転生したらキメラだった件   作:仮面大佐

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第28話 悪魔の顕現と希望

 ミュウランという人物は、魔王クレイマンの配下と語った。

 魔王クレイマンという名は、初めて聞いたわけじゃない。

 ミリムが言っていたのだ。

 

ミリム『もしかすると、ゲルミュッドではなく、クレイマンの奴が、何か企んでいたのかもしれないな。内緒で………。』

リムル『クレイマン?』

レイト『確か、魔王の一人だったか?』

ミリム『そうだぞ。奴は、そういう企みが大好きなのだ。』

 

 その企みの一環か?

 だとしたら、傍迷惑だな。

 そう思う中、ミュウランは語る。

 

ミュウラン「魔王クレイマンは、人形傀儡師(マリオネットマスター)の二つ名の通り、意のままに配下を操ります。私もその中の1人…………。私に与えられた任務は、テンペストの内偵でした。ヨウムを利用し、この街に潜入したのです。そして、指示に従い、大魔法、魔法不能領域(アンチマジックエリア)を発動しました。」

レイト「なるほどな……………。」

ミュウラン「私の心臓は、クレイマンの秘術、支配の心臓(マリオネットハート)によって、奪われました。それ以来、彼に従う他に、生きる道はありませんでした。」

リムル「なるほど……………。」

 

 そういう事か。

 

レイト「文字通り、生殺与奪の権利を握られているって事か。」

リムル「それで、クレイマンがうちにちょっかいを出す理由はなんだ?」

ミュウラン「彼は、このように話していました。『これから面白くなる。予想外の展開になりましたが、大戦争が起きますよ。』と。」

 

 それを聞いた皆は、どよめく。

 大戦争ね……………。

 

ミュウラン「最初は、魔王ミリムとカリオンの事だと思っていましたが、テンペストとファルムス王国の間で、戦争を起こさせる事。これを意味していたようです。」

レイト「…………………。」

 

 クレイマン。

 自分の手を汚すことなく、手駒を思うがままに操る。

 厄介な奴だな。

 魔導師(ウィザード)である彼女は、例え、魔法の実力があろうと、魔法不能領域(アンチマジックエリア)内では、普通の人間となんら変わらない。

 捨て駒にされたか。

 すると、ヨウムとグルーシスが叫ぶ。

 

ヨウム「リムルの旦那にレイトの旦那!ミュウランを許してやってくれ!」

グルーシス「俺からもお願いします!彼女は、魔王クレイマンに逆らえなかっただけなんですよ!」

 

 そう叫んで、俺たちを見てくる。

 まあ、情状酌量の余地はあるか。

 だが、すぐに許す訳には行かない。

 俺とリムルは、お互いの顔を見合わせ、答えを出す。

 

リムル「ミュウランの処遇については、ひとまず保留だ。それまで、迎賓館で軟禁させてもらう。」

リグルド「分かりました。見張りをつけておきます。」

ヨウム「旦那方…………。」

レイト「すまん。今は、俺たちも混乱してる。心配なら、一緒に居ても構わない。」

 

 そうして、ミュウラン、ヨウム、グルーシスの3人は、迎賓館の方に移動する事に。

 リムルは、紅丸に聞く。

 

リムル「ひとまず、報告は以上か?」

紅丸「はい。」

レイト「なら、怪我人の見舞いに行く。案内してくれ。」

紅丸「はっ。」

 

 そうして、俺たちは、怪我人の見舞いに行く事に。

 だが、一つ気になった事がある。

 

レイト(何故、紫苑が居ない?)

 

 そう、紫苑の姿が見えない事だ。

 紫苑の性格上、リムルが戻ってきた時点で、飛びつくと思ったのだが。

 胸騒ぎがする。

 もしかしたら……………。

 そう思いながら、案内された部屋に入る。

 そこには、ベッドに横たわる白老とゴブタ、治療に当たっている朱菜と手伝っている黒衛兵の姿があった。

 

リムル「どうだ、具合は?」

朱菜「リムル様!レイト様!ポーションが効きません!空間属性のスキルによる物で、治療しようにも、傷口に直接働きかける事が出来ないのです。」

レイト「そうか……………。」

 

 空間属性か。

 白老を倒した奴が、何か細工をしたのか?

 俺たちが白老に近づく中、白老は目を覚まし、俺たちを見てくる。

 

白老「ぐっ……………リムル様、レイト様。心配召されるな。わしもこの不肖の弟子も、これぐらいでくたばる程、柔ではありませんぞ。」

リムル「ははっ、心配なんてしてねえよ。どれ、ちょっと傷を見せてみろ。レイトは、ゴブタの方を頼む。」

レイト「ああ。」

 

 俺は、ゴブタの傷口に手を当てて、科学者に問う。

 

レイト「科学者。」

科学者『空間属性の影響を確認しました。吸収之王(アブソーブドレイン)にて、影響を吸収しますか?』

レイト「ああ。」

 

 俺とリムルは、それぞれのスキルで、影響を無くす。

 その後、ポーションを飲ませる。

 すると、ゴブタはすぐに目を覚ます。

 

ゴブタ「あ……………あれ?オイラ、助かったすか?」

白老「さすがは、リムル様とレイト様。」

朱菜「良かった……………!」

火煉「ええ。」

シズ「うん。」

ゴブタ「リムル様、レイト様!おかえりなさい!」

リグルド「こ…………これ、ゴブタ!」

白老「ハハハハッ。」

ゴブタ「あっ!ジジイも無事だったすか?」

 

 ゴブタははしゃぐ中、白老に対して、そう言ってしまった。

 すると、白老は剣を取り出して、少し刀身を見せる。

 

白老「もう一度眠りたいかの?」

ゴブタ「し……………師匠!ご無事で何よりであります!」

 

 そんなやり取りを見てると、笑いが込み上げてきて、俺たちは笑う。

 そんな中、リムルが問いかける。

 

リムル「あっ、ところで、紫苑はどうした?」

黒兵衛「………………っ!」

リムル「まさか、1人で仕返しに行ったんじゃないだろうな?いや、あいつなら有り得るか。ハハハッ……………ん?」

 

 リムルは、皆の様子がおかしい事に気づき、笑いを止める。

 まさか……………。

 それで察した俺と火煉とシズさんは、顔を青ざめる。

 そんな中、朱菜が言いづらそうに言う。

 

朱菜「あっ、あの、リムル様……………。」

 

 何かを言おうとする中、紅丸が制して、ついてきて下さいと言う。

 俺たちは、死亡した人たちが安置されている広場へと移動する。

 しばらく歩く中、ある遺体の前で止まる。

 そんな中、ゴブタが横を見ると。

 

ゴブタ「あ……………ゴブゾウ?ゴブゾウ!」

 

 そこには、ゴブゾウが居た。

 それを見たゴブタは、目に涙を浮かべ、泣き出す。

 

ゴブタ「うわああああっ!!」

 

 ゴブタが悲しみに絶叫する中、紅丸は俺たちの目の前の遺体を覆っていた布を取る。

 その遺体は……………紫苑だった。

 紫苑の角は、折れていた。

 

火煉「紫苑……………?紫苑!!」

 

 火煉は、紫苑の遺体の前に跪く。

 俺たちは呆然として、言葉も出なかった。

 いつも、明るく元気な紫苑が、死んだ……………?

 そんな中、紅丸が言う。

 

紅丸「……………紫苑は、襲撃者が狙った子供を庇って……………。結界による弱体化で、思うように動けず……………。」

朱菜「…………ゴブゾウは、私を守って下さいました。それを、襲撃者は笑いながら…………。」

 

 紅丸と朱菜は、悔しそうにそう言う。

 火煉も、ゴブタと同じく、泣いていた。

 俺とリムルは、ただ呆然としていた。

 すると、押さえ込んでいたオーラが漏れ、リグルドが声をかける。

 

紅丸「あっ……………!」

リグルド「リムル様、レイト様!」

 

 声をかけられた事で、俺達はオーラを抑える。

 しばらくの静寂の末、声を絞り出す。

 

リムル「………………すまん。しばらく、1人にしてくれ。」

レイト「……………俺も少し1人にしてくれ。」

リグルド「……………分かりました。」

 

 俺とリムルの言葉に、リグルドは頷き、白老はゴブタを、紅丸は火煉を連れて行く。

 すると、朱菜がリムルを抱きしめる。

 

朱菜「……………いつでもお呼び下さい。すぐに参ります。」

 

 そう言って、朱菜達は去って行く。

 俺も、リムルから離れた場所に行く。

 シズさんだけは、ただ呆然としていた。

 少し離れた場所で、俺は考えていた。

 

レイト(………………どうして、こんな事になったんだ?)

科学者『告。計算不能。』

レイト(……………俺たちは悪で、ファルムス王国が正義なのか?)

科学者『告。理解不能。』

レイト(………………なあ。仮面ライダーって、何なんだ?)

科学者『告。解答不能。』

 

 俺はそんな問いかけをするも、科学者は、そんな答えしか出さない。

 仮面ライダーって、何なんだ?

 仮面ライダーは、前世では、人類の平和を守る存在であると感じていた。

 なら、魔物である俺が、仮面ライダーを名乗る資格は無いのか?

 仮面ライダーごっこをしているのに過ぎなかったのか?

 そんな激しい感情が渦巻いているのに、同時に酷く冷静で、涙が流れない。

 

レイト(俺は…………心の中から、魔物になったんだな。)

 

 そう自覚する。

 人間ではなく、キメラという名のヘルギフテリアンになったのだと。

 だとしたら、本当に仮面ライダーを名乗る資格は無いのか?

 俺たちは悪で、滅ぼされなければならないのか?

 すると。

 

科学者『告。』

レイト「何だよ…………?」

科学者『私には、答える事は出来ませんが、答えは、仮面ライダー達が示しています。』

レイト「え……………?」

 

 すると、色々な仮面ライダーに関する記憶が流れ込んでくる。

 

映司『一杯見てきた。誰かを守りたいっていう気持ちが、自分たちの正義がどんどんエスカレートする事がある。正義の為なら、人間はどこまでも残酷になれるんだ。』

映司『誰が正しくて、誰が間違ってるって、とっても難しい事だと思います。自分が正しいと思うと、周りが見えなくなって、正義の為なら、何をしてもいいと思ったり。きっと、戦争もそうやって起こっていくんです。』

真澄『正義はあっても、正解という物は無いのだ。』

猛『お前達の生ぬるい優しさが、今回の危機を招いたと言っても過言では無い!』

猛『例え、己を犠牲にしようとしても、花一輪の為に命をかける。その優しさを貫く強さこそが、本当の強さかもしれん。』

朱美『あのね、正しいっていう言葉を簡単に使う方が危ないから。』

戦兎『見返りを求めたら、それは正義とは言わねえぞ。』

諫『正義で世の中良くしようなんて、ただの詭弁だ!下らねぇジョークで腹の底から笑って生きてりゃ、それで良かったんだよ!』

諫『お前らの覚悟は、俺が受け止めてやるよ。だから…………全力でぶつかって来い!こっちも全力で応えてやる!それが………俺のルールだ。』

 

 火野映司/仮面ライダーオーズ、狩崎真澄さん、本郷猛/仮面ライダー1号、御子柴朱美、桐生戦兎/仮面ライダービルド、不破諫/仮面ライダーバルカンの言葉が出てくる。

 正義に優しさ。

 それは、立場によって変わってしまう言葉でもある。

 そして、仮面ライダーもまた。

 ただ、どの仮面ライダーも共通している事がある。

 それは、自分の信じる物を、本当に真に成すべき事を成そうとしていた事だ。

 それは、ダークライダーと呼ばれる存在であってもだ。

 そして、行き過ぎた正義は、悪であるという事も。

 それは、仮面ライダー滅亡迅雷やバルカン&バルキリーにて証明されている。

 それ程、仮面ライダーというのは、複雑なのだ。

 だが、これだけは言える。

 

レイト(自分の信じる物を信じて、守るべき物を守る。それが、仮面ライダーとしてのあるべき姿なのかな。)

 

 それが、俺なりに導いた、仮面ライダーとしてのあるべき姿だ。

 その答えは、合っているのかどうかは、俺には分からない。

 いや、誰も正しい答えを知っている訳ではない。

 それでも、俺はその事を信じ抜くべきだろう。

 俺なりの、仮面ライダーとして。

 そう思う中、エレン達が来た気配がする。

 よく来れたな。

 そう思いながら、リムルの方へと戻る。

 遡る事、少し前、リムルはシズさんが持っていた仮面の複製品を被って、自問自答をしていた。

 シズさんは、リムルの事を見つめていた。

 

リムル(………………どうして、こんな事になったんだ?)

大賢者『告。計算不能。』

???(お前は、こんな簡単に終わるのか。)

リムル「え……………?」

 

 リムルが大賢者に問いかける中、そんな声がしてくる。

 その声は、大賢者の物では無かった。

 

リムル「今のは……………?」

???(お前は自分の信じたことを信じられないほど呆気ないのか。)

リムル「うるさい!でも…………どうしろって言うんだよ!」

シズ「スライムさん……………?」

???(お前を慕ってる奴らは、沢山居るだろ?)

リムル「俺を……………。」

???(そうだぜ!そいつらは、今もお前を信じてるんだぜ!)

 

 リムルに呼びかける2人の声は、リムルにそう言う。

 リムルは、2人の声の事も考えつつも、大賢者に問う。

 

リムル「大賢者、どうだ?」

大賢者『告。検索結果、該当なし。完全なる死者の蘇生に関する魔法は、検出されませんでした。』

リムル「そうか。結界の方はどうだ?」

大賢者『告。街の周囲を覆う2種の結界の解析が完了しました。複合結界の解除は困難ですが、大魔法、魔法不能領域(アンチマジックエリア)は解除可能です。解除を実行しますか?』

リムル「いや、まだ良い。」

 

 リムルは大賢者にそう言う。

 リムルが考える中、仮面にヒビが入る。

 リムルは、紫苑達を暴食者(グラトニー)で捕食しようとしていた。

 すると。

 

エレン「リムルさん!シズさん!レイトさん!」

シズ「3人とも…………。」

レイト「やっぱり、エレン達か。」

 

 そう叫んで、エレン達が到着する。

 シズさんがそう言う中、俺も到着する。

 リムルは、エレン達に気づいて、言う。

 

リムル「来てくれたのか。少し待ってくれ。そろそろ、皆を眠らせてやらないと。」

レイト「リムル……………。」

エレン「あっ、あのね…………可能性は低いけど、ううん、殆ど無いかもしれないんだけど、でも、あるの!死者が蘇生したと言う御伽話が!」

レイト「えっ!?」

 

 エレンの言葉に、俺は耳を疑う。

 そんな中、リムルは。

 

リムル(御伽話?何でそんな話をするんだよ。やめてくれよ。期待したくなるじゃないか。)

???(期待しても良いんじゃねぇの?)

リムル(え……………?)

???(お前には、こいつらの為にできる事があるんだよ。)

 

 そんな問いかけをしていると、リムルは暴食者を止める。

 俺には分かっていた。

 リムルが、自分の中の悪魔と話していた事を。

 

エレン「所詮は、作り話だと思うけど、でもこれは、史実に基づいた…………!」

リムル「ハハハハッ…………!」

エレン達「あ…………。」

シズ「スライムさん…………?」

レイト「リムル…………。」

リムル「いや、悪いな。つい、嬉しくて。死者の蘇生か……………。まるで夢物語だな。可能性がゼロでないなら、十分だ。詳しく聞かせてくれ、エレン。」

 

 俺たちは、エレンからその話を聞く事にした。

 すると、リムルが蒼影からの報告を聞いていた。

 

レイト「どうした?」

リムル「蒼影からだ。街の四方に西方聖教会の集団が陣取ってて、魔法装置なる物を守ってるってさ。それが、結界を作り出してるみたいだ。」

レイト「分かった。…………それより、聞かせてくれ。その死者蘇生の御伽話を。」

エレン「うん。」

 

 エレンがそう言うと、突然、両手を自分の耳にやって、何かの魔法を解除するかのようにする。

 すると、耳の形が変化する。

 

「「あっ…………。」」

エレン「良いの。…………これは、魔導王朝サリオンに伝わる、御伽話。」

 

 そこから、エレンは語った。

 ある少女とドラゴンの物語を。

 竜と人との間に生まれ、竜皇女(りゅうこうじょ)として育つ少女。

 ある日、竜である父から、自身の分身体とも言える子竜を、友として授かる。

 しかし、竜皇女を支配しようとした国王は、子竜を殺してしまった。

 その少女は嘆き、悲しみ、怒り狂った。

 父より受け継いだ、その力で、その国王と十数万人の国人諸共、一国を滅ぼしてしまう。

 その怒りはやがて、世界へと向いてしまう。

 ある魔王が、止めようとするが、七日間も戦い続ける。

 その少女は、精霊女王が仲裁した事で、正気を取り戻し、魔王へと開花し、それに伴い、子竜は奇跡の復活を果たす。

 だが、死と同時に魂を失った子竜は、破壊の限りを尽くす意思なき邪悪な魔物、混沌竜(カオスドラゴン)へと変貌していた。

 少女は嘆きつつも、かつて友であった混沌竜(カオスドラゴン)を封印し、これが、魔王となった竜皇女の最初の偉業となった。

 その話には、聞き覚えがあった。

 

エレン「…………物語は、これでおしまい。」

レイト「まさか……………!」

リムル「どうした?」

レイト「俺は、その話を知っている。」

シズ「えっ?」

レイト「記憶を覗いたんだ。その時に、まさにそれと同じ記憶だった。」

リムル「誰の記憶を…………?」

レイト「……………ミリムだ。」

リムル「ええっ!?」

 

 そう。

 その御伽話は、かつて、ミリムの悪魔を介して、記憶を覗いた時に、それとほぼ同じ内容だったのだ。

 つまり、前例がある!

 だが、問題は…………。

 

レイト「前例はあるけど、意思なき魔物になってもな……………。」

リムル「ん…………?」

 

 俺がそう呟く中、エレンは空を指差す。

 

エレン「この街は今、結界に覆われているでしょう?」

 

 そう言うと、ある可能性が浮かぶ。

 

レイト(そうか!結界によって、死んだ人たちの魂が留まっていれば!)

科学者『告。絶命した者の魂は本来、拡散、消滅しますが、2種の結界に阻まれ、残存している可能性があります。その確率は、3.14%。』

レイト(円周率並みか…………。)

 

 いや、裏を返せば、蘇生できる可能性が3%以上あるのだ。

 俺は、思念伝達で伝える。

 

レイト『リムル。』

リムル『ああ。俺とお前、考えている事は一緒みたいだな。』

 

 俺たちは、魔王になる事を決意する。

 そうすれば、皆を甦らせる事ができるかもしれない!

 

リムル「エレン、ありがとうな。」

エレン「ううん。」

レイト「でも、良いのか?俺たちに魔王になれって言ったのと同義だぞ。」

シズ「エレンは一体…………?」

エレン「うん。私ね…………本名はエリューン・グリムワルトって言うの。魔導王朝サリオンの王家に連なる家系なんだ。」

レイト「えっ?」

シズ「お嬢様…………?」

 

 それには、俺、リムル、シズさんは驚く。

 お嬢様なのかよ!?

 すると、カバルとギド達も口を開く。

 

カバル「俺たちは、エレンお嬢様の護衛として、一緒に国を出てきたんです。」

リムル「そうだったのかよ…………。」

レイト「護衛が務まったのか?」

ギド「黙ってて、すいやせん。」

エレン「自由な冒険者に憧れて、国を出てきちゃったんだ!…………でもね、さっきの御伽話は、サリオンでも一部の人しか知らないの。リムルさんとレイトさんが魔王になったら、私が関与したのがいずれバレると思う。」

 

 え?

 それって、まずい事なんじゃないのか?

 サリオンの王家に連なる家系の出身が、魔王誕生に関与した事は、かなりまずいだろ。

 

レイト「良いのか?」

エレン「良いの!この街の皆を、私も助けてあげたい!それに、ファルムス王国も、西方聖教会のやり方も、許せないの!」

カバル「お嬢様がそう仰るのなら、護衛として異論はありませんよ。」

ギド「勿論でやす!」

シズ「良い仲間だね。」

レイト「最高だな。」

エレン「私たちにできる事があったら、何でも言ってね。」

カバル「いつも世話になってるんだし。」

ギド「今度は、あっしらが頑張る番でやんすよ。」

リムル「ありがとう。」

 

 本当に、良い奴らだ。

 この3人に会えた事は、本当に良かった。

 その後、リムルが第三の結界を張る。

 念の為の措置だ。

 そして、リムルは言う。

 

リムル「それはそうと、出てこいよ。」

???「ああ。」

 

 リムルがそう言うと、リムルの影から、二つの人影が現れる。

 片方は、リムルと瓜二つの外見で、相違は、髪がピンク色な所だ。

 もう片方は、俺のよく知る奴だった。

 

シズ「貴方達は…………?」

エミルス「俺はエミルス。そこのリムル=テンペストの悪魔だ。」

バイス「俺っちはバイス!イカした悪魔のバイスだぜ!」

レイト「やっぱりか……………。」

 

 実は、前々から感じていたのだ。

 リムルの中に、悪魔がいる事を。

 まさか、二体も居るとは思わなかったのだがな。

 

リムル「……………で、何の用だよ?」

エミルス「お前の本心を確かめる。戦え。」

シズ「えっ……………!?」

リムル「良いぜ。俺の本心を教えてやるよ。」

レイト「ああ。エミルスは、これ使え。」

エミルス「ああ。」

 

 俺はそう言って、リバイスラッシャーをエミルスに渡す。

 リムルも、自分の刀を抜き、構える。

 シズさんは、俺に話しかける。

 

シズ「キメラさん、止めなくて良いの?」

レイト「ああ。あれは、リムルとエミルスの戦いだ。」

バイス「全く、素直じゃないんだから!」

 

 俺たちがそう話す中、リムルとエミルスは、お互いに向き合い、そのまま駆け出して、それぞれの剣をぶつけ合う。

 

リムル「くっ………………!」

エミルス「お前は魔王になって、何がしたいんだよ。」

リムル「……………。」

 

 エミルスの問いに、リムルは黙る。

 そんな中でも、剣での応酬は続く。

 

エミルス「おい、何とか言えよ。お前は魔王になって、何がしたいんだ。」

リムル「俺は……………俺は!」

 

 エミルスの問いに、リムルは叫びながら鍔迫り合いに持ち込み、叫ぶ。

 

リムル「俺は……………もう仲間達を失いたくないんだ!」

 

 リムルはそう叫んで、剣を一閃して、エミルスが持ってたリバイスラッシャーを落とす。

 

レイト「リムル……………。」

エミルス「…………やっと本音で話したか。」

バイス「エミルスもリムルも素直じゃないんだから!」

リムル「……………ああ。レイト。お前も魔王になるって言ったな。」

レイト「ああ。今回の件は、俺にも責任がある。ファルムス王国が攻めてくる事を予感しておきながら、何も出来なかったからな。」

 

 そう。

 俺は、ファルムス王国が攻めてくる事を予感しておきながら、何もできなかった。

 だからこそ、今回の件は、俺も決着をつけたい。

 シズさんが俺たちに近寄る。

 

リムル「シズさん…………。」

シズ「スライムさん、キメラ君。…………いや、リムルさん、レイト君。私も協力するよ。皆を甦らせよう。」

レイト「ああ。」

 

 やっと、シズさんが名前で呼んでくれたな。

 しかし、どうやって魔王になるんだ?

 そう思っていると、科学者が答えてくれた。

 

科学者『解。個体名レイト=テンペストとリムル=テンペストは、既に魔王種を獲得しています。』

レイト『え?どういう事?』

科学者『解。魔王種の有無は、魔素量、保有スキルなどが、真なる魔王として、覚醒するに足るか否かを指します。マスターの場合は、豚頭魔王(オークディザスター)暴風大妖渦(カリュブディス)の一部を吸収した時点で獲得していました。条件を満たせば、真なる魔王へと進化が可能です。』

レイト『マジか!条件は何だ?』

科学者『御伽話から推測するに、種を発芽させるには、養分が必要です。養分となるのは、人間の魂。必要となるのは、1万名分以上。』

 

 1万名か……………。

 問題は、どうやってその魂を手に入れるかだよな。

 すると、リムルが蒼影からの報告を聞いていた。

 しばらくして、俺たちの方を見る。

 

リムル「その魂の件は、どうにかなりそうだぞ。」

レイト「本当か!」

リムル「ああ。ファルムスと西方聖教会の連合軍。合計四万が、ここに向かってるんだと。」

レイト「そうか。都合が良いな。」

シズ「2人とも…………。」

リムル「さてと。」

レイト「それじゃあ、行くか。」

 

 俺たちは、ミュウランの元に向かう。

 その間、色々と話した。

 ミュウランの元に着くと、俺たちは言う。

 

リムル「ミュウラン。処罰を決めた。」

レイト「君には死んでもらう。」

ヨウム「リムルの旦那にレイトの旦那!待ってくれ!ミュウランは本当に…………!」

 

 俺たちの言葉に、ヨウムがそう叫ぶと、獣身化したグルーシスが、俺とリムルに攻撃しようとするが、紅丸と火煉が立ちはだかる。

 

ヨウム「グルーシス…………!」

グルーシス「何してるヨウム!ミュウランを連れてさっさと逃げやがれ!」

ヨウム「はっ!ミュウラン!行こう!はやっ…………!」

 

 ヨウムは、ミュウランにそう声をかけるが、ミュウランにキスをされて、口を塞がれる。

 そして、ミュウランはヨウムに言う。

 

ミュウラン「好きだったわ。ヨウム。私が生きてきた中で、初めて惚れた男。今度は、悪い女に騙されないようにね。…………さようなら。」

ヨウム「ミュウラン!」

 

 ヨウムは、俺たちの方に行くミュウランを止めようとするが、リムルの糸で動けなくなり、そこからシズさんが抑える。

 グルーシスも、紅丸に抑えられる。

 

ヨウム「うっ!ミュウラン!旦那方!頼む!やめてくれ!俺も一緒に償う!何でも言う事を聞くよ!」

レイト「良い覚悟だ。リムル。」

ヨウム「一生かけて償うよ!だから!」

 

 ヨウムは必死にそう言うが、リムルは手にオーラを集める。

 

ヨウム「ああっ!そんな!シズさん!旦那達を止めてくれ!」

シズ「……………黙ってて。」

 

 ヨウムの静止も虚しく、リムルの手が、ミュウランを貫く。

 

グルーシス「ぐっ…………!」

ヨウム「あっ、ああ……………ああああ!」

 

 それを見たグルーシスとヨウムは、そう呻く。

 だが、心配はないさ。

 

レイト「……………よし、上手くいったな。」

ミュウラン「あれ?なんで私、生きて……………?」

「「あっ……………!」」

リムル「3秒くらいは死んでたかな。まっ、俺とレイトも、死んでもらうとは言ったが、殺すつもりなんて無かったし。」

 

 俺とリムルは、狙い通りに行って、笑みを浮かべる。

 それを見て、シズさんは首を振る。

 すると、科学者が伝える。

 

科学者『告。個体名ミュウランの擬似心臓は正常に作動しています。』

レイト『分かった。』

 

 上手くいったようだな。

 俺とリムルは、どういう理由なのかを伝える。

 

リムル「さっき、三つ目の結界を張った時に分かったんだが、クレイマンがミュウランに仕込んだこの仮初の心臓は、盗聴に使われていたんだ。」

ミュウラン「盗聴?」

 

 そう。

 俺とシズさんも、それを知らされて、驚いたのだ。

 だからこそ、シズさんも、ミュウランを助けるこの作戦には、協力してくれたのだ。

 

レイト「ああ。どうやら、暗号化された電気信号を発信させ、クレイマンの元へと届けられていたみたいだ。」

リムル「欺く為に、ミュウランは死んだと思わせたかったんだ。怖い思いさせてすまんな。」

ミュウラン「いえ…………あの、では、この鼓動は?」

レイト「仮初の心臓を参考に、俺のキメラ細胞を用いて作った擬似心臓だ。無論、盗聴機能はない。これで、ミュウランは自由だよ。」

リムル「ああ。クレイマンは、あなたに何も出来ない。」

 

 ミュウランは、これで自由の身になったのだ。

 ちなみに、キメラ細胞を使ったのだが、厳密には、シズさんの体を作った際に培った技術で作った汎用性が高いキメラ細胞を用いた。

 これは、シズさんの体の作成の際に出来た、新たなキメラ細胞を用いたので、俺が死んだ場合でも影響を受けない。

 すると、ヨウムがミュウランに声をかける。

 

ヨウム「ハハっ!やったじゃねえか、ミュウラン!お前を縛るもんは、もう何も無くなったってよ!」

ミュウラン「ええ…………!リムルさん、レイトさん…………いえ、リムル様、レイト様。どんなに言葉を尽くしても、感謝を伝えきれません。忠誠がお望みであれば、私はそれに従います。」

リムル「いや、それは良い。」

レイト「だが、少し、手伝ってほしいことがあるんだ。」

 

 俺とリムルは語ることにした。

 何故、ミュウランの力も必要なのか。

 

ミュウラン「何でしょう?」

リムル「今、お前が死んで生き返ったように、紫苑達も生き返る可能性がある。」

火煉「本当…………何ですか?」

ミュウラン「できる…………のですか?」

レイト「あくまで可能性の話だ。だが、少しでも成功率を上げる為、できる事は全てやる。手伝って欲しい。」

ミュウラン「分かりました。協力は惜しみません。」

火煉「良かった…………。」

 

 それを聞いたミュウランは快諾して、火煉はホッとする。

 火煉にも、吉報なのは間違い無いだろう。

 

リムル「ありがとう。」

レイト「ところで、それが無事終わったら、それからはどうするんだ?」

 

 俺の質問に、ミュウランは少し考える素振りを見せて、口を開く。

 

ミュウラン「私…………せっかく自由になれた身ですけど、人間の短い一生分くらいなら、束縛されても良いと思っています。」

ヨウム「えっ、それって……………。」

 

 つまり、ヨウムと付き合うって事だな。

 それを聞いたヨウムは、顔を赤くして、2人とも、照れる。

 それを聞いたグルーシスは。

 

グルーシス「はっ?えっ?えっ?えっ?えっ?ええっ!?」

 

 グルーシスがそう叫ぶ中、紅丸、火煉、シズさんが、グルーシスの肩に手を置く。

 

グルーシス「慰めはいらねえよ!それに、どうせヨウムは人間だから、100年かそこらの寿命だ。その後は、俺の番って事で。」

ヨウム「何言ってやがる!?そんな事考えてやがったか!クソ狼が!」

グルーシス「あ?今なんつったクソ人間!」

ヨウム「クソ狼って言ってんだよ!」

 

 前向きだねえ…………。

 これは、ヨウムがキメラ細胞を埋められていて、寿命が伸びてる可能性があるという事は、黙っておいた方が良いかもな。

 俺たちは苦笑するが、要件を伝える。

 

レイト「ところで、ヨウム。お前にも頼みたい事がある。」

ヨウム「あ…………ああ。旦那達の頼みなら、何でも…………。」

リムル「ファルムス王国の新しい国王になってくれ。」

ヨウム「おう、任せろ!……………って、え?王?」

 

 俺とリムルの言葉を聞いたヨウムは、驚いて、聞き返す。

 どういう理由なのかを、俺たちはヨウムに伝えた。

 

リムル「……………つまりだ。今こちらに向かっているファルムス王国の軍勢を、国王とその幹部諸共殲滅する。」

レイト「すると、残された国民が困るだろ?だからこそ、ヨウムの出番だ。新たな王として、ファルムス王国を統治して、俺たちと国交を結んで欲しい。」

ヨウム「簡単に言ってくれるな…………。俺が王だと?」

リムル「良いだろ?俺たちだって魔王になるんだ。お前も付き合えよ。」

ミュウラン「リムル様とレイト様は、あなただからお願いしてるのよ。私も応援するから、波乱万丈に生きてみたら?」

ヨウム「う〜ん…………。」

 

 ヨウムは悩んでいた。

 まあ、無理もないか。

 いきなり王になれと言われても、困惑するだけか。

 すると、グルーシスが声をかける。

 

グルーシス「俺も付き合ってやるぜ。そばでお前が死ぬのを待ってやる。」

ヨウム「何い!?」

グルーシス「ハハハッ!」

ヨウム「……………分かった、やるよ。任せてくれ。」

レイト「よし。」

 

 そう言って、俺たちは握手をする。

 その後、会議室に皆を集める。

 

リムル「皆、待たせたな。これより、会議を行う。」

レイト「議題は、今後の人間への対応と、紫苑達の蘇生に関してだ。」

 

 俺たちはそう切り出す。

 そして、俺たちは話していたのだ。

 ある秘密を、エレン達だけでなく、皆にも明かそうと。

 いつまでも、隠す訳にはいかないからな。




今回はここまでです。
レイトは、レイトなりの仮面ライダーとしての姿を見つけることが出来ました。
そのスタンスが、果たして正しいのか、間違っているのかは、分かりません。
それでも、レイトは自分なりの仮面ライダーとしてのあり方を見つける事が出来ました。
そして、いよいよ、リムルとレイトが、秘密を打ち明ける時が来ました。
正義や仮面ライダーというのは、立場によって変わる、複雑な言葉ですよね。
リムルの悪魔であるエミルスは、転スラのスマホゲーム、まおりゅうに登場したキャラです。
ファルムス王国の撃破まで、あと少し。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
転スラとジオウ、転スラと鎧武を投稿しているので、気が向いたら、読んで見てください。
ちなみに、レイトの場合は、魔王種を獲得するのは、豚頭魔王だけでは足りずに、暴風大妖渦も吸収する必要がありました。
本当に、一部だけだったので。

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