転生したらキメラだった件   作:仮面大佐

41 / 76
第37話 人魔会談

 俺たちは、会議室にて、蒼影の報告を聞いていた。

 

リムル「クレイマンが軍を?」

蒼影「は。進軍経路を見るに、忘れられた竜の都を目指しているのかと。」

レイト「忘れられた竜の都か……………。」

 

 確か、ミリムの領地だったよな。

 クレイマンの奴、何を企んでやがる。

 すると、この街に近づく存在に気がつく。

 

蒼影「その数はおよそ三万……………。」

リムル「…………っと、少し待ってくれ。誰か来る。」

レイト「知り合いだ。」

 

 蒼影に報告を止めさせて、俺たちは、その知り合いの元に向かう。

 そこに居たのは、フューズだった。

 

フューズ「お久しぶりです、リムル殿、レイト殿。間に合ってよかった。」

 

 俺たちを見つけたフューズは、そう言う。

 間に合う?

 何が?

 

フューズ「本隊の到着には、今しばらくかかる。微力だが、先に動ける者だけ連れてきた。」

リムル「ええと、フューズ君?」

レイト「今日はどういった要件だ?」

フューズ「ふ……………ブルムンド王国と魔国連邦(テンペスト)の安全保障条約に従い、馳せ参じた。俺たちも、対ファルムス軍の末席に加えてくれ。」

 

 あ……………そういう事か。

 という事は、行き違いになってしまったみたいだな。

 俺たちは、すでにファルムスとの戦闘が終わった事を伝えた。

 

フューズ「は?終わった?どういう事ですか!?ミョルマイル達の話では、ファルムスの宣戦布告からまだ2週間も経ってないのでしょう!?」

 

 それを聞いたフューズは、そう叫ぶ。

 すると、リグルドが耳打ちしてくる。

 

リグルド「使者を送ったのですが………行き違いになってしまったようですな。」

 

 なるほどな。

 まあ、無理も無いか。

 

リムル「ええと、聞いてくれ、フューズ君。」

レイト「その前に、またお客さんだ。」

 

 そう。

 万能感知に反応があった。

 すると、奇才之王が報告する。

 

奇才之王『告。30騎の接近を確認。先頭は、武装国家ドワルゴン国王、個体名ガゼル・ドワルゴです。』

 

 来たのはガゼル王か。

 会うのは、テンペストとドワルゴンの国交樹立宣言以来か?

 魔力感知の上位スキル、万能感知は、検知できる範囲と精度が大幅に上昇した。

 次から次へと来るな。

 そう思っていると、ガゼル王がペガサスから降りて、声をかける。

 

ガゼル「久しいな、リムル、レイト。なんでも、魔王になったらしいな。」

リムル「まぁね。色々あってさ。」

フューズ「…………………っ!?」

 

 ガゼル王がそう言って、リムルがそう言うと、フューズが驚いた表情を浮かべる。

 

レイト「今後については、これから会議をしようと思ってな。」

ガゼル「ほう。ならば、俺も参加しよう。何かやらかすと思っていたが、まさか、魔王とはな。」

リムル「色々あったんだって。」

 

 俺とリムル、ガゼル王がそう話す中、フューズが震えた声で話しかける。

 

フューズ「魔王…………!?一体、どういう事です……………!?聞き捨てなりませんよ!?」

リムル「小便なら、そこを曲がって…………。」

フューズ「俺が知りたいのは、便所の場所じゃないですよ!!」

レイト「ですよね………………。」

 

 まあ、無理もないか。

 すると、フューズは真面目な表情で俺たちを見て、聞いてくる。

 

フューズ「リムル殿、レイト殿。真面目に答えて頂きたい。魔王になったとはどういう事ですか?ファルムス軍との戦争が既に終わった事と、何か関係があるのですか?」

 

 フューズはそう聞いてくる。

 俺とリムルは、顔を見合わせて、答える。

 

リムル「……………ガゼル王の言う通りだよ。必要があったから、魔王になった。」

レイト「ファルムス王国軍には、その為に生贄に……………。」

 

 俺とリムルがそう言う中、ガゼル王が食い気味に言う。

 

ガゼル「待て、リムル、レイトよ。知っているのなら、俺にも聞かせてほしい。ファルムス王国軍が進軍中、なぜか行方不明(・・・・)になった、その理由をな。

 

 ガゼル王は、そう言ってくる。

 それを聞いた瞬間、ガゼル王の意図を察した。

 

リムル「え……………?いや、待ってくれ。そうじゃなくて、俺たちが………………。」

バーン「俺もベスターからの報告でそう聞いたぞ。”進軍中のファルムス王国軍が、突然観測出来なくなった。現在、その原因を調査中である”とな。

 

 リムルが否定しようとする中、ガゼル王の配下の1人であるバーンさんが口を開く。

 やはりな。

 ベスターは何があったのかを、正確に伝えたはずだ。

 気分次第で万の軍勢を滅ぼせる個人は、発射までに複数の手順を要する核兵器以上の脅威だ。

 ガゼル王達は、俺とリムルがファルムス王国軍を虐殺した事実を有耶無耶にしようとしているのだ。

 まあ、真実を告げたら、混乱を煽りかねない。

 俺とリムルは頷き、フューズに答える。

 

リムル「あ、あー……………フューズ君。」

レイト「という訳で、ファルムス王国軍は行方不明になった。」

フューズ「………………………。」

 

 それを聞いたフューズは、とんでもない顔を浮かべていた。

 まあ、無理もないか。

 しばらくすると、フューズは、ため息をつく。

 

フューズ「はぁ……………強行軍で疲れているせいか、幻聴が聞こえた様だ。ファルムス軍は行方不明。なるほど、了解しました。だが、対策会議には、俺も出席させてもらいますよ。リムル殿とレイト殿を信じていますが、だからと言って、傍観は出来ない。」

レイト「分かった。」

 

 フューズはそう言うと、ため息を吐いて、何かを呟く。

 苦労してるんだな。

 まあ、フューズ達のブルムンド側や、ガゼル王達のドワルゴン側は、これで良いだろう。

 問題は、現在、近づいている存在だ。

 リムルとガゼル王が話す中、俺は口を開く。

 

レイト「さて、と。それで、そこのアンタらは何の用意だよ?」

リムル「うん?」

ガゼル「何者だ、貴様達は。」

 

 俺とガゼル王がそう言うと、フードを目深に被った集団が現れる。

 リムルは、気づいていなかったみたいだが。

 すると、先頭の人が口を開く。

 

???「これは、これは。地底に隠れ住むのがお好きな……………帝王ではありませんか。意外ですな。臆病なあなたが、魔王2人に肩入れなさるとは。」

ガゼル「ふん。貴様か。馬鹿みたいに高い所が好きなエルフの末裔よ。神樹に抱かれた都市より下りてきたのか。いや、その体は恐らくは……………。」

???「ああ、人造人間……………ホムンクルスを利用した物だ。魔王を名乗る者達の前に出るには、用心せねばね。」

 

 ガゼル王とそのエルフの代表的な人は、そう話す。

 人間と区別がつかないほどに精巧な人造人間(ホムンクルス)ね。

 シズさんの体も、シズさんの細胞とキメラ細胞を混ぜた物だから、ある意味では人造人間(ホムンクルス)なのかもな。

 すると、蒼華と蒼月が駆け寄る。

 

蒼華「リムル様、レイト様。」

リムル「蒼華、蒼月。」

蒼月「彼らは、魔導王朝サリオンの使者で、代表はエラルドという者で、なんでも、公爵家の当主様だとか。」

レイト「公爵家の当主?何でそんなお偉方が来てるんだよ?」

蒼月「それが………どうやら、エレ…………。」

 

 俺がそう聞いて、蒼月が答えようとした瞬間、そのエラルドという人物が叫ぶ。

 

エラルド「ぐぬぬぬぬ……………!貴様らか!」

レイト「え?」

エラルド「貴様らが、私の娘を誑かした、魔王ですか!」

リムル「あっ、へ…………え?」

エラルド「覚悟は出来ているんでしょうね!?」

 

 エラルドがそう叫ぶと、俺たちから離れて、魔法を発動させようとする。

 

エラルド「炎よ!燃えよ、爆ぜよ、荒れ狂え!集いて弾け、暴威を撒き散らせ!我が敵を爆散せすべよ!一欠片の肉片すらも残さず、塵となるまで焼き尽くせ!」

 

 そう詠唱すると、周囲に魔法陣が展開される。

 この人、何やってんだ!?

 すると、奇才之王が言う。

 

奇才之王『告。あれは超高等爆炎術式です。』

レイト『みたいだな………………ん?』

 

 それを見て、俺は気づいた。

 ハリボテなのだと。

 つまり、俺たちは試されている。

 まあ、私情も混じっているだろうが。

 どうしたもんかな。

 

エラルド「炎よ!燃えよ、爆ぜよ、荒れ狂え!集いて弾け、暴威を撒き散らせ!」

エレン「この…………アホタレがァァァァ!!」

エラルド「我が敵を爆散せすべ………ああっ!」

 

 エラルドが詠唱する中、エレンがそう叫びながらやってきて、杖でエラルドをぶっ叩く。

 エラルドは、ぶっ叩かれた事で、魔法は中断された。

 それをシズさん、カバル、ギドが見ていると、エレンはエラルドの方に向かう。

 

エラルド「ぐっ…………イッタ………!」

エレン「ちょっと、パパ!何しに来たのよ!」

エラルド「え?あっ、エレンちゃん!無事だったのか!」

エレン「無事も何も、私は自分の意思でここに来たのよ!」

シズ「パパ………………!?」

 

 エラルドがそう言って、エレンがそう言いながら叩くのを見て、シズさんは驚いていた。

 無論、俺たちも。

 魔導王朝サリオンの王家に連なる家系の出身だとは聞いていたが、まさか、公爵家の当主の娘さんだったとは。

 

エラルド「いや〜ハハッ!すまんなぁ。娘が魔王に攫われたと報告を受けたもので、つい慌ててしまったのですよ。」

レイト(何がついだよ。)

 

 ハッタリとはいえ、そんな物をやるなよ。

 そんなエラルドに、ガゼル王が話しかける。

 

ガゼル「親バカは治らんな、エラルドよ。」

エラルド「親バカなのではない。エレンちゃんが可愛いから、仕方ないのだ。」

ガゼル「それを世間一般では……………いや、何を言っても無駄よな。」

 

 ガゼル王がそう言うと、エラルドさんは途中から顔をデレデレさせる。

 それを見たガゼル王は、諦めたようだ。

 まじで親バカだな……………。

 

エレン「リムルさん、レイトさん。パパを紹介しても良い?」

リムル「あ、ああ頼む。」

エレン「こちら、魔導王朝サリオンの大公爵、エラルド・グリムワルトです。」

エラルド「どうぞ、お見知りおきを。ジュラの大森林の盟主にして、魔物を統べる者達よ。」

リムル「リムル=テンペストです。で、こっちが……………。」

レイト「レイト=テンペストです。それで、用件は、エレンさん絡みですか?」

エラルド「当然……………そんなわけは無い。」

 

 だろうな。

 もし、エレン絡みだけで来たとしたなら、本当に何しに来たんだって突っ込みたいが。

 

エラルド「今後、貴国との付き合い方を考える上でも、自分の目で見ておきたかったのだよ。娘が気に入った、貴殿らという人物を。」

レイト「なるほど。それで、判定はどうなんですか?あんなハッタリの魔法を使って。」

エラルド「お見通しですか。そうですね。貴方達がハッタリが通じない相手だというのは、理解しました。試させてもらった非礼を詫びます。」

リムル「やっぱりか。」

 

 だろうな。

 魔王に進化した影響か、他者の悪魔を見るのはもちろん、何を考えているのかも大体把握できるようになっていた。

 すると、エレンがガゼル王に話しかける。

 

エレン「ご無沙汰しております。ガゼル王。」

ガゼル「エリューンか?見違えたぞ。」

エラルド「エレンちゃんに手を出す事は許さんぞ、ガゼル!!」

 

 出来る男なのか、ポンコツなのか、いまいち判断しづらいな。

 ちなみに、エラルドは、エレンの平手打ちを食らった。

 

エラルド「そうでした。失礼ついでと言っては何ですが、先ほど言っておられた会議に、私も参加させて頂けませんかな?」

 

 エラルドはそう言ってくる。

 どうやら、俺たちの出方次第という事か。

 まあ、俺たちも、この人が信頼に足るのかどうかを判断するべきか。

 

リムル「分かりました。席を用意します。」

エラルド「ありがとうございます。」

 

 と言うわけで、エラルドも参加する事になった。

 とはいえ、いつもの会議室では手狭か。

 俺たちは、中庭で会議をする事になった。

 朱菜は、こちら側の紹介をする。

 

朱菜「……………続きまして、新しくリムル様の第二秘書になりました、ディアブロ。」

ディアブロ「以後、お見知りおきを。」

朱菜「そして、ジュラの森の管理者として……………。」

トレイニー「樹妖精(ドライアド)のトレイニーです。」

 

 トレイニーさんも参加する事になった。

 ちなみに、シズさんもテンペスト側で参加する事になった。

 

朱菜「以上が、テンペスト側の紹介になります。続きまして、来賓の方々を紹介します。武装国家ドワルゴンより、ガゼル・ドワルゴ国王。」

ガゼル「うむ。」

朱菜「魔導王朝サリオンより、エラルド公爵。」

エラルド「よろしく。」

朱菜「獣王国ユーラザニア戦士団より、三獣士のアルビス様、スフィア様、フォビオ様。ブルムンド王国より、自由組合支部長(ギルドマスター)のフューズ様。」

フューズ「あ……………はい。」

朱菜「そして、今後のファルムス王国を代表して、グルーシス様、ミュウラン様、ヨウム様。」

ヨウム「っほん!どうぞ、よろしく。」

ガゼル達「ん?」

 

 朱菜の紹介は続いた。

 それにしても、ドワルゴン、サリオン、ユーラザニア、ブルムンド、そして、今後のファルムス王国といった感じに、錚々たるメンバーが揃ったな。

 リムルは、朱菜に聞く。

 

リムル「朱菜、ヴェルドラはどうしてる?」

朱菜「はい。お召し物を変えられて、まもなくいらっしゃるかと。」

 

 服を変えさせたのか。

 まあ、あんな服装は、これからの会議には相応しくないしね。

 すると、ヴェルドラが到着する。

 

ヴェルドラ「待たせたな、皆の者!」

朱菜「まあ、よくお似合いです。サイズもぴったりのようですね。」

ヴェルドラ「そうであろう。実にナイスな衣装だ。褒めて遣わすぞ。ぐあ〜〜はははっ!」

朱菜「ありがとうございます。」

 

 ヴェルドラはそう叫ぶ。

 その手には、リムルから受け取った漫画と、ガンデフォンがあった。

 ちなみに、ガンデフォンに仮面ライダーの映像をダウンロードしてるので、ヴェルドラには見せておく。

 見せろとうるさかったので。

 すると、ガゼル王が口を開く。

 

ガゼル「リムル、レイトよ。其奴も部下か?」

ヴェルドラ「あ?」

ガゼル「初めて見る顔だな。」

リムル「ああ、皆さんに、俺たちの盟友を紹介したい。」

レイト「ヴェルドラだ。」

ヴェルドラ「えっへん!」

ガゼル「ヴェルドラ…………?」

エラルド「ヴェルドラ?」

フューズ「ヴェル……………ドラ?」

 

 俺の言葉を聞いた途端、ガゼル王、エラルド、フューズが固まる。

 まあ、無理もないが。

 ヴェルドラは、口を開く。

 

ヴェルドラ「我は暴風竜、ヴェルドラ=テンペストである!我と語る事ができた者は、数えるほどしかおらぬ故、貴様達は幸運である。光栄に思うが良いぞ!」

 

 ガゼル王達が唖然とする中、物音がする。

 それは、フューズがぶっ倒れた音だった。

 情報過多で気絶したのだろう。

 

エレン「あらら、気絶しちゃった。」

ヨウム「無理もねぇ。」

シズ「大丈夫………………?」

ヴェルドラ「ふむ。感極まったか。」

レイト「違うって。」

 

 シズさんがフューズの介抱をする中、ヴェルドラは見当違いの事を言って、俺は突っ込む。

 

リムル「なあ、ヴェルドラ。俺たちはこれから真面目な話をするんだから、邪魔しないでくれよ?」

レイト「会議中は顧問的な感じで大人しくしてくれれば良い。なんなら、散歩に出ても良いぞ?」

ヴェルドラ「ぐあはははは!釣れないな〜!ズッ友、マブダチ!我を仲間外れにするのはやめるのだ!」

 

 俺とリムルがそう言うと、ヴェルドラは頰を突いてくる。

 すると、ガゼル王が叫ぶ。

 

ガゼル「リムル、レイトよ!」

レイト達「ん?」

ガゼル「話がある……………!」

リムル「あ……………こちらもです。」

 

 こうして、テンペストの未来を決める為の重要な会議は、始まる前に中断された。

 その後、執務室にガゼル王とエラルド公爵を案内する。

 

朱菜「それでは、失礼します。」

 

 朱菜は、俺たちの紅茶を出して、そのまま後にする。

 しばらくの静寂の末、ガゼル王とエラルド公爵が詰め寄る。

 

ガゼル「どういう事だ!?暴風竜ヴェルドラが復活だと!?」

リムル「え〜と、簡単に説明するとだな……………。」

エラルド「その前に言っておきましょう。」

レイト「はい。」

エラルド「私は、魔導王朝サリオンの天帝陛下より、全権を任されています。私の言葉が、サリオンの立場を決める物となる。その事を踏まえて……………説明をお願いします。」

レイト「わ、分かった。ちゃんと説明するから。」

 

 そうして、俺とリムルは、経緯を話す。

 この世界に、リムルはスライムとして、俺はキメラという名のギフテリアンとして転生した事。

 封印の洞窟でヴェルドラと会った事。

 色々あって魔王となり、死んだ仲間を蘇らせて、ヴェルドラの封印を解除した事。

 

リムル「……………で、今に至るという事だ。」

ガゼル達「あああ………………。」

レイト「大丈夫か?」

 

 俺たちの話を聞き終えると、ガゼル王とエラルド公爵は、頭を抱えていた。

 

ガゼル「…………想定外だぞ。お前達が魔王になったのも問題だったが、それ以上の難問を用意するとは……………。」

リムル「いや〜そんなに褒められても。」

レイト「褒めてねぇだろ。」

ガゼル「ぐっ!」

 

 ガゼル王がそう言うと、リムルはそう言って、俺は突っ込み、ガゼル王は睨む。

 

エラルド「リムル殿、レイト殿……………彼の方は本当に本物の暴風竜なのですか?」

リムル「さて、どうでしょう?」

エラルド「いや、そうであろうな。邪竜の名を騙るような愚か者など、人間にも魔物にもおるはずが無い。」

レイト「だろうな……………。」

 

 エラルド公爵はそう断言した。

 まあ、無理もない。

 そんな中、俺、ガゼル王、エラルド公爵は口を開く。

 

ガゼル「しかし……………。」

エラルド「どうしたものか……………。」

ガゼル「公表するか、隠蔽するか。」

レイト「まあ、公表する流れで考えてる。」

エラルド「そうですか。どちらにしても、西側諸国は問題あるまい。我が魔導王朝サリオンも、天帝陛下に報告するだけで良いが、問題は……………。」

レイト「西方聖教会。」

ガゼル「そうだな。隠し立ては通じぬ。竜種の中でも、特に暴風竜を敵対視しておるからな。」

エラルド「そもそも、既に邪竜の復活には気づいているだろう。」

レイト「どっちみち、公表するしかないという事だな。」

ガゼル「そうだな。」

 

 やっぱり、立ちはだかってくるのは、西方聖教会か。

 という事は、再び坂口日向(ヒナタ・サカグチ)と戦う可能性があるって事か。

 借りを返したいところだな。

 すると、ガゼル王はリムルに向かって叫ぶ。

 

ガゼル「聞いとるか、リムル!」

リムル「は…………はい!」

エラルド「真剣に考えてもらわねば困りますよ。レイト殿を見習って下さい。」

リムル「すみません……………。」

 

 リムルは考え事をしていたのか、反応に遅れる。

 リムルが考えていたのは、ガゼル王とエラルド公爵が気が合いそうという事だった。

 というより、そんな下らない事を考えるなよ。

 

リムル「まあ、レイトの言う通り、ヴェルドラの事は公表するつもりだったし、西方聖教会は避けて通れなそうだし……………何とかするしかない。」

ガゼル「うむ。そう決めたのなら、俺に文句はない。」

エラルド「魔王と竜種が手を組むなど、これ以上に厄介な問題がありましょうか。笑えない冗談です。しかし、これは幸運でした。」

レイト「ん…………というと?」

 

 まあ、魔王と竜種が手を組むなんて、マジでやばい事なのだろう。

 俺の質問に対して、エラルドは紅茶を飲み、口を開く。

 

エラルド「……………今、この密談に参加できたのですから。我が国の立場を決定するのに、これ以上ない情報を得られたという物です。」

ガゼル「うむ。」

リムル「ほう……………。」

エラルド「魔王2人と竜種が共存する国に喧嘩を売るのは、愚かですからな。」

ガゼル「そういう事だ。」

 

 ガゼル王とエラルド公爵は、そう言う。

 すると、リムルがガゼル王に話しかける。

 

リムル「ほほう……………今の発言は、俺たちが西方聖教会を敵に回しても味方してくれる。そう受け取って良いのか?」

ガゼル「リムルよ。貴様はもう少し腹芸という物を覚えたほうが良いぞ。……………まあ、レイトの場合は、腹芸をしてても、相手の考えを見透かしそうだがな。」

レイト「あははは……………。」

 

 まあ、合ってるけどさ。

 相手の考えは読めるから、腹芸の必要がない。

 

ガゼル「つまりだな…………あえて敵対する理由もないのに、国を危険に晒す事はしない。西方聖教会には、義理もないのだから。分かるな?」

レイト「ああ。ガゼル王が協力してくれるのなら、心強いよ。」

リムル「だけど…………エラルドさん。サリオンとは、国交すら樹立していないのに、どうしてそこまで親身に……………。」

レイト「エレン絡みだろ?」

 

 ガゼル王の言葉に俺がそう返すと、リムルはエラルド公爵にそう聞く。

 エラルド公爵は、答える。

 

エラルド「リムル殿。公の場では、名前と役職で呼んでください。あなたは一国の主の片割れなのですから、他国の重鎮へ遜る必要などないのです。まあ、”さん”でも”殿”でも、好きに呼んでくれても結構ですがね。」

リムル「あ……………ありがとう。」

エラルド「それはともかく、質問にお答えしましょう。といっても、レイト殿が答えたのですがね。娘のエレンちゃ……………ううん!エリューンがリムル殿とレイト殿に魔王覚醒の情報を流した事で、その責任を追及されましてな。」

 

 やっぱりか。

 どうやら、早くもバレたみたいだな。

 まあ、無理もないか。

 

エラルド「言ってしまえば、娘が新しい魔王を2人も生み出したような物ですからな。ですが、それを知っているのは、私と天帝陛下のみ。そこで、リムル殿とレイト殿を見極め、万が一の場合は、討伐部隊を派遣する事も視野に入れ、私自ら出向いたという訳です。」

レイト「それで、その判断は如何に?」

エラルド「…………先ほど申した通り、友好を選びます。」

ガゼル「当然の選択よな。我が国も最初から、友好国であるテンペストを支持するつもりでおったわ。フッ……………。」

エラルド「だが、問題が無い訳ではない。リムル殿とレイト殿が滅ぼしたファルムス王国軍だが、流石に死者が多すぎます。四万の死者を出した魔王ともなると……………。」

 

 サリオンも、国交を樹立してくれそうだな。

 まあ、問題はそれだ。

 とはいえ、エドマリス王に言った時と同様に、俺たちは、既にその覚悟はできている。

 その罪を背負って生きていく。

 すると、ガゼル王は口を開いた。

 

ガゼル「それは安心しろ。」

リムル「ん……………?」

ガゼル「死体は全て消え、証拠はない。そして、捕虜を除いて、生存者も誰1人としていない。ならば、どうとでも筋書きを変えられよう。聞く者を皆、納得させられれば良いのだ。」

レイト「……………そうだな。それで?どういう筋書きなんだ?」

リムル「教えてくれ。ガゼル王。」

ガゼル「清濁併せのむ覚悟が決まっているようだな。それで良い。王たる者は、悔いてはならぬ。ふっ……………では、説明しよう。いいか、よく聞け。筋書きはこうだ。」

 

 ガゼル王は、筋書きを説明する。

 それから俺たちは、綿密な打ち合わせを行なって、会議を再開しに戻ったのだった。

 フューズは、目元にタオルを置いていた。

 

フューズ「はぁ……………。」

リムル「大丈夫か?」

シズ「大丈夫だよ、リムルさん。」

フューズ「ありがとうございます、シズ殿。こんな重要な話、予め聞かせといて下さいよ。」

リムル「あれ?言ってなかったけ?まあ、過ぎた事はもう良いだろう?」

フューズ「さらっと流すな!!」

レイト「大丈夫そうだな。」

フューズ「…………ったく、上になんて報告すれば…………はぁ……………。」

レイト「では、会議を再開する。まずは、今までの経緯から話させてもらう。」

 

 フューズも苦労してんな。

 俺たちは改めて、転生した事、ヴェルドラとの出会いから、今までの事を話した。

 その際、坂口日向(ヒナタ・サカグチ)との戦いに関しては、俺が話した。

 ヒナタと戦ったのは、俺だからな。

 それを聞いていたシズさんは、悲痛な表情を浮かべていた。

 シズさんとしては、弟子であるヒナタと俺とリムルが戦って欲しくなかったのだろう。

 それを聞いたフューズは、驚いた声を出す。

 

フューズ「なんと!?あの坂口日向(ヒナタ・サカグチ)と戦ったんですか!?」

レイト「ああ。とんでもない強敵だった。こっちの話を聞いてはくれないし、容赦なく攻撃してくるし。冷酷で恐ろしい殺人者……………という印象だな。あ、いや、すまん、シズさん。あなたの弟子なのに。」

シズ「ううん。こっちこそ、ヒナタがごめんね。」

 

 少し言い過ぎたか。

 俺はそう思い、シズさんに謝る。

 シズさんにとっても、弟子を愚弄されたと思われても仕方ないしな。

 シズさんは、複雑そうな表情を浮かべて、そう言う。

 

フューズ「う〜ん……………。」

リムル「どうした?」

フューズ「いえ……………我々が掴んでいた情報とは、少し印象が違いましてね。」

レイト「というと?」

フューズ「彼女は、自分を頼ってきた者には、必ず手を差し伸べているんです。助言を聞かなかった者は、二度と相手をしないそうですが……………。つまり、理性的で合理的な考え方の持ち主なんですよ。」

 

 そんな一面があるのか。

 とはいえ、それはあくまで、人間(・・)に対してだけだろう。

 元日本人であるとはいえ、今の俺は魔物だ。

 聞く訳がないか。

 すると、ガゼル王とエラルド公が口を開く。

 

ガゼル「ふむ。流石は情報操作に長けたブルムンド王国のギルマスだな。余の知り得る物と同じだと証言しておこう。」

エラルド「我々の情報とも同じですね。ルミナス教の教義を破った事は一度もなく、最も模範的な騎士……………純然たる法と秩序の守護者という事です。」

リムル「それほどの者なら、何故召喚儀式を阻止しようとしないんだ?」

レイト「子供を連れ去るなんて、許されざる行いなのにな。」

シズ「………………。」

 

 そう。

 それが気になっていたのだ。

 そんな奴なら、子供を異世界に連れ去る召喚儀式は阻止する筈。

 すると、フューズが口を開く。

 

フューズ「彼女が、各国の召喚を見逃していたかどうかは、本当の所は分からないでしょう?」

レイト「まあ、それはそうなんだが。」

フューズ「異世界人を呼び出す召喚魔法は、公には出来ぬ禁断の秘儀でしょう。西方諸国評議会では、禁止事項に指定されてますし。問われた所で、国家としても、簡単には認めぬでしょうな。」

リムル「やっていないと言われれば、それまでか……………。」

フューズ「ええ。」

エラルド「レイト殿に対して、問答無用だったのは、ルミナス教の教えに、”魔物との取り引きの禁止”という項目があるからでしょうな。」

 

 そういう事か。

 まあ、追及出来ないんじゃ仕方ないか。

 それはそれとして………………。

 

レイト「俺らには交渉の余地はないか。もし、西方聖教会が、俺たちの事を神敵と認定したら、ヒナタはそれに従う。間違いないよな?」

フューズ「そうでしょうな。」

 

 となると、神敵に認定されたら、大軍が再び押し寄せてくる。

 下手をしたら、ファルムスの時の二の舞になりかねない。

 すると、ディアブロが口を開く。

 

ディアブロ「クフフフフフッ……………!では、私が出向き、始末して参りましょう。」

レイト「ちょっと待て。ヒナタは強敵なんだぞ。」

リムル「お前に始末出来るのか?」

紫苑「そうですよ、ディアブロ。」

レイト達「ん?」

火煉「ディアブロが出向くくらいなら、私が始末します。」

紫苑「リムル様、私にお任せ下さい。」

 

 何で火煉まで?

 普段は紫苑を止める立場だろ!?

 すると、三人の間で火花が散る。

 

ディアブロ「これはこれは、紫苑殿、火煉殿。あなた達には、秘書の心得を教わった恩があるので、言いたくはありませんが……………残念ながら、あなた達では、ヒナタとやらには勝てぬでしょう。」

紫苑「面白い事を言う。」

火煉「つまり、あなたは私よりも強いということですか?」

紫苑「では、この三人の中で、誰が上なのかはっきりさせ……………!」

「「させんでよろしい!!」」

 

 紫苑達がそう言うのを見て、俺たちはそう叫ぶ。

 すると、ヴェルドラも驚いていた。

 

レイト「ヴェルドラ………………。」

リムル「まさか、お前……………。」

ヴェルドラ「わっ、わわわ……………我は、べっ、べべ……………別に混ざろうとかしておらぬよ!」

レイト「そう言いたいのなら、挙動不審気味な態度はやめろ。」

リムル「向こうから来るならともかく、こっちから行く必要はない。」

ヴェルドラ「ええ〜……………。」

レイト「”ええ〜”じゃない!俺たちは西方聖教会と敵対したい訳じゃない。」

リムル「お前達もだぞ。」

火煉達「すみません。」

 

 ヴェルドラが文句を言う中、火煉達は、そう謝る。

 

リムル「ううん!というわけで、ヒナタ及び、西方聖教会についての議論は以上だ。相手の出方次第では、争う事になるが……………ええ…………慎重に対応して、様子を見ることとする。」

レイト「あと、一つ言いたい事がある。もし、ヒナタ達が来た場合は、ヒナタの相手は、俺がする。」

火煉「えっ!?」

 

 リムルがそう言うのと同時に、俺はそう言う。

 すると、火煉はそう叫ぶ。

 

火煉「私では…………ダメなんですか?」

レイト「いや、火煉を信頼していない訳じゃないさ。」

リムル「だったらなんで…………?」

レイト「……………ヒナタには、借りがあるからな。その借りは、きっちり返す。その為さ。」

火煉「なるほど………………分かりました。レイト様を信じます。」

レイト「ありがとう。」

 

 俺がそう言うと、火煉は納得する。

 まあ、それだけじゃないんだけどな。

 ヒナタにツインキメラバイスタンプを押印して、悪魔が生まれた筈だ。

 あの時は、聖浄化結界(ホーリーフィールド)によって、出て来れなかった。

 その悪魔を見て、ヒナタの経緯を知るのも、悪くないと思うし。

 別に、運命の人だからという理由ではないのは確かだ。

 それよりも、気になる事がある。

 

ヒナタ『そうね。密告があったもの。』

 

 ヒナタはそう言った。

 という事は、ヒナタに俺たちの事を売った輩が居る。

 俺がシズさんを魔物にしたのを知っているのは、ごく限られる。

 可能性としてあるのは、エレン達3バカトリオにクロエ達を始めとする子供達、そして、神楽坂優樹。

 この中で疑わしきは。

 

奇才之王『告。その可能性が一番高いのは……………。』

 

 奇才之王も、ある人物の事を指摘する。

 そう、最初に会った時から、怪しいと思っていた奴。

 だが、目的はなんだ?

 俺とヒナタを争わせる事に何の意味がある?

 それに、あいつなら、イマジンとも繋がっていても不思議ではない。

 確証は無いが、あいつの悪魔には二面性がある。

 何を企んでいるのかは知らんが、もし牙を剥いたのなら、俺は容赦なく叩き潰す。

 すると、ガゼル王とリムルが話しかける。

 

リムル「レイト、レイト!」

ガゼル「レイトよ。」

レイト「あっ、悪い。考え事をしてた。じゃあ、本題に戻ろう。」

 

 まあ、あいつがイマジンとも繋がっていたのかは、まだ確証がない。

 現状、様子見という事にしておこう。

 俺たちは、テンペストの運命を決める議題を俎上に載せる時が来た。

 すると。

 

???「うわっ!?」

レイト達「ん?」

 

 上から何かがぶつかる音がして、上を見ると、天井部分に見覚えのある妖精が居た。

 そう、ラミリスだ。

 

ラミリス「うっ、うう……………。」

リムル「ラミリス?」

レイト「あいつ、何しに来たんだ?」

 

 俺たちは、ラミリスを回収する。

 

ラミリス「うぅ……………。」

リムル「一体、どうしたんだ?」

ラミリス「あっ!話は聞かせてもらったわ!この国、テンペストは……………滅亡する!」

レイト「なっ……………!?」

リムル達「何だって!?」

 

 ラミリスの言葉に、リムル達は驚く。

 無論、俺も。

 一方、ある北の土地では、赤髪の男が、緑の髪のメイドから話を聞いていた。

 

???「……………若い魔物2人が、魔王を名乗った?」

???「はい。それを理由に、魔王達の宴(ワルプルギス)が提案されました。発議はクレイマン様。賛同者は、ミリム様にフレイ様です。」

 

 それを聞いた赤髪の男は、呟く。

 

???「ミリム……………相変わらず、バカの考えは分からんな。」




今回はここまでです。
人魔会談が始まりました。
話が進む中、ラミリスがやってきて、テンペストの滅亡を知らせる。
そして、最後に登場した赤髪の男。
はてさて、誰なんでしょうか。
シズさんも、レイト達とヒナタが戦う事に心を痛めています。
次回は、人魔会談の後半です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
ちなみに、ジュウガVSオルテカにて、沢神りんなの手によって、圧縮SO-1合金を粒子化させて、ドライバーに定着させていましたが、こちらでは、魔鋼か魔鉱塊を粒子化させて定着させるという手法を取ります。
その為、ジュウガドライバーは、レイトに合わせて成長します。
オリジナルフォームに関しても、この特性を利用して出したいと思っています。
コラボはいつでも受け付けていますので、気軽にメッセージを送ってください。

ジュウガのオリジナルフォームは必要か

  • 必要
  • いらない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。