ー メリー号 ラウンジ ー
オレが心を無にしている内に、ロビンが予言について上手く説明してくれたみたいだ。
当初はゾロとナミさんだけに話す予定だったんだけど…… もう全員に事情を話さないと収拾がつかないよなぁ。ヴィオラに見られてなければいいんだけど。
ロビンはまず、全部を語るのにはとんでもなく時間がかかるからと断って、物語の大筋だけを軽く説明したようだ。
それから、直近で訪れるかもしれない双子岬とウイスキーピークの詳細を話し終え───今に至る。
「ヨホホホ! クロッカスさんに、ラブーン!
「秘密犯罪会社? ああ、前におれも勧誘された事があったな」
「ワシも、多少は黒い噂を聞いたことがあるが……クロコダイルが国を乗っ取る計画を立てているとはな」
「もう、ロビンが初めに注意したでしょ?
「ええ、私達が知っているのは〝良く似た世界の物語〟だから鵜呑みにはしないで」
ちなみに、ルフィは早速寝ている。サンジは料理の準備をしながら話だけ聞いているみたいだ。
狩り勝負のおかげで、動物の肉が沢山手に入ったので下処理や保存食への加工で忙しそうだ。
手伝いたいけど、さっき断られちゃったからなぁ。
元々、オレが英語を上手く喋れるようにロビン(幼女)の分身を作ってもらった筈なんだけど、全然会話に参加してない。
オレが口を挟まなくても、ロビンが全て説明しちゃうからなぁ。おかげで、未だにナミさんの膝の上なんだけど……もう羞恥心が限界振り切れて機能しなくなっちゃってるなぁ。
「それで、問題は
「いて。──その、ごめん」
「それなのだけど、私のせいでもあるの。私がエダの中で、物語をずっと読んでいた影響で〝
「まあエダの前世がどうとか、ワシも気になる疑問は色々とあるが……当面の問題はそれだな」
「だが話を聞く限りじゃ、おれ達の航路まで海軍にバレてるって訳でもねェだろ?」
「ええ。私もナミに見せてもらって、この世界の地図を確認したけれど──海軍が〝物語〟を頼りに先回りするとしても〝アラバスタ〟までは問題ないと思うわ」
「確かにさっき聞いた〝ウイスキーピーク〟なんて名前の街は聞いたことがないわね。〝双子岬〟はジブラルタル海峡の可能性もあるから、そろそろ出航しないとマズいかもしれないけどね」
ウイスキーピークないの!? いや、名前が違うだけかもしれないな。
けど、ロビンが既に仲間になってるこの世界だとアラバスタ関連がどうなってるのか想像も付かないなぁ。そもそもエジプトの位置にあるから、かなり先になりそうだし。
「よし、決まりだな。おいルフィー、起きろ!」
「んあ? どうしたんだゾロ?」
「出航準備だ。航路に変更は無くていいんだろ、ナミ?」
「ええ、冒険したての頃に確認したけど、西回りはルフィーが嫌なんでしょう?」
「おう! そっちは、別の奴がやるんだろ? マネはしたくねェ!」
「だったら、急いで号令かけろよ
なんかこういう時は、ゾロの方が副船長より副船長みたいだ……紛らわしいな。
結局、オレが大して参加しないまま会議は終了。航路は変えずに、このまま旅を続ける事に決定した。
予言───というか原作の話は、ナミさんが同室になったロビンから少しずつ聞いていくらしい。なんか、なし崩しで一味入りしてない?
その後、ルフィの号令で残った肉の解体 と 出航準備を並行して行う事になった。
オレとロビンは念のため地面から吸えるだけ栄養を補給する事になった。サンジに言わせれば、これも出航準備らしい。なんか、非常食を作れる要員として扱われてる気がするなぁ。
まあ、
───いまオレ、チョッパーと同じくらいの大きさなんだよなぁ。未だに
「あの、ロビン? 分身って、どうやって戻ればいいんだろう?」
「ナミに刺してもらえば いいんじゃないかしら?」
「冗談はいいから……って目がマジなの怖いんだけど!? 他に方法ないの?」
「私の方で戻せるけれど、折角1人になれたんだもの……嫌よ」
「わがままか! せめて一回戻して、いつもの姿で作り直して下さい! お願い、ロビンちゃん!」
「……かわいいのに。能力の練習も兼ねて、自分で変身してみてはどう?」
「分身ってそういう事も出来るのか!」
「そうね、まずは〝海の森〟で ジンベエ と ルフィ の仲裁の為に、初めて分身を使ったシーンから説明しましょうか───」
ちょっとした疑問だったのに、ロビンは ONE PIECE ガチ考察を語りだした。いや、詳し過ぎるんだけど! ナレッジキングでも目指してるのかな?
まあ、要所だけ聞き
そもそも、
まあそれで、ロビンの推測だと
今もロビンは、さらなる覚醒やら 覇気の完全習得やら 言ってるけど意味が分からない!
とにかく、イメージが大切だって事だけは伝わった。モモの助も最初は変身に慣れてなかったけど、徐々に上達してたもんな。
コツは自分の能力は
口で言うのは簡単だけど、そんな自己暗示みたいな真似すぐには無理だろうなぁ……。
まあとりあえず、イメージはしてみるけど。
あ、どうせなら形から入るか〝生命帰還〟……〝
「前も勝手に男になっていたのだし……あなた、思い込みが激しいから向いていると思うわ」
「余計なお世話だ!──って戻ってるし! バラティエの後、ロビンに変身しようと思った時は全然ダメだったのに」
「その場合、変身というより〝元に戻る〟イメージをすれば良かったんじゃないかしら?」
「あ、ホントだロビンになった! しかも、分身だから服装も自由なんだな!」
「〝FILM RED〟が観たくなるから、
わがままだなぁ。映画こそ観れなかったけど、雑誌やネットで観たロビンの衣装を再現したっていうのに。
まあ、いつものオレに戻っておくか。こっちも衣装のカスタムや小物を出したり自由なんだな。能力の修行も兼ねて色々と遊んでみるか。
ロビンが言うには、分身だから変身もしやすいのでは? との事。というか、諸々考えると分身の方が便利だよな? やられても本体に戻る機能もあるんだし!
「ロビン! オレこのまま分身として生きていこうと思うんだけど」
「ダメよ。私は、ずっと冒険するつもりはないの。頃合いが来れば
「ヒトの頭の中を部屋って言うなよ。けど、憧れの ONE PIECE 世界なのに。まあ、パイロット版というかプロトタイプみたいな物だけど」
「それが問題なのよ。私の夢には───敵が多すぎる。と言った所ね」
「なりきり乙とでも言われたいのかな?」
「ふふっ、あなたが頭の中に居なければ私はロビンのままでいられるの。軽口だって流せるわ」
なんかそれだとオレが異物みたいなんだけど……。確かに今のロビンはにせって感じはしないんだけど、どこか演技してる雰囲気はあるんだよなぁ。その証拠に顔は笑ってるけど、たぶん怒ってるし。
「そろそろ移動しましょう? ここでばかり栄養を吸っていたら、他の植物が可哀想よ」
植物が好きなのかな? 改めて思い返すと、さっきは偽物だと思ったから反発しちゃったけど、実際ロビンには感謝の気持ちの方が大きい。
今のオレ1人の状態だと、性質変化や毒の生成はものすごく集中力が必要だし。今まで相当 助けられてたんだと痛感した。
それに、〝悪魔の実の意志〟なんて物に転生してた訳じゃないと知る事ができて、気持ちが大分楽になったんだ。
「ロビン、その……色々とごめん。それと改めてよろしく!」
「きもちわるいわ……私まで口説く気? ナミに言い付けるわよ?」
「自分の分身を口説くか!でもナミさんには言わないでくれ。念の為」
さっき仲間と話してた時は、まさにロビンって感じだったのに……やっぱり、オレにだけ辛辣じゃない?
ー 海上 ー
栄養も満タンになって船に戻れば、出航準備も万端だった。
ルフィの号令ですぐに出航し、今は沖まで出て海流に乗った所だ。
ようやく、本当の意味でドレスローザから出られたな。ひょっとしたら、トンタッタ族と遭遇するかもなんて思ってたけど、それも杞憂で終わったみたいだ。
途中、帆の操作でロビンが能力無双してドヤ顔をしてきたなんて事もあった。キャラ作りが甘いんだよなぁ。
けど、その際ナミさんが能力について質問したおかげでロビンの能力も〝ヒトヒトの実 幻獣種 モデル:ドリアード〟だと判明した。
まあ、考えれば当たり前なんだけど、ついつい原作知識に引っ張られて〝ハナハナの実〟だと勘違いしちゃう事もあったからなぁ。
なんでも、ドリアードの能力で〝ハナハナ〟を模しているらしい。キャラ作りは甘いのに、能力の模倣だけ完成度高すぎるだろ。
オレにも出来るのかなって聞いたら鼻で笑われた。ロビンは覚醒してるから出来るんだと自慢されてしまった。
あれから考えてるんだけど、そもそも覚醒って肉体依存じゃなくて精神的な物なのか?
オレも体から
そう言えば、
うーん、ロビンを見る限りだと覚醒しても
「また考え事? せっかく戻れたのに浮かない顔ね?」
「考えても分からないから、やめた」
やっぱりオレの身体だと喋りにくいなぁ。ロビンの表現だと、オレの頭の中は整理されてない部屋らしいし。
さっき頭の中にいた時は、ずっと目をつぶってたから分かりにくかったけど……どこか部屋の中にいるって感覚もあったんだよなぁ。
「そう言えば、エダが落ち込んでたら伝えてって
「あの時って、クリークと戦った後? 確かに落ち込んだ事もあったけど、ナミさんのお陰で元気になったし」
「ちょっと!?
「ああゴメン。ロビンじゃないと上手く喋れないから、能力の練習も兼ねて色々試してるんだ」
「私と会話する時は、普段のあんたでいいわよ。言葉だって少しずつだけど上達してきてるんだし、勿体無いでしょ?」
「わかった」
そう言えば、ナミさんにあげたメガネだけど、いつの間にか消えてしまったらしい。やっぱり分身で出したアイテムは万能じゃないんだな。
出せる物も服飾のカテゴリーが限界みたいだし。劇場版でロビンが装備している剣やバズーカをイメージしても、それは無理だった。
ナミさんから、またメガネをかけてあげましょうか? なんて聞かれたけど、そうじゃないんだ。
ずっとかけてたら、有り難みが欠けるって言ったんだけど……伝わってないっぽいなぁ。まあ、今はいいか。
「それで、伝言って?」
「今更ね。もう本人と自由に話せるんだから、ロビンに聞けばいいじゃない」
「なんかヤだ」
「あんた達、なんで仲が悪いのよ? 姉弟みたいなものでしょ?」
「違うと思うけど……伝言は気になる」
「はぁ、じゃあ言うわよ〝悪魔の実について考察して〟」
落ち込んでる奴への伝言がソレ? 悪魔の実の考察か……。まあ、こっちの世界にも共通の謎はあるから落ち込むなって意味かな?
本人に確認しても馬鹿にされそうでヤダなぁ。あと、長ったらしい考察が始まったらもっとヤダ。
「ああ、それと〝SBSくらいキチンと読みなさい〟とも言ってたわ。これだけよ? 私には意味が分からないけど」
「読んでるよ! 覚えてないだけだ!」
「よく分からないけど、多分あんたが悪いわよソレ」
なんで、お小言が付いた伝言なんて残してるんだ!? そのセリフ、前世でも兄姉に良く言われたけど……膨大な量のSBSを全部記憶しておくなんて無理だろ! PTA周りの話題とか、エロいだけの物とかも混じってるんだぞ!
「ふぅ、ようやく下処理が終わったぜ」
「ナルト! 終わったのか!? なら、肉くれよ!」
「ほらよ、そろそろだと思って焼いておいて正解だったな」
ふふっ、あの2人は仲がいいわね。
この船の光景を見ていると、やっぱり落ち着くわ。ここが、私の居場所だと実感してしまう程ね。
けれど、この世界には────
彼に言った通り、しばらく〝麦わらの一味〟を堪能したら戻る事にしましょう。
それまでに、彼の視点では気付けない事を調べておいてあげましょうか。未だに彼は、この世界の最果てすら調べていないのだし。
ナミから借りたこの地図。
おおよその大陸の形が描かれているけれど、ナミに言わせればテキトウな代物みたいね。あの子が目指しているのは、縮尺が完全な地球儀なのかしら?
一先ず、今はこれで世界について再確認をしましょう。
この世界の大陸は6つ。
これは、彼の元いた世界と一緒ね。名前の違いがあるけれど、おおよその形と大陸の位置は同じものだと言えるわ。
ただし、ナミの話では失われた大陸が2つあるとのこと。時期は不明だけれど、昔は8つの大陸があったという事ね。
1つはアトランティス大陸。
この大陸は海底に沈んでいて、今は魚人達が暮らしているらしい。つまり、魚人島と同一の物と考えられるわ。
そして、もう1つが名称不明の大陸。
ワノ国の東にある〝オケアノス〟と呼ばれる最果ての海域。この船の最終目的地でもあるその場所に、大陸が沈んでいると言う話。
ただ、これは船乗り達の伝承らしいので、実態は定かではないとも言っていたわ。
アトランティス に オケアノス。
どちらも、彼の記憶に少しだけある情報だけれど……この僅かな情報だけでは、まともな推測は立てられなさそう。もっと勤勉な人なら良かったのに。
彼の中で一番ハッキリとしている記憶が ONE PIECE だという事は、褒めてあげなくもないのだけど。
脱線してしまったわ。今は
他に気になる点も見ておきましょう。
〝南極大陸〟
これはそのままね。原作でも若き日のシャンクスとバギーが、南極と北極のどちらが寒いかでモメていたわね。
原作世界でも南極と北極が存在しているという点から、地球でいう赤道に対して45度の角度で〝
〝
やっぱり、オーストラリアがレッドラインと関係している? それとも───
「ロビーンっ!! いた! SBSは、ちゃんと読んでるぞ!!」
「げっ! エダ! お前、レディーとして生きるんじゃなかったのかよ!?」
「そんな事、一言も言ってないけど!?」
「ししし、おれは別にどっちでもいいぞ? ロビンが2人いるのも面白いしな!」
まったく、騒がしい人達ね。考察は夜にしましょうか。
彼がこんなに五月蝿いのは、きっとナミがあの伝言を教えたからね。SBSのくだりは、前世で彼が兄姉から良く言われていた言葉。
せっかく前世の実家が果樹園なのだから、考察のヒントになると思って伝言を残したのに気付いている様子はないわね。
「うんめーなぁ! やっぱ肉が一番だ!」
「サンジ! オレにも肉!」
「今焼いてるから待ってろ。はぁ、レディーにならないんなら例の香辛料でも出してくれ」
あれは〝木の芽〟ね。彼が出せるのは、サンショウの新芽だけみたいだけれど……多分、私なら。
「ねぇ
「こいつは! エダの出すヤツよりも刺激が強いな。だが、この辛味はクセになりそうだ。助かるぜ、ロビンちゃん」
「はなざんしょう? ホワジャオじゃないの?」
「あなたの記憶から再現してるのだけど……念のため言っておくわ、花山椒 と
大丈夫かしら彼? 植物好きと名乗るのも厳しいかもしれないわね。
花山椒は、そのままサンショウの木が咲かせる花。
「ロビンは花もだせるのか!? なあ、肉の花を出してくれよ!」
「ふふっ、ごめんなさいお肉は無理なの。それに、食べられる花もあまり出せないの。そういう花は
ルフィをがっかりさせてしまったわ。
サクラの花なら塩漬けにすれば食べられるけれど、お腹に溜まる程の量を出すにはエネルギーの効率が悪いわね。
お肉といっても、私が出す腕は植物で再現しているものなのだし……例外は分身ね。あれは、消える瞬間以外は生身のようだったわ。
いえ、そもそも人肉は流石のルフィでも食べないわね、おそらく、だけど……? 念のため、この事は黙っておきましょうか。
「ロビンでも
「ああ、あれは神秘的だったぜ! 花の中からはエダが出てくると思ってた所に、実際 現れたのは女神だったんだ! あの胸に走った衝撃は、まるで雷に───!」
「あれはただの演出なの。能力でそう見えるように再現しただけで、見た目も香りも、
「テメェ! エダ! ロビンちゃんと内緒話するんじゃねェ!」
「別に内緒にしなくてもいい話だけど」
「ダメよ。レディーの秘密だもの。サンジなら分かってくれるでしょ?」
「もちろんさ! ロビンちゃん! ツボミが開き花が咲くとレディーが現れる。ああ、神秘的だぁ!」
そもそもあの時のツボミは回復用の技で、
「もう、さっきから騒がしいわね。あら? ナルトくん、そのエプロンって……」
「ああコレか! 見てくれナミさん! デービーバックファイトの露店で買ったんだ、あの〝
「やだそれ〝
「───なっ!!? クソ! ブギーめ!!」
「サンジが傷つくと思って黙っていのだけれど……ブギーの露天で買っていたのね」
「ああ! そういやブギーは、ロビンちゃんのお父様にもなるのか!? すまねェ、口が過ぎちまった!」
「大丈夫よ。悪いのは、偽物を売ったブギー海賊団だもの」
「なんて寛大なんだ! まるで天使だ♪」「騙されるなサンジ、割と悪魔だ」
サンジの目がハートマークになって飛び出しているけれど、やっぱりこれにチョップしたら痛いのかしら?
ふふっ、相手がエダだったら容赦なく叩いて実験できるのに……残念ね。
なんかロビンが微笑んできて怖いんだけど! あれ絶対、ひどいこと考えてるぞ。
さっきから能力マウントしてきたり、オレに対して当たりが強い……でも、花を出せるのは羨ましいなぁ。
今もなんか ナミさんに髪飾りを出してあげてるし、アレはピンク色で八重咲きだし〝
ロビンは耳の上辺りから出してたよな? 最初は、耳が大きくなる手品でもするのかと思ったよ。
「こうかな? ふんっ!!」
「なにしてんだエダ?」
「ロビンに対抗して、花を出そうとしてるんじゃない?」
「ダメだ出ない!」
「あら、あなたでも〝花〟は出せる筈よ? 今は相手がいるのだし、ね?」
え? 何言ってるんだ?───って!?
まさか、無人島にいた頃の冗談か!? 誰も聞いてないと思って脳内限定のジョークだったのに!
───花や種子が出せるかは試してない。相手もいないのに試すのは、なんか恥ずかしいから。
今のが余程 恥ずかしいよ!! あんなバカな思考まで覗かれてたのか……無人島は全然、オレのプライベートビーチじゃなかったんだ。
「イメージが大切なのよ? サクラの花なら簡単だと思うわ」
それって、〝ハナハナの実〟が色々と桜の花びらをモチーフにしてるからか?
よし、イメージだ……サクラ、サクラ──サクラ王国……ドルトン……プルトン……ワノ国、桜の木………!!
耳の上に構えていた指が、何かを摘んでいる。これは〝
ポンッ。
「できた!! 今はこれが精一杯」
「もうロビンに、コレをもらったから私は要らないわよ?」
「ええ!? じゃあサンジ、塩漬けにでもして」
「いや、それだけしか無いのにそんな手間かけられねェよ」
一輪 出すのに結構 集中しなくちゃいけないから、沢山は無理だなぁ。
仕方ない、せっかく出したのを捨てるのも勿体無いし。
「ほら、ロビン」
「……〝
「ロビンも、八重咲きの椿だったから」
「あなた、花言葉なんて覚えてないわよね?」
「そんなの覚えてたら、SBSもキチンと覚えてるだろ」
なんか不承不承と受け取ったけど、なんなんだ? まあ、あんな嫌がるならナミさんにあげないで良かったな。
それにナミさんもニコニコしてるし、花言葉うんぬんは大丈夫そうだな。っていうか、ロビンがあげた椿だって不吉だろ! 頭がポトリと落ちるイメージがあるんだけど?
「坊ちゃーん! お届け物ですよー!」
「え? デリバリー!? ピザかな?」
「なに馬鹿な事 言ってるのよ? 航海してる船に、料理が届く訳ないでしょ?」
まあ、確かに。そもそも、何も頼んでないしな。
と言うより、この世界にそんなサービス無いと思うんだけど……スカイピアの門にいたバーサンは名前だけだし……うーん、アニオリで電伝虫通販なんてのも合ったような? やっぱり、ロビンのサポートがないと記憶があやふやだなぁ。
「ヨホホホ! さっき〝ハチ〟さんが来て、あちらの状況を教えてくれたんですよ」
「ブギーはまだココヤシ村にいるの!?」
「いえ、今朝 出航したらしいですよ? 海軍は撤退したので、サーカスを終えてから村の特産品を買い込んで出航したようです」
「それで、お届け物は?」
「ええ、こちらは カイリキさん からです。船でも育てられる〝種〟らしいですよ?」
「なんのタネなんだ? 食い物だといいなぁ」
「ヨホホホ! 育ってからのお楽しみだそうです。では、私は見張り番に戻ります!」
「ありがとう、ブルック」
今日の見張り番はブルックだったな。
サンジはもちろん、ナミさんと副船長も他に仕事が沢山あるので、今までは オレ と ルフィ と ゾロ でローテーションだったんだ。
今は ブルック と ロビン も加わってくれたから結構ラクになったなぁ。空いた時間で、種を育ててみようかな。
「さ、明日にはようやく〝ジブラルタル海峡〟を越えられる予定よ。用の無い連中は早く寝なさい」
「おう、ゾロはもう寝てるしな!」「そりゃいつもの事だ」
副船長もまた呑んでたし寝てるのかな? まあ、男部屋が酒臭いのにはもう慣れたけど。
さて、オレの身体は分身なんだけど眠さは感じてるし 皆と一緒に部屋に行くかぁ。
「あら、あなたはそっちじゃないわ」
「え?」「エダ、テメェ!!!? まさかロビンちゃんまでも!?」
「違うわサンジ。男部屋も手狭になってきてるでしょ? だからエダには
そう言って頭を指差すロビン。
ああ、分身を解除するって事か。でもそれって、オレの意識はロビンの身体の中に戻るんだから……結局。
「それじゃ、おやすみなさいナミ」
「ええ、おやすみロビン。今日は色々と話が聞けて楽しかったわ」
「ふふっ、続きはまた明日ね」
気まずい。ロビンからは脳内で勉強しなさいって言われて、英語の教科書を読んでたんだけど。
普通にガールズトークが耳元で聞こえてくるから、一切勉強できてない!
『大丈夫よ。朝まで時間があるのだから♪』
ロビンは生まれて初めて〝眠る〟という経験をするからか、ワクワクしてるなぁ。そんなんじゃ寝付けないんじゃないか?
『どうかしら? 前に、気絶ならした事があるけれど……クリーク戦の後、エネルギーが枯渇してしまった時よ』
ふーん。気絶と睡眠ってのは違うと思うけど。そういや、シュガーも気絶させる事で能力を解除できるんだったな。
『その考察は長くなるわ。今は寝たいから、静かにお勉強してくれると助かるのだけど』
朝まで勉強なんて学生の時のテスト前以来だなぁ……それじゃ、おやすみロビン。
『ええ、おやすみなさいエダ』
さて、この
『クラッチ』
ゴキッ!
ごはっ! なにすんだ!? 寝たんじゃなかったのか!?
『……ワクワクしすぎて寝られないのよ』
子供か! いいから寝なさい! オレは ONE PIECE を観てるから。あ、ちゃんと音量は下げとくから安心して?
『勉強という概念を忘れてしまったのね───あ、どうせ観るのなら〝STRONG WORLD〟からにしましょう?』
───久々に観た映画は最高としか表現できない。結局、ロビンは〝FILM Z〟のエンドロール中に寝てしまった。
朝までまだ3時間くらいか、このまま〝FILM GOLD〟を観たい気持ちもあるけど……流石に勉強もしておかないとな。
スゥ スゥ スゥ
う、静かになったらナミさんとロビンの寝息が聞こえてくる。サントラでもかけるか───ホント便利だなぁ脳内って。
ー ザガン帝国 宮殿 ー
「海軍は大凡、我が国の手中に収めたと言っていいだろう」
「少数だが〝センゴクの派閥〟が離脱し〝NEO海軍〟などと名乗り出したそうだが?」
「問題は無かろう、争いに敗けた残党と変わらん」
「だが、どこが資金援助をしているかが不明だ。センゴクの子飼いで固めた組織 故、諜報員を送り込むのも厳しいだろう」
「優先すべきは〝M・G〟と〝教会〟の勢力を削ぐことだ」
五人の老人。
世界の動きを確認するための話し合いが行われている。
一見すると
───やがて議題が尽き、やむなく1人の老人が語り始めた。
「アド・オリーチェの再来……」
「ならん! それを認めては、世界の歴史が覆る」
「しかし、我らの事を〝五老星〟と呼称するとは……」
「〝
「金獅子の仕業だろう。50年の時を越え、未だ我らの障害になろうとは」
ー 空島 メルヴィユ ー
「ジハハハハ! 教会も海軍も、帝国さえも
「ピーロピロピロ!」「シュロロロロ!」
「Dr.インディゴ、研究は進んでいるか?」
「やはりクリスタルは4つ揃えなければダメですね。しかし〝風〟だけならば例の協力者で補えるかと」
「エリックか。とんだ拾い物だったな! Dr.シーザー、兵器の方はどうだ?」
「順調だ。アンタが島一つを実験場にくれたんで〝I.Q〟から抽出した成分でサンプルを作った所だ」
「ウホウホ!」
「頼もしいゴリラだ! 悪くねェ! ジハハハハ!!」
なんて呆気ねェ時代なんだ。例の霧から出てきてみりゃ、世界がこんな生温くなっちまってるなんてよぉ!!
おれの弱点〝風〟ですら、
〝センゴク〟も〝ガープ〟も〝ロジャー〟でさえ、生きていたとしてもジジイって話だ!
その上、おれが手に入れたあの島まである。どうなってやがる? まるで、世界の方から
ー 地中海 ビッグトップ号 ー
「そうか、麦わらの一味は未だに海峡の手前に……」
「遅すぎるだろ!? おれ達より2日は早く出航してんだぞ?」
ブギー船長とカイリキさんが何か話しているな。
「どうしたモージ、また動物の事でも考えてやがるのか?」
「カバジか。おれも動物好きだが、いつも考えてる訳じゃねェ」
「〝動物好き〟か。そういえばお前、10年前に若が居た無人島に動物を逃しただろ?」
「な!? 気付いてたのかよ!」
「小舟に乗せてた、蛇とウサギがいつの間にか消えてたからな」
「……あれは、そんな優しい動物じゃねェ。九蛇の毒ヘビとレッサーラパーンだ」
「!? なんてモンを野放しにしてるんだ!───若は良く生きてたな」
「ヘビの毒は強力だが、手を出さなければ襲われはしねェだろ。だが、レッサーラパーンは小振りでも自然界で数世代重ねりゃ原種に還るんだ……」
「なら、増える前に狩り尽くしたんだろう。原種のラパーンなんて一匹でも厄介だからな」
確かに、そうでもしていなけりゃ10年なんて期間を生き残れねェんだよな。おれのミスで逃しちまったが、あいつらには済まない事をしちまったな。
だが、若は動物に愛着は無いのか?───ああ、そういや植物と女しか愛さないって言ってたな。せめて動物好きの女とでもくっ付いてくれりゃ、考えが変わるかもしれねェのに……。