転生したらキメラだった件   作:仮面大佐

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第15話 魔王ミリム襲来

 こうして、俺たち、ジュラ・テンペスト連邦国と、武装国家ドワルゴンとの同盟が成立したのだった。

 俺たちの魔物の国に、心強い後ろ盾が出来た。

 で、その二日後。

 

ガゼル「来てやったぞ、リムル、レイトよ。」

 

 何と、ガゼル王が再び来たのだ。

 

レイト「随分と早い再訪ですね………。」

リムル「今度は何の用だよ?」

ガゼル「お前達に土産をやろうとおもってな」

リムル「土産?」

レイト「何それ?」

 

 ガゼル王が供に合図を送ると布で簀巻きされたものを投げその拍子で表面の布がめくれると、そこに居た人に俺たちが驚く。

 

リムル「えええっ!?」

レイト「コイツってたしか!?」

カイジン「ベスターじゃねえか!?」

ベスター「うぅぅぅん………。」

 

 泡を吹いて気絶しているベスターであった。

 ガゼル王が、理由を説明する。

 

ガゼル「有能なコイツを遊ばせておくも勿体ないのでな。とはいえ、俺に仕えるのを許すわけにはいかん。好きに使え。」

カイジン「王よ、それではベスター殿の知識が我等に流出することになりますぞ!?」

ガゼル「流出していった本人が今更なにを言う。」

カイジン「それは………。」

 

 カイジンは止めようとしたがガゼル王の正論で言葉に詰まった。

 ガゼル王は、復活したベスターに声をかける。

 

ガゼル「そのための盟約よ。お前達のこの地を、まだ見ぬ技術の最先端にしてみせろ。ベスターよ。」

ベスター「はっはい!」

ガゼル「ここで思う存分、研究に励むが良い。」

ベスター「…………っ…………は!今度こそ………今度こそ、期待に応えてご覧にいれます。」

 

 ベスターはそう言うと、今度は俺たちに顔を向ける。

 

ベスター「リムル殿、レイト殿、カイジン殿すまなかった。許されるならここで働かせてほしい。」

カイジン「…………優秀な研究者が来てこっちも大助かりってもんだ。旦那方。何かあったら、俺が責任を取ります。ここは俺を信じて、こいつを許してやって下さい。」

ベスター「カイジン殿………。」

 

 まあ、ベスターも、ガゼル王の期待に応えようとして、焦ったからな。

 俺たちは、頷いて、答える。

 

リムル「カイジンがそれで良いなら、俺たちに文句はないよ。」

レイト「ベスター。これからよろしく頼む。」

ベスター「ははっ!不肖ながら、精一杯努めさせていただきます!」

ガゼル「…………では、さらばだ!」

 

 ガゼル王はそう言って、去っていく。

 周囲の面子が拍手する中、その中に混じっていた奴らに声をかける。

 

リムル「はぁ………さてと。」

レイト「お前ら、何してんの?」

 

 俺とリムルの視線の先には、ガビル達が居た。

 いつの間にここに来たのか。

 

ガビル「あっ………いやあ、ハハハ!このガビル!リムル殿とレイト殿のお力になりたく、馳せ参じましたぞ!」

部下「ガビル様、かっこい〜!」

部下「当然である。」

 

 それを聞いた紫苑と火煉は。

 

紫苑「では、斬りますね。」

火煉「始末しましょう。」

 

 そう言って紫苑は剛力丸を、火煉はカブトバイスタンプを構える。

 それを見たガビルは焦った。

 

ガビル「あっ!いやいやいや………!是非とも、我輩達を配下に加えていただきたいのです!必ず、お役に立ってご覧に入れますので。何卒。」

部下たち「何卒………。」

部下「ガビル様がこう言ってますので………。」

親衛隊長「兄は反省しているのです。」

副隊長「彼に、償いの機会をお与えください。」

 

 ガビル達がそう言う中、親衛隊長と副隊長とその配下達が現れる。

 

リムル「親衛隊長と副隊長まで?」

レイト「来てたのか。」

親衛隊長「私たちは、兄と違って、勘当になった訳ではありません。」

ガビル「何!?」

副隊長「首領アビルが、見聞を広めよと、僕たちを送り出してくれたんです。」

ガビル「我輩を慕ってついて来たのでは?」

親衛隊長「違います。」

副隊長「違うよ。」

ガビル「ガーン!」

レイト「なるほどね………。」

 

 そうして、ベスター、そしてガビル達が仲間になった。

 リムルは、親衛隊長とその配下に名前を付ける中、俺は副隊長に名前をつける。

 

レイト「副隊長。君の名前は、蒼月だ。」

蒼月「ありがとうございます。」

 

 ちなみに、ガビルの配下にも、名前をつけた。

 ガビルとよく居るあの3人組は、青色の奴がカクシン、緑色の奴がヤシチ、あと一人はスケロウの名前をつけた。

 名前をつけた事により、ガビル達は、龍人族(ドラゴニュート)に進化した。

 そして、俺は、火煉、グルド、蒼月の3人を呼び出した。

 

グルド「どうされましたか、レイト様。」

レイト「3人には、俺の直属の部下としても動いて欲しい。」

火煉「本当ですか!?」

レイト「ああ。だから、蒼月にも、これを渡しておこうと思ってな。」

 

 俺は、蒼月にアタッシュケースを渡す。

 ちなみに、蒼月や蒼華といった、一部の龍人族は、人間に近い見た目になった。

 

蒼月「あ、開けて良いのですか?」

レイト「ああ。」

 

 蒼月の質問に、俺はそう答える。

 蒼月がアタッシュケースを開けると、そこに入っていたのは、デモンズドライバーとスパイダーバイスタンプだった。

 

蒼月「これは………?」

グルド「私と同じ、デモンズドライバー………!?」

火煉「と言うと、蒼月も変身出来る様になるという事ですか?」

レイト「ああ。3人には、それぞれの仕事を頑張りつつ、何かあった際には、変身して、仲間を助けて欲しい。」

「「「はっ!」」」

 

 こうして、火煉、グルド、蒼月といった面子は、仮面ライダーに変身できる為、俺の直属の部隊を作る事にした。

 まあ、3人にも、頑張ってほしい所だ。

 俺は、それぞれの仕事に戻った3人を見送って、ヴェルドラの洞窟に向かう。

 ちなみに、ガビル達は、ヴェルドラの洞窟で、ヒポクテ草の栽培をしてもらっている。

 俺は、研究所に向かう。

 

レイト「よお、ベスター!」

ベスター「ん?おお、レイト殿。」

 

 そう、ベスターにも、俺の研究室を拡張した物を使用させている。

 

レイト「調子はどうだ?」

ベスター「はい。フルポーションの作成と同時に、シズエ・イザワさんの新たな肉体の作成、クローンライダーの量産など、上手く行っております。」

レイト「ありがとう。助かるよ。流石に、俺一人じゃあ、キツかったからな。」

ベスター「いえ。」

 

 そう、ベスターにも、俺の研究を手伝わせている。

 シズさんの肉体の作成も、少しずつしか進んでいなかったからな。

 そして、クローンライダーの量産にも力を注ぐ事にした。

 現状、ライオトルーパー、ゼクトルーパー、黒影トルーパー、デモンズトルーパーしか出来ていないしな。

 ここ最近は、量産型ライダーで、メイジ、ダークネクロム、アバドンの作成にも成功している。

 俺は、隣の部屋へと向かい、シズさんの魂が入ったバイスタンプに話しかける。

 

レイト「悪いな、シズさん。もう少し時間がかかるかもしれない。」

シズ「ううん。私の新しい体を作ってくれるだけでも嬉しいよ。」

レイト「本当に悪いな。何とか、頑張るから。」

シズ「うん。」

 

 そう話しかける。

 俺は、外へと出る。

 徐々に発展していってるな。

 そして、俺は、とあるスキルを確かめる事にした。

 豚頭魔王(オークディザスター)のゲルドを撃破した際に手に入れた新たなスキル、怪人生成。

 これは、文字通りに、怪人を生み出すスキルだ。

 科学者に聞いてみる。

 

レイト『科学者さん。現状、怪人生成で、何の怪人が生み出せるの?』

科学者『解。現状、ギフジュニアくらいが限界かと。』

レイト『分かった。ありがとう。』

 

 まあ、現状はギフジュニアが限界か。

 しばらくして、クリスパーが生成出来る様になったら、やってみるか。

 一方、とある建物では、水晶玉を見る四人の人物が居た。

 その四人は、全員が魔王で、ピンク色の髪の女の子がミリム、背中から翼を生やした女性がフレイ、大柄な男性がカリオン、白いタキシードを着る男性がクレイマンだ。

 その水晶玉に映し出されていたのは、豚頭魔王のゲルドと、リムル、レイトの戦闘時の物だ。

 

ミリム「面白い!面白いのだ!この玩具達の調査には、私が赴く!」

クレイマン「しかし、ミリム。ジュラの森には不可侵条約が………。」

ミリム「不可侵条約?そんな物、ヴェルドラが消えた今、撤廃してしまえばいいのだ。」

クレイマン「なるほど………その通りですね。」

 

 ミリムの発言に、クレイマンがそう言うが、ミリムの反論にクレイマンは頷き、カリオン、フレイも頷く。

 ミリムは口を開く。

 

ミリム「決まりなのだ!ただし、互いに手出しは厳禁!よいな?」

クレイマン「勿論です。」

ミリム「約束だ!協定は成立した。では、今から調査に行ってくる。邪魔するでないぞ、クレイマン!カリオン!フレイ!はっ!」

 

 そう言ったミリムは、窓から、ジュラ・テンペスト連邦国へと向かう。

 一方、俺は、とんでもない魔力の塊が、こちらに向かってくる事に気づいた。

 

レイト「なんか、嫌な予感がするな………。」

 

 俺はそう呟き、ある丘へと向かっていく。

 途中で、リムルと合流する。

 

レイト「リムル!」

リムル「レイト!お前も感じるか?」

レイト「ああ!とんでもない魔力の塊が、こっちに来てる!」

 

 俺たちはそう話して、丘に到着すると、ピンク色の魔力の塊が、地面に着弾する。

 俺たちは、飛ばされない様にする。

 すると、ピンク色の魔力の塊の中に居たであろう何者かが、話しかけてくる。

 

ミリム「初めまして。私はただ一人の竜魔人(ドラゴノイド)にして、破壊の暴君(デストロイ)の二つ名を持つ、魔王、ミリム・ナーヴァだぞ!」

リムル「魔王かよ?」

レイト「うそ〜ん………。」

ミリム「お前達がこの町で一番強そうだったから、挨拶に来てやったのだ。」

 

 ミリムという魔王は、そう言う。

 ていうか、何で魔王がもう来るんだよ!

 やっぱり、ゲルドの件で、目をつけられてたのか?

 すると。

 

???『1人にしないで…………。』

レイト「ん?」

 

 突然、謎の声が聞こえてきて、俺は周囲を見渡す。

 俺が周囲を見渡している事に気付いたリムルが、俺に声をかける。

 

リムル「どうした?」

レイト「いや………声が聞こえた様な………。」

リムル「ん?聞こえないぞ?………あ。」

 

 リムルがそう声をかける中、ミリムは、リムルを興味深そうに突いていた。

 あの声は、女性の物だった。

 しかも、あのミリムっていう魔王の様な声が聞こえてきて………。

 何なんだ?

 俺がそう思っている中、リムルはミリムに話しかける。

 

リムル「は…………初めまして。この町の主の片割れ、リムルと申します。」

レイト「…………で、俺はレイトです。」

リムル「よ………よくぞ、スライムである俺と、キメラのレイトが、一番強いと分かりましたね。」

ミリム「ふふん。その程度、私にとっては、簡単な事なのだ!この目、竜眼(ミリムアイ)は、相手の隠している魔素の量まで、測定出来るのだ。」

レイト「へぇ………竜眼。」

ミリム「まあ、私の前では、弱者のふりなど出来ぬと思うが良い。」

 

 なるほど、そんなスキルが。

 解析鑑定みたいな物か。

 それにしても、随分とやばい気配の魔王だよな。

 ただ、ミリムって奴から、少しだけだが、声が聞こえた様な気がしたのは、気のせいか?

 そんな事を考えていると、ミリムが話しかけてくる。

 

ミリム「ところで、お前達のその姿が本性なのか?ゲルミュッドの奴を圧倒した、あの銀髪の人型や、橙色の仮面の戦士の姿は、変化した物なのか?」

 

 ミリムは、俺たちにそう聞く。

 どうやら、仮面ライダーキマイラの事は把握しているみたいだな。

 

レイト「全部、知ってるって訳か。」

リムル「フン!この姿の事ですかね?」

 

 俺とリムルは、人としての姿になる。

 ミリムは、俺たちに近寄る。

 

ミリム「おお!やはり、お前だったのだな!………ただ、そこのお前が、橙色の仮面の戦士か?」

レイト「そうだな。ちなみに、この姿は、人間としての姿だ。」

ミリム「…………では、豚頭帝を倒したのだな?」

リムル「まあ、俺たちが勝ちましたけど………。で、何の御用なのでしょう?」

レイト「もしかして、ゲルミュッドを倒した俺たちへの復讐ですか?」

 

 俺たちの質問に対して、ミリムは意外そうな顔をする。

 

ミリム「はあ?用件だと?挨拶しに来たんだけど。」

 

 ミリムは、そう言った。

 俺が思った事としては。

 

レイト(それだけかよ………。)

 

 俺とリムルが唖然となっている中、背後から、誰かが出てくる。

 紫苑と火煉だった。

 しかも、火煉はベイルに変身していた。

 

リムル「えっ?」

紫苑「覚悟!」

火煉「ハァァァァ!!」

レイト「おい!」

嵐牙「さっ!我が主達よ!」

 

 紫苑と火煉は、ミリムに向かって攻撃していき、嵐牙は、俺とリムルを咥えて、走り出す。

 

リムル「ま、待て、嵐牙!」

レイト「ちょっと待て!」

嵐牙「待てません!お許しを!!」

 

 俺とリムルは、嵐牙に声をかけるが、嵐牙は無視して走る。

 紫苑と火煉の攻撃は、ミリムにあっさり受け止められていた。

 

ミリム「フフフ…………。」

紫苑「うっ………!」

火煉「なっ………!?」

ミリム「何だ?私と遊びたいのか?」

「「待てって!!」」

嵐牙「ギャイン!」

 

 ミリムが右手でベイルに変身した火煉のパンチを、左手で剛力丸を受け止めているのに驚きながら、俺たちは木の枝を掴んで、嵐牙を止める。

 その際、俺とリムルの足で、嵐牙の首が絞まり、嵐牙は苦しそうにする。

 そんな中、ミリムは、紫苑と火煉の二人を投げ飛ばしていた。

 すると、ミリムが糸によって拘束された。

 

ミリム「わっ!お………おお〜!」

蒼影「いかに魔王といえども、この糸の束縛より、逃れる事は出来まい。」

紅丸「燃え尽きるが良い!!」

 

 蒼影の糸によって拘束されたミリムに、紅丸は黒炎獄(ヘルフレア)をミリムに放って、ミリムは炎に包まれる。

 

紅丸「火傷くらいしてくれると嬉しいが……。」

 

 紅丸は、そう呟いていた。

 すると、炎の中から、笑い声が聞こえてくる。

 

ミリム「アハハハハ………!わぁ!凄いのだ!これほどの攻撃、私以外の魔王なら、無傷では受けられなかったかもしれぬぞ!………だが、私には通用しないのだーー!!」

 

 ミリムは、やっぱりと言うべきか、無傷だった。

 ミリムはそう叫ぶと、オーラを周囲に放出して、紅丸達を吹き飛ばし、近くにあった木も、根元からひっくり返る。

 俺たちは、嵐牙が抑えてくれていたというのもあって、無事だった。

 ミリムの周囲には、着地した時よりも遥かに巨大なクレーターが出来上がっていた。

 俺は火煉、リムルは紫苑の元に行く。

 

レイト「火煉、ベイル!大丈夫か?」

火煉「レイト様………!」

ベイル「こいつ………強い………!」

レイト「見れば分かる。とにかく、回復薬を使っておけ。」

 

 火煉は、体に外傷は無いな。

 ベイルは、まあ、ベルトの中に居るから、ベルトにダメージが及んでいなければ、大丈夫か。

 すると、紅丸と蒼影が、俺たちに声をかける。

 

紅丸「リムル様、レイト様………お逃げ下さい………!」

蒼影「ここは、私たちが………!」

リムル「お前たちもほれ。それ飲んで寝てろ。」

レイト「さて………行くか。」

 

 リムルは、紅丸と蒼影に回復薬を渡して、俺は、キメラドライバーを装着する。

 すると。

 

リムル「レイト。ここは、俺に任せてくれないか?」

レイト「リムル?」

リムル「頼む。」

レイト「…………分かったよ。やばくなったら、加勢するからな。」

 

 リムルがそう言ったので、俺は、キメラドライバーを装着したまま、リムルに任せる事にした。

 ミリムが口を開く。

 

ミリム「どうした?まだ遊び足りぬのか?……良いだろう。もっと遊んでやるのだ。」

紅丸「リムル様………。」

リムル「諦めたら、そこで終了だから、出来るだけやってみるさ。期待はするなよ。」

レイト「出来る限りはやれ。」

ミリム「ほう………。私に立ち向かうのか?」

リムル「自信があるのなら、俺の攻撃を受けてみるか?」

ミリム「アッハハハハ!良いだろう!面白そうなのだ!………ただし、それが通用しなかったなら、お前達は私の部下になると、約束するのだぞ。」

リムル「分かった。」

 

 そう言って、リムルはクレーターの中心にあるミリムの方へと向かう。

 リムルは、どう対処するつもりだ?

 すると、リムルが構え、リムルの右手に、金色の液体が集まる。

 

レイト(アレって確か………。)

リムル「食らえ〜〜!」

 

 俺がそう考える中、リムルは駆け出して、その金色の液体をミリムの口に突っ込む。

 しばらくの静寂の末、ミリムが叫ぶ。

 

ミリム「何なのだ、これは!こんな美味しい物、今まで食べた事が無いのだ!」

リムル「どうした?魔王ミリム。」

ミリム「えっ!?」

リムル「ここで俺の勝ちと認めるならば、更にこれをくれてやっても良いんだが?」

レイト(ああ、アレって、蜂蜜だな。)

 

 そういえば、確か、アピトって名付けた蜂から、蜂蜜を受け取ってたな。

 確かに、ミリムって、魔王だけど、幼そうに見えるもんな。

 

ミリム「欲しい………!うう………だがしかし、負けを認めるなど………!」

リムル「う〜ん!美味しい!」

ミリム「あ〜っ!!」

 

 ミリムは、魔王としてのプライドか、負けを認めようとしなかったが、リムルが追い打ちをかける様に、蜂蜜をミリムの前で食べる。

 俺たちは、それを呆然と見ていた。

 

リムル「お〜っと!そろそろ残りが少なくなってきたぞ!」

ミリム「ま………待て待て!提案がある!引き分け………!今回は引き分けでどうだ?今回の件、全て不問にするのだ!」

リムル「ほほう?」

ミリム「も………勿論、それだけではないのだ!今後、私がお前達に手出しをしないと誓おうでは無いか!」

リムル「…………良いだろう。その条件を受けよう。」

ミリム「うわぁ!」

リムル「では、今回は引き分けという事で。」

 

 そうして、リムルは若干悪い笑みを浮かべながら、ミリムに蜂蜜を渡す。

 未曾有の天災を、乗り切ったな。

 俺たちは、場所を移動して、ミリムが蜂蜜を舐めるのを見ていた。

 

ミリム「あ〜ん!う〜ん!美味しい!美味しいのだ〜!」

レイト「それは良かったな。」

 

 俺は、ミリムにそう話しかけ、リムルと思念伝達で話し合う。

 

レイト『リムル、グッジョブ!』

リムル『ああ!………それにしても、これ以上面倒な事になる前に、早く帰ってくれないかな〜。』

レイト『確かに…………。』

 

 確かに。

 これ以上、ミリムがここに居ると、面倒な事になりそうだ。

 だが、微かにミリムから聞こえた声は、誰かを求めている様な感じがした。

 何なんだろうか。

 すると、ミリムが俺たちに話しかける。

 

ミリム「なあなあ。」

「「ん?」」

ミリム「お前達は、魔王になろうとしたりしないのか?」

リムル「…………何で、そんな面倒な事しないといけないんだ。」

ミリム「えっ!?だって、魔王だぞ!?かっこいいだろ?憧れたりとかするだろ?」

レイト「しないって。」

ミリム「えっ!?」

「「えっ?」」

 

 俺の言葉に、ミリムは驚いた様な表情を浮かべる。

 えっ、何で驚くの?

 リムルが、ミリムに質問をする。

 

リムル「魔王になったら、何か良い事でもあるのか?」

ミリム「強い奴が、向こうから喧嘩を売ってくるのだ。楽しいぞ。」

レイト「そういうのは、間に合ってるし、俺たちは興味もないよ。」

ミリム「ええっ!?じゃあ、何を楽しみに生きてるんだ?」

リムル「色々だよ。」

レイト「俺ら、やる事が多すぎて、かなり忙しいからさ。魔王の楽しみは、喧嘩以外には、何かあるのか?」

 

 俺の質問に、ミリムは言葉に詰まる。

 

ミリム「無いけど………。魔人や人間に威張れるのだぞ?」

リムル「退屈なんじゃ無いか?それ。」

 

 ミリムの答えに、リムルがそう言うと、ミリムは図星の態度を取る。

 まあ、魔王なんざ興味ないしな。

 魔王になって、余計なしがらみは増やしたくない。

 ていうか、退屈してんじゃねぇか。

 

リムル「じゃあ、そろそろ………。」

レイト「気をつけて帰れよ。えっ!?」

 

 俺たちがそう言うと、ミリムは俺とリムルを掴む。

 

ミリム「お前達、魔王になるより面白いことしているんだろ!?」

リムル「ええっ!」

ミリム「ずるいぞ!ずるい!ずるい!もう怒った!」

レイト「そう言われても………。」

ミリム「教えろ!そして、私を仲間に入れるのだ!村に連れて行け〜!」

 

 そう言って、ミリムは、俺とリムルを激しく揺すって、俺とリムルを締める。

 …………っていうか、限界!

 駄々っ子かよ!

 俺とリムルは、即座に脱出する。

 

リムル「分かった、分かった。」

レイト「町には連れて行く。ただし、条件がある。今度から俺たちの事は、さん付けで呼べよ。」

ミリム「ふざけるな!逆なのだ!お前達が私をミリム様と呼べ!」

リムル「………じゃあ、こうしよう。俺たちがミリムと呼ぶから、お前は俺たちを呼び捨てで呼ぶ。どうだ?」

 

 俺とリムルの提案に、ミリムはそう言う。

 リムルが、折衷案を上げると、ミリムは少し目線を逸らして、答える。

 

ミリム「…………分かった。しかし、特別なのだぞ。私をミリムと呼んで良いのは、仲間の魔王達だけなのだ。」

レイト「はいはい、ありがとうな。」

リムル「じゃあ、今日から俺たちも友達だな。」

ミリム「う………うむ。」

レイト「これから村を案内するが、俺たちの許可なく暴れるなよ。約束だ。」

ミリム「もちろんなのだ!約束するぞ、リムル、レイト!」

 

 どうにかなったみたいだな。

 だが、あのミリムから聞こえてきた声といい、ミリムのあの反応といい、友達が欲しい感じなのか?

 ミリムが高笑いしていると。

 

ガビル「おや?」

ミリム「あ?」

 

 その声がして、蒼影を除いた全員が震える。

 蒼影は、リグルドあたりに知らせに行ったのだろう。

 震えた理由は、ガビルがとんでもない事を言ったからだ。

 

ガビル「どなたですかな?このチビッ娘は?」

ミリム「えい!」

ガビル「ああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 そんな事を言ったもんだから、ミリムに盛大に殴られ、石畳を破壊しながら、転がって行く。

 

ガビル「ああ…………。」

ミリム「誰がチビッ娘だ!ぶち殺されたいのか?」

 

 暴れるなって、言ったばかりなのに………。

 早速暴れたミリムを俺たちが呆れながら見ていると、ミリムはガビルに話しかける。

 まあ、ガビルの自業自得な面もあるけど。

 

ミリム「良いか?私は今、とても機嫌が良い!だから、これで許してやるのだ!次はないから、気をつけるのだぞ!」

ガビル「ぶははっ!我輩の親父殿が、川の向こうで手を振っているのが見えましたぞ。」

リムル「お前の親父は生きてるだろ。」

レイト「何言ってんの?」

ガビル「あっ。ところで、そちらのチビッ娘………。」

ミリム「ああ?」

 

 ガビルが、またチビッ娘って言おうとした瞬間、ミリムはガビルを睨む。

 

ガビル「おっと。お嬢様は一体………?」

リムル「こいつは、ミリム。」

レイト「魔王の一人らしいぞ。」

ガビル「魔王ですと!?」

 

 俺とリムルがそう言うと、ガビルは驚く。

 まあ、そうなるのも、無理はない。

 

リムル「あのな、ミリム。怒っていても、すぐに殴ったりしたらダメだぞ。」

ミリム「う………私を怒らせる方が悪いのだ。それに、あの位は、挨拶の内だぞ。」

レイト「殴り合いは挨拶じゃないんだぞ。それは禁止だ。」

ミリム「うう………!」

 

 俺とリムルの言葉に、ミリムは頬を膨らませる。

 そんなこんなで、村の皆に、ミリムの事を紹介する。

 

リムル「新しい仲間を紹介する。」

レイト「といっても、扱いは客人という形になるので、丁寧親切に対応して欲しい。」

ミリム「ミリム・ナーヴァだ!」

 

 ミリムがそう叫ぶと、周囲がどよめく。

 まあ、魔王の一人だからな。

 

村人「なんと!?魔王ミリム様!?」

村人「おお………!ご尊顔を初めて拝謁出来ましたぞ!」

ゴブタ「さすが、リムル様とレイト様っす!」

リグルド「あの暴君と、ああも親しげに……。これで、このテンペストも、安泰という物だ………!」

 

 ミリムって、有名な魔王なんだな。

 っていうか、リグルドは泣きすぎだろ。

 すると、ミリムがとんでもない事を言った。

 

ミリム「今日から、ここに住む事になった!よろしくな!」

「「えっ?」」

 

 ミリムの発言に、俺たちが驚いていると、周囲が歓声を上げる。

 住むなんて、聞いてないぞ!?

 ただ案内して、案内し終わったら、帰る感じじゃなかったのか!?

 リムルが、ミリムに聞く。

 

リムル「………住むって、どういう事だ?」

ミリム「そのままの意味だぞ。私もここに住む事にしたのだ。」

レイト「ああ………。ま、まあ、本人がそう言っているので、そのつもりで、対応して欲しい。」

 

 リムルの質問に、ミリムが答え、俺がそう言うと、再び歓声を上げる。

 人気なんだな。

 すると、ミリムが叫ぶ。

 

ミリム「何かあったら、私を頼ってもいいのだ!」

 

 ミリムの宣言に、村人は歓声を上げる。

 すると、リムルがつぶやく。

 

リムル「魔王と友達か………。」

ミリム「そうだな。友達は変だな………。」

リムル「あ………聞こえてた?」

レイト「聞こえてたぞ。」

ミリム「え、えっと………。友達というより………マブダチだな!」

 

 ミリムがリムルを持ち上げ、俺の腕を持ち上げながらそう言うのに、村人は、何度目かの歓声を上げる。

 俺たちは、驚く。

 

レイト「マブダチ!?」

ミリム「違うのか!?う、うぅ………。」

 

 俺の叫びに、ミリムが反応して、泣き出しそうになる。

 やっべぇ、地雷を踏んだか!?

 

リムル「マブダチ!マブダチ!皆!俺たち3人はマブダチ!」

 

 リムルがそう宣言すると、周囲の人たちが、マブダチコールを始める。

 

ミリム「だろ?お前達も、人を驚かせるのが上手いな。」 

 

 こうして、火薬庫よりも危険な魔王ミリムが、ジュラ・テンペスト連邦国の仲間入りを果たした。

 そして、温泉宿の『嵐ノ湯』で、ミリムは温泉に入っていた。

 一方、俺たちは、和室に集まっていた。

 集まっていた面子は、俺、リムル、リグルド、カイジン、紅丸、蒼影、白老だ。

 集まっていた理由は、ミリムの扱いと、今後の方針だ。

 ただ、リムルが何かを考え込んでいた。

 

レイト「リムル。」

リムル「ああ、すまない。何だっけ?」

リグルド「ミリム様の件です。まさか、魔王自らやって来るとは思いませんでした。」

リムル「でもまあ、一応は許可なく暴れないと約束してくれてるし………。」

カイジン「いや、しかし、気になるのは、他の魔王達の出方じゃねえか?」

レイト「どういう意味だ?」

 

 カイジンの言葉に、紅丸達は頷き、俺は、理由を尋ねる。

 

カイジン「魔王は何人か居るんだが………お互いが牽制し合ってるんだ。今回、旦那方がミリム様と友達と宣言したから、この町も、魔王ミリムの庇護下に入る事を意味する。本来なら、それは望ましい事かもしれんが………。」

白老「リムル様とレイト様は、総統という立場にありますのじゃ。つまり、このジュラの大森林が、魔王ミリムと同盟を結んだ………そういう風に、他の魔王達の目には、映るでしょうな………。」

紅丸「魔王ミリムの勢力が一気に増す事になり、魔王達のパワーバランスが崩れる。」

「「なるほど………。」」

 

 つまり、俺たちは、魔王達の勢力争いに巻き込まれるかもしれないって事か。

 面倒な事になりそうだな。

 

リグルド「しかし、実際にですぞ。魔王ミリム様を止めようとしても、無理でしょう。」

紅丸「あれは、別次元の強さだった。リムル様とレイト様がいなければ、俺たちは今頃、生きてはいない。」

蒼影「その通りだ。他の魔王が敵対するというのなら、そいつらを相手にする方がマシだろう。」

 

 そこまでか………。

 ていうか、ミリムの暴走を止めた件に関しては、俺、何もしてないぞ。

 しばらくの静寂の末、獅子脅しの音がすると。

 

リグルド「という事で、ミリム様のお相手は、マブダチとして、リムル様とレイト様に全てを任せるという事で………。」

「「「異議なし。」」」

「「丸投げ!?」」

 

 俺たちに丸投げしたぞ!

 俺たちが驚いている中、白老が口を開く。

 

白老「魔王ミリム様は、最強最古の魔王の一人。絶対に敵対してはならない魔王と、言われておりますしのう。今回ばかりは、リムル様とレイト様にお任せする他ありますまいて。ホッホッホッホッ。」

 

 仕方ないか………。

 俺とリムルは、そう思った。

 だが、俺たちは知らなかった。

 ミリムが巻き起こす旋風は、まだ吹き始めたばかりだという事を。

 一方、当のミリムは、朱菜、紫苑、火煉にお湯をかけていた。

 

ミリム「アハハハハ………!楽しいのだ!うおぉぉぉ!ハハハ………!」

朱菜「お風呂で遊んではいけませんって、言ってるでしょ!」

火煉「やめて下さい!」

紫苑「うう…………くらえ!」

 

 紫苑はそう叫んで、お湯をミリムにかける。

 

ミリム「やったな!それ!」

朱菜「良い加減にしなさーい!!」

火煉「紫苑もやめなさい!」

 

 女湯から、朱菜と火煉の叫び声が響くのだった。




今回はここまでです。
レイトは、ミリムから、何かを感じとります。
一体何を感じ取ったのかは、いずれ明かします。
そして、エビルとライブの新形態、ライブマーベラスに、エビルマーベラス、デモンズの強化形態のインペリアルデモンズが発表されました。
リバイスのVシネマが楽しみです。
インペリアルデモンズに関しては、蒼月に変身させようかなと思っています。
次回、獣王国からの使者がやって来たりします。
カリュブディス戦が終わった後に、レイトは、仮面ライダーダイモンに変身出来る様になります。

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