何やられてんのよアイツ! ああ、もう! なんで狙撃手のくせして近距離で戦ってんのよ!
「お、ナミ! 出てきたのか?」
「出てきたく無かったわよ!……で? そっちは大丈夫なの副船長?」
「ああ、ゾロの傷は縫合し終わった所だ」
「なら私はエダを見てくるわ。敵に殴り飛ばされて気絶してるみたいだし」
「気をつけろよ。ルフィーの方はもうすぐ勝負が着きそうだが、まだ敵は残ってるんだ」
何を根拠に言ってるのかは分からないけど、この副船長のトンデモなさはいつもの事だから深く考えても仕方ないわね。とりあえず、ルフィーは勝つんでしょう。
それと、エダを殴った敵は何故か味方を攻撃してるわ。勝手に仲間割れしてくれてる内にアイツを回収しなきゃ!
「エダ! 立てる!?」
……ダメね。完全に気絶してる。もう! なんでまた私が、運んであげなきゃならないのよ……今回は頭を打ってるみたいだし、背負って運ばないと。
コイツ、身長の割に軽すぎない? 知らない内に、私が力持ちになってる訳じゃないわよね?
「ゴムゴムの……〝
あっちは、ルフィーが勝ったみたいね。敵からも離れられたし、もうここでコイツが目覚めるのを待ちましょう。
船で言ってた
「んナミすわぁ〜ん! 無事だったかい……って膝枕っ!?」
「なによ? 頭打ってるんだから仕方ないでしょ?」
「畜生! エダ! なんて羨ましいんだ!」
「はぁ、あんまりエダに悪い影響与えないでよ? アンタと仲良くなってから、どこかスケベになった気がするのよね」
「ご、誤解だナミさん! ソイツは元から……!」
「ちょっと! 揺らしちゃダメ! 頭打ったって言ってるでしょ!!」
私は、とっさにエダの頭を抱えて引き寄せた。
「!!!!!!!?」
「え? 何? どうしたのナルトくん!?」
ナルトくんは急に髪の毛が逆立って、
「ん? わふっ!?」
「あ、気が付いたのね? でも、目の前の光景を見たらまた気絶するかもしれないわよ?」
目が覚めたら〝幸せパンチ(
「エ゛ダァァァ! テメェ、裏切りやがったなぁっ!?」
わけが分からない! サンジが鬼の形相でオレを見てくる!? しかも、燃えてるし! さっきのパールよりも激しく燃え上がってるよ!
「落ち着きなさいよ! ほら、クリークも倒せたんだから。レストランの人達を介抱してあげれば?」
「え! クリーク倒したの!?」
「さっき、ルフィーが一発殴って気絶させたのよ」
一発で!? いや、オレも一発で気絶した身だから何も言えないけど。
少し離れた所で、コック達がルフィを
「サ、サンジ? クリークの手下が喜んでるけど……?」
「ああ゛ん!?……アイツらは、無理矢理従わされてたんだよ。まあ、海賊になったアイツらの自業自得だとは思うがな」
よかった、まだ燃えてるけど話は出来るんだな。けど、クリークも哀れなもんだな。気絶してるのを言いことに、さっきから手下達に口汚く罵られてるよ。
ん!? 起き上がった! そうだ、原作でもあんな感じで負けを認めないで騒いでたな。
確かギンに殴られて、また気絶するんじゃなかったっけ?
「ねえ、あれ大丈夫なの? ここからでも分かるくらい凄い怒号なんだけど」
「もう意識は半分失ってんだろ。意地だけで喚いてるだけさ」
「多分、ギンが大人しくさせる」
「そう、ならいいんだけど……それよりエダ! いい加減足が痺れてきたんだけど?」
あ! ずっと膝枕してもらってたんだった……サンジがまた凄い顔で睨んでくる!
ほ、ほら、ギンが近づいて行った。きっとクリークをワンパンで沈めてバラティエ編のエピローグだから、あっちへ行かないと!
え?
突然、閃光が目に入ってきた。その後に轟音と熱波がやってきた。
オレとナミさんはサンジが咄嗟に庇ってくれたおかげで助かったけど、他の皆は……!?
『うちの副船長は
怪力自慢が力で敗けた……
『
『いくら武装しようが!〝アメアメの実〟の力の前じゃ
武器なんて通じない理不尽な力を知った……
『なんと小さい! 井の中の
悪魔の力を得てすら
『最強? 鷹の目の方が遥かに強かっただろ?』
おれは最強じゃなかったのか?
腕っぷしも、武器の扱いも、従う大勢の部下も、悪魔の実の力さえも全て通じなかった?
ちげェ!!
能力だ! 全ては能力の相性だ!
あの偉そうにしてたガスパーデですら、おれの火炎放射で手も足も出なくなった!
鷹の目のヤロウがどんな能力かは分からず終いだったが、鉄を斬れるってだけで最悪の相性だ。
おれを殴りやがったゴム野郎だって隠してる能力があったに違いねェ!
「やったぁぁ!」「ドンは倒れた! 自由だ!」「よくやったぜ小僧!」
「散々こき使いやがって、ざまあみろ」「最強が聞いて呆れるぜ! てんで弱ェじゃねェか!」
「おれが最強だ!! 誰もおれに逆らうな!!」
もっとだ、もっと力がいる! あのマンチャで包囲網を破ったバレットみてェな圧倒的な力が!!
悪魔の実! テメェが悪魔だって言うなら魂だって売ってやる!
ドゴォォォォン!!!
「きゃ!」「うわっ」
「ぐっ、無事か? ナミさん!……とエダ」
何だったんだあの爆発は!? とっさに庇った二人は無事みてェだが、他の奴らは!?
「私たちは無事よ! ナルトくんこそ大丈夫なの!?」
「あ、ああ。多少痛ェが、平気だ」
爆風を受けたハズなのに、何故か熱くもねェ。さっきから怒りで身体から炎が出てると錯覚したが、まさかホントに燃えてるのか? あのパールとかいうヤロウみてェなビックリ人間の仲間入りは御免だぜ。
いや、そんな事より今は状況確認だな。
クリークがいた場所を中心に地面が円形に
アイツ自身が〝悪魔の実シリーズ〟の能力者だったとはな。上手く武装してる風に隠してたんだろうが、どこから出してんのか分からないような物も多かったんだ。もっと注意深く観察しときゃよかったぜ。
クリークの近くにいた連中は全員吹っ飛ばされたみたいだな。一番近くにいたギンは、血だらけで倒れ伏してる。ありゃ、もう……
パティ達やクリークの手下の多くも全員倒れてやがる。離れた場所にいたジジイは無事みてェだが、副船長のオッサンはゾロの奴を庇ったのか倒れているな。
「サンジ! ルフィは!? どこにも見えない!」
そうだ雑用! アイツはパティ達に胴上げされてたが、近くにはいねェ。どこかに吹っ飛んだのか!?
「オレ、探してくる!」
「待て! クリークが何するか分からねェ!」
「でも、海に落ちてたら!」
「ああ、能力者ってのはカナヅチなんだったか。だが、お前が行ったってしょうがねぇだろ!」
考えろ。クリークの位置、雑用がいた位置、その延長線にあるのは……! あそこか、バラティエの屋根にまた穴が空いてやがる。
「エダ! 雑用…… ルフィーは店の中だ。気を失ってなけりゃ、自分から出てくるだろ」
「けど、もう私達とオーナーさん以外みんな倒れちゃってるわよ!……ってどうしたのよ?」
「な、なんだありゃ……クリークの奴、身体が機械みえェになってやがる」
「そういう能力なんでしょ。さっきも鉄球とかになってたじゃない」
「アレってロボ?」
「そうだ! ロボって奴だ! おれも物語でしか知らねェけどアレが!?」
「……アンタ達、なに目を輝かせてんのよ! 敵でしょ! それも恐ろしくヤバい奴!!」
そうだった。ロボには不思議と憧れを感じちまうが、アイツはクリークだ。
胸に大きく〝No.1〟なんて書いてあるが、敵なんだ。本物のロボじゃねェ!
「おっほーー! なんだアイツ! ロボみてェになってんぞ! カッケー!!」
「生きてやがったか、ゴム野郎。おれは生まれ変わったんだ。噂に聞く〝覚醒〟ってヤツかもな」
「なんだ。話し方はロボじゃねェのか……〝覚醒〟ってなんだ!」
「テメェみたいなハズレ能力者にゃ縁のない話だ。どうする? どの道全員殺すが、まだ歯向かうか?」
「さっきは、おれ達が勝ったんだ! 次もお前をぶっ飛ばす!」
「そうか、なら殺す前に教えておいてやる。おれは〝クリーク-9000〟!! 全身に九千の武器を持つ〝ブキブキの実〟の能力者だ!!」
クリーク-9000って名乗る不審者とルフィが戦い出した。
もう着いていけない! 9000ってどこから出た数字? 単にスーパーベジータみたな改名のつもりなのかな?
あと改めて見ると、ロボって言うかサイボーグみたいになってるし! どっちにしろ登場するには早すぎる!
それになんで〝ブキブキの実〟食べてんの? ベビー5は? 挙句の果てに覚醒って! 覚醒したらサイボーグになる能力って意味が分からん!
ルフィはルフィで〝武装色〟使ってるし! クリークの体が鉄っぽいからアレじゃないと効かないと思うんだけど、何で覇気修得してるの!?
サンジの口振りだとゾロまで覇気を使えるらしい。副船長も見聞色をたまに使うし、世界がバグってるとしか思えない……
「エダ、動けるか? あいつ一人じゃキツそうだ。おれは加勢しに行くぜ!」
「でもタイマンなんじゃ?」
「そんな事言ってる場合じゃないでしょ! ルフィーがやられちゃったら全員殺されちゃうのよ!」
確かにそうだけど。うーん? 映画だとバレットなんかは、即席チームで共闘して倒してたなぁ、他の敵だとオーズとか? クリーク相手に皆で戦うってのは……でも、覚醒してるのかぁ。
ルフィも第一形態には苦戦しなかったみたいだけど、今は結構ダメージを受けてるしなぁ。
「おれとテメェの能力じゃ完全におれの方が上だ!」「なんだとー!」
なんか言ってるな、能力の上位互換とかの話かな? ん? そうだ赤犬もエースに似たような事言ってたなぁ。さっきからやけに既視感を覚えたと思ったけど、クリークと赤犬って声が一緒だったんだ!
前にジャンプのキャラクターが共演する対戦ゲームで、銀魂の神楽が赤犬と戦う時に「中の人がマダオのくせに」とか言ってたのを思い出した。
よし! もうクリークは赤犬級の敵って事にしちゃおう! 覚醒してるんだし。よって、クリーク-9000はレイドボスなので、皆で協力して倒す敵! うん、一部の隙もない理論武装だな!
「オレも戦う! ナミさんは?」
「行くわけ無いでしょ! アンタを助けに来ただけで、斧だって船に積んだままなのよ!」
「そっか、ありがとう!」
アイツを早く倒さないと! このままじゃ、フランキーが登場した時のインパクトが
「加勢するぜ、雑用……って言うのも二回目か」
「オレも加勢する」
「お前ら! ありがとう!」
「おれも忘れるんじゃねェぞ、テメェら!」
「「ゾロォ!?」」
ゾロ!? 動いて大丈夫なのか!? 胸に縫ったばっかりみたいな傷跡があるけど……
「おいクソ剣士! テメェ動ける体じゃねェだろ!」
「もう治った」
「嘘つけ!」
「ししし! ウソップが治したんだな、相変わらずスゲェなぁ〜」
こんな場所で縫ったのは凄いと思うけど、治ってはいないだろ。さっきは長っ
この状況だからか、さっきから脳内にアニメで反撃開始の時のアノ曲が流れてる……! って、そんな悠長なこと考えてる場合じゃないんだ! クリークは!?
「ゴム人間に、植物人間、炎を出す能力に、鷹の目と似た能力……か。揃いも揃って能力者どもが群れやがって」
「「おれは能力者じゃねェ!」」
「「あァ!?」」
「お前ら仲良いなぁ〜、おれは先に戦うぞ!」
仲良いなぁ。けど植物人間って、
そう言えば、サンジは時々燃えてるな。それだけ炎が出てたら疑われても仕方ない……ちょっと嫌な予感がしたから一応確認しとくか。
「サンジ〝メラメラの実〟を食べてたりは……?」
「食ってねェよ! おれは〝スケスケの実〟以外食うつもりはないっ!!」
良かった〜。エースと会える可能性は、まだ有りそうだ。
「おいエダ、木刀を2本作ってくれ」
「あ、そうか。わかった、ちょっと待っててくれ」
「おいおい、武器も無しで来たのかクソ剣士。お前らの船長にはおれが加勢してやるから、もうそこで見てろ。」
「あァ!?」
ゾロが初期から持ってた刀は、原作通りに和道一文字以外は折れちゃったんだろう。
よし、ゼフさんの義足と同じ
「出来た! とびきり頑丈だぞ!」
「助かる。コレじゃ斬れはしねェが、三刀流に問題はねェ」
「口の剣で斬るから?」
「まあ、そんな所だ。お前は離れてろ! さっきみたいに、狙撃手が前に出るんじゃねェぞ」
そりゃ、願ったり叶ったりなんだけど。なんか戦力外みたいに扱われてない!? ……せめて援護だけでも華麗に決めてやる!
クリークは見た感じ、体の一部を武器に変えて応戦してるみたいだ。
変化してない時の体は、肩からはボルトが出ていて二の腕は鉄の棒。肘から下はフランキーみたいに太くなっていて何か仕込んでそうな見た目だ。手は典型的なロボットアームでアルファベットの〝C〟の形をしている。
胴体も鉄製の樽を横にした様な形で、胸にデッカく〝No.1〟なんて書いて主張している。初号機って事? その胴体と下半身を繋ぐ太いネジが腰の代わりなんだろう。
下半身はボロ切れで隠されていて見えないけれど、多分機械だと思う。
肝心なのは、頭が生身って所だ。ルフィが顔にパンチをくらわせようとすると、頭を鉄球等に変化させて凌いでいるけど、常に変化させてはいない。
オレの攻撃が通るとしたらあそこしかない!
「三刀流!〝龍巻き〟!! 浮かしたぞ、やれお前ら!」
「命令すんなクソ剣士! 行くぞ雑用、足に掴まれ!〝
「うぉぉー! よし、このまま回転も加えてやる!」ギュルルルルルルル
「ゴムゴムの〝
ドンッ!!
「……ニードルキャノン」 ピシュ
あ、当たった。
連携技決めるなら言ってよー! オレのやつだけ絶対、ドンッ!! って出たあとの扱いだよ。