東方ヤンデレ物語   作:永遠の東方牢人生

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東方のヤンデレ小説です。pixivに連載しているものを挙げています


ヤンデレ妹紅

 昔から登山が好きだった。幼い頃から父に連れ回され、高校に入る頃には一人で登ることが当たり前になっていった。

 「気をつけていたんだけどなあ…」

竹林の中で一人立ちすくむ。風の音も虫の声もせず、鼓動のみが聞こえる。途方にくれて顔を上げると空には美しい橙色と闇が混じり、肌の冷たさが一層かんじられる。獣の気配すら感じない。急速に不安が大きくなる。

 「落ち着け、落ち着け。まだ大丈夫だ。」

 今にも破裂しそうな焦燥を抑え、私は元来た道へ戻ろうとする。しかし、眼前の景色は背中の景色と寸分も違わない。その瞬間、私の膨らみきった焦燥に針がさされた。

 「誰かぁぁぁ。助けてぇぇぇ。」

私の叫びを竹林は易々と飲み込み、こだますら聴こえない。

 「嫌だ、まだ死にたくない。こんな所で死ぬなんて嫌だ。」

その時、深緑の匂いの中によく知る匂いが微かにした。嗅ぐと同時にグゥゥと腹の音が鳴り響く。私はいつのまにか走り出していた。力の限り走った。空には星が広がり、満月の光が竹林を照らす。匂いが次第に強まるにつれ、望みが満ちてゆく。

 どれほど走ったのだろうか。遠くに小屋が見えてきた。小屋の窓から漏れる光は、私の孤独感を払拭するのに十分すぎた。

 「すみませーん。助けてください。」

私の声が聞こえたのだろう。すぐに扉が開き、一人の女性が姿を現した。

「あんた、なんでこんな時間にこんな所にいるんだい」

「み、道に迷ったんです。助けてください。お願いします。」

「わ、わかった。とりあえず、中に入りな。飯の残りがあるから。」

小屋は非常に質素で玄関奥にあるかまどから件の匂いを強く感じる。

「そんなにかまどを見るなよ。はい、これ。」

女性が私に先ほど炊いたのだろう白米をついだお椀を差し出す。私はお椀をひったくると白米をかきこんだ。

白米を噛み締めるたびに私の心に余裕が生まれる。

「ごちそうさまでした。」

「いいのかそんなもんでいいのか。まだまだあるぞ。」

「いいえ、こんなにおいしい白米をいただけただけでも充分です。先ほどは無礼を働き申し訳ございませんでした。」

お椀を彼女に返す際、私はここで初めて彼女に目を向ける。綺麗な銀色の長髪と端正な顔立ちを持つとても美しい女性だった。走ってる最中に見た満月を彷彿とさせる人だった。

「いや、気にするな。普通の人間はいつの時代も生きるのに必死だからな。羨ましいよ。」

「お、そういえば自己紹介がまだだったな。私は藤原妹紅、この竹林でまぁ…竹炭職人みたいなことをしている。あんたは?」

「私は◯◯と言います。信州山に登るのは初めてで地図を見ながら登っていたんですが、見ての通り迷ってしまって…」

「信州山?あー、そうか。あんた外来人か。」

「外来人?登山客のことですか?」

「いや、違う。話すと長くなるんだがかいつまんで話すと、ここはお前らの住む日本じゃない。ここは幻想郷。お前達風に言うと異世界ってやつだな。」

 

 

 

「そうか…もうすぐ帰るのか。」

「はい、来週に帰ります。妹紅さんには色々とお世話になりました。何も恩を返せずすみません。」

幻想郷に迷い込んでから半年が経った。私は今、妹紅さんの友人の上白沢先生の紹介で人里で働いている。日本に帰るためには幻想郷と日本を繋ぐ役目を担う博麗神社の巫女に金子を払う必要があるらしい。

「幻想郷に住みはしないのかい。」

「両親や弟に会いたいんです」

「…そうだよな」

酒で頬を染める妹紅さんに見惚れながら私は幻想郷に永住することを否定する。この半年で私は妹紅さんへの恋慕を募らせていた。妹紅さんも少しは寂しがっていることに対する罪悪感と嬉しさを同居させている心を妹紅さんに悟られないように酒を飲み干す。

「妹紅さんはずっと一人なんですか」「ああ、そうだよ。みんなとっくに死んじまって、友達は◯◯と慧音だけだ」

「妹紅さんとお近づきになれて光栄です」

「私もだよ。私だって◯◯のことを…私は◯◯が好」

「そろそろ帰りますね。妹紅さんまた今度会いましょう」

店をでて空を見上げると逆三日月に雲がかかっており、街灯の光が人魂のように揺れている。年老いた両親を弟だけに任せるわけにはいかない。そう自分に言い聞かせ私は長屋に帰っていった。

「どうせ死に別れるぐらいならこの方がマシか…」

◯◯が去った後、一人で酒を呑む。◯◯は私が死ぬことがない化け物だと知っても変わらず付き合ってくれた。慧音以外の人、ましてや男とこんなに親しくなったのは何十年、いや何百年ぶりだろうか。私は◯◯のことが好きで好きでたまらない。◯◯だって本当は私のことが好きなんだ。でもあいつは優しいからきっと家族を選ぶ。私じゃない。そう思うと死にそうになる、蓬莱人なのにな。どうすれば…

「妹紅さん、大丈夫ですか?」

「女将さん…」

「妹紅さんは◯◯さんのこと好きなんですよね」

「改めてそう言われると恥ずかしいけどそうだよ、でもあいつは帰るんだ。帰らなくちゃいけないんだ。」

(私には妹紅にかける言葉が見つからない。でもだからって妹紅さんの悲しむ姿は見たくない。ミスティアローレライ、あなたは常連客の妹紅さんが泣いたままでいいの?そんなわけないじゃない。妹紅さんには焼き鳥撲滅委員会の幹事をしてもらっているのよ。今こそ日頃の感謝を示す時よ!)

「妹紅さん‼️」

「ど、どうしたんだい、女将さん」

「私達妖怪は欲しいものは力ずくでも手に入れます。妹紅さんは長い間数えきれないほどの別れを繰り返してきました。今回もそれでいいんですか?力の限り、無理矢理にでもものにしたいと思わないんですか?」

「思うけど…そんなのだめだ」

「どうしてですか?妹紅さんはこれまでずっと我慢してきたんです。今回はワガママになってもいいんです。◯◯さんだって本当は妹紅さんのことが…」

「やめてくれ、もう…帰る」

「妹紅さん‼️」

店をでた後、重い足取りで妹紅は竹林へ向かう。月は雲に隠れ、街灯のない竹林の中へ妹紅は歩を進める。

「どうすれば、どうすれば…」

その時、妹紅の頭にミスティアの言葉がよぎる。

「本当は私は◯◯とずっとずっと一緒にいたい。でも人と蓬莱人では時間の流れが違いすぎる。どうせ別れるなら今別れた方が…」

その時妹紅にある考えがうかぶ。それはかつてえいりんから聞いた話であった。

「そうだ…あの方法なら◯◯は私とずっと一緒にいてくれる。◯◯だって本当は私と一緒にいたいんだ。待ってて◯◯、私が前の家族を忘れさせてあげるからね…」

暗い竹林の中で雲の切間からでた月光が妹紅を美しく狂気的に照らしていた。

 

 

 

幻想郷から帰還する前日、妹紅さんに最後の夕餉を食べようとあの小屋に呼ばれた。妹紅さん曰く、いい酒と肉が手に入ったそうだ。幻想郷最後の夜を妹紅さんと過ごせることに嬉しさを覚えつつ、妹紅さんの所へ向かう。街頭だけを頼りにし、人里のはずれで妹紅さんと合流する。

「今日は新月だからな。普通の人間は竹林に近づくことさえできないから、ちゃんとついてこいよ、◯◯」

「わかりました、妹紅さん。ところでいい酒と肉が手に入ったんですよね」

「ああ、酒は高級なやつだよ。肉は生肝なんだ。珍しいだろ」

「生肝ですか。食べたことないので楽しみです」

「そうか、それはよかった。そろそろ小屋に着くぞー」

先日とは打って変わって明るい妹紅に◯◯は疑問を抱くが、妹紅が自分を諦めたことを悟り悲しみつつも自分を納得させる。

小屋に入ると酒や白米、野菜、そして件の生肝が用意されていた。

「これが生肝ですか。なんの肉ですか?」

「食べてからのお楽しみってやつだよ」

「そうですね、ではいただきます」

◯◯は生肝に食らいつく。生肝はまだ少し温かく新鮮であることを感じさせた。少し躊躇いつつも◯◯はそれを噛み、味わい、飲み込む。

「この生肝不思議な味がします。一体なんの肉なんですか」

「食べてくれたんだな。嬉しいよ、◯◯」

「もう妹紅さん、からかわないでなんの肉か教えてください。気になるじゃないですか」

「私のだよ」

「そりゃあ、妹紅さんが準備したんですから妹紅さんのものですよ」

「そうじゃない、私の肝なんだ」

「ど、どういうことですか?」

「さっきから言ってるじゃないか◯◯。私から取った肝なんだよ」

「え?冗談ですよね」

「私が◯◯に嘘つくわけないじゃないか、変な◯◯だな」

◯◯は妹紅を見る。妹紅の目がこれが嘘ではないことを物語っていた。

「うええぇぇぇぇ。な、な、何を食わすんですか。意味が、意味がわからない」

「◯◯はこれで私と同じ蓬莱人だな」

「は?」

「蓬莱人の生肝を食べた人間は蓬莱人になるんだよ。これで◯◯は私とずっとずっと一緒だよ。◯◯も嬉しいでしょ」

「ふ、ふざけるな。俺は人間だ。蓬莱人になったつもりは…」

グシャッッ‼️

その瞬間◯◯右腕が吹き飛んだ。

「ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼️」

「安心して◯◯、右腕はすぐに生えるから。これで◯◯はもう蓬莱人だってわかってくれた?」

「どうして、どうして妹紅さん。なんでこんなことを…」

「◯◯が好きだから。◯◯を手に入れるためならなんでもするって決めたの。だからね◯◯、あなたはこれからここで永遠に私といきるの。あなたの家族が死んでも、幻想郷がなくなっても、地球が壊れてもずっと、永遠にね」あははははははははははは

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