぇだなぁ…。できれば俺のいた宇宙だとありがてぇんだが…」

 

 スターゲートに飲み込まれた時点で絶望的だとわかってはいるが俺は希望的観測を抱く。その直後に『カーン』という鐘のような音が響いた。

 

キァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!

 

 再び目の前の空間が歪み怪獣が現れた。赤色のボディに羽のような形状の腕、そして肩には青い発光体が怪しく光っている。先ほどいた怪獣軍団にはいなかった種類の怪獣だ。

 

「見たことねぇ怪獣だな…。俺がぶっ潰してやる!」

 

 俺は怪獣へ飛び蹴りを放つ。しかし、いとも容易く躱されてしまった

 

キァ”ァ”ァ”ァ!

 

 怪獣の肩から音波が放たれ、その衝撃で俺は近くの建物へ吹き飛ばされる。近くからこの星の人間の悲鳴が響き渡る

 

「チッ!面倒くせぇ怪獣だ!」

 

 音波と素早い動きで攪乱してくる怪獣…。どうすればこの怪獣を倒すことが出来るか考えつつ俺は体勢を立て直し構える。

 

「奴はスピードと攻撃力は高いが防御力は高くない!相手の動きを読んで攻撃を叩き込め!」

 

 背後から声がする。振り返るとこの惑星のガキがいた。怪獣や俺がここに現れた影響か頭から血を流しながらそう叫んだ。

 

「ガキの戯言か…。だがこれ以外にやることもねぇしな!」

 

 俺は高速で飛行し、こちらへと突進してくる怪獣の真下へ俺はスライディングする。

 

デスシウム光線!

 

 俺は十字に腕を組み光線を放つ。すると、怪獣は自身の勢いと俺の光線によって真っ二つに引き裂かれ、建物へと突き刺さった。

 

「よしっ!」

 

 どうやら先ほどのガキの助言の通りあの怪獣は耐久力が乏しいようだ。

 

「ありがとよクソガキ!」

 

 ベリアルが珍しく感謝をするために振り返るとガキのいた場所には建物に突き刺さったはずの怪獣の亡骸があった。どうやら怪獣の重さを支えることが出来ず、崩壊してしまったようだ。目を凝らすと血まみれのガキが倒れ伏している

 

「こんなクソガキに借りを作るのもな…。」

 

 ベリアルは自身の体を粒子化させ。少年の体へと入っていった

 

 

 

 

 

 

「ここは…」

 

 少年は重い瞼を開いた。

 

「ようやく目を覚ましたか」

 

 少年の目の前には銀色の巨人が佇んでいた。

 

「ウルトラマン…ベリアル…。」

 

「ほう?俺の名を知っているとな」

 

 ベリアルは驚いた表情でそう言った。まあ別宇宙の存在が自分を知っているのだ無理もないか。

 

「俺の世界ではお前たちウルトラマンは創作物として描かれている…。だから俺はお前のことを知っているんだ」

 

 少年はそう呟いた。

 

「なるほどなぁ…。だからさっきの怪獣の弱点をすぐに言えたわけだ。」

 

「あぁ…。今こんな状態ってことは俺は死んだってことか…?」

 

「話が早くて助かるな。お前は怪獣の下敷きになって瀕死の状態だった。だがこの俺と同化することで一命をとりとめている」

 

 

「お前もこの星で活動するための体が欲しいから一心同体とでもいいたいんだろう…?」

 

「よく俺の言いたいことが分かったなぁ…」

 

 ベリアルは若干引き気味にそう言う

 

「まあお前のことは知っているからな」

 

「まあいい。これでこれから俺はお前でお前は俺だ。俺の力が必要ならこいつを使うといい」

 

 少年の胸元にライトのようなものが落とされる

 

「ベーターカプセルか…」

 

「最近開発されたばかりのアイテムなんだがな…。ここまで知られていると気持ちが悪いな」

 

「どうせ俺の記憶はお前と共有されることになるんだ。別に構わないだろ」

 

「まあいいさ。これから世話になるぜ」

 

 ベーターカプセルから強い光が放たれる

 

 

 

 

 

 

 

 ガキの身体と一体化するとコイツの記憶が俺の脳へと流れ込んでくる…。

 

『力だ…。力が欲しい…』

 

俺はプラズマスパークへと手を触れる。しかし、その力は俺を拒絶した。

 

う”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”

 

 光の国を追放された俺はレイブラッド星人に力を与えられ光の国へと復讐に向かう。しかし…

 

『闇の中で罪の報いを受けるがいい』

 

 伝説の超人ウルトラマンキングによってキングに封印されてしまう。凶悪宇宙人ザラブ星人によって封印を解かれ、復讐を挑むが…

 

『受けてみろ!これが!俺たちの!光だ!』

 

 ブルー族とレッド族の混血のクソガキによって幾度となく阻止される。そして…

 

レッキングバーストォォォォ!

 

 俺の細胞によって生み出された息子に殺される俺の姿…。

 

「これは…、本当に俺なのか…?」

 

 

 

 これはどこぞの自己紹介野郎(タルタルソース)よりも先に未来を知ってしまったベリアルの物語




登場人物紹介

ウルトラマンベリアル:今作の主人公。若干原作よりも性格が軟化している。時系列は宇宙警備隊が設立されてしばらくたった後。

ウルトラマンケン:後に宇宙警備隊の大隊長となり、ウルトラの父と尊敬されるあの人。ベリアルの人格をゆがめた諸悪の根源。そりゃあ自分よりも能力が高くて、思い人を持ってかれればベリアルも拗れますわ。ウルトラアレイを手に入れた時系列が不明なため隊長就任時にウルトラ長老から渡されたことにしとく。ウルトラベル作った変体だしこのころにはウルトラアレイくらいつくっててもええやろ(鼻ほじ)。

ウルトラウーマンマリー:のちのウルトラの母。ベリアルの思い人である。マリーがケンに思いを寄せていることをベリアルは薄々感ずいている。

ウルトラ長老:ウルトラベルを作ったやべぇやつ。ちなみにプラズマスパークも作ってる。こいつらが全国民に『プラズマスパークの光を浴びせてみよう』とかいうとち狂ったことを言わなければ現在のウルトラマンは誕生していなった。

ぶよぶよのやつ:四次元怪獣ブルトン。投稿主はそこまでウルトラマンの二次創作作品を読んではいないが、設定で困ったらこいつを出すのが鉄板だと思っている。とりあえずこまったらこいつを出しとけば何とかなる節がある

光線を吸収してくるやつ:ベムスター。宇宙大怪獣だし取り合えずだしとこうかなと思って。

冷凍光線を放つやつ:一応スノーゴンのつもりではある。理由はエンペラ星人の配下として描かれている書籍があったため違和感がないと思ったから。

赤い面倒くせぇ怪獣:アリゲラ。メビウス怪獣の中でもトップクラスでデザインが好き。採用理由は比較的出しやすい怪獣の中で弱点が明言されていたのがこいつとゲスラぐらいしか思いつかなかったから。

クソガキくん:本作のもう一人の主人公。TDGの映画や超ウルトラ8兄弟の世界同様ウルトラマンと怪獣が創作物である世界線の地球人。たぶん設定は追々書いてく。



深夜テンションで書いたものなんでたぶん続きません。
連載にはみんなの応援が必要だ(迫真)
まじめな話私生活の忙しさとウルトラシリーズの今後の不明瞭さによって別シリーズが書けず、息抜きに書いた感じです。
なんとなくの展開は考えてはいますが割と行き当たりばったりになるかと思いますので期待はしないでください。
よっぽど評判がいいようなら書き進めます。
質問、意見などは常時受け付けます。
ではまたいつか。
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