転生したらキメラだった件   作:仮面大佐

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第17話 忍び寄る悪意

 俺たちに、ヨウム達が仲間に加わり、宴会になっていたその頃、フォビオは、ある事を思い出していた。

 

レイト『あのさ、気が短くないか?』

ミリム『親友(マブダチ)に何するのだ〜!』

 

 俺に拳をあっさり受け止められ、ミリムにあっさり倒された事だ。

 フォビオは、焚き火を見ていたが、悔しさからか、顔を歪める。

 

フォビオ「くぅ…………!」

 

 フォビオは、手に持っていた枝を折り、焚き火に放り込む。

 

フォビオ「くそっ!許せねぇ………!」

 

 そう言うフォビオを、仲間達は不安そうに見つめていた。

 

フォビオ「俺を誰だと思ってる………!黒豹牙フォビオだぞ………!」

エンリオ「魔王ミリムが相手では、不可抗力という物です。例え、魔王カリオン様でも………。」

フォビオ「馬鹿野郎!カリオン様なら、こんな無様は晒さなかっただろうぜ。………俺が未熟だっただけの話よ。…………しかし、このまま成果なく戻るのは、俺の誇りが許さんのだ。」

 

 フォビオは、そう言いながら、焚き火を見つめる。

 そして、話を再開する。

 

フォビオ「……………あいつらは、自分達で街を作っていやがったな。下等な魔物だと侮っていたが、俺たちでも及ばぬ様な、技術を持っていやがる。」

エンリオ「全くです。配下に加えるなどと言わず、我らがユーラザニアと国交を結びたいほどですな。」

フォビオ「ああ。魔王ミリムが居なかったとしても、俺の対応は間違っていた。盟主の片割れに、攻撃するなんてな。頭ごなしに支配しても、奴らの信頼は得られなかっただろうからな。…………だが、今更だぜ。この屈辱は、怪我が癒えても、消えやしねえ。カリオン様に、迷惑をかけねえように、何とかして、復讐してやりたいんだよ。」

 

 フォビオは、自分の対応が間違っていた事は分かっていた。

 だが、自分の攻撃をあっさり受け止められ、返り討ちにされた。

 その屈辱は、あまりにも大きかった。

 仲間のエンリオが、諌めるくらいには。

 

エンリオ「………そうは申されましても………復讐など、現実的では………。」

フォビオ「分かってんだよ!頭では無理だって!…………だけど、こればっかりは、理屈じゃねぇんだよ。く…………!」

 

 レイトとミリムへの復讐に燃えるフォビオを、仲間達は不安そうに見つめる。

 すると。

 

???「ホーホッホッホッ………!」

フォビオ「はっ!?」

 

 突然響く笑い声に、獣人達は、笑い声がしてくる方を見る。

 

エンリオ「何者だ!」

 

 エンリオがそう叫ぶと、太った男性が出てくる。

 クレイマンの仲間である中庸道化連の一員、フットマンだ。

 

フォビオ「は?」

フットマン「いやいや〜。その悔しい気持ち。この私にも、よ〜く理解出来ますね〜。ご機嫌よう、皆様。私は、フットマンと申します。」

フォビオ「……………フットマン?」

フットマン「中庸道化連が1人、アングリーピエロのフットマンとは、私の事。どうぞ、お見知り置きを。」

「「………………。」」

 

 いきなり現れたフットマンに、フォビオとエンリオは、警戒心を顕にする。

 すると、フットマンの後ろから、女の子が出てくる。

 クレイマンと話していた、ティアだ。

 

ティア「そんなに警戒しないでほしいな〜。あたいは、ティア!貴方達の敵じゃないよ!」

フォビオ「……………何の用だ?」

フットマン「ホーホッホッホッ!私はね。怒りと憎しみの感情に呼ばれて、やって来たのですよ。」

フォビオ「怒りと憎しみ?」

フットマン「上質な怒りの波動を感じました。」

フォビオ「うっ…………!」

 

 フットマンの言葉に、フォビオは言葉を詰まらせる。

 フォビオは、レイトとミリムに、怒りと憎しみの感情を抱いていた。

 その結果、この謎の魔人を誘き寄せた事に気づいたのだ。

 フットマンは、フォビオに話しかける。

 

フットマン「何をお怒りになっているのか、是非とも、お聞かせ下さい。…………きっと、力になってご覧にいれますから。」

フォビオ「あ…………。」

 

 フォビオが、フットマンの言葉に俯くと、エンリオが前に出る。

 

エンリオ「フォビオ様。このような者どもの話を聞く必要はございません。排除してもよろしいですか?」

 

 エンリオがそう言うと、仲間の獣人達も、身構える。

 

エンリオ「我々は、魔王カリオンの獣王戦士団に属する者。野良の魔人程度が、相手になるとでも思ったか?」

フットマン「…………力が欲しいのでしょう?ございますよ。とびっきりの力が…………。当然ですが、危険も大きい。しかし、その危険に打ち勝った時、得られる力は絶大です。」

フォビオ「……………ほう。」

エンリオ「フォビオ様!?」

 

 フットマンの言葉に、フォビオは興味を示し、エンリオは驚く。

 それを見たティアは、畳み掛ける。

 

ティア「勝ちたいんだよね?魔王ミリムに、レイトって奴に!だったらさ、あんたも魔王になっちゃいなよ〜!」

フォビオ「魔………王…………!」

エンリオ「あ…………。」

 

 ティアの言葉に、獣人達は驚く。

 しばらく、静寂が訪れ、その場には、焚き火が爆ぜる音がした。

 

フォビオ「…………魔王だと?その様な戯言で、俺を騙せるなどと…………。」

フットマン「暴風大妖渦(カリュブディス)。」

フォビオ「はっ!」

 

 フォビオは、フットマンの言った言葉に驚く。

 フットマンは、話をする。

 

フットマン「ご存知ありませんか?」

フォビオ「カリュブディス…………だと?」

エンリオ「あ…………!」

ティア「あ〜あ。あの大怪魚の邪悪な力なら、魔王に匹敵するんだけどな〜。要らないんなら、他を当たるから、もう行くね。………ほら、行こ!」

フットマン「ホッホッホッ………。残念ですねぇ………。」

 

 ティアとフットマンは、その場から去ろうとする。

 そんな2人を、フォビオは呼び止める。

 

フォビオ「待て。」

「「フッ。」」

 

 フォビオが呼び止めた事に、ティアとフットマンは、ほくそ笑む。

 エンリオは、フォビオに声をかける。

 

エンリオ「なりません!フォビオ様!」

フォビオ「…………俺は、最初から面白くなかったんだ。何で、豚頭帝(オークロード)の様な雑魚が、魔王に抜擢されるんだ。………ふざけるな!新しい魔王が必要だと言うなら、俺が………!俺が強くなるなら、カリオン様だって、笑って許してくれるだろうぜ。」

エンリオ「フォビオ様…………。」

フォビオ「詳しく聞かせろ。」

 

 フォビオの言葉に、フットマンとティアは振り返る。

 

フットマン「おお〜!流石にフォビオ様ですね〜。そうでしょうとも!魔王となるのは、貴方を置いて、他には居ませんとも!」

ティア「やっぱり、強い者が魔王にならないと、間違ってるよね。あたいもそう思うよ!その点、フォビオ様なら適任だよね!」

 

 そうして、フォビオは、フットマンとティアから、話を聞く事にした。

 エンリオ達は、それを見ていた。

 

フォビオ「…………この話、てめぇらに、何の得がある?目的は何だ?」

ティア「魔王になったら、あたい達を贔屓にしてくれたらいい!当然、色々と、便宜を図ってもらいたいしね。」

フットマン「ホッホッホッ。我々だけでは、カリュブディスを従える事は、出来ませんからねぇ。」

ティア「せ〜っかく、封印された場所を見つけたけど、このままじゃ、宝の持ち腐れだし。」

フットマン「タイミングよく、フォビオ様をお見かけしましてね。」

フォビオ「…………なるほどな。だが、俺がカリュブディスを従える事が出来るかどうかは………。」

 

 ティアとフットマンの話を聞いたフォビオは、不安そうにそう言う。

 すると、フットマン達は。

 

フットマン「ホーホッホッホッ!フォビオ様なら、必ずや成功するでしょう!」

ティア「大丈夫!大丈夫!」

フォビオ「…………俺が魔王になった時に、自分達が最も役に立ったって、実績が欲しいって事か。」

 

 フットマンとティアの話を聞いたフォビオは、そう呟く。

 一考の末、出した答えは。

 

フォビオ「…………その話、引き受けようじゃねぇか。」

 

 フォビオは、引き受けてしまった。

 その先に待っているのは、傀儡となる未来だとは、気付かずに。

 フットマンとティアが、焚き火で温まる中、フォビオは、エンリオ達に声をかける。

 

フォビオ「お前達は戻れ。」

エンリオ「フォビオ様!」

フォビオ「事の顛末を伝えるのだ。」

エンリオ「しかし…………。」

フォビオ「カリオン様には、迷惑はかけられねえ。三獣士の地位を返上し、野に下るとお伝えしてくれ。…………今まで仕えてくれて、感謝する。」

エンリオ「フォビオ様…………。」

フォビオ「俺は修羅となり、俺の力を、魔王ミリムと、あのレイトって奴に認めさせてやる。」

エンリオ「あ…………。分かりました。カリオン様に、ご報告致します。………しかし、カリュブディスの力は未知数。くれぐれも、お気をつけ下さい。」

 

 そう言って、エンリオ達は、ユーラザニアへと戻っていった。

 そんな中、エンリオが思った事は。

 

エンリオ(フォビオ様は、愚かなお方ではない。本当にカリュブディスが居るんだとしても、従える事が出来るはずだ。)

 

 そう思っていた。

 エンリオ達を見送ったフォビオに、フットマン達が話しかける。

 

フットマン「では、向かうとしましょう。」

フォビオ「ああ。俺とカリュブディスの力を合わせたなら、あの魔王ミリムと、レイトの憎たらしい面を、泣きっ面に変えてやれるだろうぜ。」

フットマン「ホッホッホッ!その意気です。」

ティア「うんうん!あたいも応戦してるよ〜!」

 

 そうして、フォビオ達が動き出す。

 一方、テンペストの嵐ノ湯では。

 

ミリム「ぷは〜!」

紫苑「ぷはっ!」

朱菜「ぷは〜!」

 

 ミリム、紫苑、朱菜の3人が、潜水対決をしていた。

 それを、火煉は呆れながら見ていた。

 

ミリム「どうだ!私の勝ちなのだ!私の方が、長い時間潜ってられるのだ!」

紫苑「いいえ。勝ったのは私です。」

朱菜「違います。ほんの僅かの差ですが、私の勝ちです。」

火煉「お風呂で潜水しちゃダメでしょ。」

 

 ミリム、紫苑、朱菜の3人は、そう張り合い、火煉がそう突っ込む。

 ミリム達は、火煉の事を無視する。

 

ミリム「負けを認めないとは、狡いぞ!紫苑!朱菜!よ〜し!だったら、もう一回だ!決着をつけてやる!」

紫苑「良いでしょう。もう一度。」

朱菜「本来なら、お風呂に潜るのは良くない事ですが、やりましょう。」

火煉「朱菜様も、分かっているのなら、止めてくださいよ…………。」

 

 火煉の呆れ声と共に、再び潜水する音が、俺たちが入っている男湯の反対の女湯から聞こえてきた。

 

リムル「はぁ…………。あっち、楽しそうだな〜。向こうに行けば良かったかな………。」

レイト「本音がダダ漏れだぞ。」

 

 まあ、男湯に居るのは、フューズなのだが。

 リムルは、フューズに話しかける。

 

リムル「なぁ。いつまでこの街にいるつもりだよ。」

レイト「まだ、納得してない感じですか?」

フューズ「えっ?あ…………いえ。リムル殿とレイト殿の疑いは、とっくに晴れているんですがね。」

レイト「晴れてんのかい。」

リムル「じゃあ、何でだよ。」

フューズ「いやぁ…………。ここは、実に居心地がよろしくてですな…………。ろくに休みも無かったですし、ゆっくり羽を伸ばすのも、良いのではないかと…………。」

 

 居心地良いのは、ありがたいな。

 今後、人間との取引も増えるだろうし、そう思ってもらえるのは、嬉しいもんだ。

 リムルは、呆れ顔で言う。

 

リムル「お前なぁ………。『あなた方が本当に人間の味方なのかどうか…………しっかりと、確かめさせて貰う事にします。』とか、かっこいい事言ってたくせに。」

フューズ「ふぅ…………。」

レイト「聞いてないね。」

 

 リムルの言葉に対して、フューズは息を吐きながら、お酒を飲む。

 俺が苦笑していると、リムルは、きつめにフューズに聞く。

 

リムル「おい!」

フューズ「え?」

レイト「そういえば、ヨウム達の件は、どうなってるんですか?」

リムル「そうだぞ!俺たちの代わりに英雄に仕立て上げる協力をしてくれる約束!」

フューズ「ああ………。」

リムル「ああ………じゃないって!もうヨウム達は旅立ったんだぞ。英雄として、各地で名を売る為にな。」

 

 リムルは、青筋(?)を浮かべながらそう聞くと、フューズは答える。

 

フューズ「それなら、問題ないですよ。既に仕込みは終わらせております。」

レイト「そうなのか?」

フューズ「ええ。ちゃんと、豚頭帝を倒した英雄として、名を広められる様に、根回ししてあります。そして、リムル殿とレイト殿達は、それを手伝った害のない魔物達だ………と、噂になる様に。」

リムル「そっか………なら良いや。」

 

 流石はギルドマスター。

 仕事が早いな。

 ただ、一つ懸念点があるとしたら………。

 

レイト(やっぱり、他の異世界人が、この街をどう思うかだよな………。)

 

 そう、この街は、魔物の街。

 異世界人は、人間だから、ゲームをやっている人からしたら、絶好の獲物といえるだろう。

 何せ、俺とリムルが定めた掟によって、こちら側から、仕掛ける事はないからな。

 まあ、今、そんな事を考えても意味はないか。

 すると、フューズが風呂から上がろうとする。

 ちなみに、ヨウムには、俺のキメラ細胞を埋め込んだ。

 白老に厳しくしごかれて、怪我が酷かったから、自然治癒力を高める為に。

 

フューズ「さて、私はお先に…………。」

 

 フューズが上がろうとすると、リムルが声をかける。

 

リムル「ああ、そうだ。お前達のブルムンド王国へも、道を作ろうかと思ってるんだけど。」

フューズ「えっ?いや………えっ?いやいや…………。それは、ありがたい事ですが、大規模な国家事業になりますぞ。莫大な予算が…………。」

リムル「そこだよ、フューズ君。」

フューズ「く………君?リムル殿にそう呼ばれると、何だか、背中がむず痒いのだが………。」

レイト「まあ、そんな事はいいさ。要は、今後の取引の為にやるんだろ?」

リムル「ああ。当然だが、作業は、俺たちが引き受けようじゃないか。ただし。」

フューズ「ただし?」

リムル「我が国の特産品を、他の国にも売りつけたいので、諸々の相談ができる人物の紹介を頼みたい。」

フューズ「分かりました。お安い御用です。」

レイト「ありがとうございます。」

 

 すると、女湯の方から、ミリム達の声が聞こえてきて、リムルは頬を赤く染める。

 そんなリムルに、俺は呆れていた。

 一方、フォビオ達は、カリュブディスが封印されている場所に着いた。

 

フォビオ「ここに?」

ティア「そうだよ〜。」

フットマン「まだ、復活していませんが、破壊への渇望が漏れ出ています。そうした感情が大好物な我々だからこそ、発見できたのですけどね。」

フォビオ「確かに………異様な妖気を感じるな。カリュブディス………。」

 

 フォビオは、カリュブディスの妖気を感じ取っていた。

 フットマンは、フォビオに声をかける。

 

フットマン「カリュブディスの復活には、本来、大量の死体が必要です。」

フォビオ「死体?」

フットマン「カリュブディスとは、精神生命体の一種です。この世界で力を行使するには、肉体を与えてやらねばなりません。」

フォビオ「なるほど…………それで?」

フットマン「貴方の役目は…………。」

 

 フットマンは、その先を言わなかった。

 だが、フォビオは、それだけで察した。

 

フォビオ「まさか、お前………!」

フットマン「従えるとは…………つまり、カリュブディスをその身に宿し、ご自身と同一化するという事なのですよ。」

フォビオ「俺の体に………!?」

ティア「辞めるなら、今だよ。」

フォビオ「うっ………!」

ティア「でも…………。」

フォビオ「でも?」

ティア「この封印は、もう長く持たないかも………。」

 

 ティアの言葉に、フォビオが質問をする。

 

フォビオ「持たなかったら、どうなる?」

ティア「いずれ、自動的に復活しちゃう………かな?」

フォビオ「死体が必要なんだろ?」

ティア「そうだけど…………封印されてても、自分の復活に必要な魔物の死体ぐらいは、用意出来ちゃうんじゃないかな………。そうなったらあたい達は、くたびれ損になっちゃう!」

フットマン「そうですね〜。」

ティア「けど、復活しちゃったら、制御は無理だろうし、純粋な破壊の意思だから、誰の命令も聞かないだろうし………。」

 

 ティアとフットマンがそう話す中、フォビオが口を開く。

 

フォビオ「復活する前に封印を解き、その力を奪わないとダメという訳か?」

ティア「えっ?あ………うん。そういう事。」

フットマン「流石です。」

フォビオ「良いだろう。カリュブディスの力、我が物としてやろう!」

 

 そう言って、フォビオは洞窟の中へと入っていく。

 その時に、フォビオは呟く。

 

フォビオ「やってやるぜ。カリュブディスを俺の体に従えて、あの小生意気な魔王ミリムと、あのレイトって奴を………!」

 

 フォビオの決意は固かった。

 一方、フットマンとティアは。

 

フットマン「行きましたねぇ。」

ティア「行ったねぇ。」

フットマン「流石は、脳が筋肉で出来ているカリオンの部下ですねぇ。」

ティア「簡単だったねぇ。」

 

 そう言った直後、2人は高笑いする。

 フットマンは、ティアに尋ねる。

 

フットマン「これで終了ですか?」

ティア「クレイマンからは、『カリュブディスを復活させて、ミリムに向かわせろ』………としか、聞いてないよ。………あっ!」

フットマン「ん?」

ティア「用意してたレッサードラゴンの死体、要らなくなっちゃったねぇ。」

フットマン「………しかし、備えあれば憂いなしですからね。」

 

 2人は、再び高笑いをする。

 フォビオは、クレイマンの策略に利用されたのだ。

 一方、俺は。

 

レイト「ああ〜!疲れたなぁ………。」

 

 俺は、そう呟く。

 徹夜で、クローンライダーの量産や、シズさんの肉体の作成を行なっていた事もあり、だいぶ疲れた。

 シズさんの肉体も、あと少しで完成するな。

 すると。

 

???「おい。」

レイト「ん?」

???「悪く思うなよ。」

 

 肩を叩かれて、振り返ると、そこにいた男に突然、笑顔でスプレーをかけられる。

 

レイト「っ!?」

 

 すると、意識が遠のいていく。

 科学者が、何かを言っている。

 

科学者『告。催涙スプレーの類を確認。意識レベルが低下。』

 

 そんな事を言っているかも、意識がだんだん遠のいていく。

 あの人の顔は…………。

 

レイト「桜井………侑斗………?」

 

 それだけ呟いて、俺は意識を手放す。

 その間、何か、電車に乗っている夢を見ていた。

 すると。

 

レイト「はっ!?」

 

 俺は目を覚ますと、自室にいた。

 すると、火煉、蒼月、グルドが目の前に居た。

 

火煉「レイト様!」

蒼月「お目覚めになりましたか。」

グルド「良かったです………。」

レイト「え………?どういう状況?」

火煉「いえ、なかなか見当たらなくて、探していたんですが、レイト様の自室に居たとは………。」

 

 何で俺、自室で寝てんの?

 ていうか、異常に疲れてるんだけど………。

 

蒼月「火煉君。そんな事よりも………。」

火煉「はっ!そうでした!至急、会議室に来て下さい!」

レイト「わ、分かった…………。」

 

 何とか、動けるぐらいには大丈夫だったので、会議室に向かう。

 会議室には、主要な全員が集まっていた。

 

リムル「レイト!お前、ずっと何処にいたんだよ!?」

レイト「すまん………。心配かけた。で、これはどういう状況だ?」

蒼月「…………カリュブディスが復活したんだってさ。」

レイト「カリュブディス?」

リムル「これから、どういう奴なのかを話すらしいから、お前も聞けよ。」

レイト「ああ。」

 

 俺は、自分の座席に座り、トレイニーの妹であるトライアから、話を聞くことに。

 

トライア「カリュブディスは、はるかなる昔に生まれ、死と再生を繰り返しております。凶暴なる天空の支配者。流石は、森の支配者にして、守護者たる、暴風竜ヴェルドラ様の申し子と言えるでしょう。」

リムル「ヴェルドラの申し子?」

レイト「どういう事だ?」

トライア「カリュブディスは、ヴェルドラ様から漏れ出た、魔素だまりから発生した魔物なのです。」

 

 じゃあ、俺とリムルとカリュブディスは、兄弟みたいなもんか?

 俺とリムルも、ヴェルドラと縁がある魔物だしな。

 すると、フューズが立ち上がる。

 

フューズ「カリュブディスが復活したのなら、魔王以上の脅威となりますよ。何しろ、魔王と違い、話が通じる相手ではないのです。」

ベスター「言ってみれば、知恵なき魔物。固有能力の魔物召喚(サモンモンスター)で、空泳巨大鮫(メガロドン)というサメ型の魔物を異界から召喚して暴れる………と、伝えられています。」

 

 メガロドンねぇ………。

 メガロドンバイスタンプが効くかな?

 これは、豚頭帝よりも厄介な気がするな。

 トライアは、悲痛な表情で、語る。

 

トライア「状況は最悪です。召喚されたメガロドンは、なぜか近くにあったレッサードラゴンの死骸を、依代にした模様。」

レイト「なぜか………?」

トライア「その数は、13。」

リムル「魔王並の化け物一体と、召喚された空飛ぶサメが13体。それは、一体何の冗談だ………。」

 

 何故か、近くにあったレッサードラゴンの死骸か…………。

 これは、何者かが、カリュブディスを復活させた可能性が高いな。

 朱菜が、俺とリムルに話しかける。

 

朱菜「リムル様、レイト様。」

リムル「ん?」

朱菜「どうなされます?」

レイト「そりゃあ、迎撃だろうな………。」

ミリム「フッフッフッ………!」

 

 すると、ミリムが笑い出す。

 

ミリム「何か、重要な事を忘れてはいないか?」

レイト「何だ?」

ミリム「カリュブディス如き………この私の敵ではない!軽く捻ってやるのだ!」

 

 ミリムはそう言って、服を脱ぎ捨てて、魔王としての服装になる。

 確かに、ミリムは強いからな。

 心強いな。

 そう思っていると。

 

紫苑「その様なわけには参りません。」

ミリム「い………!?」

火煉「そうですね。これは、私たちの街の問題ですし。」

レイト(断るんかい。)

ミリム「えっ?だが、私はマブダチ………。」

朱菜「そうですよ。友達だから、何でも頼ろうとするのは、間違いです。リムル様とレイト様が、どうしても困った時は、是非とも、お力添えをお願い申し上げます。」

 

 朱菜がそう言うと、ミリムは露骨に落ち込む。

 

レイト「ま、まあ………俺たちを信じてくれ。」

リムル「そ、そうだぞ。」

ミリム「折角………折角………私の見せ場がやって来たと思ったのに………。」

リムル「カリュブディスを倒す!準備しろ!」

一同「はっ!」

レイト「ベスター。クローンライダーは出せるか?」

ベスター「現状、作成完了している物は、出せます。レイト様。」

レイト「よし。カリュブディスが相手だ。出し惜しみなしで出せ!」

ベスター「はっ。」

 

 俺は、ベスターにクローンライダーを出す様に指示をした。

 全員が、準備に動く中、フューズが俺たちを見る。

 

フューズ「倒すって………。あの、分かってるんですか?相手は、樹妖精族(ドライアド)でさえ、足止めできない化け物ですよ。」

リムル「盟約を結んだガゼル王の応援も期待出来るし、やるだけやってみるさ。」

レイト「ああ。この街は、絶対に守ってみせるさ。」

フューズ「…………逃げないのですか?」

レイト「…………逆に聞くけど、逃げてどうするんだ?」

リムル「俺たちが、この国で一番強い。絶対に勝てそうもないなら、すぐに逃げて、次の策を考えるけど、そうじゃないなら、正面から自分の目で、敵の強さを確かめるべきだろ?」

 

 それを聞いたフューズは、納得したかの様に笑う。

 

フューズ「…………なるほど。魔物の主達。そうでしたね。」

リムル「王を失ったら、終わりの人間とは、その辺りは違うんだよな。」

レイト「そうだな。」

フューズ「しかし、あれですな………。リムル殿とレイト殿は、我々人間の様な考え方をされるのですね。とても、魔物とは思えませんよ。」

 

 まあ、元人間だからな。

 すると、リムルが口を開く。

 

リムル「う〜ん。そうかもな。信じられないかもしれないけど、実は、俺たち、元人間なんだよ。」

レイト「…………俺たちは、シズさんと同じ異世界人だったんだ。………多分な。」

リムル「向こうで死んで、俺はスライムに、レイトはキメラに生まれ変わったんだけどね。」

 

 そう言って、俺たちは、人間態になる。

 フューズは、エレンが持っているシズさんのバイスタンプに問いかける。

 

フューズ「そうなんですか?」

シズ「ええ。あの2人も、私と同じ異世界人。」

レイト「俺たちは、シズさんの肉体を譲ってもらった。シズさんと似てるのに、情けない真似は出来ないしな。」

リムル「そうそう。」

エレン「やっぱり、2人は信じられるよ!」

フューズ「うん。」

 

 それにしても、リムルは唐突に話すな。

 まあ、俺も話す予定だったし、別に良いか。  

 そうして、ジュラ・テンペスト連邦国首都、中央都市リムルと、武装国家ドワルゴンの中間地点で、カリュブディスとメガロドンとの戦いが始まろうとしていた。




今回はここまでです。
何故、レイトの目の前に、桜井侑斗が現れたのかは、電王編にて、理由が判明します。
そして、遂に始まる、カリュブディスとの戦い。
クローンライダーを出します。
それにしても、メガロドンと聞くと、メガロドンバイスタンプが浮かびますね。
インペリアルデモンズに関しては、蒼月に変身させようかなと思っております。
リクエスト、ありがとうございます。
これも、他の小説も、頑張っていきます。

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