ー 下町・港へと続く道 ー
「なあ! 敵は倒したのに、なんでこんな急いでんだ!?」
「さっきも言ったでしょ、ルフィー! 敵の規模が全く分からないからよ」
「船に残った副船長とブルックが心配だ。急ぐぞ、ナミさん!」
「わかってる! 私達は先に戻ってるから、荷物は頼むわよ男共!」
「お任せを! ナミさん!」
「あ、ずりィぞエダ!」「あいつも男だろうが……」
これも適材適所。
弾薬類、食料に水、あの量の荷物を持って走るのはアイツらじゃないと無理だもの。
その代わりに、急いで船の無事を確保するのが私たち。
私と……
ドサクサで仲間入りした、この女──
「ねぇロビンさん。あの連中、どうして私を狙ってるのかしら?」
「オレはロビンじゃないぞ? けどまあ、ビビが狙われるのは原作通りだしなぁ……」
「げんさく?」
「エダ、その話はあと! 今は急いで船へ戻るわよ!」
「了解だ! 次の角を曲がれば一本道だから、もうすぐ着くハズ!」
「街の構造が、割と単純で良かったわ。ルフィー達だって、さすがに迷わないでしょ」
「オレ達の方が大分先まで来てるけど、ちゃんと後ろから着いて──なっ!?」
「どうしたのロビンさん。後ろになに──がっ!?」
「ウソでしょ、
なんで、道のあった場所が──穴に変わってるの!?
「ふぅ、ハデに動いたせいで腰に来るねェ〝コッ〟だよ!〝コッ〟!」
「キャハハハ、さすが〝町落としのドロフィー〟ね」
「本名言うんじゃないよっ! この〝バッ〟! 秘密組織だろーがっ!」
「大丈夫。秘密を知った人間を消しちゃえばいいだけでしょ?」
「この〝バッ〟!
ふーん。〝町落とし〟に〝運び屋〟ね。
ミキータは、あの時〝キロキロの実〟の
そうでもなきゃ、ルフィーの一撃をくらって立ってられる訳ないもの。
「大穴のせいで、近くの家も倒壊してるわ……! ひどいっ!」
「キャハハ。狙われてる身で、他人の心配? 大丈夫よ。ここはいくら壊したって構わないの」
「オメーらが下町へ入るまで待ってたんだっ! 町ごと潰してやるよっ!!」
ドロフィーは十中八九〝モグモグの実〟のモグラ人間ね。今も人獣型だし。
こちらも目立ったダメージは無し。さっきは形勢不利と見て、途中で逃げたんだわ。
そして今度は、大穴を作って私達を分断したって訳ね。
「キャハハハ──あなた達を人質にすれば〝麦わら〟も言う事を聞いてくれるかしら?」
「大人しく捕まりな小娘! もう
「ナメんじゃないわよ!!」
ガラ悪っ。やっぱこの女、王女じゃないわ。
私だってナメられるのは大っ嫌いだけど、わざわざ敵の挑発に乗る必要もないのよ?
一応まだ一人、男だっているんだから──
「……ビビ、そのマント貸してくれ」「え?」
「〝生命帰還〟
「え!? 男になった!? しかも、コイツって800万の……!」
「〝バッ〟! そーゆー手品だよ! 前にサーカスで見たことあんだ。アタシは!」
「ならコイツを身代わりにして、さっきの女は逃げたってコト?」
「そっちは後で捜しゃいいよ! 今はまず、800万の〝ザッ〟から叩くよ!」
「もう! なにも敵の前で元に戻らなくてもいいのに」
「ごめん、ナミさん。
射撃の構えをとると、ロビンの胸が気になって戦えないんでしょ! 知ってるわよ。
ま、敵の2人も都合よく勘違いしてるから、問題なさそうね。
そうやってマントを羽織ってると、初めて会った時を思い出すわ。
あの時は痩せすぎで、目もギョロっとしてたから〝不審者〟かと思っちゃったけど。
ここ最近は、トレーニングの成果なのか身体つきも良くなってるし、ちょっと頼もしいかも。
でもね、エダ……
そのマントがめくれたら一気に〝変質者〟よ? 中はロビンの服のままなんだから!
「ねぇ、エダ。そのマント──」
「ナミさん。オレが〝モグおば〟を倒す! ミキータは任せても大丈夫か?」
「あ、うん。確かに向こうの方が厄介ね。分かったわ!」
「モグ!? おば!?」「キャハハハ! そっちの男は任せるわ、モグおば!」
「この〝バッ〟!! アタシを甘くみた事、後悔させてやるよ!」
「あ、ちょっと待ってくれ。靴を脱がないと〝根〟が出せな──」
「ンな暇与えないよっ!〝モグラ塚ハイウェーイ〟!!」
ボコココココココココ
「おわっ!? 離せっ! ちょ速い、速いっ!!」
あの技は、ロビンの話してくれた物語で
地中からエダの脚を掴んで、そのまま高速で移動してる。
下町の建物を壊しながら進んでるから、エダにもダメージがあると思うけど……
まあ、大丈夫でしょ! 木造の家しかないし、あいつも意外と打たれ強くなってるしね。
「うわぁぁぁ! ちょ、うおっ! いったん、っ! 止ま……っ!!」
悲鳴を上げる余裕があるみたいだし、気絶さえしなければ平気……よね?
うん。最悪の場合、ロビンが居るわ! へいき!
「行っちゃった……ねぇ、大丈夫なの
「
「キャハハハ、仲間の心配をしてる場合? あなた達2人。もう誰も守ってくれないわよ?」
「男がいなくて困ってるのは、案外そっちの方じゃない?」
「──どういう意味?」
「パートナーがいなければ、アンタなんか怖くないって意味よっ!」
エダが私に、コイツの相手を任せた理由。なんとなくだけど分かるわ。
戦闘において〝キロキロの実〟の能力は、Mr.5の爆風を利用してこそ真価が発揮される。
1人だけの状態なら、能力者としてのアドバンテージは少ないハズ!
「〝1万
「「きゃああああぁぁ!!?」」
「こっちに避けないでよ!」「アンタこそ、邪魔!」
お姫サマのせいで、危うく攻撃を受けちゃう所だったわ!
って言うか、なんで飛び上がれたの!? 話が違うっ!!
アイツが落ちてきた地面なんて、陥没してるじゃない!
あんなの一撃でもマトモに食らったら、死ぬわ!!! 生捕りなんじゃなかったの!?
「ちょっと、泥棒猫! さっきまでの自信は何だったの!?」
「あんな強いと思わなかったのよ!」
「あなただって賞金首でしょ!? たしか6600万ベリー! ホントは、強いんじゃないの!?」
「私だって困ってんの! いきなり、そんな懸賞金額かけられたんだから!」
「キャハハハ、
また飛ぶ気!? 一体、どうやって……!?
あれは……! そうだ! さっきもあのロープで何かしてたハズ!
確か、ロープの結び目を解いたら、急に突風が?
荒唐無稽な話だけど、あのロープが〝風を起こす道具〟だと仮定して……
敵はそれを利用して空高く飛び上がり、狙いを定めてからの急降下。それがアイツの攻撃手段。
そして私達が避ければ、すかさず距離をとって反撃のスキを与えさせない。
どの道、ナイフだとリーチが短すぎて届かないんだケドね。せめて、斧があれば……
違うわね───無いものは無いんだ。
背に腹は変えられないわ。今、アイツを倒すには──!!
「また飛び上がった!? 今のウチに隠れなきゃ……!」
「待って
「え? そういう、あなたこそ」
「私のは濡れ衣! いいから教えて。アイツの持ってるロープ、盗む事は可能?」
「……無理よ。戦ってる時は、スキがないもの」
「そう。だったら────」
「〝1万
「ッ!! かすっただけなのにっ……!?」「泥棒猫!!」
「キャハハハ! 上手く避けるじゃない。でも、脚を怪我したのなら次はないわ!」
「ビビ!」「分かってる!〝
「ムダよ? 狙いは、このロープでしょ?」ふわっ
「なっ、避けられた!?」
「キャハハ、残念! 折角だから教えてあげる。このロープは〝風の結び目〟というの。3つある結び目は、1つ解けば〝そよ風〟が起こり、2つ解けば〝強風〟そして、3つ解くと〝突風〟が起こるのよ!」
秘密組織とか言ってたのに、よく喋る女ね。
でも、おかげで仕組みが理解できたわ。さっき、ビビの攻撃を避けた時は〝そよ風〟を使ったのね。
体重を1kgにまで軽く出来るのなら、わずかな風でも移動手段に使えるんだわ。
それにさっきまでの攻撃は、結び目2つだけを解いてたから〝強風〟
つまり、あれより上があるってコト───!
「さあ、説明はお終い! 次で確実に1人は仕留めるわ!!」
「結び目が3つ……まさか〝突風〟で飛び上がるの!?」
「便利な道具ね! 私も欲しいんだけど!」
「キャハハハハ! 組織の裏ルートのみの、限定品よ! それじゃあ、お望み通り〝突風〟で終わらせてあげ───っぶ!!?」
ズゴォォォン!!!
「うわ〜、スッゴイ勢いで
「あなたの作戦でしょ? 泥棒猫」
「何言ってんのよ。あんたこそ、敵が〝突風〟を使うように上手く誘導してたじゃない」
「え……誘導? 私、別にそんなつもりじゃ……!?」
アレって、演技じゃなかったのね。てっきり、ナメられた仕返しなのかと思っちゃった。
でも助かったわ。〝強風〟を使われてたら、あそこまで強く激突しなかったと思うし。
〜 3分前 〜
アイツが飛ぶ手段は〝風を起こす道具〟と〝その風を受ける道具〟つまり傘よ。
穴さえ開いちゃえば、真上へ飛ぶコトは不可能。気流に揉まれて、きっと何処かへ衝突するわ。
私がアイツの気を引くから、あんたが傘に穴を開けて! 孔雀なんたらで出来るでしょ?
私が脚を怪我しちゃったけど、アイコンタクトで咄嗟に役割を交代できた。
ホントはお姉ちゃんの形見だから、ナイフは投げたくなかったけど……案外綺麗に飛ぶものね。
うん。刃こぼれも無しっ! コレって意外と凄い品なのかしら?
「念の為、縛り上げてきたわ!」
「あら容赦ない。でも、その用心深さは気が合いそうね
「そっちこそ、気配を消した見事な投擲だったわ……な、
「ぷっ。ナマイキ! あんた、年下なんだから〝さん〟付けしなさいよ」
「な!? 私がいなかったら負けてたクセに!」
「む。斧さえあれば私だって……。けどまあ今回 勝てたのは、ビビのおかげね。ありがとう!」
「うぅ、急に態度を変えないでよ!? ナミ、さん……」
照れちゃって。結構、カワイイところもあるじゃない。
エダに関しての誤解も解けたと思うし、この子とは仲良くなれるかもね。
さてと、ここは一先ず安全になったけど エダの方はどうなってるのかしら?
ー 下町のはずれ ー
「はぁ、はぁ。ようやく止まったか、モグラ!!」
「ゼェ、ゼェ、あれだけ
「オレが丈夫な訳ないだろ!」
「あン?」
女性陣の間じゃ、一撃で気絶する事に定評があるんだぞ。オレは!
そんな悪口を言われてたから、とっさに逆転の発想が閃いたんだけどな。
一度でも壁に激突したら終了。だったらその前に、壁を
そりゃもう必死に〝枝〟でハンマーを作って壊しまくったよ!
──『フフ、客観的に想像するとレトロゲームみたいで面白かったわ』
のんきかっ! タイミング間違えたら、ロビンも一緒に死んで──
「って、生捕りなんじゃなかったのかよ!?」
「ゼェ、ゼェ、オメーは対象外だよ」
「……じゃあ、その対象は向こうの二人か?」
「これ以上は教えねーよ! この〝バッ〟! にしてもアレが効かねェのは、メンドーだねっ!」
戦法を変える気か? それなら逆に助かる。
原作ウソップみたいに靴を脱げば、あの技は簡単に破れるんだけど……
この
多分、ロビンよりオレの方が若干足が大きくて中で引っ掛かってるんだ。
でもモグおばが息を整えてる今なら、生命帰還に集中できる。一度、ロビンになって──
──『ダメよ。さっきの騒動で、下着がどこかへ飛んでしまったもの』
はぁ!? 緊急時だぞ! マントがあるんだし、少しくらいなら別に──
──『ナミに言いつけるわよ? 色々と』
「……よし、モグおば!!」
「なんだい急にっ!! 腰にくるねっ!」
「見てくれ、このブーツ」
「あン? 女モノのハイヒールブーツ? ふざけた格好しやがって!」
「気に食わないなら、その爪で切り刻むんだ! ブーツだけだぞ? 足は傷つけないように頼む」
「ンなモン勝手に脱ぎゃいいだろ! この〝バッ〟!! 800万のクセにエラそーだねっ!!」
「うぐ」
「ひょっとしてオメー、その靴脱げねェのか?」
「……!?」
意外と鋭いぞ!? しかも、また地面へ逃げられた!
けど、大丈夫だ。まだ焦る時間じゃない……
ロビン曰く、ビブルカードに載っている〝町落としのドロフィー〟は1400万ベリーの賞金首。
散々、オレの800万を馬鹿にしてくれたけど大差ない額だ。
──『1.75倍は割と大きいと思うわ』
そんな差は、紙一重だ! なにより、オレは絶対に勝てる自信がある。
なんせ、敵は〝じめんタイプ〟だ。植物が負ける道理がない!!
──『急に不安になったのだけど……』
いや、能力の相性は大事だろ?
今だって、能力を利用して敵の位置は おおよそ探知できてるんだ。
辺り一面にバラまいた〝葉〟が、地中を移動するモグラの振動に合わせて動いてるだろ?
その中でも特に激しく動いてるのが、オレの後方だ。これだけ判ってれば───
「〝
「〝
「なっ、避けやがった!?」
「800万を侮ったな!〝パフューム・ショット〟!!」ピシュ
「なんだい、こんなカスみたいな攻撃……っ!? クサッ! 臭いよ!? 〝クッ〟!!」
一般的にはいい匂いだ!
ロビンと同じ、カサブランカの香り……その 濃度マシマシver. だけど、
思った通り
前世で〝害獣〟としてモグラの知識は仕入れていた。
地中での生活がメインのモグラは、視力が弱い。その代わりに、嗅覚がかなり発達している。
だから畑を荒らされる前に、臭いを利用して追い払う。それがオレの知ってるモグラ退治だ。
よしっと、これでもかってくらい〝蔓〟でグルグル巻きに出来た!
関節も曲げられないように固定したし、カンペキだろ。
──『容赦ないわねエダ。相手は女性よ?』
「うーん。じゃあ、呼吸しやすいように口だけは解放しとくか」
「ぐ、クサッ! イタタッ、ほどきなっ! クサッ!!」
「まだ匂うのか!?」
──『やっぱり口も塞ぎましょう。匂いを付けた〝葉〟で塞いでみたらどうかしら?』
「ぐむむ。ぐぐ〜っ!! むーっ!!」
さっきより、えげつない事になってるケド……ロビンを怒らせたモグおばが悪い。
それにしても、あっさり勝てたな。
敵の攻撃手段も原作通りだから避けやすかったし。
あとは情報を聞き出したい所だけど、この状態だからなぁ……。
取り合えず、モグおばはここに放置して。オレは、ナミさん達と合流するか。
Mr.5が居ない状態のミキータになら、負けることはないと思うけど……色々と心配だ!
放っておいたら、またビビと喧嘩してるかもしれない!
──『大丈夫。ナミはあれで、ビビの事をそれなりに認めていたハズよ?』
そうなのか?
──『現に、あなたがビビのマントを着ていても怒らなかったじゃない』
言われてみれば確かに!?
咄嗟にビビからマントを借りちゃったけど、なんて危ない橋を渡ってたんだ。オレは……!
んんっ。にしても、結構 遠くまで移動したんだなぁ。ほぼ街の外みたいな場所だ。
──『下町の道はガレキで塞がれてるわ。一度中層へ戻った方が早いんじゃないかしら?』
町の惨状はモグラのせいだけど、オレも壁を壊してるし……よし、中層から行こう!
──『相変わらず、変な所で小心者ね。壊れた建物に人はいなかったのに』
良く見てるなぁ……オレにはそんな余裕なかったけどなぁ。
──『仕方ないわ。あなた、ハンマーで手一杯だったもの───ちょっと待って!』
え!? まさか、あの状態からモグラが復活したのか!?
──『違うわ。そこのガレキに引っ掛かってるでしょ? 私の下着が』
黒のレース……。ちょっと待て! まさか、これをオレに着けろと!?
──『あら、着けたいの? 一度交代しようと思ったのだけど。そういう事なら──』
わー!! お願いします!!