植物好き(仮)と麦わらの一味もどき   作:浅学寺のえる

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第46話〝静寂が訪れるまで〟

 ー バンジード下町・港 ー

 

 「脅かすなよ お前らァ! ワシはてっきり、ビッグ・マム海賊団に襲撃されるものかと……!」

 

 「おーい! この船スゲーぞ ウソップ! デケェしよ、歌うんだ!」

 

 「()()()へ案内された時は焦ったが、プリンちゃんの船で送って貰えて助かったぜ」

 

 「確かにスゲー船だ。これだけ広けりゃ修行にも困らねェな」

 

  ミシッ

 あれ? 直したハズのマストが軋んだのか?

 ま、後でゆっくりと検査しながら直せばいいや。もうピンチじゃないんだし。

 

 「ヨホホホ、どうやら敵船ではないようで一安心!」

 

 「あはは、そういえばプリンはビッグ・マムの娘だったわね。いい子すぎて忘れてたわ」

 

 突如現れた〝クイーン・ママ・シャンテ号〟のせいで、ビッグ・マムの登場かと焦ったけど

 遠くに見える船上から顔を出したのは、ルフィたち3人 と プリン、コゼット───他、十数名。

 その十数名にペコムズ、タマゴ男爵が含まれてるものの、どうやら敵意は無いらしい。

 

 けど、あの船は〝ビッグ・マム海賊団〟の母船なんだよな?

 ペコムズ達が指揮をとってるけど、ビッグ・マムの血縁者がプリンしか乗船してないなんて都合が良すぎるよな。

 うーん───

 

 ダメだ! シャーロット家は数が多すぎて、顔見ても全然判らない!

 と、言うことで。教えてくれ、ニコさん!

 ──『…………』

 

 これは完全にヘソを曲げてるな。

 さっき『次にふざけた呼び方をしたら、二度と男に戻れないと思いなさい』

 って言ったのを最後に、ずっと応答してくれないもんな……

 ああ、逆に考えれば返事がないのが答えになってるのか!

 なんだかんだでピンチの時は教えてくれてたし、

 ビッグマム海賊団の面々を見ても警告して来ないんだから、問題はないって事だ!

 

 

 「なんだか、どっと疲れが出ちゃった。服も汚れてるし、シャワー浴びてくるわ……ビビも来る?」

 

 「え? 船にシャワーがあるの!?」

 

 「ちょっと手狭だけどね。あ、エダ! ロビンも入るか聞いてみて」

 

 「うぇ!?……えーと、その。今は遠慮する、のか?」

 

 「なんで私に聞くのよ! ま、いいわ。行きましょ、ビビ」

 

 ふぅ、焦ったー。

 にしても、この状況でお風呂とか2人とも豪胆すぎだろ……。

 なんかナミさんも普通に歩いてるし。いや、別に抱きかかえたい訳じゃないケドも!

 

 「ヨホーッ!!」バキッ

 

 あ、ブルックが覗こうとして殴り飛ばされて来た。

 うわ、船室の壁に穴が空いてるし! これ直すのも、オレの仕事なのか?

 なんていうか、みんな自由すぎだろ……海賊だからって言えばそれまでだけどさぁ。

 

 「いくぞ、エダ!」

 

 「えぇ!? 副船長までのぞきか!?」

 

 「バカ! 荷物の運び出しを手伝いに行くんだよ!」

 

 「おおー! マトモ! 海賊なのに真面目だな」

 

 「……お前らが不真面目なだけだろ。ほら、向こうの船が接岸したみてェだ、急ぐぞ!」

 

 副船長め、自分だって昼間は酒飲んでたクセに……。

 まあ、荷物も多いから手伝うのには賛成だけど。

 

 あれ? 向こうの船まで、意外と距離があるな。わざわざ下町の岬に船を着けたみたいだ。

 ああ、なるほど。船が巨大すぎて下町の小さな港だと入港できないのか。

 近くで見るとホントでかいなぁ。メリー号の何倍あるんだコレ?

 

 お! ウチの荷物の運び出しを、なぜかペコムズも手伝ってくれてるぞ。

 もうすっかり辺りも暗いから、密輸品の荷卸しにしか見えないな!

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 あれからルフィ達と合流して、現在メリー号へと戻る道中。

 サンジだけは、プリンと一緒に絨毯のホーミーズ〝ラビヤン〟で移動中だ。

 空から荷物を運ぶなんて言ってたけど、絶対空中デートだろ。あれ。

 そんな訳で、いま地上で荷物を運んでるのがオレ、ゾロ、ルフィ、副船長と──

 

 「手伝ってくれて、ありがとう。ペコムズ!」

 

 「気にすんな、麦わら。久しぶりにペドロの兄貴の話を聞けた礼だ! ガオ!」

 

 そっか。ネコマムシに会ってないから、()()()()()って呼ばないのか。

 あと、やけに仲がいい理由も何となく分かった。

 ルフィは、ペドロの事をスカウトするくらい気に入ってたから、

 ミンク族のペコムズを見てポロっと名前を出したら話が弾んだってトコだろう。

 そう考えると、やっぱりルフィは〝縁〟に恵まれてるなぁ。

 だから、ペコムズが手伝ってくれてるのは善意だと思うし嬉しいんだけど、問題は……

 

 「ワシの知ってる限りでも、バラティエを襲った連中で()()()だったのはクリークだけだぜ?」

 

 「情報提供、感謝でソワール」

 

 「見つかるといいな、そのガスなんとかってヤツ。ああ、ところで海軍の──」

 

 「ふむ。それは帝国が──」

 

 どうして、副船長 と タマゴ男爵がずっと情報交換してるんだ!?

 さっき聞こえた〝ガスなんとか〟って、ガスティーノ───つまりシーザーの事なんじゃないか?

 この世界だとクリークと関わってた? もしかして、MH5(エムエイチファイブ)の製造が……

 

 

 「どうした、エダ?」

 

 「あ、ゾロ。副船長たちの会話が気になって……」

 

 「ああいう腹の探り合いはウソップに任せとけ。おれ達は、あとで必要な情報だけ聞きゃいい」

 

 「割り切ってるなぁ」

 

 「まあ、そんな駆け引きなしで情報を聞けちまうヤツもいるみてェだが」

 

 

 「へェ〜、じゃあ帰るついでにバラティエへ寄るのか!」

 

 「ああ、コゼットって女は一応 客人だからな。そこで降りるか、着いて来るかはあの女次第だ」

 

 「しっしっし、そっか」

 

 「ああ。万国(トットランド)に来ても、料理人ならママだって大歓迎だ! ガオ!」

 

 「お前らの国ってレッドラインの向こう側なんだろ? じゃあ、途中でまた合うかもな!」

 

 「いや、お前らとは航路が違ェ。おれ達は、地中海を()()()()東へ行くからな」

 

 「東ィ〜? 海賊は、ナントカって運河を通れねェんじゃねェのか?」

 

 「今は〝ロゼ運河〟以外にも、ルートはある。まあ、こいつに関しては喋れねェがな!」

 

 「別にいいよ。おれには関係ねェし!」

 

 すごいなルフィ。ペコムズから、滅茶苦茶 情報を引き出してるぞ!?

 聞き耳を立てておいて良かった。ルフィは仲間と情報共有とか考えてないからな。絶対。

 とりあえず、例の運河以外にも〝赤い土の大陸(レッドライン)〟を越える方法があると知れたのは大収穫だ。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 あれから無事に荷物も積み終わり、ペコムズ達はママ・シャンテ号へ戻って行った。

 結局、最後まで険悪な雰囲気にはならなかったけど……やっぱり心臓に悪い。

 オレからすれば、2人とも格上すぎる相手だからな。確か懸賞金は、3億とか4億だろ?

 ふぅ〜。今日はもう、このまま何も起こらない静かな夜であって欲しい──

 

  ドシン! ドシン!

 

 あーもう! さっそくなんか聞こえてくるし!?

 なんだ、恐竜かぁ。ホッとした。

 まったく! ビッグ・マムみたいな足音させるなよ、ドレーク!

 

 「お、あの恐竜は! おーい、デボラんとこの!……オマエー!」

 

 これ絶対、名前覚えてないぞ ルフィ。

 ん? 恐竜の背中に()()乗ってるって事は、例のはぐれた仲間と無事に合流できたんだな。

 さっき大穴を飛び越えてる最中にドレークが発見したらしいんだけど……まさか、ウタの事だったとは。

 ああ、名前はデボラか。どっちにしろ、映画を見れずに死んだオレにとっては謎の多い人物だ。

 

 「〝麦わら〟と〝植物好き〟か……先程まで、ビッグ・マム海賊団の人間がいたようだが?」

 

 「ああ、仲良くなったんだ! もっかい呼んで来るからよ! 一緒に宴しようぜ!」

 

 「にっしっし、楽しそう!」

 

 「呑気な事を言うな、デボラ! おれ達は敵に襲われたばかりだぞ!?」

 

 「そう言えばドレーク。さっきより、少し怪我が増えてないか?」

 

 「デボラと合流してすぐに、また教会が襲ってきた──今度はオオカミの能力者だ」

 

 ジャブラだよな、多分。

 けど、なんか変だな? 能力者狩りが、能力者って……

 ああそうだった。一部の動物(ゾオン)系は、教会に認められてるって話だったな。

 イヌイヌの実だからOKって事か? それとも、モデル:ウルフが?

 今までなら、こういう時にロビンから仮説が飛んできたんだけどなぁ……

 

 「幸い、()()()のおかげで苦戦はしなかったがな」

 

 「凄かったよね、新入りちゃん!」

 

 「んん? その子供も、お前らの仲間なのかー?」

 

 「……」

 

 「あ、そう言えば私も〝新入りちゃん〟の事よく知らないんだった!?」

 

 「私は───」

 

 


 

 

 ー メリー号・甲板 ー

 

 「ふぅー、さっぱりした。服のサイズは大丈夫そう? ビビ」

 

 「ええ、ピッタリ。私とナミさんは体型が似てるみたい。これ、ホントに貰っていいの?」

 

 「いいの、いいの! たくさん買い込んだんだから!」

 

 「んナミすわぁーん! ビビちゅわーん! 湯上がりレディー限定、スペシャルドリンクだよー!」

 

 「あら、ありがと。うん! おいしー♪」

 

 「ありがとう! ()()()さん」

 

 「あ、いやビビちゃん。そいつは、あだ名でさ! おれの名前は──」

 

 いつの間にか、ナルトくんとゾロも船に帰って来てたのね。

 でも、ルフィーはまだなのかしら? エダまで見当たらないし

 え!? 壁に、ブルックの形をした穴が空いてるわ……まったく、みんな自由なんだから!

 

 「お、やっと風呂から出たなナミ?」

 

 「あら? 夜なのに珍しく飲んでないのね、副船長」

 

 「昼間 散々飲んだからなっ! それに、まだ敵が襲ってくるかもしんねェだろ?」

 

 「問題ないでしょ? もう、()()()()が揃ってるんだし」

 

 「まあ、そうなんだが……いざとなりゃ、夜の出航も考えとけよ?」

 

 「そりゃまあ、月が明るいから全く問題ないケド」

 

 「はっはっ、新月の日でもない限りは航海してみせるってか? 頼りになる航海士だぜ」

 

 「なによ、もう! その通りなんだけど!」えへへ

 

 まあ、それも無用な心配だけどね。

 港には、海賊船が3隻。ウチと、ドレーク海賊団と、ホーキンス海賊団。

 それに近くの岸には、あのビッグ・マム海賊団の船だもの。

 

 別に同盟を組んでる訳じゃないけど、敵対してないってだけで心強いわね!

 

─────────

──────

───

 

 「お、ルフィーとエダが戻ってきたぞ」

 

 「腹減ったー! ナルト、めしー!!」「オレも!」

 

 「帰って早々やかましいわね! ナルト君がいま料理中よ」

 

 「あれ? 他のみんなは?」

 

 「そうそう。どうしてか分からないけど、ブルックが気絶してたのよ」

 

 「ナミ、お前……。ああ、ブルックならゾロが男部屋に運んで、ビビが看病してくれてるぜ?」

 

 最初はビビも怖がってたけど、もう大丈夫でしょ。

 まさかビビが、話に聞いていた()()()だったなんてね。

 子供の頃はワンパクだったって聞いてるし、逆にブルックの方が心配かも。

 あーあ、もっと早く知ってれば変に張り合ったりしなかったのに! まったく、()()()()()で!

 

 「クエー!」「あ、ビビが出てきた」

 

 「ブルックの様子はどう?」

 

 「あ、えっと。眠ってただけみたい。ハラマキの剣士さんも寝ちゃったわ」

 

 「ゾロはいつもの事ね。2人とも、ご飯が出来たら起きてくるんじゃない?」

 

 「なんだか いい匂いがしてきて、ワシも腹が減ってきた。今日のメシはなんだろうなぁ?」

 

 「おれ、肉がいい!」「オレも!」

 

 「「にーく、にーく!」」

 

 2人して子供みたいに はしゃいじゃって……もう。

 ま、普段はこんなでも、いざという時は頼りになるんだけどね。

 仮に襲ってきてた連中がまだ残ってたとしても、もう手出しは出来ないでしょうけど───

 

  ガチィーン!!

 

 え

 

 


 

 

   〜 少し前 〜

 ー 市長の館・隠し部屋 ー

 

 わざわざ、ルブニールにまで来てやったというのに、まさか取引き相手が眠りこけていたとはな……。

 歓迎の食事やら、料理勝負への根回しなどと余計な事には気が回るクセに

 本人があの有様とは、流石に呆れたものだ。

 だが、どうにか〝ロコカイユ〟とは話がつきそうだ。

 

 『では、取引きに関しては〝新規ルートを使用する〟ということで宜しいかな?』

 

 ああ。それで構わない。

 海軍の再編成が終われば、帝国の犬に成り下がったオメでたい連中が跋扈するんだろうが……

 あのルートならば手出しは不可能。

 それは今回の船旅で実証済み──ママが海賊同盟を結んだおかげで大分ラクができたものだ。

 あとは、例の能力者を見つけられれば目的は全て達成できる。

 

 

 『話は変わるが、君が捜しているガスパーデという男は既に死亡している』

 

 まさか、心を読んだのか!?

 いや、ありえないな。

 カタクリ程の〝見聞色〟でさえ、()()()越しでは意味を為さないのだった。

 今のはただの偶然か、あるいは……。

 そう歳は変わらないと思っていたが、どうにも老獪な印象を受ける相手だ。

 やり込められないよう、細心の注意を払わねば──

 

 『だが、安心したまえ。()()〝アメアメの実〟は組織で確保してあるのだよ』

 

 「おいおい……怖い偶然があったモンだ」

 

 『そこで提案なんだが、現在その街で────』

 

 「…………?」

 

─────────

──────

───

 

 つまり大型ルーキーの海賊が大暴れして、街にいる〝ロコカイユ〟の構成員はほぼ壊滅。

 動かせる人員がいないから、代わりにターゲットの女を確保してくれと。

 そして、その女と悪魔の実を交換……か。

 女の身柄は〝麦わらの一味〟の元。船長は5億の賞金首だが、なにをしてこの額になったのかは不明。

 まだウチにすら情報が回ってこない謎のルーキー。

 しかしまあ、海賊は海賊だろう。ウチの名前を出せば、どうとでもなる。

 

 『どうかね? 悪い話ではないだろう?』

 

 「くくく、いいだろう。交渉成立だ。ペロリン♪

 

 


 

 

 〜 ふたたび現在 〜

 

 「お前達に話がある〝麦わらの一味〟! ペロリン♪」

 

 「なんだ、アイツ? なげェー、ベロだなぁ」

 

 「それより船よ! どうしよう!?」

 

 ようやく、ドレーク達との話が終わってメリー号へ帰ってこれたのに、ペロスペローだって!?

 さっきクイーン・ママ・シャンテ号に乗ってなかっただろ!?

 くそ、今度こそ絶対敵だよな……

 港の入り口から〝アメ〟を伸ばして、メリー号周辺の海を固めてるんだし!

 

 「こちらの目当ては〝孔雀鳩のメルク〟だ! 大人しく身柄を寄越せば、船は出航させてやる」

 

 「くじゃくばと? メルク? だれだ?」「さあ?」「!」

 

 「……私の偽名よ」

 

 「ビビ!?」

 

 「なんだ、本名をバラしていたか。随分とまあ、海賊を信用したもんだ。ペロリン♪」

 

 「くっ……」

 

 え? 偽名とかあったの? って言うか、本名隠してたのか!?

 多分、オレが普通にビビって呼んだせいで隠すのを諦めたんだ! なんかゴメン!!

 

 

 「おい、ベロの奴! おまえ、誰なんだ!」

 

 「……念のため教えておくが、私はビッグ・マム海賊団の者だ。ペロリン♪」

 

 「じゃあ、ペコムズの仲間か!」

 

 「そうだ。そして、港に転がってる連中の親玉に頼まれて、その女を迎えにきたのだ」

 

 「んん〜? じゃあ、ビビの知り合いなのか?」「ルフィさん!?」

 

 「馬鹿っ! ちゃんと話を聞きなさいよ、ルフィー! 私たちを襲った連中と通じてるのよ、アイツ!」

 

 「なんだよ! なら敵じゃねーかっ! 分かりにくい言い方しやがって!」

 

 「おいおい、正気か麦わら? 海賊なら、ウチに手を出す意味は理解してるだろ?」

 

 そんなのは関係ない。たとえ理解していても、答えは変わらないハズだ。

 ペロスペローは原作で7億の賞金首……能力だって強力で、今のオレ達じゃ敵わない相手かもしれない。

 それでも、ここでビビを見捨てるなんて選択肢は絶対にありえない。

 それがルフィだ。

 

 

 「ビビはおれ達の仲間だ!〝奪う〟ってんなら、戦うまでだ!」

 

 「交渉決裂か。チカラ攻めも想定していたが、相手がこうも愚かとは……!」

 

 「アイツぶっ飛ばしてくっから、待ってろビビ!」

 

 「ダメよ、ルフィさん! 相手はシャーロット家の長男よ!?」

 

 「ビビ、もう止めったってムダよ。ルフィー! さっさと やっつけちゃって! あんな奴!」

 

 「まずは1人、黙らせておくか。ペロリン♪」ビュン

 

 「危ないっ! ナミさん!!」

 

 「エダ!?」「あんにゃろォ!」

 

 「ぐぅ……っ!!」

 

 「今のは〝矢〟なの!? 船体にまで穴が!?」

 

 くそ、右肩を貫通したのか!? この威力、まさか覇気を込めてるのか?

 よくも、ナミさんにこんな攻撃を向けたな……!

 

 左腕が無事なら、狙撃に問題はない! アイツの眉間を、撃ち抜いてやるっ!!!

 ──『落ち着きなさい! 私達の攻撃じゃ〝キャンディアーマー〟は貫けないわ』

 だからって、戦わない訳には……っ!

 ──『状況をよく見て。もう敵はペロスペローだけじゃないのよ』

 

 なっ!? いつの間にか、クイーン・ママ・シャンテ号が近くまで来てる!?

 

 

 「なんでだよペコムズ! おれ達、仲良くなったじゃねェか!」

 

 「悪ィな麦わら! 状況が変わった! ガオ!!」

 

 「海賊の世界じゃ、こんな事は日常茶飯事でソワール」

 

 「待って、ペロス兄さん! その人達は……!」

 

 「お前は、奴らに()()()()()情報を抜き出した。そうだろプリン?」

 

 「ちがっ!?」

 

 「もう演技しなくていい。そうすりゃコゼットという女に関しては、お前の自由にしていいんだ。ペロリン♪」

 

 「っ!」

 

 ペコムズ達は割り切ってるけど、プリンは辛そうだな。

 

 ラウンジから飛び出してきたサンジも複雑な表情をしてる。

 ──『少しは冷静になったわね。それなら、傷口に〝葉〟を巻いて』

 わかった。けど、何か意味があるのか?

 ──『回復力の促進効果……そういう性質に変化させておいたわ』

 助かる。そっちにもダメージは行ってるんだろ? ごめん。

 ──『いえ、思ったより我慢できるわ。ナミに殴られすぎて、身体が頑丈になったんじゃない?』

 

 そんな訳ないだろ!

 

 

 「大砲まで撃ってきやがった!? ルフィー、頼む!」

 

 「任せろ!〝ゴムゴムの風船!!〟

 

 「ワシも砲撃で援護する! ナミ! ゾロとブルックを叩き起こしてくれ!」

 

 「わかった!」

 

 「ビビはマストの陰にエダを移動して止血を頼む!」

 

 「ええ!」

 

 「ウソップ! 厄介な〝矢〟はおれが空中で叩き落とす!」タタタタッ

 

 「ナルト!? お前、飛べたのかよ!?」

 

 「つい最近な」

 

 「そのまま頼むぜ! あんなの食らってたら船が穴だらけになっちまう!」

 

 月歩(ゲッポウ)──じゃなくて、スカイウォークか!

 サンジがペロスペローの矢を対処して、ルフィが砲弾の対処。

 副船長も砲撃で、敵の砲門を潰してる。

 距離的に、敵船の砲撃がまだ射程ギリギリなのか、一応は拮抗を保てている。

 

 けれど、こんな防戦状態は……

 ──『長く続かないわ。さらに船が近づき、敵が一斉に砲撃してきたらお終いよ?』

 分かってる。だから、協力してくれ……ニコ!!

 ──『フフ、結局そこに落ち着くのね』

 

 「ロビンさん!? 動いちゃダメよ!」

 

 「オレはロビンじゃ……ま、いいや。今は狙撃で、少しでも援護しないと!」

 

 「お前は休んでろエダ。その役目は、おれが代わってやる」

 

 「ゾロ!? でも、あの距離じゃ……!」

 

 「お前も知ってるんだろ? 鷹の目が見せた〝()()()飛ぶ斬撃〟……アレをここで試す!」

 

 「え!? あの人の刀が赤くなった!?」

 

 「一刀流……煉獄・煩悩鳳(れんごく・ポンドほう)!!

   ボオ!!

 

 なんだアレ!? 燃える飛ぶ斬撃!?

 飛んでくる砲弾ごと敵の砲門を斬って、その上 相手の船上を火事にしたぞ!?

 

 「スゲー! ゾロ! なんで燃えるんだ、その刀!?」

 

 「お、おう。覇気を通せば赤くなるのは知ってたがよ……なんで、燃えたんだ? おい、エダ!」

 

 「オレに聞くなよ!? そんな刀、原作に無いぞ!?」

 

 「こんな時に、何やってんのよ! いいから、敵の砲撃に集中して!」

 

 「ちっ。おれはこのまま大砲を潰す。ナミ! お前は、船をどうにかして動かせ!」

 

 「そんなこと言ったって、船が固定されちゃってるのよ!?」

 

 

 「ヨホホホ!魂の(ソウル)パラード〟

 

 「ナイスだブルック!悪魔風脚(ディアブルジャンブ)! 焼鉄鍋(ポアル・ア・フリール)スペクトル〟!!

 

 あ、向こうも炎の技だ。

 ブルックが一旦凍らせた砲弾をサンジが蹴り返して、相手の船上を火事にしてる……。

 なんて言うか、ゾロとサンジってやっぱり───

 

 

 「「仲良し?」」

 

 「ぶった斬るぞテメェら!?」

 

 「そうよ! ゾロとナルト君なら船を固定してる〝アメ〟を溶かせるじゃない!?」

 

 「簡単に言うがよ……! 砲門は潰してんのに、どんどん砲撃が激しくなってるんだぜ!?」

 

 「ナミさんの言うこと聞きやがれ、マリモヘッド! おれかテメェ、どっちかが隙を見てアメを溶かしゃいいだけだ!」

 

 「盛り上がっているようだが、そんな隙は永遠に訪れねェぜ? ペロリン♪」

 

 「アイツ!?」

 

 「余興は終わりだ──終末の雨(キャンディシャワー)〟!!

 

 矢の雨!? ダメだ、あの量は防ぎ切れないっ!!

 ────っ

 

 

 降魔(ごうま)(そう)

 

 「なに!?」「デカい、わら人形!?」

 

 「あれはホーキンスだ! 助けてくれたのか!?」

 

 「ここでお前達を救う事が、おれの生存率に繋がるだけだ」

 

 とにかく助かった! おかげで矢を凌げたみたいだ。

 次から次にボトボト落ちてくる〝わら人形〟には、不吉な予感しかしないけどなっ!

 

 「ありがとう! 助かった! お前、デボラと一緒にいたヤツだろ!」

 

 「ルフィ、急がないと! ホーキンスだって無敵じゃないんだ!」

 

 「そうだ。奴のストックにも限界がある。デボラ、あとは任せたぞ」

 

 「任せて、ドレーク! にっしっし。今回は、私が助けてあげるルフィー!」

 

 「デボラ!? それに……恐竜も!」

 

 「今は人型だろっ! お前、いい加減に名前を覚えろ〝麦わら〟!」

 

 ドレークまで助けに来てくれたのか?

 いつの間にか、デボラもマストの上の見張り台に乗ってるし。

 なんだかあの笑顔を見てると、もう危機が去ったような不思議な気分になる。

 

 そうだ。こんな状況は前にもあった。

 窮地に追い込まれても、出会った人々が次々に助けてくれる───きっと、ルフィはそういう星のもとに生まれてきたんだろう。

 デボラが何をするのかは分からないけど、きっともう大丈夫だ!

 

 

 「ビッグ・マム海賊団の人たちー! 喧嘩はもうおしまい!」

 

 「喧嘩って……あの子、一体何する気なの?」

 

 「歌う」

 

 「はぁ!?」

 

 説明不足すぎだろ、ドレーク。

 きっと〝歌〟が何かしらのチカラを持ってるんだと思うけど……。

 ちょっとワクワクするな!

 見れなかった映画の一端を、この世界で体験できるなんて!!

 やっぱり、ONE PIECEっぽい世界に転生したからにはこういう特典がないとな!

 

 「それじゃ、いくよ! スゥ───」

 

 いよいよ、生歌が聴ける! やっぱり、あの曲かな? それとも───

 

 

 〝サイレント〟パチン!

 

 え

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