転生したらキメラだった件   作:仮面大佐

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第38話 ラミリスの報せ

 俺たちが会議をする中、ラミリスがやってきた。

 

ラミリス「うぅ……………。」

リムル「一体、どうしたんだ?」

ラミリス「あっ!話は聞かせてもらったわ!この国、テンペストは……………滅亡する!」

レイト「なっ……………!?」

リムル達「何だって!?」

 

 ラミリスは、テンペストが滅亡すると言ったのだ。

 

ラミリス「そう!滅亡……………うわあっ!ちょっ、ちょっと……………何をするだ!?」

 

 ラミリスがそう言う中、ディアブロに羽の部分を摘まれ、あっさり捕まった。

 ちなみに、ヴェルドラも叫んでいたが、元の場所に戻った。

 

ラミリス「ぐぅ……………!私の全魔力を持ってしても、逃げ出せない!ぬぬぬ……………!」

ディアブロ「リムル様。この巫山戯た羽虫にどのような処分を下しましょう?」

ラミリス「何よ!何なのよ!私が何をしたって言うのさ!?」

 

 ラミリスが逃げようとする中、ディアブロはそう言う。

 そいつ、一応魔王なんだけどな……………。

 

ラミリス「こっ、こいつ……………!只者じゃないわね!」

 

 ラミリスはそう言う。

 まあ、ディアブロも、原初の悪魔の1人だしなぁ…………。

 すると、フューズが口を開く。

 

フューズ「あの、リムル殿、レイト殿。その妖精は…………?」

リムル「ああ、ラミリスって知り合いなんだ。」

レイト「あんなちんちくりんなナリだが、一応魔王だ。」

フューズ「はぁ……………魔王……………。」

 

 フューズがそう聞いてくるので、俺とリムルはそう言う。

 ヴェルドラの時と比べると、驚いてないな。

 すると、ラミリスが叫ぶ。

 

ラミリス「”あんなちんちくりんなナリ”ってどういう意味よ!?これでも私はね、十大魔王中、最強だと恐れられているんだからね!」

フューズ「へぇ………………。」

ラミリス「ちょ……………あんた、もっと驚きなさいよ!迷宮妖精のラミリスとは、私の事なんだけど!何でそんなにあっさりとした反応なわけ?」

フューズ「いや、その……………暴風竜の復活で驚きすぎて……………もう驚き疲れたというかなんというか…………。」

 

 ラミリスがそう聞くと、フューズはそう答える。

 それを聞いたカイジンと黒兵衛が、後ろにいるヴェルドラをチラリと見る。

 まあ、無理もないか。

 ヴェルドラが復活したと知った際には、ぶっ倒れたしな。

 一方、ラミリスは叫ぶ。

 

ラミリス「はあ……………暴風竜?ヴェルドラが復活したですって?んな訳ないでしょ!ヴェルドラは昔、私がワンパンで沈めてやったからね!口ほどにも無かったわよ!あいつの時代はとっくに終わったって訳!恐怖するなら、あんな微風竜じゃなくて、私を畏れ敬うが良いのさ!ハ〜ッハハハッ!!」

 

 ラミリスは高笑いしながらそう言う。

 そんな見た目で言われても、説得力が無いんだよな。

 俺は、ディアブロからラミリスを受け取り、ヴェルドラの方に向かう。

 その間、ラミリスは高笑いを続けていた。

 

レイト「ヴェルドラ。悪いけど、この子の相手をしてやってくれないか?」

ヴェルドラ「んー?我は今、忙しいのだ。操真晴人がどのようにして、不死身のフェニックスを倒すのかを見届けなければならぬ。」

 

 俺がそう言うと、ヴェルドラはそう言う。

 特撮オタクとしての禁忌となるが、こっちは本当に忙しいのだ。

 悪く思うなよ。

 

レイト「ああ、それな。晴人がオールドラゴンになって、フェニックスを太陽に向かって蹴って、フェニックスが永遠に死と再生を繰り返す感じだから。じゃあ、頼む。」

ラミリス「ヴェ……………!?」

ヴェルドラ「っ!?」

 

 俺がそう言うと、ヴェルドラは涙目で俺を見てくる。

 ラミリスも、ヴェルドラが居ると気づき、驚く。

 そして、ヴェルドラは燃え尽きて、ラミリスは気絶する。

 悪い事をしたが、他国の重鎮達を待たせているのだ。

 ラミリスの相手はヴェルドラに任せよう。

 すると、リムルが声をかける。

 

リムル「お前……………意外と容赦ないな。」

レイト「会議が脱線するのは面倒だからな。さっさと本題に入るぞ。」

リムル「お、おう……………。」

 

 俺がそう言うと、リムルは少し引いた表情を浮かべる。

 引くなよ。

 傷つくだろうが。

 

リムル「では、改めて、本題に入ろうと思う。公に発表するのは、以下の筋書きとする。」

レイト「俺たちは魔王を名乗るが、覚醒したのは伏せる。欲深いファルムス王国のエドマリス王が、テンペストへ軍を向け、戦争になり、敗北した……………とする。」

リムル「魔王2人によって滅ぼされたよりも、戦争によって敗北したとする方が、他の国々に受け入れられるだろう?」

レイト「その上で、ファルムス軍の大量の死者が、最悪の封印を解いてしまい、眠れる邪竜、暴風竜ヴェルドラを復活させた。」

 

 俺たちは、筋書きを話しながら、ヴェルドラの方を見る。

 

ヴェルドラ「ん?どうした?」

 

 ヴェルドラはそう言う。

 そんな中、俺たちは筋書きの続きを話す。

 

リムル「そのヴェルドラを、英雄ヨウムと俺たちが協力し、多大な犠牲を出しつつも説得して、怒りを鎮め、守護者として祀る事で、話をつけた…………とする。」

レイト「俺たちの魔王化に意味を持たせつつ、ファルムス王国に全ての罪を着せ、俺たちが正義であると主張する。」

フューズ「ふむ……………。」

 

 俺とリムルは、筋書きを話し終える。

 それを聞いていたフューズが、顎に指を付ける中、ガゼル王が口を開く。

 

ガゼル「考えてもみよ。人は、自分が理解できない存在を恐れ、決して認めようとはしない。たった2人で四万もの軍を滅ぼした者達に、友好を口にされても、信じる事など出来まいよ。」

フューズ「ふむ……………。」

ガゼル「だが、暴風竜の仕業であるとするならば、理解するのは容易だろう。何しろ、暴風竜は天災なのだからな。」

 

 まあ、ヴェルドラって、天災級(カタストロフ)だもんな。

 無理もないか。

 すると、ヴェルドラが反応する。

 

ヴェルドラ「クックック……………!我を天才と呼ぶとは、なかなか見所がある男よ。」

レイト「そっちの”てんさい”じゃねぇよ!」

 

 見当違いのことを言うんじゃない!

 すると、エラルド公も口を開く。

 

エラルド「私も、この筋書きを支持します。娘のせいでリムル殿とレイト殿が魔王になったと、恐れられ、恨まれるよりも、リムル殿とレイト殿が魔王になったおかげで、暴風竜に対する交渉が可能になったと感謝される方が良いですからね。」

エレン「パパ……………それってなんか、姑息ぅ。」

エラルド「っ!!」

シズ「アハハハ……………。」

 

 エラルド公がそう言う中、エレンはそう言って、エラルド公は傷ついた。

 結構辛辣だな。

 それを見て、シズさんは苦笑する。

 そんな中、空気を変えようと、俺は口を開く。

 

レイト「利点は他にもある。俺たちを警戒する他の魔王達が、脅威はヴェルドラのみだと勘違いしてくれるかもしれない。」

リムル「そうなったら、俺たちも動きやすくなる。何より、最大の利点は、俺たちがヴェルドラと交渉可能だと知れば、下手にちょっかいを出してくる国が減るだろうという事だ。反対意見があれば言ってくれ。特に、ヴェルドラには、俺たちの罪を背負わせてしまうが………。」

 

 俺とリムルはそう言う。

 まあ、クレイマン辺りはそれに引っかかりそうだが、流石に他の最古参の魔王に関しては、見破られるかもしれないがな。

 リムルがヴェルドラにそう聞くと、ヴェルドラは答える。

 

ヴェルドラ「何も問題ないぞ。」

リムル「ん……………。」

ヴェルドラ「我はお前達のカルマを共に背負うと決めていた。暴風竜の威、存分に使うが良い。」

レイト「ありがとう。」

 

 ヴェルドラ、ありがたいな。

 すると、リグルドを筆頭に、話し始める。

 

リグルド「確かに納得ですぞ。それならば、他国とも今までと変わらぬ交渉を続けられそうです。」

紫苑「はい!流石はリムル様!」

火煉「レイト様も、お見事です。」

リムル「いや。発案者はガゼル王だし、俺たちは意見をまとめただけだよ。」

ガゼル「ふん。」

 

 紫苑達がそう言う中、リムルはそう言う。

 これは、ガゼル王の発案を元に、俺たちが纏めた物だ。

 すると、スフィア達も口を開く。

 

スフィア「感謝するぜ、ガゼル王。これで、俺たちが動く時、リムル様とレイト様の援軍が期待できるって物だ。」

アルビス達「うん。」

紅丸「フッ。なるほど。俺たちはクレイマンに集中できるというわけか。これは、勝たねば俺が無能だったという事になるな。」

 

 そう。

 ヴェルドラに気を取られて、こちらの注意が逸れれば、動かしやすくなる。

 リムルが口を開く。

 

リムル「よし。魔王になった過程を公表するにあたっての筋書きだが……………ここまでは良いか?」

 

 リムルがそう聞くと、皆が頷く。

 俺は、それを見て、口を開く。

 

レイト「よし。それを基に、今後の方針を決める。ヨウム。」

ヨウム「ん?ううん!おう。」

エラルド、ガゼル「ん?」

 

 俺はヨウムを呼ぶと、ヨウムは咳払いをしながら立ち上がる。

 ガゼル王達がヨウムを見る中、リムルが説明する。

 

リムル「ファルムスの新しい国王として、英雄ヨウムを擁立し、新国家の樹立を目指したいと思う。」

フューズ「何ですって?ヨウムを?」

レイト「ああ。」

 

 リムルがそう言うと、フューズが驚き、ガゼル王とエラルド公は、ヨウムを見極める為か、目を細めていた。

 

リムル「まず、エドマリス王を解放して、テンペストへの侵攻に対しての賠償を行わせる。」

フューズ「しかし、あの国が賠償にまともに応じるとは思えんのですが……………。」

レイト「それが狙いだ。賠償問題は、あくまできっかけに過ぎない。本当の目的は、ファルムス王国内に内戦を起こさせる。一度、ファルムスを滅ぼして、新しい国に生まれ変わらせる。英雄ヨウムを新たなる王に据えて。」

リムル「幸い、彼は国民からの人気が高い。」

ヨウム「えぇ……………。」

エラルド「んん〜?ん?」

 

 そう。

 あの腐った国は、一度滅ぼして、ヨウムを新たな王に据えて、生まれ変わらせる。

 それを聞いたエラルド公は、首を傾げていた。

 まあ、無理もないか。

 そんな中、ガゼル王が口を開く。

 

ガゼル「うむ。よかろう。俺としては、その計画自体に異論はない。」

ヨウム「あっ……………!」

 

 ガゼル王はそう言うと、ヨウムと向き合う。

 すると、ガゼル王から覇気が出る。

 

ガゼル「ふん!」

ヨウム「うっ、うう……………!」

ガゼル「貴様は民を思い、苦しみを負って立つ覚悟があるのか!……………どうなのだ。」

 

 ヨウムが怯む中、ガゼル王はそう問う。

 ガゼル王は、ヨウムを試しているのだろう。

 ヨウム、頑張れ。

 王としての器を見せてやれ。

 ヨウムは、ガゼル王の問いに答える。

 

ヨウム「へっ……………知るかよ。」

ガゼル「…………………。」

ヨウム「俺だって、好きで王様になろうってんじゃないんだ。だがよ、俺を信じて託されたこの役目……………断ったんじゃ男が廃るだろうが!」

ガゼル「ほう?」

ヨウム「出来もしないと決めつけて、やる前から諦めたくないだけさ。……………惚れた女の前で、カッコつけたかったってのもあるけどよ。」

スフィア「ん?」

ミュウラン「はっ……………バカ…………。」

スフィア「ヒヒっ。」

 

 ガゼル王の問いに、ヨウムはそう答える。

 ヨウムがそう言うと、ミュウランは顔を赤くしながら俯き、スフィアはニヤニヤとする。

 

ヨウム「やるからには全力でやってやるさ!」

ガゼル「…………………。」

 

 ヨウムはそう言って、ガゼル王と睨み合いをする。

 すると、グルーシスが立ち上がる。

 

グルーシス「確かに、こいつはバカだ。だが、実にヨウムらしい。ドワーフの王よ。俺も保証する。こいつは確かにバカだが……………。」

ヨウム「何度もバカバカ言うな!」

グルーシス「無責任ではない。アンタのような英雄王と呼ばれるその時まで、このグルーシスが見届けると誓おう。」

ミュウラン「私も誓います。」

 

 グルーシスとミュウランは、そう言う。

 本当に、ヨウムは人を惹きつける何かがあるよな。

 良いやつだからな。

 それを聞いたガゼル王は、口を開いた。

 

ガゼル「ふっ……………ならばよい。……………何かあれば、俺を頼るが良い。」

ヨウム「えっ…………?」

グルーシス「ハハっ。」

 

 ガゼル王はそう言って、座る。

 ガゼル王のお墨付きが得られたな。

 

ガゼル「しかし、面白い男を見つけた物だな。」

エラルド「まさか、惚れた女の為に王になるなどと……………。」

ガゼル達「ハハハハッ…………!」

ヨウム「あっ、いや……………。」

 

 ガゼル王とエラルド公がそう言って、笑う。

 すると、フォビオがニヤニヤしながら言う。

 

フォビオ「やるじゃねえか、グルーシス。まさか、俺たちの前で、堂々とカリオン様を裏切る宣言をするとは。」

グルーシス「うっ!いや、そんなつもりでは……………!」

レイト「ふっ。」

 

 フォビオの発言に、グルーシスがオロオロするのを見て、俺も笑う。

 ガゼル王は、ヨウムに言う。

 

ガゼル「ヨウムよ。我が国が貴様に望むのは、農作物の生産だ。」

ヨウム「んん?」

ガゼル「他国と競合する分野ではなく、独自の分野を伸ばす方が、共存共栄しやすいだろう。」

リムル「俺たちからも頼む、ヨウム。」

レイト「欲しい作物は要相談で。」

ヨウム「流石だな、旦那方。任せてくれ。ファルムスは農業も発展しているし、受け入れられると思うぜ。」

 

 俺たちは、ちゃっかりとそう言う。

 すると、フューズが口を開く。

 

フューズ「では、ブルムンド王国を代表して、提案があります。」

リムル「提案?」

フューズ「我らも、ヨウム擁立計画に協力出来そうですので。」

レイト「へぇ。」

フューズ「ブルムンドは、ファルムスの貴族、ミュラー侯爵とヘルマン伯爵を懇意にしておるのです。彼らと交渉し、こちらの陣営に加わってもらうというのは、どうでしょうか?ヨウム殿が決起した際には、後ろ盾として、頼りになると考えます。」

 

 なるほど、貴族と繋がりがあるのか。

 確かに、後ろ盾が出来るのは、ありがたいよな。

 とはいえ、ブルムンドの王様が何を考えているのかは気になるが。

 

リムル「それはありがたいが……………。ギルマスとはいえ、そんな事をここで決めて良いのか?」

フューズ「今の俺は、国家所属の立場であるとご理解ください。ギルマスとしてではなく、ブルムンド王国情報局統括補佐としての発言です。」

レイト「ふむ。その貴族達を信用できると?」

フューズ「ミュラー侯爵は、ブルムンド王と遠縁に当たりますし、ヘルマン伯爵は、ミュラー侯爵に大きな恩があり、裏切るとは考えられません。」

リムル「なるほど……………。」

 

 ミュラー侯爵は、ブルムンド王と遠縁に当たるのか。

 リムルは、フューズに聞く。

 

リムル「しかし、そんな秘密をここで暴露して大丈夫なのか?」

フューズ「ハハハハッ!大丈夫です。それに、どうせご存知だったのでしょう?ドワルゴンの暗部の者達ならば、我がブルムンドの情報局に匹敵しますからね。」

ガゼル「うむ。」

リムル「よし、分かった!フューズ。ミュラー侯爵とヘルマン伯爵とやらに、速やかに、そして、密かに連絡を頼む。」

フューズ「ああ。任せて下さい。」

リムル「ヨウム。聞いたな?」

ヨウム「ああ。任せろよ。」

リムル「よし。英雄ヨウムの国取りは、そんな感じだな。英雄の凱旋を華々しく演出しようじゃないか!」

一同「おう!」

 

 リムルがそう言うと、皆が返事をする。

 すると、エラルド公が笑いだす。

 

エラルド「ハハハハッ!」

ヨウム「ん?」

レイト「………………。」

エラルド「揃いも揃って、国を担う人々が、他者を疑いもせず、本音で語り合うなどと…………フフッ。これでは、警戒してる私の方が滑稽ではないですか。ハハハハッ!」

エレン「ちょっと、パパ。」

 

 エラルド公は笑い終えると立ち上がり、フューズの方へと向く。

 

フューズ「ん?」

エラルド「君に問おう。君は、魔物であるリムルとレイトとやらを、本当に信じているのかね?」

フューズ「それは……………どういう意味ですか?」

 

 エラルドの問いに、フューズはそう聞く。

 恐らく、何かあるな。

 

エラルド「魔物が勝手に国を名乗ろうが、何をしようが、ブルムンドはそれを正式な国家と認めなくても良かったのではないかね?まして、国交まで結ぶ必要は無かっただろう。」

フューズ「んん……………。」

エラルド「つまりだね。私なら、取引だけは行いつつ、西方聖教会の出方を見ていただろう。利益を享受しつつも、裏でこっそりと通報し、問題がないかどうか、全てを一任してね。それが、小国なりの立ち回り方という物では無いのかね?」

 

 エラルドは、そう言う。

 確かに、利益だけを得つつ、そうやるのもありだろう。

 少し、聞いてみるか。

 俺の他者の考えを見通す力は、万能という訳では無い。

 そこまで会っていない場合は、見通すのが少し難しいからな。

 確実性を持たせよう。

 

レイト「俺も聞きたいな。フューズ達の事を信じていない訳ではないが、ブルムンド王が何を考えているのかを。」

フューズ「えぇ……………。ハァ……………あああ〜〜〜!分かったよ!分かりましたよ!それじゃあ、本音で語らせてもらうとしましょうか。」

 

 そう言って、フューズは語り出した。

 フューズも、エラルド公の意見とほぼ同じ感じで考えていたようで、知り合いであるベルヤードという貴族と一緒に、ブルムンド王に進言したそうだ。

 すると、返答は。

 

ブルムンド王『信頼関係を結び、共存共栄の関係を築く。それしかない。』

フューズ『し、しかし……………。』

ブルムンド王『豚頭帝(オークロード)暴風大妖渦(カリュブディス)を退ける国だぞ?仲良くせんと、我が国が滅ぶじゃろうが……………!』

 

 そう答えたそうだ。

 あの国王、愛くるしい見た目に反して、曲者だな。

 とはいえ、思惑を知る事が出来たな。

 

フューズ「……………そりゃ、ドワーフ王国やアンタの所は大国だし、選択肢も選び放題でしょうがね。我が国みたいな弱小国家は、一つ間違うと終わりなんですよ。どうせ命運をかけるなら、西方聖教会に助けを求めるのではなく、魔物の主達を信じる方がいい。まっ、それが理由です。レイト殿、満足ですか?」

レイト「ああ。ブルムンド王の思惑を知れたしな。」

 

 そういう事か。

 ブルムンドは、そういう感じなんだな。

 一方、エラルド公は、フューズに尋ねる。

 

エラルド「……………で、君は、リムル殿とレイト殿を助けるためにやって来た…………それもブルムンド王の判断かね?」

フューズ「その通りですよ。相互安全保障条約を締結した以上、必ず遂行しろと命じられました。……………尤も、国が約束を違えたとしても、俺はここへ来てましたけどね。俺は自由人なんで。フッ……………何でこんな役、引き受けたんだろ。」

 

 エラルド公の質問に、フューズはそう答えた後、そう呟く。

 フューズも苦労してるんだな。

 そんな中、エラルド公が話しかける。

 

エラルド「すまなかったね、フューズ殿。だが、君のおかげで、ブルムンド王国の思惑がよく理解出来ましたよ。」

ガゼル「俺がリムルとレイトを信じているのだから、疑うまでもあるまいよ。」

エラルド「そうは言うがな、ガゼル。魔物の国と新たに国交を結ぶ決断など、そう簡単には下せぬよ。私は今、ブルムンド王に敬意を抱いた所さ。」

ガゼル「フッ。抜かせ。最初から決断していたからこそ、貴様が出てきたのだろう。」

 

 ガゼル王とエラルド公は、そう話す。

 そんな2人を見て、俺は口を開く。

 

レイト「それで、エラルド公。結論は如何に?」

エラルド「私なりに決断は出ているがね。それを答える前に、レイト殿、リムル殿。もう一つ、良いですかな?」

リムル「ん?」

エレン「ちょっとパパ。勿体ぶらずにさっさと答えてよ。」

エラルド「え………………。」

 

 俺がそう問うと、エラルド公は俺とリムルを見る。

 すると、エレンは容赦なくそう言う。

 それを聞いたカバルとギドは、慌てる。

 

カバル「ちょっ!お嬢様!それはまずいですって!」

ギド「そうでやすよ!かっこいい所を見せようと頑張っておられるんですから!」

シズ「それはちょっと、追い打ちになってない?」

エラルド「んん……………。」

ガゼル「策士も地に落ちたな。」

 

 カバルとギドがそう言う中、シズさんはそうつっこんで、エラルドは照れ、ガゼル王は呆れる。

 俺とリムルは、アイコンタクトをして、魔王覇気を出す。

 

エレン達「あっ……………!」

リムル「聞こうか、エラルド。」

レイト「アンタの問いは何だ?」

エラルド(魔王覇気……………!?なるほど。これは凄まじい……………!)

 

 俺とリムルの問いに、エラルドはそう思いつつも、俺たちに問う。

 

エラルド「では、魔王リムルに魔王レイトよ。あなた達に問いたい。貴殿達は、魔王として、その力をどう扱うおつもりなのか。」

 

 エラルドの問いに、俺たちは魔王覇気を解除して、リムルが口を開く。

 

リムル「え?何だ、そんな事か。」

エラルド「何だ……………?」

リムル「答えは簡単。俺たちは、俺たちが望むままに、暮らしやすい世界を作る。出来るだけ、皆が笑って暮らせる豊かな世界をな。」

エラルド「そんな夢物語のような事が、本当に実現できるとでも!?」

レイト「出来るかどうかじゃない。やるんだよ。その為の力だ。力無き理想は戯言で、理想なき力は虚しいだけさ。」

 

 リムルの答えに、エラルド公がそう問うが、俺はそう答える。

 理想を実現する為には、それ相応の力が必要だ。

 その為のギフの力だ。

 例え、生まれが悪とされる力でも、使い方次第で、善にも悪にもなる。

 だからこそ、俺は理想を叶える為に、この力を使う。

 それを聞いたエラルド公は、笑みを浮かべる。

 

エラルド「フッ……………。アハハッ!愉快だ!これは愉快ですな!魔王リムルに魔王レイトよ。カルマ深き魔王達よ。あなた達が覚醒出来た理由が、私にも理解できましたぞ。(エレンちゃんが懐く訳だな。)」

 

 エラルド公はそう思いながら言い、跪く。

 

エラルド「失礼しました。魔王リムルに魔王レイトよ。私は魔導王朝サリオンよりの使者として、貴国……………ジュラ・テンペスト連邦国との国交樹立を希望致します。何卒、良きお返事を賜りたく存じます。」

エレン「パパ!」

カバル「お、お嬢…………!」

ギド「ちょっ!」

 

 エラルド公がそう言うと、エレン達も頭を下げる。

 俺とリムルの答えは決まっていた。

 俺は、手を差し伸べる。

 

リムル「こちらからも、良き関係を築きたいと思っていた。」

レイト「その話、是非ともお受けしたい。」

 

 俺がそう言うと、エラルド公も立ち上がり、握手をする。 

 それを見て、一同は拍手をした。

 こうして、テンペストと魔導王朝サリオンとの国交が樹立する事になった。

 ブルムンド、ドワルゴンに続いて、人類国家としては、三つ目だ。

 リムルは、紅丸に話しかける。

 

リムル「よし、紅丸!」

紅丸「はっ。」

レイト「敵はクレイマン。叩き潰すぞ!」

紅丸「待ってましたよ。その命令を!」

紫苑「はい!腕がなります!」

火煉「ええ。」

レイト「それで、三獣士及び、獣人の戦士達も。」

リムル「シズさんも。」

アルビス「我らは皆、今はリムル様とレイト様の指揮下ですわ。」

スフィア「ああ!任せてくれ!」

フォビオ「うん。」

シズ「ええ!」

 

 俺たちがそう問うと、皆はそう答える。

 すると、ガゼル王が問う。

 

ガゼル「リムル、レイトよ。それで……………勝てるのだろうな?」

レイト「勝てるかどうかじゃない。勝つだけだ。俺たちを怒らせた報いを受けさせてやる。」

エラルド「簡単に言いますね。クレイマンといえば、数多の魔人を配下に擁する魔王。油断のならない相手ですよ。」

リムル「関係ないな。戦いは数ではなく、質だ。」

エラルド「やれやれ……………自分の常識が崩れる音が聞こえそうです。」

 

 俺とリムルの答えに、エラルドはそう言う。

 こうして、後に人魔会談と呼ばれる会議は終わり、俺たちはまた、理想に向けて、大きな一歩を踏み出した。

 一方、ジスターヴの城では、クレイマンがワインを飲んでいた。

 ラプラスが、クレイマンに話しかける。

 

ラプラス「聞いたで。ユーラザニアへ攻め込むんやて?」

クレイマン「ああ。首都はミリムが消し飛ばしたが、あの国は人口だけは多い。各地に点在する集落には、人間も多数住んでいる。私の覚醒の為の、ちょうど良い生贄になってくれるだろう。そう思わないか?」

 

 クレイマンは、そんな事を企んでいた。

 それを聞いていたラプラスは。

 

ラプラス(非戦闘員も含め、皆殺しって事かいな。なんや、強引すぎるっちゅうか…………ちょいと焦りすぎちゃうか?クレイマン。)

 

 ラプラスは、そう思っていた。

 そして、クレイマンに聞く。

 

ラプラス「なあ。魔王達の宴(ワルプルギス)っちゅう重大事の前に、動かんでもええんやないか?それに、魔王間には、相互不可侵条約があるんやろ?」

クレイマン「ああ。それなら問題ない。薬指(やくし)のミュウランが、あのスライムとキメラに殺された。それは、魔王の座を奪うという私に対する脅迫であり、それを焚き付けたのが、魔王カリオンだと判明した。そう主張するつもりだよ。」

ラプラス「なるほど。向こうが先に裏切ったんなら、筋は通……………って、ミュウランちゃん、殺されてもうたんかいな!?」

 

 クレイマンの発言に、ラプラスは驚く。

 そんなラプラスの質問に、クレイマンは答える。

 

クレイマン「ああ。支配の心臓(マリオネットハート)で、一部始終聞いていたし、預かっていた心臓は、灰になったからね。」

ラプラス「そうか。ええ子やったんになあ………………。」

クレイマン「ハハハハッ。君は優しいな。この前、ティアにも言われたよ。”道具は大切に扱わないとダメだ”って。君が教えたんだってね、ラプラス。だからこそ、道具を壊した者達には、責任を取ってもらわないと。そうする事で、道具への供養になるという物だろう?」

ラプラス「……………せやな。せめて、その死を無駄にするのだけはやめてやりたいわな。」

クレイマン「そうだろう?君なら理解してくれると思っていたよ。」

ラプラス(そういう意味とちゃうんやけどな……………。)

 

 クレイマンはそう言う。

 ラプラスの意図が、伝わっていなかった。

 俺たちの偽装に、全く気づいていなかった。

 ラプラスはふと思い、クレイマンに聞く。

 

ラプラス「なあ、クレイマン。ほんまに自分の意思で、今回の作戦を決めたんやな?」

クレイマン「私に命令出来るのは、カザリーム様と、恩のあるあの方のみ。それは君が一番よく知っているだろう。」

ラプラス「……………分かった。ならええわ。わいはもう行くけど、最後に友人として忠告や。魔王ミリムの支配を過信せん方がええ。あれは、カザリーム会長よりも昔からおる太古の魔王の1人なんや。せいぜい油断せんようにな。ほな。」

 

 クレイマンの言葉に、ラプラスはそう言う。

 ラプラスは、忠告しながら去っていく。

 すると、クレイマンが持っていたワイングラスが割れる。

 

クレイマン「(私が何者かに影響されているとでも言いたいのか?)忌々しい…………!」

 

 クレイマンは、そう思う。




今回はここまでです。
人魔会談の話です。
レイトの悪魔を介して、思考を見通す能力は、接触時間に比例して、見通せる範囲が広がります。
ブルムンド王ととは、少ししか会っていなかった為、あまり見通せなかったんです。
次回は、ラミリスの知らせから入ります。
そして、ちょっとしたレイトの悪魔みたいな残虐性が垣間見えます。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
転キメ日記の6話にも記載しましたが、まおりゅうとこのすばがコラボしたので、転キメとこのすばとギーツの小説でコラボしようかなと検討しています。
どんなストーリーにするのかは、検討中です。
もし、意見があればお願いします。
あと、転スラとギーツの小説をやろうかなと検討しています。
オリ主がキツネに転生して、ギーツに変身するみたいな感じで。
もし意見があれば、受け付けます。
これからも応援の程、よろしくお願いします。

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