植物好き(仮)と麦わらの一味もどき   作:浅学寺のえる

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第40話〝タルト〟

 

 ー 上層・パステル広場 ー

 

 《勝者ナルト! さすがは、バラティエの副料理長だァー!》

  ワァァ!

 

 「次が準決勝か。正直ナメてたぜ……こんなハイレベルな大会とは思わなかった」

 

 「ハッハ、負けた負けたァ」「オヤジが待ってる。さっさと帰るよい、サッチ」

 

 あのコック。相当の強者だぜ。

 料理の腕も凄い所へ来て、おそらく戦闘も行けるクチだ。

 今回勝てたのは、おれの作った〝モンブラン〟が たまたま審査員の好物だったからだな。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 〜 1時間ほど前 〜

 

 食材探しで店を巡っていたら、上層から騒がしい声が聞こえてきた。

 まさかルフィーの奴が問題を起こしたのかと思い、上へ向かってみれば……

 騒ぎの原因は、4年に一度開催される〝スイーツ・コンテスト〟だった。

 安心したぜ。こんなデカい街で問題を起こすほど、ルフィーもアホじゃなかったか。

 

 しっかし、料理の大会か。

 優勝者への副賞が、大量の小麦粉に砂糖、卵に牛乳ねェ……いざあの量を買うとなれば結構な額になるな。

 あれがタダで貰えるんなら ここは一つ、割と金の余裕がないらしいナミさんの為──

 いや、船の為に。優勝を狙ってみるか!

 おれはデザート専門って訳じゃねェが、なんでも作れるのが〝海の一流コック〟だからな。

 

 

 飛び入りだったが、幸い〝バラティエ〟の枠に滑り込む事ができた。

 前大会じゃパティが準優勝したって話だが、今回は店が忙しいって理由で急遽辞退したらしい。

 おれの手配書が()()なのもあって、堂々と人前に出ても全く気付かれなかったのも幸運だな。

 幸運……じゃねェよ、やっぱり!! クソ! せめて名前さえ間違ってなきゃおれだって……!!

 

 おっと、料理に集中しねェとな。

 1回戦の相手は、スモウレスラーなんて異名がある どこか得体の知れないヤローだ。

 油断して初戦敗退なんてシャレにもならねェからな。

 

 「まず小麦粉とバターを口に入れるよーん!」

 

 「あァ!?」

 

 「よーく、コネて……んぐ、んぐ、ブーッ!! 生地が出来たよーっ!」

 

 「んなモン、オーブンで焼こうとするなーっ!!」

 

 《〝スモウレスラー〟ワンゼ選手、失格っ!! ナルト選手の勝ちです。》

 

 おれはまだ、何にも作ってねェぞ!? なんなんだこの茶番はっ!

 あと結局、スモウレスラーって何だったんだ……!?

 

─────────

──────

───

 

 〜 現在 〜

 

 初戦はあんなだったが、スゲェ料理人も大勢参加してるようだ。

 さて、準決勝の相手はここで勝った方になる。しっかり見学させてもらうぜ。

 1人はなぜかネギを持ってるマダムと……お! あっちは可愛いレディーじゃねェか!

 

 《まずは、見るも綺麗な貝殻型のモナカ〝オヴォシュ・モーレシュ〟です!》

 

 「悪くねェ」「ふむ」「クエー!」

 

 《さあ続いては、見るからに緑一色!〝ネギケーキ〟の番だ!》

 

 「緑だな」「緑だ」「クエー……」

 

 審査員に鳥が紛れ込んでるのは、この際無視するとして……なんだよあの緑ケーキ!

 確かにネギを使った菓子もあるにはあるが、それは焼き菓子の話だ。

 なんで生のネギをクリームに混ぜ込んでんだ!? ほらな、満場一致でモナカの勝利だ。

 

 準決勝の相手はモナカを作った、あのレディーか。強敵だな……。

 本来あのモナカの中身は、砂糖と卵黄だけで作るクリームになる。だが、彼女は僅かにアレンジしていた。

 隠し味に少量の〝醤油〟を足していたんだ。

 一見ミスマッチに感じるが……クリームに若干の塩味が加わる事で甘さはより引き立ち、モナカの皮とも馴染みが良くなった筈だ。

 

 この大会は、基本的な食材は運営が用意しているが、珍しい調味料なんかは各自で持参してるみたいだ。

 しかし、醤油とは本当に珍しいモンを───

 ああ。そういや此処は、ヒノモトと貿易をしてる数少ない国の一つだったな。

 探せば〝醤油〟や〝ミソ〟も売ってるのかもしれねェ。

 準決勝まで多少時間はあるんだ。おれも隠し味用に、急いで探して……

 

 いや、なにもヒノモト由来の物にこだわる事もないな。

 船へ戻れば、他の調味料が色々とあるんだ。最近ロビンちゃんが大量に作ってくれたからな!

 

 《これはまさか〝セムラ〟を作っているのかー!?》

 

 お? そんな珍しいモンを作る奴もいるのか……だが、見てる暇もない。

 急いで船へ戻らねェと。そろそろナミさん達のショッピングも終わる頃だ!

 もしかしたら、新しい服に着替えたロビンちゃんを拝めるかもしれないんだ!!

 

─────────

──────

───

 

 〜 準決勝 〜

 

 クソ! 船には酔っ払いしか居なかった!!

 無駄に絡んで来やがった所為で、時間もギリギリになっちまったぜ。

 

 《物凄いスピードでナルト選手がやってきました! 御存じ、バラティエの副料理長だァ!》

 

 「元・副料理長だ」

 

 《対するは、あの()()()()()()から王子直々にスカウトされている、コゼット選手だァ!》

 

 なんだと──っ!?

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 《審査は……〝ロズ・ビ・ラバン〟に2票。よって、勝者ナルト!》

  ワァァ!

 

 おれが勝った、のか。

 だが、本来なら彼女の作った半熟カステラ〝パン・デ・ロー〟だって……!

 あの僅かなミスさえなけりゃ、完璧な焼き加減だったんだ。

 そして、彼女の手元が狂ったのは、おそらくおれの顔を見たせいだ───

 

 「あ、あの! おめでとうございます」

 

 「ありがとう、コゼットちゃん。だが、本来なら勝負は判らなかった……すまねェ」

 

 「そ、そんな事ないです! 私よりもナルト()の方がよっぽど料理上手だと思います!」

 

 「様付けは止めてくれ。おれは、そんな身分じゃないんだ」

 

 「え? タルト様の御兄弟ではないのですか?」

 

 「君をスカウトしたって王子は、アイツか」

 

 遠征ついでに彼女が働いている店へでも寄って、料理を食べたのか……?

 いや、それで味に惚れるような情緒はアイツらには無いハズだ。

 だとすると───()()か。

 クソっ! 好色家の3王子なんて噂は、嫌でも耳に入って来てたんだ!

 

 彼女の腕ならどこでも通用する。所作を見れば、菓子以外の料理へ精通しているコトも分かる。

 あんな連中の元へみすみす行かせる訳には……!

 

 「───無理ですよ。もうお店だって辞めたんです。今更、行かないなんて……」

 

 「だが、行けば必ず不幸になる! 酷な話だが、ヤツは君の腕を見込んだ訳じゃ……」

 

 「分かってます。でもあの時、もし断っていたらお店に迷惑が!」

 

 「その時、正式な書面でスカウトされたのかい?」

 

 「いえ、口約束です。ただ、顔は覚えたから城へ来れば雇ってやると……」

 

 微妙なラインだな。

 一先ず、顔を覚えたってのは本当だろう。おれも、一度会ったレディーの顔は忘れねェからな。

 だが素性を完全に把握してる訳でもなさそうだ。彼女の話を聞く限り、名前すら覚えていない可能性もある。

 

 城へ行かずとも、おそらく〝報復〟の類いはない。

 店も名前も、何を食べたのかすら覚えてないだろう。唯一の不安は、顔か……

 直接会っちまえば、軽はずみにした口約束を思い出すかもしれねェしな。

 ───逆に言えば、絶対にヤツらが来ない場所なら彼女も安心できるって事だ!

 

 

 「なあ、コゼットちゃん。君さえ良ければ、紹介したい職場があるんだ───」

 

 「え、それって───!?」

 

 《さあ、決勝へ進む最後の1人は果たしてどっちだ!?》

 

 「おっと、長く話しすぎちまったな。決勝の後でもう一度聞くから、考えておいてくれ」

 

 《勝者プリン! 前大会で優勝した時は、なんと12歳! 果たして連覇と成るのか!?》

 

 

 「あの子が前回の優勝者!? パティはクソガキに負けたなんて言ってやがったが……一体?」

 

 「……悔しいけど、貴女のチョコには完敗ね」

 

 「うふふ。チョコレートには自信があるの。でも、ミキータさんのチョコ料理もステキだったわ!」

 

 「キャハハハ、ありがとう。決勝、頑張ってね」

 

 あんな天使がクソガキな訳ねーだろ!? あぁ! なんて可愛い笑顔なんだ!

 プリンちゃんって言うのか。さっきおれが作ったのもアラバスタ料理のプリンだ。

 なんか運命を感じるぜェ〜!!

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 〜 決勝 〜

 

 

 《待ちに待った決勝戦! 伝統に則り、両者共に〝パステル・デ・ナタ〟の対決です!!》

 

 なにっ!? 決勝は料理が指定されてるのかよ!

 〝パステル・デ・ナタ〟って言うのはルブニールの方言で、共通語なら〝エッグタルト〟の事だ。

 昔、あのヤローと同じ名前ってのが嫌で、別の呼び方がないか調べたから確かだ。

 ああ、クソ! 考えてみりゃ、優勝の景品も全部エッグタルトの材料じゃねーか!

 広場の名前もパステルだし、昔からの伝統的な大会って所か?

 

 「よろしくお願いしますね? ナルトさん♪」

  ズキューン♡

 「ああ! おれも好きだー! プリンちゃん!」

 

 「うふふ。なんだこのエロガッパ!?

 

 《両者挨拶を交わし終わり、早速調理開始です! ではここで、改めて選手の紹介を───》

 

 おれは、バラティエを辞めて世界を巡る料理修行中って事になってる。まあウソでもないしな。

 驚いたのは、プリンちゃんの経歴だ。

 16歳にしてカフェのオーナーって事も凄ェんだが、なんと〝ビッグ・マム〟の娘だとか!

 海賊でありながら、いくつもの諸島を支配してるっていうあの女傑だ。

 若い頃は美人だったとの噂だが、プリンちゃんを見る限り本当の事なんだろう。

 というか、海賊の娘でも普通に参加できる大会だったんだな。案外、この街はそっち方面に融通が効くのかもしれねェ。

 おっと、集中しねェと! 生地は出来たんだ。あとはクリームを……

 

 

 「おーい、サンジー!!」「ちょっと、邪魔しちゃダメよ?」

 

 あれは!? ロビンちゃん と ナミさん! おれを応援しに来てくれてのか! 

 ナミさんは何故か呆れ気味だが、ロビンちゃんは普段のミステリアスさが嘘の様に満面の笑みを……!?

 うぉぉ! なんて破壊力だ! あの笑顔で応援されちゃ、負ける訳にはいかねェ!!

 ロビンちゃんには色々と調味料を出してもらってんだしな!

 そうだ……! クリームには、バニラを混ぜるつもりだったが、この国だったら()()の方が合ってるかもな。

 

─────────

──────

───

 

 《では実食をお願いします! まずは、クリケット氏!》

 

 「んぐ……んぐ。ああ、どっちも悪くねェ。だが、僅かな差になるが おれの好みは───」

 

 《続いて、バジル・ホーキンス氏! 彼は急用の出来た、市長・ウミット氏の代理ですが、ここまでの品評は的確でした!》

 

 「今この場にいるのも、おれの運命(さだめ)。そして、優勝する料理も既に決まっている───」

 

 《両者の判定出揃いました! なんと、2名とも意見が一致しています!! では、いよいよ優勝者の発表を──》

 

 「ちょっと待て、鳥は!?」「クエーッ!?」

 

 《その鳥は、ただ審査員席に紛れ込んだだけですが? 大体、鳥が審査できる訳ないでしょう。》

 

 「……そりゃそうだ」

 

 《気を取り直して、優勝は────!》

 

 


 

 

 ー 少し前・中層の大通り ー

 

 「ナミさん、やっぱり男物の服を……」

 

 「ダメ! さっき船に戻った時、着替えなかったあんたが悪いんでしょ!」

 

 「酔っ払いがジロジロ見てくるから……その、恥ずかしくて」

 

 「乙女か!」

 

 乙女だよ! 体だけは!

 ロビンが引き篭もってるせいで酷い目にあった……。

 ブルックはパンツ、パンツうるさいし。副船長も悪ノリするしっ!

 何でオレがあんな事言われなきゃならないんだ!?

 

 ──「よーし、エダ! ワシが頼んだ買い物を忘れた罰として、ここで着替えろ〜!」

 ──「ヨホホホ、今は穿()いてるんですね! でしたら、パンツ見せてもらっても──」

 

 ナミさんが殴って黙らせてくれたけど、()()穿いてるって一体?

 それじゃ、まるで前は穿いてなかったみたいな……

 

 あっ!!

 そうだよ! ロビンが初めてみんなに会った時、ナミさんが服を用意してくれたんだけど──

 あの時、下着までは無かったんだ!

 オレが知らない所で、きっと

 

 ──「パンツ、見せてもらっても宜しいでしょうか?」

 ──「ごめんなさい、今は穿いてないの」

 

 みたいなやり取りがあったんだ。

 サンジ と ブルックが、ロビンに対して絆レベル高い理由がようやく判ったよ。

 

 

 「それが最後の買い物? そんな素材なにに使うのよ」

 

 「副船長(セクハラオヤジ)が言うには、天候棒(クリマ・タクト)に必要らしい」

 

 「へぇ〜、楽しみね。ロビンに聞いた感じだと、色々なコトが出来そう!」

 

 「……雷を当てるのは、敵だけでヨロシク」

 

 「あはは。私が味方に攻撃する訳ないでしょ?」

 

 ついさっき、副船長とブルックの事殴り飛ばしてたけど……あれは自業自得か。

 でも、あんなエロオヤジだけど発明家としては信頼できる。

 いま調達したW2(ダブリューツー)メタル〟って合金を素材に、副船長がナミさん専用の武器を設計してくれるって話だ。

 合金とかはよく分からないけど、これでナミさんの武器が〝棒〟になってくれるかもしれない!

 斧 と ナイフは殺傷力高すぎるからな! 万が一、斧で襲われる様な事になったらと思うと……恐ろしすぎる。

 

 

 「さ、ここから上層よ。あんまり怪しい事しないでよ?」

 

 「しないって!? ルフィの方が心配だ!」

 

 「でもね? 意外とルフィーも利口だったみたい。1人になってから結構経つけど、街で騒ぎが起きてないもの」

 

 「甘いなナミさん。ルフィだぞ? 絶対にやらかすって」

 

 「どんな信頼の仕方よ……」

 

 ローグタウンに似たこの街なんだから、処刑されかけてる可能性まである。

 心配だけど、騒ぎが起きて無いから現在地は不明。もどかしい……

 

 今は、サンジが居る上層の広場を目指してる。

 副船長の話だと、そこで料理大会が行われてるみたいだ。サンジも景品の食材を貰うため参加してるらしい。

 この展開は、オレも覚えてる。

 ローグタウン編のアニオリで、サンジが料理勝負をするってエピソードがあったんだ。

 応援に駆けつけたウソップが「イチジ、ニジ、サンジー!」なんて呼び掛けるシーンもある。

 当時はただのネタだと思って観てたケド、原作が進んでから思い返すとトンデモない事言ってるよなウソップ……。

 

 《おおー! ナルト選手、早くもクリーム作りへ取り掛かる様です!》

 

 「すごいナルトくん! もう決勝戦だって!」

 

 「おーい、サンジー!!」

 

 「ちょっと、邪魔しちゃダメよ? エダ」

 

 「ゴメン、ゴメン。あ、でも気付いたみたいだ! 手を振る位ならいいだろ、ナミさん?」

 

 「まったく……あんたロビンの姿なのよ? ほら見なさい、ナルトくん鼻の下伸ばしちゃったわ!」

 

 伸びすぎだろっ!?

 対戦相手の女の子もドン引きしてるよ……って、プリン!?

 ちょっと待て、審査員席もおかしいぞ!!

 モンブラン・クリケット に バジル・ホーキンス!?

 それに……ビビが呼んでも来ないと思ったら、こんな所にいたのかカルー!!

 

─────────

──────

───

 

 《優勝は、プリン・シャーロット!!!》

  ワァァ!

 

 「あれ? 負けちゃったのか、サンジ」

 

 「うーん。相手も凄い子みたいだし、仕方ないわよ。副賞の食材は惜しいけど!」

 

 荷物持ちの手伝いに来たけど、無駄になっちゃたか。

 でも、勝利したプリンがあまり喜んでないな? 審査員の話を聞いてから、表情が暗いぞ。

 クリケットさんは、懐かしい味が決め手になったなんて言ってるけど……。

 ホーキンスは、ノーコメント。ついでに審査員の真似ごとをしてたカルーは、何処かへ行ったみたいだ。

 お、人混みも減ってきた。これなら、サンジの所へ行けそうだ。

 

 「って、あれ? サンジは?」

 

 「さっき、優勝した子と一緒に路地裏へ入っていったわ」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ー 路地裏 ー

 

 「いや、それは君の物だプリンちゃん」

 

 「()()がなければ、あなたが優勝してたわ!」

 

 「おれは別に、トロフィーに興味はないんだ。君こそ、店をやってるのなら───」

 

 なんか揉めてるなぁ。出て行きにくい雰囲気だ。

 プリンの話だと、決勝戦が〝エッグタルト対決〟だったのは運営が不正をする為だったらしい。

 同じ料理を、どちらが作った物か伏せて審査させ、どう票が入ろうともプリン──シャーロット家が勝つよう仕組まれていた。

 プリンがそのカラクリに気付いたのは、今さっきみたいだけど。

 クリケットの発言から、本来の票はサンジに入っていた事を知って運営を問い詰めて聞き出したようだ。

 

 

 「ナルトさんは〝シナモン〟を使っていたでしょう?」

 

 「ああ、丁度仲間が作ってくれたシナモンがあったんでね。この国はエッグタルトの本場。その昔ながらのレシピに寄せてみたんだ」

 

 「私はそんな発想できなかった。きっと、前回優勝した時だって本当は……」

 

 「いや、それは無い。君の腕は確かだって、前回負けたコックも言ってたぜ?」

 

 「あのチンピラ……あ、コックさんが?」

 

 「はは、チンピラで構わねェよ」

 

 あ、プリンの本性がちょっとだけ見えた。通称、(わる)プリンだ。

 落ち込んでる時は、ホントに素直で良い子なのかと思っちゃったよ。

 まあ、原作みたいにサンジの命を狙ってる訳じゃないだろうし放って置いても平気かな?

 

 「ちょっと、ナルトくんを放っておくの?」

 

 「ずっと立ち聞きしてるのも野暮だし。行こう、ナミさん」

 

 「でも心配じゃない? 女の子相手だと、すぐ油断するし……」

 

 「ひょっとして、サンジがプリンに優しくて ちょっとジェラシー?」

 

 「はぁ? バカ言わないで。()あんた一筋よ?」

 

 「ちょ、不意打ちやめて!? それに! オレだって、もちろんナミさん一筋──」

 

 「はいはい、分かったから。ちゃんと前見て歩きなさい?」

 

 おっと。さっきビビにぶつかって散々な目に遭ったばかりだ。

 ナミさんに言われなきゃ、また人にぶつかるトコだった……ってコイツは!

 

 「待っていたぞ〝泥棒猫〟」

 

 「え? さっきの審査員!?」

 

 「バジル・ホーキンス! どうしてココに!?」

 

 「ん? 隣の女も〝麦わらの一味〟なのか? 占いでは〝植物好き〟と〝泥棒猫〟に出会うとでていたが……」

 

 合ってるぞ。やっぱり原作同様に、自分の行動を占いで決めてるみたいだ。

 その占いの結果、オレ達がここへ来ると踏んで待ち伏せしてたって所か。

 

 「ナミさん。下がっててくれ!」

 

 「ちょっと、何なのよ!?」

 

 料理対決の空気感ですっかり油断してたけど、コイツはやばい奴なんだ。

 他人の命をストックして、自分のダメージを肩代わりさせる能力(チカラ)

 原作のキラーみたいに、仲間の命を人質にされてしまったら手を出せなくなる!

 他にも、巨大な(わら)人形に変身する技なんてのもあったな。

 

 奇しくも植物対決! ロビンの身体にも多少は慣れたし、靴さえ脱げば戦えるだろ。

 それに、相手が植物なら試してみたい技だって──

 

 「待て、女。ここで事を構える気はない」

 

 「へ?」

 

 「ふーん? 別に襲おうって訳じゃないみたいね」

 

 ヤル気満々だったのオレだけ!? ちょっと恥ずかしい。

 っ! そもそも、ホーキンスが口数少ないせいだ! ムダに意味深な雰囲気を出すなよ……!




 〜 登場した お菓子の紹介 〜

 オヴォシュ・モーレシュ
  └ポルトガルのモナカ。中身は卵黄のクリーム。貝殻型の他に、魚型もある。

 パン・デ・ロー
  └ポルトガルのカステラ。半熟に仕上げれば、外はふわふわ、中はトロトロ。

 パステル・デ・ナタ
  └ポルトガルで生まれた元祖エッグタルト。パイ生地を使うのが特徴。

 ロズ・ビ・ラバン
  └エジプトのプリン。材料は米と牛乳。食戟のサンジに登場。

 セムラ
  └北欧の菓子パン。原作でビッグマムの過去編にて登場。そのおいしさは、机や周りのモノまで食べてしまう程。

 ネギケーキ
  └ネギ熊まりあ の得意料理。原作16巻のSBSなどで登場。まずいらしい。
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