ー 下町・港付近 ー
ようやく、ここまで戻って来れた。
短時間で色々と起こりすぎなんだよ。モグおばに、カリファ、そして───
特にヤバかったのがアイスの子だな!
危うく精神的ダメージで死ぬところだった。まったく、とんだ伏兵が居たものだ!
……うん。冷静に考えれば、むしろ被害者はあの子なんだけどさ。
絶対に変なトラウマ与えちゃってるよな? ごめん! 名も知らぬアイスの子!
──『あの子の名前は〝ユウ〟。原作では、ローグ第二小学校へ通う一年生らしいわ』
無駄な詳しさは健在か。引き続きサポートよろしく!
──『…………』
あれ? 聞いてる? ロビンさん?
さっきも『気安く呼ばないで』って言われたし。ああ、そっか呼び方の問題か!
よし! ロビンちゃん!……ミス・オールサンデー!……サンデーちゃん!
えーと、他には───
「おい、あれはオマエの仲間じゃないか?」
「ん? あ、ナミさん達だ! おーい!」
「エダ!?」「なに、
「降ろしてくれ、ドレーク」
「これで、オマエとの貸し借りは無しだ〝植物好き〟」
「分かった。そっちも気を付けてくれ」
「……フン」
ま、いいや。ドレークが去ったんだから、まずは───
〝眼帯生成〟!
ふぅ、やっぱコレを付けると落ち着くなぁ。
左目に穴の開いた眼帯。ドレークと、丸っ切りキャラが被るから控えてたんだ!
「あ、あんた。今、怪獣に乗って!?」
「怪獣って初めてみた……!
「違うぞ二人とも。怪獣じゃなくて、恐竜だ」
「どっちでもいいでわよ! なんで乗ってたのか聞いてんの!」
「それは大穴をジャンプするため──って、ナミさん! 脚をケガしたのか!?」
「ああ、ただの捻挫よ。なのに、ビビが……」
「もうっ! さっき謝ったでしょ、ナミさん!」
「?」
良くわからないけど、仲良くなったみたいだ。
とりあえず船も近くにあるんだし、ナミさんを連れてくか。
ここ数日で地味に筋肉も付いてるし……よっと!
「ちょっとエダ!?」「お姫様だっこ……!」
「暴れないでくれナミさん。そんな恥ずかしがらなくても──」
「ちがうの! 船の周りを良く見て!?」
「え? なんか小さい山が沢山あるな」
陽が落ちてきてるから、ちょっと見づらいけど……
まさかアレ、全部 人の山か!?
それに、硝煙の臭いも立ち込めてる。これは、相当激しい戦闘があったってコトだな。
「物陰に隠れてロビンさん! 誰が
「だから、あんたかルフィー達が戻ってくるのを、ビビと2人で待ってたのよ」
「でも、メリー号は無事みたいだぞ?」
「それが余計に不気味なの! 向こうの桟橋の船だってそうよ?」
「向こう? あれは、ドレークの船と……ホーキンスの船か」
──『リベラルハインド号 と グラッジドルフ号ね』
そういう名前なのか! ありがとう、ロビンちん!
ドレークの船が〝ハインド号〟ってのは、史実が元ネタだろ? フランシス・ドレークなら、オレも多少知ってるぞ。
おロビさん も、元ネタからホーキンスとの従兄弟関係を判明させたんだろ?
前世でオレが流し見しただけの資料を読み解くなんて、凄いなぁー!
……あれ? ロビランドの好きそうな話題なのに無反応か。
仕方ない、とりあえず
先にナミさんを安心させなきゃな。
ここにある人の山は、たぶん副船長とブルックがやったんだと思うし───
「船番をしてた、あの二人が? それホント?」
「たった二人で、この惨状を!?」
「倒れてる連中をよく見てくれ、ナミさん」
あそこの二人は特に分かり易いな。船の近くでノビてる、一際目立つ大男達だ。
太っている方は、クチビルが腫れ上がっている──〝タバスコ星〟を食らった証拠だ。
痩せている方は、長い手足が凍りついてる────〝
「うーん。ブルックの件は納得だけど、タバスコって何よ……ビビはどう思う?」
「クチビルが腫れてる男は、元からそういう顔なんじゃないかしら?」
「なっ!?」
「あんた、推理力が落ちたんじゃない? ビビの誤解を解く時は、あんなに冴えてたのに」
「ねぇロビンさん。やっぱり、女性の姿に戻った方がいいんじゃないかしら?」
「それよ、エダ! むしろロビンと交代しなさいよ」
「…………」
なんなんだ! 君たちは!
すっかり仲良しさんか!? オレの存在を丸ごと否定するなよ!
こうなったら───!
「ちょっと! なんで船に向かってるのよ!?」
「さっきの推理が合ってるか、副船長たちに確認するんだ!」
「なにムキになってんのよ、もう! あと、いい加減下ろしなさいって。そろそろ腕も限界でしょ?」
「大丈夫。みかんの木より軽いから!」
「2人とも待って! ふ、船に……お化けが!?」
「「あ」」
ブルックが顔を出して手を振ってる。
陽も落ちて、薄暗くなってきてるから結構ホラーだな……ビビが本気で怖がってるぞ。
ん? ブルックに少しだけ違和感が? いや、むしろ違和感がなくなったんだ!
今のブルックは帽子を脱いで、原作でお馴染みのアフロ姿になってるからな。
ー メリー号・甲板 ー
「どうして、ガイコツが動いて……しゃべって!?」
「いま、ナミに殴られて動かなくなったけどなっ! ワシはウソップだ、よろしくな」
「まったく! 怖がってるビビにパンツを見せろだなんて、なに考えてるのよ!」
「ヨホホ、手厳しィー……!」「クエー?」
「カルー!? ここに居たのね! あ、ダメよガイコツをつついたら!」
「大丈夫よビビ。
「ヨホホホ! 死んで骨だけ、ブルックです」
「驚いたわ……手配書の写真は、ガイコツのマスクじゃなくてホンモノだったのね」
うんうん。ビビとブルックが会話してるのは、なんか感動するなぁ。
案の定、敵を倒してたのは副船長たちだったし……
クエ〜。
ビビが気にしてたカルーも、メリー号になぜか乗ってたし。
あとはルフィ達3人が戻れば出航か……大穴の向こうにいなっかったけど、回り道してるのか?
「ま、待てナミ! 話せば分かる!」
「ん? なに慌ててるんだ、副船長?」
「エダーっ! ワシを助けてくれ!!」
「あ、エダ。着替えたのね。ちょっと副船長を殴らなくちゃいけないから、どいてくれる?」
「わかった」
「わかるなよ!? 待て、待て! 酒はキチンと補填したんだ───」
話を聞いてみたけど、そりゃナミさんも怒るよなぁ。
船番の2人は、酒盛りをしていて……船に積んでいた酒を全て飲み尽くしたらしい。
船にあった金で酒の補充はしたみたいだけど、かかった費用が100万ベリー。
それってロビンが置いていった金だよな? 本来、オレがナミさんへ返すはずの……。
「敵から船を守ってくれたのは、ありがたいけど!
「落ち着け! 金なら返すアテがあるっ!」
「……それ、ホント?」
「あ、ああ! 実は、外で倒れてる連中以外にも、モーガニアが襲ってきたんだ! なあ、ブルック!?」
「ええ!〝クラゲ海賊団〟からは、きちんとお宝を回収してますとも!」
クラゲ海賊団……? 聞いたことあるような、ないような?
──『FILM REDのゲスト声優枠ね。残念だけど、詳細は不明。ホントに残念ね……』
あ〜、ネットニュースとかで見たなぁ。その、映画見る前に死んじゃってごめん! ニコ屋。
──『仕方ないわ。せめて、クラゲ海賊団のお宝だけでも見に行きましょう?』
返事が!? まさか、ニコ屋が正解なのか?
ー メリー号・船倉 ー
「も〜! さすが副船長とブルックね! よ、ピースメイン! 2人とも素敵♪」
「まぁなんだ。現金なヤツだなー、オマエ」
「凄い財宝。これって、300万ベリーくらいの価値があるんじゃないかしら?」
「あら、ビビ。見る目があるじゃない! 私の見立てと一緒よ」
「なにィー!? じゃあ、差額だけでもワシらに……」
「うふふ」
「ヨホホホ、聞いてませんね」「ナミさん、財宝に頬擦りしてるわ……」
これぞ、ナミさんだな。
オレの位置からじゃ見えないけど、きっと目もベリーの形になってるんだろう。
それにしても、副船長たちの活躍が凄いなぁ。
バロックワークスもどきを倒して、教会を倒して……モーガニアから財宝まで回収してるなんて。
おかげで、お金の問題も解決だ! 助かったー。
「あ、エダ。あんた100万ベリー返し終わるまで、私の〝しもべ〟だからね?」
「えぇ!? 換金はまだだけど、その宝でお釣りがくるだろ!?」
「コレは私のよ? たった今、副船長が
「で、でもさ! そもそも副船長がオレの100万を勝手に……!」
「それなんだがよォ。ワシはロビンから、一味の共有財産だから好きに使っていいと言われててな?」
ハッ……!? 確かに昨日、そんなことをロビンに言ったような気が? どうだっけ、ニコ屋!
──『さあ? どうだったかしら?』
覚えてないのかよ!? 原作知識なら、コアなとこまで網羅してるくせにっ!
あと、ホントに〝ニコ屋〟なら反応するんだな!? そういう認証システムなのか!? 音声認識的な、そういうアレ!
んんっ。〝
──『よく聞き取れないわ。もう一度、話してもらえないかしら?』
そういう認証システムだった!? いいよもう! 天気はナミさんに聞くから!!
「さあ、エダ! 私は足をケガしてるんだから、ラウンジまで運んでくれる?」
「う、さっき財宝目掛けて走ってたの見たぞ?」
「はいはい。文句はお金を返してからよ〜? よっと、それじゃぁヨロシク!」
「観念しろエダ。男なんて、どうせ結婚しちまえば嫁さんの〝しもべ〟みてェなモンだ!」
「ヨホホホ! つまり、少し早まっただけってコトですねェ〜」
そういうモンなのか?
腕の中にいるナミさんも喜んでるし、オレだって満更でもないような気が……?
ってダメだ! 気をしっかり持て! 本来〝しもべ〟は、別のヤツの役割なんだ!
ー 下町・荒れ果てた路地 ー
ここは……? 身体に巻き付いてるのは紐? 弛んでるみたいだし、どうにか外れそうね。
痛ッ!? 頭がズキズキする。
まさか、傘に穴が? ウソでしょ!? 綺麗に裂けてる。
特殊繊維が編み込んであるから、並の刃物じゃ傷一つ付かないハズなのにっ!
現状はサイアクね──傘は壊れて。風の結び目も盗られてる。オマケに頭を打って、歩くのもキツい状態。
「キャハハ、ハ。任務失敗……ね」
このままジッとしてたら、私は組織に消されるのかしら?
せめて最初のターゲットを捕縛してれば、言い訳もできたんでしょうけど……。
そういえばあの女、こんな下町の建物を心配してたわね。笑えるわ。
あのモグラおばさんが壊した範囲には、最初から住人なんていないのにね。
全ては、闇の品を隠すためのカモフラージュだもの。
「あら? けれどここは、
どこも中は留守みたいだけど、船を襲うメンバーに選ばれたのかしら?
この下町で、住人がいる家は組織のアジト兼、地下倉庫への入り口。
私も〝運び屋〟として、何度も足を運ぶ場所だけど……ここは特にヤバめな倉庫。
各地から集めた、クスリが一時保管される場所。
クスリと言っても、その
幻覚を見るモノ、テンションが上がるモノ、頭が冴える……気がするモノ。
それこそ、貴重なモノだと……
「そう、よね。どうせ、消されるのなら!!」
キャハハハ、恐ろしい程の効き目ね! 傷まで治っちゃったわ!
筋力も普段より増えてる気がするし、やっぱり今日はツいてるのかも!
昼間も、負けろと命令されてたチョコレート勝負で、うっかり本気だしちゃったケドどうにかなったし!
このまま連中を仕留めて、ターゲットの〝孔雀鳩〟を確保すれば───
ウソでしょ!?
港にビリオンズが積まれてる!? 狙撃ペアまでヤられてるじゃない!
他にも上位エージェントが何人も……!
けれど、ウチの人間じゃない黒いコートを着てるヤツらは何?
コレって……教会のエンブレム!? じゃあ、
くっ、ここで私が息の根を止めたいトコだけど、我慢よ……っ!
今は任務を最優先。
貴重なクスリは、あと一錠あるんだし。私の能力と相性のいいエージェントを見つけて───
「あなたに決めたわ〝キャッチャー殺しのベーブ〟! あら? 起きてるの?」
「あ〜〜〜し〜〜……」
「脚? ふーん、銃で脚を撃たれて立てないのね? 治してあげましょうか?」
「ど〜〜〜う〜〜〜や〜〜っ!?」ゴクン
「キャハハハハ! はい、時間切れ〜!」
「フォーッッッ!!!」
凄い回復力! もともと、4トンのバットを振り回す男だもの。
薬でパワーアップした今ならきっと……!
私とこの男で、あの船を木っ端微塵に砕いてやるわっ!!
「あなた、元は〝
「フォッ?」
「あの船に向かって、1万キロの
「フォー、フォー」
「いい? 私を海に落とす勢いで構わないわ。どの道、失敗すれば消される運命だからっ!」
「フォーーッッ!」
「いくわよっ!〝1万キロ・
ー メリー号 ー
「所持金ゼロだから、トランプ勝負もできない……」
「元気だして、ロビンさん! 私もお金を稼ぐの手伝うから!」
「ビビ……! ありがとう。あと、何度も言うけどオレはロビンじゃな──」
「マズい!? 伏せろみんなっ!!!」
「えっ!?」
バキッッ……!
な!? メインマストが折れかけてる!?
まさか砲弾でも撃ち込まれたのか!? 大砲の音なんて、全く聞こえなかっ──
「キャハハハハ! やるじゃないベーブ。
「あの女!?」「ちゃんと縛ってたのにっ!?」
「お前らっ! 今は急いで、ロープを引っぱれ! マストが倒れちまうぞ!」
そうだ、マストの根本が抉れてるんだ!
ロープを引いても、このままじゃ自重を支えきれずに折れる。オレが本体を支えないとっ!
「〝
「なにアレ!? 腕が急に太くなった!?」
「でかしたエダ! そのまま抉れた部分を修繕してくれ!」
「ダメだ、副船長! マストが直立してくれなきゃ、うまく接合出来ない!!」
「よし、エダ以外の全員でロープを引いてマストを起こすぞ!」
「キャハハハ! させるワケないでしょ? 動けないのなら好都合! そのダサい眼帯男から倒してあげる!!」
ダ、ダサい眼帯男!? それって、眼帯だけの話だよな? まさか、オレ自身も含めて……?
──『敵に集中しなさい。マストは片手で支えて、もう一方で殴る準備を……いえ、大丈夫ね』
「もらったわ! 800万の首っ……ぶっ!?」
「フッ飛びなさい!!」ドンッ!
「助かった、ナミさん!」
「怖ェー! なんつー威力のパンチだよ!?」「やっぱり強かったのね、ナミさん!」
「ヨホホホ、坊ちゃんの技が霞む威力ですねェ」
「アイツが軽くなる瞬間を狙ったのよ! 私のチカラが強い訳じゃないのっ!!」
実際、オレの技より威力ありそうだけど……とにかく、危機は脱した!
ミキータは、ナミさんがブン殴って船の外へ。
マストの方も、副船長とブルックに加えて、ビビとカルーが手伝ってくれたおかげで真っ直ぐになった。
あとは大きく抉れたマストの欠損部分を、オレの能力で修繕してやれば───
「フォーッ!!!」
「アイツ、復活しやがったのか!? ブルック、ビビ! ロープを頼む!」
「クエー!」
「おっと、お前さんもな! ワシが外の男を倒す。船は任せるぜ!」
外の敵ってMr.4だよな? 副船長が一度倒したって聞いてるけど……
そもそもミキータだって、ナミさん達が倒したはずなのに何で復活してるんだ!?
チユチユの実? テンションホルモン? どっちも、この状況とは合わないような?
──『〝豪水〟……いえ、腕に模様は無かったから〝
ホーディとかが使ってたヤツか! 言われてみれば、ミキータは目が血走ってたな。
なら復活するだけじゃなく、パワーアップしてるんじゃないか!?
ミキータの方も、まだ立ち上がってくる可能性が──
「ハァ、ハァ、もうアッタマ来たわ! あのゴリラ女、絶対に許さないっ!!」
「……エダ。あんたは、船をお願いね?」
「あ、ハイ」
ナミさん、脚を怪我してたんだよな? 重そうな斧を持って、船から飛び降りて行ったけど……。
ー 下町港 ー
「キャハハハハ! どうして斧なんて持ってるのかしら? 素手の方が強いでしょ、ゴリラなんだから!」
「誰がゴリラよ! アンタこそ、少しは体重を気にしたらっ!」
「私はいくら重くなってもスタイルは変わらないのよ? 羨ましい?」
「お生憎サマ! 私はスタイルもいいし、体重だって軽いのよ! みかんより軽いんだからっ!!」
「みかん……?」
「スキありっ!!」
「キャハハハ! ムダよ? 私にそんな
また避けられた! 斧の攻撃だと、アイツに風圧を利用されるって事ね。
けれど、さっきみたいな不意打ち以外で直接殴りに行くなんて無謀だし……。
どうにかして、斧の一撃を当てないと!
幸い、この女の格闘術は素人同然。
さっきから攻撃手段は〝かかと落とし〟や〝両手を組んでの振り下ろし〟ばっかり。
体重を乗せる大技しか狙って来ないから、十分に動きは見切れるわ!
「いい加減、諦めなさい? こっちは〝クスリ〟まで使ってるんだから……あ、そうだわ!」
「ウソ!?
「キャハハハ! なーんだ。今の筋力なら、多少重くなっても十分動けるんじゃない」
「どういうコト……!?」
「速くて重い攻撃が出来るってコト、よっ!」
重い状態のまま動けたの!?
あの女は多少重くなったなんて言ってたけど! 質量と速度の関係を考えれば、その
マズいわね……さっきの一撃で脚のケガも悪化したみたい。
斧の柄を地面に突いて、重心移動でどうにか攻撃を避けてるケド、かなりキツイ!
あと
「キャハハハハ! さっきの戦闘と同じ状況ね! 避けるだけで精一杯じゃない!」
「ハァ、ハァ、アンタこそ目が血走ってるわよ? さっき言ってた、クスリの影響?」
「そうよ! これを使ってる以上、任務をしくじれば
「イヤな組織。そんな危ない所へ入るニンゲンの気が知れないわ」
「能力者じゃないニンゲンには、理解できないでしょうねっ!!」
うっ、重い一撃っ! 会話で時間を稼ぐのも、もう限界ね。
この女にも戦う理由はあるんでしょうけど、今回は私だって……!!
──「ナミさーん! 敵がパワーアップしてるから気を付けてくれー!」
「おそいっ! ばか!!」
「あら、船の男から応援? ゴリラ同士お似合いね」
「ありがとう。ところでアンタの男は、ウチの副船長が仕留めたみたいよ?」
「えっ!? って、普通に立ってるじゃない! そもそも、アレは私の男じゃ──」
ウソよ。他の状況を見てられる余裕なんてないもの。
けれど、一瞬のスキが命取りよ。
このタイミングを、ずっと待ってたんだからっ!!
「たぁ!!」
「な、斧を真上に投げた!? 直接 殴る気ね」
「アンタじゃないんだから、そんな野蛮な戦い方しないわ、よっ!」
脚のケガで跳躍力が心配だったけど、メリー号が近くにあって助かったわ!
欄干を足場にして、もう一度ジャンプ!
よしっ! このまま空中で斧を掴んで──いくわよ! ベルメールさん直伝っ!!
「〝
「高所からの攻撃!? ムダよ! それを当てる難しさは良く知ってるわ! その上、回転? なおさら制御なんて不可能ね!」
たしかに制御なんて無理。
最初に狙った場所へ落下する技だもの……けれど、予報してあげる!
「本日は夕方から夜にかけて、風の変わり目に大陸側から突風が吹くでしょう──」
ビューゥゥゥ!!
「突風!? 風の結び目でも使ったの!?」
「そんなズルじゃない、天然の風よ!」
「ぐっ……!?」
狙い通り、飛ばされないよう重くなって耐えたわね!
風向き、風力。それによる技の軌道変化、アンタの動く位置まで全部! 予測通り!!
この状態なら絶対、当たる!!
「予報の続き! なお、局所的に斬撃の雨が降るでしょう──ゲリラ豪雨にご注意をっ!!」
ザンッ!
「……ガハッ!」
「どう? 私の武器も、なかなか重い一撃だったでしょ?」
この女の戦い方を見て改めて感じたケド、やっぱり〝重さ〟は攻撃力に直結するのね。
ベルメールさんの言ってたコトがようやく解ったわ。
──『いいナミ? 女はね、体重は軽くてもいいけど……重い方がいいモノが2つあるのよ』
一つは武器の重さ。もう一つが、愛の重さ。
あはは。そういえば、あの女がエダの事を馬鹿にした瞬間に殴る体制を取ってたわ。
きっと、これが愛の重さね!
……ま、確かにあの眼帯はダサいんだけど。
「くしゅん!」
「どうしたエダ! 風邪か? あと少しでマストも直るんだから、粘ってくれよ?」
「分かってるよ副船長。そっちこそサボってないで、ナミさんを手伝ってくれ!」
「サボりだとっ!? ワシがどれ程の死闘を繰り広げたと……っ!」
──「ゲリラ豪雨にご注意を!」
「ナミさんが勝ったわ!」
よかった、ナミさんは無事みたいだ。きっと、オレの忠告が届いたんだな!
でも、知らない技名を叫んでたよな? ゴリラ……じゃなかったゲリラ豪雨?
「ヨホホホ! 突風には驚きましたが、マストも無事で良かったです」
突風の時には、もうほぼ修繕できてたからな。丁度その頃、副船長も帰ってきた。
それからずっと、仕上げ作業をしてるオレの横で武勇伝を語って邪魔してくる。
やれ、パワーアップした敵に、跳弾を見切られてピンチになったとか。
見聞色をフル活用して、バットの振り下ろしを避けながらゼロ距離射撃したとか。
その時、銃の先に刃物を取り付けた新兵器〝ヘラクレス〟も一緒にお見舞いしたとか。
「コイツが、そのヘラクレスだ! どーだ? この天才的なアイディア!」
うん。ただの銃剣だな……決め手が接近戦って〝狙撃手〟としてどうなんだ?
──「エダー! 船が直ったんなら、迎えに来なさいよー!」
「おっと、姫サマがお呼びだぜ 色男?」
「からかうなよ副船長。ナミさんは、脚をケガしてたんだ。ちゃんと迎えに行かなきゃな」
「はっはっはっ!〝しもべ〟は大変だな!」
そうそう、しもべは大変なんだよ、っと。
考えてみれば、オレも原作ゼウスみたいに ナミさんに名付けられたんだよなぁ。
いや違うか、ゼウスは逆に〝わた〟って名前を却下したんだった。
その上で〝相棒〟にまで昇格してたし──あれ? ひょっとして、オレより待遇良いんじゃ!?
「おそい! んっ!」
「よっと。お待たせ、ナミさん」
「ねぇ見て? 月がキレイよ」
「ん? もうすっかり夜か。こんなに天気がいいのに、突風って起こるんだなぁ」
「……さっきの突風は、季節と地形によるモノよ。まったく、ニブイんだから」
「やっぱり天気は、ナミさんに聞くのが一番だな!」
「はいはい。それじゃ、船までヨロシクね。あ、斧も忘れないでよ?」
「おっもっ!? いや、違くて! ナミさんは軽いんだけど……斧が、重すぎる!!」
「大丈夫! 鍛えてるんでしょ? さあ、出発ー!」ペシペシ!
なんか扱いが雑っ! やっぱり、オレの扱いゼウス以下だよな!?
アイツは命令を聞いたら、ご褒美がもらえるんだし。
いや、オレは雷雲の卵みたいなヤツもらっても困るけどさ。
アイツは雲だから……あれ? 今更だけど、ゼウスってなんなんだ?
えーと、ビッグ・マムに
──『ホーミーズ……』
そうソレ! つまり、ワノ国編終盤以降は〝
──『考察はあと。今は、ナミを連れて船に戻るべきよ』
ニコ屋も考察は好きだろ? って、いい加減〝ニコ屋〟って呼ぶのも恥ずかしいな。
──『最大クラスのホーミーズ〝クイーン・ママ・シャンテ号〟がコチラへ向かって来てるわ』
フーネー♫ フーネー♪
はぁぁぁ!? ピンチを知らせる時は、もっと焦ってくれよ!! この、ニコ……ニコチャン大王めっ!!