駿河湾沖。ジャンヌが小島に隠していた戦艦、シュネルギアが出航した頃。その存在を先日から着目していた新生連邦軍が動き出す。
轟音を鳴らし、沖を進むシュネルギア。そして、それを追うように新生連邦の潜水艦、ブルーマーリン二隻と、ウイングイーグルが移動を開始したのであった――
シュネルギアは出航した。だが、船出の瞬間というのは常に危険を孕むものである。それはセイントバードがよく、経験している。
船出した直後に、シュネルギアの後方より三つの大型の熱源が確認されたのだ。内二つは、海の中より確認されているものであり、一つはセイントバードと同型艦、ヒエラクス級の戦艦だったのだ。
「後方より、大型の熱源を三、確認!内二つは海中にあり!一つは空を飛んでいます!」
「モニターを出せますか?」
「モニター、出ます!」
そして、それらを映し出す後方メインカメラのモニターが展開された。その艦は、以前にセイントバードを襲った戦艦。ヒエラクス級空中戦艦、ウイングイーグルだったのである。残りの二隻は海中に存在している為、認識が出来ない。
「何故……?まるでこの艦が動くのを知っていたかのような動きですね……。」
ジャンヌの表情が、険しくなっていく。
「ジャンヌ様、いかが致しましょうか。」
側近のエファンが、言った。
「私達に戦意はありません。この場を逃げ切る事を最優先事項とします。シュネルギア、最大船速。それと、敵意の意思は無い旨の信号弾の発射をお願い致します。」
彼女の指示通り、シュネルギアからは信号弾が放たれる。緑色の光が駿河湾沖上空に放たれる。
その色は敵意が無いという、なによりの証拠。その為、この海域を逃して欲しいという、切望だ。しかし――
「我々は新生連邦政府軍。貴艦はどこの所属か、名乗ってもらおう。これは命令だ。黙秘件は与えられん。もし黙秘を貫くのならば、武力行使を行う。」
ウイングイーグルの艦長、ダリア・ローゼントの声が響いた。あくまでも未確認の戦艦であるシュネルギア。それを地球圏の権力を握っている軍が、易々と見逃す筈がないのであった。
ウイングイーグル艦内ではブリッジにて、前方を航行しているシュネルギアを、睨むように見つめている、ダリアと総司令、レヴィー・ダイル。その艦がアステル家の戦艦である事等知る由もない。だが彼等は匿名情報からその存在を確認しており、シュネルギアが発進したと同時に行動を開始。現在、シュネルギアに対して脅しを掛けている状態だ。
「潜水艦、ブルーマーリン二隻へ伝達して下さい。ディープシーの展開準備を。状況によってはあの艦へ攻撃を仕掛けます。」
「鹵獲等はお考えではないのですか。」
ダリアが、言った。
「様子を見る必要があります。無論、可能であれば鹵獲を狙いますが。相手が抵抗を続けるのならば破壊もやむを得ないでしょう。新生連邦に対する脅威が存在するのならば、その脅威は捻じ伏せなければなりません。」
それは、彼の意志だ。新生連邦への脅威は叩く。それが彼の意志である。だがそれが強い戦力である場合は話が変わってくる。それを仲間に率い、更なる軍事力の強化を狙う。彼が掲げる軍備増強は、彼の意志に周りの人間が賛同する形で、いつしか次第に大きくなっていったのだ。多数の人間を犠牲にしていきながら……。
「ジャンヌ様。このまま黙秘を貫く事はシュネルギアを攻撃される事と同義です。どう致しましょうか。」
エファンが再び口を開く。発進して間もない状況で再び生じた危機。黙秘すら許されない状況。艦長であるジャンヌは、突如判断を迫られる。
彼女は、決意をした。この状況を打開する方法。クルー達を危険に陥れる可能性があるかも知れない状況ではあるが、攻撃を受けるぐらいならばと、考えたジャンヌ。
「砲門を展開して下さい。目標は後方、敵戦艦。その上で話に応じます。」
そのまま逃げるのではなく、脅す形で話し合いに応じようと、しているのだ。
「私はジャンヌ・アステル。この艦、シュネルギアの艦長を務めます。」
艦長の名を聞いた、ウイングイーグルのクルーは誰もが怒った。明らかな挑発だと、皆が怒る。
当然だ。世界的歌手であるジャンヌ・アステルの名を使用している時点で嘘と思われても仕方がないのだ。ウイングイーグル内の人間の中にも彼女の曲のファンは多い。不審艦の艦長が放った第一声が“ジャンヌ・アステル”という名。これは、挑発行為と見做されても仕方がないのである。
しかし、ジャンヌはこの事に気付かなかった。彼女は事実を伝えたのにもかかわらず、新生連邦からは挑発行為と見做されてしまったのである。
「私達はこの海域を抜け出したいのです。貴方方との戦闘の意志は、一切ありません。」
自身の訴えを主張する、ジャンヌ。しかし新生連邦軍はシュネルギアが、新生連邦を侮辱している戦艦だという認識をしてしまったのである。
「事情は分かりませんが、砲門を開いた上でジャンヌ・アステルという、偽りの名を自称するという事は、挑発行為と見ました。よって、宣戦布告と見做させて頂きます。MS部隊発進!ブルーマーリンからはディープシー部隊展開!」
総司令は彼女の言葉を信じなかった。ジャンヌの言葉は、状況をただ、混乱させてしまう結果となったのであった。
「そんな……」
ジャンヌは、ただ、落胆するばかりであった。
海中には新生連邦の潜水艦、ブルーマーリン二隻が存在している。そこから展開される、両肩部にスパイクを装備している、全体が群青色で覆われているMS。
機体名、ディープシー。型式番号、NFMS-08M。新生連邦軍の水中用MSである。潜水艦のカタパルトからモノアイを輝かせ、これらが三機ずつ、二隻からの出撃を合わせて合計六機が発進された。海中内で移動する際、幾多もの泡を噴出し、シュネルギアに近付いていく。
「総司令は、どうなされるおつもりで。」
ダリアが言った。
「状況を見てナパームを発進させます。敵の戦力を是非、見ておきたいと思いまして。例のガンダムタイプ達も出撃のスタンバイをお願いします。」
そう言った後、総司令はダリアに敬礼をした。それに対し、彼女も敬礼を返すのだった。
新生連邦軍による包囲網が展開される状況。アステル家の戦艦、シュネルギアにとっての最初の関門。突破出来るかどうかは彼等の技量に掛かっているのだ。
「海中より熱源六!波状攻撃、迫ってきます!」
オペレーターがジャンヌに伝える。ディープシーは一斉に魚雷を展開してきたのだ。
「ミサイルを展開して迎撃を。その後、アレンにガンダム発進の指示をします。」
ジャンヌは指示をした。それに従うように、シュネルギアの艦下部からミサイルが展開された。迫る魚雷はこれにより、迎撃される。
「アレン。敵は海中よりMSを展開しています。ティフォンで迎撃を願えますか。」
回線でジャンヌはアレンに伝える。MSデッキ内で待機している彼は、答えた。
「了解。まさか、早速戦闘になるとはね。」
「私の配慮が出来ていない結果です。ジャンヌ・アステルと言う名を出した瞬間に、まさか攻撃を受けるとは思いませんでした……」
ジャンヌは悲しげな表情を浮かべる。彼女の主張が挑発行為と見做され、反って危機的状況を作り出してしまった事に、明らかに戸惑っている様子だ。
「まさか世界的歌手が戦艦に乗って指揮をしているなんて、思わなかったんだろう。それよりもあの戦艦、地中海で戦った奴と同型艦……いや、あれはそのものだ。」
この時、アレンは一人の人間を思い出している。以前にウイングイーグルから発進したガンダムタイプに乗っていた人間……レヴィー・ダイルである。
「あいつがここにいるかは分からないけど……アレン・レインド、ティフォンガンダム行きます!」
意気込みのある言葉を言い、ティフォンは発進した。そのまま海中に向かい、敵機体を索敵する。
海中内にて。ディープシーは魚雷だけでなく、局地対応型ライフルを用意していた。それは場面によって実弾、ビーム粒子を分けることが出来るライフルであり、汎用性の高い武器となっている。
ビゴォン
ディープシーはティフォンを見るなり、攻撃を開始。海中の為、実弾の弾がティフォンに一斉に放たれる。
ディープシーは水中に特化したMSだ。故に、その機動性はティフォンよりも優れている。海中での攻撃は、明らかにディープシーの方が強いのだ。
「機体が海に対応出来ていないのか!一度浮上するしか……」
敵機体に対応出来ないと判断したアレンは、一度浮上し、海上へ戻ろうとしていた――
ガキィン
浮上寸前のティフォンを、ある機体が襲った。あろうことか、ウイングイーグルから三機のガンダムが出撃していたのである。
「アウ!ぐぅ……」
今回ティフォンを攻撃したのは、デスペナルティガンダムだ。二重大鎌はティフォンの装甲を突き刺すように、柄の部分を突き付ける。ビーム粒子を纏っているそれは放たれれば強力な武器となる。
「敵もガンダムかよ!サイコーじゃねぇか!!!」
パイロットであるニッカが叫ぶ。
「前のガンダムか!」
以前交戦した三機のガンダムが再び姿を見せたのだ。特殊強化モデルが乗る、FLCシステム搭載型のガンダムタイプ。単体でも強力なそれらが、三機まとめて出撃してきたのである。
この状況を不利だと判断したジャンヌは、シュネルギアで牽制攻撃を行いながらMSの展開を指示した。艦内に搭載されていた六機のドラグネスアサルトが展開され、いずれもが実弾ライフルを構えて海中に移動する。
海上はアレンのガンダムが、海中はドラグネスアサルトによる援護により、シュネルギアの護衛ミッションが開始されたのである。
「アレン、海中はドラグネスが対処しています。貴方はガンダムタイプの迎撃をお願いします。」
「言われなくとも!」
ジャンヌの指示に、アレンが従う。そして、迫り来るガンダムタイプ三機。
「へへぇ!逃がすかよォォ!」
アトミックガンダムのパイロット、ハーディ・クオレントが叫ぶ。そのまま機体をMAに変形させ、ノーズビーム砲や背中のヘビーマシンガンやガトリングを発射し、アレンに対して追撃をする――
ガキィン
だがそこへバイラヴァーガンダムのトリシューラランサーがアトミックに突き刺さったのだ。
「ぎゃああああああああああ!」
ハーディは叫んだ。そして怒りの矛先はパイロットである、シエルに向けられる。
「てめぇ何しやがる!!」
「俺の獲物だ。短気野郎は引っ込んでろ。」
と、言いながらバイラヴァーのバーニアを展開し、ティフォンに迫る。
迫る機体に対し、ビームセイバーを左手部マニピュレーターで腰部からラックを抜き、打ち合う。
「只の槍じゃないんだよな。」
と、シエルが呟いた時――
バシュゥゥゥゥゥッ
高出力のビームが槍の先端から放たれる。それに気づいたアレンは緊急回避を行い、ティフォンの最強武装である、背部のバスターメガキャノン砲を放った。
「ちぃぃぃぃ!」
バイラヴァーはこの攻撃を浴びてしまい、右脚部を損傷。バーニアで空中移動が可能なバイラヴァーではあったが、機体の姿勢保持が不安定な状態となったのであった。
「お前等、一斉射撃行えよ。」
怒るシエルは、バイラヴァーのランサーの矛先をティフォンに向けた。
「命令してんじゃねえよカス!」
と、怒りながらもビームランチャーを構える、アトミック。
「へーへー!」
と、ニッカはやる気なさ気に言いながらも、デスペナルティの鎌の先端部をティフォンに向けた。
バシュゥゥゥゥ
バシュゥゥゥゥ
バシュゥゥゥゥ
ビームが一斉に展開される。一つ、一つはビームライフル等のような細いビームでも、連携すればその威力は増す。これがティフォンにとっては厄介な武装であったのだ。
ピキィィ
アレンの脳内に、電流が流れる。次の瞬間、ティフォンガンダムの両肩部のパーツが二基、外れた。それは有線によって展開され、銃口が展開され、ビーム砲を拡散して三機に襲い掛かったのである。
「うおっ!?」
突然の攻撃。準サイコミュ兵器と呼ばれるものだ。予想すらしなかった攻撃に戸惑う、三機。ビームを防ぐ手段を持たない三機は、守る手段としてビーム砲等でビーム粒子を消耗して相殺するしか、方法が無かったのである。
「おい、お前、核使えよ!」
そういうのは、ニッカだ。ハーディに対し、言っているのだ。
「外されて使えねぇんだよ!味方にも被害が及ぶとか言いやがってよォォ!」
アトミックガンダムの胸部ハッチの中には、本来は特殊核のミサイルが搭載されている筈だった。しかし今回、その破壊力を危険と判断した総司令の判断で、それは外されていた。ハーディはその事を告知されており、理解もしていた。
故に、武装はビームランチャーを主軸とした射撃兵器が中心となる。それらで、シュネルギアを襲うのだった。
「それじゃただの飛行機と変わらないな。」
シエルが一言呟き、ティフォンに近づく。肩部のビーム砲、腹部のビーム砲、そしてビームライフル。それらが、一斉に放たれる。狙いは、シュネルギアだ。
「主砲で砲撃を行いながら回避運動を!」
ジャンヌの指示通り、シュネルギアは艦を左側に避けつつ、後方へビーム主砲を放つ。高出力のそれはバイラヴァーを狙うが、すぐに回避される。
「沈めよッ!」
今度は槍を向け、先端からビームを放った。回避しきれないシュネルギアに、ビーム粒子が直撃する。
艦は揺れた。だが損傷は軽微である。しかし、新生連邦の機体の数は多い。海中にはディープシーが六機、海上を三機のガンダムが迫っている状況。いくら力を持つアレンとはいえ、三機のガンダムを同時に相手するのには苦戦している。
バイラヴァーは二基のマニピュレーターを背部より展開した。そして、ビームサーベルラックを構え、ビーム刃を展開する。
「攻め入る。」
カメラアイが輝く――そして、迫る。
マニピュレーターは数が多ければその分有利に武器を扱う事が出来る。人間の手がもし四つあれば、あらゆる状況において他者より有利に動く事が出来るだろう。それと同じ道理だ。槍、ビームサーベル、ビームライフル。それぞれの武器を持ったバイラヴァーはシュネルギアへ直接攻撃を仕掛けようとしていた。
グォンッ
そこへ、目の前にティフォンが駆けつけた。背部のメガビーム砲を展開した状態でバイラヴァーを睨むように出現し、ビームを再び放つ。それを回避した際には左の腕部と後方のマニピュレーターが融解していた。砲撃を受けたのである。
「ちぃぃぃ!」
シエルは一度後退する事を決めた。シュネルギアを守る、ティフォンの攻撃。彼が想像している以上に厄介だと判断した為である。
一機は退いた。しかし、状況は好転する様子はない。海中のディープシーはドラグネスに対して容赦ない攻撃を加えていく。魚雷をはじめとした実弾射撃。接近戦では肩部のスパイクによる突撃。水中戦ではディープシーの方が上回っており、不利な状況が続く。
「海中に再びミサイルを。」
「敵艦から熱源!ビーム砲撃!」
「回避して下さい!」
「更にミサイルが来ます!」
「これも回避を!」
シュネルギアのブリッジ内ではやりとりが行われている。敵機体の数と、敵戦艦の攻撃が相まり、状況は険しかった。ミサイルにより、ディープシー二機は破壊に成功しているが、ドラグネスも三機が破壊されている。
「ジャンヌ様、敵艦よ一つの熱源を確認!新手です!11時方向!」
「新手ですか……?」
オペレーターの言葉に耳を傾けるジャンヌ。そして、モニターで熱源の正体を探る。
映し出されたのは、総司令のガンダムタイプ、ガンダムナパームであった。鳥獣のような、MA形態でシュネルギアに向かってきている。
やがてそれはビームライフルを放った。それだけでない。シールドに搭載されている二門のビーム砲等による砲撃も行っている。
これらは巨艦であるシュネルギアにダメージを与えていく。更に増えたガンダムタイプ。危機的状況は緩和する様子を見せなかった。
ピキィィ
「あいつが出て来たか!レヴィー!」
戦場に出てきた総司令、レヴィー・ダイルを感じ取ったアレンは、ガンダムナパームの元へ向かう。
そして、ナパームを発見したティフォンはすぐにビームセイバーを抜刀し、ナパームへ襲い掛かる。それに反応した総司令はナパームをMS形態に戻し、ビームサーベルで拮抗した。
「レヴィー!やはりお前か!」
「やはり、そのガンダムには貴方が乗っていましたね!アレン!」
総司令にとっては見慣れないガンダムタイプ。だが彼は機体の動きを見て、パイロットがアレンである事を見抜いていたのである。
「何故攻撃を仕掛ける!?お前達に対する戦闘の意思はないのに!」
「戦艦が隠されているという情報を受けて、それを見逃す筈がないでしょう!所属不明のものならば尚更です!」
「戦艦の情報だと……?」
互いのビーム刃が拮抗し合う。その出力は、ほぼ、互角だ。
「貴方こそ何故このような所にいるのですか。新生連邦軍の一員として、戦うべき人間である筈の貴方が!」
「お前とは袂を分かったんだよ!お前達、新生連邦と、戦う事を、俺は決めた!」
「ではその艦は敵性勢力と見做し、全力で叩きます。未確認のガンダムタイプを所持しているその戦艦の存在は、テロ組織のようなもの!平和に対する脅威でしかない!!」
立場が違えば視点も変わる。アレンにとっては新生連邦こそが世界の混迷である。しかし、総司令から見たシュネルギアは、世界の秩序を乱す存在でしかないのだ。
結局は分かり合えないのかも知れない。互いに、戦おうという意思がある限りは……
バヂィィィッ
ビーム刃同士が弾ける。粒子の光がスパークを作り、海上で散る。
「貴方が僕と共に戦う事を拒むのなら、それ相応の報いが来る事を覚悟して下さい!」
「権力に飲まれたか!レヴィー!」
「違う!これは僕の意思だ!」
やがて互いのビーム刃は一度離れる。そして、距離を置く為にナパームはMAに再度変形した。それを見たアレンも、ティフォンをMAに変形し、対応する。
MA同士の攻撃。それはまさに、戦闘機におけるドッグファイトと呼べる光景だった。後ろについたのはナパームだ。ビームライフルで、ティフォンを狙い撃つ。前方にしか砲撃手段のないティフォンにとっては不利な状況だ。
「一機だけと思うんじゃねぇよ!」
そこへ、MA形態のアトミックが加勢した。二機に追撃されている状況では、アレンも不利だ。逃げていても埒が空かないと考えた彼は、ティフォンを急旋回させる。その際、高度なGが機体に掛かった。
重力下の戦闘での急な攻撃はパイロットの負担も凄まじい。急な攻撃、移動に耐えられるのは、パイロット自身の身体の強さも関係している。アレンはオールドタイプとは違う存在、アドバンスドタイプ。その身体の強さも、オールドタイプを凌駕しているのであった。
やがてティフォンはメガビーム砲を先頭に置く状態になり、そのままビームを放つ。高出力のそれらはアトミックとナパームを回避運動に専念させるのに十分だった。
「主砲発射を!」
まるで連携せんと言わんばかりに、ジャンヌが指示をした。狙いはビームを避けたばかりのアトミックと、ナパームである。
ドバアアアアアッ
ビームが放たれた。それはアトミックの左翼部に直撃。被弾したアトミックは機体制御の為、一度MSに変形する。
「当てやがっただと!?くっそー!核さえ撃てればあんなヤツよぉ!!」
口調は乱雑ではあるが、これ以上の戦闘は難しいと判断したハーディは撤退する事にした。残るFLCシステム搭載型のガンダムタイプはデスペナルティ一機のみである。
シュネルギアはミサイル、ビーム主砲等で新生連邦軍に対して迎撃を行なっている。だが、それはいつまで、続くかも分からない。既に敵として見做されているのなら、戦うしかない。だが敵の方が戦力は多い。数少ない戦力で戦っているシュネルギアは、不利である。
このままでは戦力を消耗していくばかり。アレンのティフォンガンダムが頼りではあるが、ビーム粒子の存在も気掛かりだ。ジャンヌは、この状況を見て、ある、決断を下す。
「これ以上の戦力の消耗は私としては避けたい所です。プラズマカノンの展開の準備をお願いします。」
「しかし、あれは試作兵器です!まだ、一度も放たれた事はありません!!撃てばどうなるかは未知数です!」
一人のアステル兵が意見を言った。プラズマカノン。シュネルギアに搭載されているその兵器は何を示すのか。
「けれどもこのままではいずれは彼等に倒される可能性の方が高いでしょう。なら、僅かでも可能性に賭けるしかありません。」
試射したことの無い兵器を使うという、危険な状況。その兵器が何を示すのか、理解出来ていない人間も数名この中には居たのだ。
「元々はデウス動乱時に使用されたコロニーカノンで使われていたプラズマ粒子を戦艦でも扱えるように凝縮した試作兵器の筈です。使って見せましょう。」
ジャンヌの言葉は優しくも、どこか恐ろしく感じられる。
プラズマ粒子。それはデウス帝国が用いた決戦兵器、コロニーカノンで初めて用いられた特殊な粒子。従来の機体にはビームライフルやビームサーベルといった武装でビーム粒子が用いられ、それが主軸となっていた。しかし、技術が進歩していく中で、ビーム粒子を完全に打ち消す事が出来る装置である、バリアーフィールドジェネレーターが開発される。
プラズマ粒子は、このバリアーフィールドジェネレーターを搭載している機体に対してでも長距離射撃を可能にする為に開発された特殊粒子である。ダッゲインといった巨大兵器はバリアーフィールドを搭載しており、当時の連邦軍の中にも、そうしたMSは存在していたとされている。
そして、現在。プラズマ粒子を用いた兵器はアステル家の戦艦、シュネルギアにも搭載されていたのであった。
「出来ればこのような兵器は使いたくありませんでした。ですが、混迷を切り開く為には、やむを得ません……」
ジャンヌ自身も、苦渋の決断をしたのである。シュネルギアの、プラズマカノン。コロニーカノンの小型版とも言えるその兵器が、ウイングイーグルに向けて放たれようとしているのであった――
「出力、30%まで上昇!」
「今回は威嚇射撃です。そのまま放って下さい。」
「了解しました!」
ジャンヌの指示に、兵士達は従った。最大出力の30%のそれは、ウイングイーグルを狙っていたのである。
シュネルギアからの熱源を探知したウイングイーグルのブリッジ内。艦長のダリアは艦の回避運動を指示した。
「回避運動を!その上でウイングイーグルのビームカノンを展開する!奴等、何をする気だ……!?」
警戒するダリア。そして、シュネルギアの艦後面にある、砲身からは緑色の粒子が集められていく。そして――
ドバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
プラズマカノンが、放たれた。それはウイングイーグルの艦の側面を掠る。しかしそれだけでも融解する力があったのだ。
「右舷被弾!」
「この状態でビームカノンを放つのは危険です!艦長!」
「クソッ……奴等め!」
艦長席にてダリアは思い切り腕を振り下ろす。プラズマカノンと呼ばれる兵器。それは、対戦艦においては圧倒的な力を見せつけるのであった。
「全機、後退を。これ以上の交戦は危険と判断しました。」
ウイングイーグルの損害を受け、総司令は撤退の指示を下した。しかし――
「ざっけんな!このままのこのこ引き下がれってのかよ!!」
海中のディープシーが撤退をしていく中、一機、単機で迫る機体が。ニッカの駆る、デスペナルティである。鎌を構え、ティフォンに接近していく。
「ガンダム!死ねよてめぇ!!!」
性急な攻撃だった。デスペナルティの朱色のカメラアイが輝き、ティフォンの目の前に迫った。そして、二重大鎌を振り下ろそうと、両腕部を振りかざす。
「死ねえええええ!!!糞!」
やがてそれはティフォンに向け、振り下ろされる。このままでは機体のダメージは避けられない――
――――――――――――――――――ドクン―――――――――――――――――――
心臓の鼓動音のような音が、響いた。それと同時に、ティフォンガンダムは輝きを放ったのだ。まるでアレンが以前に放った碧色の光と同じような光だった。
「ぎゃああああ!クソ……意識がぁ……!!!」
その光を浴びたニッカは頭を抱えた。そして、そのまま戦意を喪失し、ウイングイーグルへ後退していく。
結果的に、シュネルギアは新生連邦の撃退に成功した。だが、この時、アレンは頭痛を訴えており、苦しげな表情を浮かべていた。
「う……う……」
以前アレクサンドリアで氷河族に襲われた時に放った光。再び彼はそれを放った。
その現象を引き起こす事が出来る人間が、もう一人いる。それは、ジャンヌだ。彼女も以前、メイド・ヘヴンに殺されそうになった時に光を放った。
彼等に共通しているもの。それは、“アドバンスドタイプ”と呼ばれる人種であるという事だ。だがそれは何を示すのかは謎である。謎の存在、アドバンスドタイプ。その共通点の一つは、このような碧色の光を放つことが出来るという事だった。
「脅威は去りましたね。」
撤退していく新生連邦軍を見届ける、シュネルギアのブリッジ内。この時、誰もが安寧の溜息を吐いていた。出航直後を襲った悲劇ではあったが、幸いにも撃退する事には成功したのである。
「お見事でした、ジャンヌ様。」
側近のエファンが静かに、拍手をする。だが彼女はそれに対して喜ぶ様子を見せず、俯いた表情を見せた。
(しかし……何故彼等はシュネルギアの存在を把握していたのでしょう。あの艦の存在は極秘情報の筈。アレンにも伝えていない事が、伝わっているという事なのでしょうか。)
シュネルギアの存在が新生連邦に知られているという事は、内通者がいるという可能性が高いだろう。だが誰がそれに該当するのか。彼女の中では、見当が付かないのであった。
「エファン。一つ、確認したいことがあります。」
「何でしょうか。」
艦長席にて、虚ろ気な表情を浮かべているジャンヌは言う。
「もし……アステル家の中に内通者がいるとすれば、どう思われますか。」
「内通者ですか。」
聞き捨てならない……そう考えたエファンは彼女の言葉に耳を傾ける。
「シュネルギアは極秘開発されていた戦艦です。日本のこの場所をアステル家が買い取り、そこで造船作業を進めることが出来ました。」
日本は平和国の勢力が強い圏内である。新生連邦の基地はあれど、政治的な強さは平和国の方が上だ。それ故に、この地は新生連邦による介入はないものとされてきた。
故に、シュネルギアのような大型戦艦の建造が出来たのである。それはジャンヌをはじめ、アステル家の関係者と日本首相、フォン・ヤマグチや平和国の議員達が繋がっている事が何よりの証だ。
だがそれが何者かによって情報開示が成された。それ故に今回のような襲撃を受ける結果となってしまったのである。
「内通者の存在以外、考えられないのです。私は、それを悲しく思います……」
「心中、お察しいたします。」
側近であるエファンは、静かに、会釈した。
ウイングイーグルのMSデッキ内にて。アレンが放った“イズゥムルート”の光を受けたニッカは頭を抱えていた。それを覆うように、研究スタッフが彼の情報収集を行っている。
その傍らで総司令はティフォンから放たれた碧色の光について、考えていた。そこには、彼の側近であるソフィアの姿もあった。
「彼は戦時中もあの光を放った事があった。」
「光、ですか……?」
「それは何の光なのかは一切謎のまま、彼は終戦時に行方不明となった。アレン。彼の力はやはり未知数であり、その強さは秩序の安寧に繋がるものなのに……」
総司令、レヴィー・ダイルにはない、アレンの特有の力。一つ分かっている事は、それがアドバンスドタイプの力と何らかの関連があるという事だけだ。
「どういった条件であれが発動するのか。そして、何故光を放つことが出来るのか。僕には解せない事だらけだ。」
整備されているガンダムナパームを見ながら彼は静かに語り続けている。
「レヴィー様は、あの人の事を想っておられるのですね……」
ソフィアが言った。
「それに、あの艦から発された言葉に、“ジャンヌ・アステル”とあった。兵士達は皆が嘘だと憤ってはいたが、もし“アステル”の存在が動き出しているとすれば……」
ジャンヌ・アステルと言う名を聞き、誰もが世界的歌手を連想している。その名を使う時点で、偽物の存在か、挑発している存在と見做すのが一般的だろう。
しかし彼は一人、それに対して疑問を抱いていた。何故ならば、レヴィー・ダイルもデウス動乱時にジャンヌと会った事があった為である。
(もしアステルが新生連邦に仇なす存在だとするのなら……)
総司令である彼は“アステル”の名を無下にしていなかった。デウス動乱時に面識のある人間が先の戦闘のように対立するという事は、脅威以外の何者でもないのだ。それにかつての戦友であるアレンが関わってくるという事になれば、それは敵性勢力の出現を意味する。
先手は打ちたい。だが、それを裏付けるものがない。駿河湾の小島に隠されていたシュネルギアの情報源も不透明であり、総司令である彼にとっても謎が多い事が続いているのであった。
シュネルギアはそのまま新生連邦軍の追撃を避け、ユーラシア大陸を縦断するようなルートを描き、アステル家のあるローマまで戻ってきた。艦一隻を搭載することが出来る巨大なドックがある庭園に、シュネルギアは収納された。
アレンは戦闘の疲れもあってか、アステル家の屋敷の一室で宿泊をさせて貰っていた。広い屋敷内の、客室。世界的に有名なホテルの一室を遥かに凌駕する豪勢な空間。柔い感触のベッドに、窓から見える庭園の絶景。極稀に、各国の首脳や著名人、有名企業の社長等がここに泊まりに来ることがあるという。無論、それはアステル家と繋がりのある人間である。
彼はジャンヌと知人関係だ。それ故に、このような部屋に泊まる事が出来る。それも、コネクションの力と言えた。
ガチャ
アレンがくつろいでいる時にジャンヌが部屋に入って来た。普段の歌手衣装からは想像できないような軽装で過ごしている。整った胸が強調された白い、長袖のカーディガンに、大腿部が強調されている黒く、短い三分丈のパンツ。恐らく来賓に対する格好ではないと、アレンは思っていた。
「おはようございます、アレン。よく眠れましたか?」
「おはよう、ジャンヌ。ちょっと、足元が目立つんじゃないか。やっぱりはしたなく見える。」
奇麗な脚線美がアレンの視線を困惑させる。
「その言い方は良くないと思うのです……。」
「なんか、ごめん。」
アレンはそれに対し、苦笑いを浮かべた。
「それよりも、是非貴方に会って頂きたい人がいますの。是非、紹介いたしますわ。」
「紹介……?」
突然のジャンヌの言葉に驚くアレン。
「外でお待ちしています。」
そう言った後、彼女は笑みを浮かべて上品な様子で手を振り、扉を去って行く。何事か分からない様子のアレンは、首を傾げていた。
服装を整え、アレンは部屋を出る。部屋の外で待機していたジャンヌは彼の裾を持ち、急かそうと移動する。
やがて彼等は荘厳な扉の前に辿り着く。明らかに他の部屋よりも一回り大きな扉。金の彩色がされている。特別な部屋である事は一目瞭然だった――
「この中に、おられますの。」
その扉の存在から察することが出来る、中にいる人間の存在。恐らくアステル家にとって重要な人間なのだろうと、アレンは察する様子を見せていた。
ギィィィ
と、重厚な扉の音が開かれる。年季の入ったような、油が刺さっていないような扉の音ではあるが、アレンにとってはその音も、重要人物の前触れに感じられる。
扉の中に入る両者。そしてそこにいた、一人の男。整った髪に、僅かに見えるほうれい線。開かれた目つき。明らかに、普通の人間でない雰囲気を醸し出している、その男。
「お父様!」
その時だ。ジャンヌは男の元へ走り出した。そして、あろうことか男に抱きつき始めたのである。
「久しいな、ジャンヌ。」
「お久しぶりです、お父様!!」
その男は、ジャンヌの父親だった。アステル家の屋敷に全く顔を見せていなかったその男。彼女は父親であるその男を見るのが久しぶりだったのである。
「アレン、紹介いたしますわ。アステル家当主、ジンク・アステルです。私のお父様ですわ。」
ジンク・アステル。戦前よりデウス帝国に戦力を派遣してきたアステル家の当主である。地球上や宇宙問わずコネクションを持つ彼は、常に動き回る生活を送っていた。現在は軍事関係に関しては規模を縮小してはいるが、それでも知人や関係の貴族等と繋がりを持っており、それらと交流を深めている。
今回、ジャンヌがアレンに会わせたかった人間が、このジンク・アステルだったのだ。アレン自身、名前は聞いた事があった。と言っても、アステル家の当主という事程度しか情報は分からなかったのだが。
「アレン・レインドです。ジャンヌとはデウス動乱時代からの知人関係です。」
他者を容易に近づけない荘厳な雰囲気は、いくらアドバンスドタイプの力を持っているアレンとはいえ、思わず丁寧な対応をせざるを得ない程に恐縮させるのだった。
「ジンク様、ご無沙汰しております。エファン・ドゥーリアです。シュネルギアの調達、無事に終えました。」
と、ジャンヌの側に居たエファンがジンクに対して挨拶を交わした。
「お前は信用に足る男だ。よくやったよ。」
「これも、ジャンヌ様をはじめ、アステル家に協力する方々、並びにアレン・レインド様のご活躍があったからこそ成り立ったものです。私は一切、何もしておりません。」
謙遜する様子を見せる、エファン。彼も、ジンクに会うのは随分と久しぶりであったのだ。
「だがジャンヌ。シュネルギア発進の際に、新生連邦に襲われたという話を聞くが。」
その情報は既にジンクの耳に入っていた。極秘に開発されていた筈の戦艦を探知されていた事は、本来ならばあってはならない事なのである。
「その事なのですが、私にも分かりません。あまり考えたくはないのですが、内通者がいるとしか思えないのです。ですがそれに該当する人間が思い当たりませんわ……」
「そうか……だが、そうなってしまった以上は仕方がない事だ。それよりも今は、今後の事について、考えていく必要があるからな。」
ジンクは腕を組み、言った。
「その為に、彼がいます。アレン・レインド。かつてのデウス動乱で、連邦軍内では“英雄”と呼ばれた人です。彼は私達に協力をして下さる事を、決意して下さりました。」
ジャンヌは改めてアレンを紹介する。
彼自身、“英雄”と言う名の呼ばれ方に対して違和感を覚えていた。それは連邦軍の人間が勝手に呼んでいただけに過ぎない。彼自身は英雄でも何でもない。只の、人間であると思っているのだ。
「あのガンダムタイプのパイロットだったそうだな。」
それは、アステル家が回収した、クリスタルガンダムの事を指す。
「はい。」
「そして、ジャンヌと同じ力を持つ存在だ……とも聞いている。」
アドバンスドタイプの事だ。謎の多い人種であるその存在の事も、ジンクは知っていた。
「その存在は、私には理解出来ない存在ではある。だが、その力で尽力してくれるというのならば、協力は惜しまぬ予定だ。宜しく頼む。アレン・レインド。」
そう言って、あろうことかジンクの方からアレンに近付いてきた。アステル家の当主と言う立場の人間が彼に近付く。そのような事を許してよいのだろうかと、アレンは最初、困惑する。
やがてジンクはアレンに握手を求めてきた。今後、アステル家と共に協力関係を築いていく上での、握手。アレンはそれに応じ、握手を交わす。
この瞬間、改めて、アレンはアステル家の人間と共に今後行動していく事になった。彼が元々行っていたバンディットの仕事は、今後暫く休止する事になりそうであった。
「ジャンヌ。この青年はお前にはよく似合うかも知れないな。」
突然ジンクはその顔に似合わぬ笑みを浮かべて言った。ジャンヌは自然に笑っているが、アレンはこのやり取りに違和感を覚えていた。
(どういう事だ……?)
疑問を抱くアレン。それを見ていたかのように、ジンクが言った。
「ジャンヌは婚約者を戦時中に亡くしている。アレン・レインド。聞けばお前はジャンヌと同い年だと聞く。これはある意味、偶然なのかも知れんな。」
婚約者?同い年?偶然?何を示すのか。確かにジャンヌは婚約者を亡くしている。それは、アレンが倒したからである。
アーク・レヴンという名の、ジャンヌの婚約者。戦争の狂気に飲まれた優しかった筈の男。アステル家とレヴン家は仲も良好であり、結婚自体は両家の意向に寄るものではあったものの、ジャンヌはそれを拒むことは無かった。穏やかな性格のアークが好きだったのだ。
しかし彼は戦争中にアレンに倒された。それは、ジャンヌも理解している。戦争の狂気に飲まれたアークの存在を、止めたいと思っていたからだ。
「アレンとは、そのような仲ではありませんわ。お父様。」
「ほぅ、成程な。ハハハ。これは、失礼したな。」
荘厳なジンクの笑い声はどこか、妙に感じられた。アレンにとって、この一連のやり取りは違和感でしかなかったのである。
やがて部屋を出た彼等。そこから、再び部屋に戻ろうと移動している時だった――
「まぁ……ジャンヌ。」
麗しい顔立ちに、左目下部についている泣き黒子。ジャンヌと同じ、セットされた金色のロングヘアーの持ち主。気品あふれたドレスを纏っている、女性。
ジャンヌはその女性を見た時、再び笑みを浮かべて、言った。
「お母様ぁ!!!」
今度はその女性に、ジャンヌは思いきり抱きついた。
「会いたかったです……お母様!」
背丈は同程度だろうか。母と娘が並ぶ光景ではあったが、両者に違和感は全くなかった。それ程に、両者の美貌が際立っているのである。
ジャンヌにはあどけなさが残る気品がある。だが、もう一人の母親である女性には、どこか他者を引き付ける、大人としても魅力が備わっていた。
「アレン、紹介いたしますわ。私のお母様である、ターナ・アステルです。」
女性の名はターナと言った。当主、ジンクの妻にあたる人間。絶世の美女と呼ばれる存在である。
デウス動乱以前から女優業として活躍していた女性であり、その美貌は地球圏やコロニー圏の男性陣を虜にしてきた。年齢は四十五歳ではあるが、その年齢を感じさせない容姿に、アレンは驚愕している。
(ターナ・アステル……名前は聞いた事はあったけれど……まさか本物に会うなんて。)
アレンはふと、思っていた。有名な女優であり、当主、ジンクの婦人であるターナ。メディア等でその姿を見た事はあったが、実物の彼女は一言では言い表せない程に、気品に溢れていた。
「宜しくお願い致しますわね。ウフフ!」
と、言ってターナは会釈をする。それを見て、アレンも同様の対応をした。
「ジャンヌ。貴方の活躍はよく見ていますよー。この前も日本でコンサートを成功させたみたいですね!ウフフ!」
ターナの喋り方が、気品があるようで、どこか抜けているように感じる。聞いている者の緊張を和ませるような、喋り方だ。
映像作品などで見るターナ・アステルはその迫真の演技力が話題となっていた。アレン自身も子供の時に彼女が出演する映画等を見た事があり、そのギャップを感じ取っていたのである。
だが、この時アレンはターナから妙な“感覚”を感じていた。まるで、ジャンヌと同じような、感覚である。
「アレン・レインド。少しこちらにいらして下さいねぇ。ウフフ!」
「え?は、はい。」
突如、ターナに呼ばれたアレン。何事かと、疑問を抱く。
「ジャンヌ、すぐに戻りますわ、ウフフ!」
と、おっとりとした口調でジャンヌに伝えるターナ。ジャンヌは首を傾げていた。そして、アレンはターナに呼ばれる形で、とある一室に移動したのである。
とある部屋にて。ダブルベッドが置かれている、豪勢な部屋。金の装飾がされていて、整理されている部屋。アレンが一泊した部屋とは比較にならない程、広い部屋だった。
部屋に入るなり、ターナは部屋の鍵を掛け始めた。突然の事に、アレンは戸惑っている様子を見せていた。
「座って下さいねぇ。」
そう言って、ターナはテーブルに置かれているティーポットを持ち、用意されていたカップに紅茶を注ぎ始める。
「ルイボスティーはお好き?」
「え、ええ……まあ。」
アレンは茶の種類はよく分かっていない。ただ、彼女の行為を無下に出来ないと判断し、返答した。
カップがアレンの手に渡される。そして、それを静かに、口に含む。すっきりとした後味が、口腔内で広がった。
「私はこの紅茶が好きなんですの。わざわざ南アフリカから取り寄せる程に。後味が大好きでしてね。ウフフ!」
確かに、美味だ。特別妙な味はしない。しかし、何故ターナはアレンを自室に招き入れるような事をしたのだろうか。それは、分からないでいたのだ。
「戦争の英雄って呼ばれていたんですよね、貴方。ウフフ!」
彼自身、その呼ばれ方はあまり好ましく思っていない。だが今はターナの話に合わせるように、言った。
それから両者は僅かな会話をした。アレンは自身の話をターナに対して行う。戦後の事、バンディットの事等。それらの体験は、ターナの関心を引き付ける魅力があったのだ。
「貴方も大変でしたのね。ウフフ。」
「実の名前はあまり出せないんですよ。特に連邦軍に対しては。アレン・レインドの名前は知人にぐらいしか話をしていませんし。」
「知られちゃったら大変なんですね。」
「ややこしくなっちゃいますから。世間一般じゃ偽名を使わないと。」
戦後の彼の話を親身に聞く、ターナ。その優しさは、ジャンヌの面影を感じる。やはり、親子なのだな……と、アレンは感じ取っていた。それから、再びルイボスティーを飲む為に、カップを口元に運んだ――
「ああ。ちなみにそれ、毒が入っていますわよ、ウフフ!」
「!?」
突然の言葉だった。アレンの目が見開かれた。そして、思わずカップから口を離す。
「ケホッ……毒……ですって……!?」
突然の発言に驚愕するアレン。何故そのような発言をするのか。それが分からない。
「ウフフ!そう。少し、試したい事をしようと思ってましてね!ウフフ!!」
最初に会った時の印象とは違って見えた、アレン。最初はどこか抜けている人といった印象を持っていた女性であったが、今の彼女は先程と違い、恐怖に感じる。そして、彼女が発した“毒”という単語はアレンの表情を変えるのに十分だった。
「貴方は、アドバンスドタイプですね。ウフフ!」
アドバンスドタイプ。ターナはアレンを見るなり、そう言ったのだ。それはジャンヌとアレンや、その関係者でしか知らない筈の単語。ターナ自身、アレンと出会ったのは、今回が初めてであり、何故それを把握しているのかが謎である。
「何故!?どうしてそれを知っているんですか……?」
その力は、アレン自身不明な点が多い。何よりも、何故ターナがその単語を知っているのかが、妙だったのである。
「何故なんでしょうか?ウフフ!答えを言いますとね、私も貴方やジャンヌと同類だからなのですわ、ウフフ!」
「同類……ですって……!?」
突然の告白だった。それと同時に、アレンはターナと会った時に感じ取っていた感覚の正体に気付いたのであった。
「そうなんですー。私も、アドバンスドタイプなんですよ。ウフフ!不思議なものですわね。こんな所でまさか同じような人間に会えるなんて思いもしませんでしたわ、ウフフ!」
ターナがアドバンスドタイプ。その事に驚愕するアレン。
だがそれと、紅茶に毒を盛った事と何の関係があるのか。そもそも、何故“毒”を盛った事を発言するのか。その意図が全く見えてこない。
穏やかな口調とは裏腹、ターナの言葉が恐ろしく感じられる。気のせいだろうか、アレンは胃の部分がどこか、僅かな痛みを感じるような感触に陥った。毒が回ってきた?そもそも、どのような毒が回って来たのか?アレンには理解出来ない。
「もし、貴方がアドバンスドタイプだとして……ジャンヌの事は、知っているんですか……?彼女も俺……いや、僕と同じ力を持つと言っています。実際に僕は彼女の力を目の当たりにしたことがあります。」
メイド・ヘヴンが彼女を襲った時の事を、アレンは言った。ジャンヌが放った光。それは彼も同様の光を放つ。となれば、目の前に居る母親、ターナもそれを放つ事が出来る筈だ。
「ええ、知っていますよ。ウフフ!だってあの子の母親ですもの!ウフフ!」
母親だから知っている。ターナはそう言ったのだ。
「だって、あの子が小さい頃に確認した事ありますの。“光”を放つ所を。」
“光”の話をしたターナ。間違いない。彼女はアドバンスドタイプを知っている。だが妙だ。どのようにしてジャンヌがアドバンスドタイプであると、見抜いたのだろうか。
「私ね、あの子が小さい頃に実は殺しかけたことがありますの!あの子が私と同じような感覚を持っているという事がどうしても気になって!つい……その首を……ね?」
と、言いながらターナは両指関節を屈曲するような素振りを見せた。朗らかな表情とは裏腹、行動が明らかに、恐ろしい。
「絞めたって事……ですか!?」
「そう……そしたら、光ったんですの!身体が!不思議じゃありませんか!?ウフフ!」
実の親が、実の娘を手に掛ける。それは家庭の事情に寄るかも知れない。だがそれは人間である以上、禁忌である事だ。
親が子を守るのは本能である。しかし人はその本能に反した行動を起こす事がある。理由は様々だ。人以外の生物は、生物上では親が子を産んだ後、仮にハンディを負った子を、生きていけないと親が判断し、その子を食らう事があるという。
人の場合は、ハンディを負った人間でも愛情を込め、育てる。決して、見捨てることは無い。増して、食すこと等有り得ない。だが親が傲慢で親としての使命を果たさぬ存在だった場合、それはどうなるだろうか。子は犠牲者になり得る。子という、本来ならば命を挺してでも守らなければならない存在を殺める事があるのだ。それが世に言われる、虐待死等に繋がるのである。
ターナ・アステルは愛娘である筈のジャンヌに手を掛けた事があったのだ。出会ったばかりの青年にこのような事実を伝え、それでいて笑っている。アレンは目の前の絶世の美女が、恐ろしく感じられたのだ。
「それでね、私は一つ実験をしたいと思いましたの。それは毒入り紅茶を貴方に飲ませて、貴方が苦しむ時、光るんじゃないかなーって思いましたの!それがアドバンスドタイプの判別だと思うから!ウフフ!」
彼等が身体を光らせるには何らかの条件があるとされた。それは、“命の危機”である。アレンはこれまで、銃を突き付けられたり、MSで襲われそうになった時にその身体を光らせた。ジャンヌもそれは、同様だ。その時に、彼等の身体は光ったのだ。
ターナの言葉が正しいとすれば、命の危機が訪れた時に光を放つという事になる。ターナは愛娘であるジャンヌを、幼い頃に首を絞め、殺害しようとした。その際に彼女は光を放ったという。
「貴方は……!そう言う貴方はアドバンスドタイプと言い切れるんですか!こんな事をして!幼い頃のジャンヌを傷つけるなんて!」
明らかになるターナの言葉に、アレンは怒りを感じていた。
「言い切れますよ。」
スッ
そう言って、ターナはテーブルの引き出しから、ナイフを取り出した。何故そのような所にナイフが置かれているのかは謎ではあったが、ターナはあえてそれをアレンに渡し始めたのである。
「え……?」
アレンの脳内は混乱状態だ。何故、ターナがそのような真似をするのかが理解出来ないのだ。
「憎いと思いましたか?では、ナイフで私を刺して下さいねぇ。ウフフ!」
「ちょ……ちょっと待って下さい!」
何が何だか分からない。アレンは彼女の行動に対して不安を感じていた。彼女の眼は先程よりも、更に恐ろしくなっていた。
「私が憎いでしょう?そして知りたいでしょう?本当に、私がアドバンスドタイプか。もしここで私を刺せば、貴方もジャンヌも実感している、アドバンスドタイプのみに与えられた、“光”が発動する筈です。」
今度は、彼女がアレンに、自身を刺すように指示をした。まさかの状況に、アレンは困惑するばかりである。
「その光……イズゥムルートは謎に包まれております。しかし、貴方が私を刺し、その光が放たれば、私は紛れもない、アドバンスドタイプですよ、ウフフ!」
疑うのならば、実際に行動をしろと言う、ターナの言動に戸惑うアレン。明らかに異常と言える、彼女の言動。アレンはどうすれば良いか分からない。彼の手は不自然な程に震えていた。恐怖?動揺?その震えは何から来るものなのか。
「それにしても……貴方に、毒は効かないのね」
「!?」
すると、ターナは彼が持っていたナイフを奪った。困惑しているアレンをあざ笑うかのような、行為だ。
「じゃあ、せめて傷つけてあげますわ。それで首……それも、頸動脈を切れば、貴方は輝く。それはアドバンスドタイプの証……」
今度は、ターナがナイフを持ち、近づいてくる。後ろに下がるアレン。逃げようにも、後ろはドアだ。それはターナが鍵を閉めている為、開くことは無い。
いつしか、彼女はアレンの喉元にナイフを突きつけていた。元々はアレンに自身を傷つけるように渡した筈のナイフは、逆の立場になっていたのである。
危機的状況がアレンに訪れる。何故このような状況になるのか、理解が出来ない。恐ろしい状況は、終わりそうにない――
カランッ
その時、ターナは床にナイフを落とした。金属の甲高い音が部屋に響く。まるで、わざと落としたかのような感覚だった。
「え……?」
それと同時に、ターナは満面の笑みを浮かべ始めた――
「ウフフ!ごめんなさいね!実はね、貴方を試していたのです。」
「なっ……!?試していた……?」
試していた?何を言っているのか。先程までの行為は一体何を示しているのか。全く理解できない様子の、アレン。
「種明かしをしましょう、ウフフ!まず、ルイボスティーの中には毒なんて入っていませんよー!」
ターナの言葉はアレンを呆然とさせた。最初にカップの中に毒を盛ったと勘違いしていたアレン。そしてその迫真の演技は彼を追い詰めるのに十分だった。
しかし、それは嘘だというのだ。何が何だか、分からない。
「ちなみに、ジャンヌの首を絞めたのも嘘ですよ!ウフフ!」
「なっ!?」
それも嘘だった。だがそれを知った時、アレンは心の中で、何処か安心している様子だった。
「最後のナイフに関しては私の演技力の確認なんですの!ウフフ!」
結局、ターナの行動は全て“演技”であったのだ。毒を盛った話、ジャンヌを手に掛けた話、そしてナイフで彼を脅した話。全てが彼女の演技であった。
だがその演技力は迫真のものであり、アレンは本気で驚愕していた。そして、紛れもない、“怖さ”を感じていたのである。
「でも今回の演技で分かった事がありますの。アドバンスドタイプが放つ光は、毒を盛られたというプラセボでは発動しないという事が分かりましたわ。貴方のお陰で。ウフフ!」
確かに、もし本当に毒を盛っていたのならば彼は苦しむ筈だ。妙に、胃部の不快感はあったがそれも気のせいという事になる。
「意味が、分からない……」
アレンの頭の中は混乱状態だった。突然のターナによる迫真の演技はアレンを、より、疲れさせるのに十分だった。
「じゃあ……ジャンヌが光ったのはどうして確認できたんですか……」
「昔の事故……です。」
「事故?」
ターナは棚に置かれている家族写真を見ながら、言った。
「MSの製造を行っていた時、ジンクはジャンヌを連れて工場内に訪れていました。ですが、その時に予期せぬことが起きましたの。」
それは何なのか。アレンはターナの目を見て、話している。
「MSを支える鉄塔が倒れてきました。傍にいたジャンヌは間一髪助け出されましたが、その際にあの子は光を放ったのです。貴方も経験がある筈の、碧色の光、“イズゥムルート”を。」
それが、真相だった。ターナは愛娘に手を掛けてなど、いなかったのである。そして、この時にジャンヌがアドバンスドタイプであると、確信したのである。
「ちなみに、昔、私も暴漢に誘拐された事がありましたの。その際に殺されかけた時、私も……光りましたの。」
ターナの発言。その発言から、彼女もアドバンスドタイプであるという事が分かった。絶世の美女故に、男達が放って置かないのだろう。それによって彼女は昔、誘拐されたのかも知れない。
「じゃあ、やはり貴方も僕と同類という事なんですね。」
「そういう事になりますわね。ウフフ!」
ターナ・アステルが狂人でない事は分かった。彼女の迫真の演技は絶世の美女と呼ばれ、尚且つ女優業としても功績を残しているのに相応しい演技だ。それ故に、アレンは騙された。それ程に、恐ろしく、美しい演技であったのだ。
「大体、愛娘の首を絞めるなんて恐ろしい事、する訳がないですわ、ウフフ!自分で言ってて何だか嫌になりました!はああ。」
どこか、抜けているような口調のターナ。だが先程アレンに迫った彼女の表情は、紛れもなく“本物”の表情をしている。演技力の天才。それが、ターナ・アステルなのであった――
「お母様と、そのような事をしたのですね。」
ターナとのやり取りの後、屋敷のベランダに居たアレンとジャンヌ。先程あった話を娘であるジャンヌに伝えたアレンは、どこか、疲れたような表情をしていた。
「あの人は、凄い人だ。演技の為に娘の首を絞めるんだから。」
それは比喩ではない。実際にターナが言った台詞である。
「それが、ターナお母様です。あの人は常に私を空想上で苦しめるのです。」
(それ、前からだったんだ……)
ジャンヌ自身も、どうやらターナの“演技”の中で何らかの被害者の扱いを受けていた様子だった。
「そして、お母様も、アドバンスドタイプ……なのです。」
遠くに映る、庭園を見つめながらジャンヌが言った。
「ねえ、ジャンヌ。アドバンスドタイプって、何だろうな。」
ふと、アレンが言った。
「俺と、君と、お母さんと……俺が倒した、アークもそうだ。皆、アドバンスドタイプだ。共通しているのは、皆、“光”を放つという事。」
「シンギュラルタイプと呼ばれる人々とは違うというのは、分かりますが……結局何者なのでしょうね。もし、仮説を立てるとすれば、アドバンスドタイプの力は遺伝するのではないか……と、私は考えます。」
「遺伝?」
アレンはジャンヌの方を見て言った。
「お母様が力を持ち、私が力を持つ。ですがお父様からは力を感じません。もし片方の親が力を持つ存在だとするのならば、その血を引き継ぐという事になります。」
それに確証はない。ジャンヌが考えた、仮説でしかない。明確な情報がない中で、憶測でしかそれらについて語ることが出来ないのだ。
「じゃあ、俺の父さんか母さんはアドバンスドタイプの力を持っていたって事になるな。」
「貴方は存じ上げなかったのですか。」
ジャンヌが右示指を口元に運び、言った。
「知らないよ。俺だって戦争に参加した期間はそう、長くない。戦争に参加する中で、力に目覚めていったんだから。」
戦争と言う特異な環境は、人を何らかの力に目覚めさせる事があるというのだろうか。無自覚だったアレンは、デウス動乱に参加してその力を解放していったのである。
「そこには個人差があるという事なのかも、知れませんわね。」
「分からない事だらけだよ、アドバンスドタイプは。」
研究機関もままならない存在であるアドバンスドタイプ。シンギュラルタイプと違い、その存在は全くと言って良い程公にされていない。何故危機的状況で光るのか。シンギュラルタイプと同様か、それ以上の空間認識能力、高次脳機能。それらが備わっているのがアドバンスドタイプだとするのならば、彼等は何故にその力を宿す事になったのか。分からないまま、彼は悩んでいく。
「ところでアレン、ココットさんの事は大丈夫なのですか。」
その時、ジャンヌが気を遣うように言った。
「その事なら……また、彼女に会いたくなったら言うよ。今は新生連邦の事をどうにかしないと……と思っているから。」
彼の胸中は複雑だった。理想を言えば、最愛の人であるココット・メルリーゼと共に過ごしたい。だがそういう訳には行かないのが、現状だ。ジャンヌの事や、総司令、レヴィー・ダイルの事。彼は、様々な事を抱え込んでいたのである。
アステル家の人間達を知り、ジャンヌの事について改めて知る事が出来たアレンは、今後の新生連邦に対する事を、ゆっくりと、考えて行く事になるのだった。
第二十八話、投了。
前半はシュネルギアと新生連邦の戦闘、後半はアステル家当主、ジンク・アステルをはじめとしたジャンヌの家族の話。
ジャンヌの母親の怪演に翻弄される、アレン。アドバンスドタイプの力を持つとされるターナ・アステルとは一体……といったお話。