転生したらキメラだった件   作:仮面大佐

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第40話 会戦前夜

 ユーラザニアに住む人たちが、クレイマンに狙われていると判明した。

 それを知った三獣士の面々は、顔を顰めていた。

 クレイマンの奴、ずる賢いな。

 魔王達の宴(ワルプルギス)を3日後の夜に設定したのも、他の魔王からの干渉を受けずに、獣王国の虐殺を完了するつもりだろう。

 その場に重い空気が漂う中、ヴェルドラが口を開いていた。

 

ヴェルドラ「お主は、この中では誰が推しだ?」

ラミリス「ん……………推し?」

ヴェルドラ「我はこいつが好きでのう。」

 

 ラミリスとヴェルドラは、そんなふうに話していた。

 そんな中、俺は奇才之王(シェムハザ)に聞く。

 

レイト『なあ、奇才之王(シェムハザ)さん。仮に、獣王国に残っている者達が皆殺しにされたら、クレイマンは覚醒すると思うか?』

奇才之王『解。効率は悪くても、大量の魂を獲得するものと思われます。成功率は、78%です。』

 

 78%か。

 思いのほか高いな。

 俺とリムルは頷きあう。

 断固阻止だ。

 

リムル「ユーラザニアに残っている民は、顔も名も知らぬ者達だが、俺たちと友誼を結んでいる。」

レイト「だからこそ、遠慮なく介入させてもらう。クレイマンの思い通りにはさせない。絶対にな……………!」

アルビス「リムル様、レイト様…………!」

 

 俺とリムルがそう言うと、三獣士は頭を下げる。

 リムルは、紅丸に話しかける。

 

リムル「紅丸。」

紅丸「はっ!」

リムル「阻止しろ。」

紅丸「ああ、任せろ!……………じゃなくて、お任せを。」

 

 リムルがそう言うと、紅丸はそう言う。

 こうして俺たちは、クレイマンの目論見を阻止する作戦を検討する事に。

 だが、良い作戦が思いつかない。

 何せ、こちらから送り出しても、間に合わない。

 

レイト「問題は…………どうやっても間に合わないことか。」

リムル「転送魔法で全員を送れたら早いんだけどな。」

朱菜「でも、転送魔法で軍を送るのは、危険が大きすぎます。」

リムル「ああ、分かってる。言ってみただけ……………。」

 

 そう。

 転送魔法は、物質を送る事は出来るが、有機物を送るのには向いていない。

 何せ、大量の魔素を浴びて、変質してしまうからだ。

 だからこそ、魔素による変質を防ぐ為に、結界を保護する術式を転移魔法に組み込む必要がある。

 だが、軍隊の様な大人数を転移させるには、とんでもないエネルギーが必要になる。

 それが問題だ。

 すると、奇才之王が言う。

 

奇才之王『告。対象者の保護を組み込んだ完全転送術式が完成しています。』

レイト『なっ……………!?』

奇才之王『エクストラスキル”空間支配”を併用する事で、消費魔力の大幅削減に成功しました。』

 

 いつの間に……………。

 とはいえ、ありがたいな。

 俺とリムルは、思念伝達をする。

 

レイト『リムル。そっちも、対象者の保護を組み込んだ完全転送術式が完成してるか?』

リムル『お前の方もか……………。ああ、完成してるぞ!』

レイト『よし。』

 

 やっぱりか。

 俺たちの究極能力(アルティメットスキル)は、マジで優秀だな。

 俺たちは、口を開く。

 

リムル「朱菜の言うとおり、転送魔法で軍を送るのは危険すぎる。だが……………。」

紅丸「だが?」

レイト「それを可能にする新たな術の開発に、たった今、成功した。」

朱菜「まあ!」

紫苑「なんと……………!?」

火煉「流石です。」

フォビオ「たった今って……………!?」

紅丸「流石。」

ディアブロ「クフフフフフッ……………。」

シズ「凄いね!」

 

 まあ、作ったのは、俺とリムルの究極能力(アルティメットスキル)だがな。

 

レイト「全軍が間に合うなら、勝ったも当然だ!」

 

 俺はそう言う。

 まあ、クレイマンにはほんの少しだけ同情するよ。

 俺とリムル、奇才之王と智慧之王の進化が無ければ、クレイマンの勝ちだったろう。

 

リムル「あとは君たちの覚悟だけだ。」

レイト「ああ。術を使えば、全軍を一気に送り出す事が出来るが、安全確認はまだだ。それでも、俺とリムルを信じるか?」

 

 そう。

 まだ、安全確認が済んでいないのだ。

 その為、危険がまだあるかもしれない。

 すると、紅丸が口を開く。

 

紅丸「悩むまでもない。俺の忠誠はリムル様とレイト様に捧げた。忠実な家臣である以上、死ねと命じられたら死ぬだけです。」

スフィア「信じるぜ。俺たちがリムル様とレイト様を疑うなんて出来ねえし。」

フォビオ「一度助けられた身だ。部下達に文句なんざ言わせませんよ。」

アルビス「あらあら。これは私も同意しないとダメな流れだわ。リムル様とレイト様のお力に頼らせて下さいませ。」

 

 紅丸がそう言うと、三獣士達もそう言う。

 それを聞いて、俺とリムルは頷く。

 

レイト「よし。その命、預かった。」

リムル「これでクレイマンの策の上を行く!あとはお前達次第だ!必ず勝て!」

一同「はっ!」

 

 俺とリムルがそう言うと、周囲は頷く。

 そうして、会議は終わり、その場には、俺、リムル、シズさん、ヴェルドラ、リグルド、紅丸、朱菜、火煉、紫苑、白老、嵐牙、ディアブロ、ラミリス、トレイニーさん、トライアさんが残る。

 ヴェルドラは呑気に『仮面ライダー電王』を見ていたが。

 

リムル「ふぅ……………皆、長い会議お疲れ様。」

レイト「明日からも大変だと思うけど、よろしく頼むな。」

朱菜「ええ。お任せ下さい。」

リムル「クレイマンの居場所を特定出来れば、空間転移で殴り込んで、終わらせられるんだけどな。」

レイト「確かに。傀儡国ジスターヴに居る可能性が高いが。」

朱菜「ですが、クレイマンは魔王達の宴(ワルプルギス)に参加するのでは?すれ違いになりそうです。」

レイト「そうだな。」

 

 そう。

 欲を言えば、今から乗り込み、ぶちのめしたいが、偵察も無しに突っ込むのは危険だろう。

 すると、紫苑が叫ぶ。

 

紫苑「はい!」

リムル「紫苑!」

紫苑「ウフッ!こちらが魔王達の宴(ワルプルギス)に乗り込んで、クレイマンと文句のある魔王達を全て斬り捨ててしまうのはどうでしょう?」

 

 紫苑はそう叫ぶ。

 確かに、それは良い案だな。

 とはいえ、標的はあくまでクレイマンなので、他の魔王には喧嘩を売るつもりはないのだが。

 それに、ミリムが何を考えているのかを知っておきたい。

 

リムル「クレイマンならまだしも、他の魔王とまで揉めるのはダメだろ。」

紫苑「そ……………そうですか。」

レイト「だけど、その案自体は悪くない。クレイマンも、俺たちが乗り込んでくるとは思わないだろうしな。なあ、ラミリス。俺たちも参加出来るか?」

ラミリス「えっ?魔王達の宴(ワルプルギス)に?」

 

 リムルがそう言う中、俺はそう言いながら、ラミリスに聞く。

 ラミリスは、トレイニーさんとトライアさんにデザートを食べさせてもらっていた。

 

リムル「ああ。こっちからクレイマンに会いに行ってみるのも、面白いかなって思ってさ。」

レイト「流石に、クレイマンも動揺するだろ。飛び入り参加はダメとかあるのか?」

ラミリス「うーん……………多分大丈夫だと思うけど。でもね、付き添いは二人までだよ。昔、色々問題があったから、そう決まったの。ん?うぐっ!うぐぐぐ……………!」

 

 俺とリムルがそう聞くと、ラミリスはそう返して、口を拭かれる。

 飛び入り参加はOKだけど、付き添いは二人までか。

 なら、簡単に決まるな。

 俺がそう考える中、リムルは口を開く。

 

リムル「どう思う?」

ディアブロ「クフフフフフッ…………。」

レイト「ん?」

ディアブロ「素晴らしい案です。その時は是非、この私がお供をいたしましょう。」

紫苑「バカめ、ディアブロ!お供はこの私です!譲りません!」

ディアブロ「まあ、とはいえ、戦いになるならば、打ち破れば済む話。そもそもリムル様とレイト様だけで十分でしょう。」

紫苑「その通り!バカかと思っていたが、新参にしては、見どころがあるぞ!」

 

 そんな風に話して、笑い合う。

 この二人、いつの間に意気投合してるんだ?

 昼間、言い争っていただろうが。

 ていうか、火煉さんはすっげぇ頷いてる。

 すると、リムルはスライムの状態で紫苑の頭の上に乗る。

 

リムル「待て待て。慌てるな。まだ決定じゃない。それに、お前にはファルムス王国を任せたから、どっちにしろ連れて行かないよ。」

ディアブロ「そうですね。承知しました。」

朱菜「しかし……………やはり危険ではないですか?」

紅丸「いや。ミリム様が裏切ったとは思えないが、少なくとも、魔王カリオン様を討ったというのは事実。」

レイト「そう。魔王達の宴(ワルプルギス)で、ミリムの真意を探るのも、悪くないと思うからな。」

ラミリス「そうよねぇ。ミリムがクレイマンなんかの言いなりになるなんて、まずあり得ないと思うよ。だって、ミリムって我儘だし。」

 

 リムルがディアブロと話す中、朱菜は不安げな声を出す。

 それに対して、俺と紅丸がそう答えると、ラミリスはそう言う。

 お前がそれを言うか。

 すると、紫苑が反応する。

 

紫苑「ミリム様がリムル様とレイト様を裏切るなど、絶対に考えられません!」

火煉「確かに、私もそう思う。でもそうは言っても、相手は海千山千の魔王。その心を読み切るのは、不可能だと思う。」

紫苑「いいえ!根拠はありませんが、間違いないと確信します!」

 

 紫苑がそう叫ぶ中、火煉はそう冷静に指摘して、紫苑は再び叫ぶ。

 根拠はない……………か。

 

リムル「まあ、実の所、俺も裏切られたとは思っていない。俺たちは、ミリムを信じる事にする。」

レイト「まあ、だからと言って、放置して良い話ではないけどな。ラミリスの言う通り、原因がクレイマンだという意見も、的外れではないからな。」

ラミリス「でしょ!でしょでしょ!?やっぱり、名探偵ラミリスさんの読みは正解だったって訳よね!」

トレイニー「流石です。」

トライア「素晴らしいです、ラミリス様。」

ラミリス「ふふん!」

 

 俺とリムルがそう言うと、ラミリスは胸を張り、トレイニーさん達は拍手をする。

 あんまり甘やかすなよ。

 リムルは、紫苑から降りて口を開く。

 

リムル「だからこそ、魔王達の宴(ワルプルギス)に参加して、色々と探ってみようと思うんだが………………。」

 

 リムルはそう言って、周囲を見渡す。

 すると、紫苑はリムルを凝視し、火煉は俺を凝視する。

 まあ、連れて行くか。

 すると、リムルは口を開く。

 

リムル「よし!紫苑と嵐牙を連れて行く!」

紫苑「はっ!ありがとうございます!」

嵐牙「お任せください!我が主!」

リムル「ところで……………レイトは誰を連れて行くんだ?」

レイト「俺か?決まってるよ。火煉とシズさん。この二人を連れて行く。」

火煉「ありがとうございます!」

シズ「私も……………?」

 

 リムルにそう聞かれたので、俺はそう答える。

 すると、火煉は喜び、シズさんは驚いていた。

 俺は、理由を話す。

 

レイト「火煉も十分に強いし、シズさんも、あいつと会えるかもしれないぞ。魔王レオン・クロムウェルと。」

シズ「っ!!」

レイト「言いたい事があるんだろう?ちょうど良い機会だからな。」

シズ「………………ありがとう。」

 

 そう。

 魔王達の宴(ワルプルギス)にて、シズさんを苦しめた魔王、レオン・クロムウェルも参加するかもしれないのだ。

 この際、言いたい事はさっさと言っておくべきだろう。

 ただ、究極の闇と結びつかない事を祈るが。

 すると、ヴェルドラが叫ぶ。

 

ヴェルドラ「グアッハハハハっ!!」

一同「ん?」

ヴェルドラ「やる気になったか。リムル、レイトよ!水臭いぞ。我も共に行こうではないか!魔王など、恐るるに足らぬわ!」

 

 ヴェルドラはそう言って立ち上がり、拳を握る。

 確かに、ヴェルドラに来てもらえたら、頼もしいだろう。

 だが、今回は無しだ。

 

リムル「まあ、待てよヴェルドラ。」

レイト「ヴェルドラには、この街に残って、防衛を頼む。」

ヴェルドラ「何!?我ならば、魔王どもなど一捻りで……………!」

リムル「この街の防衛というのも、立派な仕事だ。……………というか、一番重要な役割だぞ。」

ヴェルドラ「ぬ?一番……………。」

レイト「そういう訳だ。留守番を頼むよ。な?」

 

 まあ、ヴェルドラが強いのは確かだが、考えはちゃんとあるしな。

 すると、ラミリスが口を開く。

 

ラミリス「ちょっとリムル、レイト。師匠は私の配下として来て貰えば良いじゃん。それなら、私も安全だし。」

ヴェルドラ「いや?我は別にお前のお守りでついていきたい訳ではないのだが?」

ラミリス「うえええ〜っ!?そんな…………冷たいよ、師匠!」

 

 ラミリスがそう言うが、ヴェルドラはそう言って、ラミリスは慌てる。

 ていうか、師匠って何だよ。

 そんな中、リムルは口を開く。

 

リムル「ヴェルドラ。実は、君の噂を流す手筈になっている。それは、さっきの会議でも話し合っていたから、知っているよね?」

ヴェルドラ「ぐっ……………うむ!無論であるぞ。(マズイ……………聞いてなかったなどと言えぬではないか。)」

 

 リムルはそう聞くと、ヴェルドラは少し挙動不審気味にそう言う。

 聞いてなかったんだな。

 まあ良いや。

 俺は口を開く。

 

レイト「それでな。クレイマンの奴はこう考えるだろう。”リムルとレイトという魔人は、ヴェルドラの威を借るだけの小物だ”ってな。」

ヴェルドラ「何だと!クレイマンめ!許さんぞ!!」

紫苑「フッ!身の程を知らぬ虫が!やはり、私が出向き、殺した方が良さそうですね。」

 

 俺がそう言うと、ヴェルドラと紫苑の二人は、そう言う。

 冗談で言ったんだけどな………………。

 すると、紅丸と火煉が口を開く。

 

紅丸「はぁ……………やれやれ。落ち着け、紫苑。」

火煉「レイト様の言葉は、あくまで例えよ。」

リムル「会議にヴェルドラを連れて行って、警戒されてしまっては意味がないだろ?」

ヴェルドラ「ほほう?そういう事か。」

紫苑「流石、リムル様とレイト様!」

ディアブロ「クフフフフフッ……………リムル様とついでにレイト様を侮る時点で許し難い。私の手で粛清してやりたいですが、ここは…………先輩を立てるとしましょう。」

紫苑「ほう。話が分かりますね。」

 

 ディアブロ、俺の事をついでって言うのは、やめてくんない?

 そして、紫苑とディアブロがサムズアップをし終えると、紫苑はしゃがむ。

 

紫苑「相手を油断させて、有利に交渉を進めるつもりですね?」

火煉「なるほど。」

朱菜「それも危険ではないでしょうか?」

レイト「大丈夫だ。いざとなったら、俺とリムルのスキルである”暴風竜召喚”で呼び出す事が出来るんだ。」

ヴェルドラ「何と!そうであったか!」

リムル「万が一の時は、お前に助けを求めるから、それまで大人しく、この街を守っていて欲しいんだ。」

ヴェルドラ「クア〜ハハハハッ!なるほど!我は遅れて現れるヒーローだな。」

ラミリス「ずるくない?それ。」

 

 紫苑がそう言う中、火煉は納得して、朱菜はそう言うが、俺はそう言う。

 いざとなったら、ヴェルドラを呼び出せるからな。

 それを聞いていたラミリスがそう言う。

 

リムル「賢いって言って欲しいね。」

レイト「あと、ラミリスの従者枠は埋まってるだろ。ベレッタにフランの二人が。」

ラミリス「あっ、そうだった。」

 

 そう。

 ラミリスには、ベレッタとフランの二人がいるから、大丈夫だろ。

 こうして、準備が整った。

 クレイマンには、それ相応の報いを受けてもらう。

 手加減はしない。

 俺はそう思いながら、ラボへと向かう。

 やるべき事があるからだ。

 一方、忘れられた竜の都では。

 クレイマンの軍が準備をする中、忘れられた竜の都の神官団を率いる神官長であるミッドレイは、苛立っていた。

 

ミッドレイ「ええい!忌々しい奴らよ!何が”協力しましょう”だ!舐めおって!」

 

 ミッドレイがそう言う中、ミッドレイの隣にいるヘルメスとトートが口を開く。

 

ヘルメス「ミッドレイ様。ここは従わないとマズイですって。」

トート「あのヤムザとかいう指揮官は、ミリム様からの命令書を持っていたじゃないですか。」

ミッドレイ「黙れ、ヘルメス、トート。貴様らに言われなくても分かっておるわ。」

ヘルメス「ユーラザニアを滅ぼすなんて、ホント、ミリム様にも困った物ですよね。」

ミッドレイ「不敬だぞ、ヘルメス!ミリム様のなさる事を疑うでないわ!」

トート「いや、それはそうなんですけど…………。(そうやって甘やかすから、ますますこっちも苦労するんですよ……………。)」

 

 ヘルメスとトートがそう言う中、ミッドレイはそう言って、トートはそう思う。

 すると、ミッドレイは口を開く。

 

ミッドレイ「しかしクレイマンめ。偉そうに……………!ミリム様に命令書を書かせるとは……………!」

ヘルメス「そうっすね。間違いなくミリム様の字でしたし、命令だから仕方ないっすけど……………。」

トート「クレイマンの軍の奴らに食われて、第3食糧庫も空になりました。これで残るは7つで、次の収穫時期まで苦労しますね。」

ミッドレイ「クソが!ぐぬう………………!」

 

 ヘルメスとトートがそう言うと、ミッドレイはそう吐き捨てる。

 そんなミッドレイの頭は赤くなり、血管が浮かび上がっていた。

 それを見ていたヘルメスとトートは。

 

ヘルメス「ぷっ……………!(赤い…………メロン。)くくくくっ……………!」

トート(メロンみたいだなぁ……………。)

 

 そんな風に思っていた。

 すると、3人の元に一人の男がやってくる。

 その男は、クレイマンの軍の指揮官であるヤムザであった。

 

ミッドレイ「氷結魔剣士、ヤムザ。ちっ。ヘルメス、トート。我慢するのだぞ。」

ヘルメス「了解っす。」

トート「分かりました。」

3人「フフフッ。」

 

 ミッドレイ達は、ヤムザには聞こえないようにそう話し、笑みを浮かべる。

 ヤムザは、リンゴを持っていて、口を開く。

 

ヤムザ「ミッドレイ殿。食料援助、とても助かります。何しろ、3万もの軍を養うには、どれだけあっても足りませんからね。」

ミッドレイ「ハハハッ。お役に立てたのなら、光栄ですな。ですが、残念な事に、我等としてもこれ以上の援助は厳しいのです。民が食うに困ると、ミリム様が悲しまれますので…………。」

 

 ヤムザがそう言うと、ミッドレイは柔らかにこれ以上の援助が厳しいと言う。

 すると、ヤムザはリンゴを握りつぶして、ミッドレイに対して言う。

 

ヤムザ「何を言うか。その魔王ミリムが勝手に動いたのだ!その尻拭いをしてやろうと言う我が軍に対し、礼を尽くすのが当然だろうが。ん?」

トート(……………こいつ。)

 

 ヤムザはそう言って、握り潰したリンゴをミッドレイに押し付ける。

 トートは気づかれないようにキツい視線を向ける中、ミッドレイは口を開く。

 

ミッドレイ「いや、これは失礼。ついつい、自分たちの事しか考えておりませんでした。我らに出来る協力は、何でもいたしますので、遠慮なく申しつけくだされ。」

ヘルメス(メロンにならなかった。)

トート(まあ、ここで怒ったら、それを口実に、この国を滅ぼしかねない奴らですしね。)

 

 ミッドレイはそう言って、頭を下げる。

 それを見て、ヘルメスとトートがそう思う中、ヤムザは口を開く。

 

ヤムザ「そうですか。では、あなた達にも協力する機会を差し上げましょう。物資の運搬程度には役立つだろう。」

ヘルメス「なっ!?ちょ……………ちょっと待ってくださいよ!」

トート「そうです!食料を奪われた挙句、人手まで取られるのは……………!」

 

 ヤムザの言葉を聞いたヘルメスとトートがそう言うと、二人の腕は、ヤムザによって切断された。

 

ヘルメス「あっ……………!」

トート「なっ……………!?」

ヤムザ「黙れよ、三下(カス)め。」

ヘルメス「うっ…………!くっ……………!」

トート「…………………。」

ヤムザ「ほう。身の程を知らぬか?見せしめに殺してやっても良いのだぞ?」

トート(こいつ……………!調子に乗りやがって……………!)

 

 腕を切られたヘルメスとトートが、ヤムザを睨む中、ミッドレイが二人を蹴る。

 二人は、柱に叩きつけられる。

 

ミッドレイ「いやはや、すみませんな、ヤムザ殿。このバカどもにはよく言い聞かせておきますので、ここは、わしの顔に免じて許してやってくだされ。」

ヤムザ「フンっ。バカな部下どもを持つと苦労するものよ。一度だけ許す。明日の朝には出立するので、貴様ら神官ども、全員速やかに準備せよ。」

 

 ミッドレイがそう言うと、ヤムザはそう言って、去っていく。

 ミッドレイはため息を吐き、二人の腕を回収して、二人の傷口に当てる。

 

ヘルメス「あっ、ああ……………。」

ミッドレイ「馬鹿者どもが……………。だから忠告したであろうが。」

トート「すいません……………。」

ミッドレイ「神聖魔法、傷病治癒(リカバリー)。」

 

 ミッドレイはそう言って、魔法を発動して、二人の腕をくっつける。

 

ミッドレイ「ふぅ……………まあよい。神官団が抜けても、すぐに民は困りはせぬわ。それよりもあの男……………ミリム様の民を傷つけるとはな……………!」

ヘルメス「ミッドレイ様……………。」

トート(あなたの後ろ回し蹴りも大概だったんですけどね。まあ、庇ってくれたのは分かりますが。)

 

 ミッドレイがそう言って怒る中、二人はそう思う。

 そう思う中、ヘルメスとトートは口を開く。

 

ヘルメス「いや、ホントっすね。あいつ、殺しちゃって良いっすか?」

ミッドレイ「バカめ!貴様では勝てぬ!」

トート「そうですね。あの剣は厄介だし、何か奥の手を隠してそうですし。」

ミッドレイ「うむ。姑息な魔王クレイマンの腹心らしく、手の内を簡単には見せぬようだな。男なら、全てを曝け出して勝利すべき物を!」

ヘルメス「そうっすね。」

 

 ミッドレイはそう憤る中、二人はそう言う。

 すると、ミッドレイは落ち着き、二人に手を差し伸べる。

 

ミッドレイ「はぁ……………出立に向けて、準備するぞ。」

ヘルメス「あっ……………はい。」

トート「分かりました。」

ミッドレイ「しかし、ミリム様はなぜ戻って来ぬのだ。」

 

 ミッドレイ達は、出発に向けて準備をする中、ミッドレイはそう呟く。

 一方、俺はラボで作業を続けていた。

 魔鋼を粒子化させて、ジュウガドライバーに定着させたり、新たな武器を作ったりなどだ。

 奇才之王さんも手伝ってくれている。

 近くの机には、NEVERの面々と鳴海荘吉から預かったガイアメモリが置いてあった。

 作業を続ける中、リムルから思念伝達が来る。

 

リムル『レイト!ちょっと良いか?』

レイト『手短に頼む。』

リムル『お、おう……………。ユーラザニアの人たちを救える!手伝ってくれないか?』

 

 リムルはそう言ってきた。

 どうやら、予め、ユーラザニアに残った人たち全員を、テンペストに移す事にするらしい。

 確かに、それならいけるかもな。

 だが、俺は忙しい。

 

レイト『悪いけど、リムル。俺は今、少し忙しいんだ。一人だけでも出来るだろ?相棒。』

リムル『っ!まあ、忙しいなら仕方ないか。ユーラザニアの人たちは、俺に任せろ。』

レイト『ああ。』

 

 そう言って、思念伝達が切れる。

 まあ、リムルなら大丈夫だろう。

 俺は、俺のやれる事をやるだけだ。

 そう思い、作業を進めていく。

 突貫作業でやったが、上手く行ったはずだ。

 夜明けの直前、俺はNEVERの面々と、鳴海荘吉を呼ぶ。

 

克己「何だ?こんな夜更けに呼び出すとは。」

レイト「悪い。でも、君たちに渡しておきたい物があってな。」

荘吉「何だ?」

レイト「それは……………これだ!」

 

 俺はそう言って、アタッシュケースを取り出して、それを開けて、中身を見せる。

 その中には、26本分のガイアメモリが入っていた。

 

克己「これは……………ガイアメモリか?」

レイカ「それも大量ね。」

マリア「これは?」

レイト「T3ガイアメモリ。克己達が持っているT2ガイアメモリの発展系だ。」

 

 そう。

 夜通しで作業をしていたのは、これを作る為でもあったのだ。

 眠らなくても大丈夫な特性が、上手く使えたな。

 T3ガイアメモリは、克己達が持っていたT2ガイアメモリと、荘吉が持っていたT1スカルメモリを奇才之王さんに解析させてもらって、開発した物だ。

 

賢「これを作っていたのか?」

剛三「お前、すげぇな。」

京水「中々やるじゃない!」

レイト「まあね。これは、T2ガイアメモリよりもさらに出力が上がってる。毒性もかなり抑える事に成功した。君たちには、これを使って欲しい。予め、伝えておいたよな。クレイマンという魔王の率いる軍と戦うって。これは、前払いって事で。」

克己「ほう。分かっているじゃないか。良いだろう。使ってやる。」

 

 克己はそう言って、メモリを受け取る。

 NEVERって、傭兵集団だからな。

 俺のキメラ細胞を用いた体だから、崩壊するリスクはないし。

 俺は、アタッシュケース一個を克己に渡して、もう一個を取り出す。

 

マリア「なぜ、もう一個があるの?」

レイト「そりゃあ、あれだ。克己のゾーンのマキシマムドライブは、他のガイアメモリも引き寄せるからな。それで変身が不可能になるのは困るだろ?その為に、君たち用にもう一本のメモリを作った。」

荘吉「なるほどな。つまり、俺はここから取れという事か?」

レイト「そういう事です。」

 

 そう。

 ゾーンのマキシマムドライブは、他のガイアメモリを引き寄せてしまうのだ。

 だからこそ、ゾーンのマキシマムドライブを使っても、戦闘が出来るようにしたのだ。

 すると、ナスカ、ウェザー、ファングのガイアメモリが、どこかへと飛んでいく。

 

レイト「あっ!メモリが!?」

克己「どうやら、あのメモリらと引き合う存在が居るみたいだな。」

 

 そういえば、そうだったな。

 T2ガイアメモリって、適合率が最も高い奴に自動的に引き寄せられるからな。

 俺は、それらを追う。

 しばらくすると、紅丸達の方に着いた。

 

レイト「紅丸!」

紅丸「レイト様。なんか飛んできたんですが、何ですか、これ?」

 

 どうやら、ナスカは紅丸に、ウェザーは蒼影に、ファングは白老に引き寄せられたみたいだな。

 俺は、3人に話した。

 それらがガイアメモリである事を。

 そして、ガイアメモリを3人に託すと。

 

紅丸「良いんですか?」

レイト「ああ。せっかくだから、使ってくれ。」

蒼影「ご厚意、ありがたく頂戴します。」

白老「ぬっほほほほ。分かりました。」

 

 そうして、3人もガイアメモリを渡した。

 ただ、白老の場合は、流石にそのまま使わせる訳にはいかないので、T3ファングメモリを、従来のファングメモリと同形状にし、ロストドライバーを渡した。

 そして、準備が完了した。

 こちら側の戦力は、アルビス、スフィア、フォビオが率いる1万の獣人達。

 ゴブタ率いる”狼鬼兵部隊(ゴブリンライダー)”達。

 紅丸の直属親衛隊として、大鬼族(オーガ)の集団、その名も”紅炎衆(クレナイ)”。

 四千のボブゴブリンで構成されている”緑色軍団(グリーンナンバーズ)”。

 ゲルドとグルドが率いる五千の猪人族(ハイオーク)、”黄色軍団(イエローナンバーズ)”。

 ガビル率いる龍人族(ドラゴニュート)、”飛竜衆(ヒリュウ)”。

 そして、大道克己をリーダーとしたNEVER。

 総勢二万の軍勢だ。

 テンペストの防衛には、紫苑配下の親衛隊である100名。

 死亡から蘇生した者たちなので、部隊名は”紫克衆(ヨミガエリ)”になった。

 

紅丸「リムル様、レイト様。全員揃いました。準備完了です。」

レイト「分かった。」

リムル「じゃあ、サクッと転送する事にしよう!」

 

 俺とリムルが転送をしようとすると、アルビス達が話しかける。

 

アルビス「リムル様、レイト様。」

リムル「ん?」

アルビス「ご厚意、決して忘れませんわ。」

スフィア「これで、何の心配もなく、クレイマンの手下どもをぶちのめせるって訳だ。クレイマンはリムル様とレイト様に譲るので、俺たちの恨みもぶつけてください!」

フォビオ「うん。」

 

 三獣士達はそう言う。

 そして、獣王戦士団達も、頭を下げる。

 俺とリムルは頷く。

 

リムル「頼んだぞ。」

紅丸「うむ。」

紫苑「情け容赦は要りませんよ!」

火煉「思い切りやっちゃってください!」

ディアブロ「クフフフフフっ…………ゴミは早めに片付けないと、臭ってきますからね。」

朱菜「お気をつけて。」

紅丸「二度と逆らえない様、地獄を見せるとしましょう。」

レイト「よし。絶対に勝て!」

一同「ははっ!勝利を御身に!」

 

 リムルと紅丸がそう話すと、色んな人たちが、激励を飛ばす。

 俺もそう言うと、そう返ってくる。

 さてと。

 俺とリムルは頷き合い、転送を開始する。

 しばらくすると、そこには誰も居なくなっていた。

 

リムル「無事に勝ってくれよ。」

レイト「頼んだぞ。」

 

 俺とリムルの呟きが、その場に響く。




今回はここまでです。
いよいよ、クレイマンの軍勢との戦いが始まります。
色々と、テンペスト側を強化させました。
T3ガイアメモリに、紅丸と蒼影がドーパントに、白老は仮面ライダーになれる様になりました。
鳴海荘吉に関しては、別行動となります。
次回は、ワルプルギスまでの魔王達の動きに関する話の予定です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
ジュウガのオリジナルフォームは、考え中です。
コラボをしたいという場合は、気軽にメッセージを送って下さい。
ジュウガの強化で考えているのは、ライジングアルティメットみたいな姿になり、力も10個から平成と令和の仮面ライダーのバイスタンプ全部になった感じですね。
それ以外に意見がある場合は、活動報告にて受け付けます。
転スラとギーツは、明後日から投稿を開始します。
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