あれが教会かぁ。さてさてナミさんはどこかなぁ?
あの後、執事
最初は危険な男ではないのかと、オレにしては珍しく食い下がって質問してみたけど、キハーノさん曰く代々あの家で働いていて悪い男ではないとのこと。
アレは
それはそれで危険だと思うけど、今は変態に構ってる暇はないだろ? と諭されてしまった。
道中ではゾロに状況を説明して、今に至る。もちろん説明したのはキハーノさんだ。オレとルフィだと説明される側が困ってしまうからなぁ。
お! 教会の外にナミさんがいる。
「あ! アンタ達! ちょうど良かった。チョット実験に付き合いなさい」
なんだなんだ藪から棒に、ナミさんに引っ張られてコチラを
教会の子なのかな? ムスっと睨んでくるけど、ぬいぐるみを抱えてるから迫力が半減してるよ?
「ほんとに大丈夫なのかよ? コイツらも執事みたいに……」
「もう! それは
「どうなっても知らないぞ!」
女の子がオレ達の身体を順番に触って来る。なに? 男性恐怖症の克服とかなのかな?
「アンタ達どう? 落ち込んだり、どこか痛くなったりしてない?」
「おれは何ともないぞ?」「ああ、おれもだ」「成る程、ワシももちろん何ともないぞ!」
「オレも」
流れに乗れた。道中でルフィと
「ほら、大丈夫じゃない。神父さんだって平気だったんでしょ?」
「う、
「とにかくコレで分かったでしょ? 本体でならお嬢様に会いに行っても何も問題がないって」
「だけどよぉ、あの執事がいるし……」
「もう! 執事だって一応反省してたわよ。今更
ああ。リスニング力が上がった事で分かってしまった。
モリア様 ペローナ
もともと人名は聞き取れてたから間違いようがない。
教会の神父がモリア。目の前にいる一見気難しそうな少女がペローナ。
どうやら完全に原作とは違う世界みたいだなぁ。
ウソップが歳食ってる時点で半ば確信してたけど、もう見て見ぬ振りはできなそうだ。
ここでモリアと出会うなら、スリラーバーク編なんて存在しなくなる。必然的に、ブルックも秋水もフラグ消滅だ。くまとの出会いも怪しくなるし、そうなれば2年間の修行だって──
もう、この世界で原作の最終回は望めないんだ……
いつの間にか、ナミさん達への説明も終わろうとしていた。
「で、海賊が攻めて来るってのは本当なんだろうな」
このペローナは原作と全く違う姿をしてるな。
まだ中学生くらいに見えるし、特徴的なまん丸な目ではなくてツンっとすました感じの目になってるし。
唯一の共通点はクマシーと似たテイストのぬいぐるみを持ってるくらいかな。
「おや、これはお客様が沢山いらしてますねぇ」
「おう! お邪魔してるぜモリア神父」
話が大体まとまった所で神父が帰ってきた。
モリアって聞いてたから大男かと思ったけど至って普通の身長だなー。見た目も初老の神父って感じだ。
外に出る時に着る、確か
あ! オレが街で見かけた
「お久しぶりですねぇウソップ君。頭の怪我もすっかり回復したようで何より」
「はっはっはっ! 正気じゃなかった時は迷惑かけたな! もう大丈夫だ!」
「それで、今日はどうしました? 皆さん初めて見る方の様ですが」
「おかえりなさいモリア様! コイツら、街に海賊が攻めて来るって言ってんだ」
「おやおや」
モリア神父も交えて話し合いをしていると、もう日が沈みかけて来た。
結局、海賊はキハーノさんとオレ達で退治するって話でまとっまたようだ。
念のため騎士団?にも連絡はするらしいけど、今からだと急いでも明日の朝までに間に合うかは分からなしらしい。
それと、海賊へキハーノさんが
ルフィはモーガニアって分類されてる海賊と戦うことに乗り気だ。
モーガニアって単語は読み切りの〝ROMANCE DAWN〟に出てきたな。もしかしてそっちの世界なのか?
いや、もうどうでもいいか。
夜になってから余計に気分が沈んできたなぁ。
まるでネガティブホロウをくらったみたいだ。ペローナに触られた時は何でもなかったけど。
生まれ変わったら何々になりたい。ってヤツ、ゲームで赤犬に食らわしたりして遊んでたからオレは詳しいんだ。
あの赤犬に「ワシはゴミじゃけぇ」と言わせるんだから恐ろしい能力だ。
うーん? オレは既に生まれ変わってるんだけど。今くらったとしたら何て言うんだろう?
もう原作崩壊してるし、死のうって所かな?
実際、今そう思わないこともない。まあ死のうと迄は思わないけど、目的が無くなって何もやる気が起こらない状態だ。
「どうした? ボーっとして。怖いなら別にワシ一人に任せてくれてもいいんだぞ」
キハーノさんは脚を
「なによアンタ。私まで戦う流れになってるのにビビってるの?」
ナミさんは一度舟に戻って、今手にしている
ソレ舟に積んであったけどナミさんの武器だったのか!? 結構な重量がありそうだけど、肩に担いだ姿はサマになってるなぁ。
「なんか、悲しい気分になっただけ。大丈夫。戦える」
「なんだ? ハラ減ってんのか?」
「お前と一緒にしてやるなルフィー。コイツはまだ戦った事がないんじゃないのか?」
「ワシが見た狙撃はかなり手慣れている様子だったぞ?」
「ああ、舟の上でも鳥を撃ったりしてたわね」
オレが急に落ち込んでるから皆に気を使わせちゃってるなぁ。
前世でもこういう挫折は何度かしてきたんだ。
そういう時はどうやって立ち直ってたっけ?
そうだ。いつもあのフレーズを思い出してたんだ。
そう、オレの頭はとことんワンピースで出来ているんだ! 初代オープニングテーマの2コーラス目、カラオケでも良く歌ったなぁ。
ちなみに、〝宝箱にキョウミはない〟ってフレーズもあるんだけど、解釈違いじゃないよ! あれはガイモンのエピソードを指してるんだ。きっと。
とりあえず、前世でもコレで乗り越えて来た。考え方を変えれば見えてくる
考えろ! 何か希望があるハズだ!
ふと、こんな話を思い出した。
ある子供が、おもちゃを
「逆に考えるんだ、あげちゃってもいいさ」と
あ、これワンピースじゃなくてジョジョだ。
ワンピース風に解釈するなら。
そう、逆に考えればもう
つまり
原作が崩壊してるなら、何をしちゃてもいいさ。
って事なんだ!
ありがとう! ジョースター卿!
よーし! 心機一転 自由に生きるぞー! って割ともう自由にしてるな。
とりあえず原作の最後を見るって夢はキッパリ諦めて、〝ワンピース〟を見つけるってことを目標に変えよう。
そうと決まれば麦わらの一味には是が非でも加入しなければ!
ちょうど目の前に
ちゃんと
原作のウソップがよく「援護は任せろ」って言ってたけど、オレの能力はまさにソレだ。前衛の味方がいてくれれば後ろから敵を狙撃し放題だ。
動く
「あら? もう大丈夫そうね」
「オレ頑張る! 援護は任せろ!」
「そこは率先して戦うって言いなさいよ、まったく」
まだ海賊は来ない。神父が言うには夜中か、夜明け前に襲撃するだろうとのこと。
ちなみに神父とペローナは騎士団とやらを呼びに行ってる。なんでも南の海岸から海を挟んだ反対側の陸地に都があって、そこに騎士団がいるらしい。
キハーノさんは自信があるのか、油やマキビシをまいたりせず銃の点検だけしている。
オレも今のうちににライフル用のバレルを作り直しておかなきゃ。
「お! ソレあの時使ってたやつだな。能力で作れるなんて便利だなぁ」
「筒の中に溝を作るのがメンドくさい」
「やっぱりライフルなんだな! どこでこの技術を?」
「どうすれば遠くまで弾が飛ぶか色々ためした」
これは嘘じゃない。ライフルの大まかな構造は知ってたけど最適な
そもそも飛ばす弾だって木製なんだ。火薬も使わないし。
前世で〝テッポウウリ〟って言うのをテレビの特番で見た事がある。その名前の通り、種を鉄砲のように飛ばす植物だ。
水分を利用してパンパンに膨れた実を、破裂させる事で種を飛ばすって生態だったな。
棘を飛ばすと喉が渇く、恐らくオレも同じ原理で指から発射してるんだろう。
「はっはっはっ! ワシと同じ考えで〝長鼻〟を作ったやつがいるなんてな!」
「ナガハナ?」
「その筒のことよ。私はてっきり
あ、外見は模造刀にしてるからなぁ。ただの棒を持ち歩くよりカッコいいと思っただけで他に理由はないんだけど。
同じくカッコ良さだけで着けてたバンダナはナミさんに捨てられちゃったんだよなぁ。
よし、皆準備万端だな。
もうすぐ夜明けだと思うけどまだ船は見えないな。
ちゃんと原作と違って北側に……? あれ?
アイツらが密会してたのがオレ達の乗ってきた舟がある南側で、原作だとそっちで待ち構えてたら逆側の海岸に敵が現れたって流れだったはずだ。
ルフィが寒そうな方角へ走ってきたら別の所に出たなんて展開だったから間違いないよな?
ゾロは迷子になって、ウソップとナミさんが先に到着して……。
ん? どこか致命的な勘違いをしているような……? 思い出せ!
『それはおれの宝だァ! だがやるっ! その宝に免じてここはひとつ! 引き返してください!』
バギーの所からパクってきた舟に乗せてたお宝が、クロネコ海賊団に発見されるシーンだ。ウソップが宝をあげるから帰ってくれないかって頼むあの場面。
クロネコ海賊団の船とルフィ達の舟が隣り合って海岸に停められていたんだ!
つまり、原作だと最初に舟を停めた海岸は
「うわぁぁぁ! マズい!」
「なんだ! どうしたんだ!?」
声に出てた。どうしよう反対側から攻めて来るかもしれないぞ。
さっきの話し合いで
「ちょっと! どうしたのよ。ちゃんと話しなさい!」
「て、敵が来るの南の海岸かも知れない」
「「「はぁ!?」」」
「さっき北側に攻めて来るって言ってたじゃない!?」
「う、オレ、方角を間違えてて」
「どうすんだ! もう夜が明けちまうぞ!」
「おれ達の舟がある方だな! よーし任せろ!」
あ、ルフィが走って行っちゃた。
「まてルフィー! お前道分かってんのか!?」
ゾロも後を追う。お前も道分かってんのか? しょーがないオレも後を
「はぁ、アイツらはまた勝手に。アンタも何、着いてこうとしてんのよ!」
グイっとマントを引っ張られて動けない。力強すぎない?
「こっちに来る可能性も捨てきれないでしょ? 南側はアイツら二人いれば十分よ」
「え? でも迷子になっちゃうかも」
「そんなわけないでしょ。子供じゃないんだから」
「なんだなんだ、今になってドタバタと。良く海を見てみろもう海賊船が見えてるぞ」
そう言われ目を凝らして見てみると、朝日と共に北東から海賊船が迫っていた。