第1日記 魔物の街の住人
俺は、日記をつける事にした。
このテンペストでの日常を振り返る為にだ。
さて、まずは、書き始めるとしようか。
まずは…………。
森を混乱の渦に陥れた
俺、リムル、ゴブリン達しかいなかった小さな村は、数多くの仲間が増えて、その人口は、やがて1万を突破した。
賑やかになっていった。
だが、人口が増える事は、喜ばしい事なのではあるが、同時に、面倒な事にもなっていったのだった。
会議室では。
リグルド「納得しませんぞ!」
紫苑「これは、秘書の管轄です。」
火煉「流石に、これだけは譲れませんので。」
リグルド「それはこちらとて、同じ事です!」
リリナ「まあまあ、三人とも、落ち着いて…………。」
そう。
一万以上の魔物が住む街ともなると、その意見の一致に、時間が掛かる事もある。
現在進行形で、そうなっている。
リグルド「私の考えでは…………!」
ゲルド「いや、しかし…………。」
ガビル「ならば、この案は…………!」
紫苑「待って下さい!」
リグルド「異議あり!」
と、こんな風にだ。
それを見ていたカイジンが口を開く。
カイジン「参ったな。全然決まんねぇぜ…………。」
カイジンがそう言うと、紅丸が立つ。
紅丸「やはり、ここはリムル様とレイト様にご意見を!」
ゲルド「うむ。」
グルド「異論はありません。」
リグルド「皆の士気にも関わりますからな。」
紅丸「朱菜!準備は良いか?」
朱菜「はい。」
紅丸がそう言うと、朱菜が入ってくる。
皆の視線が朱菜に向く中、朱菜は背中に隠していた物を出しながら言う。
朱菜「では…………ちょっとおしゃまなこちらのお洋服と…………元気で可愛いこちらのお洋服。リムル様とレイト様には、どちらがお似合いでしょう?」
そう。
この会議の議題は、俺とリムルに似合う服で揉めていたのだ。
というより、俺の顔が中性的だからって、女物の服を着させようとするなよ。
すると、全員が俺とリムルを見る。
俺とリムルは、紅茶を飲んで。
リムル「なぁ…………。」
レイト「それって、そんなに大事か?」
一同「はい!」
力強く言うね。
そんなに、俺とリムルに、女物の服を着させたいのか?
結局、リムルはオレンジ色の、俺は青色の服になった。
まあ、着ないけど。
俺とリムルは、色んな事が書かれた木の板に、ハンコを押していた。
リムル「ふぅ…………。」
レイト「これで全部か?」
リムル「そうだな。街づくりも進んできたし、今日は皆の仕事ぶりを視察するか?」
レイト「それ、良いな。」
俺とリムルはそう話す。
すると、紫苑と火煉が入ってくる。
「「失礼します。」」
リムル「おお、紫苑。お疲れ〜。」
レイト「火煉もお疲れさん。」
紫苑「お疲れ様です。」
火煉「資料用の木を持ってきました。」
レイト「助かるよ。」
俺は、火煉からその木の板を貰っていると、紫苑はテーブルにでっかい木の塊を置く。
紫苑「さてと…………。」
レイト「おい、何する気だ?」
紫苑「今日も、リムル様の為に!張り切り………ますよ!」
火煉「危ない!」
紫苑がそう言うと、剛力丸を抜いて、その木の塊を板状に切断する。
周囲に木の板が飛び、俺は机の下に逃げる。
そんな中、リムルは。
リムル「なあ、紫苑。俺を思ってくれるなら、良い方法がある。」
紫苑「てーい!」
リムル「張り切らない事さ。」
紫苑「てりゃー!」
レイト「室内で剛力丸を振り回すな!」
火煉「すいません…………。」
その後、紫苑と火煉は、お茶を持って来てくれることに。
紫苑「リムル様!お茶をお持ちしま…………あ!」
火煉「レイト様。お茶をお持ちしました。」
レイト「ありがとう。…………あ。」
俺は、火煉が淹れてくれたお茶を飲む中、紫苑が入れたお茶という名の劇物は宙を飛び、リムルにかかる。
紫苑「すいません……………。」
リムル「大丈夫。失敗くらい誰にでもあるさ。…………毎日だけどな。そして、君が淹れたこのお茶も、お茶じゃなくて劇物だけどね。」
火煉「お茶が……………。」
レイト「何があったら、そうなるんだよ……………。」
俺は、リムルの為にタオルを持って来た。
俺が渡したタオルで自分の体を拭きながらリムルは言った。
リムル「いや、しかし。本当に有能な秘書だよ、紫苑君は。パーフェクトだ。動かなければ!見た目だけは!」
レイト「おい…………!」
火煉「大丈夫だと思いますよ。」
紫苑「ハッ…………!」
リムルの皮肉たっぷりな発言に、紫苑はお盆を落とす。
流石に言い過ぎだと思い、咎めようとしたら、火煉はそう言う。
紫苑「リ…………リムル様…………。そ…………そんな…………お褒めに預かり、光栄です!」
紫苑は、そう言った。
なるほどな。
今のは、紫苑からしたら、褒め言葉に聞こえてたのか。
その後、俺とリムルは、紅丸達がいる警備員の居る建物に向かう。
すると。
警備員「何も、紅丸様がお出にならずとも…………。」
紅丸「良いのさ。まっ、行ってくる。」
そんな会話をして、紅丸が外へと出てくる。
俺とリムルは、紅丸に話しかける。
リムル「何だよ。総大将自ら見回りか?」
レイト「大変じゃないのか?」
紅丸「俺には、これしか能が無いんで。その代わり、誰にも負けませんよ。この街と、リムル様とレイト様の笑顔、必ず守ってみせます。」
紅丸は、爽やかな笑顔でそう言う。
かっこいいな。
女の子だったら、迷わず惚れそうだな。
リムル「あいつめ…………殺し文句をナチュラルに……………。これだから、イケメンは。」
レイト「そっか…………。頑張れよ。」
紅丸「はい。では。」
そう言って、紅丸は出ていく。
すると、数秒後に。
紅丸「すみません!今そこで女の子に渡されたんですが、これ、どうしたら良いでしょうか!?」
そう言って、紅丸が戻ってくる。
外には、ゴブリナが三人いた。
それを聞いた俺たちは。
リムル「ほぉ…………。」
レイト「なるほどな…………。」
そう言って、ニヤリと笑みを浮かべると。
「「そいつは難儀だなぁ!」」
良い笑顔で言う。
それを見た紅丸は。
紅丸「……………すげぇ、良い笑顔ですね。」
レイト「相談乗るよ。」
ゴブリナ「紅丸様〜!こっち向いて〜!」
俺がそう言う中、ゴブリナがそう言う。
今度は、ゴブタやリグル達がいる場所に向かう。
ゴブチ「何か人増えたよな。」
ゴブト「ああ。森中の魔物が集まって来てんだよ。」
ゴブチ「お!あれ、何て種族?」
ゴブト「あ?どれどれ?…………うおー!」
ゴブチとゴブトは、そう話す。
まあ、色んな種族の交流が増えるのは、いい事だと思うよ。
すると、ゴブチとゴブト、ゴブゾウは、花を持っているゴブリナを見ていた。
見惚れているな。
ゴブチ「今度、可愛い子居たらさ。」
ゴブト「うん。」
ゴブチ「街の案内するって言ってさ。」
ゴブト「うんうん。」
ゴブチ「ナンパ!」
ゴブト「出会い!」
「「それだ〜!!」」
そう言って、ゴブチとゴブトは興奮する。
それを見ていたリグルは。
リグル「……………おい、お前ら。自警団だって事、忘れるなよ。」
リグルは、二人にそう注意する。
すると、ゴブタが口を開く。
ゴブタ「そうっすよ。」
「「「うん?」」」
ゴブタがそう言うと、リグル、ゴブチ、ゴブトがゴブタの方を向く。
ゴブタ「自分達の行動一つで、街の印象が決まるんすからね。浮ついていると、手痛いしっぺ返しを食らうっすよ。」
リムル「お!自覚が出て来たね、ゴブタ君。」
レイト「少しは成長したみたいだな。」
ゴブタ「へっへへ…………。人は学び…………成長するんすよ!」
俺とリムルが感心しながらそう言う。
ゴブタは、そう言って、俺たちの方を向くが、左頬が赤く腫れ、手形が付いていた。
多分、ナンパして、叩かれたんだろうな。
それを見た俺とリムルは。
レイト「ああ……………。」
リムル「成長……………しような。」
ゴブタにそう声をかける。
今度は、黒兵衛の工房に向かう。
リムル「お〜い、黒兵衛。」
黒兵衛「あ…………おお、リムル様とレイト様じゃねえべか。」
リムルがそう言いながら中に入ると、黒兵衛が俺たちに気づいて、そう声をかける。
レイト「何してたんだ?」
黒兵衛「朱菜様から頼まれた包丁を鍛えてたんだべ。」
リムル「おお〜。」
なるほどな。
リムルがその包丁を持っていると、黒兵衛が取る。
黒兵衛「丁度、これから仕上げだべよ。」
リムル「そっか。悪い、邪魔しちゃったな。」
レイト「また来るよ。」
俺とリムルはそう言って、黒兵衛の工房を後にする。
それを見ていた黒兵衛は思う。
黒兵衛は、
黒兵衛には、紅丸達のような力や頭もない。
黒兵衛「…………だけんど、まだ鉄を打てる。リムル様とレイト様の為。街の皆の為。おら自身の為。……………目の前の、何でもない鉄の塊に、何でもないおらの全てを込めるだけだべ!」
黒兵衛は、そう言いながら、朱菜の包丁を鍛える。
しばらくして、作業を終えて、ハルナに包丁を渡す。
ハルナ「朱菜様。黒兵衛様からお届け物です。」
朱菜「まあ!包丁!もう出来たのですね!」
朱菜は、ハルナから包丁を受け取り、早速使う。
朱菜「では、早速…………。」
朱菜がそう言いながら、玉ねぎを切ろうとすると、玉ねぎだけでなく、まな板や壁をも切ってしまう。
それを見ていたハルナは。
ハルナ「朱菜様すっごい……………。」
そう言いながら驚き、ゴブイチや朱菜が唖然となる。
一方、そんなことを知らない黒兵衛は。
黒兵衛「ふう〜。包丁、気に入ってくれたべか?」
汗を拭いながらそう言う。
一方、蒼影の所では。
蒼影「今日の鍛錬はここまでだ。持ち場に戻れ。」
部下達「はっ!」
蒼影がそう言うと、部下達は持ち場に戻る。
蒼影を木の影から見ている蒼華は。
蒼華「蒼影様…………。」
蒼月「何をしているんだい?……………なるほどね。」
蒼華が蒼影を見ていると、蒼影の目の前に一匹の黒猫が現れる。
蒼影は、黒猫をじっと見ると、黒猫のおでこをつつく。
蒼影「……………お前は今死んだ。フッ、バカめ。」
蒼影は、黒い笑みを浮かべながらそう言う。
それを見ていた蒼華は。
蒼華「あっ…………やだ……………素敵。」
腰を振りながらそう言う。
それを見ていた俺たちは。
リムル「君も大概だね。」
レイト「確かにな。」
蒼月「あはははは……………。」
俺とリムルがそう言って、蒼月は苦笑を浮かべる。
俺たちは、次にヴェルドラと出会った封印の洞窟へと向かう。
そこは、現在、水辺を好む
すると、ガビルの叫び声が聞こえる。
ガビル「な〜んだ、その動きは!そんな様をリムル様とレイト様にお見せする気か!!」
スケロウ「はぁ…………申し訳ありません!ガビル様!!」
ガビル「大恩あるリムル様とレイト様に認めていただく為、我々は立ち止まらぬのだ!」
部下達「ガビル様!もう一度!もう一度挑戦させて下さい!」
ガビルとその部下達は、そんなふうに話していた。
それを見ていた俺とリムルは。
リムル「あいつら、意外と生真面目な連中なんだな。」
レイト「確かにな。」
ガビル「よかろう!基本から行くぞ!」
俺たちがそう見てると、何かを始める。
部下達「さんはい!ジュラの森の!」
カクシン「奥深く。」
ヤシチ「あっ、よいしょ!」
部下達「みんなが焦がれる、その姿!」
カクシン「然り!」
スケロウ「強く!」
カクシン「清しく!」
ヤシチ「美しい!」
部下達「光り輝く、一番星!」
ガビル「男の子なら、恥をかいても、誇りを……………欠くなよ!ぬあ〜っハッハッハッハッハッハッ!!」
部下達「嗚呼ガビル様、ガビル様!
え、何これ?
こんな下らない事を一生懸命練習しているのか?
そんな風にドン引きしている中、ガビルは叫ぶ。
ガビル「ん〜…………!ストーップ!愚か者!そこは…………『ああ〜リムル様とレイト様!大同盟の希望〜!』……………に変えろと言ったではないか!全く!貴様らはまだまだ愛が足らん!愛を持って、ヒポクテ草を育てるのだ!」
部下達「はい!ガビル様!!」
俺とリムルが、そんなやり取りを呆れた目で見ていると。
蒼華「すいません!すいません!すいません!」
蒼月「あんなのですが、悪い人じゃないんですよ〜!!」
妹と幼馴染が、俺たちに頭を下げる。
その後、俺たちは戻り、仕事を再開する。
リムル「ふぅ〜。」
レイト「ところで、新区画の建設状況は、どうなってるんだ?」
紫苑「先ほど、資料を頂きました。」
火煉「こちらです。」
そう言って、資料を渡してくる。
リムル「どうした!火煉はともかく、急に本物の秘書っぽいぞ、紫苑!」
紫苑「え〜そんな…………!」
レイト「ありがとう。助かるよ。」
火煉「この調子で、頑張っていきます。」
俺とリムル、火煉と紫苑がそんな会話をする中、リムルの影の中の嵐牙は。
嵐牙「フ〜ハ〜…………フ〜ハ〜…………。」
息を荒くしていた。
どうやら、特訓をしているようだ。
目を閉じて瞑想すると、嵐牙は目を開き、雷を発射する。
発射された雷は、爆発する。
嵐牙「おお!これは…………!ウォーっ!」
嵐牙は、爆風に耐えて、体を揺らす。
嵐牙「ぶるるるるるるる!この力!主達に見せて撫でてもらおう!」
そう思い、嵐牙は木の影から出てくる。
嵐牙「主達よ!見て下さい!何やら、凄い技を……………!」
嵐牙は、俺たちに撫でてもらおうとしたのか、出てくる。
だが、その言葉は、途中で止まる。
何故なら、目の前には、崩れた建物があり、そこから、俺たちが出てくる。
「「知ってる……………。」」
というより、建物を壊すなよ!
俺たちの近くで、ゴブタが柱に引っかかっていたが、倒れる。
その後、白老の元に、ゴブタと共に向かう。
俺たちは、盆栽を見ていた。
リムル「う〜ん。良いねぇ…………。」
ゴブタ「何すか?このちっちゃい木?」
レイト「盆栽って言うんだ。」
白老「リムル様とレイト様より教えて頂いたものじゃ。」
ゴブタの質問に、俺と白老が答える。
ゴブタは、盆栽の一つを持つ。
ゴブタ「よっ。ほっ。そっ。すっ。」
リムル「ああ…………落とすなよ〜。」
ゴブタは、その盆栽を手や足に置くので、リムルはそう言う。
白老が口を開く。
白老「…………剣士として生まれ、剣と共に生きて数百年。……………しかし、こうして剣を忘れる事で、新たな世界が見えてくるとは…………まさに、目から鱗ですじゃ。」
レイト「そう言ってもらえて嬉しいよ。」
ゴブタ「そうしてると、ただの枯れたジジイっすね……………。そろそろ引退した方が…………。」
白老がそう言う中、ゴブタがそう言う。
すると、白老は剣を抜刀して、盆栽とゴブタの髪を一部切り飛ばす。
ゴブタ「あ……………。」
ゴブタが汗を垂れ流す中、俺たちはそそくさと後にして、白老は言う。
白老「剪定じゃ。動くな。」
ゴブタ「全然、剣忘れてないっす!」
そんな会話を聞きながら、俺たちは移動する。
次は、寺子屋へと向かう。
ここは、街の子ども達が通っている。
ある教室を覗くと、リリナが子ども達に字を教えていた。
それを見ていると、リグルドが声をかける。
リグルド「リムル様、レイト様。」
リムル「あっ。」
レイト「どうしたんだ?」
リグルド「見て下さい。生徒の描いた尊敬する人の顔が、リムル様ばかりですぞ。」
レイト「あれ?俺は?」
リグルド「あ…………も、勿論、レイト様もいらっしゃいますよ!」
リムル「え?俺を?」
リグルド「ハッハッハッ…………。羨ましいですなあ。まあ、ご覧下さい。」
そう言って、その絵が描かれている木の板を受け取る。
リムル「何だよ、照れ臭い。」
レイト「どれどれ…………?」
俺たちがそれらを見ると、リムルの割合が多かった。
ただし、スライムの状態のリムルばかりが。
俺の絵もあったが、ごく少数だ。
リグルド「ヤッハハハ…………!この子など、リムル様の威厳をよく表現していて…………。」
リムル「力作揃いだね。」
レイト「単にスライムとしての状態の方が、描くのが楽だからだろ。」
そう。
スライムの状態のリムルなら、丸を描いて、目を描くだけで完成だからな。
なんか、涙が出てくるよな……………。
すると、子供達が出てくる。
子供「あっ!リムル様ー!レイト様ー!」
リムル「またなー。」
子供「帰っちゃうの?」
レイト「ちゃんと勉強しろよな〜。」
子供達が声をかける中、俺たちはそう言って、その場を後にする。
リグルドが、子供達の絵を持って、移動する中、リムルは唸っていた。
リムル「う〜ん……………。」
レイト「どうした、リムル?」
リムル「なあ、この辺って、俺以外にスライム居ないの?」
リグルド「今時分は、あまり見かけませんな。」
リムル「今時分ねえ…………。」
まあ、確かに、リムル以外のスライムって、見た事ないよな。
すると、目の前に居た朱菜、ハルナ、黒衛兵、白老、ゴブタに話しかける。
リムル「お〜い、お前ら〜。俺以外のスライムって、見た事ある?」
白老「ふむ…………。暑くなると見るかのう。」
黒衛兵「夏が近いって感じるべ。」
朱菜「透き通った姿が涼しげで、ジュラの夏の風物詩ですね。」
リムル「ほお〜。」
レイト「へぇ……………。」
まあ、透き通ってるから、夏の風物詩と言われても、納得がいくな。
すると、ゴブタがリムルにとって、聞き捨てならない事を言う。
ゴブタ「そうそう!冷やして食うと、美味いんすよ!こう…………ツルッと!」
リムル「へぇ……………。」
レイト「………………。」
あ、食われてるんだな。
ゴブタがそう言うと、周囲の人たちは、やばい笑みを浮かべる。
朱菜「あら〜。良いですわねぇ…………。」
リグルド「いやぁ………珍味、珍味。」
朱菜とリグルドがそう言うと、その場にいる全員が、不気味な笑い声を出す。
リムルが不安そうに俺を見る。
先ほどの恨みも込めて、俺は言う。
レイト「……………スライムって、ところてんみたいな感じなのかな………………。」
俺がそう言うと、リムルはその場から逃走する。
レイト「リムル〜。どこ行ったんだ?」
朱菜「リムル様〜。何処ですか〜?」
ゴブタ「リムル様ー!」
黒衛兵「何処行ったべさ〜!」
リグルド「冗談でありますよー!」
まあ、リムルからしたら、冗談では済まないのだが。
俺は、リムルに仕返しが出来たことに少し喜びながら、リムルを探す。
その後、朱菜達の作業場へと向かう。
ガルム「朱菜ちゃん!」
朱菜「あ…………。」
ガルム「これは何処に運ぶ?」
朱菜「ありがとうございます!裁断するので、机の方にお願いします。」
カイジン「朱菜ちゃん、ちょっと良いかな?」
朱菜「あっ、は〜い!すぐ伺いますね。………ゴブイチ、ごめんなさい。今日の夕食の仕込み、お願い出来る?」
朱菜は、皆に頼られていた。
俺とリムルは、人間態になり、紅丸に話しかける。
リムル「皆、朱菜を頼りにしてる。」
レイト「随分頼もしくなったよな。」
紅丸「役職を貰って、張り切ってるんですよ。自慢の妹なんですが、なんだかんだ、遠い存在になっていく気がします。」
リムル「おいおい。無敵の侍大将が何言ってんだ。」
レイト「まあ、一理あるかな。あの時だって。」
俺は、ある時の事を思い出していた。
それは、戦闘訓練をしていた時だ。
紅丸「良いか。集団での戦闘は、相手との距離が……………。」
朱菜「お兄様ー!お兄様はいらっしゃるの?」
紅丸「グッ…………!」
紅丸がリグル達にそう話す中、朱菜が紅丸の物と思わしきパンツを持ちながら現れる。
朱菜「もう!お兄様!何度言えば分かるんです!脱いだら脱ぎっぱなしにしない事!それから、部屋も散らかしっぱなしでしたよ!寝床の下の物は、きちんと片付けておきました。あと、ほら〜!」
朱菜がそう言う中、朱菜はタオルを出して、紅丸の顔を拭く。
朱菜「目ヤニついてて汚い!夕暮れまでには帰ってきて下さいね!お夕食、準備してますから。」
そう言って、朱菜は去っていく。
それを思い出した紅丸は、言う。
紅丸「……………遠い存在っていうか、母ちゃん的存在になっていく気が……………。」
リムル「あ〜。母ちゃんには敵わないな、侍大将。」
レイト「そうだな。」
俺たちはそう話す。
すると、朱菜がこちらにやって来る。
朱菜「お兄様〜!男前な服が〜!」
そう言って、朱菜は服を見せて来る。
それを見て、俺たちは苦笑を浮かべる。
「「アッハハハ……………。」」
朱菜「黒もありますよ!」
朱菜がそう言う中、紅丸は視線を逸らす。
その後、俺たちは帰る事にした。
朱菜「もう夕暮れですね。」
リムル「あいつら、働きすぎてないかな?」
レイト「まあ、少し心配になるよな。」
紅丸「ああ…………あの二人、真面目ですからね。」
リムル「俺たち、ちょっと見に行ってから帰るよ!行くぞ、レイト!」
レイト「ああ。」
朱菜「行ってらっしゃい。お気をつけて。」
俺たちは、ゲルドとグルドの所に向かう。
遡る事、朝ごろには、ゲルドやグルドを中心として、大工仕事をしていた。
ゲルド「まずは、こちらから…………。」
ミルド「ええ。」
グルド「今日は、ここまでですね。」
ミルド「うんうん。」
ゲルド「夕方までに仕上げるぞ!」
猪人族「おう!」
グルド「今日中には基礎工事は完成させたい!そっちはお願いします!」
猪人族「お任せを!」
ゴブリン達「仕上げてみせます!」
ゲルドとグルドが、ミルドと相談して、二人が周囲の人たちにそう指示を出す。
猪人族が、荷物を荷台に括り付ける。
その荷台は、狼達が運ぶ。
ゲルド「準備が整い次第、新区画に運ぶぞ!」
ウルフ「ワフ!」
グルド「ここは大丈夫そうですから、隣の区画のフォローに行きますよ!」
猪人族「おう!」
ゲルドとグルドも移動しようとする。
すると、ゲルドの視線に折れたたんぽぽが目に入る。
ゲルド「うん?……………グルド。先に行って、指揮を頼む。」
グルド「分かりました。」
グルドは、先に行く。
ゲルドは、折れてしまったたんぽぽを補強する。
そうして、今日の作業を終える。
俺とリムルは、ゲルドとグルドに話しかける。
リムル「だからさあ、働きすぎだって。」
レイト「たまには、仕事以外にも目を向けたらどうだ?」
ゲルド「我ら一族を受け入れて下さった、リムル様とレイト様の為にも……………。」
リムル「俺たちの事は良いからさあ…………。」
グルド「……………出来る限りは、善処します。」
そう言って、俺たちは工事現場から後にする。
その夜、俺たちはスナックに向かう。
トレイニー「まあ!皆さんがそんなに頑張っているなら、街の完成ももうすくですね。」
シズ「そうだね。」
リムル「まあね。」
レイト「でもまあ、もっと皆には、自由に生きて欲しいんだよな。」
リムル「そうだな。俺たち自身がそうだし。なのに、二言目には、リムル様とレイト様の為。リムル様とレイト様の為って……………。」
トレイニー「あらあら……………贅沢な悩みですね。ウフフフフフ……………。」
トレイニーさんは笑いながらそう言って、グラスに飲み物を注ぐ。
シズさんは、バイスタンプの状態で、テーブルに置かれている。
すると、シズさんが言う。
シズ「皆、恩返しがしたいんじゃないかな?スライムさんとキメラ君に。」
レイト「俺たちに?」
トレイニー「そうですね。道を示してくれるから。居場所を作ってくれたから。それは無邪気に。不器用に。」
リムル「居場所…………ねぇ……………。」
俺たちは考える。
俺たちは、これからも、あいつらの居場所で居続けられるのか。
まあ、それはそれとして。
リムル「……………で?トレイニーさんはここで何を?」
レイト「森の管理はどうしたんですか?」
トレイニー「ウフフフフフ…………。はい。ぶどうジュースお代わりね。ポテチもありますよ。」
シズ「アハハハ……………。」
俺とリムルの質問に、トレイニーさんはそう誤魔化して、シズさんは苦笑を浮かべる。
次の日の早朝、俺たちは近くの丘から、街を眺める。
リムル「行くか!」
レイト「だな。」
嵐牙「はい!我が主たちよ!」
俺たちは、嵐牙の背中に乗り、街へと戻る。
すると、ゴブリン達が声をかけて来る。
ゴブリン「あっ!リムル様!レイト様!」
ゴブリン「リムル様!レイト様!」
ゴブリン「あっ!リムル様!レイト様だ!」
ゴブリン「おはようございます!」
ゴブリン「今日もいい天気ですなぁ!」
ゴブリン「おはよう!リムル様!レイト様!」
リムル「おはよう!」
レイト「おはようさん!」
俺たちは、挨拶をしてくるゴブリン達にそう返して、とある建物の前で、嵐牙を止める。
リムル「とうとう完成だな!」
レイト「凄いな!」
嵐牙「ええ!我らの新しき議事堂です!」
新しい議事堂が完成したのだ。
俺たちが嵐牙から降りてくると、リグルドが話しかけてくる。
リグルド「おはようございます!リムル様、レイト様。今度の宴の準備はいかが致しましょう?」
レイト「宴?」
リムル「何かあったっけ?」
リグルド「ぬわっ…………ハッハッハ。お忘れですかな?我々ゴブリンとの出会い、500日目記念ですよ。」
めんどい彼女か!
細かいよな。
すると、嵐牙も声を出し、周囲に人たちが集まってくる。
嵐牙「ならば!我らとの出会いの記念も!」
カイジン「旦那方。竣工祝いはやんねえとな。」
ゴブタ「宴なら何でもアリっす!」
紫苑「
火煉「お忘れなく。」
ガビル「我輩達もぜひお仲間に!」
朱菜「宴ですね!」
すると、皆が、俺とリムルを胴上げしてくる。
一同「宴!フォー!宴!フォー!」
リムル「うう……………分かった、分かった!」
レイト「やるから!全部やるからな!」
皆に対して、俺たちはそう言う。
出会いの数だけ、賑やかになる。
今日は、どんな日になるのかな。
こんな風に、これまでのテンペストでの日常を綴っていく。
今回はここまでです。
これが、『転生したらキメラだった件』での日常です。
このシリーズは、日常を綴っていきます。
本家転スラ日記みたいに、本筋のストーリーとは少し矛盾点がありますが、ご了承下さい。
転キメ日記に関しては、本筋のストーリー以上に不定期となります。
こちらの方も、応援よろしくお願いします。
本筋のストーリーも、頑張っていきます。
ファルムス王国戦で、若干鬱展開になっていきますが。
これからも応援の程、よろしくお願いします。
感想、リクエストは、絶賛受け付けています。
今日から、ギーツで、デザイアドライバーの本体単品や、CSM基準のデザイアドライバーのベルト帯が予約開始しましたね。
欲しいですね。