ツヴァイガンダムは、カタストゥリアを破った。メガビームセイバーはその出力が終わる直前でカタストゥリアのコクピットを貫き、切り裂く事に成功。一方のカタストゥリアはビームクローをツヴァイのコクピットに突き刺してはいた……が、辛うじてレイに致命傷を与えるには至らなかったのだ。
エファン・ドゥーリアという名の、アドバンスドタイプ。彼は、レイ・キレスという光によって敗れたのである。
「光が……見えた……」
エファンの最期の台詞。それを喋った時、彼は何故か、幸せそうな表情を浮かべていたのだという。
エファン・ドゥーリア。デウス帝国のアドバンスドタイププロジェクトによって火星で作成されたEVEシステムが作り出した最後のアドバンスドタイプ。彼はEVEシステムの意志である、力を持つが故に自惚れ、戦争の一因となっている力を持つ存在全てを消し去る必要があるという意思を引き継ぎ、それを決行していった。多くの力を持つ存在であるシンギュラルタイプ、アドバンスドタイプを抹殺していったエファン。
だが一方で、エファンは人間を愛する感情を抱いていた。人が生み出した文明、文化は今後も残していかなければならないものだという、相反する感情が彼の中にはあった。
力を持つ存在の抹殺と、人を愛するという、矛盾している感情。それらがエファン・ドゥーリアの中には常に存在していた。その結果、彼が下した結論は、力を持つ存在を抹殺した上で人のその数そのものを減らすというものだった。そして、生き残った人類を統一し、指導者となるというのがエファン・ドゥーリアの目的だったのだ。これはEVEシステムの意志を超えたものだったのである。
しかしその野望も今潰えた。彼の最大の目的であったネェルガルキャノンの地球への発射も失敗に終わり、彼自身も今、レイという光によって破れ去った。皮肉にも、そのレイの中にも、彼と同じEVEの力が備わっている。境遇が違うとはいえ、彼は同じ力を持つ人間によって倒されたのだ。
「倒した……倒したんだ……あぁ……これ……で……」
レイは、静かに眼を閉じた。極限の疲労状態だった彼は、まるで眠りにつくかのように安らかな表情を浮かべる。もう、戦わなくて良いという安寧が、彼を包み込むようだった――
それからどれぐらいの時が経ったのだろう。エファン・ドゥーリアという最大の敵を倒したレイはその意識を失い、ツヴァイのコクピットの中に閉じ込められた状況だった。アレンもネェルガルキャノンの動力部のコアを撃ち抜き、そこからガーストのハイエッジカスタムに救出されたが、どうなったかは分からない。
「……ン……んう……ん……あ……え……」
視界がぼんやりと広がっていく。最初は何が映ったのかは分からなかったが、最初に見えたのは自分の手。包帯に巻かれた、自分の手。そして次に映ったのは病室らしき白い部屋。そして、すぐに腹部に鋭痛が走ったのを感じた。
「あ……れ……ここ……は……僕は……生きてる……?」
その部屋に居たのは、レイだった。彼は何者かに助け出され、そしてこの部屋で寝かされていた。
しかし、どれ程眠っていたのかは全く分からない。そして、レイは自分の姿を再確認する。
右肩から右手にかけて包帯が巻かれている。また、腹部にも包帯が巻かれている。足には傷がなかった。彼は五体満足だった。
「あれからどうなったんだろう……あの戦いが終わって……ダメだ、全然思い出せない……」
無理もなかった。意識を失っていたのだから。しかし、レイは今何が何やら分からない状態だった。
ウィィィィン
すると、足元にあった自動ドアが開かれた。そこに居たのは――
「あ……ああ……みんなだ……みんなが……いる……」
セイントバードチームのメンバー達だった。エリィをはじめ、ネルソン、ガースト、プレーン、エレン、ミシェ、インク、スラッグ。これまでの長い旅を共にしてきた仲間達が、レイを迎えてくれたのである。
「おかえりなさい、レイ君。」
エリィは優しい声でレイを暖かく迎え入れた。それを見て、レイの青い眼からは涙が頬を伝っていた。
「……ただいま……!」
ここまでの拝読、本当にありがとうございました。
エピローグは近日中に公開予定です。