第34話〝地中海の甲板から〟
ー ココヤシ村を
「うんめェー! もっと焼いてくれよナルト!!」
「任せろ! おいエダ! じゃんじゃん出してくれ」
「……これ、コスパわるい」
「なに言ってんだ! そのための
行くぞ!
それと言うのも、急な出航で航海の準備が整っておらず早速食料が枯渇してしまったためだ。まあ、昨夜の宴会がトドメになったんだけどね。
以前と同じく、オレが作れる〝タラの芽〟で乗り切ろうって案が出たんだけど、みかんを植えた花壇からは栄養を吸えないので、一度 地面のある場所へ寄ることになったんだ。
そう、ここは今だにジブラルタル海峡の手前──ドレスローザの海岸沿いにある林だ。
「ホントこの〝お好み焼き〟っておいしいわね♪」
「だが、具が海鮮だけってのが物足りねェな」
「贅沢言うんじゃねェマリモ! 行者ニンニクだって入ってんだろ!」
「いやぁ、凄いですね〜ナルトさんのサバイバル料理!」
「ワシらが釣った魚もまだまだあるぞ! どんどん焼こうぜ!」
ここでオレ達は〝お好み焼きパーティー〟をしている。
上陸してからルフィー達は釣りを始めて、オレは地面の栄養を吸って〝タラの芽〟を作っていた。その間 林へ入っていったサンジは、山菜や掘り出した自然薯を持ち帰って来たんだ。
その
でも、オレの出せる〝根〟は、おそらく〝オークの木 の根〟だろうから食用にはならない。
今回使うのは〝枝〟だ。
一部のヤシの木や、
前世のテレビ番組で得た知識だけど、ソテツ由来のデンプンをお粥などにして戦中の食糧難を乗り切ったと紹介されていた。まあ、ちゃんと下処理しないと毒があるんだけどね。
〝枝〟でソテツを再現して、樹液操作の要領でデンプンを抽出──ぐ、この精密操作は栄養をめっちゃ持っていかれる!
でも、危惧していた
多分──オレが作れる毒は、前世で体験したもの限定 っていう
「エダ! でん粉が足りねェぞ。もっと出してくれ!」
「コスパ!!」
さっきからオレは、デンプンを作っては お好み焼きを食べ って工程を繰り返してるんだけど……身体へ全然 栄養が回ってこない!!
お好み焼きで得られる栄養より、デンプンを作るのに使う栄養の方が圧倒的に多いんだ。サンジ、エントロピーの法則って知ってるかい?
おかげで、地面からも常時 吸い上げてようやくイーブンになってる状態だ。
タラの芽の方が簡単に出せるって言っても、渋い顔をされてしまった。まあ、流石に飽きるよね……。
「もう、なに怒ってるのよ? 美味しわよ?」
「知ってる。ソースも最高!!」
「ワシもこのソースは気に入った! でもよ、良く考えたらコレってエダの体から出てきた物を食ってるんじゃ……!?」
「えぇー!? じゃあコレ、エダのうん」
「「ルフィーを黙らせろ!!」」
なんてこと言うんだ船長コノヤロー! 仲間のために、身を削ってるって言うのに!
それ言っちゃったら、クラッカー戦でビスケットを食いまくってた原作ルフィはどうなるんだ!
それに、食べ物を出せる能力は意外と多かったんだ。カタクリにペロスペロー、それとシュトロイゼンの〝ククククの実〟なんてそのまんま料理を出す能力だし……なんかビッグマムの所に集中してるなぁ。
「あのねぇ、なに今更な事言ってるのよ? 前にもタラの芽を食べたじゃない」
「まあ、ナミさんの言う通り問題ねェよ。〝悪魔の実大図鑑〟には食料を出せる能力が幾つか載ってんだが、どれも普通に食えるモンらしいから安心してくれ」
「そういや、そんな図鑑が本屋に売ってたな。ナミは買わなかったみてェだが」
「買うわけないでしょ!? あんな高い本、貴族か豪商でもなければ買わないわよ!」
「よかった〜、では、坊ちゃんのうん「やめろ!!」ではないのですね! ヨホホ!」
原作通り、ブルックが食事中のマナーを心得てない事が判明した。
「上等だ! どっちがデカい獲物を取って来れるか勝負しようじゃねェか!」
「ワシも見聞色を鍛えるために狩りに行ってくる!」
食事が終わって、再び食料調達だ──ゾロとサンジは狩り勝負。副船長は、ゼフさんから覇気の概要を聞いてたらしく、野生動物の気配を探って修行するらしい。オレもそっちへ行きたかったんだけど、デンプンを作ってくれと頼まれてしまった。
どの道、次の街までの分を確保しないと出航できないから、作りはするんだけど……コスパがなぁ。
とりあえず一箇所だけで地面から栄養を吸い続けたら環境に悪いし、移動するか。
船の近くへ来てみたら、ナミさんが空を見てるけど どうしたんだろう?
「ねぇアレ! 伝書鳩じゃないみたいだけど、鳥が何か持ってるわ」
「ニュース・クー!?」
ずっと見かけなかったから、この世界には居ないと思ってたのに! 帽子を被ったカモメが鞄を下げてるから間違いないだろう。
やっぱりモルガンズが関係してるのかな? あ、オレ達に気付いたのか降りてきた。
「ふふっ、人懐っこいのね。ここにお金を入れれば、新聞を買えるの?」
「あれ? はじめて?」
「そうよ? 伝書鳩以外で、鳥を利用する事業なんてなかったもの。この新聞も創刊号みたいね」
「世界経済新聞?」
「ええ。良く読めたじゃない。簡単な挨拶文もあるわよ? なんでもM・Gが鳥の能力者を雇用して、この新聞の編集長にしたみたいね」
またもや、
でも、これからは航海中でも新聞が読めるのか。朝イチで英字新聞を読みながらコーヒーを飲むなんて生活も夢じゃない! 解読に時間かかるけどね。
「ちょっと!? 私達の事が記事になってるじゃない! まさか、別口で入ってた この
「手配書だぁ!」
「なに嬉しそうにしてるの! ばか!」
「ぐほっ」
怒り方がちょっと可愛くなったけど、パンチの威力はむしろ上がってないか!?
けど痛みなんて吹っ飛んだ!! おなじみの手配書シーンだ!! ワクワクが止まらない!
まだルフィだけかな? 3,000万ベリーかな? でも紙の束だし、もしかすれば麦わらの一味全員って事も!?
ー ゴア王国 フーシャ村 ー
「まったく! 2年も音沙汰が無いと思っとったら、こんな事をしでかしておったとはっ!!」
「村長さん。ルフィーが元気そうで良かったじゃない。村のみんなも喜んでますよ?」
「村の恥じゃ!!」
〝麦わら〟モンキー・D・ルフィ 5億ベリー
「でもこれじゃあ、名前がモンキーみたいね♪」
「〝D〟の方が問題だ! 海軍め、いきなり とんでもない額をかけおって!!」
──まったく、手配書だというのに笑顔で写りおって……たまには、ダダンの所へ顔を出してやるとするか。
ー シモツキ村 ー
「これは!? まさか海賊になっていたとは」
「先生! そのゾロって人、昔 道場に居たっていうアノ!?」
「ええ。今も〝三刀流〟を真似する門下生が多いですが、彼がその元祖です」
「スゲェ! この人が!?」「強そうだなぁ!!」「でも海賊なのに、海賊狩り?」
〝海賊狩り〟ロロノア・ゾロ 3億2000万ベリー
この
「先生、お客さんが来てるぜ!」
「ええ、今行きます──」
ー バレッタの街 ー
「メリー!! メリー!!」
「はい、お嬢様。ウソップの事ですね?」
「もう知ってたの!? ゴッドって呼ばれてる事も!?」
「はい。朝イチでクラハドールが見せてくれましたので」
もう! どうして私より先に教えちゃうの、クラハドール! メリーの喜ぶ顔が見れると思ったのに──!
〝ゴッド〟ウソップ・デラマンチャ 2億ベリー
「お嬢様。ペローナさんが訪ねて来られました」
「あ! クラハドール! ペローナに新聞は見せてない!?」
「え、ええ。私は見せていませんが……」
「カヤ! ウソップの写真が載っちまってるが大丈夫だ! モリア様が騎士団に確認したら、ウソップ・キハーノとは良く似た別人って話になってるらしいぞ……カヤ? どうした?」
結局、私が一番遅かったのね。ペローナの驚く顔も見たかったのに……!
でもやっぱり、ウソップさんの言ってた通りなのね。〝英雄〟が海賊になった事実を騎士団は絶対に認めない。
釈然としない気持ちもあるけれど、ウソップさんに安心して冒険を続けてもらうためにはこの方がいいのよね?
ー 孤島のレストラン バラティエ ー
「オーナー! み、見てくれよ、こ、コレ!! ぷふっ!」
「こいつぁ!」ぷぷっ!
「最高だぜナルト!」「ぎゃーはっはっはっ!」「そっくりだ……!」
これが世界中に知れ渡るとは、ナルトも災難だな。だが、似顔絵の上に
〝黒足のサンジ〟 1億7700万ベリー
まあ、普通の奴からすれば手配されてない様なものか。ある意味、悪運が強ェと言えなくもないが……
「オーナー! 店の客へ手配書を配りましょうぜ!」「新館の設計、この顔にしてみるってのは!?」
「お前達! 仕込みが先だ!……それと、手配書は大量に取り寄せておけ」
「「はい、オーナー!!!」」
さて、最近は魚料理が評判になってきてるな。ナルトの抜けた穴もある事だ、そろそろ新入りにも捌かせてみるか。
あの小僧のおかげで、例の爆心地にデケェ
ー ココヤシ村 ー
「うそ!? 昨日の今日で、もう手配書!?」
「しかもなんだ!
「ワハハ! まるで海王類がブチ切れた時の顔じゃの!」
「「ジンベエ〜!?」」
「うお!? スマンスマン!」
「まあ、いいじゃない ゲンさん も ベルメールさん も。ほら、笑顔の写真だったらウチにいくらでもあるんだし」
それに浮気されたと思ったドレスローザの女なら、誰だってこの
けど写真はともかく、この二つ名は──許せないわね!
〝泥棒猫〟ナミ 6600万ベリー
「おお、お前さんら早速 それを見ておったか」
「ドクター! もう大丈夫なの!?」
「まあな。出来たばかりの温泉に浸かって若返った気分だわい!」
「あの温泉ね。前から
温泉を掘り当てるのが夢だったゴローさん。ナミをM・Gへ推薦してくれたトトさんの弟さんだ。
結局、ゴローさんが元々掘っていた影響で温泉が出たって話にまとまったんだけど───ベルメールさんが上手く交渉して、村の人達は
将来ウチの婿になる人間が掘り当てたんだからとか言ってたけど、エダが来なかったらどうするのよ?
まあ、
ー ドレスローザのはずれ 海岸沿い ー
〝ソウルキング〟ブルック 8300万ベリー
「なんですかコレ!? ソウルキングなんて初めて聞いたんですけど! しかも、ライブのポスターみたいですし!」
「お前はまだ良いぜブルック?……おれなんてコレだぞ!? ああ、おれは世界中のレディーから笑われるんだ!」
「ヨホホホ! たぶん大丈夫ですよ。名前がサンジとなってますし」
「そうだった!? エダ! テメェがあだ名で呼ぶから!!」
「ごめんサンジ!」
サンジが悲しんでるところ悪いんだけど、こっちの衝撃の方がデカすぎる!
どういう訳か、みんなの懸賞金が原作のドレスローザ後の額なんだけど!!?
確かに、今はドレスローザ後なんだけども! こんな額が付けられる様な事してないだろ!
「しししし! おれ5億だってよ! けど、なんで名前が逆なんだ?」
「おれは3億と2000万か。ま、妥当だな。〝豪剣〟じゃないのは気になるが……」
「ワシは2億だ! はっはっはっ!……笑ってないと気がおかしくなりそうだぜ。ゴッドってなに?」
「なんで私が〝泥棒猫〟呼ばわりされてるのよ!? 泥棒なんてした事もないのに!」
え!? ナミさん泥棒じゃないのか!
──考えてみれば、村がアーロンに占領されてないんだし当たり前か。
けど、それだと泥棒スキルも無いって事だよな? その代わりとして、
うーん? 何回か 盗みの技 で活躍するシーンもあったと思うんだけど、この先大丈夫かな?
「あの皆さん、私 新聞にもう一枚挟まってたのを見つけちゃいましたが──」
「お! エダのじゃねェか!?」
「オレのもあるの!?」
「ははっ、嬉しそうにしやがって」
「それがですね──」
なんだなんだブルック。随分と勿体ぶっちゃって! まさかとは思うけど、凄まじい額が懸けられているとか!?
参ったなぁ〜、 船長のルフィより高くなっちゃたらどうしよう?
〝千両導化〟ブギー 31億8900万ベリー
────は?
なんだあの額。原作のティーチより高いんだけど……まさか、四皇?
原作25巻の表紙、シャンクス ルフィ ティーチ バギー の4人が描かれているアレだ。前世でも、未来の四皇はあの4人になるんじゃないかって常々言われてたけど───オレが死んだ後に、ホントにそうなったのかも!?
死ぬ前に、ルフィの懸賞金が30億になって四皇入りしたって事だけは確認できてる。だから カイドウ と ビッグマム が四皇から落ちて、ルフィ と バギー がその枠に入ったって事だろうな。
はぁ、バギー……じゃなかったブギーが31億かぁ。
「エダ……その、良かったじゃない懸賞金なんて懸けられてない方が動き易いんだから!」
「だがよ、テメェの親父が
「ワシはかける言葉が見つからねェよ」
あ、まだ息子設定が生きてたのか。誤解なんだけどなぁソレ。
「坊ちゃん! もう一枚ありましたよ! 今度こそ、坊ちゃんなのでは!?」
「お! ちゃんとエダだぞ! よかったな!」
「だがこの写真──」
「お前! この、抱きしめてるレディーは!?」「ナミだろ」「ああ、ナミだな」
「ウソ!? 写真撮られてたの!?」
ああー!!
まあナミさんは後ろ姿だし、親しい人じゃないと気づかないだろ───ここには親しい人しか居ないんだけど、みんな今更って雰囲気だし大丈夫かな? サンジから出てる炎は気のせいだろう。
それにしても、写真の表情は我ながらキリッとしてるなぁ。前に副船長が精悍な顔になったとか言ってたけど、これは気のせいじゃなさそうだ。
〝植物好き〟エダ 800万ベリー
うん、懸賞金はアレだけどね。ヒグマと同じだけどね。
けどヒグマを舐めちゃいけない。もしかしたら〝海軍大将 緋熊〟ってネタが実現して、オレが死んだあとに原作のラスボスになったのかもしれないし。
きっと〝近海の主〟の腹の中でずっと修行してたんだ! この考察、穴が無いな!
だから、800万って数字は将来的に凄い事になるかもしれない! 期待してもいいんだ──!!
「「「ドンマイ」」」
「うわぁぁぁん!」
やめろ! そんな、50ベリーのチョッパーへ向けるような、可哀想な子を見る目で見ないでくれ!
あ……気付いたら海岸沿いまで走ってきちゃってた。丁度いいや、この辺の地面からはまだ栄養を吸って無かったし。
800万のクソ雑魚なオレには、食料調達がお似合いだな。ははっ!
ギュンギュン吸い上げてやる! サンジから渡された容器にデンプンを満たしてやるぞぉ…………はぁ。
「ちょっとエダ。なに落ち込んでるのよ?」
「……5800万ベリー」
「え?」
「オレ と ナミさん の懸賞金の差」
「あ! ちゃんと計算できてエラいじゃな……冗談よ、もう! あのね、懸賞金なんて海軍が適当に決めてるのよ?」
「……ブランニューめ!!」
「ああ、居たわねそんな海兵。けど、あんたがその名前を知ってるのも───予言ってヤツなの?」
「どうしてソレを!?」
「あのメガネ女が言った〝予言〟って言葉がずっと耳に残ってたの。その時はまだ、ヒノモト語じゃなかったしね」
たしぎか。まずいな、ミンゴから原作の話は広めない方が良いって言われてるんだけど───そう言えば、あれからゾロも何も言って来ないな。
まあゾロは、色々あったから忘れてるだけかな。今は、ナミさんにどうにか上手く説明して、口止めもしておかないと!
「ええと、予言っていうのは、その!」
「ゆっくりで良いわよ? 別に今じゃ無くてもいいんだし───ってエダ! 地面が!?」
「え? まずい! ナミさんパス!!」
根から栄養を吸いすぎた! デンプンの容器はナミさんが受け取ってくれたけど、オレは地面がグラグラ揺れて動けそうにない!
「ちょっと! あんたはどうするのよ!?」
ガラガラァーン!!
下に海が見える。しまったなぁ、海岸線まで来てたんだった。
「このバカ! 能力者ってこと自覚しなさいよね!」
「すまない。助かったよナミさん」
久しぶりに海水に浸かったけど、やっぱりシオシオになっちゃったか。腕もシワシワになってるし、声も掠れて出しづらいや。
無人島の時は、一晩雨水を浴びてたら朝起きた時には元に戻ってたけど……今ならメリー号のシャワーで真水を確保できそうだな。
「なんでそんなにシオシオに……ってあら?」
「大丈夫。シャワーを浴びてれば、元に戻ると思う。肩を貸してもらえると助かるんだけど……」
「それは別にいいけど。なんなら、おぶってあげましょうか? その方が早いわね、行くわよ」
「ちょ!?」
軽々と運ばれちゃうと悲しくなるんだけど。
でも助かる。ホントはオレが助けたいのに、こんな感じでずっと助けられてばっかりだなぁ。
「さ、着いたわよ! シャワーを当てておけばいいのね?」
「あの、服を脱いだりするから……もう1人で大丈夫」
「その様子だと
言われるがまま、服を着たままシャワーを浴びさせてもらっている。
お! 雨水の時より早く復活できそうだな。もう腕もツヤを取り戻して、真っ白な肌に───? あれ? こんなに白かったっけ?
それに、服の下から胸が押し上げて来てるんだけど!? コレってまた!?
「もう大丈夫そうね。いい加減、気が付いた?」
「あの……オレの身体、またロビンになってる?」
「そうよ。完全にロビンね。そのお陰で、さっきから流暢に喋れてるじゃない?」
言われてみれば確かに! でもどうしていきなり? まさか、
けれど、あながち間違いでも無いのかもしれない。水というより海に落ちたのが原因なんだろう。
今の頭が冴えてる状態なら分かる。
ヒトヒトの実は
ブギーの話から、オレの体が元々はロビンのものだったと判明した。つまり、海に入って能力が解除されたから
そう考えると、無人島にいた頃も海水を浴びた時にロビンの身体へ戻っていたんだろうな。
あの時は10歳の子供だったし、海水のせいで疲労感も増してたから気付かずに一晩過ごして、朝には男の身体に戻っていたんだろう。メカニズムは不明だけど。
あれ? そういえば原作で暴走したチョッパーを元に戻す為、フランキーが海に落とすシーンがあったな。確かあの時は、
う。仮説が一気に崩れた! なんでオレ、ロビンになってるんだ!?
落ち着け───ロビンの頭脳ならきっと答えが出せる筈だ!
他に
「また考え事? ロビンの顔だとサマになってるわよ?」
「──それだと普段のオレは、マヌケ面みたいに聞こえるんだけど? え、ホントに? 違うよね!?」
「ふふっ、久しぶりにおしゃべりじゃない。今なら、例の予言ってヤツを話してくれる?」
「あー、それなんだけど……ゾロにも同席してもらいたいんだ」
「……あんた、自分の格好分かって言ってる?」
「え?」
下を見れば、ビショ濡れになった服のせいで肌が透けて見えている。確かに、これでゾロに会うのは気まずいか。
ダメだなぁ。頭が冴えてると思ったけど、こういう事には疎いままみたいだ。服だってオレが着てた男物のままだから、当然 下着なんて───!
「──着替えは用意してあげるから、身体を拭いておきなさい」
「ア、ハイ」
ナミさんが怒るんじゃないかと気を張ってたけど、何故か大丈夫だったみたいだ。前の時もそうだったけど、ロビンの姿だといつもより優しいよな?
けど、着替えって───!! やっぱり大丈夫じゃない! 主にオレの理性が!
『恥ずかしいのなら、替わりましょうか?』
え?──ロビン、さん?
かなりハッキリと聞こえた声で、ようやく自分の勘違いに気付けた。
オレ、覇気に目覚めてなかったんだ。見聞色だと思ってたのは、ロビンさんの声だったんだ───!
『ふふっ、ロビンと呼び捨てで構わないわ。あなたが
ー 数日後 海軍本部 ー
「スモーカー
「ああ、だが挨拶はヒナ……大佐へ先にしておけ。コビー伍長」
「もちろん、先程 挨拶を済ませました! それにしても、新米のぼくが精鋭部隊へ配属されるなんて光栄です!」
「はっ!
どういう意味だろう? 新部隊はぼくの所感だと、まとまったというよりも ごちゃ混ぜというイメージなのだけど……。
あ、向こうから歩いてくる人は たしぎ曹長だ! スモーカー中佐とは以前も同じ隊だって聞いてるけど、最近一緒にいる姿を見かけないなぁ。
「たしぎ曹長! ぼくも、同じ隊に配属されました! 宜しくお願いします!」
「ええ、こちらこそ! ふふっ、もう伍長になったのでしょう? 私もうかうかしてられませんね!」
「……それは、おれへの当て付けか? たしぎ」
「違いますよ
「別にどうもしちゃいない。能力は問題なく使えるから気にするな」
「────そうですか」
なんかギクシャクしてる!? お二人は仲のいい上司と部下だったハズなのに! この間の、独断専行からどこか様子がおかしい。
あの事件が問題になって、スモーカー大佐も降格して今は中佐だし。同期のヒナ大佐が仕切る新部隊へ配属されたりと、気の毒な立場になってるんだよなぁ。
こんな時、ムードメーカーのルフィーさんが居てくれれば──!
「コビーくーん! 見て! この手配書!」
「アピスちゃ……さん! 走ったら危ないよ?」
「もう! 子供扱いしないで! それよりコレ! ようやく食堂にも回ってきたの!」
「これは……泥棒猫? 誰なんですか?」
「あ! 間違えた。コッチコッチ!!」
「ルフィーさん!? ご、5億ぅ!!!?」
一体何をしたんだ、あの人は!? 初頭手配で5億なんて聞いたことがないぞ!
それに、アピスちゃんが持ってきた手配書は全員ルフィーさんの仲間みたいだ。あれからたった半年で、6人も仲間にしたんだ。しかも、数日前にはニュース・クーというもので世間に知れ渡っていたらしい……はぁ、ここは本部なのにどうして情報が遅いんだろう?
「あはは! すごいでしょ? 麦わらの一味よ! 一人特殊なのがいるけど」
「アピスちゃん、その手配書は食堂に貼るものでしょう?」
「ちゃんと許可はもらってるの! もう! たしぎちゃんこそスモやんと仲直りしたの?」
「ええ!? それは、その……!」
アピスちゃんが来てくれたおかげで空気が軽くなった。
彼女とは、ぼくが海軍へ入るきっかけになった軍艦島の一件で知り合い。そのまま一緒に海軍本部へと来た仲だ。
まだ子供だけど、ぼくが ちゃん付けで呼ぶと怒るからアピスさんって呼んでいる。
彼女が働いているのは食堂。新しいメニューを考案したりして、さっそく重宝されてるという噂だ。
それと、皆には内緒にしているけど彼女も〝悪魔の実シリーズ〟の能力者なんだ。〝ヒソヒソの実〟という、動物と会話ができる能力だから見た目では一切判らない。
海軍には能力者も多いけれど、どこに教会の信者がいるか分からない世の中だから──自衛の手段が少ない彼女は、能力者だという事を隠しておく方が安全だろう。
「ほら、スモやんも! 半端に禁煙なんてするからイライラするのよ?」
「悪かったな。心配してくれて、ありがとよ」
「…………!」
スモーカー中佐も小さな女の子には弱いみたいだ。怖い人かと思ったけど、意外と優しい一面もあるんだなぁ。
ぎこちないけど笑顔を見せたスモーカー中佐に、たしぎ曹長は何故か嫌そうな表情を浮かべているけれど……あれは一体?