植物好き(仮)と麦わらの一味もどき   作:浅学寺のえる

33 / 57
第29話〝きのせい〟

 「仲間が増えたと聞いてたが……4人だけか?」

 

 「あと2人いるけど、二日酔いだ!!」

 

 「なめてんのか! このスットンキョー共め!! 今日来るって教えただろうが!」

 

 まあ正論だな。アイツは考え方こそ海賊のそれだが、どこかで筋の通った事を言いやがるから慕ってる部下も多い。

 村の連中も、私掠撰としてのブギーを知ってるからか警戒どころか歓迎してやがるな。

 

 

 「まあ、いい。とりあえず興行だ!! ヤロウ共! 準備にかかれ!」

 

 「「「ワァァァァ!!」」」

 

 「ちょっと! 西の方に空き地があるから、そっちでやってよね!」

 

 「承知の上だ! 昨日、ジンベエが直接来てくれたからよ」

 

 もともと大所帯だったが、あの頃よりも強そうな連中が増えてやがるな。しかし、興行ねェ……危なかったぜ、もしかしたら()()()一緒になって曲芸をやらされてたかも知れねェ。

 

 ブギー海賊団は市民から略奪こそしねェが、金はキッチリ持っていく。

 アイツらは港へ寄る度に()()()()を開き、そこに住んでる奴らから見物料を取る。さらに、出店なんかで料理や珍しい品を売って金を集め、最後にはそこの名産を買い込んで旅立って行く。

 アイツの性分は海賊なんだろうが、やってる事は貿易商に旅芸人、それと海賊退治か。村のやつらが歓迎するのも当然だな。

 

 

 「久しぶりだな、ロロノア・ゾロ」

 

 「あ? ああ、参謀のアンタか」

 

 「お前に勝つために、あれから技を磨いてきた。今日は覚悟しておけ」

 

 いや、おまえとは戦う気はねェよ。おれはブルックと決着を付けられればそれでいいんだが、例のルールとやらで引き分けにされちまうかも知れねェんだよな。

 まったく海賊が細かいルールを律儀に守るなんて、おかしな話だぜ。

 

 「ヨホホホ! どうも、ゾロさん」

 

 「ああ、待ってたぜ!」

 

 「あ、念のため言っときますが……フェンシングは引き分けの様です」

 

 「ちっナミが言った通りか、それもルールってやつかよ?」

 

 「ええ、ですから戦うのは……」

 

 「わかってる。フェンシングなんてルールじゃない、決闘って形にするんだな」

 

 「え?」

 

 丁度いいな。突きだけってのは、どうもやりづらかったしな! そういや、さっきから気になってたんだが。

 

 「なあ、なんで顔隠してるんだ?」

 

 「ええ……実は初めて訪れる街では驚かれないよう()()を付けていたのですが、それが壊れてしまいまして……」

 

 「へえ、強敵とでも戦ったのか?」

 

 「いえ? ジンベエさんと一緒にきた女性にパンツを見せてもらおうとしたら……」

 

 「もういい。大体わかった……」

 

 こいつのパンツへの執念はなんなんだよ……ああ、そういや船に顔を隠すのに丁度良さそうなのがあったな。

 

 


 

 

 ー ココヤシ村 西の広場 ー

 

 

 「すごい! 瞬く間に、サーカステントができあがっちゃったわ」

 

 「ウチの連中には大工だった奴も多いからな。最近じゃ、教会だの海軍だのが邪魔しやがるから余計に設営が速くなったぜ!」

 

 「え? 教会はわかるけど、海軍まで?」

 

 「まあ、襲ってくるのは支部の連中ばかりで敵じゃねェんだけどよ。それよりナミ、今の内に聞いておきてェんだが……」

 

 「分かってるわ。あの島での事でしょ?」

 

 「ああ、手紙で軽くは知っちゃいるが。()()()が例のエダって野郎だな?」

 

 「そうだ!」

 

─────────

──────

───

 

 広場には、他にもまだ作るものがあるらしい。作業の邪魔にならないように、オレ達は出来たばかりのテントの影へ移動した。

 オレとナミさん、ブギーと謎の男。

 

 誰なんだ!? 背は小さい。サングラスをかけていて、何故か頭に動物の毛皮を被ってる。まあ、オレも昨日オオカミの毛皮を被ってたから人の事は言えないけど。ちなみにアレは、ゾロが欲しいっていうからあげてきた。

 

 

 「単刀直入に聞く。テメェの能力は〝ヒトヒトの実 幻獣種 モデル:ドリアード〟なのか?」

 

 んん!? 何それ! ヒトヒトの実かな?とは予想してたけど、ドリアードってのは初耳なんですけど!?

 

 「そうよ。でも、やっぱり知ってたのね。私には、()()()()とか言ってとぼけてたクセに!」

 

 「ぎゃはははは!〝悪魔の実〟だって海の秘宝で間違いねェだろ?」

 

 ナミさん!? オレ聞いてないんだけど!?

 

 

 「だが、モデル:ドリアードってのは特殊な実でな……女が食うから〝ドリアード〟男が食った場合は〝キジムナー〟それぞれ別の名前で呼ばれるんだ。だよな? カイリキ」

 

 「ああ、悪魔の実大図鑑にはそう載っている。女なら()()のドリアードに、男なら()()のキジムナーになるらしい。どちらも〝木の精〟だな」

 

 カイリキーだったのかこの人。ってオレの能力の方が大事だ! たしか、キジムナーって沖縄の妖怪じゃなかったっけ? しかも赤髪って……情報量が多い!

 

 

 「念のため聞くがよ、テメェは女か?」

 

 「ちがう」

 

 「なら、もう一つ質問だ。()()()()あの無人島にいた?」

 

 「えっと、二十年くらい前。たぶん」

 

 「()()()、やっぱりコイツがそうなんじゃ!?」

 

 「いや、お前も見ただろ。10年前は確かに()()()()だろうが!」

 

 「ああ、()()()()()も女だったしな。それで緑髪だから、ドリアードだって確信できたんだ」

 

 「ちょっと待って! 赤ん坊って何!? それに、エダは女の子だったの!?」

 

 男の子だよ。でも、10年前って島にブギーの船が来た時か……あの時に女だった? そう言われてみれば、植物生活をしてた頃に自分の性別とか一切確認してなかったかも。と言うか認識すらしてなかったんだ。

 ……これって、元々この体はロビンのものだったって事だよな。

 

 

 「これはウチの連中も知らねェ事だが、おれとブギーだけで海賊をしてた頃、赤ん坊も1人船に乗っていたんだ」

 

 カイリキーって人が語り出す。

 赤ちゃんが悪魔の実を食べてしまった事。

 能力が暴走し、無人島へ置き去りにしてしまった事。

 その際に、ブギーの左腕が失われた事……この事に関しては、余計な事を言うなとブギーが抗議してたけど。

 10年かけて海楼石を見つけ出し、再び島へ向かった事。

 その時に見た()()()が満ち足りた顔をしていた為、連れ出すのをやめた事。

 

 その後、新たに加わった空を飛べる仲間〝ハチ〟に無人島の調査をさせてみたら、オレがいた事……まさか、あの鳥が? 普通に狩ろうとしてたよ。当たらなかったけど。

 

 「……〝悪魔の実シリーズ〟の能力はな、()()させる方法がある」

 

 「そんなの初耳よ!」

 

 「おれも知ったのは、昔教会を襲撃した時だ。やつらは能力者に関して色々と調査してやがるからな。それで能力の継承だが……」

 

 「待て、おれから言う。ブギーが言いてェのは、あの赤ん坊……ロビンをソイツが殺して能力を奪ったんじゃねェかって事だ」

 

 「「ロビン!?」」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 「ぎゃはははは! なんだよ、おめェがロビンだったのか! 早まった真似しねェでよかったぜ!!」

 

 「だが、ロビンは体の中だろ? ドリアードの能力が関係してるんだろうが、原理が分からねェなぁ」

 

 「世の中には()()()()()()()()()()もいるからな。身体が変化したのは能力だろうが、エダの人格も元々あったんじゃねェか? 一度はロビンも出て来てんだ、そのうち自然に交代できんだろ!」

 

 「お前はまた、単純に言いやがって……」

 

 「でも、あの子は自分の事をロビンって名乗ってたわよ? エダは自分の名前を知らなかったけど……」

 

 「……稀に赤ん坊の頃からハッキリと自我を持つ奴がいると聞く。おれかブギーが名前を呼んだのを覚えてたんだろ」

 

 この世界でも、ロビンって名前だった事が分かって良かった。原作知識に引っ張られて、勝手にロビンって呼んでたけど……別の名前だったらかなり失礼だったしな。

 それと、ブギーはオレの事を()()()()()()()()()()()か判断したかったようだ。ちなみにオレが緑髪じゃなかったら、すぐにでも殺しに来ていたそうだ……。

 

 ちなみに、この世界のロビンは20歳らしい。ブギーは歳が同じだったナミさんに、無人島から連れ出させようと企んでいたんだとか。

 自分で来なかったのは……きっと複雑な思いがあったんだろう。

 

 他には、ナミさんの隠しごとが予想通りロビンの事だと判明した。なんでも、ロビン本人から口止めされていたらしい。

 もう隠し通せないからと語り出したナミさんは、ロビンについて親しげに話していた。

 

 そして、出てきた情報をまとめるとオレの正体が分かったかもしれない。

 オレは〝悪魔の実〟を食べた赤ん坊に転生したんじゃなく、その赤ん坊が食べた〝悪魔の実〟に転生したんだ。

 

 動物(ゾオン)系悪魔の実に存在する意志。その意志に憑依でもしたのだろう。ブギーは二重人格だと思ってるようだけど、オレには赤ん坊の頃にブギーと会った記憶が無いしな。

 

 おそらく10年前にブギーがロビンの姿を確認した、その後。

 オレからすれば、海賊船を見て湧き上がってきた記憶の整理をしてた頃。

 その辺りで体が男に変化したんだろう。理由は……オレの意識が男だから? そんな単純じゃないか。

 

 

 「で? ツボミに包まれた後、花が咲いたらロビンが出てきたってか?」

 

 「そうそう。あ、ちゃんと大人になってたわよ? さっきからアンタの話ぶりだと、子供の姿を想像してるわよね?」

 

 「そりゃあ、赤ん坊と10歳位のガキの姿しか見てねェからなぁ」

 

 短い期間だったようだけど、ブギーはロビンにとって育ての親なのかもしれない。

 どうにか会わせてあげたいんだけど……ロビン? 聞いてる? 

 反応は……無いよな。当然か、10年間身体を乗っ取ってる様なもんだしな……今更オレが呼びかけるのも筋違いなんだよな……

 

 「ちょっと聞きにくいけど……ロビン達の両親はどうしてるの?」

 

 「…………父親の方は、死んでるだろうな。だが、母親はヒノモトで今も生きてる筈だ」

 

 「じゃあ、やっぱりヒノモト出身なの!?」

 

 「まあ、生まれはそうなるな。母親は今じゃ36ぐれェか? 」

 

 20歳の子供がいる親にしては、若くない? この世界だとそうでもないのか? 年齢的にニコ・オルビアではなさそうだけど。

 というか、そもそも赤ん坊を預かるなんてブギー……いや、バギーのキャラじゃないような?

 

 「どうして、赤ん坊を預かったんだ?」

 

 「あ? 赤ん坊って、おまえの事だろうが……まあ実感は湧かねェだろうがな。おれはな、おまえの父親に長い間世話になったんだよ」

 

 「前に乗ってた船の船長だったんだろ? ヒノモトに残ったって聞いてるが」

 

 「ああ、戦争に巻き込まれねェ様にロビンをおれに預けたんだ。あのあと、ハデに戦ったんだろうが……ロジャー船長は医者から余命宣告されてたんだ。勝ってたとしても、おそらくもう……」

 

 「ロジャー!?」

 

 「それが、おまえの父親の名だ。ロジャー・D・フレイタス

 

 「「D!?」」

 

 「おいおい! 初耳だぜブギー!!」「Dってあの国の!」

 

 「落ち着け、おめェら!」

 

 ゴール・D・ロジャーじゃない? 名前がフレイタス? ああ、姓と名の順番は国によって違うんだったな。

 前にルフィにフルネームを聞いたら、ルフィ・D・モンキーって言ってたし。ちなみに、語呂が悪いからあんまり苗字は名乗らないらしい。

 

 でも、ブギーが船長って呼んでるんだしロジャーで確定だろう。まさか、母親はルージュ?

 もしそうだとしたら、ロビンとエースが兄妹ってことに……? 女の子が産まれる場合は〝アン〟じゃないの!?

 

 「ブギー船長! 設営完了しやしたぜ!!」

 

 「おっと、話し込んじまったな。まあロビンの無事が確認できたのは良かったがよ。勝負とは、別の話だぜ?」

 

 「ブギー! なぜ、Dについて黙ってやがった!」

 

 「うるせェ! そうやって聞いてくるからだろうが! いいから行くぞ! 観客が集まったら〝コンバット〟開始だ!」

 

 

 「あんた、とんでもない血筋だったのね……」

 

 ルフィだって〝D〟だし、ドラゴンだって世界的に有名なんじゃないの? まあ、確かにそれも気になるけど……。

 

 グゥゥゥゥ

 

 さっきから漂ってくる、旨そうなソースの匂いも気になる。焼きそばかな?

 

 「あはは。朝はパンしか食べてなかったわね! ほら、お小遣いよ」

 

 「う。ヒモみたいでヤダ」

 

 「紐? あんたの作った道具を売ったお金よ? まあ、少ーしだけ上前をはねてるけどね♪」

 

 絶対少しじゃないな。でも、そう言う事なら遠慮なくもらえる! ウサグチヒデヨが5枚で5,000ベリー、何を買おうかな〜♪

 ……なんか脳が完全に思考を放棄してる気もするけど、今は昼メシだ!

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 広場へ戻ると、さっきまでと景色が一変していた。

 数多くの屋台が並び、村の人達が買い物を楽しんでいる。広場の中央にはボクシングのリングがあり、それを囲むように観客席まで作られている。

 

 「へい、焼きそば一丁お待ち! 1,500ベリーだ」

 

 高ェ! でも……出店だしな。オマツリの雰囲気が財布のヒモを緩くする! いい金額設定してるよ、海賊のクセに!

 

 「まいど!」

 

 「はふはふ……うめェ!」

 

 サンジの料理には遠く及ばないけど、この単純な味付けがクセになるな。空腹なのも手伝って余計に美味く感じる。

 村の人達にも好評みたいだ。さっきから、見知った顔もチラホラ見かけてる……ゲンさん、ドクター、魚人達。そしてノジコさんとベルメールさん。

 

 「あら、エダじゃない。ナミも来てるの?」

 

 「テントの方にいると思う」

 

 「そう、ありがとね! あんたも、あんまり無駄遣いしちゃダメよ。ここの出店、異様に高いんだから!」

 

 「もうベルメールさん。お祭りなんだし、こういうものでしょ?」

 

 そう言って2人はテントの方へ歩いて行った…… とくに怒ってたりはしてなかったし、昨日のことはオレの気のせいだったのかな? 

 それにしても、ブギー達は急にやってきたのに村人は普通にオマツリを楽しんでるなぁ。仕事を休んで来てる人も多そうだ。みんなノリがいいんだな。

 海賊達の方は、動物の毛皮を被ったやつが何人かいるなぁ。流行ってんの?

 あ、またいた!……って、あれはモージだな。地毛だ。

 

 そういえばブギー海賊団の中にも、チラホラ原作キャラがいるな。

 さっき見たモージ以外に、カバジ、リッチーはもちろん。〝スベスベの実〟を食べた後のアルビダに、Mr.3ことギャルディーノ

 ギャルディーノがこの段階でいるのは、色々と問題がありそうなんだけど……それより気になるのが()()()()()()()だ。

 

 「おい! 麦わら! おれ達の船を狙撃しやがった奴はどこにいやがる!?」

 

 「おまえらが先に撃ってきたんじゃねェか!」

 

 「落ち着いてくれシャム。彼が言う事も正しいだろう」

 

 「だがよペドロ! あれが原因で船が沈んじまったんだぞ!」

 

 「まあ、そこを助けてくれたのが我らがブギー船長なんだけどな!」

 

 「ああ……船長の役目は、おれらじゃ務まらないって身に染みたぜ。結果的には良かったんだが……」

 

 「もういいだろシャム? おれ達の能力者ぎらいも、ブギー船長のおかげでマシになったしな」

 

 何故かブギーの仲間になってるニャーバン兄弟。いや、ニャーバン()()()って感じだな。

 ブチとシャムに加えてペドロ、それと少し離れた所に……ミンク族?の女の子がいる。猫のミンクで女の子は原作に居たかな? ダメだ! 猫っていうと、ネコマムシしか思い出せない!

 

 でも、あの顔に髪型どこかで見たような……? 体に巻き付いてる蛇も含めて見たことある気が……ヘビ? そうだ! 九蛇!!

 マーガレットだ!

 なんで猫になってるのか分からないけど、ミンク族じゃなくて悪魔の実なのかもしれないな。()()()()()()()わかるかな? 

 さっきからマーガレットは黙ってるけど、オレの英会話も大分上達してきてるんだ。今なら初対面の人でもフランクに話しかけられるだろ。

 

 上は風呂?(Where are you from?)

 

 「!! 貴方、ヒノモト語がわかるのか? でも、お風呂って?

 

 「お風呂? いえ、ヒノモト語を話せるのならこちらも有難いです。先程は、出身地をお尋ねしたんです

 

 「……私の出身を聞いてどうするつもりだ?

 

 「別にどうもしません。ただ、ミンク族かどうかが気になって……済みません、いきなり不躾でしたね

 

 「そう言うことだったの。でも、私はミンク族じゃない。それに、出身地は……

 

 「いえ! 答えたくないのなら、いいんです。無理を言ってしまい、申し訳ありません

 

 「あなた、男にしては礼儀正しいのね

 

 「そうでしょうか? あ、申し遅れましたがオレはエダと言います

 

 「私はマーガレット。名前は仲間にも秘密にしてるから、黙っててね

 

 やっぱり、マーガレットだったんだな。

 でも仲間にも隠してた名前を教えてくれるなんて、よっぽど信頼してくれたのか? 一方的に出身地を知っちゃってる分、余計に申し訳ないな。

 ハンコックの元にいないのは気になるけど、事情がありそうだし聞かない方がいいだろうな。それにしても、オレが礼儀正しいなんて言われるのは珍しいんだけど……周りが海賊ばかりだからそう感じるんだろうか?

 

 それからも、他愛も無い会話を少しだけした。

 久々に日本(ヒノモト)語で会話らしい会話ができたので、気分が大分安らいだ気がする。さっきブギーから聞いた衝撃的な情報の数々で、知らずに脳がストレスを感じていたんだろうな。

 

 

 「てめェ!! おれらの子猫ちゃんに何ナンパしてやがる!?」

 

 「チキショウ! あんなに喋ってるとこ見たことねェよ!!」

 

 「なんだ? 子猫ちゃんって?」

 

 「彼女の名前を知らないから、こいつらが勝手にそう呼んでいるんだ」

 

 「なんで、仲間なのに名前も知らねェんだ?」

 

 オレに絡んできた元祖ニャーバン兄弟が、ルフィの言葉で落ち込んでしまった。

 

 「それよりさ! ペドロって言ったよな? おれの仲間にならねェか?」

 

 「……いや、ここでやる事があるんだ。できればゲームで勝っても、おれと()()()()は指名しないでほしい」

 

 「そうなのかー。なら仕方ねェな!」

 

 ルフィが普通にスカウト失敗してる。でも、ペドロとマーガレットの間にも何か事情があるみたいだな。さすがにヤボだから聞けないけど。

 

 

 「久々に沢山しゃべれて嬉しかったわ。またどこかで会ったら話しましょう」

 

 湯は 上か?(You're welcome. )

 

 「ふふ、空にお風呂なんてないでしょう?」

 

 ……なんか、ネイティブな発音だと伝わってない気がする。

 

 ドン! ドーン!

 

 お、空砲だ。いよいよ、デービーバックファイトが始まるんだな!

 

 

 『避けて!』

 

 「え?……っ!? うわっ! ナミさん!?」

 

 「…………

 

 なんか滅茶苦茶怒ってる!? ていうか今、そのナイフで完全に殺しに来たよね!? まさか、寄生糸(パラサイト)か!! ここで出てきたか、ミンゴめ!!

 

 「おいナミ!? なんでエダを刺そうとしてんだ!」

 

 「アンタは黙ってて 私とこいつの問題よ

 

 ミンゴ関係なさそうだな。すまん。

 

 

 「ナ、ナミさん。その……ナイフ、うわっ!?」

 

 「ああコレ? ずっと もってたわよ? 護身用なの

 

 原作のアーロンパークでウソップを()()()()()した時のやつか。それから、肩のイレズミに何度も刺したやつでもある……!

 アーロンへの怒りをまた感じたけど、この世界の話じゃない。割り切って考えるか。

 

 という訳で……助けて! ルフィ……オレを!!

 そう目で訴えたら、ルフィは首を横にブンブン振ってきた。まあ、当たり前か。逆の立場ならオレだってそうしてるよ。

 

 「随分 その女と楽しそうに話してたじゃない

 

 「え!? 誤解! うおっ! やめて!」

 

 「落ち着け! エダとは、今日会ったばかりだぞ!」

 

 「恋はいつでもハリケーン? この泥棒猫

 

 いや、それナミさんの二つ名!

 ツッコミたいけど、迂闊な事を言ったらマジでやばい!! ここは、誠実に。

 

 「ただ話してた、だけ! です

 

 「…………わざわざヒノモト語で?

 

 「なんだよ痴情のもつれかよ」「はっはっは! この国じゃ良くある事だ」「いいぞナッちゃん! やっちまえ!」

 

 村人! なんなんだ一体!? 考え方が物騒すぎるぞ! ナミさんがヤンデレみたいになってるのも意味がわからないし!! さっきから、紙絵(カミエ)もどきで何とか避けてるけど……キツイ!!

 大体、この国じゃ良くあるって……?

 

  『ドレスローザの女性は情熱的で、男に裏切られると容赦なく刺す』

 

 あああ!!! そうだよ! この世界じゃナミさんも、ドレスローザの女性だったんだ!

 

 

 「ちょいと失礼、お嬢さん方」

 

 「なにアンタ 狼の毛皮なんてかぶって

 

 「一つ聞くぜ? パンツ見せてもらっても、いいかい?」

 

 「「見せるか!!」」

 

 助かった……? ナミさんは怒りが別の方へ向いたからか、ヤンデレモードが解除されて何処かへ行ってしまった。

 オレを助けてくれた狼さんは、いいパンチをダブルでもらってたけど大丈夫か!?

 

 「あの! 大丈夫か?」

 

 「ヨホ。女性を口説くなら1人までにしておきな、それがコツだ」

 

 「助かった、狼の人!」「ありがとう。エダを助けてくれてよ!」

 

 「おれの事は〝ウルフ・ギャング〟そう呼んでくれブラザーズ」

 

 「「ウルフ・ギャング!! カッケェ〜!!」」

 

 何だこのワイルド紳士は! なんか昨日オレが仕留めたオオカミに似てるけど、漂う風格がハンパじゃないぞ!

 こんなことなら、ゾロにあげるんじゃなかった! オオカミの毛皮がこんなにカッコイイなんて……あ、ゾロだ。

 

 「おいエダ!! さっさと行けよ。もうブギーが、リングで待ってるぜ?」

 

 「わかった! 行ってくる」

 

 「勝ってこいよー!」

 

 「おや、ゾロさん。先程はどうも」

 

 「……さっきまでの口調はどうしたんだ?」

 

 「ヨホホホ! 狼男で一曲作ろうと思い、なりきってただけです」

 

 色々な問題を棚上げにしてる気もするけど……! まずはコンバットだ!! 相手はブギーか……でも、遠慮はしないぞ。オレの新技を味合わせてやる!

 

 《さあ! 両選手、グローブを着け終わりいよいよ準備万端だー!!》

 

 「ぎゃははは! 遠慮しねェぜ? エダ!!」

 

 「……」

 

 やばい! やばい! やばい!!

 グローブを着けなくちゃいけないのを完全に忘れてた!!

 オレの能力、指と(てのひら)と手首。全部封じられた!? いや、速攻ニードルを貫通させてグローブを破けば……!

 

 《なお、グローブを故意に破壊するのはもちろんルール違反!! 即、反則負けだ!!》

 

 あの実況、見聞色でも使ってるのか!? ていうかアイツ、フォクシー海賊団にいる筈のイトミミズだな。 

 

 《それでは! デービーバックファイト最終戦、コンバット!! 赤コーナー! 最近二つ名が変わった我らが船長!〝千両道化のブギー〟だぁ!!》

 ワァァァァ

 《対する青コーナーは! 痴情のもつれも何のその! 麦わらの一味!〝スケコマシのエダ〟だぁっ!!

 ブー! ブー!

 

なんか、居ないはずのサンジまで親指を下に向けてる姿が見えるけど……気のせいだな!!




 ナルトは、女の涙の落ちる音を聞いて駆けつけて来ました。
 《上は風呂?》と《湯は上か?》は、さまぁ〜ず式英会話です。私のオススメは「海の色は何色ですか?」って質問文です。
 What color is the ocean? 
   分からずやおじさん
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。