植物好き(仮)と麦わらの一味もどき   作:浅学寺のえる

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第45話〝GORILLA〟

 ー 下町・港付近 ー

 

 ようやく、ここまで戻って来れた。

 短時間で色々と起こりすぎなんだよ。モグおばに、カリファ、そして───

 特にヤバかったのがアイスの子だな!

 危うく精神的ダメージで死ぬところだった。まったく、とんだ伏兵が居たものだ!

 

 ……うん。冷静に考えれば、むしろ被害者はあの子なんだけどさ。

 

 絶対に変なトラウマ与えちゃってるよな? ごめん! 名も知らぬアイスの子!

  ──『あの子の名前は〝ユウ〟。原作では、ローグ第二小学校へ通う一年生らしいわ』

 無駄な詳しさは健在か。引き続きサポートよろしく!

 ──『…………』

 

 あれ? 聞いてる? ロビンさん? ()()()以来、なんか冷たいんだよなぁ。

 さっきも『気安く呼ばないで』って言われたし。ああ、そっか呼び方の問題か!

 よし! ロビンちゃん!……ミス・オールサンデー!……サンデーちゃん!

 えーと、他には───

 

 「おい、あれはオマエの仲間じゃないか?」

 

 「ん? あ、ナミさん達だ! おーい!」

 

 「エダ!?」「なに、()()!?」

 

 「降ろしてくれ、ドレーク」

 

 「これで、オマエとの貸し借りは無しだ〝植物好き〟」

 

 「分かった。そっちも気を付けてくれ」

 

 「……フン」

 

 ()()()()でニヒルに笑われても、反応に困る。

 ま、いいや。ドレークが去ったんだから、まずは───

 〝眼帯生成〟!

 

 ふぅ、やっぱコレを付けると落ち着くなぁ。

 左目に穴の開いた眼帯。ドレークと、丸っ切りキャラが被るから控えてたんだ!

 

 「あ、あんた。今、怪獣に乗って!?」

 

 「怪獣って初めてみた……! ()()()()()()()()子が、飼い主かしら?」

 

 「違うぞ二人とも。怪獣じゃなくて、恐竜だ」

 

 「どっちでもいいでわよ! なんで乗ってたのか聞いてんの!」

 

 「それは大穴をジャンプするため──って、ナミさん! 脚をケガしたのか!?」

 

 「ああ、ただの捻挫よ。なのに、ビビが……」

 

 「もうっ! さっき謝ったでしょ、ナミさん!」

 

 「?」

 

 良くわからないけど、仲良くなったみたいだ。

 とりあえず船も近くにあるんだし、ナミさんを連れてくか。

 ここ数日で地味に筋肉も付いてるし……よっと!

 

 「ちょっとエダ!?」「お姫様だっこ……!」

 

 「暴れないでくれナミさん。そんな恥ずかしがらなくても──」

 

 「ちがうの! 船の周りを良く見て!?」

 

 「え? なんか小さい山が沢山あるな」

 

 陽が落ちてきてるから、ちょっと見づらいけど……

 まさかアレ、全部 人の山か!?

 それに、硝煙の臭いも立ち込めてる。これは、相当激しい戦闘があったってコトだな。

 

 「物陰に隠れてロビンさん! 誰が()()をやったのか、分からない状況なの」

 

 「だから、あんたかルフィー達が戻ってくるのを、ビビと2人で待ってたのよ」

 

 「でも、メリー号は無事みたいだぞ?」

 

 「それが余計に不気味なの! 向こうの桟橋の船だってそうよ?」

 

 「向こう? あれは、ドレークの船と……ホーキンスの船か」

 

 ──『リベラルハインド号 と グラッジドルフ号ね』

 

 そういう名前なのか! ありがとう、ロビンちん!

 ドレークの船が〝ハインド号〟ってのは、史実が元ネタだろ? フランシス・ドレークなら、オレも多少知ってるぞ。

 おロビさん も、元ネタからホーキンスとの従兄弟関係を判明させたんだろ?

 前世でオレが流し見しただけの資料を読み解くなんて、凄いなぁー!

 

 ……あれ? ロビランドの好きそうな話題なのに無反応か。

 仕方ない、とりあえず()()()は後回しだ。

 先にナミさんを安心させなきゃな。

 ここにある人の山は、たぶん副船長とブルックがやったんだと思うし───

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 「船番をしてた、あの二人が? それホント?」

 

 「たった二人で、この惨状を!?」

 

 「倒れてる連中をよく見てくれ、ナミさん」

 

 あそこの二人は特に分かり易いな。船の近くでノビてる、一際目立つ大男達だ。

 太っている方は、クチビルが腫れ上がっている──〝タバスコ星〟を食らった証拠だ。

 痩せている方は、長い手足が凍りついてる────魂の(ソウル)パラード〟の影響だな。

 

 「うーん。ブルックの件は納得だけど、タバスコって何よ……ビビはどう思う?」

 

 「クチビルが腫れてる男は、元からそういう顔なんじゃないかしら?」

 

 「なっ!?」

 

 「あんた、推理力が落ちたんじゃない? ビビの誤解を解く時は、あんなに冴えてたのに」

 

 「ねぇロビンさん。やっぱり、女性の姿に戻った方がいいんじゃないかしら?」

 

 「それよ、エダ! むしろロビンと交代しなさいよ」

 

 「…………」

 

 なんなんだ! 君たちは!

 すっかり仲良しさんか!? オレの存在を丸ごと否定するなよ!

 こうなったら───!

 

 

 「ちょっと! なんで船に向かってるのよ!?」

 

 「さっきの推理が合ってるか、副船長たちに確認するんだ!」

 

 「なにムキになってんのよ、もう! あと、いい加減下ろしなさいって。そろそろ腕も限界でしょ?」

 

 「大丈夫。みかんの木より軽いから!」

 

 「2人とも待って! ふ、船に……お化けが!?」

 

 「「あ」」

 

 ブルックが顔を出して手を振ってる。

 陽も落ちて、薄暗くなってきてるから結構ホラーだな……ビビが本気で怖がってるぞ。

 ん? ブルックに少しだけ違和感が? いや、むしろ違和感がなくなったんだ!

 

 今のブルックは帽子を脱いで、原作でお馴染みのアフロ姿になってるからな。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ー メリー号・甲板 ー

 

 「どうして、ガイコツが動いて……しゃべって!?」

 

 「いま、ナミに殴られて動かなくなったけどなっ! ワシはウソップだ、よろしくな」

 

 「まったく! 怖がってるビビにパンツを見せろだなんて、なに考えてるのよ!」

 

 「ヨホホ、手厳しィー……!」「クエー?」

 

 「カルー!? ここに居たのね! あ、ダメよガイコツをつついたら!」

 

 「大丈夫よビビ。()()も悪魔の実の能力だから。触っても呪われたりしないわ」

 

 「ヨホホホ! 死んで骨だけ、ブルックです」

 

 「驚いたわ……手配書の写真は、ガイコツのマスクじゃなくてホンモノだったのね」

 

 うんうん。ビビとブルックが会話してるのは、なんか感動するなぁ。

 案の定、敵を倒してたのは副船長たちだったし……

  クエ〜。

 ビビが気にしてたカルーも、メリー号になぜか乗ってたし。

 あとはルフィ達3人が戻れば出航か……大穴の向こうにいなっかったけど、回り道してるのか?

 

 

 「ま、待てナミ! 話せば分かる!」

 

 「ん? なに慌ててるんだ、副船長?」

 

 「エダーっ! ワシを助けてくれ!!」

 

 「あ、エダ。着替えたのね。ちょっと副船長を殴らなくちゃいけないから、どいてくれる?」

 

 「わかった」

 

 「わかるなよ!? 待て、待て! 酒はキチンと補填したんだ───」

 

 話を聞いてみたけど、そりゃナミさんも怒るよなぁ。

 船番の2人は、酒盛りをしていて……船に積んでいた酒を全て飲み尽くしたらしい。

 船にあった金で酒の補充はしたみたいだけど、かかった費用が100万ベリー。

 それってロビンが置いていった金だよな? 本来、オレがナミさんへ返すはずの……。

 

 「敵から船を守ってくれたのは、ありがたいけど! ()()()()で、無駄遣いしないでよっ!」

 

 「落ち着け! 金なら返すアテがあるっ!」

 

 「……それ、ホント?」

 

 「あ、ああ! 実は、外で倒れてる連中以外にも、モーガニアが襲ってきたんだ! なあ、ブルック!?」

 

 「ええ!〝クラゲ海賊団〟からは、きちんとお宝を回収してますとも!」

 

 クラゲ海賊団……? 聞いたことあるような、ないような?

  ──『FILM REDのゲスト声優枠ね。残念だけど、詳細は不明。ホントに残念ね……』

 あ〜、ネットニュースとかで見たなぁ。その、映画見る前に死んじゃってごめん! ニコ屋。

  ──『仕方ないわ。せめて、クラゲ海賊団のお宝だけでも見に行きましょう?』

 

 返事が!? まさか、ニコ屋が正解なのか?

 

─────────

──────

───

 

 ー メリー号・船倉 ー

 

 「も〜! さすが副船長とブルックね! よ、ピースメイン! 2人とも素敵♪」

 

 「まぁなんだ。現金なヤツだなー、オマエ」

 

 「凄い財宝。これって、300万ベリーくらいの価値があるんじゃないかしら?」

 

 「あら、ビビ。見る目があるじゃない! 私の見立てと一緒よ」

 

 「なにィー!? じゃあ、差額だけでもワシらに……」

 

 「うふふ」

 

 「ヨホホホ、聞いてませんね」「ナミさん、財宝に頬擦りしてるわ……」

 

 これぞ、ナミさんだな。

 オレの位置からじゃ見えないけど、きっと目もベリーの形になってるんだろう。

 それにしても、副船長たちの活躍が凄いなぁ。

 バロックワークスもどきを倒して、教会を倒して……モーガニアから財宝まで回収してるなんて。

 おかげで、お金の問題も解決だ! 助かったー。

 

 

 「あ、エダ。あんた100万ベリー返し終わるまで、私の〝しもべ〟だからね?」

 

 「えぇ!? 換金はまだだけど、その宝でお釣りがくるだろ!?」

 

 「コレは私のよ? たった今、副船長が()()()じゃない?」

 

 「で、でもさ! そもそも副船長がオレの100万を勝手に……!」

 

 「それなんだがよォ。ワシはロビンから、一味の共有財産だから好きに使っていいと言われててな?」

 

 ハッ……!? 確かに昨日、そんなことをロビンに言ったような気が? どうだっけ、ニコ屋!

  ──『さあ? どうだったかしら?』

 

 覚えてないのかよ!? 原作知識なら、コアなとこまで網羅してるくせにっ!

 あと、ホントに〝ニコ屋〟なら反応するんだな!? そういう認証システムなのか!? 音声認識的な、そういうアレ!

 んんっ。OK(オーケー) Nicoya〟今日の天気を教えて?

 ──『よく聞き取れないわ。もう一度、話してもらえないかしら?』

 

 そういう認証システムだった!? いいよもう! 天気はナミさんに聞くから!!

 

 

 「さあ、エダ! 私は足をケガしてるんだから、ラウンジまで運んでくれる?」

 

 「う、さっき財宝目掛けて走ってたの見たぞ?」

 

 「はいはい。文句はお金を返してからよ〜? よっと、それじゃぁヨロシク!」

 

 「観念しろエダ。男なんて、どうせ結婚しちまえば嫁さんの〝しもべ〟みてェなモンだ!」

 

 「ヨホホホ! つまり、少し早まっただけってコトですねェ〜」

 

 そういうモンなのか? 

 腕の中にいるナミさんも喜んでるし、オレだって満更でもないような気が……?

 ってダメだ! 気をしっかり持て! 本来〝しもべ〟は、別のヤツの役割なんだ!

 

 


 

 

 ー 下町・荒れ果てた路地 ー

 

 ここは……? 身体に巻き付いてるのは紐? 弛んでるみたいだし、どうにか外れそうね。

 痛ッ!? 頭がズキズキする。()()()に打つけたんだわ。急に風の制御が効かなくなって……

 まさか、傘に穴が? ウソでしょ!? 綺麗に裂けてる。

 特殊繊維が編み込んであるから、並の刃物じゃ傷一つ付かないハズなのにっ!

 現状はサイアクね──傘は壊れて。風の結び目も盗られてる。オマケに頭を打って、歩くのもキツい状態。

 

 「キャハハ、ハ。任務失敗……ね」

 

 このままジッとしてたら、私は組織に消されるのかしら?

 せめて最初のターゲットを捕縛してれば、言い訳もできたんでしょうけど……。

 そういえばあの女、こんな下町の建物を心配してたわね。笑えるわ。

 あのモグラおばさんが壊した範囲には、最初から住人なんていないのにね。

 全ては、闇の品を隠すためのカモフラージュだもの。

 

 「あら? けれどここは、()()がいるエリアね……。思ったよりも、突風で飛ばされてたんだわ」

 

 どこも中は留守みたいだけど、船を襲うメンバーに選ばれたのかしら?

 この下町で、住人がいる家は組織のアジト兼、地下倉庫への入り口。

 私も〝運び屋〟として、何度も足を運ぶ場所だけど……ここは特にヤバめな倉庫。

 各地から集めた、クスリが一時保管される場所。

 クスリと言っても、その(ほとん)どが違法な品物。

 幻覚を見るモノ、テンションが上がるモノ、頭が冴える……気がするモノ。

 

 それこそ、貴重なモノだと……

 

 「そう、よね。どうせ、消されるのなら!!」

 

─────────

──────

───

 

 キャハハハ、恐ろしい程の効き目ね! 傷まで治っちゃったわ!

 筋力も普段より増えてる気がするし、やっぱり今日はツいてるのかも!

 昼間も、負けろと命令されてたチョコレート勝負で、うっかり本気だしちゃったケドどうにかなったし!

 このまま連中を仕留めて、ターゲットの〝孔雀鳩〟を確保すれば───

 

 ウソでしょ!?

 港にビリオンズが積まれてる!? 狙撃ペアまでヤられてるじゃない!

 他にも上位エージェントが何人も……!

 けれど、ウチの人間じゃない黒いコートを着てるヤツらは何?

 コレって……教会のエンブレム!? じゃあ、()()()ってコト!?

 

 くっ、ここで私が息の根を止めたいトコだけど、我慢よ……っ!

 今は任務を最優先。

 貴重なクスリは、あと一錠あるんだし。私の能力と相性のいいエージェントを見つけて───

 

 「あなたに決めたわ〝キャッチャー殺しのベーブ〟! あら? 起きてるの?」

 

 「あ〜〜〜し〜〜……」

 

 「脚? ふーん、銃で脚を撃たれて立てないのね? 治してあげましょうか?」

 

 「ど〜〜〜う〜〜〜や〜〜っ!?」ゴクン

 

 「キャハハハハ! はい、時間切れ〜!」

 

 「フォーッッッ!!!」

 

 凄い回復力! もともと、4トンのバットを振り回す男だもの。

 薬でパワーアップした今ならきっと……!

 私とこの男で、あの船を木っ端微塵に砕いてやるわっ!!

 

 「あなた、元は〝投手(ピッチャー)〟なんでしょ? その剛腕で私を投げるのよ!」

 

 「フォッ?」

 

 「あの船に向かって、1万キロの(わたし)をぶつけろってコト!」

 

 「フォー、フォー」

 

 「いい? 私を海に落とす勢いで構わないわ。どの道、失敗すれば消される運命だからっ!」

 

 「フォーーッッ!」

 

 「いくわよっ!〝1万キロ・死球粉砕(デッドリーパウンド)〟!!!

 

 


 

 

  ー メリー号 ー

 

 「所持金ゼロだから、トランプ勝負もできない……」

 

 「元気だして、ロビンさん! 私もお金を稼ぐの手伝うから!」

 

 「ビビ……! ありがとう。あと、何度も言うけどオレはロビンじゃな──」

 

 「マズい!? 伏せろみんなっ!!!」

 

 「えっ!?」

  バキッッ……!

 

 な!? メインマストが折れかけてる!?

 まさか砲弾でも撃ち込まれたのか!? 大砲の音なんて、全く聞こえなかっ──

 

 「キャハハハハ! やるじゃないベーブ。変化球(フォークボール)だったおかげで、甲板に着地できたわ!!」

 

 「あの女!?」「ちゃんと縛ってたのにっ!?」

 

 「お前らっ! 今は急いで、ロープを引っぱれ! マストが倒れちまうぞ!」

 

 そうだ、マストの根本が抉れてるんだ!

 ロープを引いても、このままじゃ自重を支えきれずに折れる。オレが本体を支えないとっ!

 

 ()()()より若干修正してるから、制御は頼むぞ……!!

 

 剛力羅猿殴り(ゴリラパンチャー)ver.1.10〟

 

 

 「なにアレ!? 腕が急に太くなった!?」

 

 「でかしたエダ! そのまま抉れた部分を修繕してくれ!」

 

 「ダメだ、副船長! マストが直立してくれなきゃ、うまく接合出来ない!!」

 

 「よし、エダ以外の全員でロープを引いてマストを起こすぞ!」

 

 「キャハハハ! させるワケないでしょ? 動けないのなら好都合! そのダサい眼帯男から倒してあげる!!」

 

 ダ、ダサい眼帯男!? それって、眼帯だけの話だよな? まさか、オレ自身も含めて……?

  ──『敵に集中しなさい。マストは片手で支えて、もう一方で殴る準備を……いえ、大丈夫ね』

 

 「もらったわ! 800万の首っ……ぶっ!?」

 

 「フッ飛びなさい!!」ドンッ!

 

 「助かった、ナミさん!」

 

 「怖ェー! なんつー威力のパンチだよ!?」「やっぱり強かったのね、ナミさん!」

 

 「ヨホホホ、坊ちゃんの技が霞む威力ですねェ」

 

 「アイツが軽くなる瞬間を狙ったのよ! 私のチカラが強い訳じゃないのっ!!」

 

 実際、オレの技より威力ありそうだけど……とにかく、危機は脱した!

 ミキータは、ナミさんがブン殴って船の外へ。

 マストの方も、副船長とブルックに加えて、ビビとカルーが手伝ってくれたおかげで真っ直ぐになった。

 あとは大きく抉れたマストの欠損部分を、オレの能力で修繕してやれば───

 

 「フォーッ!!!」

 

 「アイツ、復活しやがったのか!? ブルック、ビビ! ロープを頼む!」

 

 「クエー!」

 

 「おっと、お前さんもな! ワシが外の男を倒す。船は任せるぜ!」

 

 外の敵ってMr.4だよな? 副船長が一度倒したって聞いてるけど……

 そもそもミキータだって、ナミさん達が倒したはずなのに何で復活してるんだ!?

 チユチユの実? テンションホルモン? どっちも、この状況とは合わないような?

  ──『〝豪水〟……いえ、腕に模様は無かったから(エネルギー)(ステロイド)の線が濃厚ね』

 

 ホーディとかが使ってたヤツか! 言われてみれば、ミキータは目が血走ってたな。

 なら復活するだけじゃなく、パワーアップしてるんじゃないか!?

 ミキータの方も、まだ立ち上がってくる可能性が──

 

 「ハァ、ハァ、もうアッタマ来たわ! あのゴリラ女、絶対に許さないっ!!」

 

 「……エダ。あんたは、船をお願いね?」

 

 「あ、ハイ」

 

 ナミさん、脚を怪我してたんだよな? 重そうな斧を持って、船から飛び降りて行ったけど……。

 

 


 

 

  ー 下町港 ー

 

 「キャハハハハ! どうして斧なんて持ってるのかしら? 素手の方が強いでしょ、ゴリラなんだから!」

 

 「誰がゴリラよ! アンタこそ、少しは体重を気にしたらっ!」

 

 「私はいくら重くなってもスタイルは変わらないのよ? 羨ましい?」

 

 「お生憎サマ! 私はスタイルもいいし、体重だって軽いのよ! みかんより軽いんだからっ!!」

 

 「みかん……?」

 

 「スキありっ!!」

 

 「キャハハハ! ムダよ? 私にそんな()()()の攻撃は当たらないの」

 

 また避けられた! 斧の攻撃だと、アイツに風圧を利用されるって事ね。

 けれど、さっきみたいな不意打ち以外で直接殴りに行くなんて無謀だし……。

 どうにかして、斧の一撃を当てないと!

 

 幸い、この女の格闘術は素人同然。

 さっきから攻撃手段は〝かかと落とし〟や〝両手を組んでの振り下ろし〟ばっかり。

 体重を乗せる大技しか狙って来ないから、十分に動きは見切れるわ!

 

 「いい加減、諦めなさい? こっちは〝クスリ〟まで使ってるんだから……あ、そうだわ!」

 

 「ウソ!? ()()()殴ってきたっ!? あゥ……っ!!」

 

 「キャハハハ! なーんだ。今の筋力なら、多少重くなっても十分動けるんじゃない」

 

 「どういうコト……!?」

 

 「速くて重い攻撃が出来るってコト、よっ!」

 

 重い状態のまま動けたの!?

 あの女は多少重くなったなんて言ってたけど! 質量と速度の関係を考えれば、その()()で破壊力は段違いよ!?

 マズいわね……さっきの一撃で脚のケガも悪化したみたい。

 斧の柄を地面に突いて、重心移動でどうにか攻撃を避けてるケド、かなりキツイ!

 あと()()なのにっ──!

 

 「キャハハハハ! さっきの戦闘と同じ状況ね! 避けるだけで精一杯じゃない!」

 

 「ハァ、ハァ、アンタこそ目が血走ってるわよ? さっき言ってた、クスリの影響?」

 

 「そうよ! これを使ってる以上、任務をしくじれば()()がないのっ!」

 

 「イヤな組織。そんな危ない所へ入るニンゲンの気が知れないわ」

 

 「能力者じゃないニンゲンには、理解できないでしょうねっ!!」

 

 うっ、重い一撃っ! 会話で時間を稼ぐのも、もう限界ね。

 この女にも戦う理由はあるんでしょうけど、今回は私だって……!!

 

 ──「ナミさーん! 敵がパワーアップしてるから気を付けてくれー!」

 

 「おそいっ! ばか!!」

 

 「あら、船の男から応援? ゴリラ同士お似合いね」

 

 「ありがとう。ところでアンタの男は、ウチの副船長が仕留めたみたいよ?」

 

 「えっ!? って、普通に立ってるじゃない! そもそも、アレは私の男じゃ──」

 

 ウソよ。他の状況を見てられる余裕なんてないもの。

 けれど、一瞬のスキが命取りよ。

 このタイミングを、ずっと待ってたんだからっ!!

 

 「たぁ!!」

 

 「な、斧を真上に投げた!? 直接 殴る気ね」

 

 「アンタじゃないんだから、そんな野蛮な戦い方しないわ、よっ!」

 

 脚のケガで跳躍力が心配だったけど、メリー号が近くにあって助かったわ!

 欄干を足場にして、もう一度ジャンプ!

 よしっ! このまま空中で斧を掴んで──いくわよ! ベルメールさん直伝っ!!

 

 驟 雨(レインシャワー) () 転 斧(テンポ)〟!!

 

 「高所からの攻撃!? ムダよ! それを当てる難しさは良く知ってるわ! その上、回転? なおさら制御なんて不可能ね!」

 

 

 たしかに制御なんて無理。

 最初に狙った場所へ落下する技だもの……けれど、予報してあげる!

 

 「本日は夕方から夜にかけて、風の変わり目に大陸側から突風が吹くでしょう──」

  ビューゥゥゥ!!

 「突風!? 風の結び目でも使ったの!?」

 

 「そんなズルじゃない、天然の風よ!」

 

 「ぐっ……!?」

 

 狙い通り、飛ばされないよう重くなって耐えたわね!

 風向き、風力。それによる技の軌道変化、アンタの動く位置まで全部! 予測通り!!

 この状態なら絶対、当たる!!

 

 「予報の続き! なお、局所的に斬撃の雨が降るでしょう──ゲリラ豪雨にご注意をっ!!」

  ザンッ!

 「……ガハッ!」

 

 「どう? 私の武器も、なかなか重い一撃だったでしょ?」

 

 この女の戦い方を見て改めて感じたケド、やっぱり〝重さ〟は攻撃力に直結するのね。

 ベルメールさんの言ってたコトがようやく解ったわ。

 

 ──『いいナミ? 女はね、体重は軽くてもいいけど……重い方がいいモノが2つあるのよ』

 

 一つは武器の重さ。もう一つが、愛の重さ。

 あはは。そういえば、あの女がエダの事を馬鹿にした瞬間に殴る体制を取ってたわ。

 きっと、これが愛の重さね!

 

 ……ま、確かにあの眼帯はダサいんだけど。

 

 


 

 

 「くしゅん!」

 

 「どうしたエダ! 風邪か? あと少しでマストも直るんだから、粘ってくれよ?」

 

 「分かってるよ副船長。そっちこそサボってないで、ナミさんを手伝ってくれ!」

 

 「サボりだとっ!? ワシがどれ程の死闘を繰り広げたと……っ!」

 

 ──「ゲリラ豪雨にご注意を!」

 

 「ナミさんが勝ったわ!」

 

 よかった、ナミさんは無事みたいだ。きっと、オレの忠告が届いたんだな!

 でも、知らない技名を叫んでたよな? ゴリラ……じゃなかったゲリラ豪雨?

 

 「ヨホホホ! 突風には驚きましたが、マストも無事で良かったです」

 

 突風の時には、もうほぼ修繕できてたからな。丁度その頃、副船長も帰ってきた。

 それからずっと、仕上げ作業をしてるオレの横で武勇伝を語って邪魔してくる。

 やれ、パワーアップした敵に、跳弾を見切られてピンチになったとか。

 見聞色をフル活用して、バットの振り下ろしを避けながらゼロ距離射撃したとか。

 その時、銃の先に刃物を取り付けた新兵器〝ヘラクレス〟も一緒にお見舞いしたとか。

 

 「コイツが、そのヘラクレスだ! どーだ? この天才的なアイディア!」

 

 うん。ただの銃剣だな……決め手が接近戦って〝狙撃手〟としてどうなんだ?

 

 

 ──「エダー! 船が直ったんなら、迎えに来なさいよー!」

 

 「おっと、姫サマがお呼びだぜ 色男?」

 

 「からかうなよ副船長。ナミさんは、脚をケガしてたんだ。ちゃんと迎えに行かなきゃな」

 

 「はっはっはっ!〝しもべ〟は大変だな!」

 

 そうそう、しもべは大変なんだよ、っと。

 考えてみれば、オレも原作ゼウスみたいに ナミさんに名付けられたんだよなぁ。

 いや違うか、ゼウスは逆に〝わた〟って名前を却下したんだった。

 その上で〝相棒〟にまで昇格してたし──あれ? ひょっとして、オレより待遇良いんじゃ!?

 

 「おそい! んっ!」

 

 「よっと。お待たせ、ナミさん」

 

 「ねぇ見て? 月がキレイよ」

 

 「ん? もうすっかり夜か。こんなに天気がいいのに、突風って起こるんだなぁ」

 

 「……さっきの突風は、季節と地形によるモノよ。まったく、ニブイんだから

 

 「やっぱり天気は、ナミさんに聞くのが一番だな!」

 

 「はいはい。それじゃ、船までヨロシクね。あ、斧も忘れないでよ?」

 

 「おっもっ!? いや、違くて! ナミさんは軽いんだけど……斧が、重すぎる!!」

 

 「大丈夫! 鍛えてるんでしょ? さあ、出発ー!」ペシペシ!

 

 なんか扱いが雑っ! やっぱり、オレの扱いゼウス以下だよな!?

 アイツは命令を聞いたら、ご褒美がもらえるんだし。

 いや、オレは雷雲の卵みたいなヤツもらっても困るけどさ。

 アイツは雲だから……あれ? 今更だけど、ゼウスってなんなんだ?

 

 えーと、ビッグ・マムに(ソウル)を与えられた存在が確か……

 ──『ホーミーズ……』

 そうソレ! つまり、ワノ国編終盤以降は〝天候棒(クリマ・タクト)〟のホーミーズって事でいいんだよな……?

 ──『考察はあと。今は、ナミを連れて船に戻るべきよ』

 ニコ屋も考察は好きだろ? って、いい加減〝ニコ屋〟って呼ぶのも恥ずかしいな。

 ──『最大クラスのホーミーズ〝クイーン・ママ・シャンテ号〟がコチラへ向かって来てるわ』

 

  フーネー♫ フーネー♪

 

 はぁぁぁ!? ピンチを知らせる時は、もっと焦ってくれよ!! この、ニコ……ニコチャン大王めっ!!

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