何でそこまで……! あの剣士、何でまだ立ち上がるんだ!?
世界一の剣豪になるなんて言ってやがったが、あれだけ格の違いを見せつけられて何で闘う意志が折れねェ! 野望を捨てちまえばいいだけだろ!
「何故そこまで。そう思ってるな?」
「え?」
「あの男の闘いを良く見ておけ、ナルト。勝つにしろ負けるにしろ、アイツの信念は死ぬ間際まで折れねェだろう」
信念……。死ぬまで貫いて、その先に何が残る? あの剣士の闘いを見ればそれが分かるってのか?
あの剣士、ロロノア・ゾロは敗けた。ジジイが言う〝覇気〟っていう
ずっと隣で見守っていた
クソ! アイツ、駆けつけたのはいいが怪我人の扱い方を知らねェのか!?
「ばか! 揺らすな雑用! 店に薬と包帯がある! 取ってきてやるから止血しとけ!」
ゾロは最後、わざわざ正面に向き直して鷹の目に斬られた。背中の傷は剣士の恥だと!? これから死ぬって思ってたクセに恥なんか気にしてんじゃねェよ! 無性にイラつくぜ、クソ!
……今はとにかく薬だ。簡単には死なせねェぞ、あのヤロウ。
治療道具なら2階まで取りに行くより、裏に停めてある船のを持っていく方が早い……な!? 船が無ェ! 誰か乗っていきやがったのか!?
クソ! 余計な時間を取られちまった、急がねェと!
おれが店から戻ると、ゾロは二度と敗けないなんて宣言してやがった。ボロボロと泣きながら、砕けたはずの信念をまた燃え上がらせるみてェに。
「おら、動くんじゃねェぞクソ剣士」
「あ? なんだテメェ」
こいつ、どんだけ丈夫にできてんだ。こんな深く斬られて気を失わないどころか減らず口まで叩きやがる。まあいい、生きる気力ってのがあるんなら傷薬ぶっかけて包帯でグルグル巻きにしときゃ死にはしないだろ。
「おいコック! 何だコレ動けねェじゃねェか!!」
「動かねェでいいんだよクソ剣士。応急処置だ。あとは副船長のオッサンにでも診てもらえよ」
鷹の目がクリーク海賊団を片づければ連中も戻って来るだろ。クリークにメシを食わしてやった事に後悔はねェが、パティ達が言うように店に出た被害も大きいからな。私掠撰が倒すって言うんなら邪魔する理由は一切ねェ。
「おい! お前の相手はおれだ!」
「なんだテメェは?」
「おれはルフィー!〝ピースメイン〟だ!」
「随分古くせェ肩書きを名乗るじゃねェか。テメェに合わせりゃおれは〝モーガニア〟か? だから戦うって?」
「そうだ!!」
「ハッハッハッ! それで鷹の目が帰るってんなら大歓迎だ!!」
おいおい。何でそんな妙な話になってんだよ!? 鷹の目のヤツ戦わない気か!? あの雑用に任せて帰るなんてどういうつもりだ!
「おいアンタ! 私掠撰ってのは
「心配せずとも、クリーク如き麦わらの小僧の敵では無い」
「ナルト、この男がこう言ってる以上もう戦う気はねェだろうよ」
「ジジイ! 聞いてた話と違ェだろ!
「そうだ、だがここはおれの
「なっ……!」
あの野郎、ホントに帰りやがった。ジジイも時々あんな感じで突拍子もない事をするが、海賊って奴等は自由すぎやしないか?
「黙って見てろコック。ウチの
チッ、まだ意識あるのかコイツ。だが、確かに鷹の目に解決してもらおうってのは虫が良すぎたな。店に来る客達の噂から勝手にヒーローみたいなもんだと思い込んでたが、結局アイツも海賊ってことか。
しかし、あの雑用がクリークを倒す……ね。
最初に一発ぶん殴って以降、周りの雑魚共に阻まれてクリークに近づけてねェじゃねェか。数も武力なんてクリークは言ってるが、この状況じゃ確かにその通りだ。
アイツの仲間は、この剣士にエダと副船長のオッサン、それとナミさんか。こいつ以外は船で避難しちまって此処にはいない。
避難……確かにそう言ってたな。鷹の目から船を守るための避難……なんだ? 何か引っかかる。
「どうしたナルト。戦いてェのを我慢してるのか?」
「……おれが味方してやる理由はねェだろ」
「
ウチの雑用ねェ。仕事振りはヒデェがどこか憎めないアイツに加勢してやりたい気持ちはある。
だが、こっちから手を出しちまえばクリーク海賊団との全面戦争だ。アイツは何処から持ってきたのか大砲だって使ってくるんだ。店を傷つけさせる訳にはいかねェ。
なんだ? また引っかかる……こっちから手を出さなければ……? いや、そうじゃねェんだ。
最初アイツ等が此処から大人しく去ろうとしてたのは、鷹の目が来たからだ!
その脅威が去って、さらに奴らの船は壊されちまってる。島から出るにしろ、もう
おれの船が無くなってたのも、おそらくそういう事だろう。船を巡ってどの道、クリーク海賊団とは争う事になる。
だったらおれは……!
「〝パーティーテーブル・キックコース〟!!」
「「「ギャー!」」」
「加勢するぜ! 雑用」
「ナルトー! ありがとう。コイツら数が多くてよ!」
「そりゃそうだ、この海で一番デカい海賊団だって話だからな」
「そうなのか? 数が多いだけで大して強くねェぞ?」
「!!!!」
あーあ、手下共が図星突かれて固まっちまったよ。
「テメェ!おれたちゃクリーク海賊団だぞ!」「この海一番の海賊団だ!」「能力者だからって調子に……」
「ゴムゴムの〜……大鎌!!」
「うげっ」「ぶふっ」「ぐわー!」
早まったかねェ、別におれが加勢しなくても問題なかったんじゃないか?
「テメェ等! 小僧共相手になんてザマだ!」
「
「おれの部下に弱者はいらねェ」
「お前! 仲間になにしてんだ!」
自分の部下を撃ち殺しやがった……!
クリーク、こいつは部下を仲間だなんて思ってねェな。こんな奴がどうしてコレだけの人数を従えられる?〝騙し討ち〟なんて異名があるくらいだ、部下の中にも不審を抱く連中は多いんじゃねェのか?
「そういうテメェの仲間はそのコックだけか? 馬鹿な奴だ、歯向かわなけりゃ生かしてやったものを」
「そいつは嘘だなドン・クリーク、お前等この島から出る船が無いだろ? 店の船を奪うつもりだったんじゃないのか?」
「それがどうした? 死ぬよりはマシだろ。船さえ寄越せばおれ達は出ていくつもりだったがな」
「買い出し用の船だぜ? 航海を考えりゃ乗れても10人、それが3艘で最大30人ってとこか。仮にあの羊船まで合わせてもテメェ等の半分近くは島に置き去りだ」
「こいつら数だけは多いからなー。あとメリー号は絶対にやらねェぞ!」
「ウチの船の大きさだって把握してただろう? さっき1艘無くなってるのを確認した。手下にでも盗ませたな」
おそらく羊船を奪いに向かわせたんだろうが、ナミさんは無事か? アイツ等が守ってるとは思うが……心配だ。
「何が言いてェんだテメェ!」
「どの道、100人近くいるお前等が全員島から出るのは不可能って話さ。大方レストランを占拠して、知らずにやってくる客から船を奪うつもりだったんだろ?」
「悪ぃやつだな〜。おれコイツ嫌いだ」
「だからなんだ! 企みを看破して勝ったつもりか!? コック共が全員でかかって来ようとテメェらに勝ち目なんてねェ!!」
「語るに落ちたな、もしその通りなら何故さっきまで取り繕っていた? 怖ェんだろ?〝赫足のゼフ〟が」
「……!!」
鎌を掛けたてみたが大当たりか。こいつは、ジジイを恐れてる。おれも詳しくは知らねェが、ウチで働こうって連中の中には〝赫足〟の名に憧れてくる奴だって多いからな。
あの、グルグル眉毛のコック! 適当に包帯巻きやがって! 動けねェじゃねェか!
ルフィーの戦いに加勢してくれたのは有り難ェが、その戦いが見づらくてしょうがねェ。
「なんだ、まだ起きてやがるのか小僧」
「オーナーのオッサンか! 頼む! 身体を起こしてくれねェか?」
「戦いが気になるのは分かるがよ、その怪我だ。いい加減、本当に死ぬぞ?」
「問題ねェ。アンタんとこのコックに
オッサンは呆れながらも身体の向きをずらしてくれた。ようやくまともに観戦できるぜ。
鷹の目と闘った時は色々な気配を読めたが、今あの感覚は無くなった。いつでもアレを使えるように、鍛錬しなくちゃならねェな。
あのコック……ナルトだったか、あいつ戦闘中だってのに何をペラペラ喋ってやがる? クリークのヤロウが自分の手下を撃ち殺したからか全員動かずに聞き入っているが、今さら話し合いで終わりゃしないだろ。
「怖ェんだろ?〝赫足のゼフ〟が」
「……!! ぐぐ、て、てめェーっ!! 怖ェだと!? おれは最強の武力を持った
「最強? 鷹の目の方が遥かに強かっただろ?」
図星ってやつか〝騙し討ち〟なんて異名の奴を手玉に取るたぁ、やるじゃねェか。
あいつが企みを見破って他のコック達も戦いに参加しだした。コック連中も最初から武器を持ってきてたしな、どこかで戦いになるだろうと思ってはいたんだろ。
「なあ、赫足ってのはアンタの事なのか?」
「昔の話だ。海賊はとっくに引退している」
風格だけなら現役だけどな。クリークはゼフのオッサンにビビってるみてェだから、大人しく島を出ていくフリをして隙を見て騙し討ちでもするつもりだったんだろう。つくづく卑怯な奴だな。
コック達の参戦でルフィーはクリークとサシで戦いだしたが、全体的な戦況は若干不利か。腐っても一番デカい海賊団ってことか、数も向こうの方が多いしそれなりに強ェ。
コック達も応戦してるが、まともに戦えてるのはグル眉とハチマキの奴にグラサンの奴3人ぐらいのモンだ。
グル眉だって全身に盾を装備した珍妙な奴に苦戦してやがるぜ。
おれが戦えれば……!
「大人しく見てろ。ウチの連中なら問題ねェ〝海のコック〟は荒事に慣れてんだ」
「アンタは戦わないのか?」
「おれは、お前さんのお守りだ。動けねェんだから、人質にでもされちまったら不味いだろう?」
「なっ!?」
「〝ファイヤーパール・大特典〟!!」
ちっ、なんだコイツ。一発食らわせたらキレて
だが、幸い店からは離れてる。それに、コイツは全身に盾を装備しちゃいるが隙間を叩けばダメージは通るだろ。
「この炎の盾でおれは超鉄壁だ! 近づくこともできまい!」
「炎が恐くて、
さて、鉄壁の隙を狙うとす……いや、
予定変更だ。
「畜生! 燃えろォ!!」
「そう簡単に燃えてたまるかってんだ! テメェだって
「く、ヒラヒラと避けやがって!」
「チビナス! なんだこのコショウは!
「また怒られたのかチビコック! お前ェにゃまだミニョネットは早ェんだよ」「おれだって腕は十分磨いて……!」
「単純に
「な、なんだグルグル回りやがって!?」
ギュルルルルルルル!
「口を閉じろ、風味が逃げる」
「あん?」
「〝
ドゴン!!!
「パールさんが!?」「あのコック! 鉄壁の盾を砕きやがった!」「脚しか使わねェで倒しちまった!?」
「料理人は手が命、戦闘で傷付ける訳にはいかねェんだよ」
やっとバラティエが見えてきた。なんか全員、戦ってるなぁ。ミホーク戦は終わっちゃったか。
「見ろよエダ! ゾロがミイラ男になってるぞ!」
え? あれゾロなのか? なんかゼフさんと一緒に観戦してるけど、ミホークに手酷く痛めつけられたんだろうか?
「安心しろ。〝声〟を聞く限り命に別状はないだろ」
「でた、〝見聞色〟」
「だから、何だよソレ? ワシが気配を読めるのは、おそらく狙撃手の勘ってヤツだ!」
「今は、そんな事どうでもいいでしょ! 桟橋に停めるから、あとは好きになさい」
そうだ、ゾロは大丈夫でも他の状況を見ておかないと!
ルフィはクリークと戦ってるな。クリークは原作通り色々な武器を使ってるみたいだけど、ルフィはガードしたり避けたりと決定打を与えさせないように上手く凌いでいる。
サンジはパールと戦ってるみたいだ。こっちも原作通り炎を出してるけど、陸地だから被害は少なそうだ。
改めてパールを見て確信したけど、アイツも〝ルナーリア族〟と関係があるんじゃない? 炎を全身に纏ってるのに一切やけどしてないし……
いや、今は考察してる暇は無いな。
サンジ以外のコック達はクリークの手下と戦ってるけど、パティとカルネ以外は苦戦してるな。オレが加勢するならココだろう。
「じゃあ私は船を守ってるからアンタ達は行きなさい!」
「いや、ワシらの船じゃないだろ。まあ、ここから狙撃して店を標的にされるのも不味いし行くけどよ」
「ナミさん、〝たつまき〟で敵を蹴散らしてくれ」
「できるか! あんなの、いつでも使える訳じゃないのよ! まったく!」
ダメだったか。最初は天候とか色々条件があっても、いつの間にか自由に使えるようになってるんじゃ無いかと思ったのに。
「〝
うぉおぉおお!!
パールの盾を完全に砕いちゃったよ!!
原作だと船のマストが折れて、パールの頭に落っこちてきて気絶するんじゃなかったっけ? それでその後にギンがゼフさんの義足を……!
「ぐっはっ!」
「どっちを人質にするつもりだったんだ? おれか? この小僧か?」
「そう簡単にやられねェよ! オッサン! おれの包帯を
「いいから寝てろ。守ってやるって言っただろうが」
ゼフさんに蹴り飛ばされたギンが目の前に飛んできた。なにコレ?
仰向けに倒れて咳き込んでいるギンの腹には、くっきりと義足の足形が残っていた。
パールさんがルナーリア族と関係あるのでは?って部分は唯の推測です。