俺たちは、ラミリスに話を聞くついでに、休憩を取る事にした。
子供達が駆け回る中、ラミリスは、チョコチップクッキーを食べていた。
ラミリス「美味しい!うん!美味し〜い!」
ラミリスは、美味しいと言いながら、チョコチップクッキーを食べていた。
ていうより、よく食べるな。
そんな小さな体で、どこに行くんだ?
そう思う中、ラミリスは口を開く。
ラミリス「殺すつもりも、怪我させるつもりもなかったのよさ。」
リムル「本当かよ?」
ラミリス「本当だって。ビビらせて、ちょっと楽しんで、その後、颯爽と助けて、尊敬される予定だったの!」
レイト「何だそれ?マッチポンプじゃねぇか。」
ラミリス「自作自演って奴?なのに、
シズ「それは、仕方ないんじゃないかな………。」
リムル「やらなきゃやられると思ったんだから。」
まあ、状況的には仕方ないだろ。
というより、尊敬されるためにマッチポンプを行うなよ。
ラミリスは、言葉を続ける。
ラミリス「大体ね…………アレはすっごい高性能だったんだよ!」
リムル「うっ…………。」
ラミリス「地の精霊で重量を操作して、水の精霊で関節を動かし、火の精霊で動力を発生させ、風の精霊で熱を調整する元素の集大成!精霊工学の粋を集めて作ったのに!」
レイト「精霊工学?」
その単語には、聞き覚えがある。
そう。
武装国家ドワルゴンに行った時に、カイジンが言っていたのだ。
功を焦ったベスターが進めていた、エルフとドワーフが共同で作成していた魔装兵計画という物がある。
レイト「それって…………ドワルゴンでエルフとドワーフが共同開発しようとしてた魔装兵って奴だよな?」
ラミリス「ん……………ピンポン!ピンポ〜ン!よく知ってるね。」
シズ「そうなの?」
リムル「ドワルゴンで、そんな事をしていたのを聞いたんだよ。」
ラミリス「あの計画は、精霊魔導核っていう心臓部を作れなくて失敗したんだよ。そもそもね、通常の鋼材で作ったって、精霊力に耐えられるはずないのにね。暴走して壊れちゃった外殻が捨ててあったから、持って帰って復元したの!もしかして、あたしって天才?すごく無い?すごく無〜い?」
そう言って、ラミリスは俺たちにドヤ顔を向けてくる。
うざいが、ベスター達が失敗した研究を、自己流で完成させたのだ。
凄いと思わざるを得ない。
リムル「よし、凄いのは分かった。」
ラミリス「ん?」
レイト「少し、頼みがあるんだが…………。」
ラミリス「はあ………頼み?何であたしがあんた達の言う事を…………。」
そんな風に宣うので、リムルは
ラミリス「聞く聞く!聞いてあげても良い気がしてきたのでありま〜す!!」
リムル「素直なのは良い事だ。」
シズ「あんまり、脅迫はしないほうが良いんじゃないのかな……………?」
レイト「それは言わないでくれ。」
シズさん、それは言わないで。
良心が傷つくから!
リムル「もちろん、無料とは言わない。」
ラミリス「あ?」
レイト「精霊の守護像を壊したお詫びと言っちゃあ何だが、俺とリムルで、1体ずつ、新しい
ラミリス「………………早く話しなさいよ。」
俺とリムルの言葉に、ラミリスは顔を輝かせる。
まあ、壊したの、俺たちだしな。
それくらいはしてやらないと。
俺たちは、子供達の事情を、何も隠す事なく、全てを説明した。
体内のエネルギーを制御する為に、上位精霊を宿らせたい事。
だから、精霊の棲家に行きたいのだと。
それを聞いたラミリスは。
ラミリス「なるほどね…………皆、苦労してるんだね。」
シズ「という訳で…………精霊女王に紹介して欲しいの。」
ラミリス「ん?あ〜言ってなかったっけ。あたしだよ。」
レイト「えっ?」
ラミリス「だから、精霊女王、あたしの事だよ。」
シズさんの言葉に反応したラミリスは、そう言う。
やっぱりか…………。
以前見たミリムの記憶に出た精霊女王とこいつの雰囲気が、似てたからな。
すると、リムルが声を出す。
リムル「冗談言ってる場合じゃ………。」
ラミリス「ブブ〜!冗談じゃありませ〜ん!本当です〜!」
リムル「あのね、君。なんで魔王が精霊の女王やってるんだよ。」
リムルがそう言うと、ラミリスは手に持っていたチョコチップクッキーを、リムルに投げつける。
ラミリス「また、ブブ〜!逆で〜す!」
シズ「逆?」
レイト「というと?」
ラミリス「精霊の女王が堕落して、魔王になっちゃったんです。」
リムル「自分で堕落したって言うか?」
ラミリス「だって、堕落しちゃったんだもん。堕ちるのって…………簡単よね。ふっ。」
レイト「何格好つけてんだ。」
なるほどな。
多分、ミリムと赤髪の男性との戦いを止めた時に、堕落したんだろうな。
すると、ラミリスはとんでもない事を言う。
ラミリス「あっ、そういえば。あいつも堕落したんだった。」
リムル「あいつ?」
ラミリス「レオンちゃん?」
シズ「……………ッ!?」
その名前を聞いた途端、シズさんは、顔を顰めた。
そう。
魔王、レオン・クロムウェルの事だろう。
ラミリスは、話し続ける。
ラミリス「あいつさ、何か調べ物があったみたいで、大昔の上位精霊を呼び寄せてさ、契約結んだんだよね。びっくりだよね。で、仕方ないから、精霊女王のあたしは、レオンちゃんを勇者と認定して、精霊の加護を授けたって訳。」
リムル「ちょっと待て。何で勇者に認定した奴が、魔王になってんだ?」
ラミリス「だから、堕落したんじゃないの?もしかして、あたしを真似たのかもよ?」
魔王って、堕落してなる物なのか?
まあ、立場にもよるか。
シズさんの方をチラリと見るが、何とか落ち着いている様だった。
リムルは、シズさんに話しかける。
リムル「シズさん?」
シズ「…………大丈夫。魔王レオンの事も気になるけど、まずは子供達だよね。」
レイト「ああ。」
どうやら、大丈夫そうだな。
ただ、レオンへの憎しみで、究極の闇と結びつく事にならないと良いんだが。
すると、ラミリスが思い出したかの様に言う。
ラミリス「…………そういや、レオンちゃん。無茶な事も言ってたな。」
リムル「ん?」
ラミリス「異世界から、特定の人物を召喚してくれって。」
レイト「そんな事出来るのか?」
ラミリス「無理に決まってんのにね。バッカじゃん!泣きそうな顔してたね。いや、あれは泣いてた。そう…………泣いてたと言っても過言では無い!泣き虫のくせに生意気なんだよ!バ〜カ!ワンパンだよ、ワンパン!!」
そう言って、ラミリスはシャドーボクシングをする。
どうやら、魔王レオンは、俺たちの予想以上に厄介そうだ。
でも、ラミリスがもし、ミリムと同じタイミングで魔王になっているのなら、ミリムと同じく、最古の魔王という事になる。
まあ、見た目はアレだが。
ラミリス「んっ…………ちょっとあんた達、今、とっても失礼な事考えてない?」
リムル「いや、全く。」
レイト「考えてないぞ。」
シズ「アハハハ……………。」
ラミリスは、俺とリムルが思った事に勘付いたのか、そう言ってきて、俺たちは惚ける。
それを見ていたシズさんは、苦笑する。
だが、シズさんはすぐに真面目な表情になって、ラミリスに聞く。
シズ「それで…………精霊の棲家に案内してくれるの?」
ラミリス「ん…………ああ…………。」
シズさんの言葉を聞いたラミリスは、宙に浮く。
そして、真面目な顔で言ってくる。
ラミリス「……………あたしはね、魔王であると同時に、聖なる者の導き手。迷宮妖精であり、精霊女王でもあったの。レオンちゃんにそうしたように、勇者に精霊の加護を授ける役目も担ってるんだよ。だから、安心するが良いさ。公平だからね、あたしは。あたしが…………あたしこそが、世界のバランスを保つ者なのだよ。」
すると、周囲に様々な妖精が現れ、笑う。
俺たちは、頷く。
ラミリス「良いよ。召喚に協力してあげる。凄い精霊を呼び出すと良いさ。」
こうして、ラミリスが協力してくれる事になった。
俺たちは、子供達を起こして、移動する。
その間、トレイニーの事が話題になった。
ラミリス「トレイニー?へぇ〜あの子達も元気にしてるんだ。昔は小さくて可愛い精霊だったんだよ。」
リムル「あれ?トレイニーさんは、今の精霊女王とは接点ないって…………。」
ラミリス「あ〜それね。あたしは死んで生まれ変わっても、前世の記憶を残してるからね。」
リムル「ん?」
ラミリス「あの子達、その事知らないんじゃ無いかな…………。ずっと昔に逸れて、それっきりだったし…………。また今度、遊びに来てって伝えてよ。」
リムル「分かった。」
ラミリス「楽しみだな〜。」
そんな風に話していた。
ていうより、トレイニー達とラミリスって、接点があったんだな。
すると、シズさんが話しかける。
シズ「ねぇ、キメラ君。」
レイト「ん?」
シズ「精霊の棲家の入り口に着く前に、事故って言ってたけど、どういう事なの?」
レイト「ああ…………。」
リムル「レイトの事を話してたのか?」
レイト「まあな。…………というより、その時の記憶が朧げなんだよな。」
シズ「え?」
レイト「幼い頃に、父さんの研究施設に行った時に、事故に巻き込まれたのは覚えてるんだよ。でも、何があったのかは、どうも思い出せないんだよ。」
リムル「何で?」
レイト「まあ、幼かったからな。無理もないだろ。」
俺は、そう答える。
どういう訳か、そこだけ思い出せないのは引っかかるんだよな。
まあ、そんな事より、今は子供達の方だ。
しばらく歩き続けると、目的地に到着した様だ。
子供達「ああ…………!」
リムル「ここが…………。」
ラミリス「迷宮の最深部。精霊の棲家。」
ここが、精霊の棲家か。
少し、ヴェルドラの洞窟に似てるよな。
自然エネルギーが満ち溢れているな。
シズさんは、ラミリスに聞く。
シズ「ここに、上位精霊が居るんだよね?」
ラミリス「居るけど、上位精霊には自我があってね。呼び出しに応じてくれるかは、気分次第だよ。」
ケンヤ「来てくれなかったらどうするの?」
ラミリス「エネルギーを切り取って、新たな上位精霊を生み出せば良いんだよ。」
リョウタ「生み出す?」
レイト「なるほど………呼んでも応じてくれないのなら、新しく生み出せって事か。」
ラミリス「そっ。」
なるほどね…………。
それじゃあ、俺は難しいな。
俺は、そんな事を出来る技量は持ってないし。
悪いが、リムルに任せるとしよう。
リムル「皆。」
ケンヤ「う…………うん。」
リョウタ「大丈夫です。」
クロエ「先生。」
アリス「へ…………平気に決まってるじゃない。」
ゲイル「頑張ります!」
嵐牙「ガウッ!その意気だ!」
シズ「スライムさん。お願い。」
リムル「ああ。ケンヤ!リョウタ!ゲイル!アリス!クロエ!やるぞ!」
子供達「はい!」
それを見たラミリスは、先に頂上へと先行していく。
俺たちは、頂上へと向かっていく。
頂上付近に着くと、ラミリスが口を開く。
ラミリス「良いわね?あそこで、精霊に対して呼びかけるのよ。」
リムル「何を?」
ラミリス「何でも良いのよ。助けて〜でも、遊ぼうでもね。」
レイト「そんな大雑把で良いのか…………?」
ラミリス「それで良いのよ。興味を持った精霊がやって来てくれたら、成功なの。」
ラミリスがそう言うと、リョウタは不安そうな声を出す。
リョウタ「来てくれるかな…………。おっ!?」
ケンヤ「来てくれるさ!」
リョウタ「う…………うん。」
ケンヤ「シズ先生!来てくれるよね?」
クロエ「来てくれる?」
リムル「大丈夫だ。最悪の場合…………悪魔でもなんでも従えてやる。」
ラミリス「ちょっとあんた、邪悪な顔してるわよ。」
シズ「スライムさん…………。」
レイト「リムル………………。」
リムルが、邪悪な笑みを浮かべながらそう言うと、ラミリスが突っ込み、俺とシズさんは呆れ声を出す。
気を取り直して、リムルが口を開く。
リムル「さあ、誰から行く?」
リムルがそう言う中、ゲイルが行くと言った。
リムル、ゲイル、ラミリス、ついでに俺とシズさんは、頂上部分の円形の床の方に行く。
ゲイル「先生…………自分に何かあったら、あいつらを頼みます。」
ゲイルの言葉に、リムルはゲイルの肩に手を置く。
ラミリスが前に出て、口を開く。
ラミリス「さあ、どんなのが呼ばれてくるか、楽しみだね。」
ラミリスはそう言う。
ゲイルは、前に出て。
ゲイル「じゃあ、祈ります。」
そう言って、ゲイルは跪いて、祈りだす。
ゲイルが祈りだして暫くすると、周囲に光が出てくる。
あれが、精霊なのだろう。
だが……………。
レイト(あれは…………上位精霊じゃなくて、下位の精霊だな。)
恐らく、この下位精霊達は、ゲイルの祈りが切り取った大精霊の欠片なのだろう。
すると、リムルが口を開く。
リムル「ゲイル。そのまま祈ってろ。」
そう言うと、リムルは周囲を漂っている精霊に向かって、手を伸ばす。
すると、
ラミリス「ちょ、ちょっと…………食べた?あんた、なんて事すんのよ!」
リムル「黙って見ててくれ。考えはある。」
シズ「スライムさん…………?」
一体、何をしようとしているんだ?
すると、科学者が答えてくれる。
科学者『解。個体名リムル=テンペストは、ユニークスキル、変質者を使い、下位精霊を上位精霊にする模様。』
レイト『なるほどな…………。』
なるほど、そういう事か。
それなら、大丈夫そうだな。
リムルは、ゲイルの頭に手を置き、光が出てくる。
解析鑑定してみると、ゲイルのエネルギーの暴走が止まり、制御出来ている。
つまり、成功だな。
リムル「おし。もう良いぞ。よく頑張ったな。」
ゲイル「え…………。」
レイト「大丈夫だ。崩壊は止まっているよ。」
リムル「レイトの言うとおりだ。俺が保証してやる。」
ゲイル「はっ………リ、リムル先生………!ありがとうございます!」
シズ「スライムさん。ありがとうね。」
リムル「気にすんな。生徒を守るのは、当然だからな。」
ケンヤ「バンザ〜イ!」
リョウタ「おめでとう!」
アリス「やったわね!」
リムル「まだ喜ぶのは早いぞ。」
レイト「全員が成功してから、喜ぼう。」
まずは、ゲイルが救われたな。
そうして、子供達に精霊を宿らせる作業は、続いていく。
次は、アリスの番だ。
アリスが祈ると、精霊が現れ、リムルが取り込む。
それを、ラミリスは複雑そうな表情で見ていた。
まあ、当然だよな。
リムルは、アリスと擬似上位精霊を統合させた。
そして、リムルはアリスをお姫様抱っこする。
リムル「アリス、頑張ったな。もう大丈夫だぞ。」
アリス「フフッ。」
アリスは、微笑んだと思ったら、リムルの頬にキスをする。
大胆っすね。
後ろの子供達をチラリと見ると、クロエが頬を膨らませていた。
おやおや……………。
次は、ケンヤの番だ。
ケンヤ「う〜し!次は俺の番だ!」
ケンヤはそう言って、前に出る。
すると、周囲に光が出てくる。
「「あ?」」
シズ「え?」
レイト「もう祈ったのか?」
ケンヤ「いや……………まだ祈ってないのに…………。」
え?
俺たちが戸惑う中、周囲を漂っていた光は、一箇所に集まっていく。
リムル「何か、来る?」
レイト「みたいだな…………。」
すると、一箇所に集まった光は、人間の形になる。
それは、黄色い髪の人物だった。
リムル「あ?」
???「よお〜元気かい?おいらは元気さ。」
ラミリス「あっ、あ〜!あんた、何しに人の家にやって来てんのよ!?」
???「ちょっとした気まぐれだよ。」
レイト「そちらさんは?」
ラミリス「こいつは…………。」
光の精霊「オッス!おいら、光の精霊。初めまして。そこの魔物に堕ちた邪悪な妖精と違って、純粋な光の精霊様だよ。」
ラミリス「誰が邪悪よ!」
邪悪って……………。
まあ、堕天して魔王になったから、あながち間違いではない…………のか?
リムルは、呆然としているケンヤに話しかける。
リムル「ケンヤ。お前、光の上位精霊を召喚したみたいだぞ。」
ケンヤ「えっ、ええ〜!?」
光の精霊「ケンヤって言うのかい。じゃ、ケンちゃんだな。」
レイト「親しむの早すぎだろ…………。」
光の精霊「なんか、ケンちゃんに光る物を感じたんだよ。光だけに!」
ラミリス「うっ…………。」
唐突にギャグをぶっこむなよ。
それを聞いたケンヤとシズさんは。
ケンヤ「面白くねえよ。」
シズ「アハハハ……………。」
ケンヤはそう言って、シズさんは苦笑する。
そんなケンヤのつっこみに、光の精霊は、機嫌を悪くせずに言う。
光の精霊「…………ってな訳で、おいらがケンちゃんを助けてやるのだ。ケンちゃんが成長するまでは、おいらが保護するよ。もしかしたら、ケンちゃんも勇者になれるかもしれないからね。」
ケンヤ「勇者!?」
リョウタ「ケンちゃんが勇者…………。」
ゲイル「おお〜。」
光の精霊の言葉に、子ども達は驚く。
尤も、クロエはアリスに詰め寄っていたが。
それを聞いたケンヤは、固まっていた。
ケンヤ「うええ……………。」
レイト「それはまた凄いな…………。」
シズ「そうだね。」
俺たちも驚く中、光の上位精霊は、ケンヤの中に入って行った。
リムル「あっ。」
ラミリス「宿った。」
ケンヤ「えっ?」
レイト「あっさりすぎないか?」
ケンヤ「リムル先生…………?」
リムル「あ?ああ、大丈夫!計画通りだ!ハハハハハ!」
シズ「良かったね。」
ケンヤ「あっ…………えっと…………うん!」
リムルとシズさんの言葉に、ケンヤは最初は戸惑ったが、すぐに頷く。
次は、リョウタの番だ。
リョウタが祈ると、青と緑の光が現れる。
リムルはそれを取り込み、擬似上位精霊として統合して、リョウタとも統合させる。
レイト(あと1人か…………。)
そう。
あとは、クロエ・オベールだけだ。
だが、クロエは顔を赤くして、もじもじしていた。
クロエ「リムル先生………あのね…………リムル先生………。」
リムル「あ?ん?」
クロエ「あのね、リムル先生…………あのね…………大好き。」
リムル「俺も好きだよ。」
クロエ「フフッ。」
レイト「おやおやリムルさんや。モテモテだな。アハハハハハハ!…………ぷげっ!?」
クロエの告白にそう答えたリムルに、俺は揶揄った。
すると、不意打ちのストレートをお腹にもらう。
レイト「不意打ちは無いだろ…………!?」
シズ「大丈夫?」
リムル「お前が変な事を言うからだ。さ、祈って。」
クロエ「うん。」
クロエは、祈りだす。
それを見ていると、とんでもないプレッシャーが、上空から来る。
リムル「あっ…………!?」
ラミリス「何!?」
シズ「これって…………!?」
レイト「凄まじいプレッシャー…………!?」
俺たちが戸惑う中、目の前の地面が光る。
ラミリス「うわ!」
ラミリスが怯むなんて、相当だぞ。
すると、目の前に、1人の女性が現れる。
レイト『あれは…………精霊じゃない?』
科学者『解。上位精霊と同様の
測定不能!?
何でそんな奴が現れてるんだ!?
俺たちが戸惑う中、その女性は、俺たちの方……………というよりは、リムルの方に向かって行って、キスをする。
俺たちが、後ろに行った奴を見ると、そこには、違う女性の姿が映っていた。
シズ「あの人は……………!?」
シズさんは、かなり驚愕していた。
というより、アイツは何なんだ!?
俺は念の為に、キメラドライバーを腰に装着する。
その精霊ではない存在は、クロエの方に向かっていく。
ラミリス「待て!させないよ!あんたの好きにはさせない!!」
リムル「おい!突然何を…………!?」
ラミリス「うるさい!そいつはヤバいんだよ!見て分からないの?」
リムル「分かる訳ないだろ!」
レイト「何がヤバいんだよ!?」
ラミリス「話はあと………ああっ!?」
俺とリムル、ラミリスがそう話す中、そいつは、かなりの至近距離までに近づいており、突然、光となって、クロエに吸い込まれていく。
ラミリス「宿っちゃった!もう手遅れだ………!やめやめ…………あたしは知らないからね?」
一応、念の為に、クロエを解析鑑定する。
膨大だったエネルギーは、綺麗さっぱりに消え失せていた。
シズさんは、未だに呆然としていた。
レイト「シズさん?」
シズ「今のは…………あの人?」
レイト「あの人?」
シズ「うん…………私を救ってくれた勇者の姿が見えて…………。」
レイト「えっ?」
それには、俺も驚いた。
どうなってんだ?
あのクロエ・オベールとは、一体、何者なんだ?
リムル「さっきのは何なんだ?」
ラミリス「分っかんないわよ!詳しくは分からない!でもね…………あれは多分、未来で生まれたのよ。」
リムル「は?」
ラミリス「未来からやって来た、精霊に似た何か!とても信じられないけど、その子に宿った事で、自分を生み出す土壌を作った?」
クロエ「あっ?」
未来からやって来た、精霊に似た何かか…………。
だが、あのシズさんを救った勇者とやらの姿が映ったのは、どういう事だ?
それに、ラミリスも分からないとは…………。
そんなラミリスは、気になる事を言った。
リムル「何言ってんだ?
ラミリス「ああ〜!本当に分からない!!でも、あれは大きな力を持ってた!未来であれが生まれたら、大変な事になる気がする!もしかしてあれは、時の大精霊の加護を受けて…………。」
時の大精霊か…………。
さっぱり分からないな。
でも、過去のシズさんを救った勇者が、未来からやって来た精霊に似た何かに重なって見えるなんてな…………。
どうやら、この世界は単純ではなく、色々と複雑なようだな。
そう考える中、リムルはラミリスに話しかける。
リムル「良いじゃ無いか。全員成功したんだからさ。ありがとな。お前のおかげで、子ども達も助かったよ。」
クロエ「ありがとう。」
シズ「ありがとうございます。」
子供達「ありがとうございました!」
嵐牙「感謝する!」
ラミリス「そ…………そんなの良いってば〜!」
ラミリスは照れながらそう言う。
まあ、色々と謎が出来ちまったが、これで良しとするか。
その後、俺とリムルは、壊してしまった精霊の守護像に代わる魔人形を用意したり、その魔人形に悪魔を召喚して、憑依させた。
リムルはベレッタ、俺はフランと名付けた。
ちなみに、フランにした理由は、118の元素の一つであるフランシウムから取った。
それで、その魔人形達で、一悶着あった訳だが、それはまた、別の話。
その後、俺たちは、イングラシア王国へと向かった。
そして、リムルに連れられて、グランドマスターの神楽坂優樹の所に向かう。
リムル「おっす。」
優樹「ああ、リムルさん。そちらは…………?」
レイト「レイト。レイト=テンペストだ。よろしく頼む。」
優樹「貴方が…………!どうも、神楽坂優樹です。」
俺と優樹は、握手をする。
すると、優樹は頭を下げる。
優樹「本当に…………ありがとうございました。レイトさんには、シズさんを救ってもらって、リムルさんには、子供達を救ってもらって。」
リムル「いやいや。良いってことよ、良いってことよ。」
レイト「これで、子ども達はもう大丈夫だ。これで、普通の生活を送れるよな?」
優樹「ええ。一度捨てた子を各国が再び攫う事は無いでしょうし、それは、国際法に抵触しますし。我々自由組合を敵に回す事にもなりますから。」
それなら良かった。
少し、不安だったのだ。
状態が安定化した子供達を、召喚した国が攫うのでは無いかと。
まあ、大丈夫だな。
すると、神楽坂優樹から、凄まじい悪意を感じる。
神楽坂優樹の方を見ると、悪魔が見えた。
触手などが生えた、クトゥルフ神話に出てきそうな悪魔が見えた。
レイト(あれは……………!?)
科学者『解。個体名、神楽坂優樹の悪魔だと推定。』
なるほどな。
どうやら、何かを企んでいるように思えるな。
あの神楽坂優樹は。
すると、リムルが声をかける。
リムル「レイト?どうした?」
レイト「いや、何でも無い。」
優樹「………………。」
やべ、少し怪しまれたか?
俺は、すぐに話題を振る。
レイト「子供達にも身分証を発行して、組合員にするのか?」
優樹「そうですね…………あの子達がそれを望むなら、それも良いかもしれないですね。しばらくは、自由学園でのびのびと勉強させて、未来を選べるようにしたいと思います。」
リムル「ああ、頼むよ。」
優樹「ご心配なく。ところで…………やっぱり、教えてくれないんですか?どうやって解決したのか。」
リムル「フフフン。それは秘密だ。知らなくても良い事もあるよ。教えない代わり…………という訳でも無いが、これで勘弁して欲しい〜。」
リムルはそう言って力むと、リムルの体から、大量のシリウスが出てくる。
なるほど、これを神楽坂優樹に渡してたのか。
それを見た神楽坂優樹は。
優樹「分かりました!ありがとうございます!師匠!!」
レイト「アハハハ…………。」
そう言って、神楽坂優樹は、頭を下げまくった。
仮にもグランドマスターがそれで良いのか?
だが、これは演技なのかと言われると、違うと思う。
神楽坂優樹から見えた悪魔は、二面性を持っていた。
善の一面と、悪の一面が。
漫画に関しては、本気で喜んでいるように思える。
俺たちは、自由学園へと向かった。
子供達の方へと向かう中、俺はリムルに声をかける。
レイト「ちょっと良いか?」
リムル「どうした?」
レイト「少し、考え事があるんだ。先に行っててくれ。」
リムル「おう、分かった。すぐに来いよ。」
レイト「ああ。」
そう言って、俺は違う場所にある空き地に向かう。
俺は考え事をしていた。
レイト(……………父さんか。そういや、この世界に来てから、色々とあって、思い出す事が無かったな……………。)
まあ、無理もない。
異世界に転生して、仮面ライダーキマイラの力を手に入れ、キメラに転生して、そこで生きているのだ。
しかも、色んな出来事があったよな。
子供を庇って撥ねられて、死亡した俺は、キメラに転生して、リムルとヴェルドラに出会った。
リムルがヴェルドラを取り込み、洞窟から出て、後のテンペストになるゴブリンの村で、後のリグルド達と出会った。
襲撃して来た牙狼族を仲間にして、村は更に大きくなっていった。
技術の確保の為に、武装国家ドワルゴンへと向かい、カイジン、ガルム、ドルド、ミルドの4人と出会い、仲間になった。
その4人を連れてテンペストに戻ると、500匹のゴブリンがやって来て、仲間になって、リムルの運命の人であるシズさんや、エレン、カバル、ギドの3人とも出会った。
シズさんの中に居たイフリートが暴走して、俺がシズさんからイフリートを切り離し、リムルが取り込んだ。
シズさんを救う為に、
その後、大鬼族達に名前をつけた。
しばらくして、
そして、トレイニーさんの宣誓の下、ジュラの森大同盟が結ばれ、俺とリムルが盟主となった。
それを聞いた武装国家ドワルゴンの王、ガゼル・ドワルゴがやって来て、戦い、認めてもらった。
更に、俺たちが魔王ゲルドを倒した事で、興味を持った魔王ミリムがやって来て、マブダチとなった。
その後、獣王国ユーラザニア、ブルムンド王国、ファルムス王国からやって来たフォビオ、フューズ、ヨウムと出会った。
テンペストにフォビオを核としたカリュブディスが現れ、ミリムの手によって倒された後、魔王カリオンと出会った。
カリュブディスとの戦いの後、シズさんの新しい肉体が出来て、シズさんは、クウガの力を手に入れた。
精霊の棲家で、クロエ達やラミリスと出会った。
そして、つい先ほど、神楽坂優樹とも出会った。
前世の俺に、こんな話をしても、信じてくれないだろうな。
勿論、父さんや母さんにも。
そんな事を思うと、自然と口が開く。
レイト「母さん。俺、母さんの事はあんまり覚えていないけど、俺は元気にやってるよ。そして、俺を産んでくれて、ありがとう。父さん。母さんが亡くなって、辛かった筈なのに、俺を1人で育ててくれて、ありがとう。でも…………俺や母さんが居ないからって、変な研究に没頭して……………体を壊さないでくれよ…………。」
そんな事を言っていると、自然と涙が出てくる。
俺は、木の根元に座り込む。
もしかしら、無意識のうちに、想いに蓋をしていたのかもしれない。
もう父さんとは、二度と会えない事に。
それを気にして、悲しみに押し潰されない様に。
レイト「父さん……………俺、異世界に来たけど、上手くやれてるよ…………。だから、父さんもあんまり無理しないでくれ…………。俺は、1人じゃない。だから……………!」
そこまで言うと、涙が止まらなくなり、顔を膝に埋める。
叶わないとしても、やっぱり、父さんにまた会いたいよ……………!
まだ、育ててくれた感謝を伝えられていないんだから…………!
俺は、しばらくそのままで居た。
しばらくして、俺は泣き止み、立ち上がる。
レイト(父さん。俺は、リムル達と一緒に、この世界を生きていくよ。だから、父さんも元気に過ごしてくれよ。)
そう思い、リムル達の方へと向かう。
俺は、リムル達と共に、この世界を生き抜いていく。
そう決意したのだった。
一方、とある場所では、黒い服を着た何者かが、水晶でリムルの事を見ていた。
???「一生の不覚………。折角呼んで頂けたのに、自分の眷属に先を越されるとは………。次こそ…………次こそは必ずや…………!あなた様方なら、私を、世界の真理へと導いてくれる筈…………。クフフ…………クフフフフ…………!」
その人物は、何を考えているのか。
一方、それまた違う場所では。
???「興味深い者が呼んでくれたのに、まさか、自分の眷属に先を越されるなんてね。レイト=テンペスト…………ね。」
そう言う人物は、白い髪に赤い瞳の女性だった。
その人は、何を考えているのか。
今回はここまでです。
今回で、アニメ1期のエピソードは終わりです。
最後の方に、謎のキャラが登場していますが、誰でしょうね。
オリキャラのゴーレムであるフランは、とある原初の悪魔の眷属です。
そして、レイトは、ユウキの本性を察知しました。
次回は、アニメの二期のエピソードに入っていきます。
いよいよ、坂口日向が登場するのも、近くなってきました。
日向と戦うのは、レイトです。
公式が発表したので、言いますが、まさか、紅蓮の絆編で、原初の悪魔の1人であるヴィオレが登場するとは。
紅蓮の絆編は、この転キメでもやります。
ちなみに、その最後の方に出てきたキャラが、レイトに興味を持っていたのは、悪魔としての力に興味を示しているからです。
MOVIEバトルロワイヤルで登場する新たなオーバーデモンズは、これでも出そうかなと思います。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
ジュウガのオリジナルフォームは必要か
-
必要
-
いらない