「 僕のターン!ドロー‼️ 僕は手札から「ブロックマン」を守備表示で召喚! さらに伏せカードを1枚セットして、ターンエンド‼️」
「ふふ、やりますね◯◯さん。私のターン、ドロー。私は手札から…」
「何やっているんですか。貴方達は…」
ある晴れた日の午後。妖怪の山から東南方面10数キロ離れた崖の上で、白狼天狗の◯◯と犬走椛は哨戒任務についていた。
「いやー、椛もこの遊戯やってみなよ。流石文さんの旦那さん、いやこの場合は先生ですね。あのめちゃくちゃ面白い漫画といい、この遊戯といい、天才ですよ」
「いやーそれほどでも////この遊びは遊戯王という外の世界のかーどげーむという物らしいです。このげーむは外の世界ではとても有名で、あの人曰く、「このゲームが外の世界で忘れられることは絶対にないから俺が幻想郷で流行らせるしかない」と」
「ほうほう、流石先生。幻想郷には外の世界から忘れ去られた物しか入れない。その遊戯王への絶対的な信頼があるからこそ、自ら幻想郷に広めようとしているわけですね」
「…お二人で盛り上がるのは構いませんが、哨戒中ですよ。文さんはさっさと家にでも戻ってください。後、◯◯はちゃんと任務を果たして。そもそも貴方は昔からふざけてばっかりで…」
「わ、分かったから、全くしょうがないなぁ。昔から椛は俺がいないとなんにもできないんだから」
「な、な、何を言ってるの‼️それはこっちのセリフよ‼️」
「はー、素直じゃないなぁ。昔からいつも俺に文句を言うくせに何するにしても俺と一緒にするし。お前、俺のこと好きすぎだろ」ヤレヤレ
「ふ、ふ、ふざけないで/////もういいわ。私は向こうを見て来るからげーむでもなんでもすればいいじゃない‼️」
顔を真っ赤に染めた椛はそう言い捨てると、走って椛は哨戒範囲を見回りにしに行った。
「◯◯さん」
「どうかされましたか?文さん」
「その、椛が自分のことを好きと、知っていたのですか?」
「そりゃあ、椛は妹みたいなものですし。文さんだって知っているでしょ。あいつが昔から僕の後ろをついて回っていたの」
「はぁぁぁぁ…やっぱりか。これがあの人の言ってた鈍感系無自覚主人公ですね」
「あはははは、何言っているんですか。まるで椛が僕のことを好きでそれに僕が全く気づいていないみたいなこと言わないで下さい。こう見えても僕は察しが良いですし、椛にとって僕は兄みたいなものですよ。普通の男なら確かに勘違いするかもしれませんが、僕は自分がモテないことを自覚していますからね」
「…まぁ、いいです。だけど一つだけ言っておきます」
「なんですか?」
「妖怪は欲しいものは力尽くで手に入れる。それが狼なら尚更ですから」
「?何当たり前のこと言ってるんですか、文さん。そんなの白狼天狗である僕が一番よく知っていますよ」
「…分かっていないから言っているのですよ」ボソッ
「ん?何か言いましたか?」
「いえ何も。それはそうと私は椛の所に行くので」
「分かりました」
「それでは」
そういうと文は◯◯に背を向けると翼を広げて飛んでいったのであった。
「大丈夫ですか?椛」
文はしばらく飛んだ後、大木の下でうずくまっている椛を発見し、そばへ降り立つ。
「文さん…◯◯はなんて言ってましたか?」
「椛のことを妹みたいなものだと言っていましたよ。あれはダメですね。全然気づいていないですよ」
「…やっぱりそうですか。文さんのおっしゃる通りですね」
「椛の告白して欲しいという気持ちもわかります。それに椛以外に◯◯さんのことを好きな人妖も特にいませんから、ゆっくり攻略するのもアリだとは思います。でも私はこれ以上傷つく椛を見たくありません」
「どんなにアピールしても一切気づくことはないし、挙句の果てには冗談で好きだと言ってくるんですよ。言われるたびに私は「遂に私の想いに気づいてくれたの?」と淡い期待を抱くんですよ。それが意味のないことだと知っているのに」
「椛…だから言っているではありませんか。もう無理矢理にでも◯◯さんを手に入れるしかないんですよ。あの馬鹿には一度ガツンと思い知らせるべきです」
「そう、ですね。そうですよね。あの馬鹿◯◯は一度調教して、徹底的にわからせてあげないと…」ブツブツ
「そうそう、その通りですよ、椛。椛は充分頑張りました。もう自分を抑え込む必要はないんですよ」
「ありがとうございます、文さん。とりあえず計画を練ってきます」
「ふふ、その必要はないですよ。私にとっておきの方法がありますから」
「なんですか?それは。教えてください」
「それはですね…」
数日後、◯◯は椛に飲みに誘われて、椛の家にお邪魔していた。
「それにしてもありがとうな。わざわざ苦労して手に入れたいい酒を振る舞ってくれるなんて。しかもどの料理も美味しいし」
「いいのよ。◯◯のためならね。それにこの後お礼ならたっぷりしてもらうから」
2人は居間のちゃぶ台に向かい合わせに座って夕餉を楽しんでいた。
「おう、なんでも言ってくれ。このお礼は必ずするよ」
「ふふ、それは後でするから、今はゆっくりしていってね」
(今日の椛はやけに上機嫌だな。この前の哨戒任務で怒らせたからてっきり説教されるものかと…文さんが宥めてくれたのか?文さん、ありがとうございます)
そうしてしばらく料理とお酒を味わっていた◯◯だったが、次第に自身の体に違和感が生じる。
「どうかしたの?◯◯」
「いや、その…少し眠、くてな…確かに昨日は…最近幻想…入りした、うぃーというげーむの…通…信対…戦を、先生とカッパ達と…夜通し、やっていた…んだが…」
「ふふ、眠いならこっちに来て。膝貸してあげるから」
「そ、そう…なら甘え、ようか…」
そのまま倒れるようにして眠った◯◯を膝に乗せた椛は◯◯の顔に触れる。
「全く、だらしない顔で寝ちゃってしょうがないわね。こんな無防備に寝るなんて、お仕置きが必要ね 」
そのまま◯◯を抱えた椛は奥の寝室に◯◯を運んでいったのであった。
「ん?あれ、ここは一体?」
あれから数時間後、目を覚ました◯◯だったがすぐに自身の置かれている状況に気づく。
(く、鎖だと…手足や首にまで、一体誰が…いや、そんなことより椛だ。くそ、椛を守るどころか、捕まるなんて。今すぐ椛を助けなければ)
そうして力を込める◯◯だったが、相当頑丈なのか鎖は一向に千切れない。
「クソ、外れねぇ。椛の身にもし何かあったら…絶対にひきちぎ…」
「◯◯」
◯◯が顔を上げるとドアの前に椛が立ち、◯◯を見下ろしていた。
「椛、良かった。無事だったのか。お前にもしものことがあったらと思うと…」
「◯◯、心配してくれたのね。ありがとう、嬉しいわ」
「当たり前だろ、俺にとってお前は妹みたいなm…」
「イモウト?」
「も、椛?」
明らかに様子がおかしい椛に◯◯は不気味さを覚えた。
「…シテ」
「え?」
「ドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテドウシテ」
「一体どうしたんだ、椛」
椛はゆっくり一歩ずつ◯◯に近づきながら答える。
「ドウシテイモウトなの?こんなにも私は◯◯を愛しているのに‼️」
「あ、愛し、てる?何冗談を…」
「冗談?この状況でそんな事言うなんてどれだけ人がいいのよ。まぁ、そんな◯◯も好きな私は本当に馬鹿なんだろうけど」
「まさか、この鎖…椛が⁉️」
「そうよ。当たり前じゃない。こうでもしないと◯◯は私から逃げちゃうじゃない。そもそも◯◯が悪いのよ。私があんなにもアプローチをしたのに、全然気づいてくれないじゃない。文さんも、他の天狗達もみんな私が◯◯のこと好きだって気づいているのに、貴方だけが気づかない。それだけじゃない。何よ、妹って…私は貴方を一度たりとして兄だと思ったことはないわよ‼️ずっと…大好きな男の子としか見ていなかったのに…」
「も…みじ…」
いつの間にか◯◯の目の前に立っていた椛はしゃがみ込み、鎖で繋がられている◯◯の目の高さに自身の目を合わせる。
「でももう関係ないわ。それも今日で終わりよ。これからは私だけを見て、私だけを好きになるように、私のこの想いを◯◯に教えてあげるわ。今まで私を見てくれなかった罰として、お仕置きもするけど、いいわよね?言っておくけど全部全部◯◯が悪いんだからね」
「…」
「覚悟してよね、◯◯。最初は痛いかもしれないけど、頑張ったら沢山ご褒美をあげるか…」
「椛」
今まで半ば放心状態で話を聞いていた◯◯だったが、突如覚悟を決めた目をすると改めて椛の目と合わせる。
「鎖を解いてくれ」
「…話を聞いてすらなかったの?どれだけ私を…」
「いいから解いて、椛を抱きしめられないから」
「え⁉️////」
「椛、確かに俺は椛に対して酷いことをしてきたけど、一回も嘘をついたことはないだろ?俺は逃げないから。腕だけでいいから鎖を解いてくれ」
「う、うん…」
◯◯の力強い眼差しに、惚れた弱みなのか椛はつい、鎖を解いてしまう。
「椛‼️」
鎖が解かれて両腕が自由になった途端、◯◯は椛を抱き締める。
「俺は本当に馬鹿だ。あれだけ椛は俺に尽くしてくれたのに俺はそれに一向に気づかず、それに加えて椛の心に傷をつけてしまった…本当にごめん」
「◯、◯…////」
「俺達やり直さないかな?もちろん嫌だと言うなら好きなだけ俺を調教してもらって構わない。でも、もう一度だけ、最後の機会を俺にくれないか。椛を、1人の女の子として、俺が絶対に幸せにするから」
「ほ、ほん…とうに…?」
「さっきも言ったろ、俺が椛に嘘ついたことあったか?」
「ううん、ない…」
「やろ、まぁそんなことより顔を上げて」
◯◯の言葉に従い、椛は顔を上げた。そのまま◯◯は自身の顔を椛の顔に近づけ、椛もそれに応えるかのように目を閉じたのであった…
「で、そのままイチャラブした後付き合うことになったと」
「ええ、まぁそんな感じですね」
数日後の昼、人里に取材に来ていた文は腕組んで仲良く歩いている2人を見つけて甘味処に連れて行き取材を敢行していた。
「それにしても、まさか文さんが椛を焚き付けていたんですか」
「何か問題でも?」
団子を食べながら、文は◯◯にじっと睨みながら問いかける。
「いや、ありがとうございます。結果としてこういう風になれたのは文さんのおかげです。な、椛?」
「はい。文さん、本当にありがとうございます」
「いやー照れますね。流石私です」
「お礼にここは僕が奢りますから好きなだけ食べていってください」
「お、良い心がけですよ。…ああ、そうだ、◯◯さん」
「どうかしましたか?」
「最近、あの人が夜になった後もしばらくしないと寝室に来なくなったんですよ…問いただすとどうやらとあるげーむをしているようですね?◯◯さん」
「ヒッ」
文の脅迫じみた笑顔に◯◯は思わず声を上げる。
「すみません。もうこれ以上先生を誘いません」
「はぁ…今日は特別に許してあげます。椛、夜も◯◯さんを監視しないと駄目じゃないですか。それでは恋人失格ですよ」
「分かりました、文さん。これからは四六時中千里眼で監視します」ビシッ
「ははは…お、お手柔らかにね…」
「それと◯◯。文さんと話し過ぎ。文さんも私の◯◯ですから少しは自重してください」
そういうと、椛は◯◯の腕に抱き締める力を強め、目で文を威嚇する。
「おおっと、噛みつかれる前にお邪魔虫は退散しますか。お二人ともお幸せに」
そういい、店を出て行く文の背中を眺める2人であった。