植物好き(仮)と麦わらの一味もどき   作:浅学寺のえる

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第19話〝5000 → 2〟

 「何やってやがる! ギン!!」

 

 クリークがギンに向かって叫んでるけど、ギンはまだ喋れるような状態じゃないな。

 どうする? 原作じゃ好きなキャラだけど、今は完全に敵対してる立場だ。クリークの命令でゼフさん、いや多分ゾロを人質に取ろうとしてたみたいだし。

 

 「エダ。今そいつは放っておけ! ゾロはワシに任せてコック達に加勢してやってくれ!」

 

 「う、わかった! 了解だ副船長!」

 

 「それと何度も言うが、狙撃手の戦いは……」

 

 「援護が花道! わかってる!」

 

 ゾロはゼフさんと副船長に任しておけば大丈夫だろ……普通に過剰戦力な気もするけど。

 クリークの手下はまだ半分くらい残ってるな。平地だから派手な戦闘はできないけどコック達の援護って形なら十分戦える。

 まずは〝根〟で……

 

 「ぐはっ!」「誰か撃ってきやがった!」「あの()の中だ!」

 

 「小僧! 戻ってきたのかよ!?」

 

 「援護は任せろ! パティ!」

 

 根を使って部分的に陥没させた〝塹壕(ざんごう)〟の中からニードルキャノンで1人ずつ脚を撃っていく。

 ドラえもんの映画でこんな戦い方してたのを思い出して作ってみたけど、かなり効果的だな。横長に掘ってあるから敵に狙い撃ちされにくいし。

 念のため、葉っぱも何枚か出してデコイにでもしてみるか。緑髪だからパッと見じゃ分かりづらいだろ。

 

 

 「エダ! 戻って来たのか!」

 

 「サンジ! 穴に入ってくるな! 狭いだろ」

 

 「それより、ナミさんは無事なのか!?」

 

 「無事だ、店の桟橋に停めてある船にいる」

 

 「おれの船か! 取り戻してくれたんだな」

 

 あー! あれサンジの船だったのか! ココヤシ村へ行く時に乗ってくやつだ。

 そう言えば、ナミさんがメリー号を持ち逃げしてない理由は一体なんなんだ? 本人に何で船盗まないの?とは聞けなかったしなぁ。

 

 「おい、聞いてるのか?」

 

 「え? なに?」

 

 「撃つのを少し待ってろって言ってんだ。一つ試しておきたい事がある」

 

 そう言って、サンジは敵陣の前まで飛び出して行った。もしかしてオレの役目終了? 狙撃手の花道は?

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 「クリーク海賊団の手下ども! 勝負は見えただろ!」

 

 「ひぃ」「あのコックだ!?」「な、なんだって言うんだ!」

 

 「お前らはもう半壊してる。その上こっちには凄腕の狙撃手まで付いてるんだ。大人しく降参しておけよ」

 

 凄腕なんて照れる。

 クリークの手下達も迷ってるのか黙ったまま戦うのを止めてるな。でも何で今更、降伏勧告なんてしに行ったんだろ?

 

 「……それができりゃ苦労はしねェ」「ばか!余計な事を!」「ドンはあの小僧で手一杯だ。聞いちゃいねェよ」

 

 「やっぱり、クリークに従ってるのは恐怖からか?」

 

 「そうだ。元々おれ達ゃ、好き勝手に海賊やってた連中だ。ドンに敗れて、殺されない為に手下になっただけの集まりさ」

 

 「だが、どうしてそこまで怖がる? 強いって言っても個人だろ? 逃げ出す機会なんていくらでもあるんじゃねェのか?」

 

 「それは、ドンがあ……ぐはっ!!」

 

 「そこまでだ、ナルトさん。ウチのもんを惑わせないでくれよ」

 

 ギン!! もう復活したのか。クリークの手下が何か重要なコト言いそうだったのに!

 でも、サンジとギンが戦うのかな? ゼフさんはどうやっても人質に出来そうにないし、もしかしてサンジの戦いが間近で見れるかも!

 

 「ギン!! コックはどうでもいい!! 穴の中にいやがる能力者を潰せェ!!」

 

 ちょ! 首領(ドン)・クリーク! なんて余計な事を言うんだ!!

 

 

 「へへ、ナルトさんには恩があるがアンタにゃ何も感じねェ」

 

 「エダ! 敵の説得は失敗だ! おれは雑魚共を片づける! ソイツは任せるぞ!」

 

 「え? マジで?」

 

 うわっ!! 塹壕が一撃で壊された!? あの鉄球付きのトンファー強すぎだろ! 

 あんなのまともに食らったら一発でアウトだ。オレの防御力は紙同然だぞ!

 援護だけのつもりだったのに、何で幹部とタイマンする流れになってんだ! 誰かオレの援護してくれないの!?

 副船長を見たら、目を逸らされた。

 

 「クソ! あの長っ(ぱな)!! 長くないけどっ!」

 

 「なんだいアンタ、あれだけ撃っておいて戦う覚悟はないのかい?」

 

 「無いっ!!」

 

 推しキャラの1人だぞ! オレの新しい切り札を使えば倒せるかもしれないけど、よりにもよってギンに()()は使えない!

 けど、誰も加勢してくれそうに無いしなぁ。足止めだけでもしないとダメか。遅滞戦闘って言うんだったかな、粘ってればそのうちルフィがクリークを倒してくれるだろ。

 

 「アンタに覚悟がなくとも、首領(ドン)の命令だ。潰させてもらう!!」

 

 「紙絵もどき!!」

 

 はぁ、はぁ、咄嗟にデコイで出してた葉っぱを囮にして避けたけど、何度もこの手は通用しないぞ。

 長っ鼻戦法を真似るようで癪だけど、小賢しくチョコザイな手で凌ぐしかないな。

 

 ズボッ!

 

 「な、落とし穴!?」

 

 ミニ干割(グラウンド・セッコ)だ。表面だけ残して地中をスカスカにしてあるから上に乗ったら落っこちる。

 ギンが落ちてる今の内にイバラで(ふた)もしておこう。

 

 

 「汚ねェぞアイツ!」「正々堂々戦いやがれ!」「卑怯者!」

 

 う。何だよアイツらだって海賊のくせに……! そうだ、ベックマンの名言があったな。

 

 「聖者でも相手にしてるつもりか?」

 

 「!!」「そうだ、おれ達ゃ海賊だ」「あれが正しい戦い方だぜ」

 

 「それに、ギン総隊長がやられりゃもう首領(ドン)に従うやつも居なくなるんじゃねェか!?」

 

 「そうだ! 本船に残ってた古参の奴らも軒並みやられちまってる!!」

 

 「いいぞ! 兄ちゃん! やっちまえ!!」

 

 コイツら! クリークに求心力が無いのは別にいいけど、オレにギンを倒させようとするなよ!! うーん、それにしてもクリークだって原作じゃもう少しカリスマ性があったと思うんだけど。

 

 「勝手な事言ってんじゃねェ! テメェら!!」

 

 「ひぃ」「ギンさん!?」「出てきちまった!」

 

 「首領(ドン)に敗けたあと、生かしてもらった恩を忘れたか!?」

 

 

 まずい、ギンが滅茶苦茶怒ってる! イバラを無理矢理突破したからか傷だらけになってるし!

 とりあえず周囲一帯に落とし穴を……

 

 「無駄だ。もう落とし穴なんてチンケな罠は通じないぜ!」

 

 「跳んだっ!?」

 

 ドン!

 

 「ぐはっ……!」

 

 ぐおぉ、クソ痛いッ!! 

 

 吹っ飛ばされ、て頭も……打った、マズい、意、識が……

 

 


 

 

 「良くやった! ギン! 残りの連中も皆殺しにしろ!」

 

 「さすがギンさん!」「おれ達ゃアンタが勝つと思ってたぜ」

 

 「分かってるな? ギン、()()()だぞ?」

 

 「ま、まさかドン!?」「待ってくれ!」「アンタに逆らう気はねェ!」

 

 こいつらを始末するのに異論はねェ。首領(ドン)を見くびった報いだ。

 だが、ナルトさんには恩がある。たとえ命令とは言え、おれは……

 

 「ギンさん! 何でそんなにドンに従うんだ!? 仲間は撃ち殺すし、無茶苦茶じゃねェか!」

 

 おれが従う理由もまた、()だ。

 

─────────

──────

───

 

 〜 15年前 〜

 

 「クリークさん! スゲェ! 一人で海賊を全員倒しちまった!」

 

 おれがまだ12のガキだった頃、首領(ドン)……クリークさんは商会組合の護衛として活躍していた。今で言う〝海軍(シーガル)〟の前身だな。

 

 「ハッハッハッ! おれの怪力はこの海で一番だからな!」

 

 孤児だったおれはこの人に拾われ、ガキながらにも護衛要員として同船させてもらっていた。この頃のクリークさんは、並外れた怪力を武器に身一つで戦う人だった。

 この人が最初に変わったのは、あの男に会ってからだ。

 

 「〝七掠撰(ジーヴェンクロッセア)〟なんて言われちゃいるが、おれ達ゃ海賊だ。商船の護衛と馴れ合う気はねェよ」

 

 「こっちから願い下げだ! 道化の! たまたま()()が一緒だったってだけで、協力する気なんてねェ!」

 

 当時まだ七掠撰だった〝道化のブギー〟との出会いは最悪だった。商船を狙って来た海賊を追ってブギー海賊団まで現れて、最初クリークさんとは一色触発の状況で周りは気を揉んでいた。

 

 「ぎゃははははは! クリーク、アンタ強ェなぁ! ウチに来ないか?」

 

 「ハッハッハッ! 悪くねェかもな!! 商会をクビになったら考えてやるよ!」

 

 あれだけ険悪だったのに、海賊を倒したあとは意気投合して酒を飲み交わしていた。お互いにリーダー格が仲良くなったのですぐに宴会が開かれることになった。

 そこで(ちから)自慢の話になった事が、あの人の運命を変えた原因だったんだろう。

 

 「勝者! カイリキー! ぎゃははははは! ウチの副船長は(ちから)だけはこの海一番なんだぜ!」

 

 「余計な事言うなブギー、それにオメェが〝カイリキ〟って呼ぶせいで新入り共はおれの名前がカイリキだと思ってんだぞ!」

 

 「おれが、(ちから)で敗けた……?」

 

 クリークさんは、カイリキと呼ばれる男と腕相撲をして敗けた。ブギー達は酒の席での余興くらいに思ってたようだが、護衛仲間はそう思ってはいなかった。

 宴会が終わったあともクリークさんは沈んだままだった。口さがない連中はクリークさんを非力だなどと罵っていた。当時のおれですら簡単に()せる程弱いくせに好き勝手言ってやがった。

 

 

 「別にお前は着いて来なくてもいいんだぞ、ギン?」

 

 「アンタに着いてくって決めたんだ! 海賊にだって何だってなってやるぜ」

 

 結局クリークさんは護衛仲間と喧嘩ばかりするようになり、商会をクビにされた。しかも護衛連中にハメられて〝騙し討ち〟なんて不名誉な二つ名まで付けられちまった。

 海賊になるなんて言われた時は驚いたが、()()()()()()()()()()()()って言うこの人の野望を、おれは側で見届けたいと思ったんだ。

 

 

 〜 10年前 〜

 

 海賊になってからのクリーク船長は様々な武器を使い出した。鋼鉄の鎧をあつらえ、拳にはダイヤを仕込み、身体中に銃器を忍ばせたりと次第に武装を重ねていった。

 

 「これが()()だ! 逆らう奴は皆殺しだ!」

 

 船長は倒した海賊の中で命乞いをしてくる連中は全て仲間に加えていた。たちまちウチは大所帯になり、所有する船も大型になって数もどんどん増えていった。

 気が付けばおれも、〝戦闘総隊長〟なんて肩書きが付いていた。船長も〝海賊艦隊提督首領(ドン)・クリーク〟と自称しだした。

 この頃はまだ、船員たちも首領(ドン)の事を多少は恐れてはいたが、その強さへの憧れも大きかったんだろう。反感を持つ奴なんて殆どいなかった。

 

 ()みたいになっちまったのは、あの実を食っちまってからだ。

 

 

 〜 2年前 〜

 

 散々能力者連中の事を、能力に頼っているだけで実力は大したことが無いと言っていた首領(ドン)に〝悪魔の実シリーズ〟の一つが巡ってきちまうなんて、つくづく世の中ってのは皮肉なもんだな。

 

 「おれは最強だ! この能力(ちから)を使い熟して、この海を制覇する!!」

 

 首領(ドン)は鎧も武器も捨て、必要に応じて似たような物を能力で()()()()()

 この頃になると能力者を毛嫌いしてたあの人も、相性で有利を取れる場合は喜んで戦っていた。倒した後で部下にすれば一気に海賊団の戦力が増すからな。

 能力者だったガスパーデまで下して、第三艦隊の船長に任命していた。今思えば、アイツは最初から首領(ドン)をどこかで裏切る気だったんだろう。

 あの海戦で艦隊は崩壊、生き残りの中である程度の実力を持ってた奴らは勝手に離れて行った。エルドラゴ、ニャーバン兄弟(ブラザーズ)、ベアキング……他にも数人いたか? いや、もうどうでもいい事だ。

 

 全ては、首領(ドン)があの〝ブキブキの実〟を食べてから狂い出した……

 

─────────

──────

───

 

 「もう嫌だ! 着いていけねェ! なんであんな()()に従わなきゃいけねェ……グへッ!?」

 

 「やめろ! やめてくれ総隊ちょ……ごはっ!」

 

 もう首領(ドン)にとって()なんて二の次になっちまったんだろう。五千人の部下が今じゃ百人、そいつらさえ首領(ドン)に従う気が失せてきているんだ。

 パールみたいな古参メンバーも既にやられちまってる。もう、おれしか残っちゃいねェ。

 

 「いいぞ! ギン! テメェだけは使()()()()だ!」

 

 「お前ェ! 仲間を何だと思ってるんだ!!」

 

 「使えねェ()()なんてゴミと一緒だ! テメェの仲間だってギンにやられてゴミみてェに転がってるだろ?」

 

 「エダはまだやられてねェ! おれがお前を倒せば、おれ達の勝ちだ!」

 

 「出来もしねェ事を吠えてんじゃねェ小僧。どんな能力かと警戒してたが、てんで弱ェハズレ能力じゃねェか!」

 

 首領(ドン)が言うように、麦わらの能力は身体を伸ばすぐらいしか出来ねェみたいだ。打撃が効かないって強みも、を大量に発射しちまえば関係ねェ。

 運よく、近づけた所で首領(ドン)自身の身体を刃物か何かに変化させちまえば殴る事も不可能だろう。首領(ドン)を倒せる可能性があるとすれば、鉄を斬ったり砕いたり出来る奴だけだ。

 だが、あの〝赫足〟は現役時代よりも弱くなってるだろう。鋼鉄に足形を残すなんて言われる程キツイ一撃だったら、おれは今立っていられねェ筈だしな。

 

 「ハッハッハッ! 何度やっても同じだ! この槍の雨でテメェは近づく事も出来ねェ!!」

 

 

 麦わら!? 紙一重で避けながら近づいてやがる! どんな反射神経だ!

 

 「チィ! どうあっても、おれを殴りたいみてェだな。だが、全身を()()()()()()()()に変えちまえば殴れねェだろ!?」

 

 そうだ、あんなのを殴れば拳は穴だらけだ。仮に殴った所で鋼鉄にダメージなんて与えられない!

 

 「ゴムゴムの……黒銃弾(ブラックブレッド)〟っ!!!

 ドゴォン!!!

 

 な、なんて奴だ……自分が傷つく事なんて考えてねェ。それに、あの()()なる技は鷹の目や豪剣が使っていたのと同じ……!

 

 「たかが槍とか鉄球なんかで、おれは止まらねェ!!」

 

 「うぉぉぉ!」「やりやがった、あの雑用!」「あいつまで覇気ってのを使えんのかよ……!」

 

 首領(ドン)まさか、気絶しちまったのか!?

 

 「やったぁぁ!」「ドンは倒れた! 自由だ!」「よくやったぜ小僧!」

 

 こいつ等……っ!

 

 

 おれが最強だ!! 誰もおれに逆らうな!!

 

 

 首領(ドン)! いやクリークさん……もう白目も剥いて意識だってハッキリしてねェじゃねェか。

 これ以上の惨めはねェ、おれが終わらせてやるのがせめてもの……

 

 腹に一発入れて気絶させようと思い近づいたおれの意識は

 クリークさんの身体から突然起きた爆風に巻きこまれ そこで途切れた。

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