植物好き(仮)と麦わらの一味もどき   作:浅学寺のえる

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第 3 話〝海へ〟

 改めまして〝エダ〟です。ブリュレじゃないよ。

 ──やっぱり、エダって「枝」のこと? オレが細身だから枝野郎ってことなのか? でも、日本語だしなぁ。

 さっきナミさんから質問されてる時に、原作で漢字や平仮名もあることを思い出したので日本語で話しかけてみたんだけど……

 可哀想な子を見る目で見られて「つらかったのね」と一言。ツラい。

 おかげで日本語は封印することにしたけど、固有名詞でなら日本語も一部混在してるってことなのかな?

 日本人がケーキだのオレンジジュースだの普通に使ってるようなものか。

 まあ、エダって名前はちょっとダサいけれど。名前がないと色々と不都合だろうし我慢だ。

 

 今は出航準備中だ。オレはナミさんに指示(ほぼジェスチャーで)されてヤシの身を二十個ほど調達している。

 やっぱりこの島には食糧調達が目的だったのだろう。さっきルフィが残念そうにしてたのは()が全滅していたからか。

 干し肉の一つでも用意しておけば喜ばれたんだろうけど、今の今まで保存食っていう概念をすっかり失念していた。

 肉が食えない時は地面から栄養を吸えば生きるのに問題なかったからなー。

 

 何はともあれ無事に舟に乗せてもらえることになった。

 原作の流れを変えたくなかったけど、次の島まで同行するだけなら問題ないと思いたい。

 オレは、原作には極力関わりたくないんだ。何しろ結末を読まずに死んじゃったのが前世での一番の未練だ。

 せめてこの世界で結末を知りたい。新聞の記事で知る程度でいいんだ。

 贅沢を言うならこの目で見たいものだけど、麦わらの一味に加入してしまった日には原作崩壊まったなしだ。

 だからオレは次の島で降りて、どこか落ち着ける場所を探して新聞を楽しみに生きていこうと思ってる。

 

 

 よし、コレで二十個だ。舟に乗せられる量はこの位が限界なんだろう。結構かさばるしな。

 蔓で作った即席の背負い籠に実を詰め込む。この程度のアイテムなら作るのにも慣れたものだ。

 瞬時に作れないものは拠点に置いてある。拠点と言っても島で一番でかい木にポッカリ空いた穴の中だけどね。

 ()()()()なんかは持っていきたかったけど、舟に乗せるには大きすぎるしなぁ。

 あ、そもそも拠点の入り口よりも大きいんだった。……わざわざ帰ることもないな。

 籠を背負って浜辺へ向かう。

 

 お、重い。オレの筋力で持って帰れるかコレ。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 「ナ、ナミサン トッテキタ ゾ」

 

 なんとか運んできて浜辺を見ると、すでに出航準備が完了してるみたいだった。この島にきて半日も経ってないのに、もう出発する気満々のようだ。

 

 「早かったじゃない。一人じゃ持ち切れないと思って、アイツらに手伝わそうと思ってたんだけど──いらなかったみたいね」

 

 ルフィとゾロは舟を反転させた後はやる事が無かったようだ。ナミさんはさっきまで何か計算していたのか地図を広げている。

 〝東の海(イーストブルー)〟の地図かな? 見方が分からないな。

 

 「ああ、コレは海図よ。次の()までの航路を確認してたの」

 

 何か教えてくれてるみたいだけど、よく分からん。とりあえず

 

 「ソウデスネ」

 

 「ホントに分かってんのかしら?」

 

 

 「おーい! はやく行こうぜー!」

 

 ルフィが呼んでいる。いよいよ出航か!

 海水はちょっと……いや、かなり苦手だけど。ジャンプで乗り込めばへっちゃらだ!

 無事、舟に着地! 海に落ちなければ問題ない。能力者の常識だな!

 

 「おい。静かに乗れよ」

 

 「しょーがねェよゾロ! 冒険はワクワクするんだ!」

 

 「もう、早く出航するわよ」

 

 ナミさんも乗り込んできた。ついに島ともお別れか。

 二十年以上もいたから多少は名残り惜しいけど、今は新しい冒険にワクワクしている。

 

 「帆を張れー!」

 

 ルフィがそう言いながら自分で帆を張る。あれ? 聞き間違いか?

 

 「はぁ、アンタが船長なんでしょ。号令されたら私たちがやるものよ」

 

 「アハハハ、いいんだおれがやりたくてやってんだから!」

 

 何か違和感を感じた? けど、ルフィが楽しそうにしているからまあいいか。

 ふと、張られた帆を見上げるとガイコツのマークが描かれていた。

 そう言えば、この小舟はバギーの所からパクってきたやつだったな。

 アレ? でも、バギーのマークってこんなのだっけ? んー、十年前に見かけた船もこのマークだったと思うし気のせいか。

 何しろ最後に原作を読んだのは体感で二十年以上前になる。大筋は鮮明に覚えてるけど細部はアヤフヤだなぁ。

 

 「ああ、コレか! 気にすんな! もらったやつだからなーアハハハハ!

 

 ──!! 今度のは気のせいなんかじゃない。言葉は違っても、笑い方は一緒のハズだ。

 確かにルフィは「しししし」って笑う以外にも「なっはっは」って笑ったりもしてたと思う。

 けれど「()()()()」だけは話が違う。

 伏線が回収される前に死んじゃったから断定はできないけど、「アハハハ」という笑いはギア5の時限定のものだ。

 まさか、既に覚醒してる? いやいや、おかしい。

 見た目そのままだし、そもそも解放のドラムが、条件が、動物系の意思が、アレが、ソレが、

 

──────────────────────────────

────────────────────

──────────

 

 「どうしたんだ? 急にボーっとしだしたぞ」

 

 「きっと、心の中で島とお別れしてるのよ」

 

 しばらく考えこんでると舟は既に島を離れ、もうほとんど見えなくなっていた。

 考えても答えはでないし、とりあえず今は忘れよう。

 アハハハなんて普通の笑い方だし。ナミさんの髪もやっぱり茶色いし、リアルに存在すると案外こんなものなのかもしれない。

 〝限りなく原作に近い現実世界〟きっとそういう世界なんだろう。

 リアルで思い出したけどここは〝実写版〟の世界ではないと思う。ゾロ役の俳優は日本人なので顔も覚えているけど、()()ゾロとは別人だ。

 ていうか、リアル志向な世界ならゾロの髪も色変えてあげて。オレと被ってるしー。

 

 「なんだ? もういいのか?」

 

 やべっ。見すぎてた。決してマリモみたいなんて思ってた訳じゃないんです!

 

 「ゴメンナサイ」

 

 「気にすんな。()()も住んでたら故郷みたいなもんだろ?」

 

 許してくれたのか?分からん。困った時は笑顔でごまかす。

 

 「ソウデスネ」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 「とにかく、仲間が増えたんだ! 乾杯しよう!」

 

 ルフィが明るく何かを言っている。ムードメーカーがいると自然と笑顔になる。

 今は、わずかな期間の舟旅だけどこの空気を楽しむとしよう。

 

 「乾杯なんてムリよ」

 

 途端に沈む空気。

 

 「お酒なんて無いし、水も食料もギリッギリなの!」

 

 「なんでだー! おれは肉が食いたいぞー!」

 

 「そもそも食料が尽きかけてるからあの島に寄ったんだったな」

 

 「う、確かにそうだけど補給できなかったんだからしょうがないじゃない。ていうか一番の問題はアンタが食べすぎなのよルフィー!」

 

 「ケチケチすんなよー。そうだ! ヤシの実がいっぱいあるだろ! アレで乾杯しよう」

 

 「ダメよ。貴重な水分なんだから節約しないと」

 

 「ならもっと積み込めばよかったじゃねーか。まだまだあっただろ?」

 

 「あのねゾロ。そんなに沢山置ける場所ないでしょ?」

 

 「あんだろ。その()()()()を捨ててきゃ」

 

 「馬鹿ー! アンタお金よりヤシの実の方が大事だって言うの!?」

 

 うわっ!? しばらく会話に入れないでいたら喧嘩が始まったぞ。こういう時喋れないのが痛いな。

 

 「しししっ! なぁエダ、島にあったうまそうな葉っぱ。アレお前出せんのか?」

 

 ナミさんとゾロが言い合ってるのを気にせずルフィが話しかけてきた。笑い方はもう気にしない。

 

 「アレだよ。葉っぱ。葉っぱ」

 

 ああ、葉っぱか。ジェスチャーを交えて自分が罠にかかった時の再現をしてくれたので合点がいった。

 でもアレ匂いだけで栄養価ゼロだと思うよ?

 んー。どう説明すればいいのやら。

 

 「なぁ出せんだろー。葉っぱくれよ、葉っぱ!」

 

 「ちょとルフィー? なにエダを困らせてんのよ。葉っぱ葉っぱってアブナイ発言もやめなさいよ」

 

 ホッ助かった。ナミさんサマサマだな。

 

 「アンタも次の街まで時間があるんだし喋る練習でもしときなさい」

 

 ん? オレに言ってんのか? 長文だと全く分からないから、とりあえず──

 

 「ソウデスネ」

 

 

 ナミさんのため息が聞こえた。

 四人を乗せた()()の小舟が海原を進んで行く。

 




 ようやく海に出ました。
 評価や感想をくれた皆様ありがとうございます。とても励みになります。

 ここで設定を少しだけ紹介

 ルフィの名前がルフィーなのは本物ではない感を出すためですが、性格は本物と同じ設定です。
 アルファベットでLuffyと書くのでルフィーと表記してもおかしくないなと思い設定したのですが、勘違い主人公のモノローグではルフィなので自分でも混乱しそうです。

 ナミが茶髪なのもONE PIECE初期プロットの設定画がモノクロなので、色を変える余地があるかなと思っただけで性格は同じ設定です。

 たびたび名前が出てくる道化のブギーもバギーの没案です。ルフィー達が無人島へ来る前の話は幕間としていずれ書く予定です。
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