植物好き(仮)と麦わらの一味もどき   作:浅学寺のえる

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第30話〝コンバット!!!〟

 「ぎゃははは! 随分と自由に生きてるじゃねェか、エダ!」

 

 「誤解だ!」

 

 「だが、ドレスローザの女に手を出しちまったんなら浮気は〝死〟だぜ?」

 

 「誤解!」

 

 「おめェが死んだら、ロビンだって死んじまうから気を付けろって事だ。やるならコッソリとな。それがコツだ

 

 ウルフ・ギャングとは天と地の差だな! う、でもこれだけアウェイな状況だと、ブギーの優しさすらありがたく感じる……。

 

 《では、始まります! 武器なし!覇気なし!能力あり! 倒れるか!リングを出るか! それまでは、ひたすら男同士の殴り合い!! コンバットの開始です!!》

 カーン!

 

 はじまった……! いま使える能力は〝根〟と〝葉〟だけだ。そして、相手は〝バラバラ〟。なら、狙うのは……!

 

 「お?……なんだ? いつもと、感じが違ェ?」

 

 「おりゃあ!!」ゲシッ!

 

 「ぐぉぉ!? テメェ……ぐほぉ」

 

 足首より下は()()()()って予想は当たりだな! いきなり蹴り技だけど、もうなりふり構ってられない!!

 痛みで怯んだのか、バラバラになる様子もなさそうだ! 今の内に打ち込みまくってやる!!

 

 《まさに外道! 殴り合いと言ったそばから足を踏みつけたぞ!! この男に、人の心はないのかー!?》

 ブー! ブー! ブー!

 

 ()()()()の! ガトリング!!」

 

 「まで、ぶ……のうりょ……ぐへっ!」

 

 ヒトヒトの実を人が食べると、人と成るんだ! だから、心もきっとある! オレ自身は〝悪魔の実〟の意志かもしれないけどな!

 

 「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 くそ、今の筋力だとあれだけ打ち込んでもダウンさせられないかっ! 息を整えないと、マズい、けど。バラバラになられたら、もっと、ヤバい……。

 

 《どうしたんだ、キャプテン・ブギー!! なぜ能力を使わない!?》

 

 「きっと、スケコマシの野郎も能力を使ってないからだ……!」「え?」

 

 「あの人は、そういうお人だろ?」「仁義か……!」「キャプテン・ブギー! 一生ついてくぜ!」

 

 ブギー! ブギー! ブギー!

 

 そんな奴じゃないと思うけど……でも、確かに能力を使って来ないな? とにかく、呼吸を整えないと……!

 

 


 

 

 また、この流れかよ!

 いつもそうだ。おれが何をしたって、勝手に良いように解釈されちまう! おかげで、テメェより強い奴らまで進んで手下になりやがる。

 

 「はぁ、はぁ、はぁ」

 

 エダはさすがに息切れしたか。腕が細ェから、大して効いちゃいねェが……いまヤべェのは能力が使えねェって事だ!!

 あいつが近づいてくると、制御が出来なくなっちまう! 左手を浮かしておくだけで精一杯だぜ。

 ドリアードの能力じゃねェ筈だ。暴走してる時だって使えたんだからよ。つーことは?

 

 「おめェ、まさか足に海楼石でも仕込んでんじゃねェよな?」

 

 《なんと!! まさかの不正疑惑だ!! レフェリーの審査は……!? 首を横に振っている!! 残念! 不正はなかったぁ!》

 

 「エダはそんな事しねェぞ!」「でもスケコマシだしな」「女の敵!」

 

 ブー! ブー! ブー!

 

 違ェのか!? だったら一体?

 チキショー、今の中断でエダの呼吸が整っちまったな。深呼吸なんかしやがって、なにするつもりだ!?

 

 

 「オレは! ナミさん一筋だぁっ!!!」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 「はぁ、はぁ」

 

 せっかく息が整ったのに、叫んっじゃったから逆戻りだ。アイツらが好き勝手言うから、つい反論しちゃったよ。

 

 ワァァァァ!!

 

 《なんて情熱だ!! この大観衆の中で、堂々と愛を叫んだぞー!!》

 

 「……バカ」「ナミさん!? なんで満更でもない顔を!?」「ししし、おれは知ってたけどな!」

 

 そうか、勢いで告白しちゃったのか。そこまで頭が回ってなかった!

 ……いまさらだな。2人きりの時に、何度か似たような事は言ってるんだ。

 

 

 「ここは情熱の国だからな。見事に観衆を味方に付けたじゃねェ、かっ!」

 

 そう言ってブギーが()()殴りかかってきた! ホントに男気で能力を使わないつもりなのか!?

 オレも能力は封じられてるようなもんだ! だったら、()()その心意気に乗らせてもらう!

 

 「仲間の応援で十分、だ!!」

 

 「その仲間を奪っちまうのが! デービーバックファイト、だっ!!」

 

 「ぐっ、だから! 負けられないっ!!」

 

 《両者能力を使わず殴り合いーっ! そしてデービーバックファイトの残酷さを語るが!? もう後戻りはできない!! 既に、デービー・ジョーンズへコインは送られているんだ!!!》

 

 「そうだぜ。この誓いを破りゃ、海賊の世界で生きていけねェ! ついでに教えといてやる、この戦いに勝ったらテメェらの船長をもらう!!」

 

 「え? おれ?」「教えたでしょ!」「そうやって延長戦をやらせようってハラだろ」

 

 

 「……ちなみに、延長戦は?」

 

 「ぎゃははは! もう敗けた時の心配か? 仕切り直した1戦目は〝演奏〟だ! そういや、テメェらの所に音楽家はいねェんだったな!!」

 

 「汚い!」「なんで種目が決まってんだ!」「でも仕切り直すんなら、おれが出れるだろ! 歌うぞ!」「その場合、おまえは()()()()だろ」

 

 《麦わらの一味は少人数! だから、タイマン限定の特別ルールなんだ!! 文句は仲間を増やしてからにするんだぞ!》

 

 いや、今はそれだけ聞ければ十分だ。上手く行けば、クリスタルを交渉で手に入れられるかもしれない。

 その為にも〝コンバット〟は何としても勝たないとな!

 

 

 「レフェリー! ルール確認。リングの破壊は?」

 

 「ちょっとまて……あー、原形を留める範囲でなら問題ない」

 

 「なんだ? ()()()穴開けか? そいつぁ、ルール違反だぜ?」

 

 ハチって言う〝トリトリの実〟の能力者が監視してたんだったな。オレが島で穴を開けたのを見られてたか……でも、今は関係ない。

 リング破壊の確認は、威力が強すぎてロープを千切ってしまうかもしれないからだ。うーん、でも()()()()で撃ち上げれば大丈夫かな?

 このままじゃジリ貧だし、さっきからの殴り合いで丁度グローブのヒモが緩んできてるんだ! 今なら隙間から〝蔓〟を出せる!!

 

 剛力羅猿殴り(ゴリラパンチャー)〟!!

 

 《ここにきて能力を解禁したぁー!! 腕が一瞬で太く、しかも()()になった!?》

 

 ここまでは、午前中に試してる。〝蔓〟を腕に巻き付けて、擬似筋肉を作る……()()()()()ちゃんと動かせそうだ。

 

 でもまさか、こんな誤算があったとは……!

 

 「ぎゃはははは!! なんだその格好! ホンモノのゴリラみてェだぞ! まさか、腕が重くて持ち上がらねェのかよ!?」

 

 くそ、その通りだよ。さっきのガトリングで、背筋(はいきん)()を上げてる! 一度くらいなら持ち上げられそうだけど、振りかぶって殴るのは無理だ!!

 やっぱり、素の筋肉が全然足りない! もっと早く鍛え出すべきだった!

 この格好じゃまるで、四足ダッシュの奇人ハンバーグだ。オレは無駄に腕を動かせないから、ダッシュできないけど!

 

 《なんてことだ! 能力を使いこなせてないぞー!! だが、先に使ったのはソッチだ!! いよいよ出るか!? ブギー船長の〝バラバラ・フェスティバル〟!!》

 

 「何やってんのよ!」「あの馬鹿!」「動けないのかよ!? エダ!」

 

 動けない。背筋(はいきん)を蔓で作るエネルギーも、もう無い! あの高い焼きそば、値段の割に栄養価が低いぞ!?

 そうだ!〝根〟で地面から栄養を!!……くそ、()()()()か! 砂がギッシリ詰まった先は、鉄板にでもなってるのか刺さらない!

 砂からじゃ、吸収できる栄養の量はたかが知れてる! 手詰まりなのか!?

 

 「動けねェからって、遠慮しねェ、ぜ!!」

 

 「がっ!!」

 

 《おおっと!! このまま決まるかー!? そして、急に強い風も吹いてきたぞー!! 我らが船長を勝利へ導く追い風なのかーっ!?》

 

 ワァァァァ!

 

 本当に風向きが変わったな。ナミさんだったら、嵐の前兆とかに感じてるのかな?

 ナミさんが心配そうな顔で見てるな……不安な思いはさせたくなかった。

 その隣で、ベルメールさん達も応援してくれてる……最初の頃、親指を下げてたのはやっぱり気のせいか……

 はは、ゲンさんの風車も回ってる。あれを見ればナミさんも笑顔になってくれるかな?

 …………風車?

 

 そうだ! ゴムゴムの風車!! あれだって()()()()技なんだ! 固定回転、オレなりのやり方で……!

 でも、蔓をこれ以上出すのは厳しい……何か手は!?

 ……()()があった!!

 

 

 「うぉ!? なんだぁ!? その()()も能力で作ってたのか? だが、そんな細いモンで何を?」

 

 最近、狙撃してないけど眼帯を付けたままにしておいて良かった! ブギーも勝手に警戒して離れてくれた……今がチャンスだ!!

 オレの身体に常時触れてる眼帯なら、意のままに操れる! 細くすれば、長さも十分のハズ!!

 

 よし、まずは〝根〟からだ!

 右の足裏から、リング下の砂全体へ伸ばして下準備。次は、左の足裏から真っ直ぐ下へ伸ばして体を固定。横根は細く、()を重視だ。

 

 眼帯を改造したヒモの端を口で咥え、オレの()()へ巻きつける。動かない腕は無視だ!

 逆側のヒモの端をコーナーへ結びつけ……固定! 良かった、なんとか足りてくれた。

 右足の根を切り離して、あとは……!! ぐぐ、うぉぉ。腕が重いけど、どうにか()()できた!

 

 《ツルのようなものをグルグルと体に巻き付け! ()()()で立ったぞ!! 何をするつもりだ、スケコマシーっ!!》

 

 「いい加減にしなさいアンタ! エダは〝植物好き〟よ!」

 

 口のヒモを離して、コーナー側を起点に()()!! お、おお、おお!! 横根だけ千切れた! 上手くいきそうだ!

 ギュルルルルルル!!

 

 「あれは!? 悪魔風脚(ディアブルジャンブ)をやるのか? 無理だ! アイツの弱点は火だろ!?」

 

 このまま独楽(コマ)の要領で回り続ければ……! 遠心力で腕を上げたまま維持できる! お小遣いをもらう時にナミさんのヒモになるのかと焦ったり、散々スケ()()シなんて言われたから、独楽回しを思いつけたんだ!

 

 《スケコマシ改め〝植物好き〟のエダ! 腕は上がったが、その場で回り続けるだけだー!!》

 

 「へ、当たればヤバそうだが離れてりゃ問題ねェな!! その内、回転も終わるだろ!」

 

 《なんだ!? 何かが高速で発射された!? これは、葉っぱ? ただの葉っぱだー!! 無駄に大量だから、巻き上がってリングが見づらいぞぉー!!》

 

 滅多に役に立たない〝葉〟も燃費だけはいいから使ってやる! この勢いで出せば、多少は目眩しになるだろ。

 回転が安定してきたな、あとは左足の根を切り離してチェックメイトだ。

 

 「なにぃ!? 何故、動いてる!?」

 

 「あばば、ぎごばば、ばばばばば!!」

 

 「何言ってやがる!?」

 

 ああ……回転してるから聞き取れないのか!

 ブギーへ向かって進んでる理由は簡単だ。右足の根で最初にブギー側のリングの砂から、わずかに含まれてた水分を吸収しただけだ。

 見た目では分からないけど、微妙な傾斜がついてくれた! これでベーゴマと同じように()()()()()()()()!!

 

 「うぉぉ!? 来るな!!」

 

 《キャプテン・ブギー! なぜ能力を使わないんだ!? まさか受ける気か!? アンタ、そこまでの漢気を!?》

 

 そうだった! 能力でバラバラになれば避けられるんだ!? う、チェックメイトだ。とかカッコつけちゃったよ! 心の中でだけだけど!

 

 「大丈夫よ。ブギーは能力が使えないみたい」

 

 !? なんだ? そう言えば、ナミさんに刺されかけた時も!? これが……見聞色!? 土壇場で覚醒しちゃったな!!

 

  廻天風車(サイクロン・テンポ)〟!!

 ドゴドゴドゴドゴゴゴ!!!

 

 「ぶへ!!ぼへ!!ちば!!ばぎぃんっ!!!」

 

 あ、ロープで跳ね返ってくるブギーに連続ヒットしてる……格ゲーでいう壁ハメってやつだな。

 

 《むごい!! お前に慈悲はないのかっ!? 植物と女しか愛さない男! 植物好きのエダァッ!!……もうやめてくれェー》

 

 ブギーのライフがとっくにゼロなのは分かってるけど……! 自分じゃ、止まれないんだ!!

 

 カンカンカンカーン!!

 

 おわっ、レフェリーのカイリキーに止められた!? 小さいのに凄い怪力だな。

 ……うぅ、視界がグワングワンしてる〜。

 

 

 「勝者!!〝植物好き〟のエダ!!

 

 ワァァァァ!!

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 「エダー!!」

 

 「わ、あぶない! まだフラフラしてるから」

 

 「てめェ、ナミさんにハグされてるクセに何言ってやがる!」

 

 「サンジ、二日酔いは?」

 

 「……もう治ったよ」

 

 さっきのサンジは、幻覚じゃなかったんだな。元気になって良かったけど、今はオレの方が二日酔いみたいにフラフラだよ。

 

 「やったな! エダ! 最後のはゴリラのマネだろ? やっぱスゲェなぁゴリラ!」

 

 「エダを褒めてやりなさいよ」

 

 いや、ゴリラが凄いんだよナミさん。画集のタイトルにもなってるしな。

 今は腕だけしか制御できないけど、目標は全身アーマーだ! ロウソク人間だって出来るんだし、植物でも再現できるハズだ!

 でもまずは、地道な筋トレだな。一番大事なのは素の筋肉なんだし。

 

 

 コンバットの決着で盛り上がってた会場も、徐々に静かになってきたな。

 あとは船長同士で、移籍のやり取りをするだけなんだけど……ブギーはまだ気絶してるのか? 最後の攻撃を、避けずに全部くらったんだから仕方ないか。

 あの時ブギーが能力を使ってこないって確信できたのはやっぱり、見聞色に目覚めたって事だよな? サンジより先に覇気を覚えちゃったかもしれない。

 

 「船長が目を覚ました!」「でもどうして攻撃を食らったんだ!?」

 

 「確かに、避けようはあったよな?」「実は船長って大した事ないんじゃねェか!?」

 

 「あの攻撃だってレフェリーが軽く止めてたしな」

 

 

 「聞け!! おまえ達!!」

 

 「カイリキさん!」「なんだ? チビっこいオッサンだろ?」「おめェ新入りだな? あの人は元副船長だ」

 

 「ブギーは、黙って攻撃を受けるしかなかった! なぜなら……相手が息子だったからだ!!」

 

 「「「なんだってー!?」」」

 

 一概に否定できない……!! それに、さっき口止めされてるしな。

 

 


 

 『おまえ、ブギーが能力を使わないと確信してたみてェだが……まさか〝見聞色〟を使ってないよな?』

 

 ギクゥゥ

 

 『その反応で十分だ。ルールでの覇気は基本〝武装色〟の事だが、まあグレーゾーンだな。ここは黙っててやるから、これからの展開に口を出すなよ?』

 


 

 

 その後、カイリキーが都合のいいブギー像をでっち上げて海賊団はますますブギーを尊敬し出した。

 あの無人島へ置き去りにしたエピソードを上手く絡め、最終的には〝再会した息子の一撃をわざと受けた〟って形で話をまとめていた。スラスラとよく嘘が出てくるなぁ〜、確か真実を少しだけ織り交ぜるのがコツなんだっけ?

 

 でも〝浮気性の息子に喝を入れようと思い、試合に出た〟ってくだりホントに必要だった?

 カイリキーの話が終わったあと、モージやカバジのような古株の船員達は合点がいったような反応をしていた。

 

 「やっぱり、あの島に……!」「あの時言ってた、宝ってのは息子の事だったのか!?」

 

 ブギーもやっぱり、バギーみたいに都合がいい解釈をされる運命なんだなぁ。今は回復してきたのか、ポカンと口を開けて固まってる。

 

 「おかしいと思ったぜ! コンバットは船長の得意種目なのによ!」「息子の成長を、その身で受け止めるとは!」

 

 「若も海賊らしい容赦のなさだったな!」「ああ、さすが二代目だぜ」「キャプテン・ブギーJr.(ジュニア)だ!!」

 

 それにしても、単純な船員(クルー)が多いな。あと、勝手に色々な呼び名付けないで!

 

 

 「おめェの父ちゃんブギーだったのか……!」

 

 おめェの父ちゃんはドラゴンなんだけどね!

 あと、実父はロジャーだし。まあ、()()()()だけど。

 ナミさんは事情を知ってるからか、ドンマイと励ましてくれる。さっきのヤンデレ具合が嘘だったかのように、いつも通りに戻ってて安心した。いやホントに。

 でも、ゾロ達からの視線が生暖かい! ブギーの息子って、そんなにレッテルなのかな? ブギー海賊団の方は手のひらを返して、オレに優しくなったんだけど……せめて呼び方は統一してほしい。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 「麦わら! さあ、誰を選ぶ?」

 

 「ウルフ・ギャング! なあ、ウチで一緒に海賊やらねェか?」

 

 ああっ! 色々あったせいで、ルフィに説明してなかった!! 

 上手くすれば、クリスタルまで手に入っちゃうオレの()()()()()がぁ……!

 

 

 「ヨホホホ、指名されちゃいましたね。ブギー船長、長い間お世話になりました」

 

 「ああ、おめェが最初から()()()()()()()だって言ってくれりゃ、()へも行ったんだがな……」

 

 「助けて頂いただけで十分ですとも! 私の歌が恋しくなったらTD(トーン・ダイアル)を聞いて下さい」

 

 「おう! 養殖で増やした分は売り捌いちまうけどな! 船にはオリジナルだけありゃいい」

 

 「ヨホホホ! では、これにて」

 

 「あばよ、()()()()()()()

 

 「ええ、ブギー()()

 

 TDもう出てるの? ていうか、ウルフ・ギャングってブルックだろ! ヨホホホって言ってるし。あと、パンツへのこだわり!

 てことはブギーの元に、麦わらの一味が2人も所属してたの!? さすがにもう隠れてないよね……?

 

 ジンベエには昨日会ってる。若干見た目が違うけど、誤差の範囲だろう。

 いるとすれば、チョッパーとフランキー……うん、パッと見だといないな。あの2人は目立つ風貌だし、気付かない訳ないしな。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 「改めまして、私、死んで骨だけ。名をブルックと申します!」

 

 「えぇー!? ウルフ・ギャングじゃなかったのか!?」「はぁ、さっきパンツがどうこう言ってた時点で気付いてたわよ」

 

 「今日(こんにち)より、麦わらのルフィー船長にこの命! お預かり頂きます!」

 

 「マジで、骨だけなのかよ!?」「だが、念願の音楽家だぜ?」「ようやく、若くねェ船員が来てくれたか」

 

 あ、副船長もいつの間にか居たのか。

 オオカミの皮を脱いだブルックは〝神風〟と書かれたバンダナを巻いている。あの下にアフロが隠れてるのかな?

 

 

 「骨身を惜しまず、頑張ります!! ヨホホホ!」

 

 「よろしくな、ブルック! ししし、音楽家だ! 楽しみだなぁ〜!」

 

 「骨だから分かりにくいけど、アンタそんな若くねェだろ? ちなみに、ワシは45だ」

 

 「あ、私90歳です」

 

 「ピッタリ2倍かよ!?」ビシッ!

 

 「ヨホホホ! ()()()()と歳を重ねています。ホネだけに!」

 

 「スカルジョーク……!」

 

 「おや? 分かりますか坊ちゃん! さすが、ブギーさんの息子さん!」

 

 「坊ちゃんはヤメテ!」

 

 

 「さあ、村人共! お次はサーカスだ!! 今日は特別に! 見物料1人、3,500ベリーにまけてやるぜェ!!」

 

 ワァァァァ!!

 

 安い!……安いよな? さっきから周りで、安いだのお得だの言ってる()()()が多いけど、サーカスって考えれば実際安いと思う。丁度お小遣いの残りがピッタリあるし観に行こうかな♪

 

 「なに釣られてんのよ」

 

 「え? 観ないの?」「そうだ! 観ようぜ!」

 

 「高いでしょ!!」

 

 高いのか? そう言えばさっき、ベルベールさんも似たような事言ってたな。ナミさんが倹約家なのは、そのせいかぁ。

 もう村人は、ほとんどサーカステントに入っちゃったけど……ナミさんの身内は外にいるな。なんか受付っぽい所で値切り交渉してないかアレ?

 

 ワァァァァ!

 

 あ、多分サーカスが始まった。まだ外にいる海賊はサーカス要員じゃないのかな? インペルダウンから脱獄してきたようなゴツい感じのが多いけど……。

 

 「ナミのケチ! おれは、サーカス見たかったぞ! なあ、エダ?」

 

 「え!? 大丈夫。お金、だいじ」

 

 「分かってるじゃない、エダ♪」

 

 「ありゃ、尻に敷かれるな」「もう敷かれてると思うぞ、ワシは」

 

 「それにね、さっきから風向きが変わったでしょ? ちょっと読みにくい風なんだけど、念のため船を……」

 

 「……! あぶねェ!!」

 

 「〝ホワイト・アウト〟!!!」

 

 「きゃっ!」「ナミさん!」「うおっ!」「クソ! なんだこりゃ!?」「なんだこのモクモク!」

 

 一瞬にして、かなりの数の海賊が煙の腕に捕らえられてしまった! オレも副船長が身代わりになってくれなかったら捕まってたところだ!

 ウチで無事なのは、オレとブルックだけかっ……!?

 

 

 「ナミさんを離せ!〝ニードルキャノン〟!!」

 

 「ザコに用はねェ!!〝ホワイト・アルマーダ〟!!

 

 「ぐはっ!」

 

 オレのキャノンは、奴の膝辺りを呆気なくスリ抜けてしまった。

 煙の能力、口に咥えた2本の葉巻……そしてオレの〝棘〟を食っちまうズボン、間違いないスモーカーだ!!




 未遂で終わったエダの完璧な作戦(穴だらけ)
 延長戦の対戦相手を指名する素振りを見せる → 「それなら延長戦は無しだ」と言質を取る
 ピーナッツ戦法だとブイーングが飛ぶ → 「さっきのは確認しただけで、指名はしていない」等と屁理屈を言う
 ルフィが〝旗〟を指定 → 「旗が嫌なら、クリスタルを寄越せ」

 作戦の穴にナミは気付いてましたが、自分が要所要所でカバーすれば問題ないと踏んでいました。しかし、色々と巻き起こったため作戦の事は完全に頭から抜けてしまったようです。
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