転生したらキメラだった件   作:仮面大佐

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第2話 大怪盗サトル&ノゾム

 俺とリムルがゼノビア姫を治したその日の夕方。

 修練場では、二人の男が剣を交えていた。

 一人は、アスラン殿下だ。

 

アスラン「ふっ!はあっ!」

配下「ふっ!はっ!」

 

 二人の戦いは激しく、その場にいる人達全員が見ていた。

 すると、アスラン殿下が配下の剣を弾く。

 

アスラン「だいぶ良くなったぞ。精進を続けろ。」

配下「はっ!ありがとうございます!」

???「アスラン殿下!」

 

 アスランはそう労うと、配下はそう答える。

 すると、一人の男が駆け寄ってくる。

 

アスラン「カールか。どうした?」

カール「例の商人を捕らえました。」

アスラン「本当か?」

カール「ええ。これで動かぬ証拠が…………。」 

 

 駆け寄ってきた紫の髪の男は、カールというらしい。

 カールとアスラン殿下はそう話すと、配下の一人が駆け寄ってくる。

 

配下「殿下!」

アスラン「ん?」

配下「申し上げます!ゼノビア姫が…………!」

アスラン「んっ?どうした?何があった?」

配下「突然、病状が回復なさり、視力も戻られたとの事です!」

 

 配下は、アスラン殿下にそう言う。

 それを、柱の影から蒼影が見ていた。

 その夜、俺とリムルは、蒼影から報告を受けていた。

 

蒼影「アスラン王子ですが、自分ならば勝率は五割…………と言った所でしょう。」

リムル「マジか!正直、舐めてたな。」

レイト「紅丸ならどうだ?勝てそうか?」

蒼影「一切の制限が無ければ。」

 

 蒼影の報告に、俺たちはそう反応する。

 紅丸でも、制限が無ければ勝てるとなると、かなり強いな。

 そんな中、リムルが蒼影に聞く。

 

リムル「ふむ……………どんな人物だった?」

蒼影「剛毅で仲間想い。覇者の風格を備えた好青年という印象を受けました。」

レイト「となると……………アスラン派を押すのが正解か?そういえば、パウロはどうしたんだ?」

 

 リムルの問いに、蒼影はそう答える。

 俺はそう言うと、パウロの事を思い出し、蒼影にそう聞くと、蒼影は顔を顰めながら口を開く。

 

蒼影「……………酒場に入るなり、酒とつまみを頼み、リムル様とレイト様の悪口三昧でした。」

リムル「悪口?」

 

 蒼影がそう言うと、リムルはそう聞く。

 蒼影曰く、パウロはこう言っていたらしい。

 

パウロ『ガァ〜キの癖に、生意気だぁ〜!人使いが荒いだけっす!なぁ〜にが我が主達だ!!』

 

 そんな風に言っていたらしい。

 ……………内心、不満だったんだな。

 俺とリムルが呆れていると、蒼影は口を開く。

 

リムル「ほ、ほほう……………?」

蒼影「ですが、そのおかげで疑われてはいません。」

レイト「疑われてないなら、大丈夫か。それなら、俺たちは用事を済ませる。蒼影は引き続き、パウロの監視を頼む。」

蒼影「承知。」

 

 リムルがそう言うと、蒼影はそう言う。

 まあ、怪しまれるよりかはマシか。

 俺がそう言うと、蒼影は移動する。

 俺たちは、アイコンタクトをして、目を閉じる。

 俺の意識は、ゼノビア姫の部屋に居る分身体へと向かう。

 分身体を仕込んでおいて正解だったな。

 この様子だと、ゼノビア姫が回復したのは、知れ渡っているだろうし、何か動きがあるかもしれない。

 ちなみに、箪笥の下に隠れていた。

 しばらくすると、リムルがやってくる。

 俺たちは意識を本体へと戻す。

 すると、視線の先には、嵐牙が居た。

 

嵐牙「ハッハッハッハッ!我が主達よ!怪しい者は近付きませんでした!」

リムル「お、おう……………警護、ご苦労さん……………。」

レイト「ありがとうな。」

 

 嵐牙がそう言う中、俺とリムルはそう言う。

 その後、バラクさん達と食事をする事に。

 食事をする中、バラクさんが口を開く。

 

バラク「それにしても…………フフッ。あの侍医長が悔しがる姿が目に浮かぶわ。」

シフォン「姫様が回復されたならば、あの者の栄華もここまでですわ。」

 

 2人はそんな風に話す。

 あの侍医長、どんだけ嫌われてるんだよ。

 まあ、無理もないが。

 すると、従者がやってくる。

 

従者「旦那様!旦那様!!」

バラク「なんだ?騒々しい。」

従者「ほ、報告します!表玄関に、アスラン王子が訪問されております!」

 

 従者がそう言いながら入ってくるのにバラクさんはそう聞くと、従者はそう答える。

 アスラン殿下が?

 すると、シフォンさんが反応する。

 

シフォン「こんな時間に?」

バラク「ふむ……………目的は、リムル殿とレイト殿であろうな。」

リムル「え?」

レイト「やっぱりか。」

シフォン「なるほど。姫様を癒したリムル様とレイト様に、感謝されておられるのかも。」

バラク「でなければ、敵対派閥である俺の家にやって来たりはせぬだろう。お通しされるが、よろしいかな?」

「「うん。」」

 

 シフォンさんとバラクさんがそう言うと、リムルは首を傾げ、シフォンさんとバラクさんがそう言う。

 まあ、十中八九そうだろうな。

 しばらくすると、アスラン殿下が現れる。

 

アスラン「すまんな。夜分に失礼するぞ。」

バラク「久しぶりだな、アスラン殿下。剣の腕は鈍ってはおらぬだろうな?」

アスラン「はっ!俺に指導した事があるからと、偉そうに申すでないわ。」

 

 アスラン殿下とバラクさんはそんな風に話す。

 すると、俺とリムルを見て、口を開く。

 

アスラン「リムルにレイトと言ったか。妹を救ってくれて、感謝する。」

リムル「おっ……………?」

 

 アスラン殿下はそう言うと、頭を下げる。

 よっぽど、妹さんが大切なんだな。

 周囲の人たちが驚く中、アスラン殿下は口を開く。

 

アスラン「妹も含めて、俺たちは仲の良い兄弟だったんだ。いずれ、兄貴が王になった時、軍務卿になって支えるつもりだった。だが………。」

レイト(いや、いきなりそんな話をされても、対応に困るというか……………。)

 

 アスラン殿下がそう言う中、俺はそう思う。

 流石に突っ込むのは失礼なので、黙っておくが。

 そう思う中、アスラン殿下は話し続ける。

 

アスラン「兄貴……………サウザー王太子は変わってしまったのだ。3年前、病に倒れてからというもの、ゼノビアの病状は悪化を続け、目の光までも失う始末。俺も兄貴も焦ったが、グスタフにもどうしようもないと言われてな。これが本当に病だったのなら、運命だと思えただろうさ。」

バラク「違う……………とでも?」

 

 アスラン殿下はそんな風に話す。

 何かを掴んだのか?

 そう思う中、バラクさんはそう聞き、アスラン殿下は答える。

 

アスラン「バラクよ。近頃、陛下と面会が叶った事があるか?」

バラク「……………いいえ。ございませんな。」

リムル「どういう事なんだ?」

シフォン「国外に情報が漏れぬ様、情報を隠し続けておりますが、国王テドロ陛下も、病に臥せっておられるのです。」

 

 アスラン殿下はそう聞くと、バラクさんはそう答える。

 俺とリムルが首を傾げると、シフォンさんはそう答える。

 国王陛下も病に臥せてるのか。

 そりゃあ、国外に漏れるわけにはいかないな。

 すると、アスラン殿下が口を開く。

 

アスラン「面会が叶うのは、グスタフのみ。あり得んだろう?息子である俺が、父王陛下にお会いできぬなどと……………!」

レイト「確かに……………。」

バラク「そういえば、俺も……………いや、言われてみれば、なぜ今まで陛下に会えぬ事を疑問に思わなかったのだ。」

 

 アスラン殿下がそう言うと、俺はそう呟き、バラクさんはそう言う。

 確かに、言われてみれば妙だ。

 実の息子でさえも、面会出来ないというのは。

 グスタフって侍医長は、何者だ?

 すると、アスラン殿下が口を開く。

 

アスラン「そうだ。それを重臣である貴様らが不自然だと感じておらぬ事こそが、この国の末期的状況を証明しておるのだ!」

バラク「………………。」

 

 アスラン殿下はそう言うと、バラクさんは拳を握る。

 すると、アスラン殿下はとんでもない事を言う。

 

アスラン「何故、今まで黙っていたのが不思議か?なに、簡単な話よ。ゼノビアだけでなく、我が敬愛すべき兄君も、グスタフの手に落ちていたからだ。」

バラク「なっ!?その発言、いかに殿下といえど、聞き捨てなりませんぞ!」

シフォン「アスラン殿下は、サウザー王太子が黒幕だとお考えなのでしょうか?」

 

 アスラン殿下がそう言うと、バラクさん達はそう反応する。

 まあ、当然だな。

 すると、アスラン殿下が口を開く。

 

アスラン「貴様らも考えてみよ。病弱だった兄上が、突然、別人の様に力強くなったのが、3年前だったのだぞ。無関係だとは思えんだろうが。」

リムル『3年前って…………。』

レイト『ああ。ゼノビア姫が病に倒れた時と同じ頃だな。』

 

 アスラン殿下がそう言う中、俺とリムルは、思念伝達でそう話す。

 確かに、無関係とは思えないな。

 すると、アスラン殿下が再び口を開く。

 

アスラン「恥じるでないぞ。貴様達は、そう思い込まされていたのだ。兄上の魅了(チャーム)によってな。」

シフォン「魅了(チャーム)?まさか!?」

アスラン「そうとも。吸血鬼族(ヴァンパイア)の得意技よな。ルベリオス出の仲間に教わった奴らの特性と、驚くほど合致する。」

 

 アスラン殿下はそう言うと、シフォンさんとバラクさんは顔を見合わせ、アスラン殿下はそう言う。

 魅了(チャーム)ね。

 確かに、吸血鬼が使いそうだよな。

 まあ、偏見だが。

 すると、バラクさんが反論する。

 

バラク「ですが、サウザー王太子は陽光の下で平然と活動なさっておられます。」

アスラン「吸血鬼族(ヴァンパイア)の上位種はな、陽光の下でも平気なんだとよ。」

バラク「……………では、アスラン殿下はグスタフ侍医長が吸血鬼族(ヴァンパイア)で、サウザー王太子を眷属にして操っている、とでも?」

アスラン「いや、兄上は真祖の血(ザインブラッド)を投与されて、上位の吸血鬼族(ヴァンパイア)に生まれ変わっているんじゃないか、とな。」

 

 バラクさんが2回ほどそう聞くと、アスラン殿下はそんな風に答える。

 リムルが口を開く。

 

リムル「真祖の血(ザインブラッド)?」

アスラン「俺の古き友……………カールがな、この事件が一国の王位継承権争いなどではなく、魔王ヴァレンタインによる人類防衛圏の破壊工作じゃないかと疑っているのだ。」

シフォン「魔王……………!?」

レイト「話がでかくなってきたな…………。」

 

 リムルがそう聞くと、アスラン殿下はそう答える。

 話の規模が大きくなってきたな。

 魔王が絡んでくるとは。

 吸血鬼の魔王という事か?

 すると、バラクさんが気合を入れる様な表情を浮かべると。

 

バラク「ぬぅぅぅぅぅ!まさか、この俺まで魅了(チャーム)されていたとはな…………!!」

アスラン「ほう。裂破(レッパ)か。見事なり。」

 

 バラクさんはそう言うと、アスラン殿下はそう言う。

 それを見ていた俺は。

 

レイト『技術(アーツ)の類か?』

科学者『是。妖気(オーラ)を巡らせる事で、異物を発見、排除するのが目的の技術(アーツ)だと推測します。』

 

 俺がそう言うと、科学者はそう言う。

 凄いな。

 すると、バラクさんは膝をつく。

 

バラク「……………むざむざと魔の者に手に落ちていた、この愚か者をお許しください。」

シフォン「あなた…………。」

バラク「シフォンよ。俺の手を取るが良い。」

 

 バラクがそう言い、シフォンさんが見ていると、バラクがそう言う。

 シフォンさんが手を取ると、再び裂波(レッパ)が発動する。

 なるほど、手を取れば、他者も可能と言う事か。

 すると、シフォンさんが口を開く。

 

シフォン「私たちも魅了(チャーム)されていたから、今まで言い出せなかったのですね。」

バラク「もっと早く打ち明けていただければ……………。」

アスラン「…………証拠を得るまで言い出せずにいたのだ。」

バラク「決定的な証拠もあるのですな?」

アスラン「真祖の血(ザインブラッド)をグスタフに売ったという闇商人を、カールが捕まえている。奴の証言があれば。」

バラク「おお……………!」

 

 シフォンさんとバラクさんがそう言うと、アスラン殿下はそう答える。

 証拠もあるのか。

 というより、物事がかなり進みすぎじゃないか?

 怖いな。

 すると、アスラン殿下は俺たちに話しかける。

 

アスラン「リムル殿、レイト殿。改めて、感謝する。」

リムル「あはは……………。」

アスラン「貴殿らの薬があれば、ゼノビアが吸血鬼族(ヴァンパイア)にならずに済むだろうからな。」

バラク「王女殿下は、吸血鬼族(ヴァンパイア)にはなっていなかったという事ですな。サウザー王太子も、王女殿下を溺愛しておられましたからな。」

アスラン「俺もそう思いたい。ともかく、優先すべきは、逆臣グスタフを討つ事よ。」

バラク「このバラク、微力ながらお力添えさせていただきたく存じます。」

アスラン「期待しているとも。準備が出来次第、王宮へ攻め込む。グスタフを討ち、ゼノビアを救い出す!」

 

 アスラン殿下は俺たちに礼を言うと、バラクの質問に答える。

 随分と物事が進んでいるよな。

 その後、当てがわれた部屋に戻り、分身体の方へと意識を飛ばすと。

 

レイト『っ!?寒気がする!?』

科学者『告。圧倒的なエネルギー量に反応しています。暴風大妖渦(カリュブディス)には劣りますが、豚頭魔王(オークディザスター)に匹敵しています。単独で戦うのは避けるべきかと。』

レイト『なるほどな……………。ちなみに、少し探ると?』

科学者『告。この場で解析鑑定を試みた場合、こちらの存在がバレる確率が80%以上ですが、実行しますか?』

レイト『やめておこう。面倒な事になりそうだ。』

 

 俺が寒気に驚いていると、科学者はそう報告する。

 マジか……………。

 人間の国だから、下手にキマイラやらダイモンに変身すると、バレるだろうからな。

 無闇には動けないな。

 すると、リムルから思念伝達が来る。

 

リムル『レイト、これ、やばくね?』

レイト『確かに…………ひとまず、様子を見よう。』

リムル『だな。』

 

 俺とリムルはそう話すと、リムルは上に向かい、俺は箪笥の影から覗く。

 すると、ゼノビア姫に話しかける人がいた。

 恐らく、サウザー王太子だろう。

 

サウザー「ゼノビア!アスランが君を苦しめていたのに、私には何も出来なかった。不甲斐ない兄を許してくれ。」

ゼノビア「いいえ、大兄様。大兄様は何も悪くありませんわ。」

 

 サウザー王太子とゼノビア姫がそう話していた。

 すると、リムルが話しかけてくる。

 

リムル『なあ、大兄様って言ってるということは……………。』

レイト『彼がサウザー王太子だろうな。』

 

 リムルがそう言うのに、俺はそう答える。

 サウザーと聞くと、仮面ライダーサウザーの方しか浮かばないな。

 そう思っている中、2人の会話は続く。

 

ゼノビア「それに、アスラン兄様のせいだと決まったわけでも……………。」

サウザー「いいや。アイツが犯人に決まっているさ!グスタフも言っていたがね、アイツは自由組合(ギルド)を抱き込み、我が国に薬が届かない様にしていたのだ!もう何も心配はいらないから、今日はゆっくりと休むが良い。」

ゼノビア「はい。ご心配をおかけしました。」

サウザー「構わないとも。」

 

 ゼノビア姫とサウザー王太子がそんな風に話す。

 妹想いの兄貴という感じだが。

 まあ、自由組合(ギルド)を抱き込むというのは、間違いないな。

 懐柔して、反旗を翻したわけだし。

 部屋からサウザー王太子が出て行くと、とんでもない妖気(オーラ)を纏っている事に気づく。

 なるほど、妹の前で妖気(オーラ)を抑えていたのか。

 俺は、外の様子を伺う。

 

サウザー「ゼノビアが回復した今、遠慮はいらん。アスランと奴を支持する者どもを根絶やしにしろ。」

配下「はっ!」

 

 サウザーは、配下にそう言う。

 色々と、引っかかる点があるな。

 互いが互いに犯人だと思っている様だし。

 とはいえ、このままだと二つの勢力が全面戦争を始めるぞ。

 すると。

 

ゼノビア「……………そこに居るのは、どなたかしら?」

リムル「えええっ!?」

レイト「えっ!?」

 

 ゼノビア姫がこちらを見ながらそう言う。

 いつからバレたんだ!?

 俺とリムルが慌てていると。

 

ゼノビア「ああ、昼間来て下さった方達かしら。リムル様にレイト様と……………。」

リムル「違います!!」

ゼノビア「あら?でしたら、あなた達のお名前は?」

レイト「ええっと……………。ノゾムです。」

リムル「お、俺は、サトルです。」

 

 ゼノビア姫がそう言う中、リムルがそう叫び、俺たちは咄嗟にそう言う。

 

ゼノビア「そう……………サトルさんとノゾムさんとおっしゃるのですね。」

リムル「は、はい……………。」

レイト(疑われてるか?)

 

 ゼノビア姫がそう言う。

 俺とリムルは意を決して、ゼノビア姫の側による。

 

ゼノビア「まあ!その姿も可愛いですわね。」

リムル「ええっ!?あの……………俺はスライムでして、そのリムルさんとは関係ないので……………。」

レイト「ええっと……………。」

ゼノビア「とても優しそうなおじさまとお兄さんですね。そういう事にしておきますので、私のお願いを聞いてくれませんか?」

レイト「お願い?何ですか?」

 

 ゼノビア姫がそう言う中、リムルが言い訳をしていると、ゼノビア姫はそう言う。

 おじさまにお兄さんって、俺たちの前世が分かっている様な口ぶりだな。

 

ゼノビア「私は目が見えなくなりましたが、その代わりに、人の魂の形が見える様になったのです。」

レイト「人の魂の形?」

ゼノビア「ええ。サウザー大兄様やアスラン兄様は、泣き叫んでいる少年の様。とても優しい方々なのです。」

 

 ゼノビア姫がそう言うと、俺はそう聞き、ゼノビア姫はそう言う。

 となると、2人とも犯人とは思えないな。

 というより、人の魂の形が分かるという事は、先ほどの発言にも納得が行く。

 そんな中、ゼノビア姫の話は続く。

 

ゼノビア「それに比べて、グスタフ侍医長は怖い方。とてもドロドロしていて、薄紫の闇の様。」

科学者『告。彼女の権能は、ユニークスキル、夢想家(ネガウモノ)。魂の形、つまり、人間の本質を見抜く能力です。』

レイト『……………やっぱりか。』

 

 ゼノビア姫がそう言う中、科学者からの報告に、納得がいく。

 恐らく、ああ呼んだのは、俺たちの前世の姿を垣間見たからだろう。

 という事は、グスタフ侍医長が黒幕の可能性が高いという事か。

 というより、俺の悪魔を見るのと似たような能力だな。

 すると、リムルが口を開く。

 

リムル「だったらそれを……………。」

ゼノビア「言えませんわ。私がそれを口にしてしまえば、お兄様達が危険ですもの。」

レイト「危険?どういう事だ?」

ゼノビア「父王陛下は、私が倒れてから一度もお見舞いには来ては下さいませんでした。昔から、あの方はご自分の事にしか興味がないのです。そして、グスタフ侍医長は父王陛下の腹心。」

リムル「つまり、グスタフが国王からの命令で動いていると?」

ゼノビア「はい。……………っ!隠れて!そして、気配を消して下さいませ!」

レイト「っ!?」

 

 リムルがそう言うと、ゼノビア姫はそう答える。

 最低な父親だな。

 すると、ゼノビア姫がそう叫ぶので、俺とリムルは隠れる。

 扉が開かれると、グスタフ侍医長が現れる。

 あいつ、何しに来た?

 

グスタフ「……………ふっ!」

 

 すると、グスタフ侍医長は何かの魔法を発動する。

 何をしているんだ?

 

科学者『告。幻覚魔法、睡眠誘導(スリープダウン)です。対象を眠らせる効果だけですので、殺意はないと推測されます。』

 

 科学者はそんな風に報告する。

 ただ眠らせるだけか。

 何でそんな魔法を?

 

グスタフ「今回復されるのは、時期尚早。あのお方の為にも、もっと魂を磨き上げておかねばならぬ。」

 

 あのお方?

 グスタフがそう言うのに、俺は首を傾げる。

 グスタフの言うあのお方とは、誰のことだ?

 国王か、はたまた別の存在か。

 俺とリムルが前に出ようとすると。

 

ゼノビア『ダメですわ!』

「「っ!?」」

グスタフ「ん?今何か……………いや、気のせいか。」

 

 ゼノビア姫のそんな声が聞こえてきて、俺たちは下がると、グスタフはそう言う。

 俺たちの気配に気付いたという事か。

 危なかったな。

 グスタフの奴、侮れないな。

 すると。

 

ゼノビア『その通りですわ。大兄様の今の強さも、恐らく、侍医長によって与えられた物。』

 

 ゼノビア姫は、思念伝達と思われる方法で話しかける。

 アスラン殿下の推測は当たっていたという事か。

 すると、ゼノビア姫が口を開く。

 

ゼノビア『ですので、おじさまとお兄さんに兄様達をお救い頂きたいのですわ!』

 

 ゼノビア姫はそう頼み込む。

 どうしたものか……………。

 すると、何かの記憶が流れ込む。

 それは、かつてのアスラン殿下、サウザー王太子、ゼノビア姫の記憶だった。

 俺とリムルは、アイコンタクトをすると、口を開く。

 

リムル『ダメだね。』

ゼノビア『やはり……………。』

レイト『どうせ救うなら、あなたも一緒だ。』

ゼノビア『ああ……………!』

リムル『全力を尽くすよ。』

ゼノビア『本当に、優しいお方達ですね。』

 

 俺たちはそう話す。

 やっぱり、放っては置けないからな。

 すると、紫色の光が出てくる。

 グスタフ侍医長の手から出ていた。

 グスタフ侍医長が口を開く。

 

グスタフ「ふっ。あの小娘どもも呼び出して、生贄にしてやる……………!」

 

 グスタフ侍医長がそう言うと、そのまま部屋から出て行く。

 誰が小娘だ。

 俺は立派な男だっつうの。

 精神は。

 性別不明だし、俺。

 その後、分身体から意識を離し、俺たちは一旦、魔国連邦(テンペスト)へと戻り、紅丸と蒼影を呼ぶ。

 

紅丸「……………アスランとサウザー。両王子を争わせて、グスタフという奴に何の徳があるのです?」

リムル「ゼノビア姫の考えでは、国王の命令なんじゃないかという話だが……………。」

レイト「今重要なのは、二つの勢力の全面戦争を止める事だ。」

紅丸「それで、いつ出向きますか?」

レイト「………………ふむ。」

 

 紅丸がそう聞く中、俺とリムルはそう答える。

 紅丸の質問に考えていると。

 

科学者『告。明日には動きがあると予測します。』

レイト『やっぱりか。』

科学者『是。個体名グスタフが、ゼノビア姫に呪いをかけていました。これによって、体調が崩れた責任を……………。』

レイト『俺とリムルになすりつけて、俺たちを呼んだアマディ侯爵家に責任問題をでっち上げる。そして、準備万端のサウザー派閥が、アスラン派閥を叩き潰すという事か。』

 

 なるほどね。

 グスタフが俺たちを生贄にしようとか言っていたから、何かを召喚する為に俺たちを利用しようとしているというわけか。

 俺とリムルは頷き合い、口を開く。

 

レイト「明日だ。紅丸、お前にはアスラン王子の足止めをお願いしたい。」

紅丸「お任せを。」

リムル「蒼影。お前にはバラクさんを任せる。説得に応じれば良いが、そうでなければ、力づくで押し止めてくれ。」

蒼影「御意。」

レイト「嵐牙は、アマディ侯爵家の守りを頼む。奥方や家人に被害が及ばぬ様、しっかりと守ってやってくれ。」

嵐牙「承知!我にお任せを!」

 

 俺たちはそう命じる。

 すると、紅丸が話しかける。

 

紅丸「それで、リムル様とレイト様は何を?」

リムル「俺?」

レイト「俺たちは野暮用を済ませるさ。」

 

 紅丸がそう聞くと、俺たちはそう答える。

 一方、コリウス王国では、ある建物の上に、フードを被った女性がいた。

 

???「どうなっておる……………?どうしてあの者達が事件に巻き込まれておるのじゃ…………。面倒じゃな。何事も起きぬ様に、放置するのが正解なのやもしれんが、妾がここまで来てしまったという事実こそが鍵となっておる可能性もある。……………まあ、様子見じゃが、我らに罪をなすりつけようとしている者は、この際だし、状況次第では仕置いてやろう。ふっ。」

 

 その女性は、そう呟く。

 その翌朝、予想通りに、俺たちは拘束されていた。

 

バラク「侍医長殿!これは一体…………!?」

グスタフ「その者達が持ち込んだ怪しげな薬のせいで、姫殿下は眠り続けておるのだ!ああ、おいたわし……………貴様、この責任、どう取るつもりじゃ!!」

 

 バラクさんがそう言うと、グスタフ侍医長はそう言う。

 薬じゃなくて、ただのはちみつだ。

 そう指摘するのも億劫なので、無言を貫く。

 俺たちは牢へと入れられる。

 だが、既に意識は分身体の方へと移っている。

 

リムル「よし。これでアリバイが出来たな。」

レイト「あとは、動くだけだ。」

 

 俺とリムルはそう呟いて、意識をゼノビア姫の部屋に居る分身体へと移す。

 すると、ゼノビア姫が反応する。

 

ゼノビア『まあ!本当に来て下さったのですね!』

リムル『当然だろう?約束したからな。』

レイト『さてと。』

 

 ゼノビア姫とリムルがそう話す中、俺とリムルはアイコンタクトをして、外に出て、姿を変える。

 リムルは前世の姿をベースに、俺は大谷希望を模した姿になる。

 従者は2人か。

 すると、気付いたのか、俺たちの方を見る。

 

従者「なっ!?怪しい奴!?」

従者「まさか、姫様を狙った刺客では……………!?」

リムル「操糸妖縛陣!」

 

 従者がそう言う中、リムルは操糸妖縛陣を発動して、従者を拘束する。

 俺は、ゼノビア姫をお姫様抱っこの要領で抱える。

 

レイト「それじゃあ、姫様は預かりますね。」

従者「ま、待ちなさい!」

従者「失敬な!何者なのです!?」

リムル「待てと言われて待つ泥棒が居ないように、何者かと問われて答える不審者もいないだろう?だけど、俺は優しいから教えてやろう。俺は大怪盗リ……………サトルだ!」

レイト「ちなみに、俺は大怪盗ノゾムだ。」

 

 従者達がそう言う中、俺とリムルはそう言う。

 ボロを出しかけたな。

 

従者「リサトルにノゾム?」

リムル「違います!サトルです!大怪盗サトルね!そこんところ、間違えないようにね!」

レイト「それじゃあな。」

従者「あっ!」

 

 従者がそう呟くと、リムルはそんな風に叫ぶ。

 やれやれ。

 俺たちは、王宮から脱出する。

 すると、ゼノビア姫が聞いてくる。

 

ゼノビア『あの…………大怪盗というのは、何でしょう?』

リムル「……………ノリです。」

レイト「乗っかっただけです。」

ゼノビア『はぁ……………ですが、何も言わない方が良かったのでは?』

レイト「ぐうの音も出ないな。」

リムル「あははは……………違いますとも!情報撹乱の為に、偽情報を流したのです。」

 

 ゼノビア姫の質問にそう答えると、正論を返す。

 俺がそう言う中、リムルはそう言う。

 その夜、アスラン派閥は、準備を終えていた。

 その中には、パウロの姿もあった。

 すると、バラクもやってくる。

 

バラク「集まったようだな。」

アスラン「ああ。行くぞ!」

冒険者「おう!」

 

 バラクとアスランがそう言うと、冒険者達がそう言う。

 そこに、紅丸と蒼影がやってくる。

 2人に気づいた冒険者が口を開く。

 

冒険者「何だ、テメェら!」

パウロ「おいおい!まさか、邪魔しようってのかい?俺たちを舐めてると痛い目を見るぜ。へへっ!どこの誰だか知らんが、この俺!空拳改め、棒将のパウロ様が相手をしてやる!命が惜しければ黙って……………っ!?」

 

 冒険者がそう言う中、パウロはそんなふうに言う。

 だが、言葉は最後まで続かなかった。

 何故なら、蒼影にフルボッコにされたからだ。

 パウロは近くの建物の壁に激突して、そのまま落ちてくる。

 それを見ていた紅丸は。

 

紅丸「………………やりすぎだろ?」

蒼影「こいつは大将達の悪口を言っていたからな。少々お仕置きしてやったのさ。」

紅丸「なるほど。それなら文句はないな。」

 

 紅丸がそう言うが、蒼影の言葉にすぐにそう言う。

 すると、冒険者達が叫ぶ。

 

冒険者「テメェら!良い度胸じゃねぇか!!」

冒険者「おらぁ!パウロを倒したからって、良い気になってんじゃねぇぞ!!」

 

 2人の冒険者がそう言う。

 すると、アスラン殿下とバラクさんが入る。

 

アスラン「やめろ、お前ら。」

バラク「君達では、その者どもに勝てぬ。」

アスラン「どうせ、逆臣グスタフが雇った刺客だろうが……………邪魔をするなら容赦せん。」

紅丸「刺客ではないが、邪魔はさせてもらう。」

アスラン「このあと用事があるものでな。悪いが、貴様と遊んでいる暇はないんだ!!」

 

 アスラン殿下とバラクさんがそう言うと、紅丸はそう言う。

 紅丸とアスラン殿下は、それぞれの剣を抜いて、ぶつかっていく。

 バラクさんは蒼影に話しかける。

 

バラク「……………君だね?我が家の周辺を監視していたのは。」

蒼影「ほう?気づいていたか。」

バラク「認めるか!」

 

 バラクさんはそう聞くと、蒼影は否定せずにそう言う。

 バラクさんも剣を抜いて、蒼影に向かって行く。

 紅丸とアスラン殿下、蒼影とバラクさんの戦いは、互角に進んでいた。

 それを見ていた冒険者たちは。

 

冒険者「す、すげぇ…………!?」

冒険者「俺たちが入る隙なんてねぇぞ…………!?」

冒険者「あの男、強い……………!」

冒険者「あっちもだ!無双のバラクさんを相手に、互角に戦ってやがるぜ!」

 

 冒険者たちはそんな声を出す。

 

アスラン「ハァァァァァ!」

 

 アスラン殿下はそう叫び、紅丸と剣をぶつけていく。

 紅丸は。

 

紅丸「ちっ。(思ってた以上にやるもんだ。大将達が来る前に決着をつけたかったが、剣だけでは難しいか!)」

 

 そんな風に思い、アスラン殿下に攻撃して、アスラン殿下は回避する。

 

紅丸(蒼影からは聞いていたが、こいつの実力は本物だったか。それよりも俺の実力を蒼影に測られていたのが嫌になるね。)

 

 紅丸はそう思いつつも、笑みを浮かべる。

 それを見たアスラン殿下は。

 

アスラン「何がおかしい?」

紅丸「ふっ。いや、お前が強いから少し嬉しくなったのさ。」

アスラン「ぬかせ!」

 

 アスラン殿下がそう聞くと、紅丸はそう答える。

 2人は、戦闘を続行する。

 蒼影とバラクさんは、蒼影が傷だらけになるも、鍔迫り合いをする中、苦無で攻撃して、バラクさんは回避する。

 

蒼影「ふっ。確かに強いが、俺の敵ではないな。」

バラク「なっ!?何をほざく!貴様は満身創痍ではないか!」

 

 蒼影がそう言うと、バラクさんはそう叫ぶ。

 すると、蒼影は煙を出す。

 煙が晴れると、傷がない蒼影が現れ、バラクさんは驚く。

 

バラク「なっ!?」

蒼影「俺は分身を得意としている。本来なら複数の分身体で相手をするのだが、貴殿に敬意を表して、一対一のままで戦ってやろう。」

 

 バラクさんが驚く中、蒼影は分身体をまとめながらそう言う。

 それを見たバラクさんは。

 

バラク「卑怯な…………。俺の…………負けだ。」

 

 バラクさんは膝をつきながらそう言う。

 一方、紅丸とアスラン殿下は。

 

アスラン「くっ!」

紅丸「仲間は降参したぞ。どうする?」

アスラン「くっ……………!勝負は、これからだ!」

紅丸「うぉぉぉぉぉぉ!!」

アスラン「でやぁぁぁ!!」

 

 アスラン殿下は、バラクさんが降参したのを見て、紅丸はそう聞くが、アスラン殿下はそう言いながら、紅丸の方へと向かって行く。

 すると。

 

リムル「紅丸ー!蒼影ー!」

レイト「待たせたな!」

 

 そこに、俺たちが向かって行く。




今回はここまでです。
今回は、コリウスの夢の第二話です。
コリウスの夢のストーリーも加速していきます。
コリウスの夢のストーリーは、あと1話で終わります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
魔王達の宴の方も、クレイマンとの戦いがまもなく決着がつきます。
それが終われば、電王編、紅蓮の絆編に入っていきます。
今後の展開でリクエストがあれば、活動報告にて承っております。
転スラの三期が楽しみです。
1月30日には、転スラの三期の情報が来るみたいですし。
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