転生したらキメラだった件   作:仮面大佐

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第45話 死霊の王

 紅丸と大道克己により、二体の暴風大妖渦(カリュブディス)は撃破された。

 それを知ったティアとフットマンは、ゲルド達と戦いながら話す。

 

フットマン「ほほほ……………驚きました。まさか、暴風大妖渦(カリュブディス)がこうもあっさりと。」

ティア「だねぇ。アタイ達にもアレは倒せないっていうのに……………さ!」

フォビオ「くっ……………!」

 

 フットマンとティアがそう話すと、フォビオが迫っていたので、ティアは回転蹴りを行い、フォビオはあごにキックを喰らう。

 

ティア「良い加減しつこいよ、黒豹(クロネコ)!」

フットマン「お遊びはここまでにしましょう。クレイマンの軍勢は壊滅。あの方に残念な報告をしなければなりません。……………そういう訳で、失礼します。」

ゲルド「っ!」

グルド「伏せろ!」

 

タートル!ゲノミクス!

 

 ティアがそう言いながらシャドーボクシングをする中、フットマンはそう言う。

 すると、フットマンの狙いが分かり、ゲルドとグルドは、盾を出して、フォビオを守る。

 タートルゲノミクスは、V3の色の亀の甲羅を装備するものだ。

 すると、フットマンが魔法を放ってくる。

 2人がフットマンの攻撃から防御すると、フットマンとティアの笑い声が響く。

 煙が晴れると、フットマンとティアの姿は無くなっていた。

 

グルド「どこにも居ない…………。」

ゲルド「……………逃げたか。」

 

 グルドとゲルドの2人は、そう言う。

 そして、ゲルドは思念伝達で、紅丸に話しかける。

 

ゲルド『紅丸殿。聞こえるか?道化は逃走した。』

紅丸『ああ。戦闘記録は取れた。十分だろう。奴らは俺たちを見逃したつもりだろうが、甘いな。奴らの強さの一端は、リムル様とレイト様により解析され、白日の元に晒されるだろう。ゲルドはグルドと共に指揮に戻ってくれ。もう1人残っている厄介な奴の所へは、俺と大道克己で向かう。』

ゲルド『承知した。』

 

 ゲルドと紅丸はそんな風に話す。

 それを聞いていたグルドは。

 

グルド「(フットマンは、大鬼族(オーガ)の里の襲撃を煽動していた者。本当なら、真っ先に自分の手で決着をつけたかったでしょう。)血気に逸るだけの将ではない……………ですね。」

 

 グルドはそんな風に思い、つぶやく。

 すると、フォビオが話しかける。

 

フォビオ「悪いな、ゲルドさん、グルドさん。俺が足を引っ張っちまった。」

ゲルド「そんな事はない。勝負には負けたが、俺たちは生きている。」

グルド「次に勝てば、良いでしょう。」

 

 フォビオが謝る中、2人はそう返す。

 一方、神官戦士団達の方は。

 

ミッドレイ「信じられん………あやつら、あの暴風大妖渦(カリュブディス)を。」

スフィア「カリュブディス?今、カリュブディスって言ったか!?以前、フォビオの馬鹿を依代に復活したあの化け物がまた出たって言うのかよ!?」

 

 ミッドレイがそう驚く中、スフィアはそう叫ぶ。

 スフィアの問いには、ヘルメスとトートが答える。

 

ヘルメス「いや…………ええと。」

トート「出たには出たんですけど、すぐに消されました………………。」

スフィア「はぁ?そもそも、魔王ミリムが倒したんじゃないのかよ!?」

トリシューラ「ああ。間違いなく、ミリム様が倒した。」

ミッドレイ「落ち着け。どうやら、本物ではなく、その力の断片の様な物だ。どうも、ヤムザを核にした様だぞ……………。」

 

 ヘルメスとトートがそう言う中、スフィアはそう言い、トリシューラもそう答える。

 ミッドレイも龍眼を使い、そう言う。

 

ミッドレイ(とはいえ、2体のカリュブディスをいとも容易く屠るなど、並みの魔人に出来よう筈もない。それを為し得るとするならば、その者達は間違いなく、災禍級(ディザスター)……………!)

 

 ミッドレイは、そんな風に思う中、転移魔法が発動して、そこに紅丸と大道克己が現れる。

 

克己「よお。お前達が一番強そうだから、来てやったぜ。」

紅丸「よぉ。うちの者が世話になったみてーだな。」

ガビル「紅丸殿!克己殿!」

 

 2人がそう言いながら現れると、ガビルはそう叫ぶ。

 2人が見た光景は、ガビルの配下と神官達が一緒に動き、治療などをしている光景だった。

 

克己「……………なんだ、この状況は。」

ガビル「こちらの方は、竜を祀る民の神官戦士団!ミリム様の麾下なのであります!」

紅丸「何?ミリム様の!?」

克己「……………という事は、敵ではないのか?レイトからも、そんな風に言われたからな。」

 

 それを見て、克己と紅丸が首を傾げる中、ガビルはそう説明して、2人は納得する。

 紅丸は、ミッドレイ達に聞く。

 

紅丸「一応確認しておく。クレイマン軍はほぼ壊滅したが、アンタ等は今も戦う意思があるか?」

「「ないないないないないない!」」

 

 紅丸はそう聞くと、ヘルメスとトートの2人は、ものすごい速さで首を横に振る。

 つまり、戦う気はないという事だ。

 すると、ミッドレイが口を開く。

 

ミッドレイ「戦争を続けるかと問われれば否だが、戦う意思と問われたのならある、と答えるな。正確には、戦ってみたい…………だが。」

克己「ほう。気が合いそうだな。」

紅丸「同感だな。」

ガビル達「っ!?」

 

 ミッドレイはそう言うと、克己と紅丸は笑みを浮かべながらそう言い、ヘルメス達が驚きの表情を浮かべて、止めに入る。

 

ヘルメス「ちょおーーーーーい!」

トート「ちょっと待って下さい!それはまずいですよ!」

ガビル「そうであるぞ!紅丸殿!克己殿!彼らと戦ったら確実にミリム様も『ワタシも混ぜるのだ!』とか言って、魔国連邦(テンペスト)に厄災が……………!!」

トート「リムル様とレイト様は、ミリム様のご友人なんですから、間違いなく大惨事になりますよ!!」

 

 ヘルメスとトート、ガビルはそう叫びながら、克己達を止める。

 それを見ていたスフィアはウズウズとしていた。

 

トリシューラ(混ざりたそうだな……………。)

 

 それを見ていたトリシューラは、そう思う。

 ガビル達の言葉を聞いた紅丸達が口を開く。

 

紅丸「分かってるっての。確かにここで戦う意味は無いからな。」

ヘルメス「絶対にダメっすよ!!」

トート「本当にダメです!!」

ミッドレイ「頭が硬いのう、ヘルメス、トート。」

克己「それに………………あまり舐める事は出来ないだろうからな。」

 

 紅丸がそう言う中、ヘルメスとトートは、ミッドレイにそう言い、克己はそう言う。

 それを聞いたミッドレイも口を開く。

 

ミッドレイ「どうかな。あのカリュブディスを屠った二つの攻撃は、流石にワシも耐えられそうにないがのぅ。まあ、使わせる前に倒す自信はあるがな。」

克己「ほう………………。」

紅丸「言ってくれるじゃないか……………。」

ガビル達「だからやめーーーーって!!」

 

 ミッドレイは、挑発気味にそう言うと、克己と紅丸も、対抗意識を燃やしたのか、お互いに睨み合う。

 それを見て、ガビル達はそう叫ぶ。

 すると、トートが口を開く。

 

トート「あ、そうだ。魔国(テンペスト)軍の人に聞きたかったんですけど、一体どうやって援軍に来たんですか?」

ヘルメス「確かに。空間移動系の魔法でも使わない限り、間に合わないと思うんすけど。」

紅丸「……………それね。」

 

 トートとヘルメスは、どうやってテンペスト軍の援軍に間に合ったのかを聞く。

 紅丸達は、俺たちが対象者の保護を組み込んだ軍団魔法(レギオンマジック)を使い、テンペスト軍を一気に転送した事を話す。

 それを聞いたヘルメスとトートは、開いた口が塞がらないと言わんがばかりに唖然となっていた。

 

克己「……………お前達が驚くのも無理はない。俺たちも驚いたからな。」

ヘルメス「なっ……………!?今までの常識を覆す軍団魔法(レギオンマジック)をその場で開発!?」

トート「そんなのありなんですか…………!?」

紅丸「何でもありなんだよ。うちの大将2人は。」

 

 克己がそう言う中、ヘルメスとトートはそんな声を出すと、紅丸は笑みを浮かべながらそう言う。

 一方、俺たちが参加している魔王達の宴(ワルプルギス)での方は。

 クレイマンの長い演説が続いていた。

 正直、滑稽としか言いようがなかった。

 周囲の魔王の反応を見ると、半信半疑…………いや、疑の方が強いだろう。

 小物であるクレイマンの言葉を信じていない人が多い。

 聞いてられないので、要約する。

 魔王カリオンは、魔国連邦(テンペスト)の盟主達………………要するに俺たちに魔王を名乗るように仕向けた。

 魔王の座に魅せられた俺たちは、箔をつける為に、ヴェルドラの封印を解く事を提案し、その生贄に選ばれたのは、ファルムス王国。

 まんまと焚き付けられたファルムス王国が侵攻。

 ある程度血が流れたところで、思惑通りにヴェルドラが復活。

 ファルムス王国軍が全滅。

 これで俺たちも魔王になれると喜ぶ俺たちに、カリオンは告げる。

 

カリオン『実は魔王には定員があってな。それは既に満員なんだ。でも、俺はどうしてもお前達を魔王にしてやりたい。なあ、リムル、レイト。共に魔王クレイマンをやっちまおうぜ。そうしたら席が一つ空く。これで晴れてお前達も魔王の仲間入りだ。』

 

 ……………と。

 聞いててアホらしく感じた。

 カリオンはそんな謀略とか考えるタイプじゃないだろ。

 そんな中、クレイマンは話を続ける。

 

クレイマン「…………この一連の経緯を魔法通話で知らせてくれたのは私の配下のミュウランですが……………残念ながら、彼女はもういません。何故なら、そこのリムルとレイトという痴れ者によって殺されたからです!!」

 

 クレイマンはそう叫びながら、俺たちを指差す。

 そうだったのか。

 ミュウランは、可哀想だな……………って、なるか、アホ。

 ミュウランは生きてるし、バリバリに作り話じゃないか。

 というより、魔王の定員が決まってるのなら、俺かリムルのどちらかしかなれないじゃないか。

 すると、ダグリュールという魔王が口を開く。

 

ダグリュール「おい、クレイマンよ。話の真偽は一先ず置いておく。肝心のカリオンは何故ここにいない?若い2人の魔人を問い詰めるより、先に話を聞くべきは件の獅子王(ビーストマスター)ではないか?」

 

 ダグリュールはクレイマンにそう聞く。

 普通に考えたらそうだよな。

 俺たちを攻めるのは、完全にお門違いだろうし。

 カリオンに事情を聞けばそれで済む話だ。

 というより、さっきから無性にイライラするな。

 まあ、理由は分かっているのだが。

 そんな中、クレイマンはダグリュールの質問に答える。

 

クレイマン「……………それは無理なのです。ダグリュール。ご存知かと思いますが、獣王国ユーラザニアは壊滅しました。カリオンの企みを知ったミリムが激昂し、そして、国ごとやつを葬ったのです。それは私を慮っての行動だったのですが、我々魔王の間には、相互不可侵条約があります。証言以上の証拠が出なければ、彼女の立場は危ぶまれる。故に私の軍を獣王国(ユーラザニア)跡地へと送り、調査させているのです。」

ラミリス(実質侵攻じゃん。)

 

 クレイマンがそう言う中、ラミリスはベレッタとフランに漫画のページを捲らせて貰いながらそう思う。

 確かに、実質的な侵攻だよな。

 そう思う中、クレイマンの演説は終わりに入る。

 

クレイマン「必ず、企みの証拠を掴んでご覧に入れましょう。ですので、ミリムの処分はお待ち頂きたい。……………以上で、私の話は終わりです。お分かりいただけたと思いますが、そこのリムルとレイトなる卑小な魔人どもは、魔王を僭称する愚か者!この場で粛清するのがよろしいかと思います!!」

 

 クレイマンはそう語る。

 何が魔王を僭称する愚か者だ。

 それに、その笑顔が妙にムカつくんだよ。

 そんなに、その演説が決まったと思ってんのか。

 なら、それを容赦なく潰すとするか。

 すると、ラミリスが言っていたレインというメイドが口を開く。

 

レイン「それでは次に、来客よりの説明となります。」

 

 レインがそう言うと、俺とリムルは立ち上がり、クレイマンを見ながら言う。

 

リムル「……………クレイマンだっけ?お前、嘘吐きだな。」

クレイマン「……………何?」

リムル「ミュウランは生きてるし、俺たちは魔王の座なんぞに興味はない。」

レイト「それに、カリオンさんは謀略とか考えるタイプじゃないし、ファルムス王国は、俺たちが焚き付けたんじゃなくて、勝手に欲かいて攻めて来ただけだしな。」

フレイ(……………確かに。)

 

 リムルがそう言うと、クレイマンはリムルを睨む。

 俺とリムルは、そんな風に口を開く。

 俺の言葉に、フレイという魔王も納得していた。

 それを聞いたクレイマンが口を開く。

 

クレイマン「はっ。そんな言い訳だけで、誰が信じるというのだ?ヴェルドラを手懐け、強気になっている様だが、貴様らは所詮邪竜の威を借りねば何も出来ぬスライムにキメラよ!」

リムル「……………そこが一番違う。」

レイト「まあ、ヴェルドラの威光を借りる事はあるけど、それ以前に、俺とリムルは、ヴェルドラの友達……………あいつなりの言葉で言えば、盟友だからな。」

クレイマン「ともっ……………!?」

 

 クレイマンがそう言う中、俺とリムルはそう答える。

 それを聞いたクレイマンが驚く中、ロイという魔王の後ろに控えているメイドが、俺たちの方を見てくる。

 そんな中、俺とリムルの言葉は続く。

 

レイト「それに、証拠がないのはお互い様だしな。そっちの証言だって、配下の報告だろ?しかも、その配下はもう殺された……………だっけか?」

リムル「残念だけど、そんなもん、証拠とは言わねえよ。あと、ミュウランは今、俺たちの保護下にあるから、この場に呼んだとしても、お前に都合の良い証言はしないと思うぞ。」

 

 俺とリムルはそう言う。

 殺されたと言うミュウランが生きている以上、クレイマンの演説は意味をなさない。

 すると、クレイマンは笑みを浮かべながら、口を開く。

 

クレイマン「……………ふっ、ふふっ。そこまで卑劣な真似をするか。さては貴様ら、ミュウランの骸に悪霊でも取り憑かせたか?」

リムル「遺体に悪霊?するわけないだろ。」

レイト「流石だなぁ。心臓を人質にする奴は、発想が違うな。」

クレイマン(こいつら………………っ!)

 

 クレイマンがそう言う中、俺とリムルはそう反論する。

 クレイマンの思考を読んで、次に奴が出る行動は………………。

 すると、クレイマンは周囲の魔王に向かって叫ぶ。

 

クレイマン「み…………皆さん!いつまでこの様な魔人共に話をさせるつもりですか!?封印されていた暴風竜ヴェルドラを利用して、大虐殺を行なった!こんな暴風竜の威でもって魔王に成り上がろうとする小物なんですよ!こんな奴らに、栄光ある魔王を騙らせるなど、言語道断……………っ!?」

 

オーイングストライク!

 

 やはりな。

 どうにも出来ないと分かり、他の魔王達に、一緒に俺たちを粛清しようとしたみたいだな。

 それが小物である事を証明してるんだよな。

 ちなみに、オーイングストライクを放ったのは俺で、リムルは空いている椅子を蹴った。

 

リムル「そんな事言ってるけど、お前、演説しながら、俺たちの精神を支配しようとしてたよな?」

クレイマン「なっ………………!?」

 

 そう。

 先ほどからイライラしていたのは、クレイマンの笑みにイラついていたのもあるが、クレイマンが俺たちの精神を支配しようとして、レジストが働いていたからだ。

 恐らく、俺たちの精神を支配して、都合の良い様に動かそうとしていたみたいだが、それが仇になるな。

 それに驚くクレイマンに対して、俺は畳み掛ける。

 

レイト「生憎だがな、俺たちにその手の精神支配は効かないんだよ。だが、論点はそこじゃない。おかしいな。栄光ある魔王(・・・・・・)とやらは、演説をしながら精神支配を仕掛ける物なのか?そこら辺はどうなんですか?魔王ギィ。」

ギィ「否。この場では全員に公平なように自分の言葉でのみ、相手に訴えることを是とするよ。」

 

 俺はクレイマンの言葉を強調しながら、そう語ると、ずっと黙っていたギィ・クリムゾンはそう語る。

 やっぱりな。

 クレイマンの行動は、栄光ある魔王という名に泥を塗っている様な物だからな。

 すると、クレイマンが口を開く。

 

クレイマン「し、しかし、ギィよ!こいつらは、魔王を侮辱……………!」

リムル「黙れよ。さっきも言った通り、魔王なんざどうでもいいんだ。俺たちは、俺たちが楽しく過ごせる国を作りたいだけなんでね。それには人間の協力が必要不可欠だし、だから人間を守ると決めた。それを邪魔する者は、人も魔王も聖教会も、等しく俺たちの敵だ。クレイマン、お前の様にな。」

レイト「そもそも、俺たちはお前の下らない演説を聞きに来たんじゃねぇんだよ。お前も、俺たちが気に食わないんだろ?だったら、これは俺たちとお前の問題だ。わざわざほかの魔王を巻き込むんじゃねえよ。」

 

 クレイマンがギィにそう言おうとすると、俺たちは食い気味にそう言う。

 ちょくちょく、クレイマンのプライドに触れる様な発言をしているからか、俺がターゲットにされているみたいだな。

 まあ、予想通りだがな。

 すると、ギィが口を開く。

 

ギィ「おい、お前達。魔王を名乗るつもりはあるのか?」

リムル「…………ああ。既にジュラの大森林の盟主を引き受けてるし、人からすれば魔王だからな。」

レイト「右に同じく。」

 

 ギィは、半端な答えは許さないというのか、そう聞いてくる。

 俺とリムルがそう答えると、ギィは満足気に言う。

 

ギィ「…………ならば良し。丁度ここには、見届け人が揃っている。俺たちの前でクレイマンに勝てたら、お前達が魔王を名乗る事を許そう。」

レイト「ありがたいな。そっちの方が分かりやすい。」

 

 よし、想定通りの流れへと持ち込めたな。

 クレイマンを倒せば、全てが解決する状況になった。

 こうして、事態は進んでいく。

 ある者にとっては予想通りに。

 また別の者にとっては、予定通りに。

 一方、傀儡国ジスターヴでは。

 

白老「……………まずいな。ワシの魔力感知が妨害されておる。」

蒼影「ええ。この霧は、視界を制限するだけでなく、魔素の流れを乱し妨害します。思念伝達や空間移動も使えません。加えて、この霧が敵の制御下にあるとすれば、奴らが中の獲物を把握するのは容易い。無駄かもしれませんが、なるべく気配は抑えて進みましょう。」

白老「なるほどのう。拠点の防衛として、上手く出来ておる。」

 

 蒼影と白老はそう話しながら進んでいく。

 鳴海荘吉も、周囲を見渡しながら進んでいく。

 朱菜も、新たに獲得したユニークスキル、創作者(ウミダスモノ)で幻覚魔法と妖術を組み合わせて、気配を消している。

 そんな中、蒼影が思う。

 

蒼影(…………妙だ。敵の気配がまるで感じない。いかに霧が有用であろうと、拠点防衛に人員を割かないとも思えんが。)

 

 敵の気配を感じない事に違和感を抱いていた。

 すると、朱菜と荘吉が反応する。

 

朱菜「……………しまった。罠に嵌められた様です。」

荘吉「その様だな。」

 

 2人がそう言うと、蒼影と白老も身構える。

 すると、周囲から不死系魔物(アンデッド)が現れる。

 

白老「なんと……………濃霧とはいえ、この広大な荒れ地で、一体何処に隠れておったのじゃ。」

朱菜「この霧が、空間干渉を引き起こしているのでしょう。」

荘吉「敵は隠れていたんじゃなく、俺たちが誘き寄せられたのだろう。敵の包囲網の中心に。」

 

 白老がそう言う中、朱菜と荘吉は冷静にそう言う。

 その周囲には、無数の不死系魔物(アンデッド)が存在していた。

 荘吉達は、メモリを取り出す。

 

スカル!

ウェザー!

ファング!

 

 3人はメモリを起動すると、ロストドライバーに装填したり、自分の体内に入れたりする。

 

「「変身。」」

 

 そして、3人は変身する。

 

スカル!

ファング!

 

 荘吉は仮面ライダースカルに、蒼影はウェザー・ドーパントに、白老は仮面ライダーファングへと変身する。

 蒼影は、身構えながら口を開く。

 

蒼影「(魔力感知が効かん以上、兵力の把握は困難だ。しかし、数が多いだけならば…………。)朱菜様、俺が突破口を開きます。その隙に白老様と荘吉殿と……………。」

朱菜「いいえ、蒼影。どうやら、そう甘い相手ではない様です。クレイマンの配下…………特に五本指については、ミュウランから伺っています。数多の不死系魔物(アンデッド)を従え、拠点の防衛に優れた者。この禍々しく巨大な力……………もう間違いありません。死霊の王(ワイトキング)、示指のアダルマン…………!」

 

 蒼影がそう言う中、朱菜はそう言うと、アンデッドの中から、ひときわ存在感が強い存在が現れる。

 クレイマンの配下の1人、アダルマンだ。

 

アダルマン「いかにも。余がアダルマンである。数多の不死系魔物(アンデッド)を従える死霊の王(ワイトキング)。偉大なる魔王クレイマン様にお仕えするこの地の守護を命じられた者。下賤なる侵入者よ。大人しくその命を差し出すが良い。」

 

 アダルマンはそう言う。

 一方、朱菜達は。

 

朱菜「完全に囲まれています。空間転移による脱出が不可能である以上、アダルマンを倒すしかありません。」

白老「ならば、速やかに!」

蒼影「異論はない。俺の一撃は、死者を殺す。」

荘吉「分かった。」

 

 朱菜がそう言う中、白老達もそう話し、白老は駆け出す。

 白老は、タクティカルホーンを操作する。

 

アームファング!

 

 白老は、腕からアームファングを出して、刀も抜刀しつつ、アダルマンに向かっていく。

 

アダルマン「身の程を知らぬ者達よ。愚かな事だな。」

 

 アダルマンはそう言う。

 白老の攻撃がアダルマンに届く直前、白老とアダルマンの間に入った存在が、白老の攻撃を防ぐ。

 

白老「…………ほう。ワシの動きを読むとは。腐肉となったその肉体で未だ剣士であり続けるか。」

 

 白老の攻撃を防いだ存在は、死霊騎士(デスナイト)だった。

 白老は、その死霊騎士(デスナイト)と応戦する。

 アダルマンに、蒼影が攻撃しようとするが、ドラゴンが現れ、蒼影は回避する。

 

蒼影「まさか、腐肉竜(ドラゴンゾンビ)か。」

朱菜「その様な甘い相手ではありません!死せる魔物の頂点、死霊竜(デス・ドラゴン)です!」

 

 蒼影はそう判断するが、朱菜はそう叫ぶ。

 それと同時に、死霊竜(デス・ドラゴン)も咆哮する。

 

蒼影「死せる魔物……………ならば、死ね。操糸万妖斬!」

 

 蒼影はそう言って、操糸万妖斬を発動させる。

 蒼影がウェザー・ドーパントとなった事で、蒼影の糸にも、ウェザー・ドーパントの能力を付与する事ができるようになった。

 それにより、死霊竜(デス・ドラゴン)は細切れとなり、崩れる。

 だが、すぐに再生する。

 

蒼影「何?…………なるほど。死には耐性があるという事か。では、肉体だけではなく、その魂ごと滅してみせよう。」

 

 それを見た蒼影はそう判断する。

 すると、朱菜が蒼影に声をかける。

 

朱菜「蒼影、落ち着きなさい。冷静なあなたなら、見抜ける筈です。」

蒼影「……………アダルマン。あの死霊の王(ワイトキング)の中ですね。」

朱菜「ええ。」

 

 朱菜はそう言うと、蒼影はアダルマンを見ながら、そう答える。

 すると、朱菜が口を開く。

 

朱菜「蒼影。私を守ろうとしなくても良いのです。貴方はその竜の足止めに専念しなさい。荘吉さんも、他のアンデッドの足止めをお願いします。」

蒼影「しかし……………!」

荘吉「そういう訳にもいかん。依頼をされたからな。」

朱菜「私はね、怒っているのです。異世界人の振る舞い、ファルムス王国の侵攻、それを仕組んだクレイマン。物見遊山をしにここに来たのではありません。」

アダルマン「ほう。どうするつもりだね、お嬢さん。護衛に頼らず、君に何が出来ると言うのだ?」

 

 朱菜がそう言う中、蒼影と荘吉はそう言う。

 だが、朱菜はそう言いながら、アダルマンへと近寄る。

 アダルマンがそう言うと、不死系魔物(アンデッド)が朱菜に殺到する。

 だが、朱菜は慌てていなかった。

 

朱菜「心配無用ですわ。対魔属性結界(アライメントフィールド)!!」

 

 朱菜は両手を広げながらそう叫ぶ。

 すると、朱菜を起点として、フィールドが展開される。

 その中にいた不死系魔物(アンデッド)は、瞬く間に崩れていく。

 

アダルマン「ほう。魔法不能領域(アンチマジックエリア)聖浄化結界(ホーリーフィールド)の融合と言った所か。なるほど、実に美しい魔法の構成よな。一定レベルに満たない不死系魔物(アンデッド)が立ち入れば、その身はたちまち崩れよう。」

 

 アダルマンは、朱菜が発動した魔法を見て、そう言う。

 それを見ていた蒼影と荘吉は。

 

蒼影「(……………そうだ。大鬼族(オーガ)の里より落ち延び、リムル様とレイト様と出会ったあの日から、朱菜様は、守られるだけの姫ではなくなったのだ。)御意。ご武運を。」

荘吉「ほう……………分かった。他の不死系魔物(アンデッド)とやらの足止めは、まかせろ。」

朱菜「ええ。」

 

 2人はそう言って、それぞれの相手をする。

 朱菜とアダルマンは、お互いを見る。

 

アダルマン「ふふふ……………果敢なお嬢さんだ。せめて楽に死なせてやりたいが、残念ながら、手加減はしてやれぬ。」

朱菜「無用な気遣いです。」

アダルマン「そうか。では、逝くがよい。全てを溶かし、侵蝕せよ!侵蝕魔酸弾(アシッドシェル)!」

朱菜「幻炎の防壁(フレイムウォール)!」

 

 アダルマンと朱菜はそう話すと、アダルマンは魔法を放つ。

 朱菜は炎の防壁を張り、アダルマンの攻撃を無力化する。

 

アダルマン「やるではないか。ならば、これはどうだ!怨念の亡者共よ、生贄を授けよう!呪怨束縛(カースバインド)!!」

朱菜「聖なる福音(ホーリーベル)。」

 

 それを見たアダルマンは、別の魔法を放つ。

 朱菜はそう言うと、魔法を発動する。

 すると、朱菜の周囲に大量の鐘が現れ、アダルマンの魔法を無力化していく。

 アダルマンは、驚いていた。

 

アダルマン「……………馬鹿な。神聖魔法…………だと……………!!何故だ!何故、魔に属する者が神聖魔法を使う!?それは神への信仰心が無ければ操る事の出来ぬ物のはず……………!」

 

 そう。

 アダルマンが驚いていたのは、魔物である筈の朱菜が、神聖魔法を使える事であった。

 朱菜が口を開く。

 

朱菜「不思議ですか?それは、貴方の頭が固いだけです。神聖魔法は、人間にのみ許された魔法ではありませんよ。奇跡を信じ、願う者ならば誰にでも、その思いの強さに応えてくれるのです。その対象はなにも、聖なる存在である必要はありません。善も悪もないのです。思いの強さこそが力へと変わるのですから。」

アダルマン「………………っ!!」

 

 朱菜はそんなふうに答えると、アダルマンは驚愕する。

 

アダルマン(ありえない……………!余は…………私は間違っていたのか!?かつて、ルミナス教の指導者達に嵌められ、死地に追いやられた時、神ルミナスは救いの手を差し伸べてはくれなかった。私は神への信仰を失った。だから二度と、神聖魔法を扱えぬと思っていたのに……………!)

 

 アダルマンはそんな風に思う。

 アダルマンには、そんな過去があったのだ。

 アダルマンは、朱菜に聞く。

 

アダルマン「……………娘よ、名はあるか?」

朱菜「朱菜と申します。」

アダルマン「(その名を与えた者が信仰の対象か……………。)そうか。そなたなら、或いは我らを解放してくれるやもしれぬな。」

 

 アダルマンは朱菜にそう聞くと、そうつぶやく。

 すると、朱菜はアダルマンに聞く。

 

朱菜「…………一つ、伺ってもよろしいでしょうか?」

アダルマン「なんだ?」

朱菜「周りにいる不死系魔物(アンデッド)を解放したいのなら、何故さっさとその呪縛を破らないのですか?」

アダルマン「っ!!……………気がついていたか。」

 

 朱菜はアダルマンにそう聞くと、アダルマンはそう聞く。

 その問いに、朱菜は答える。

 

朱菜「ええ。この防衛機構は、貴方を核に創り上げられているのでしょう?不死系魔物(アンデッド)たちは、貴方がかけられた呪いに共に組み込まれただけ。」

アダルマン「ふふふ……………そなたの観察眼は凄まじいな。であればこそ、この呪いがそう容易く破れるのものではないと分かろう。」

朱菜「そうですか。貴方なら、その呪縛に打ち勝てると思いましたが、どうやら買い被っていたようですね。」

 

 朱菜はそう言うと、アダルマンはそう答える。

 すると、朱菜は失望した声を出す。

 

アダルマン「なんだと?」

朱菜「人の信ずる神については、詳しくは存じ上げません。ですが、その聖職衣は、高位の司祭が羽織る物と記憶しています。神聖魔法を使えぬ今も纏っているのは、未練ですか?」

アダルマン「ふっ。好き勝手な事を言ってくれる。(私が神聖魔法を使えぬ事まで見透かすとは……………。)」

 

 アダルマンがそう聞くと、朱菜はそう言う。

 アダルマンが着ているのは、まさに高位の司祭が着るものだったからだ。

 

アダルマン「舐めるなよ!神へ祈りを捧げ奉る。我は望み、精霊の御力を欲する。我が願い、聞き届け給え。(腹立たしい。この娘がではない。覚悟が足りない自分自身がだ。私を慕ってくれた仲間達が不死系魔物(アンデッド)と化した事で、彼らを残して逝く事も出来ないと……………甘かったのだ!本気で奇跡を請い、願うのなら!朱菜という娘に、恨みはない。それどころか、私の目を覚ましてくれた恩義すら感じる。だが私は、私をここに縛りつけた男、魔王カザリームの呪いにより、自殺が出来ぬのだ!すまぬな、朱菜殿。道連れにさせてもらうぞ。)」

 

 アダルマンは、かつて、坂口日向が俺に向かって放った霊子崩壊(ディスインテグレーション)の詠唱を行う。

 その間、アダルマンはそんな風に思う。

 そして、アダルマンは叫ぶ。

 

アダルマン「(せめて、苦しまぬよう、一瞬で……………。)万物よ尽きよ!霊子崩壊(ディスインテグレーション)!!」

朱菜「それを待っていました!」

アダルマン「っ!?」

朱菜「霊子暴走(オーバードライブ)!!」

 

 アダルマンが霊子崩壊(ディスインテグレーション)を放つと同時に、朱菜はそう叫ぶ。

 すると、アダルマンの霊子崩壊(ディスインテグレーション)が書き換えられていく。

 

アダルマン「な……………何ぃい!?(まさか、構築した魔法が組み替えられている!?)私の十分の一にも満たぬ魔素量しか無い貴女が、私の魔法を上書きしたと言うのか!?」

朱菜「貴方ならば、私以上に聖なるエネルギーを集める事が出来ると思っていましたので。」

アダルマン「っ!」

朱菜「見事でした。覚悟を見せていただいたお礼に、この地から解き放って差し上げましょう。」

 

 アダルマンが、自分が構築した魔法が組み替えられていくのを見て驚く中、朱菜はそう言う。

 朱菜から光が放たれ、それにアダルマンが包まれていく。

 ジスターヴ全域にその光が放たれる。

 すると、不死系魔物(アンデッド)は消えていき、死霊騎士(デスナイト)死霊竜(デス・ドラゴン)も動きを止める。

 そして、霧も晴れていく。

 

蒼影「お見事です、朱菜様。」

朱菜「さあ、行きましょう。クレイマンの城を制圧しなければ。」

荘吉「ああ。」

 

 蒼影がそう言う中、朱菜はそう言い、荘吉も頷く。

 こうして、ジスターヴでの戦闘は終わったのだった。




今回はここまでです。
今回は、クレイマン軍とジスターヴでの戦闘が終わり、ワルプルギスが進んでいく感じです。
レイトもキレてます。
その為、クレイマンの揚げ足を取るような事を言っています。
それには、レイトなりの考えがあるのですが。
クレイマンの思考は、レイトにとっては、調べるのは容易い事です。
次回は、クレイマンとの戦闘が始まる頃です。
感想、リクエストなどは絶賛受け付けています。
最近、ゴジラ-1.0が公開され、それを見て、ある事を思いつきました。
それは、レイトにゴジラ細胞を埋め込むという感じです。
レイトなら、ゴジラ細胞にも飲み込まれずに、普通に制御下に置きそうですし。
それなら、レイトの変身するジュウガの強化にも繋がると思いましたので。
他に意見があれば、受け付けます。
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