目の回るような忙しさだったが、皆のおかげで、ひと段落する事ができた。
俺は火煉に、リムルは紫苑に尋ねる。
リムル「で、俺の今日の予定は?」
レイト「俺の予定はどうなってるんだ?」
紫苑「本日は、特に急ぎの予定はありません。」
火煉「レイト様も、急ぎの予定はありません。」
リムル「おお!良いねぇ!」
リグルド「たまには、ゆっくりお休みください。」
レイト「確かに……………休暇とか無かったからな。たまにはのんびり羽を伸ばすか。」
リムル「よ〜し!仕事の事なんかぜ〜んぶ忘れて、ダラダラするぞ〜!」
リグルド「ハハハハハ!どうぞ、気が済むまで。」
そうして、俺とリムルは休む事にした。
とはいえ、豚頭帝戦にて、キメラドライバーを使ったので、それのメンテナンスも行う必要がある。
無論、蒼月とグルドのデモンズドライバーに、火煉のベイルドライバーもだ。
3人からドライバーを預かり、キメラドライバーも合わせて、メンテナンスを行う。
四つのドライバーのメンテナンスを終えて、俺はのんびりする。
だが……………これまで、仕事がたくさんあったのに、急に休んで良いと言われると、妙に落ち着かないな。
すると、リムルが入ってくる。
リムル「なあ……………なんかない?」
レイト「ん?」
どうやら、リムルも同じ考えに至ったそうだ。
その後、俺たちはゴブタと会い、話をする事に。
ゴブタ「………………で、結局、リムル様は仕事場に戻ったんすか?」
リムル「何もしなくて良いって言われると、ソワソワしちゃってさ。」
レイト「確かに。これまで、仕事が多かったからな。」
俺とリムルがそう言うと、ゴブタが口を開く。
ゴブタ「た〜っ!折角の休み、楽しまないとダメっす!」
リムル「お………………おう。」
ゴブタ「最近は、面白い店も増えたんすよ。」
レイト「へぇ。」
ゴブタ「頼れる自分が案内するっす。」
こうして、ゴブタの案内の元、俺たちは暇を潰す事にした。
ゴブイチの店に寄り、焼き串を食べる。
ゴブイチ「へい、お待ち。」
ゴブイチに金を払って、俺たちは焼き串を食べる。
ちなみに、俺とリムルは、フルーツの盛り合わせを持っている。
ゴブタ「どうっすか?この辺の屋台、美味いっすよね。」
リムル「んもう〜。」
レイト「美味いな。」
ゴブタ「あっちには!土産物屋もあるっすよ。」
レイト「へぇ……………。」
ゴブタ「ここだけの話、早くお姉ちゃんの店とかも欲しいっすねえ。」
リムル「お〜お〜!」
いや、その店は、どうだろう……………。
朱菜や紫苑にキレられて、終わりな気がするな。
というより、リムルには、シズさんという運命の人が居るんだから、あんまりそういう事はしない方が良いんじゃ……………。
すると、後ろからリグルの声が聞こえてくる。
リグル「あいつ、どこ行った?」
ゴブタ「お……………?ハッ!?」
後ろを向くと、リグルと白老が誰かを探していた。
それで、ゴブタのこの反応。
どうやら、サボりの様だな。
すると、ゴブタが叫ぶ。
ゴブタ「やばい!リグル隊長と師匠っす!」
リムル「おおお〜!?」
レイト「おい待て!」
ゴブタが走り出したのを見て、俺とリムルも追いかける。
ちなみに、リムルは果物を落としたが、俺は落とさずに追いかける。
それで、ある建物の陰に隠れる。
ゴブタ「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……………。」
白老「気のせいかのう?」
リグル「上手く撒かれましたね。」
ゴブタ「フ……………いやあ、休日を楽しむのも、一苦労っすね。」
リムル「いや。」
レイト「お前、さてはサボりだな?」
ゴブタがそう言う中、俺とリムルはそう突っ込む。
その後、俺はゴブタをリグルと白老の元に連れて行った。
そして、ゴブタは俺に対して『裏切り者ォォォォォッ!?』と叫びながら、リグルと白老に連行されて行った。
ていうか、サボってる奴が言うな。
一方、紅丸は、玄関の方で刀の手入れをしていた。
朱菜は、紅丸に話しかける。
朱菜「あら?お兄様、今日は控えの日なんですか?なら……………。」
紅丸「いや。例え休日でも、心身の鍛錬と武具の手入れは欠かせない物だ。穏やかな日だからこそ、守りの剣は磨かれなければならない。リムル様やレイト様、お前や街の皆の為にな。」
紅丸はそう言う。
すると、鹿おどしの音が響く。
朱菜(お兄様……………。)
朱菜がそう思う中、紅丸は刀を納刀する。
朱菜は、紅丸の背中を摩り、頬を紅丸の背中にくっつける。
すると。
朱菜「でも……………!」
紅丸「おっ!?」
朱菜は紅丸を立たせて、外に出す。
朱菜「お掃除しますので、外でやってくださいね。」
紅丸「……………………。」
朱菜はそう言いながら扉を閉めて、紅丸は呆気に取られる。
一方、俺たちは、ゲルドとグルドの元に向かっていた。
目的は、グルドにデモンズドライバーを渡す為だ。
どうやら、ゲルドとグルドも、休みを貰ったそうだ。
リムル「何だかんだ、俺たちも仕事中毒だったみたいでさ。」
レイト「ああ。ゲルドとグルドの事、言えないよな。」
ゲルド「リムル様とレイト様は、何事も楽しんでおられますから。う〜ん……………。」
リムル「うん?」
グルド「俺たちは、ただ無心に働く事のみで……………。」
ゲルド「グルドの言う通りだな。いざ、休みを頂いても戸惑うだけでして……………。何も手につかず、街の皆から浮いてしまっている感じで……………。」
レイト「ん………………。」
ゲルドとグルドがそう言う中、ゲルドとグルドの周囲には、ホブゴブリンの子供達が集まっていた。
リムル「子供…………好きなのか?」
ゲルド「いや……………ああ………………その……………。」
リムルの質問に、ゲルドがどう答えようかと悩む中、ゲルドによじ登ろうとしていた子供が落ちる。
すると、ゲルドはキャッチする。
ココブ「うっ…………ああっ!」
ゲルド「おっと。危ないぞ。」
ココブ「アッハハ!アハハハハ…………!」
グルド「好きと言うよりは……………俺とゲルド様が座っていると、なぜかこうなるんですが……………。」
レイト「慕われてるね。」
なるほどな。
一方、蒼月は俺のメンテナンスしたデモンズドライバーを受け取った後、蒼華達と合流して、蒼影の指示を受けていた。
蒼影「いざという時、動けないのでは意味がない。休める時に、交代で休みを取る様に。」
一同「ハッ!」
蒼影の指示を聞いて、蒼月達は休む事に。
無論、交代で。
そんな中、蒼月は蒼華に話しかける。
蒼華「はぁ………………。」
蒼月「どうしたんだい?」
蒼華「蒼月か。蒼影様は、ああ仰っているのに、蒼影様自身は、決して休まれない。このままでは、お体を壊しそうで……………。」
蒼月「ああ……………蒼影様なら大丈夫だよ。ほら。」
蒼華がそう言う中、蒼月は後ろの方を指差す。
そこには、蒼影がもう一人いた。
分身を使って、休んでいたそうだ。
蒼華「交代で……………!?」
蒼月「みたいだね。」
蒼華が驚く中、蒼月はそう言う。
一方、俺たちは、執務室に向かっていた。
リムルが分身などをして、朱菜に気づかれるかどうかという感じのをやって、朱菜に気づかれた直後、ドアがノックされる。
リリナ「失礼します。」
リムル「おっ!リリナさん、珍しいね。」
そう言って入ってきたのは、リリナ。
俺とリムルがドワルゴンから帰ってくるまでの間に、やって来た、ゴブリンの村のリーダーの一人であり、リグルドとは旧知の仲だそうだ。
レイト「どうしたんですか?」
リリナ「季節柄、畑の準備の頃合いですが、如何しましょう?」
レイト「おお。」
リムル「それだ!早速、明日の朝、皆を集めてくれ!」
リリナ「はい!それでは、皆に声を掛けますね。」
レイト「頼む。」
そう言って、リリナは執務室を後にする。
畑か………………。
そういうのも、アリかもな。
そう思う中、リムルは俺に話しかけてくる。
リムル「レイト。」
レイト「うん?」
リムル「折角だし、シズさんも連れて行くか?」
レイト「だな。」
俺たちは、シズさんも連れて行く事にした。
畑作をやる理由は、人口増加に伴う、街の自給率向上の為だ。
ちなみに、シズさんの魂が入ったバイスタンプは、俺が携帯する事に。
リムル「古来より、飯の美味い土地は、良い土地だと言う。うちもぜひそうありたい。」
レイト「という訳で、今日は皆も力を貸して欲しい。」
一同「分かりました!」
俺たちがそう言うと、皆が返事を返す。
そして、話し出す。
村人「街で売ってる様な野菜も、俺たちで作れるのかなあ。」
少年「お手伝い楽しそう!」
村人「いっちょ皆で頑張ろうぜ!」
白老「腹が減っては何とやらと言いますからな。」
ゲルド「子供達を、飢えさせたくはないですな。」
グルド「確かに。」
リムル「そうだろ、そうだろ!アッハハハハ〜!」
皆がそう話して、リムルは笑う。
すると。
紫苑「分かります!美味しい物を、食べたいですよね!」
レイト「よし!植え付け開始だ!」
一同「お〜!」
シズ「アハハハハ………………。」
紫苑が鍋を持ちながらそう言うので、俺はそう叫ぶ。
それを聞いて、シズさんは苦笑する。
シズさんも、紫苑の料理は恐ろしく感じたそうで、曰く。
シズ「………………料理を見て、命の危険を感じたのは、初めてかも。」
との事だ。
シズさんは、戦時中の日本から来たという事もあり、食べれる物は食べれる時に食べておくという主義だが、流石に紫苑の料理は無理だそうだ。
俺たちが分担を決めてる中、ゴブタ達は。
ゴブタ「オイラ達もいっちょやるっす!」
ゴブタ達は、畑を耕し始める。
そんな中、ゴブトとゴブツが話し始める。
ゴブト「だりーよなぁ……………。」
ゴブタ「だよなぁ。」
ゴブト「は〜……………サボりてえ。」
ゴブゾウ「おらは結構面白いだす。」
ゴブツ「た〜!つまんねえ事言ってるし。」
ゴブト「お〜い、ゴブタ、聞いてんのか〜?」
ゴブトがそう言いながらゴブタに話しかけるが、ゴブタは横には居らず、木陰でサボっていた。
ゴブツ「って、あ〜!あいつ、やってるふりしてサボってやがる!」
ゴブト「ゴブタ!何サボってんだよ!」
それを見たゴブトとゴブツは、ゴブタに近寄りながらそう言うが、ゴブタは口を開く。
ゴブタ「違うっすよ。瞑想の修行をしてたんすよ。」
ゴブト「瞑想!」
ゴブツ「そうか!瞑想!」
そう言って、ゴブトとゴブツもサボる。
ゴブゾウが一人で畑を耕す中、黒兵衛がやって来る。
黒兵衛「お〜い!ゴブタ君!」
ゴブタ「うわっ……………黒兵衛さん!」
黒兵衛が声を掛けた事に驚いて、起き上がるゴブタ。
黒兵衛「リムル様とレイト様から頼まれていた物が出来ただよ。」
ゴブタ「マジっすか!やったー!待ち侘びたっすよ!」
黒兵衛が言う物とは、以前、ガビルがやって来た際に、ゴブタがガビルを倒した事で、ご褒美として作らせたのだ。
ゴブタ「あん時のすっね!いやぁ死ぬかと思ったっすよ。」
黒兵衛「フッ……………ゴブタ君。そいつは一振りで大地を砕き切り裂く…………オラの会心の業物だべ。」
ゴブタ「す……………すげえっす!これさえあれば、まさに鬼に金棒………………金棒………………っす?」
ゴブタがそれの布を取ると、そこにあったのは、金棒ではなく、鍬だった。
ゴブタ「うおおおおおおお!」
ゴブタがその鍬を使って、畑を耕すと、凄い速度で耕されて行く。
ゴブト「すげえぞ、ゴブタ!」
ゴブツ「硬い地面があっという間に!」
ゴブト「耕されて、耕されて!」
「「まるで鍬が体の一部みてえだ!」」
ゴブトとゴブツは、それを見て、ゴブタを褒める。
だが、当のゴブタは。
ゴブタ「うぉぉぉん!自分には、これがお似合いって事っすかーーーっ!」
そんな風に泣いていた。
それを見ていた俺たちに、黒兵衛が話しかける。
黒兵衛「なんか、間違ってただか?」
リムル「………………。」
レイト「渡すタイミングと、言い方を間違えたな……………。」
シズ「アハハハハ…………………。」
まあ、大地を砕き切り裂くのは、間違ってないな。
シズさんも、それを見て苦笑する。
一方、紫苑と火煉は、沢山の大豆を前にして、見ていた。
紫苑「何ですか?この豆。」
火煉「随分とたくさん蒔きますね。」
リムル「それは大豆。」
紫苑「へぇ……………。」
レイト「上手くいけば、色んな物に加工できるよ。」
シズ「そうね。味噌や醤油、納豆とかも良い感じね!」
そういえば、シズさんは戦時中の日本の出身だから、納豆は好きなのかもな。
ちなみに、俺は納豆が大好きだ。
だから、楽しみだ。
そんな中、紫苑と火煉は首を傾げる。
紫苑「なっとー?」
火煉「それは、何ですか?」
レイト「ああ。納豆というのはな、保存が効いて、長く食べる事が出来るんだ。」
火煉「それは良いですね!」
リムル「あと、簡単に言えば、腐った豆!」
火煉「腐った……………?」
レイト「火煉。腐ったというよりは、発酵食品でな。結構美味いぞ。」
俺は、火煉に納豆がどういう物かを伝えた。
火煉はそれを聞いて、納得していた。
すると、紫苑が叫ぶ。
紫苑「リムル様は腐った物が好き…………!リムル様は腐った物が好き…………!」
リムル「訂正する!発酵な、発酵!」
紫苑「今後のお食事にご期待下さい!腐った物を食卓一杯漁ってきますので!」
リムル「やめろ紫苑!メモを取って、何を作る気だ!?紫苑!!」
リムルの叫びが響く。
言い方が悪かったな。
俺たちはそれを見て、苦笑していた。
その後、ガビル達に水田を案内していた。
稲を育ててもらう為だ。
リムル「という訳で、ガビル達には、稲を植えてもらう。」
ガビル「お〜!ありがたき幸せ!では、歓喜の歌を〜!」
リムル「それは良い。」
レイト「湿地に生息しているお前達にはピッタリだろ?」
ガビル「はっ!ここなら如何なる戦いでも……………負けませんなあ!何なら、技のキレを
リムル「それも良い。」
というより、ここは水田だぞ。
ここで戦う訳じゃないからな。
俺は念の為に、釘を刺しておく。
レイト「言っとくが、米の改良と栽培は割と本気で取り組んでるからな。浮かれたりしてると……………。」
ガビル「何と失礼しました。」
分かってくれたか。
俺たちとしても、たまには白米を食べたい。
ガビル「我ら一同。その気持ちに応えるべく……………神聖な舞を〜!」
ガビル達はそう言って、ざるをどこからともかく出してきて、踊りだす。
ガビル達「あ、びっちゃばっちゃ!びっちゃばっちゃ!よいよいよいよい!」
リムル「良いから早く始めてくれませんかねぇ。」
シズ「賑やかだね………………。」
レイト「ガビル達はこういう奴らだったよな………………。」
そうだ、こういう奴らだった。
ダメだこりゃ。
何とか作業を始めたのを見て、俺たちは移動する。
すると、ゴブタが話しかけて来る。
ゴブタ「リムル様とレイト様だ!リムル様〜!レイト様〜!」
リムル「おお、ゴブタ!」
ゴブタ「どこ行くんすか?」
レイト「ああ。リリナさんに先に作ってもらってた春野菜の畑があるんだ。一緒に見にいくか?」
ゴブタ「行くっす!」
リムル「よし、じゃあ頼む。」
俺たちは、春野菜のエリアに向かう。
「「「「おお〜!」」」」
それを見て、俺たちは感嘆の声を出す。
ゴブタ「すげーっすね!もう出来てるじゃないっすか!」
リリナ「今日は賑やかで、何だか嬉しいですね。」
リムル「だろ?今年は畑も大きく作るんだ。皆、初めての奴も多いけど、面倒見てやってくれ。」
リリナ「はい!私はこの街の農業担当ですから!任せて下さい!」
頼もしいな。
すると、ゴブタは案山子に気づく。
ゴブタ「あ?何で畑の真ん中に人形があるんすか?」
レイト「案山子だよ。カラスよけの。」
リリナ「でも、あまり効果が無いんですよ。折角の春野菜も、こんな有様です。」
リリナはそう言って、一つの春キャベツを取り出す。
その春キャベツは、齧られていた。
リムル「げ!俺の好きな春キャベツ!」
シズ「齧られてるね………………。」
ゴブタ「あいつら、頭良いんすよ!こんなチャチなんじゃダメっす!自分に任せて下さい!」
ゴブタはそう言うと、作業を始める。
ゴブタ「おりゃあああ!出来た。どうっすか?この逞しい肉体。そして、精悍な顔立ち。これでもう安心すよ!ちょっと隠れて見てみましょう!」
レイト「精悍……………?」
その案山子は、ゴブタに似た様なデザインとなった。
ある種の不安を抱きながら、俺たちは隠れる。
ゴブタ「これならあいつらもビビって、絶対に大丈夫っす。」
俺たちが見ている中、その案山子は、動物達に攻撃されまくり、壊れてしまった。
ゴブタが、ムンクの叫びみたいな顔になった後、壊された事実に撃沈していた。
ゴブタ「あう……………あう……………あう……………。」
リムル「これ吊るしてみ。」
リリナ「何です?これ。」
シズ「これは何なの?」
レイト「目玉君って言ってな。カラスよけのアイテムだよ。」
まあ、案山子よりもそっちの方が良いかもな。
その後、俺、リムル、紅丸の3人で、稲を植えていく。
リムル「ふぅ……………。」
レイト「良い感じじゃないか?」
俺とリムルがそう話す中、蒼影は、別の場所で、クナイを地面に刺していた。
それも、等間隔に。
蒼華「凄い……………。」
蒼月「確かに……………。」
蒼影「フッ。巡回警備の時間だ。行くぞ。」
蒼月達「はっ!」
蒼影はそう言って移動する。
そんな中、蒼華と蒼月は、地面に突き刺さったクナイを一本ずつ取って、つぶやく。
蒼華「種まき…………したかったのかな…………。」
蒼月「そうかな……………?あっ。」
そう呟く中、蒼影が二人が持っていたクナイを糸で回収する。
蒼影「遅れるな。」
蒼華「はっ、はい!」
蒼月「分かりました!」
二人はそう返して、蒼影に向かう。
一方、朱菜達は、炊き出しの準備をしていた。
ハルナ「朱菜様!鍋の準備ができました!」
朱菜「ありがとう。」
「「ただいま。」」
ハルナと朱菜がそう話す中、ガルムとドルドの二人が帰って来る。
ハルナ「ガルムさん!ドルドさん!お帰りなさい!」
ドルド「おや、朱菜ちゃん達も畑に行くのかい?」
ハルナ「ええ。仕事がひと段落したので、炊き出しに。」
朱菜「頑張る皆さんの為に、お昼には温かな物を食べていただこうと思いまして。」
ガルム「おお。そりゃ良い。」
ドルド「あとは任せて行ってきな。」
ハルナ「ありがとうございます!」
朱菜「では、行ってきます!」
ハルナと朱菜は、畑の方に向かう。
それを見ていたガルムとドルドは。
ガルム「良い娘だなぁ。兄弟。」
ドルド「そうだなぁ。兄弟。」
「「んっ!」」
そう話すと、猛然と作業を始める。
ガルム「お尻と足首がキュッと!」
ガルムは板にデザインを書いて、それを積み重ねていき、ドルドはミシンを使う。
ドルド「いける!いけてる!」
二人が作業をする事しばらくして、作業は終わり、もんぺ服が出来上がった。
それを見ていた二人は。
ガルム「もんぺ姿いいなあ、兄弟。」
ドルド「そうだな、兄弟。流行らそう。」
二人は満足していた。
周囲は、布やら糸や裁縫道具で散乱する中、それを見ていたカイジンは。
カイジン「…………………お前ら、仕事熱心だな。」
そう言うと、上から梁が落ちてきた。
一方、畑の方では、ゲルドとグルドは色んな人たちに呼ばれていた。
女性「ゲルドさ〜ん!」
ゲルド「おう。」
男性「グルドさ〜ん!」
グルド「待ってて下さい!すぐに行きますので!」
ゲルドとグルドは、物を運搬していた。
そんな中、俺とリムルは、ゲルドとグルドに話しかける。
リムル「お〜い、ゲルド、グルド。」
ゲルド「ああ……………。」
レイト「折角だし、二人も植えてみろよ。」
グルド「いや……………俺たちは運搬役で………………。」
リムル「良いから、良いから。」
ゲルド「はっ、はぁ……………。」
ゲルドとグルドは、俺たちの言葉に折れて、苗を植える事に。
リムル「そうそう。等間隔に。」
レイト「苗を潰すなよ。」
ゲルド「ん…………う〜ん……………。」
グルド「これで良いですかね?」
レイト「ああ。これで、夏には実が一杯食べれるぞ。」
ゲルド「実が………………。」
俺がそう言うと、ゲルドとグルドはその苗を見ていた。
しばらくの静寂の末、口を開く。
ゲルド「……………見にきても良いでしょうか?」
グルド「時々……………。」
リムル「おう。」
レイト「皆で見に行こう。」
シズ「ええ。」
俺たちはそう話す。
その後、昼飯になった。
白老「ずっと中腰は流石に堪えるのう…………。」
黒兵衛「何言ってるだ。誰よりも正確で速かっただ。」
白老「ヌホホホホ。年の功よ。」
白老と黒兵衛は、そう話す。
そんな中、ゴブタは鍬を持ちながら言う。
ゴブタ「自分のご褒美って、本当にこれなんすかね?」
ゴブタは、若干不安になっていた。
一方、朱菜は皆にお昼ご飯を配っていた。
朱菜「はい!」
子供「ありがとうございます!」
朱菜「お兄様もお昼いかがですか?」
紅丸「うん。」
朱菜の受け取った昼食を持ちながら、子供が移動するのを見ながら、朱菜は紅丸に尋ねる。
すると、子供達が紅丸に質問をする。
子供「紅丸様!」
紅丸「うん?」
子供「どうしたら、紅丸様みたいに強くなれるんですか?」
子供達「うんうん!」
紅丸「そうだな……………。」
子供達の質問に、紅丸は子供達に視線を合わせる。
紅丸「好き嫌いなんかせず、何でもよく食べる事かな。そして……………まずは…………。」
子供達「わっ!」
紅丸はそう言いながら、石を握り潰す。
紅丸「強い体を作るんだ。」
子供達「うわ〜!分かりました!紅丸様!ありがとう!」
紅丸「おう!午後も頑張ろうな!」
子供達「は〜い!」
紅丸「しっかり食って、強くなれよ!ちびっ子ども!」
子供達は駆け出して、紅丸はそう言う。
そんな中、朱菜が話しかける。
朱菜「お兄様もどうぞ。」
紅丸「ああ。」
朱菜はそう言って、お盆を渡す。
そんな中、スープの中に人参が入っている事に気づいて、紅丸は朱菜に言う。
紅丸「いや……………だからちょっと、人参避けてくれって……………!」
朱菜「あら?強くなれませんよ。はい。」
朱菜は、紅丸に有無をいわせずに、お盆を渡す。
俺たちはおにぎりを食べながら周辺を見る。
春の空気がガツンとくる。
土の匂いは意外と強い。
空気を胸に、飯を腹に。
ただそれだけで、満たされる。
ただそれだけで、実感できる。
そんな中、シズさんが口を開く。
シズ「懐かしいな……………。」
リムル「シズさん?」
シズ「子供の頃、よくお母さんと一緒に、畑で作物を育ててたのを思い出すよ。」
レイト「そっか………………。」
シズさんは思い出していた。
かつて、魔王レオン・クロムウェルによって召喚される前、よくお母さんと一緒に、作物を育ててた事を。
リムル「寂しくないのか?」
シズ「………………確かに、もうお母さんと会えないのは寂しい。でも、新しく出来た第二の故郷で、こんなにも楽しい。だから、寂しくないよ。」
レイト「そっか。じゃあ、俺たちも手伝わないとな!」
リムル「ああ!」
シズ「頑張ってね。」
俺たちは、作業を再開する。
そんな感じで作業をしたら、夕方になっていた。
俺たちは、口を開く。
リムル「じゃあ、無事、植え付けの終了を祝って、乾杯!」
レイト「お疲れさん!」
俺たちは、食事をする事にした。
紫苑「んぐ、んぐ……………プハーッ!美味しい〜!」
火煉「お疲れ様。いつもより美味しく感じますね。」
村人「おっ!ロールキャベツ!」
村人「秋には無事に稲がなると良いなぁ。」
紅丸「お疲れ。良い働きぶりだったな。」
ゲルド「貴殿もな。」
グルド「お疲れ様です。」
ガビル「我輩の水田の舞はいかがでしたかな?」
リグルド「ヤッハハ…………失敬。見ておりませんで。」
村人「うーわっ!美味そうな匂い!たまんねぇ!」
ゴブタ「鍬さばきなら、自分に任せて欲しいっすね!」
ゴブツ「よっ!ゴブタ!」
そんな風に、皆が作業の疲れを労い、ご飯を食べていく。
そんな中、俺、リムル、シズさんは、トレイニーさんと一緒にいた。
トレイニー「皆さん、お疲れ様でしたね。」
リムル「まあ、本当に大変なのは、これからだろうな。」
トレイニー「そうですね。収穫までは色々……………でも、今年はきっと良い作物が取れますよ。」
シズ「うん。きっと、良い作物が出来るよ。」
レイト「おお。お墨付き!トレイニーさんは植物の専門家だしね。」
トレイニー「ええ。ですから……………。」
「「うん?」」
トレイニー「待っていたんですよ、私。お、さ、そ、い……………。」
トレイニーさんはそう言って、リムルの麦わら帽子を自分に被せながら、そう言う。
あ、やべ。
この人誘うのを忘れてた。
すると、トレイニーさんは涙を浮かべながら、スコップでその辺の土を掘る。
トレイニー「
レイト「ごめんなさい!収穫時にはちゃんと声をかけますので………………!」
ゴブタ「あー。泣かせた、泣かせた。」
リムル「機嫌なおして下さい。ほら、ポテチありますよ!」
トレイニー「…………………ぐすん。」
シズ「アハハハハ…………………。」
こうして、俺たちはトレイニーさんを宥めるのに、苦労した。
その後、トレイニーさんの事を知ってか知らずか、梅雨が始まった。
異世界にも、梅雨はあったのだ。
それを、俺、リムル、シズさん、ゴブタは外から見つめていた。
ゴブタ「今日も雨っすか。毎日これじゃあ、気が滅入るっすね。」
レイト「まあ、梅雨だしな。」
トレイニー「あらあら。そんな事を言わないで下さい。雨は必要なんです。天からの恵みを大地がたっぷりと受け止めて、緑は茂り、虫たちが増え、小動物が繁殖し、またそれが土に……………。」
トレイニーさんはそう言うと、ポテチを食べて、口を開く。
トレイニー「あら、新味。そうして、森は着々と大きくなっていくのですから。」
シズ「そうなんですね。」
ゴブタ「へぇ……………だからちょっと太ったんすね。」
リムル「おっ……………!?」
レイト「ちょっ……………!?」
シズ「あ。」
すると、雷鳴が響き、雨足が強くなる。
俺はゴブタに言う。
レイト「おい!早く窓を閉めろ!」
ゴブタ「はいっす!」
トレイニーさんを怒らせると、自然環境に影響を与えかねんな。
というより、ゴブタ、それはあまりにも失言だろ!
こうして、外は嵐となったのだった。
今回はここまでです。
今回は、春と梅雨のひと時です。
シズさんは、畑作を見て、かつての事を思い返していました。
そして、失言をするゴブタ。
これもまた、転キメでの、日常の一幕です。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
転キメでのテンペストの日常は、賑やかなのは間違いありません。
シズさんも、第二の故郷と思える位には。
転キメ日記は、しばらく続けます。
本編の方も、頑張っていきます。