機動戦士ガンダム Living Days   作:すからぁ

54 / 125
遂に開始された新生連邦の国連軍に対する作戦、オペレーション・デモリッション・クリエイション。壮絶な戦いにセイントバードは巻き込まれてしまい――


第四十二話 オペレーション・デモリッション・クリエイション

 

 平和国連盟は揺れていた。新生連邦総司令、レヴィー・ダイルが行った、宣戦布告。それを聞いた彼等。二時間後に本部へ総攻撃を掛けるという、新生連邦軍。予想は出来ていたようで、出来ていなかった平和国連盟。その本部にて、議員達は騒然としていた。

チャール・ポレクは未曽有の事態に対し、すぐに国連軍を要請。アメリカ西海岸にその戦力を投入するよう、指示。国連軍はこれに対して要請を受け、行動を開始した。

その中に、平和国の一部代表の一人である、ザビール・エルケスが居た。反平和主義を訴える人間の一人である彼は、今、国連の水上艦に乗り込み、そこにいた艦長である、アナザ・クライアスとコンタクトを取っていた。

アナザ・クライアス。階級は中佐の佐官。白髪が目立つ、壮年の男性だ。旧地球連邦軍に所属していたが、デウス動乱終結後に彼は国連の軍人として生きることを決めた。戦後の平和維持活動に努めたかった為である。

「エルケス代表。どうなされたのですか。いきなり艦に乗られるなど。」

年下とはいえ、相手は平和国連盟の一部代表。権限は当然ながら一部代表の方が上であり、軍人である彼は決して相手を下に見るような発言はしない。

「遂に、新生連邦は動き出しましたね。こうなっては最早、平和国連盟に居る理由など、ない。兵力で劣る国連に勝ち目があるとは思えない。ならば、いっそ新生連邦に寝返るか。」

その言葉を聞き、国連の艦長は耳を疑った様子だった。平和国連盟の一部代表が寝返り、新生連邦に加入するという、あってはならない事。それを、この男、ザビール・エルケスは行おうとしていたのである。

「そ、それはどういう事でしょうか……?」

「聞こえなかったのですか?軍事力に圧倒的に優れる新生連邦に、このまま入隊し、平和国と敵対するんですよ。戦力比を見ても、国際平和連合軍では軍備で圧倒的に勝る新生連邦に勝つ事は殆ど不可能に近い。だから、寝返り、我々が平和国連盟を討つ。そうすれば我々も苦労せずに済むでしょう。長いものに巻かれろ……生き残る為の基本です。」

ポルトガルの一部代表を務めているザビール。彼が新生連邦に寝返るという事は、つまり、ポルトガルの領土は新生連邦政府に権限を与えるも同じ事となる。彼の身勝手で、そのような事が成立する事はあってはならない。しかし、この男はそれを成そうとしているのである。

「我々はそれに反対です。そのような横暴は貴方が一部代表であれ、認められない!」

兵士達は猛反対した。それも当然の事。身勝手な行為をしようとするザビールを止めるのは至極当然だ。しかし――

「お前達は所詮ただの兵士に過ぎない!その兵士が一部代表である私……いや、僕に対してそのような口を叩けるのか!?」

アナザを始め、兵士達は皆、黙った。

「所詮軍人風情に分かる話ではないよ。良いか!?平和国連盟が新生連邦に攻撃されれば負けるのはほぼ、確実!そうなったらどうする?逃げるしかないだろう!チャール・ポレクは平和主義の一点張りで敵前逃亡云々に関する事なんて何も考えていない!だからいくらでも融通は利く!寝返りなど、上等!」

最早この男の言いがかりだ。躊躇のない発言はこの場に居た皆を混乱に陥れている。

「それにクライアス中佐。元々貴方は地球連邦軍の所属の人間だったんでしょう?これは別に裏切り行為でも何でもありませんよ。元の所属に戻るだけ。違いますか?」

ザビールは、アナザに対して挑発するように言った。しかし――

「今の私は国連の士官として、ここに居ます。いくら貴方が一部代表であろうとも、安易な発言は控えて貰いたいものですな。」

そう言った後、ザビールは頭を急に抱えだした。そして、言葉を発したのである。

「もう良い!じゃあ権限を僕に与える事にしよう!この艦を指揮するのは僕だ!クライアス中佐は僕の指示に従って艦の指揮を執るように!これは絶対命令だ!!」

最早言葉が通用していない。この男、ザビール・エルケスは何を言っているのだろうか。

「滅茶苦茶だ!軍への権限がない貴方が実質的な艦の指揮をするだと!?」

アナザは激昂した。だが、その言葉に対し、ザビールはアナザに近付き――

「ふざけんな。お前は何?僕に逆らう事できるの?所詮軍人の分際でさ、偉そうに語るのやめてくれない?いくら自分が中佐だからってさ、それよりももっと偉~い、平和国の一部代表である僕に偉そうに語ってんじゃねえよ。僕がポルトガルの権限を握っているようなものなんだよ?もう少し言葉を慎めっての。つーかまじでウザいんだけど。新生連邦に寝返った方があんたも長生き出来るんだからそれで良いじゃねえか。」

まるで下品な若者が物を言うような口調で、アナザを侮辱するザビール。だが、アナザはその言葉に対しても、何も言うことが出来ない。この場において権限は一部代表であるザビールの方が上なのだ。彼の独断であれ、誰も反論は出来ないのである。

「さて、方法はただ、一つ。新生連邦が攻撃を仕掛けてくる間に一目散に相手の軍に投降。そうすれば良いのです。」

アナザは、ただ彼の無茶な提案を認めるしか出来ない。それが、悔しくてならなかったのであった。

 

 

 

 平和国連盟は国連軍をニューヨーク南沖に部隊を展開するよう指示。新生連邦に寄る総攻撃に耐えられるように、水上艦を派遣していた。その間、ニューヨーク市内は避難警報を発令し、市民に避難指示が出た。

 水上艦には国連の主力機体、ヴァントガンダムが搭載されている。その数は六機。水上艦の数は推定二百隻。それが、平和国連盟本部沖に存在している戦力である。新生連邦の侵攻に対し、これらが展開されていくのだ。

 やがて、その中に一隻の超大型戦艦の姿も存在した。国連の旗艦、アッサラーム。最高部隊と呼ばれるその部隊の指揮官を務める将軍、ウィレス・レイド・アースが、動き出したのだ。

「出撃せよ!新生連邦軍が迫るのならば、我々は迎え撃つしかない!まさかこのような全面戦争になろうとはな!」

巨艦、アッサラームが動く。全長1キロメートルのその艦は周りの水上艦と比較しても巨大であり、例えるならば鯨と魚程の差があると言えた。

 巨艦が動き出し、新生連邦を迎え撃つ。あと二時間すれば、新生連邦と国連の戦いが、始まる。その時、世界はどのように動いていくのであろうか。

 

 

 

新生連邦の配信を見ていた浜辺のメンバー。戦争が始まると言う事が、現実になった瞬間。平和がなくなると言う事を痛感した彼等は、ただ、戸惑うばかりだ。

 

ピピピッ

 

再び、エリィの腕時計に連絡があった。発信者は、ネルソンだ。

「艦長、動画は見たか。新生連邦が戦争を起こすと言う事は、暫く我々は動かない方が良いだろう。下手をすればここも戦場になる可能性がある。セイントバード内で暫く待機だな。」

「ええ、そうですね……」

セイントバードが戦闘に巻き込まれる必要は、ない。彼等は、通り過ぎる嵐をやり過ごす為に、ここ、フロリダにて待機する事を最優先事項とした。

『フロリダより通達です。避難指示が発令されました。直ちに、ビーチから離れ、安全な場所へ待機して下さい。繰り返します――』

更に、同じタイミングで放送が流れた。これを聞いた観光客は皆が避難を開始していた。

戦場になるかも知れない状況で、優雅に海水浴を楽しんでいられる訳がないのだ。

「みんな、セイントバードに帰りましょう。ここも戦場になるかも知れないから……」

メンバーの安全を最優先に考えたエリィは、一度戻る事を提案。当然、皆はこれに賛同する。束の間の休息ではあったが、戦争状態になるのならば、それは避けなければならない。

 彼女に続き、四人は艦へ戻る準備を始めた。ビーチに置いていた荷物を拾い集めていた、その時――

「待て」

と、一人の、男の声が聞こえた。その方を見ると、そこには軍服を着た男の姿が、二人居た。機関銃を構え、厳格な雰囲気を醸し出しているその兵士達。

 その軍服には見覚えがあった。新生連邦軍の軍服である。平和国連盟の領土であるこの地に、何故ここに新生連邦の兵士が居るのか?エリィは強い視線を送り、言った。

「……何か、御用でしょうか。」

「お前達、先程“セイントバード”と話していたか?」

会話を聞かれていた。恐らく彼等はスパイッシュが率いていた部隊の片割れなのだろうか。

「何かの間違いでは?」

表面上は冷静に対応するエリィ。彼女に緊張が、走る。まさか、ここに新生連邦の兵士が居るなど、思いもしなかったからだ。

「そうか。この近くに我々が追っている戦艦があってな。その艦の名がセイントバードって言うんだが、この辺りに潜んでいるって聞いてな。心当たりがあるのかを聞いていたんだよ。」

兵士の言葉に対し、エリィは言った。

「私達はご覧の通り、海水浴に来た観光客ですよ。みんな、私の親戚です。今日はみんなで集まって楽しくバカンスを楽しんでいたのだけど、新生連邦軍が戦争を起こすって動画を見たので避難をしないとって思ってた所なんです。」

「そうか。それは随分と大変だな。早く避難出来れば良いな。」

「ええ、すみませんが、これで――」

 

ジャキンッ

 

だが、一人の兵士が突如銃を構え始めた。明らかに、“何か”を察している様子の兵士。それを見たエリィは、すぐに対応した。

「何をするんですか!?民間人に銃を向けるなんて、そんな事!」

「黙れよ。お前達が只の民間人でない事は分かっている!お前の左肩の傷痕、明らかに何かに撃たれたものだな。明らかに民間人でないと見た!それに、そんな人間が白昼堂々と、そんなグラビアアイドルみたいな卑猥な格好なんてするかよ。」

「ひ、卑猥って……」

マサアキに撃たれた傷痕が仇となってしまった。兵士は洞察力に優れている。彼等の事を観察した上で、接触してきたのだ。

「それにさ……」

その後、兵士はレイの方向を見た。金色の髪の美少年。彼の顔に見覚えがある様子の、兵士。

「“噂のパイロット”に似ているんだよ。あのガキがね。」

「……!」

新生連邦軍が今、戦力増強の要因として欲している人間、レイ。最悪な事に、彼等はその顔を知っている。彼等の目的は、二つあった。一つはセイントバードの場所を知る事。もう一つは、レイの場所を探る事。

 緊迫した状況が続く。下手をすれば兵士に撃たれかねない。戦争が始まるという状況で、予想外のトラブルに見舞われた、彼等。

「さっきも言ったけれど、この子達は私の親戚です。いい加減にして下さい!」

「ああ、そうかい。そうやってシラを切るんだねぇ。」

 

ダダダダダダダッ

 

兵士が突如機関銃を放った。銃火器類の使用は本来、市街地、観光地といった箇所では認められない。しかしこれは、彼等が新生連邦の軍人であると言う特権を利用した上での行為だ。

 幸い、銃弾は誰にも当たっていない。あくまでも、威嚇射撃だ。普通、このような穏やかなビーチで銃声があれば誰かが気付くだろう。しかし、今、この場は彼等しか居なかったのである。これが、運が悪い状況と、言えた。

「分かってるんだぜ?そこの金髪のガキがレイ・キレスっていうのも、お前達がセイントバードのメンバーだっていうのも!情報は全て伝わっているんだよ!逃げられると思わない事だな!そして、次は当てるぞ!」

明らかな脅しだ。突如訪れた危機に、彼等はどう、対処するべきかを考える。中でも艦長であるエリィは、一刻も早くこの場を立ち去りたいと言う思いで必死だった。

「くぅっ……!」

エリィの額から汗が流れる。暑さによる汗ではない、緊張に対する汗だ。

 だが、兵士達も汗を流していた。この暑さの中で、様々な武器を入れている軍服を着用しているのだ。当然と言えば、当然である。

「分かったのならそのガキをこちらに差し出すんだな!そうしたらこの場ではお前達の命を奪う事はしない!せっかくのバカンスで血まみれになりたくはないだろうからな!」

銃を構える兵士。この緊迫した状況を切り抜ける方法は、ないのだろうかと考える、エリィ。 

 クルーの皆は動けない。下手な事をすれば撃たれるからだ。

「しかし、暑いな。お前らの格好が羨ましい程にな――」

 

サッ

 

兵士が挑発するような言葉を発した時だった。

一瞬の隙を突いた、ガーストが動き出した。彼は砂浜の上を素早く移動し、もう一人の兵士に銃の射程が入る位置に立った。その際、兵士からアーミーナイフを奪い、首元にナイフを突きつける事に成功したのである。

「なっ!?」

驚愕する兵士。それに対し、ガーストが言った。

「このクソ暑い中そんな重装備、ご苦労な事だな。お察しの通り。俺等が只の民間人だと思ったら大間違いなんだよ。」

ガーストは元デウス帝国の軍人だ。それ故に、身体能力は高い。訓練も受けてきている彼だからこそ、このような行動を取る事が出来たのである。

 彼は、兵士が掻いた汗が滴るのを見た一瞬の隙を突き、行動したのである。彼の洞察力がなければこの場を切り抜けられなかった可能性が、高い。

「お前の銃を降ろせ。それと、もう一人もな。」

ガーストの脅迫に屈した兵士はやむを得なく、銃を下ろす。

 

ジャキンッ

 

それを、エリィは見逃す事なく、機関銃を拾い、兵士に向けた。これにより、兵士は完全に身動きを取れなくなったのである。

「ガースト君、ありがとう。みんな、先に行って。彼等を放っておく訳にはいかないから……」

エリィが言うように、レイ、スバキ、プレーンの三人は逃げ出す事に成功した。この場には、ガーストとエリィの二名が残される事になる。

 エリィが機関銃を構え、もう一人の兵士を脅している間、ガーストはナイフで脅している兵士の身包みを剥ぎ始める。そこにあったのは多くの武器。これらがセイントバードに向けられる事は、危険だ。

 やがて兵士達は下着姿のみになった。こうなってしまっては何も出来ない。武器や服装は全てガーストとエリィが押収し、その上で、軍服に入っていた縄を使い、両手と両足を縛った。状況は逆転。何も出来なくなった兵士はただ、されるがままである。

「俺達がこんな事になったとしてももう遅い!セイントバードの場所はもう、判明している!いつでもお前等を攻撃出来るんだからな!」

負け惜しみのように言う、兵士。それに対し、エリィが言った。

「なら、急がないと……ね。」

ガーストとエリィは兵士に視線を合わせながら、静かに後ろに去っていく。やがて兵士との距離が離れた所で、彼等はセイントバードに戻って行ったのだった。

 

 

エリィは急いでセイントバードに戻ってきた。平穏な海水浴は一転、危機的状況が彼等を襲おうとしていたのである。

 彼女が真っ先に向かったのは艦長室だ。水着姿のまま、エリィは部屋に入る。そこにはスラッグ、インクの外にネルソンが居た。

「艦長!?随分と遅かったな。」

疑問を抱くネルソンに対し、エリィが言った。

「大尉、すぐにセイントバードを発進させます。新生連邦にここの場所がばれています。」

「何!?そうなのか?」

「ええ、さっき兵士に遭遇して、そう言われました。ここに居ては危険です。」

艦長の指示とあれば、従わないわけには行かないと考えるが普通だが、問題があった。

 二時間後に行われる新生連邦の総攻撃。それがニューヨーク沖で行われるという事。万が一今発進させて、戦闘に巻き込まれる事になれば命の保証は、ないと言える。たった一隻の戦艦が艦隊相手に勝てる筈がないのだ。

「完全に、連中に踊らされているという訳か。しかし艦長。ここを発進したとして、どこへ向かう?少なくとも大西洋は危険しかないぞ。戦闘範囲がどこに及ぶか分からない。もう少し待つ事は出来ないか?」

「恐らく、数時間以内にはここに新生連邦が来る可能性も考えられます。今は大西洋方面ではなく、南米方向へ行く事を提案します。」

最悪のタイミングでの出航。それは、彼等としても避けたい事。しかし新生連邦がここに来るという事は、犠牲者を出す可能性も考えられる。そうならない為には、逃げるしかない。

 ネルソンは一度迷ったが、状況が、状況であるのならば仕方がない。セイントバードの発進を、受け入れる必要があるのだ。それも、艦長であるエリィの提案ならば尚の事だ。

「うむ……ならば、そうせざるを得ないだろう。南米方向が安全と言う保障はないが、退避するのならば有りかも知れん。ただ……」

「ただ?」

ネルソンは、明らかに目線を泳がせている。それは、彼女の恰好が関係していたのだった。

「艦長、せめて何か身に纏ってくれ。ここはミスコンの会場ではないのだよ。」

「え?はっ!?私ってば!すみません、大尉!」

ネルソンは呆れた様子で言った。緊急を要すとは言え、黒いビキニ姿で艦長室に現れたエリィ。今の状況と明らかに、合っていない恰好に、この場に居た皆が、実は驚愕していたのである。

「えっと、とにかくセイントバード発進準備!ちょっと部屋に戻ってきます!大尉、私が戻ったらMSデッキに行けますか?どうなるか分かりませんし、ハルッグに待機して貰えれば!」

「ああ、そのつもりだ。」

と、慌ててエリィは自室へ戻って行った。その様子を見たインクとスラッグは、どこか、呆れている様子だった。

「やっぱり艦長、相変わらずどこか抜けてるよね……」

「性格が天然であの抜群のスタイルはまあ、確かに男が寄ってくるのは間違いないんだけどなぁ。狙っているのかどうかが怪しいレベルだけど……」

「そんな事を言っている場合か。スラッグ、発進準備を急げ。」

「りょ、了解!」

この場に居ないエリィの代わりに、ネルソンが簡単な指揮をした。エリィがレイの家庭教師をしている間の半年間、艦長代理をしていた名残がここに残っていたのであった。

 

 

 少しの時間を経て、エリィが艦長室に戻って来る。だが、彼女は何故か青いラッシュガードのみを羽織って戻ってきており、その大腿部から下の脚線美は丸見えの状態だったのだ。それを見て、ネルソンは頭を抱えた様子で言った。

「艦長、何故ズボンを着ないのだ?」

「時間がないと思いまして。とにかく、大尉、すみませんけどハルッグに待機お願いします!」

「はぁ……」

やはり、エリィはどこか抜けていると感じたネルソンは、渋々MSデッキへ向かって行く。緊急を要する状況での、エリィの格好は明らかに緊迫する状況とはかけ離れており、これに対してインクも、スラッグも内心呆れていたのだ。

「これじゃグラドルが艦を指揮してるようなもんじゃねえか……」

「し、声がでかい!」

ひそひそと、会話をする二人。それを見たエリィは、艦長席に座り、言った。

「言っておきますけど二人共、私、グラビアアイドルじゃありませんからね。」

「え?何言ってんすか、艦長?」

「別に……セイントバード、発進!」

言葉に困る恰好をしているエリィが指揮するセイントバードが、動きだす。敵がどこに潜んでいるのか分からない状況である為、彼女が急ぐ気持ちは分かるのだが、ブリッジメンバーはどこか、目のやり場に困っている様子だった。

 そして、エリィは新生連邦の兵士に言われた言葉を酷く、気にしている様子だったのである。

 

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオ

 

エンジンの轟音を鳴らし、セイントバードが飛翔する。この場に長く戻るには危険な状況であり、今は安全地帯へ避難する為に、南米方面へ向かうのだが――

「艦長!熱源多数確認!戦艦クラス二十隻!内水上艦十!空中戦艦十!」

「発進した所を狙われた!?完全に泳がされてたって訳ね……」

早速危機的状況に陥ったセイントバード。南下する方向に出現した新生連邦の艦隊が、セイントバードを待ち受けるのである。更に悪い事に、新生連邦はMS部隊を展開。マドラ級からジョゼフ部隊が展開された。前衛部隊だろうか、機数は十。艦の数と比較しても、少ない。

「敵MS部隊展開!」

「敵がやる気なら、こちらも迎撃しないと……!」

エリィの眼が見開かれた。例え敵が新生連邦であれ、自分達の行く手を阻むのならばそれを迎え撃つ。自分達が助かる為に。

「各機、発進!状況を見て、突破口を見出します!絶対に撃墜されないように!」

抽象的な指示ではあったが、今はそれに従うしかない。敵の戦力は想像に難い。ただ一つ言える事は、敵の戦力はセイントバード一隻で対処できる戦力ではないという事だ。

 

「ハルッグ、出るぞ。」

最初に、MA形態のハルッグが出撃。バーニアを展開し、迎撃に向かう。

「エスディア、行きます!」

次にガースト機が出撃。SFSであるゾーリド・カスタムに搭乗し、出撃。起動の際、モノアイが輝いた。

「アインスガンダム、行くぞ!」

その次にスバキの駆るアインスが出撃。空戦仕様で出撃した。この際、レイは自分以外の人間が初めてアインスを動かしているのを確認した。

「よし、ツヴァイガンダム、行きます!!」

 

キシィン

 

その後もトルクス数機が出撃をする中で、レイの新たなる愛機、ツヴァイガンダムがカタパルトから発進した。サイコミュ兵器、ブリッツファンネルを装備していない状態で。

 

 

 

戦闘が始まった。ジョゼフの部隊はビームライフルを両手に構え、ビーム粒子を放つ。これらを回避しつつ、ハルッグやエスディアはビーム砲撃を行い、迎撃する。フロリダ沖上空での戦闘。ビームが飛び交う状況で、命のやり取りが行われている。

その際、一機のジョゼフがツヴァイにビームライフルを撃った。だが、ツヴァイはシールドでこれを防ぎ、反撃にビームライフルを放つ。高出力のそれは、掠れただけでジョゼフのCメタルを抉る破壊力があったのだ。

「なんだ……?あのMSは……化物かァァ!?」

兵士は断末魔を上げた。他の兵士もビームライフルをツヴァイに放つのだが、その兵装を理解していたレイは、ツヴァイの前腕部を差し出し、バリアーフィールドを展開する。

 

バイイイイイン

 

ビーム粒子は弾かれ、形状を消した。それが出来ないならばと白兵戦を試みるジョゼフだが、ツヴァイの所持するメガビームセイバーは、並みのビームサーベルを遥かに凌駕しており、その破壊力を見せつけたのだ。

 ビームセイバーはジョゼフを一撃で貫き、破壊する。他にも、ハンドグレネードを展開するジョゼフも居たが、これらもマシンキャノンによって迎撃する。レイは、完全に戦闘の“勘”を取り戻していた。他のメンバーの足を引っ張るどころか、寧ろ率先して敵を撃退していく。

「これなら、あの兵器が無くったってやれる!」

意気込むレイ。だが――

 

ビゴォン

 

今度は、別の機体がレイに迫った。MA形態のエグゼマーが、ツヴァイの至近距離に迫ってきた。機体の数は三機。一斉にミサイルを至近距離で放ってきたのである。

「ああっ!?」

油断した――と、レイは思った。実弾兵器は至近距離で放たれては防ぐ手段が少ない。機体の装甲に頼らざるを得ない。危機が、レイに迫った。

「レイ!!」

が、一筋の光がミサイルを撃墜した。彼を叫ぶ高い声の主は、スバキであった。アインスガンダムがビームライフルを放ち、敵の砲撃から守ったのである。

「スバキ!ごめん!」

「そいつは確かに強いかも知れないけどな、お前だけが戦場に居るんじゃないんだよ!」

「うん、ありがとう!」

「じゃあ、また後でな!」

と言って、回線は切れた。この時のアインスガンダムの動きを見て、スバキは完全に機体を乗りこなしていると、レイは感じていたのだ。

 

 

 

ガースト達はレイとスバキ達とは違う場所で、新生連邦軍と交戦している。次々と現れるジョゼフ。数が多い為、これらの対処をするのに精一杯の状況。まともに戦っていては、埒が空かない。

ネルソンのハルッグは新生連邦の機体と比較して、総合的にスペックが劣る。以前まで対応していた、MS乗り相手ならば引けは取らなかったものの、やはり正規軍のMSの方が性能が高く、不足している分は、彼の技量で補っている状態だったのだ。

「ガースト、無理はするなよ。あくまでも迎撃だ。活路が見出す事が出来れば撤退する。我々の機体は旧式をベースにしている機体だ。故に、技量で補うしかない。」

「自信過剰に戦う気はないですよ。にしてもこの数はここに入って初めてですね。」

「連中、本気でセイントバードを捕える気だな……」

「レヴィー・ダイルが言ってた作戦の為ですか?」

「それ以外にあるか?戦力増強の為に、なりふりを構ってられんという事だ。出来るだけの事はしていかなければ。」

「俺達は新生連邦に従う気はないですよ。負ける気も、ありませんしね!」

エスディアはビームバズーカを展開し、放つ。高出力の兵器は機体を貫通する破壊力があるのだが、ジョゼフの機動性は高く、避けられる。これに対してハルッグはMSに変形し、ロングビームライフルを放った。両手部で構え、モノアイを輝かせ、放つ。

 

バシュゥゥゥゥゥ

 

ライフルは直撃。ジョゼフのコクピットを撃ち抜いた。一撃で破壊されたジョゼフを見て、別の機体が二機に迫ってきた。近接戦闘を試みるジョゼフに対し、エスディアはビーム機関砲で迎撃する。貫通力に優れないこの兵器では機体を破壊する事は難しかったが、牽制することは出来る。

 やがて接近戦になった時、ビームサーベルを腰部から展開し、ジョゼフの胴体を切り裂く。これにより、ジョゼフが撃墜。確実に、一機ずつ破壊に成功している彼等。

「駄目だな、敵の数が多すぎる……艦長に提案するしかない。このままの正面突破では我々がやられるのが目に見えている!」

「確かに……」

敵は破壊する事が出来ても、問題がある。数が多いという事だ。チームのメンバーが優れていても、新生連邦の戦力の多さは従来のMS乗りの比にならないのだ。

「艦長、聞こえるか!このままの正面突破は無理だ!危険が伴うが大西洋方面に行くしかない!」

ネルソンが、エリィに伝えた。それを受けたエリィが、答える。

「了解です、このまま集中砲火を浴びるよりは、その提案に乗ります!」

「頼む。」

ネルソンの提案は通った。セイントバードは南米方向から旋回していき、その角度を東側へ向けて行く。だが、その方向は新生連邦の艦隊が待ち受けているかもしれないという、状況。そちらの方が、危険が伴う可能性も、高いのである。だが、強行突破をする事が危険である事を考慮すれば、一度進路を変えて行く方が良いのだ。

 

 

 

だが、進路を変更した先にはセイントバードと同型艦であるウイングイーグルが存在していた。

 セイントバードと別の新生連邦艦隊の交戦のデータを目撃した、艦長のダリア。国連に攻める前に、その忌むべき艦を見た為、彼等の注目の対象が、変わってしまったのであった。

「総司令、あれは……」

「セイントバード、ですか。まさかこれから、平和国へ戦闘を仕掛けようというタイミングで遭遇するとは思いませんでした。良いでしょう、牽制を仕掛けます。」

「宜しいのですか。」

「ええ、“あの三機”を出撃させて下さい。あの戦艦と交戦するのは地中海の時以来ですね。」

この場で、因縁とも呼べる敵戦艦と遭遇する事になったセイントバード。総司令、レヴィー・ダイルは目を光らせ、モニターに映るエメラルドグリーンの聖鳥を見ながら、言った。

「ん……?あれは。」

セイントバードの側に居た、ある一機のMSをみて関心を抱く総司令。モニターを拡大させ、着目する。

「あれは……ガンダムタイプですか。」

側に居たダリアがモニターに映る機体を見て判断する。白系統のカラーリングをした、ガンダムタイプ。それには見覚えがあった。

 スパイッシュがセイントバードを連行しようとした際に失敗した原因ともいえるガンダム、ツヴァイ。その詳細を知らなかった彼等は、ここに来てそれらと接触しようとしていたのであった。

「三機が出撃した後、私も出撃します。あの機体には見覚えがあります。ローゼント中佐、指揮は任せます。」

そう言った後に総司令は、ブリッジを後にした。彼は自身の機体であるガンダムナパームに、乗り込む気でいたのである。ダリアは敬礼してから見送り、引き続き、艦長席に座って様子を見ていたのであった。

 

 

ウイングイーグルのMSデッキ内にて。そこにあった、三機のガンダムタイプはカメラアイを輝かせ、カタパルトから一斉に出撃する。デスペナルティ、アトミック、バイラヴァーの三機が、それぞれの武器を持ち、海上を飛び立ったのであった。

「随分前の戦艦じゃねぇかぁ!!ひっさしぶりだなぁー!ひゃっほぉぉ!」

気分を高揚させる、ニッカ。この様子から、戦闘は久し振りであるのかも知れない。

「各機散開。あの中に、噂の、白い奴が居るって話だ。」

「へぇ!?強い奴なら相手になるってーの!!!」

シエル、ハーディの二人がそれぞれ会話をした後、カメラアイを輝かせて空中を舞う。アトミックはMAに変形し、モノアイのカメラアイを搭載しているヘルメットを装着し、セイントバードへ向かって行く。

 

 

 

迫る新生連邦。セイントバードの前を飛んでいたツヴァイ。レイはこの時、接近する機影の存在を確認していた。

「これ……あのガンダム達だ……!」

それと同時に、レイの頭の中に電流が走った。ツヴァイに向けて迫る、三機のガンダムタイプ。鎌を持ったガンダム、ビームランチャーを装備しているガンダム、トリシューラランサーを持っているガンダム。

「オラオラァ!先手必勝だぜ白いガンダム!!」

三機のガンダムが、同時に迫る。デスペナルティは背中のビーム砲を放出。それに続くように、アトミックがビームランチャー、バイラヴァーが槍からビームを放出した。

 過激な発言とは裏腹、いずれの射撃も、正確な砲撃だ。回避し切れないと判断したレイは、左前腕部を差し出し、バリアーフィールドの展開を行う。

「何だとぉ!?」

ビームがかき消され、ハーディは目を疑った様子だった。ビームが通用しないという体験は、今まで経験をした事がなかったが故に、驚愕しているのだ。

「てめぇ、ふざけんじゃねぇ!」

今度はデスペナルティが直接、鎌を振るう。二重の刃で出来たその凶器が縦に振られる。それに反応したレイはすぐに機体を後方へ移動させた。

「こっちも居るんだよ。」

更に、バイラヴァーがビームライフルと、槍の先端からビームを、放つ。それも、ツヴァイの後方から。シエルは前腕部にバリアーフィールドジェネレーターがある事を、見抜いたのである。

「くぅぅ!」

ツヴァイガンダムは強力な機体ではあるが、ガンダムタイプ三機を相手にするのは苦戦している。

 多方から放たれるビームに、時折迫る近接兵器。これらを見分けながら、攻撃をしていかなければならない、ツヴァイ。

「これで!」

レイは前方のモニターにタッチした。すると、両肩部の隙間からビーム砲が展開された。エネルギーが溜められ、やがて、拡散ビームが放たれたのだ。

 一つ、一つの火力は少ないが、それらが無数に飛び交う為、まとめてビームのシャワーを浴びれば大ダメージは避けられない。三機のガンダムのCメタル装甲は粒子を浴び、僅かなダメージを受けていた。装甲が熱で僅かに溶けたのを、確認したのである。

「ちっ!馬鹿にしゃがって!!」

この攻撃に怒ったのが、ハーディである。普段は行わないであろう武装であるビームサーベルを展開し、後方から接近を試みた。

「後ろから来る!?」

それに反応したレイは、側腰部のビームセイバーラックを展開し、アトミックのビーム刃と斬り合った。粒子同士のスパークが散る、海上での戦闘。ビームセイバーの方が出力は上であり、アトミックは少しずつではあるが、押されていく。

「三機が相手なんだよ、白いガンダム!」

今度はバイラヴァーが迫ってきた。槍と同時にバックパックのマニピュレーターを二基展開し、ビームサーベルを抜く。

 アトミックとの打ち合いをしている最中の挟撃はレイにとって不利だ。接近するビーム刃と槍を避ける方法を探さなければならなかった。

「当てる!」

咄嗟に思いついたのが、バスタービームライフルによる射撃だ。バイラヴァーに対して放たれたビームの破壊力は機体を掠めるのに十分な火力を見せる。これにより、バイラヴァーを僅かながら後退させる事に成功。それを見計らい、ツヴァイは一度アトミックとの斬り合いを止め、上空に移動した。

 

 

 

 国連と新生連邦の戦いの火蓋が上がった。互いの戦力がぶつかり合う状況。新生連邦は空中戦艦、マドラ級から次々とMSを展開する。ジョゼフ、エグゼマーを中心とした飛行部隊。そして、水上艦からはディープシーの海中部隊が。ディースとは単独飛行が不可能な為、SFSによる補助が必要となる。新生連邦軍のあらゆるMSが、国連に向けて牙を剥くのだ。

「アット小隊出撃。その三秒後にミィーラ小隊出撃。」

「ティモシー小隊出撃。敵部隊の殲滅を図れ。」

対する国連軍も迎撃する為に、機体を展開する。ただし、国連軍の主力MSはヴァントガンダムを中心としたMSばかりである。元々地球連邦軍のファースト・ガンダムをモチーフにしているこれらの機体を見て、不快感を示す新生連邦のパイロットは、多い。

「似非ガンダム軍団が!!」

互いの戦力のビーム粒子が飛び交う。ビームライフルによる砲撃は一つずつ、命を奪っていくのだ。

「ミサイル用意!てぇ!!」

「やらせるな!迎撃用意!奴等の好きにさせるな!」

「戦力増強ばかりして!調子に乗るなよ新生連邦め!!」

「駄目だ、戦力が違いすぎる……!」

抗う者、諦める者、絶望する者、意地を張る者。多くの人間がいる戦場で、互いの兵器が撃たれる。戦後になって初めてとも言える本格的な戦争。それが、よりにもよって新生連邦と、国連という、地球上の組織同士が争うという愚業。何故、このような事が平然と行われるのだろうか。

 それが、人なのかも知れない。人であるが故に、同じ人種でも争うのだ。宇宙にまで生活範囲を広げた人類は、結局同じ環境の人間とでも争い、戦争を起こす。なんと、愚かな光景であろうか……

 

 

 

スバキ達も奮戦していた。ビームライフルを撃ち、迫る敵を迎撃する。だが、敵の数は多い。油断をすれば機体へのダメージは免れない。

セイントバードが狙い撃ちにされる状況で、トルクスやハルッグ、エスディアが敵機体から守っている。ライフルを放つ者、サーベルで迫る者、それらに対処する者。

 しかしいつまでも同じ状況が続くとは言えない。本格的に新生連邦は国連へ攻撃を開始している。そして、セインドバードは最悪な事に、その戦場の真っ只中に突入しようとしていたのである。

 そうなれば、敵の数が増えるのは確実だ。セイントバードに群がる無数のジョゼフやディーストは、確実にビームライフルで艦を攻撃していく。

「こいつらぁぁ!!」

スバキはアインスの武装を駆使し、これらに、砲撃をする。右肩部のビームキャノンを展開し、発射。一度に三機が撃墜された。

 だが敵の全体の数からすれば、それはごく僅かな数に過ぎない。安全な航路を取る筈が、寧ろ危険な航路をとってしまう事になったのである。

 そして、その間にもトルクスが犠牲になる。レイがモントリオールに居ている間に、十機が配備されていたトルクスの内、既に三機が新生連邦によって倒されているのだ。いずれもが、ジョゼフのビームライフルの集中砲火を浴びた結果である。皆、セインドバードを守る為に殺されたのだ。

「くっそおおお!!」

これを見て更に激昂したスバキはビームキャノンを再び発射。新生連邦のMS部隊に当て、撃墜していく。

 

 

 

「別働隊接近!国連のMS、こちらに向かっています!」

セイントバード内でインクが言った。新生連邦との交戦で苦労している状況で、更に悪い事に、国連の機体が迫ってきているというのだ。これ以上疲弊する事があるのは危険である。エリィは、咄嗟に判断した。

「全機へ!国連から離れるように!国連まで敵に回したら本当に大変な事になってしまうわ!」

セイントバードのパイロット達に対して通達したエリィだが、ネルソンがそれに対して聞いてきた。

「どうやってそれを伝える!?艦長が直接コンタクトをとるしかない!我々では無理だ!セイントバード自体が新生連邦の戦艦と同型艦なのに、個人に説得は無理だ!」

「なら、その通りにするしかないです!」

「艦長、何を!?」

ネルソンの疑問に対して、エリィは国連の戦艦に対し、回線を繋げるようにインクに指示をした。それを聞き、インクは回線を国連の水上艦に向け、繋げるのである。

「こちらはセイントバード、我々は国連軍に対して攻撃の意思はありません!繰り返します!こちらはセイントバード――」

水上艦に連絡を取る、エリィ。だが国連の戦艦は攻撃の手を緩める気は、なさそうだった。

 戦闘中は混乱状態と同じだ。途中で茶々を入れられたところで、それを止めない。どちらかが倒れるまで、ただ、戦うだけ。国連は軍だ。軍は、上層部の命令に従うしかないのだ。

「駄目です!応答なし!」

「信じて貰えないって事……!?全機体に通達します!こちらから国連に攻撃を仕掛けないようにして下さい!機体の判別で分かる筈です!」

最悪の状況だった。国連はセイントバードに対して攻撃の手を緩める事はなかった。躊躇なく、新生連邦軍の戦艦と見做し、攻撃をしてくるのである。これが同型艦であるが故の不幸だったのである。

 

 

 

同じ頃、レイは三機と交戦していた。ビームが迫ればバリアーフィールドジェネレーターを展開。それによって敵ガンダムからの攻撃を防ぐ。

「なんで……なんで効かねえんだよ!?」

怒りながらビーム砲撃を続けるデスペナルティ。そして同様にビームランチャーや無数の兵器を撃つハーディ。しかし、ツヴァイはバリアーフィールドジェネレーターでそれらを全て打ち消した。

 

ピピピピピッ

 

「別の機体!?数は五!?」

その時、三時方向から五機のエグゼマーが出現した。三機のガンダムタイプと交戦している最中の、アクシデントである。

レイはそちらの方向に着目してしまった。自分に迫ってくるエグゼマー。それらを見て、彼は先にこれらを倒す為に行動に出た。放置すれば自分がダメージを受けると、判断した為である。

「これを使うしか……!」

レイは迷わず、スイッチを押した。それと同時に、ツヴァイのバックパックに搭載されている巨大な砲身、二門が展開し、そして砲門が開かれた。

収束型ブラスタープラズマカノン。以前にセインドバードを守る為に、実弾兵器に対して放った強力な兵器。直線上の敵勢力の殲滅を図る為の兵器を用い、エネルギーを溜めていく――

 

ドバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 

 

この一撃に乗り、迫って来た数機のエグゼマーは全て壊滅した。圧倒的な力を持つそれを使用したレイ。彼はツヴァイの凄さを改めて実感していた。

 だが、この砲撃で消滅したのは新生連邦の機体だけでなかった。国連のヴァントガンダムも二機、巻き込まれてしまったのである。

「凄い……一瞬で……」

この砲撃を見た三機のガンダムのパイロット達は、驚愕していた。呆然とそれを見た中で、その中で、シエルがハーディに命令を下した。

「ハーディ。核を国連に向けて放つようにしろ。コイツの相手は三機まとめてやるのは危険と見た。」

「あぁ?チッ、こう言う野郎相手にするからこそ、闘志が燃えるけどなぁ!?気に食わねぇがしゃあねぇ。ここは任せるぜぇ?」

咄嗟の判断。シエルの言う事を聞いたハーディが、アトミックを変形させ、そのままその場から離れたのである。

 それを見送った後、バイラヴァーがレイに迫り来る。脅威の兵器を宿したツヴァイを、放って置けないと判断した為だ。

 だが、先程放った一撃が更なる混乱を招く事になった。ヴァントガンダムが巻き込まれた事を受け、ツヴァイを敵機体と認識した国連が、迫ってくるようになってしまったのである。

つまり、レイは先の一撃により、戦場を混乱させてしまったのだ。しかし、先程の破壊兵器を使用し、ただ、必死になっていた彼はそれに気付いていなかった。

その際に、ネルソンから回線が入った。それに反応する、レイ。

「レイ、余り暴れるな!艦長の言葉が聞こえなかったか!?今の一撃で君は国連の機体を巻き込んだんだぞ!?」

「え……そんな!?」

この言葉で、レイは自らの過ちに気付くレイ。彼は困惑した様子を見せた。

「その機体は強力過ぎる!下手をすれば我々が更に巻き込まれるぞ!只でさえ新生連邦に囲まれている状況なのに、これ以上敵を作るのは許されない!」

では、どうすれば良いのか。敵の数は増えるばかりだ。何らかの形で対処をしなければ、ならない。こうしている間にも、敵は迫ってくる。レイは、戦うしかないのだ。自らの力を用いて、敵機体を、確実に。

「でも……!このままじゃ僕達がやられちゃいます!」

「冷静に状況を見るんだ!一度距離を置け!国連を敵に回すのは危険すぎる!!」

「……ごめんなさい!今は、それどころじゃ……!」

敵が迫る中、そこまで配慮している余裕は、レイには無かった。ネルソンからの回線を切り、やがて、そのままレイは交戦を続ける。

 迫り来るガンダムタイプ、デスペナルティに、バイラヴァー。ツヴァイはバスタービームライフルを、バイラヴァーに向けて放った。しかしバイラヴァーはこれを回避する。

「調子に乗って!」

槍を振るい、ツヴァイを狙った。槍の先端がツヴァイの左肩部に直撃し、ダメージを受けた。

「うぅぅ!」

機体は揺れる。しかし、傷は殆どついていない。ビーム粒子を纏っている筈の槍でも、傷は浅かったのだ。

「ちぃっ、なんて装甲なんだよ……」

シエルが舌打ちを打ち、ツヴァイを睨んだ時だった――

 

キシィン

 

バイラヴァーを避け、ツヴァイの前に、ある一機の機体が出現した。ガンダムナパーム。総司令、レヴィー・ダイルの専用MS。この機体が、自ら勝負を挑んで来たのである。ツヴァイの存在を知っていた総司令は、その活躍を見て、どのように戦うのかを確認する為、動き出したのだ。

パイロットであるレヴィー・ダイルはシンギュラルタイプである。それ故に、同じく力を持つ人種である、レイの存在を感知出来た。

「そのガンダムのパイロット……間違いない、あの時の少年ですね。」

まるで脳内に直接声を掛けられたような感覚に陥ったレイ。それを、今、目の前にいるガンダムナパームから感じ取っているのである。

「この感じは……?」

互いの力を持つ感覚が、彼等を引き合わせた。以前に地中海で遭遇した事のある、彼等。

レイは驚いていた。まさか、この場で新生連邦の総司令に会うことになるとは思っていなかった為である。総司令から感じるプレッシャーを受け、彼に緊張が走った。

「そのガンダムタイプは、我々が開発していた最新機体の発展型にする為のデータが流用されている筈。アステル家がそれを奪い、まさか貴方がそれに乗るとは。」

「どう言う事ですか……!?」

何を言っているのかが分からない。ツヴァイはジャンヌに託された機体であり、その詳細を、何故新生連邦が知っているのか。

「そのままの意味ですよ。レイ・キレス。」

新生連邦の総司令に、名を呼ばれたレイ。この事から、彼の名が組織の中で知られてしまっている事になる。

直接名を確認していないのに、相手から感じる“感覚”で名を当てた総司令。彼のシンギュラルタイプの感覚は、そこまで見通せるのだ。

「それよりも、何故その機体に貴方が乗っているのですか。」

睨むように、ナパームのカメラアイがツヴァイを見ている。

「そんなの、関係ないですよ!」

「関係ないとは言わせませんよ。その機体に関わっているのはジャンヌ・アステルという事も私は知っているのだから!!」

何故、総司令がツヴァイの事を知っているのかは不明だが、今は戦場だ。聞きたい事はあったが、いまはそれどころではない。ましてや、敵が新生連邦の総司令というのならば尚の事だ。

「その機体があれば“例のMS”をこの作戦に使用出来たというのに!しかし、その機体に噂の少年パイロットが乗っているというのは何の因果なのでしょうかね!?」

例のMSとは、何を示すのか。レイは困惑した様子であった――

 

バシュウウウウウ

 

ナパームのビームライフルが放たれた。突然の攻撃に思わず回避運動を取る、レイ。その反撃と言わんばかりに、ツヴァイはバスタービームライフルを放つ。それを見切ったナパームは回避し、再びビームライフルを放つが、ツヴァイは前腕部を展開し、ビーム砲撃を防いだのだ。

「バリアーフィールド……成程、やはりその機体は“彼女”が関係しているのは確定していると見ました!」

ビーム兵器を一切受け付けない装置である、バリアーフィールドジェネレーター。それを脅威と判断した総司令は、ツヴァイに向け、牙を剥く。ビームサーベルを展開し、接近戦を試みようとした――

 

グォンッ

 

だが、ツヴァイに向かって特攻してくる敵の姿があった。デスペナルティである。片手に鎌を持ち、レイに迫る。そこに総司令がいるにも関わらず、躊躇さえせずに。

「死ねぇぇぇぇぇ!!!クソ野郎がぁぁ!!!」

「鎌持ちのガンダム!?」

咄嗟に反応したレイ。だが間合いが近く、防御に間に合わない。その為、一度ビームライフルを腰部に収納し、両手部で鎌の刃部分を受けたのである。

こうなってはツヴァイの方が力は上だ。そのまま、レイはデスペナルティから鎌を奪い取る事に成功したのである。鎌を奪われたデスペナルティ。そして、そのまま鎌を持ち、デスペナルティにダメージを与えたのである。

「ぐわぁっ、糞がッ!!」

鎌を奪われた事に対して怒ったニッカはウイング部分に搭載されているビーム砲を放つのだが、ツヴァイのバリアーフィールドが防ぐ。そして、ツヴァイは鎌を用いたビーム砲撃を行い、更にデスペナルティを追い込んだ。

「やばい!逃げるしかねぇのかよクソが!!」

状況的に敵対する事は難しいと考えたニッカは撤退の選択をした。三機の、特殊強化モデルのガンダムの内の一機が去り、脅威は僅かではあるが、減ったのだ。

そして、デスペナルティから奪った二重大鎌を持ち、レイは総司令と再び対決する。ツヴァイは先程デスペナルティから奪った鎌を振るう。これに対し、ナパームがシールドを構え、防御を行う。その際、シールドに搭載されているビーム砲を連射した。レイは咄嗟に前腕部を向けるようにツヴァイの胴体部を覆った。その結果、バリアーフィールドが展開され、ビームを防ぐことが出来た。

「やああっ!」

反撃をせんと、二重大鎌の柄部を連射する、ツヴァイ。だがナパームはこれらを避け、ビームサーベルを展開して鎌を切り裂いた。

「甘いですね!レイ・キレス!!」

そう言ってツヴァイに迫る。ナパームはビームサーベルを展開したまま、ツヴァイに迫る。

これに対し、ツヴァイはメガビームセイバーを展開。ナパームのサーベルと、ツヴァイのセイバーが打ち合い、激しく火花を散らしている。

その際に、ツヴァイは前腕部からビームキャノンを発射した。しかしそれを見抜いたナパームはそれを回避する。

総司令はすぐにビームライフルをツヴァイの顔部に向けて放った。すぐに、ツヴァイはバリアーフィールドジェネレーターを展開させて自らを守った。だが、それを見抜いたナパームはMA形態に変形し、接近する。

「何を!?」

突然の行動に躊躇うレイ。この時、ナパームはビームクローを展開していた。出力を上げてツヴァイに迫る。まるでそれは、巨大な怪鳥が迫ってきているようだ。

 MAは機動性が高く、俊敏な動きでツヴァイを翻弄する。又、この時両手部マニピュレーターも使用することが出来る状態であった為、この上でビームサーベルを展開している。クローとサーベルが組み合わさったビーム刃が、一斉にツヴァイに迫り来る。これも、ビーム兵器が通用しないと判断した総司令の、行動だ。

「覚悟!!」

無数のビーム刃に対し、対抗する手段はメガビームセイバーしか、ない。両手でそれを構え、迫るナパームを迎え撃つ。

 だが、ビーム刃の数は不足している。ナパームのビーム刃は合計八つ。一方のツヴァイのビーム刃は、二つ。迫る刃を、どう対処すべきか考える、レイ。

 

バシュゥゥゥゥゥ

 

「貰ったな。」

レイはナパームとの戦いに夢中になり過ぎて、バイラヴァーの存在を分かっていなかった。トリシューラランサーからビームが放たれる。レイの脳内の電流が流れ、すぐに回避行動

を取るが――

 

ズバァァァァァッ

 

完全な、油断だった。ナパームのビーム刃はツヴァイのビームディフェンスシールドを切り裂いたのである。それを切り離す事で、左前腕部の切除は免れるのだが、それでも接近を許したことに変わりはない。

そのままナパームは、更に弧を描くように旋回し、そのままツヴァイの背後から襲いかかる。

 

ガキィン

 

やがてツヴァイは腕を捕まれた。レイは油断をしてしまったのだ。

「ああっ!しまった!」

焦るレイ。この時、クローのビーム刃の出力を抑え、マニピュレーターを駆使して両上腕を捕えた、ナパーム。

「どうしましょうか。このまま腕を切れば貴方は何も出来なくなる。」

状況はレイが不利になった。もし、このまま抵抗すればビームクローが出現し、ツヴァイの腕は切除されてしまうだろう。彼は、迂闊に動く事が出来なかったのだ。

「……新生連邦に入隊するべきですよ、貴方は。」

「な、何を……!?」

モニター越しに、総司令の言葉が響く。男性とは思えないような、どこか高い声。彼の容姿も相まって、どこか妖しい色気を感じさせた。

「貴方のその力、MS乗りで留めておくのは勿体無い。少年兵として戦い、功績を残せば君はエースと称され、後世まで語り継がれることでしょう。新生連邦軍のエースとして。その力は軍の為に使って初めて発揮される。野蛮なMS乗りという存在で終わらせるのは余りに勿体ない話ですよ。」

あろうことか、新生連邦の総司令自らがレイを勧誘し始めたのだ。彼の強さを認めた上での、行動である。

 元々、彼を新生連邦の戦力にする為に軍は隠密に動いていた。それらは悉く失敗し、遂には総司令自らがレイを勧誘すると言う状況になってしまったのである。

 無論、レイはこれを拒否する。新生連邦に入隊など、考えたくないのだ。

「そんなの、嫌です!僕は新生連邦に入る気はありません!」

「ですが今の状況で、貴方に拒否権はありませんよ。セイントバードは危機的状況に陥っています。そのガンダムが中核を成す機体と仮定すれば、両腕が使用できなくなることは何を意味するかは分かる筈です。」

完全な、脅しと言える行為。もし首を縦に振らなければ確実にツヴァイは戦闘能力を失うだろう。今、レイに、危機が訪れたのである。

「どの道、そのガンダムは持ち帰ります。そのガンダムは、元々新生連邦のガンダムのデータを用いている機体です。貴方が乗っているのならば、このまま……」

「こんな、こんなのって……!」

身動きが取れない状況だ。両上肢を動かせないツヴァイ。マニピュレーターが使えなければ、武器を使用出来ないのだ。

 もし、ここでブリッツファンネルがあれば形成逆転が出来るかも知れない。だが、それが出来ない以上、今は総司令が生殺与奪権を持っているに外ならないのだ。

 

 

 

国連と新生連邦は激戦を繰り広げていた。国連の水上艦から放たれる無数のビームやミサイル。そしてそれに対抗するマドラ級の攻撃。更にはMSがビームライフルなどを放ち、迫る。

新生連邦の水上艦上ではビームライフルを持ったディープシーが国連に襲い掛かる。これに対し、ヴァントガンダムがこれらを破壊する為に迎撃した。

「何をしているか!このままではやられるぞ!」

「敵が多過ぎます!これでは……うわああ!」

ヴァントガンダムの連携プレーによって水上艦が墜ちた。その中で、国連の中核を成すアッサラームが無数の敵MSと戦っていた。大量のミサイルに大量のビーム兵器……それだけで新生連邦のMSは次々と破壊されていく。

最高部隊の母艦というだけあり、その強さは圧倒的とも言えた。その巨艦故に狙われやすいというデメリットはあるが、火力の高さで欠点を補っている。

「敵艦隊の零時の方角に対艦ミサイルを連射!接近するMSには機関砲を放て!アッサラームに敵を取りつかせるな!」

懸命な指揮をとる将軍ウィレス。その元で懸命に従う兵士達……それらの息があって、アッサラームは無敵の状態を作り出していた。

 

 だが、この状況を切り崩す報告が、ウィレスに報じられた。

「将軍、十二時方向に熱源確認!MSです!既にこちらを射程に入れています!」

「何!?」

急いでモニターを確認する、ブリッジ内。

 アッサラームの上空に居たのは、アトミックガンダムだった。アトミックの胸部ハッチが展開されており、そこから顔を覗かせている核ミサイルが二基、アッサラームに向けられていたのだ。

「死ねよ!国連!!」

核ミサイル。人類が生み出した叡智の炎。それがもし爆発すれば艦の爆発は免れない。アトミックはツヴァイとの交戦を避け、この場に移動していたのである。狙いは国連旗艦、アッサラーム。全長1キロメートルに及ぶ超弩級戦艦を壊滅させようと、このガンダムは狙っているのだ。

「万事休すか……!」

ウィレスは危機を抱いていた。ブリッジに向けられた核ミサイル弾頭を見て、緊迫した状況が迫る――

 

バシュゥゥゥゥゥ

 

その時だった。突如ビーム粒子が二つ、アトミックに向けて放たれたのだ。突然の攻撃に何事かと反応するアトミック。

「何だぁ!?」

これにより、核ミサイルは発射される事なく済んだ。だが、ビーム粒子を放ったのは何者なのか。それが分からないまま、疑問を抱く彼等。

「あれは……ガンダム?」

ビーム粒子を放ったそのMS。太陽がバックにあった為、最初、姿は分からなかった。だが次第にガンダムタイプ特有の顔立ちが露わになった。四本のアンテナに、緑色のカメラアイが輝いている。そして最大の特徴ともいえる、バックパックに搭載されている青色のウイングを展開している、その機体。一体それは何者なのかは分からない。一つ言える事は、ガンダムタイプであるという事は間違いないと言えたのだ。

そのガンダムは、ビームライフルを構えていた。恐らく、先程アトミックに放ったビームはそれから放たれたものだろう。

「てんめぇぇ!!」

怒るハーディ。そのガンダムに迫る、アトミック。MAに変形し、迫ろうとした時――

 

ピシュンッ ピシュンッ

 

「何ぃぃ!?」

瞬く間の出来事だった。謎の飛翔体がアトミックを襲った。それからはビーム粒子を放ち、あらゆる方向から攻撃を開始したのだ。予想出来ない攻撃に、太刀打ち出来ないと判断したアトミックはこの場から去る。一体、何の攻撃が行われたのか、誰にも見えなかった。

「貴様っ!!」

アトミックが去る代わりに、二機のジョゼフがそのガンダムに向けて攻撃を行う。だが――

 

ズバァァァ

 

一瞬の出来事は再び起きた。いつの間にか、飛翔体から出現したビーム刃による攻撃を受け、エンジンを破壊された二機のジョゼフが撃破されたのだ。一体、これは何の攻撃だというのか。

 

 

 

 飛翔体による攻撃はアトミックやジョゼフに留まらなかった。ナパームによって両腕を切り裂かれそうになっていたツヴァイ。そこにも、それによる攻撃が行われようとしていたのだ。飛翔体はナパームに対してビーム砲撃を放つ。これに反応した総司令はすぐにツヴァイを解除した。

 何が起きたのか、分からなかった総司令とレイ。やがて飛翔体は元のガンダムの方へ戻っていく。

「あれは、一体……?」

それぞれのガンダムが、戦場に乱入したガンダムの姿を、見ていた。

混沌とした戦場に突如現れた、青い翼を持つガンダム。その機体は、あらゆる機体よりも高い場所からこの戦場を見下ろしている。それは、新たなる戦いを予兆していたのだった。

 




第四十二話、投了。
始まった戦争は想像を絶する者でした。
そして、最後に見せた新たなるガンダムの正体とは――
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。