転生したらキメラだった件   作:仮面大佐

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今回は、ガビルが、豚頭族が豚頭族を食べる光景を目の当たりにするまでです。


第11話 狂いゆく歯車

 突然現れた、樹妖精(ドライアド)のトレイニーさんは、俺たちに依頼をする。

 それは、俺たちに豚頭帝(オークロード)を討伐して欲しいとの事だ。

 

リムル「豚頭帝の討伐?」

レイト「ええと………俺たちがですか?」

トレイニー「ええそうです、リムル=テンペスト様、レイト=テンペスト様。」

 

 俺たちの質問に、そう答えるトレイニーさん。

 すると、紅丸が俺たちの前に出て言う。

 

リムル「ん?」

レイト「紅丸?」

紅丸「いきなり現れて………随分身勝手な物言いじゃないか。樹妖精のトレイニーとやら。なぜ、この町へ来た?ゴブリンよりも強い種族は居るだろう。」

 

 紅丸の質問に対して、トレイニーは閉じていた目を開きながら言う。

 

トレイニー「そうですわね。大鬼族(オーガ)の里が健在でしたら、そちらに出向いていたでしょう。」

鬼人達「おっ………。」

トレイニー「まあ、そうであったとしても……この方々の存在を、無視する事は、できないのですけれど。」

リムル「ん?」

レイト「……………。」

トレイニー「我々の集落が豚頭帝に狙われれば、樹妖精だけでは抵抗出来ませんの。………ですから、こうして強き者に助力を願いに来たのです。」

 

 なるほどな。

 それにしても、仮説だった豚頭帝が、実際に存在するとはな………。

 

リムル「豚頭帝が居るって事自体、俺たちの中では仮説だったんだけど………。」

レイト「よく、豚頭帝が居るって事が、分かりましたね。」

トレイニー「樹妖精は、この森で起きた事ならば、大抵把握しておりますの。……居ますよ、豚頭帝。」

 

 トレイニーさんは、そう言って、机の上に置いてあったポテチを食べる。

 それを聞いた一同は、騒めき出す。

 

リグルド「樹妖精様がお認めに………!」

カイジン「ならば、本当に………。」

 

 俺たちは、それを聞いて考え、答えを出す。

 

レイト「返事は少し待ってくれ。」

リムル「ああ。鬼人達の援護はするが、率先して、藪を突くつもりはないんだ。情報を整理してから、答えを出させてくれ。こう見えても、ここの主なんでな。」

レイト「俺は、副主です。」

トレイニー「あっ………フフッ………。」

 

 トレイニーさんも会議に参加する事になった。

 だが、リグルドとカイジンの間に座ったので、その2人が気まずそうにしている。

 

リムル「会議を続けるぞ。」

レイト「豚頭族(オーク)達の目的について、何か、意見がある人は居ないか?」

 

 俺たちがそう言うと、朱菜が声を出す。

 

朱菜「あ………。思い当たる事が一つあります。」

リムル「うん。」

レイト「何だ?」

 

 俺たちが朱菜にそう問うと、朱菜は蒼影に質問をする。

 

朱菜「蒼影。私達の里、調査してきましたか?」

蒼影「はい。」

朱菜「その様子では………やはり、無かったのですね。」

蒼影「はい。」

リムル「ん?」

蒼影「同胞の物も、豚頭族の物も、ただの一つも。」

レイト「まさか………死体か?」

蒼影「そうです。」

 

 その言葉に、俺はやはりと思った。

 少し、引っかかっていた事があったのだ。

 オークといえば、食欲旺盛なのがお約束なのだ。

 すると、紅丸が口を開く。

 

紅丸「20万もの大軍が食えるだけの食料を、どうやって賄っているのか疑問だったが……。」

リムル「それって、まさか………。」

レイト「豚頭族も、襲った種族の物も関係なく、食べてるって事だろうな。今、進軍中の豚頭族達は。」

 

 俺がそう言うと、周囲が驚く。

 そんな中、トレイニーさんが口を開く。

 

トレイニー「ユニークスキル、飢餓者(ウエルモノ)。」

リムル「飢餓者………。」

レイト「それは、具体的には、どんなスキルなんだ?」

 

 俺の質問に、トレイニーさんが答える。

 

トレイニー「世に混乱を齎す災厄の魔物、豚頭帝が生まれながらにして保有しているスキルで、豚頭帝の支配下にある全ての物に影響を及ぼし、イナゴの様に、周囲の物を食べ尽くす。食らった相手の力や能力までも取り込み、自分の糧とするのですわ。………あなた様方の捕食者と吸収者と、似ていますわね。」

 

 そう言いながら、俺たちを見る。

 それは、かなり厄介なスキルだな。

 確かに、俺の吸収者とリムルの捕食者と似ているスキルだな。

 ていうか、俺たちの保有しているスキルの事も知ってるのかよ。

 トレイニーさんは、話を再開する。

 

トレイニー「飢餓者の代償は、満たされる事のない飢餓感。豚頭族達は、果てしない飢えを満たし、力を得る為だけに進むのですわ。ただそれだけが、彼らの王の望み故に………。」

 

 そう言って、お茶を飲む。

 俺とリムルは、思念伝達で話し合う。

 

レイト『リムル。豚頭族達の狙いは……。』

リムル『ああ。大鬼族や蜥蜴人族(リザードマン)といった森の上位種族を滅ぼす事ではなく、その力を奪う事………か?』

レイト『そう考えるのが、妥当だろうな。』

 

 そうなると、ここも安全ではない。

 リムルが伸びをして、口を開く。

 

リムル「さて、となるとだな。うちも安全とは言い難いな。嵐牙狼族(テンペストウルフ)に鬼人、ホブゴブリン。」

レイト「確かに、味はともかく、豚頭族達の欲しがりそうな力を持った餌だらけだな。」

 

 リムルと俺がそう言うと、紅丸が苦笑しながら言う。

 

紅丸「1番、奴らの食いつきそうな餌を、忘れてやいませんか?」

リムル「あ〜?」

紅丸「居るでしょう。最強のスライムと、それと同格の新たな種族が。」

レイト「…………どこにだ?」

紅丸「ハハッ………。」

 

 紅丸の指摘に、俺たちは受け流す。

 そりゃあ、俺って、仮面ライダーだけど。

 でも、俺は、味はかなり不味いんじゃないか?

 そんな中、トレイニーさんが口を開く。

 

トレイニー「それに………豚頭帝誕生のきっかけとして、魔人の存在を確認しております。あなた様方は、放っておけない相手かと思いますけど。」

リムル「魔人か………。」

トレイニー「いずれかの魔王の手の者ですからね。」

レイト「うむ…………。」

 

 さっき、トレイニーさんは、森で起きた事は、大抵把握していると言っていたな。

 という事は、イフリートが暴走して、それをリムルが捕食して、俺がシズさんを助けたのを把握している事になる。

 食えない姉ちゃんだな。

 すると、トレイニーが立ち上がる。

 

トレイニー「リムル=テンペスト様。レイト=テンペスト様。改めて、豚頭帝の討伐を依頼します。暴風竜ヴェルドラの加護を受け、牙狼族を下し、鬼人を庇護するあなた様方なら、豚頭帝に後れを取ることはないでしょう。」

「「う〜ん…………。」」

 

 俺は、科学者に聞いてみる。

 

レイト『科学者、どう思う?トレイニーさんを信用して良いのか?』

科学者『樹妖精は、ジュラの大森林の管理者。不届きな者、森に対し害意を持つ者に対し、天罰を下す存在とも言われています。』

レイト『天罰………。でも、相手は20万だしなぁ………。』

 

 戦力差が否めないな。

 すると、紫苑と火煉の声が聞こえる。

 

「「当然です!!」」

リムル「うえっ………。」

レイト「火煉さん………?」

紫苑「リムル様とレイト様ならば、豚頭帝など、敵ではありません!」

火煉「そうです!お二人ならば、豚頭帝を倒してみせるでしょう!」

トレイニー「うわぁ!やはり、そうですよね。」

 

 この2人は、勝手に………!

 俺とリムルは、思念伝達で話し合う。

 

レイト『リムル。これは………腹を括るしかないよな。』

リムル『だな………。』

 

 リムルは、スライムとしての姿に戻り、紫苑がキャッチする。

 

リムル「分かったよ。豚頭帝の件は、俺たちが引き受ける。」

レイト「皆も、そのつもりで居てくれ。」

朱菜「はい!勿論です!リムル様、レイト様!」

紅丸「どうせ、最初からそのつもりだ。」

カイジン「俺たちゃ、旦那達を信じて着いていくだけさ。」

リグルド「その通りですぞ!我らの力を、見せつけてやりましょう!」

一同『おう!』

トレイニー「フフッ。」

 

 皆がそう盛り上がっている中、俺とリムルは、話し合っていた。

 

リムル『な〜んて、格好つけて、負けたらどうしよう………。』

レイト『もうこの際、腹を括るしかないな。』

 

 俺たちは覚悟を決めて、会議を進める。

 

リムル「豚頭族20万の軍勢を相手取るとなると………蜥蜴人族との同盟を前向きに検討したい所だが………。」

レイト「使者が、あれじゃなぁ………。」

 

 あんなアホじゃあ、不安でしかない。

 どうにか、話が通じるやつと交渉したいところなのだが………。

 すると、蒼影が立ち上がる。

 

蒼影「リムル様、レイト様。」

リムル「ん?」

レイト「どうした、蒼影?」

蒼影「蜥蜴人族の首領に、直接話をつけても宜しいですか?」

リムル「蒼影。出来るのか?」

蒼影「はい。」

レイト「なら、俺も同行して良いか?」

 

 俺がそう言うと、全員が驚く。

 

蒼影「レイト様もですか?」

レイト「同盟は、俺かリムルのどちらかを直接見ないと、結ぶのが難しいだろうからな。俺が同行すれば、手っ取り早いだろ?」

リムル「……分かった。レイト、蒼影。蜥蜴人族への使者を頼む。決戦は蜥蜴人族の支配領域である湿地帯になるだろう、これは蜥蜴人族との共同戦線が前提条件だ。頼んだぞ!」

蒼影「お任せを。レイト様、参りましょう。」

レイト「ああ。じゃあ、ちょっくら行ってくるわ!」

 

 俺と蒼影は、影移動で、蜥蜴人族が支配している湿地帯へと向かう。

 一方、気絶していたガビルは、やっと目を覚ました。

 

ガビル「んっ………。うわっ!あっ、あ……。」

部下「わ〜!」

ガビル「ん?」

部下「ガビル様〜!」

ガビル「ぐわ〜!」

 

 ガビルが目を覚ますと、部下の1人が泣きながらガビルに飛びつく。

 残りの部下もやって来る。

 

部下「起きたかよ。」

部下「ガビル様〜!」

ガビル「こ………ここは?」

部下「良かったよ〜ほんと、ううっ………。」

 

 ガビルの目の前には、蜥蜴人族の部下達が集まっていた。

 1人、蜥蜴人族ではないのが混じっているが。

 ガビルは、どうしてこうなったのかを思い出した。

 

ガビル「そっ、そうだ!我輩は………。あのふざけた顔の男に………!うぬ。すっかり騙されたわ。」

部下「ど………どういう事?」

 

 ガビルの言葉に、泣きついていた部下が首を傾げる。

 ガビルは、立ち上がって説明をする。

 

ガビル「簡単な事よ。我輩を制したあの者こそ、あの村の本当の主に違いない!」

「「「なんと!」」」

 

 ガビルは、ゴブタが主だと勘違いしていた。

 その言葉に、部下達は集まって話し合う。

 

部下「あれが?」

部下「そうじゃないと、ガビル様、負けたりしないよ。」

部下「然り!」

部下「汚い!騙してガビル様の油断を誘うだなんて!」

部下「卑怯なり!」

部下「ふざけんな!」

 

 ガビルの部下達は、そんな風に話し合う。

 そんな部下達に、ガビルは話す。

 

ガビル「まあ、落ち着け。弱者なりの知恵という奴だろう。あっ………ハッ。」

部下「器の大きさ、山の如し!」

部下「流石、ガビル様!」

部下「いよっ!次期首領!」

???「いや〜かっこええなぁ、ガビルはん。」

ガビル「いやいや、我輩など、それ程でも……って、誰、なん!?」

部下「最初から居たよ、この人。」

 

 ガビルは、やっと蜥蜴人族ではない者の存在に気づいた。

 その男は、ガビルを褒め称える。

 

ラプラス「聞いた通り、偉い男前やないか。わいは、ラプラスという者です。」

ガビル「ラプラス?」

ラプラス「ゲルミュッド様の使いで、アンタに警告をしに来たんや。」

ガビル「おお!ゲルミュッド様の!」

 

 ガビルは、少しラプラスに警戒していたが、ゲルミュッドの使いと聞いて、警戒を解く。

 部下達は、話し合う。

 

部下「ゲルミュッド様って?」

部下「ガビル様に名を授けて下さったというお方だ。」

 

 部下達は、ゲルミュッドの事について話す中、ガビルは、ラプラスに労いの言葉をかける。

 

ガビル「ご足労をおかけしたな。………して、ゲルミュッド様の警告とは?」

ラプラス「これがまた、偉い事になっとるんですわ!」

ガビル「ん?」

 

 ガビルがそう言う中、ラプラスは回転しながら、ある事を伝える。

 

ラプラス「今回の豚頭族の軍勢、どうやら、本当に豚頭帝が率いてるらしいでっせ。」

部下達『豚頭帝?』

ガビル「うっ………。」

 

 ラプラスが言った、豚頭帝という単語に、周囲はどよめく。

 ラプラスは、話を再開する。

 

ラプラス「蜥蜴人族の首領は出来たお人やけど、もうかなりのお年やし………正直なとこ、お父上には、荷が重いんとちゃいます?」

ガビル「ん…………。」

 

 ラプラスの言葉に、ガビルは考え、答えを出す。

 

ガビル「豚頭族軍撃退の後に、首領の座を受け継ごうと思っていたが………それでは、間に合わん様だな!」

ラプラス「せや、せや。」

 

 ガビル達は、竜に乗り、移動を開始しようとする。

 ガビルは、ラプラスに声をかける。

 

ガビル「ラプラス殿。挨拶もそこそこだが、我輩達は…………。」

ラプラス「ええって、ええって。湿地帯に戻りはるんやろ?早、行った方がええで。」

ガビル「かたじけない!………出発するぞ〜!」

部下達「おお!」

 

 ガビル達は、湿地帯へと出発する。

 それを見ていたラプラスは。

 

ラプラス「………せいぜい頑張りや、ガビルはん。」

 

 そんな風に言う。

 ラプラスは、何を企んでいるのか。

 一方、豚頭族軍は、湿地帯を進んでいた。

 

豚頭族達「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。」

 

 そんな風に言いながら、湿地帯を進んでいた。

 俺たちは、そんな豚頭族達の気配を感じながら、蜥蜴人族の洞窟に到着する。

 すると、見張りが俺たちに気づく。

 

見張り「貴様ら、何者だ!?」

レイト「何。首領に会わせて欲しいだけさ。」

蒼影「そこを通してもらおう。」

 

 俺たちは、蜥蜴人族達の首領に会うべく、奥へと進んでいく。

 しばらく進んでいくと、開けた場所へと出る。

 ちなみに、俺は人間としての姿で来ている。

 俺たちが現れると、首領が声をかける。

 

首領「失礼。今、取り込んでおりましてな。おもてなしも出来ませぬ。」

レイト「お気になさらず。俺は、あなた方蜥蜴人族と同盟を結びに来た。」

首領「同盟?はて。そちらの事は、わしは知らんのだがね。」

レイト「無理もないです。ホブゴブリンと牙狼族と共に住んでは居ますが、街になったばかりですし。」

首領「風の噂で聞いた事がある………。その町は、本当にあるのか?」

レイト「はい。俺は、その街の主の片割れさ。」

 

 どうやら、俺たちの町は、かなり噂になっているみたいだな。

 まあ、ゴブリンと牙狼族が一緒に暮らしているという時点で、噂にはなるだろうが。

 俺の説明の続きを、蒼影が引き受けてくれた。

 

蒼影「そしてもう1人の主リムル様とともに、樹妖精より直に要請を受け、豚頭族軍の討伐を確約されている。」

 

 蒼影のその言葉に、首領のすぐ横にいる2人の蜥蜴人族が驚く。

 それは、首領も同じだった。

 

首領「森の管理者が、直接………!?」

レイト「そして、樹妖精からの情報によると、豚頭族軍を率いているのは、豚頭帝だ。」

部下「豚頭帝?」

レイト「この意味を踏まえて、よく検討して欲しい。」

首領「うう………。」

 

 首領は、驚いていた。

 どうやら、首領は豚頭帝が出現しているかもしれないと推測していた様だな。

 すると、首領の部下の1人が、声を出す。

 

部下「ふ………ふん!リムルだと?聞いた事もない!どうせ、そいつらも、豚頭帝を恐れて、我らに泣きついて来たんだろう?素直に助けてくれと言えばいい物を………。」

首領「やめろ!」

部下「えっ?」

首領「口を塞ぐのだ。」

部下「しゅ………首領!その様な態度では、舐められ………!」

 

 そこまで言うと、その部下の首に、糸が巻き付けられていた。

 蒼影だ。

 蒼影は、糸の一本を下ろそうとするが、俺が止める。

 

レイト「蒼影。そこまでやれとは言っていない。」

蒼影「………ッ!」

 

 蒼影の気持ちは分かる。

 自分の主人を馬鹿にされて、我慢出来なかったのだろう。

 だが、そんな事をしたら、同盟を結ぶのが難しくなる。

 蒼影は糸を解き、俺は首領に頭を下げる。

 

レイト「申し訳ない。対等な話し合いであるのにも関わらず、配下が無礼をしたな。」

首領「いや、今のは、こちらに非があった。お気遣い済まない。」

レイト「それと、俺は人間の様に見えるが、違う。新たに誕生した種族、キメラだ。」

 

 俺はそう言って、ギフテリアンとしての姿になる。

 それを見た首領のそばにいた蜥蜴人族は。

 

部下「魔物だったのか!?」

部下「なるほど………。」

 

 そんな中、首領が口を開く。

 

首領「貴殿も魔物であったか。ジュラの大森林に暮らす魔物で、森の管理者を騙る愚か者は居ない。見た所、そなたの妖気(オーラ)は、南西に暮らす大鬼族であろう?」

蒼影「今は違う。リムル様より、蒼影の名を賜った折、鬼人となった。」

首領「鬼人?」

部下「鬼人って………!」

部下「ええ。大鬼族の中から、稀に生まれるという、上位種族………!」

レイト「それが、あと六人も居ますよ。」

首領「何だと………!?」

 

 それを聞いた首領は、何かを考え込んでいたが、しばらくすると、顔を上げる。

 

首領「レイトとやら。一つ条件がある。」

レイト「聞きましょう。」

首領「もう1人の主、リムル=テンペストと会いたい。」

レイト「分かりました。」

蒼影「では、我々は準備を整え、七日後にこちらに合流する。その時、御目通りしていただくとしよう。」

首領「うん。」

蒼影「それまでは、決して先走って、戦を仕掛ける事のないよう。」

首領「承知した。」

レイト「それと、一つ忠告があります。」

首領「何だ?」

レイト「背後には気をつけた方がよろしいですよ。」

首領「………?そうしよう。」

レイト「では、七日後に。」

 

 俺たちは、影移動で村へと戻る。

 ちなみに、先ほどの言葉の意味としては、ガビルは、豚頭帝の事を知らなそうだった。

 それに、次期首領になるとも言っていた。

 つまり、謀反を起こす可能性がある。

 そこまでするアホじゃないと良いんだけどな。

 

レイト「俺は、首領の条件を伝えに行く。蒼影は、豚頭族の動向を見張ってくれ。」

蒼影「はっ。」

 

 蒼影は、再び影移動で移動する。

 俺は、リムルの家へと向かう。

 

レイト「リムル、少し………。」

 

 俺は、その光景に絶句した。

 なぜなら、リムルが女装をしていたのだ。

 しかも、周囲には、朱菜に紫苑といった女性陣がいて、その近くには、シズさんが入ったバイスタンプが。

 

レイト「リムル………どういう状況だ?」

リムル「おお!レイト!ナイス!」

シズ「リムルさん、皆の着せ替え人形にされてたの。」

レイト「なるほどな………。あ、それと、蜥蜴人族の首領と話がついたぞ。」

リムル「本当か!?」

レイト「ああ。ただ、同盟を結ぶ際には、お前にも同行して欲しいそうだ。」

リムル「良いぜ、どうせ決戦予定は湿地帯なんだし、会っていもいない人物を信用しろってのも無理な話だ。」

レイト「会談の日は、七日後に設定したが、大丈夫か?」

リムル「ああ。」

 

 そんな風に話した。

 ただ、今度は火煉を筆頭に、俺を着せ替え人形にしようとして来たので、即座に逃げた。

 一方、蜥蜴人族達は、首領が仲間を集めていた。

 

首領「豚頭族軍は既に、この地下大洞窟のそばまで迫ってきている。………だが、恐れる事はない!七日後には、強力な援軍が見込める!それまでは、我々は籠城し、戦力を温存するのだ。間違っても、攻撃に打って出ようなどと思うな!戦死すれば、餌になり、奴らの力が増すと思え!それが、豚頭帝を相手に戦うということだ!………援軍と合流した後、反撃に転じる!その時まで、耐えるのだ!誰1人、死ぬ事は許さん!」

戦士達「おお!」

 

 こうして、首領の指示により、蜥蜴人族は俺たちが来るまで、籠城する事になった。

 それから四日後。

 ある蜥蜴人族達は、侵入してきた豚頭族と交戦していた。

 三人でかかり、倒す事が出来た。

 

戦士「これが、本当に豚頭族なのか?まるで、大鬼族とでも戦っている気分だ。」

戦士「ゾッとするな………。こんな奴らが20万も居るだなんて………。」

戦士「それが、豚頭帝の能力なんだろう。あと、三日も守り通せるだろうか。」

ガビル「守ってばかりでは、疲弊するだけだ。」

戦士「おおっ、あなたは………。」

 

 そこに、ガビルが戻ってきて、首領の元に向かう。

 

ガビル「親父殿。」

「「「ん?」」」

 

 ガビルの声に、首領、親衛隊長、副隊長がガビルの方を向く。

 

首領「おお、戻ったか!………して、ゴブリンからの協力は、取り付ける事が出来たのか?」

ガビル「はっ!その総数、7千匹。待機させております。」

首領「うん。」

ガビル「しかし………豚頭族相手に籠城とは、どういうつもりなのです?とても、誇り高き蜥蜴人族の戦い方とは思えませんな。」

首領「お前が居ない間に、同盟の申し出があったのだ。その者達と合流するまでは、防衛に徹するのが最善だ。」

 

 首領の言葉を聞いたガビルは、呟く。

 

ガビル「ハァ…………老いたな、親父。」

首領「何?」

 

 ガビルがそう言うと、立ち上がり、合図を出す。

 すると、ガビルの配下達が一斉に入ってくる。

 

「「「なっ!?」」」

ガビル「天然の迷路を利用し、大軍と戦うのは、良い策かもしれん。………だが、それでは数多ある通路に戦力を分散させすぎて、戦力の集中による迎撃が出来ぬ。」

 

 そう言いながら、合図を出して、ガビルの部下が、首領に槍を向ける。

 

首領「なっ………!?」

親衛隊長「ガ………ガビル殿!」

副隊長「これは、どういうつもりだ!?」

ガビル「落ち着け!親衛隊長に副隊長。危害を加えるつもりはない。」

親衛隊長「しかし………うっ!」

ガビル「手荒な手段になってしまった事は、後で詫びる。窮屈な思いをさせるが、我輩が豚頭帝を討つまで、辛抱してくれ。」

 

 ガビルは、部下に指示を出して、首領、親衛隊長、副隊長、そして、首領の側近を拘束した。

 

首領「息子よ!勝手な真似は許さんぞ!」

親衛隊長「ガビル殿………いえ、兄上!目を覚まして下さい!」

副隊長「ガビル君!何を考えているんだ!?」

首領「ええい!放せい!放さんか!放すのだ!勝手な真似は許さん!」

 

 首領、親衛隊長、副隊長がそう叫ぶ中、彼らは、牢獄へと連れて行かれた。

 ガビルが、顔を俯かせていると、部下の1人がガビルの方にやって来る。

 

ガビル「ん?」

部下「ガビル様、これを。」

ガビル「親父殿の………。」

 

 ガビルは、部下から、首領が持っていた槍を受け取る。

 すると、槍とガビルが光り出す。

 

ガビル「こ、この力は………水渦槍(ボルテックススピア)よ。我輩を主と認めてくれるのか!」

 

 水渦槍は、ガビルを主と認めた様だ。

 その背後から、部下達が大勢やって来る。

 

部下「各部族長の掌握が完了したぜ。若い連中には、この防衛戦に疑問を抱いていた者も多かったからな。」

ガビル「そうか。」

部下「皆、アンタについていく。頼むぜ、ガビル様。」

 

 部下達は、ガビルに跪く。

 ガビルは、口を開きながら移動する。

 

ガビル「良いだろう。我輩が、蜥蜴人族の真の戦い方を見せてやろうぞ!時が来たのだ!」

部下達「おお!」

 

 こうして、ガビル達は、俺たちの合流を待たずして、動き出してしまった。

 

豚頭族達「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。」

 

 湿地帯を埋め尽くす豚頭族の大軍。

 その一角から、ざわめきが生じた。

 

豚頭族「ううっ………!」

 

 一体の豚頭族が、蜥蜴人族の攻撃を受けて、倒れた。

 

ガビル「豚どもを必要以上に恐れる事など無い!湿地帯は我らの領域!素早い動きで豚頭族どもを撹乱するのだ!ぬかるみに足を取られるのろまに後れは取らん!」

部下「やった!」

部下「攻撃が効いてるぜ!」

部下「然り!」

ガビル「豚頭族など、我ら蜥蜴人族の敵ではない!よし!一旦離脱!」

 

 ガビルの実力は、仲間達が認める物だった。

 だが。

 

部下「ああっ………うわぁ!」

ガビル「ん?」

 

 ガビルが、部下の悲鳴に、何事かと豚頭族の方を見ると、豚頭族が豚頭族を食べていたのだ。

 

ガビル「何だ?」

 

 ただ一つ、誤算があるとすれば、ガビルは知らなかった。

 豚頭帝の恐怖を。

 

ガビル「豚頭族が、豚頭族を食っている………!?」

 

 首領は知っていた。

 豚頭帝の恐怖を。

 その違いが今、結果となって、ガビルに牙を剥く。

 

豚頭族達「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。食べた仲間の力を我が物に!食べた獲物の力を我が物に!」




今回はここまでです。
いよいよ、レイト達と豚頭族軍との激闘が始まろうとしています。
ちなみに、副隊長のイメージCVは、水島大宙です。
次回、火煉がベイルに変身します。
リクエスト、色々とありがとうございます。
転スラの映画のエピソードも、もしかしたら入れるかもしれません。
どうにか、頑張っていきますので、応援のほど、よろしくお願いします。

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