転生したらキメラだった件   作:仮面大佐

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第8日記 みのりの秋

 ミリムが来てから、しばらくが経ち、季節は秋になっていた。

 そして、収穫時期になっていた。

 

リムル「昔から、衣食足りて礼節を知る、とある。腹が満ちれば、心に余裕が生まれ、余計な諍いもなく、良い国となる。うちも是非、そうありたい。」

レイト「秋は実りの季節であると同時に、冬へ備える大事な時期だ。今日は、皆で力を合わせて、収穫に臨もう。」

一同「はい!」

 

 俺とリムルがそう言うと、皆が返事をする。

 

リムル「えー、続いて、特別ゲストの…………。」

トレイニー「春からずっと……………。」

レイト「トレイニーさん?」

トレイニー「待っていました。…………芋です!今日は芋を沢山掘りましょう!」

一同「おー!」

 

 トレイニーさんがそう言うと、皆が返事をする。

 春の時の反省を生かして、トレイニーさんには声をかけておいた。

 

リムル「いや、芋以外もね。」

レイト「では、次に………………。」

ミリム「皆の者!私にうまーな物を食べさせるのだ!」

一同「おー!」

トレイニー「芋です!」

一同「芋ー!」

ミリム「うまーなのだ!」

一同「うまー!」

 

 俺とリムルが、ミリムに話を振ると、ミリムはそう叫ぶ。

 自由だな、ゲスト陣。

 その後、リリナさんがスケジュールを発表する。

 

リリナ「今日のA班の収穫のスケジュールの確認ですが、お昼までに4ブロックの収穫を完了させて、そしてB班は、夕方までにAからBブロックの収穫を完了させる予定です。」

リグルド「今日中には十分、終わりそうですなあ。ハハハハハ。」

リムル「うんうん。」

レイト「そうだな。」

 

 リリナは、生産管理担当であり、機転が利いて働き者だ。

 すると、ゴブタたちの笑い声が聞こえてくる。

 すると、リリナさんは表情が変わり、ゴブタ達の方に向かい、板を叩く。

 

ゴブタ達「ひぃっ!」

リリナ「ほんらほんらほらほら〜(ほらほら)そっご、ぽんつぐども(そこの怠け者達)!」

 

 リリナさんが女番長みたいになった!?

 俺たちがリリナさんの豹変に呆気に取られる中、リリナさんは叫ぶ。

 

リリナ「|のさぐさしてっど、あっちゅう間に日、暮れちまうど《のんびりしていると、あっという間に日が暮れてしまいますよ》!」

 

 リリナさんはそう叫んで、ゴブタの鼻とゴブチの髪を掴んで、持ち上げる。

 

リリナ「|リムル様とレイト様ん前で、小っ恥ずかしーナリ見したーしゃーで《リムル様とレイト様の御前で、みっともない姿を晒してはいけませんよ》?|畳んで刻んで、畑ん肥やしぃなっが《畳まれて、刻まれて、畑の肥料になりたいのですか?》!?あ?あ(ご返答下さい)?|ちゃーんと働えて、うめえマンマ食いてえべ《しっかりと労働をして、美味しい食事を摂りたいとは思いませんか?》?」

ゴブタ「ひぃぃぃぃ!」

ゴブチ「イデデデデデ!」

リリナ「そうだべ?(そうですよね?)

ゴブタ「ふぁ、ふぁい!」

ゴブチ「すいませんでした!」

 

 リリナさんはそう聞くと、ゴブタ達はそう言って、逃走する。

 リリナさんは、何事も無かったように木の板を拾い、俺たちを見てくる。

 

リリナ「作業は順調です!」

リムル「あ、はい。」

レイト「分かりました。」

リグルド「相変わらずですな、昔から。アハハハ……………。」

 

 本当に、優秀だな。

 ていうか、昔から?

 昔からこんなスケバンみたいな感じなの?

 俺はそう思った。

 一方、紫苑とミリムが対峙していた。

 

紫苑「たとえミリム様でも、今日という今日は容赦しませんよ。」

ミリム「大きな口を叩くではないか。一本角の…………。」

紫苑「紫苑です。」

ミリム「そう、それ。ふっ。」

 

 そんな風に話して、お互いに睨む。

 しばらくの静寂の末、ミリムが口を開く。

 

ミリム「ワタシの腕は十大魔王随一と言われているのだぞ…………芋掘りの!おお?」

紫苑「ああ?ジュラの森の知れ渡る伝説の鬼神とは私のことです…………芋掘りの!」

ミリム「いざ!」 

紫苑「勝負!!」

ミリム「十大魔王随一のワタシに敗北はないのだー!」

紫苑「見せてあげましょう!私の伝説たる由縁を!」

「「うおーーーーっ!!」」

 

 二人はそう叫びながら、芋掘りを開始する。

 それを見ていた俺たちは。

 

リムル「君たち、それで良いの?」

レイト「まあ、捗るなら良いんじゃね?」

火煉「何をやっているの……………?」

シズ「元気だね。」

 

 そんな風に話す。

 一方、トレイニーさんがジャガイモを掘る中、リグルドが話しかける。

 

トレイニー「わあ!大量です!」

リグルド「ド……………樹妖精(ドライアド)様に芋掘りをさせるなんて!」

トレイニー「良いんですよ。樹妖精(ドライアド)は元々、ジャガイモから生まれるのです。」

ハルナ「はっ!共食い……………!?」

 

 リグルドが慌てて駆け寄る中、トレイニーさんがそう言って、ハルナは、そんな風に呟く。

 そんな事は言わない様にした方がいいだろ。

 一方、ガビル達が育てていたお米も収穫出来るようになっていた。

 

リムル「ほーら。春に植えた稲がこんなになったぞ。」

ガビル「うっ、うっ、ううっ…………!」

レイト「ん?……………え?」

 

 リムルがそう言う中、ガビルは泣いていた。

 なんで?

 

ガビル「おお!これはなんと荘厳な!」

ヤシチ達「おぉー!」

リムル「見事なもんだろう?…………歌うなよ?」

ガビル「御意。」

 

 リムルがそう釘を刺す中、ガビルは稲を見ていた。

 

ガビル「おお!まるで、陽光に輝く金色の絨毯の様ですな!このたっぷりとした稲穂。我が国の豊かさを象徴しております〜!」

レイト「良いこと言うな。……………踊るなよ?」

ガビル「御意。」

リムル「さーて。乗ってきたところで、刈ってもらおうか!」

レイト「美味いご飯にありつきたいからな。」

 

 俺とリムルはそう言って、鎌を取り出す。

 納豆と一緒に食べたいな。

 すると、ガビルが詰め寄る。

 

ガビル「あんまりです!リムル様!レイト様!」

リムル「うわぁ!」

ガビル「こんなに〜美しい姿が〜!無くなるなんて〜!」

ヤシチ達「ガビル様〜!」

 

 そう言って、畑の真ん中で泣きながら歌い出す。

 それを見ていた俺、リムル、シズさんは。

 

リムル「最初から最後まで面倒くさい奴らだな。」

レイト「まあ、それがあいつらだよな。」

シズ「アハハハ………………。」

 

 リムルと俺がそう言って、シズさんは苦笑していた。

 一方、蒼華と蒼月は、森をかけていた。

 時折、糸が向かってくるので、それぞれの武器で迎撃する。

 糸を放っているのは、蒼影だ。

 蒼月は、短剣を上手く使いこなしていた。

 二人は、蒼影の糸を躱していたが、蒼影が栗を2個、二人に落とす。

 

蒼華「ふぐっ……………!」

蒼月「イテッ!?」

 

 二人が悶えている中、蒼影は栗をトングで持って、カゴに入れようとすると、猫が栗を掴もうとする。

 

蒼影「栗は好きか?」

蒼華「うっ……………はい。」

蒼月「好きですよ。」

蒼影「俺もだ。」

 

 蒼影は、猫と戯れていた。

 一方、俺たちの方には、リグル達が戻ってきた。

 

リグル「散策隊!食料調達から戻りました!」

レイト「ご苦労さん。」

 

 俺は、リグルを労う。

 柿に鮑に栗にリンゴ、ブドウ。

 色んな秋の恵みがあるな。

 そう思う中、リムルは松茸に反応していた。

 

リムル「おお!この色…………この形、そしてこの香り……………滅多に食べられない松茸様だ!」

 

 松茸を見て喜ぶリムル。

 気持ちは分かるな。

 俺達の世界では、殆ど手が届かない高級品なのだから。

 だがこの世界では違った。

 

ゴブタ「そんなのそこらじゅうに生えってるっすよ?」

リムル「えっ?」

 

 どうやら、そこらじゅうに生えているらしい。

 皆に不思議そうに見られたリムルはいじけてしまう。

 

レイト「まあ、落ち着けって。」

シズ「元気出してね。」

リムル「……………うん。」

 

 俺とシズさんは、リムルを慰める。

 一方、紫苑とミリムは。

 

ミリム「一本角!」

紫苑「紫苑です。」

ミリム「そう!それ!フッ。これはどうだ!」

紫苑「ふっ。その程度ですか?」

 

 ミリムはそう言って、さつまいもを取り出すと、紫苑はミリムのより大きい芋を取り出す。

 

ミリム「なにーっ!?ど、どこでそんな大きい芋を!」

紫苑「フッフッフッ。あっちだったか、こっちだったか。」

ミリム「ぐぬぬぬ……………!おのれ!一本角の分際で!」

紫苑「紫苑です。」

 

 それを見て悔しがるミリムと、優越感に浸る紫苑だった。

 ミリムは芋を引っ張るが、小さい物ばかりだった。

 

ミリム「ハズレばっかりなのだ…………。」

紫苑「ホーッホッホッホ!どうしたのですか?ミリム様。」

ミリム「ぬぅ……………はっ!」

 

 ミリムがそう言う中、紫苑は高笑いしながらそう言う。

 ミリムは、紫苑の足元にある芋に目をつける。

 

ミリム「フッ。勝負は最後まで分からないのだー!」

 

 ミリムはそう言って、芋を引っ張り出す。

 

紫苑「そ…………その芋は!」

ミリム「この形は気品があるなあ。」

紫苑「くぅ〜……………!」

ミリム「フッフッハッハッハッ!」

 

 ミリムが引っ張り出したのは、リムルの形の芋だった。

 それを見ていた俺とリムルは。

 

リムル「よく分からんが、あっという間に終わったな。」

レイト「だな。」

 

 そんな風に話す。

 その後、大量のさつまいもを運ぶ。

 すると、ゴブタが話しかける。

 

ゴブタ「リムル様!レイト様!早速焼きましょうよ!待ちきれないっす!」

レイト「それもそうだな。」

リムル「よーし!初焼き芋、はじめるぞ!」

ゴブタ「イェーイ!」

ココブ「フフフフっ!」

 

 そんな風に言うと、ゴブタとココブがそう言う。

 すると、ミリムが話しかける。

 

ミリム「ヤキイモ…………?何だそれは?」

リムル「まあ見てろ。」

レイト「早速始めよう。」

 

 俺たちはそう言って、落ち葉を集める。

 リムルが指を鳴らすと、火が付く。

 ゴブタは、火を絶やさない様にして、紫苑と火煉は、枝を追加する。

 

ミリム「おー。」

ゴブタ「リムル様!レイト様!そろそろ頃合いっすね!」

レイト「ああ。ミリムも、好きな芋を持ってきてくれ。」

ミリム「これだぞ!一番立派で、気品もあるのだ。」

 

 立派で気品というか、リムルの形に似てるだけじゃね?

 そう思う中、リムルはその芋を受け取って、糸を絡ませていき、落ち葉の中に落とす。

 

リムル「ふ〜ん……………ほいっ。」

ミリム「あー!」

 

 俺は、その芋を枝で良い感じに動かす中、ミリムは俺とリムルを掴み上げる。

 

ミリム「な……………な……………な……………何をするのだー!」

リムル「ん?あっ!」

レイト「待て待て待て待て!」

 

 ミリムはそう叫んで、俺とリムルをぶん回す。

 俺とリムルは人の姿が解け、本来の姿に戻りながらも、ミリムに言う。

 

リムル「焼き芋っていうのは、こうやって芋を焚き火でじっくりと焼く事で、驚くほど美味くなる調理法なんだ。」

レイト「決して、悪意はない。」

 

 俺とリムルがそう言うと、科学者が口を開く。

 

科学者『告。消化酵素βアミラーゼが、加熱で糊化した澱粉に作用し、麦芽糖を生成する為です。』

 

 科学者がそんな事を教えてくれた。

 そんな意味があったんだな。

 

ミリム「え?」

レイト「あとはじっくりと待て。」

ミリム「よし!ならば、出来るまで待つぞ。」

 

 ミリムはそう言って、焼き芋が入った焚き火を眺める。

 次第に、歌を歌い出したが。

 一方、紅丸は、散策隊が手に入れた柿を吊るしていた。

 

紅丸「こんなもんかな。」

朱菜「まあ!干し柿!」

紅丸「ああ。さっき、散策隊から分けてもらってな。」

朱菜「フフフ。お兄様、甘い物が好きですものね。入ります?スイーツ同盟。」

紅丸「ハッハハ。」

 

 紅丸と朱菜はそう話す。

 ちなみに、スイーツ同盟は、朱菜、紫苑、ミリム、火煉を始めとする女性陣が入っている。

 紅丸は、干し柿を眺めながら口を開く。

 

紅丸「好きになったのは、父上の影響だ。」

 

 そう。

 紅丸が甘い物が好きになった理由は、紅丸と朱菜の父親が、よく干し柿をくれたからだ。

 

紅丸「父上は干し柿が好きで、戦場でも懐に……………あ……………あっ、すまん!思い出させて……………。」

 

 紅丸はそう言う中、朱菜を心配してそう言うが、朱菜は変顔をしていた。

 

紅丸「何だその顔は。」

朱菜「渋柿を食べてしまった時のお兄様の顔です!」

紅丸「思い出すなよ、そんなの。」

朱菜「はい!そんなのしか思い出しませんでした!」

紅丸「やめなさい。嫁入り前の身で。」

 

 紅丸と朱菜はそんな風に話していた。

 一方、作業は順調に進んでおり、リグルドはジャガイモを持ちながら言う。

 

リグルド「こんなにたくさん育つとは…………。」

リリナ「皆、草取りを頑張ってくれましたからね。」

トレイニー「畑を管理し、様々な植物が育つ環境を作り出す。」

リリナ「トレイニー様!」

 

 リグルドとリリナがそう話していると、トレイニーさんがやってくる。

 

トレイニー「ウフフ。お二人とも、植物達の声が聞こえる様になりましたね。」

リグルド「作物を自分たちで育てるなど、リムル様とレイト様に言われなければ、考えもしませんでしたなぁ。」

リリナ「気づいたら、葉を見れば苗の状態が分かるようになりました。」

トレイニー「ウフフ……………植物達の小さな声に耳を傾ける。はっ!」

 

 トレイニーさんがそう言う中、リグルドとリリナさんはそう言う。

 トレイニーさんがジャガイモを耳に当てると、何かを悟る。

 

トレイニー「あなたは……………そう。揚げ芋になりたいのですね!揚げ芋になりたいのですね。」

 

 トレイニーさんはそう言って、スナック樹羅のロゴが入った箱にジャガイモを入れる。

 それを見ていたハルナが反応する。

 

ハルナ「あれ?その箱は……………。」

トレイニー「あ……………ああ……………ほら、焼き芋が焼けたみたいですよ。」

 

 ハルナがそう言う中、トレイニーさんはそう言って、どこかへと向かう。

 一方、焼き芋が焼けた。

 

ミリム「おお〜!はふ、はふ、はふっ!んっ、んん……………!うまー!どうしたらこんなに美味くなるのだー!」

火煉「どうしたらって言われても、そのまま焼いただけなんですが……………。」

ミリム「何!?焼いただけで!?」

朱菜「もっと食べます?」

ミリム「ふむ。」

 

 ミリム、火煉、朱菜がそう話す中、俺たちも芋を食べていた。

 すると、ミリムが唸りだす。

 

ミリム「ぬぬぬ…………!あんなに固くて土臭いものが、こんなにも甘くてホクホクに…………!」

リムル「お前……………一体どういう食生活をしてたんだ?」

紫苑「きっと愛の無い環境で育ったんですね…………。わかります。」

シズ「……………ミリムちゃん。まだお芋あるからいっぱい食べてね。」

 

 ミリムがそう唸る中、リムル、紫苑、シズさんはそう言う。

 確かに、どういう食生活をしてたんだ?

 一方、忘れられた竜の都では、ミリムの石像の首の部分が落ちる。

 

ミッドレイ「おおお……………!?」

ヘルメス「生野菜が嫌で怒ったんじゃないすか?」

トート「神罰ですよ。神罰。」

ミッドレイ「何をバカな!最高のご馳走ではないか!」

トート達「はぁ……………。」

 

 神官戦士団の長、ミッドレイとその配下でいるヘルメスとトートは、そう話す。

 一方、ゴブタ達は。

 

ゴブタ「おーい!」

ゴブチ「お?」

ゴブタ「芋!焼けたっすよ!」

ゴブチ「よっしゃー!」

ゴブト「休憩、休憩!」

ゴブゾウ「おう。」

 

 ゴブタが焼き芋を持ってきて、食べる事に。

 

ゴブチ「焼き芋なんて久しぶりだぜ!」

ゴブト「自分たちで芋が作れるなんてな。」

ゴブチ「うっめー!」

ゴブゾウ「あむっ!うめーダッスー。」

ゴブタ「あっ。」

 

 ゴブチ達がそう話す中、白老が居た事に気づく。

 ゴブタは、白老の方に向かう。

 

ゴブタ「師匠も食うっすか?」

 

 ゴブタはそう聞くが、白老は無言だった。

 白老は、無言で目の前にある紅葉の木を眺めていた。

 

ゴブタ(最近、師匠の様子が変っす。ふとした時に遠い目をしていたり、舞い散る木の葉をただ眺めていたり……………剣鬼としての過去が一体どんな物だったのか、自分にはよく分からないっす。)

 

 ゴブタはそう思う。

 すると、何を思ったのか、他のメンツも含めて、白老に襲いかかる。

 だが、ものの見事に返り討ちに遭う。

 ゴブタが持っていた焼き芋が入った袋は、白老がキャッチしていた。

 

ゴブタ「い……………いや……………ボケちゃったのかなあと。」

ゴブゾウ「ダッスね。」

白老「おかげで充実しておるよ。……………もう一手合わせ行くかの?」

 

 ゴブタ達がそう言う中、白老はそう言うと、ゴブタ達は逃走した。

 白老は再び紅葉を見つめると。

 

白老「……………思いを馳せる暇も無いわ……………。」

 

 そう呟く。

 一方、リリナさんは、作業をしている猪人族(ハイオーク)に、芋の差し入れをしていた。

 無論、俺もついて行っている。

 

リリナ「皆さーん。リムル様とレイト様から差し入れでーす。」

「「「「「おおおお!」」」」」

 

 リリナさんがそう言うと、猪人族(ハイオーク)の皆は、作業をやめて、芋を食べる。

 

猪人族「こんな我らにまで有難い。」

猪人族「ほらっ!お前もこれ!」

リリナ「子供達にはもう分けてありますから、遠慮しないで下さいね。」

 

 猪人族達は、笑いながら芋を食べていく。

 それをゲルドが見ている中、グルドが話しかける。

 

グルド「ゲルド様?どうなさいました?」

ゲルド「いや。気にせず食べていてくれ。」

 

 グルドがそう話しかけると、ゲルドはそう答えて、どこかへと向かう。

 向かった先にはテントがあり、そこには、魔王ゲルドの木彫り人形が置いてあった。

 ゲルドが焼き芋をお供えして、祈る中、グルド達がやってくる。

 

グルド「ゲルド様。」

猪人族「一緒に食べましょうよ。」

ココブ「フフフ。」

ゲルド「おう。」

 

 グルド達に誘われて、ゲルドはグルド達の方へと向かう。

 すると。

 

魔王ゲルド「しっかり食べて大きくなれ。喜び分け合い強くなれ。」

 

 魔王ゲルドの声が聞こえた気がした。

 その後、リムルが少し不機嫌気味だったが。

 どうやら、トレイニーさんが思わせぶりな事を言ったそうだ。

 それを、俺とシズさんは苦笑していた。

 その後、紫苑、朱菜、ミリム、火煉がお風呂に入っていた。

 

ミリム「ふんぐーったぁ〜。ここは良いなぁ。美味い物がいっぱいあるのだ。」

紫苑「フフン!そうです!凄いのです!」

火煉「何であなたが威張ってるの?」

朱菜「国民一人一人の努力の賜物ですよ。」

 

 四人はそう話して、お風呂から上がる。

 

朱菜「ところで……………実は、栗とお芋を使ったデザートの試作品があるんですが…………。」

ミリム「何と!食べたいのだ!」

紫苑「夜遅くのデザートとは……………なんて罪深い。」

火煉「美味しそうですね。…………ん?」

 

 四人がそう話す中、ある物が視界に入る。

 そこにあったのは、体重計である。

 その横には、俺とリムルの字で別々に、『食べ過ぎに注意ね』と書いてあった。

 その翌日、ドルドが破壊された体重計を見る中、紫苑、朱菜、ミリム、火煉は冷たく暗い雰囲気を醸し出していた。

 

リムル「いやあ……………女の子はそういうの気にするかと……………!」

レイト「良かれと思ってな!な?な?な!?機嫌を直してくれよ〜!」

 

 そんな女性陣に、俺たちはそんなふうに言う。

 それを見ていたシズさんは。

 

シズ「………………無理もないよ。」

 

 そんな風に呟いていた。

 秋の味覚も程々に。




今回はここまでです。
今回は、テンペストの秋の収穫時期のお話です。
そして、前の話で出てきた龍人族のオリキャラであるトートも出しました。
お伝えするのを忘れていました。
次回は、いよいよ本編で、ワルプルギスの開幕と、クレイマンの軍との戦闘が始まります。
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