TS遊城十代ちゃんとエンタメすこすこ転生者   作:難攻不落顕如盤石岩山破竹

2 / 3

評価や感想がいっぱい来てて嬉しかったから続き書いちゃった。
でもデュエル描写入れたら、軽く2万文字超えそうだと思ったから分けざるをえなかったや。

できたら3─も投稿する。



2─幼馴染と試験に向かっていた転生者

 

 

オレの名前は遊城夏名(ゆうきなつな)

前世の記憶を持った転生者である。

 

 なんて大仰に言ってみたが、実際には寝て起きたらいつの間にか座敷わらし─────遊戯王の《屋敷わらし》ではなく一般的な妖怪の方─────みたいな子供の姿になっていて、人生再走を強制させられただけの元三十路近くのおじさんだ。

 転生した先も剣と魔法のファンタジーな異世界とかじゃなく、前世と文明レベルの近い現代社会である。

 そういった異世界モノに多少なりとも憧れがあった身としては、割と悲しく思ったもんだ。

 

 ただこの世界が現代社会と言っても、前世のような普通の世界とは少し違う。

 

 ココはなんかやたらと遊戯王に関して力の入った、()()()()()()()()みたいな異世界だった。

 

 街を見渡せばそこら中で誰もがデュエルしてるし、そのだいたいが腕にデュエルディスクとかいう超テクノロジーの塊、どこでもデュエルマシンを装着している。

 カードショップはビルの屋上や裏路地、果ては最北端の地や南方孤島の一部にさえと数え切れないほど乱立されており、カードの製作会社は厳重な審査を通らなければならない都合上、ショップほどではないとはいえ、全国に大・中・小様々な企業が建っている。

 

 他にも、前世の世界じゃあ遊戯王はカードゲームの一種に過ぎなかったが、この世界ではデュエリスト養成校が普通に存在したり、全国共通の国際競技扱いを受けていたり、歌いながらデュエルするアイドルがいたり、ソリッドビジョンとかいう前世じゃ夢の技術に値しそうなモノが、平然と市販のデュエルディスクに使われていたりと、世界中で力の入りようが凄まじい。

 

 転生したてホヤホヤの頃は、ホントビックリしたもんだ。

 スマホで自分の情報を整理しながら公園のベンチでアイスかじってると、いきなり広場の方にデカイドラゴンが現れたりしたんだから………あの時は思わず『シンフォギアみたいな異世界かよ?!』とか勘違いして一目散に逃げて変な目で見られたなぁ。

 

 家に帰って早々、ニュースとか化け物に関する目撃情報を調べて、『ほえ~、あれってソリッドビジョン…3DCGなんだ……エ゛ッ、遊戯王!? カードゲームが世界中で大人気!? デュエルで学ぶ人生論!?』っていろいろと勘違いしてたことに気付いて大慌てしたりもした。

 

 そんなオレも今年で16歳、高校受験の時期である。

 遊戯王至上主義の世界だからか、現代は学歴社会というよりはデュエル歴社会。

 前世ではそこそこやっていたおかげで、オレのデッキ構築力や戦術面は問題なし(モーマンタイ)だった。

 

 だから余裕だろうと高を括ってデュエルしてみたら、それはもう負けに負けた。

 

 この世界の連中、奇跡のドローとか最後のドローとか『これがみんなとの絆の力だ!』とか言って平然と不思議パワー使って逆転してくるんだもんよ……一部の連中に至っては手札がゼロの状況からでもやってくるんだから、そりゃ勝てるわけがない。

 そんなこんなで悲しいくらいボロクソに負け続けたので、諦めて学歴でなんとか頑張ろうとしたものの、紆余曲折あり敗北続きだったデュエルの方が解決しちゃった結果、幼馴染に引きずり込まれてデュエリスト育成校として名高いデュエルアカデミアを受験する事になった。

 今日はその大事な実技試験の日であり、筆記試験のほうは2週間ほど前に終了している。

 

 んで、そんな大事な日にオレは──────全速力で走っていた。

 

 

「フッ、フッ、フッ!」

 

 

 一定のリズムで息を吐いて、街中を駆けていく。

 

 

「おい十代(とよ)急げ! さっさとしないと試験に遅れるぞ!」

「速すぎるよナナ~!」

 

 

 時折後ろを振り返っては立ち止まり、一緒に試験会場へと向かっていた(くだん)の幼馴染、遊城十代(ゆうきとよ)へと発破をかけていた。

 

 

「うぅ~っ、遅れる遅れる、遅れちゃう~!」

「だから1本早めに行こうって言ったのに。ギリギリまで寝てるからだぞ?」

「昨日は夜中までデッキの調整が大変だったの~!」

「活躍させたい《HERO》が多いのはわかるが、ちゃんと40枚には絞ってきたんだろうなぁ」

「その辺は大丈夫~! ちゃんとわかってたよ~!」

「ならばよし。さっ、サクッと行くぞ!」

「ひぇ~!」

 

 

 並び始めたのを確認してから、オレも再び走り出す。

 隣でなんか嘆きの声が聞こえるが、こればっかりは仕方がない。

 

 

「もぉ~! こんな大事な日に限って、電車が遅れるなんてぇ~!」

「ついてないとしか言いようがないな。ま、神様が与えた試練だとでも思うことだ!」

「エキサイティング! こんな試練はいらないよ~!」

 

 

 同感だ。

 念の為遅延証明は貰ってきているものの、こんなことで試験の評価を下げられちゃたまったもんじゃない。

 

 今日は()()()()の晴れ舞台なんだからな。

 

 

「ガ~ッツ! 待っててよデュエルアカデミアぁ~!」

 

 

 オレの方が足が速いからか、またもや後ろの方へと下がっていった十代のヘンテコな掛け声が聞こえてくる。

 

 

「ちゃんと前見て走れよ~!」

 

 

 それなりの速度で走ってる都合上、易々(やすやす)と背後へ振り向くことはできないが、それでも十代が上か下を向いて叫んでることはわかったので注意を促しておく。

 

 促しておいたんだが………。

 

 

「わかって────うわぁ! 危ない!」

 

 

 ちょっと遅かったみたいだ。

 案の定、誰かにぶつかったらしい。

 

 右足だけで急旋回して、急いで十代の元へと向かう。

 

 

「いてて…あぁ! カードが!」

 

 

 現場にはカードが散乱しており、そのどれもが十代の物だった。

 ぶつかられた側は特に怪我も尻餅も着いてないようで………どうやら相当なデュエルマッスルをお持ちの様子である。

 

 しかしそれとこれとは話が別だ。

 

 

「大丈夫ですか? すいません、ウチの連れが……ほら、お前も」

「ご、ごめんなさい! ちょっと急いでて!」

「大丈夫さ」

 

 

 十代と一緒に頭を下げると、髪型が特徴的(ヒトデ)なお相手は穏やかな声で手を横に振ってくれた。

 よかった、これで喧嘩になってデュエルだ! とかになってたら絶対試験に間に合わないとこだった。

 

 オレと十代はもう1度頭を下げてから、急いでカードを集め始める。

 

 

「キミ、デュエルをやるのかい?」

「うん、デュエルアカデミアを受験するんだ! 今日は実技試験なんだよ!」

 

 

 密かに胸をなでおろして、散らばったカードの土埃を払いながら集めていると、さっきのヒトデ髪の人から声をかけられる。

 それに対して間初入れず正直に話せる十代、さすがのコミュ力だなぁと感心を覚える。

 ……別にオレがコミュ障ってわけじゃない。

 この世界の人達が基本的にみんな純粋(デュエル脳)でイイ人達ばかりなのはわかってるんだが、残念ながら前世でそれなりに磨いてきた、社会人としての感覚がなかなか抜けないだけだ。

 

 

「えっへへ……っ! あ、あなたは…」

 

 

 誰に向けたわけでもなく心の中で弁明していると、ヒトデ髪の人の顔を見た十代の顔が驚愕に染まる。

 

 えっ、なに、もしかしてこの人、有名人だったりするの? 

 その割には随分と周りは静かだけど………もしやこの髪型なのは変装だったりするのか…。

 

 

「ラッキーカードだ。コイツがキミのところへ行きたがっている」

「え?」

「頑張れよ」

 

 

 驚いたまま固まっているオレを一瞬見て、同じく固まっていた十代へと1枚のカードを渡した後、ヒトデ髪の有名人は激励とともに去っていく。

 

 

「あっ、はい! あ、あの…ありがとうございました!」

 

 

 深々と頭を下げてお礼を告げる十代に対し、少し振り返りながらグッドラックとジェスチャーだけして再び去っていくイケメン有名人。

 

 なにあの人、英国仕込みの伊達男か? めっちゃカッコいいじゃん。

 実はほんのちょっぴりヤベェ髪型してんなぁ、とか思ってたのが申し訳なくなってくる。

 思わずオレも頭下げちゃったよ、お礼とは別の意味でだけど。

 

 

「《ハネクリボー》……可愛いなぁ」

 

 

 しばらくして去っていったイケメン有名人の背中を眺めていた十代は、次にカードを眺めてウットリとしだす。

 ………有名人らしき人物からカードを貰って嬉しいのはわかるが、如何せん時間がマズイので、集め終えたカードで肩を叩いて時計のある塔を指差した。

 

 

「悪いがさっさと行かないと、そろそろマジに時間ギリギリだぞ」

「あぁ~っ! やばい!!」

 

 

 本気で時間に余裕がない事を知った十代が、急いでカードを受け取りケースに突っ込んで1人走り出していく。

 少しの間だけ、オレはそれを見送るようにジッと背後を見つめる。

 

 

『クリクリ~』

 

「…《ハネクリボー》、ね」

 

 

 カードから精霊が現れ、十代の周囲を舞う様子を眺めながら………オレはイケメン有名人が去っていった方向を一瞬だけ見つめて、十代を追うように走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ、危なかったぁ~。ほら、あの人ですよお師匠様、かなり前に話した…』

『ふむ、未だ力に呑まれている様子もない。余程強靭な鍛錬を積んできたと見える』

『でも大丈夫かな、《ハネクリボー》……イジメられないといいけど…』

 

「大丈夫、力があるだけで本当に悪い奴ってわけじゃない。きっと《ハネクリボー》にも良くしてくれるさ……おっと、()()()()()みたいだから速く行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、そろそろ時間か。よし、受付(ココ)は片付けて中へ───」

 

「待ってぇー!!!」

 

 

 十代と一緒になってガサガサと草むらをかき分け、フェンスへと手をかけ登り顔を出す。

 

 

「受験番号101番、遊城十代! セーフだよね?」

「同じく受験番号4番、遊城夏名です。電車の事故で遅れ気味にはなりましたが、只今到着致しました」

 

 

 どうしてそこから現れたんだと言わんばかりの視線を、受付の人達から向けられる。

 

 最短ルートがここしかなかったんです。

 二人して葉っぱまみれだが、そんなことを気にしている余裕もなかったし、おかげでギリギリ間に合ったんだから文句も言えなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、無事に受験番号と名前の確認を済ませて入場を許可されたオレ達は、試験会場の受験生席へと案内された。

 

 

「おぉ、やってるやってる!」

 

 

 そう言って十代が覗き込んだ会場では、今まさに4組の実技試験が行われていた。

 誰もが入学をかけた試験デュエルということもあり、熱い戦いを繰り広げているのがわかる。

 中でも一際目を惹かれたのは、白い制服の受験生だった。

 

 

 試験官 LP / 1900

 白い制服の受験生 LP / 3200

 

 

「如何に優秀な君でも、この超守備デッキの前に私のライフポイントをこれ以上削ることはできない」

 

 

 試験官のフィールドには守備力2000超えのモンスターが2体、伏せカードはなし。

 白い制服の受験生の前には攻撃力1900のノーマルモンスターが1体で、1枚の伏せカードがある。

 

 前世で遊戯王を少しでもかじっていれば、この程度の状況でライフポイントを削れないなんて発言は間違っても飛び出さないわけだが、この世界の遊戯王はモンスターのステータス至上主義が主流となっている。

 つまり攻撃力、守備力の高さこそがデュエルの勝敗を左右すると思われている節があるという事だ。

 

 到底考えられないことだが、現状を知ってしまえば無理もないと思う。

 なにせこの世界の年号は未だ平成初期から中頃。

 当然シンクロやエクシーズ、ペンデュラムやリンクなどの多様なエクストラのカードは存在せず、唯一存在しているのは融合モンスターのみ。

 その融合モンスターですらまともな効果持ちは数が少なく、おまけに一線級で使える魔法(マジック)(トラップ)もあまりに少ない。

 

 付け加えて言えば、様々な効果のカードが無数にあるにも関わらず、デュエル中はモンスター効果や魔法・罠の効果が処理されてからでないとわからない。

 それ以外で知ろうと思うなら、無数に存在するカードテキストを1から覚えないといけないとかいう……もはや何かの苦行かと、ある意味でステータスが至上主義になるのも必然と言えるだろう。

 

 しかし、ここは天下のデュエリスト育成校の実技試験会場。

 いるところにはちゃんといるもんだ……ステータス至上主義の思想に捉われない、彼のようなデュエリストが…。

 

 

「罠カード《破壊輪(はかいりん)》発動!」

「んなっ!?」

「この罠カードは、フィールド上に表側表示で存在するモンスターを1体破壊し、お互いにその攻撃力分のダメージを受ける」

 

 

 試験官 LP / 1900→LP / 0

 白い制服の受験生 LP / 3200→LP / 1300

 

 

 1つのデュエルフィールドにて大きな爆発が起こり、爆風に呑まれた彼らのライフが削られる。

 ソリッドビジョンだから実害はないものの、何故か離れているはずのオレにさえも風が届いているかのような錯覚を感じるほどの技術。

 相変わらずこの世界の遊戯王に対する情熱は凄まじいと感じられる一瞬だった。

 

 同時に、白い制服の受験生(かれ)の勝利が決まった瞬間でもある。

 

 

「試験デュエル終了。おめでとう、君の勝利だ」

「ありがとうございました」

 

 

 つか《破壊輪》の野郎、エラッタ前の効果かよ。

 よかったエラッタ後のカードまだ使ってなくて、危うく文句言われるところだったぞ。

 

 

「あの1番の人、綺麗なコンボだったね」

「確かに見事なコンボだったなぁ。デッキを上手く組んでる証拠だ」

「────そりゃそうさ。受験番号1番、つまり筆記試験第1位の三沢くんだよ?」

 

 

 背筋に嫌な汗をかきながら十代とさっきのデュエルに関して話していると、横から水色髪で毛量の権化みたいな背の低い子に声をかけられた。

 

 こちら側にいるって事はおそらく受験生なんだろうが……凄いな、毛量で補っているものの十代の胸辺りまでしか身長がない、まさに合法ショタか。

 顔はちと幼いが成長次第では悪くないと思える顔立ちだし、前世の姉貴が見たら女王気質でマゾ豚にでも変えてしまいそうだ。

 

 ……待てよ? 受験番号1番、つまり筆記試験第1位………。

 

 

「あっ、受験番号ってそういう意味だったんだ」

「…………なるほど、お前はオレが勉強を教えたにも関わらず101番目だったって事だな?」

「ギクッ!!」

 

 

 目元が引くつくのを感じながら、満面の笑みで十代の肩に手を置く。

 お前はそういう奴だったんだな? と問いかけるように。

 

 

「で、でもほら! 筆記の試験なんて飾りみたいなものだから! それにほら、筆記ができなくても実技の試験なら誰にも負けない自信があるから! だから大丈夫だよ!」

「……ったく、そんなんで合格できんのかよ…」

 

 

 焦って手をわたわたしだす十代を見て怒りの気持ちを削がれたオレは、呆れて小さく肩を落とした。

 ついでに気分も落ち込んだ。

 

 せっかく48時間もかけて問題を作ったのに……。

 さらばあの時の勉強時間、オレの無駄となった努力よ。

 

 

「合格は筆記の成績とデュエルの内容で決められるんだ。デュエルにはなんとか勝ったけど、受験番号119番の僕じゃ受かるかどうか…」

「心配いらないよ! 運が良ければ合格するから! ワタシだって101番だしね」

 

 

 崩れ落ちそうになっているオレの横で、ショタの不安を和らげるためか自信満々に自分の番号を告げる十代。

 しかし慰められている? はずのショタは驚いたように首を捻った。

 

 

「君も受験生? でも、100番台のデュエルは1組目でとっくに終わってるよ」

「えぇ!?」

「だろうなぁ」

 

 

 薄々感づいていたオレは静かに頷いた。

 今やってるデュエルが1桁台って事は、つまりはそういうことだろうよ。

 

 

「ど、どうしようナナぁ~!」

「ん~大丈夫だろ。遅刻の理由は電車の事故だし、遅延証明だってしっかり2人分受付の人達に渡した。なんなら受付の人達がまともじゃない場合に備えてまだ2つあるし、これでダメなんて事には早々ならないだろうさ」

「ナ、ナナぁ~! さすがナナっ、略してさすナナだよ~!」

「全然略せてないね」

 

 

 オレもそう思う。

 

 

 

 

「ノンプロブレ~マッ!! レーマ! ノン、ノンッ、ノン! 受験番号4番のボーイならいざ知らず、ドロップアウト・ガールは我が学園には必要なイーノ!」

 

 

 

 

 ふと、耳にとんでもない言葉が入ってくる。

 ドロップアウト・ガールて…………たぶん教員席で話してる内容だろうが、仮にも天下取ってるデュエリスト育成校がそれでいいのか。

 つかよかったな時代が平成中頃で、令和の前世なら1発で停職受けしそうな発言だったぞ。

 

 

「あっ、さっきデュエルしてた人だ!」

 

 

 様子が気になったので聞き耳を立てつつ、遠くでなにやら揉めている教員席を眺めていると、白服の受験生が近くに座ったのを見つけた十代が思いっきりフェンスから身を乗り出していた。

 

 フェンスによって盛り上がる十代の胸囲。

 そういえば意外とあるんだよなぁとか思いながらも、男の性に逆らえぬまま視界の端で脅威と化した胸囲を眺める。

 

 

「大きいめのCくらいか」

「ぶふっ!?」

 

 

 発言が完全に変態のそれでしかないが、精神はおじさんでも身体が若者なせいか実に正直者で、こういうのにはまったく逆らえないからしょうがない。

 視界の端で捉えるくらいがせめてもの抵抗である。

 ちなみにショタくんはオレの発言に吹いた後、思わず見てしまったのか恥ずかしそうに顔を背けていた、初心だねぇ。

 

 そんなこっちの様子には一切気付かず、十代は目の前の席に座っている白服の受験生へと声をかける。

 

 

「すっごく綺麗なコンボだったね! あなた!」

「うん? あぁ」

「あははっ……物怖じしない性格なんスね」

「見ての通りだろ?」

 

 

 白服の受験生へニコニコと笑顔で話しかけている十代を見て、ショタは赤い顔で苦笑い、オレは肩を竦めて同意した。

 

 

「今年の受験生で、2番目くらいには強いかも」

「なに?」

「え?」

 

『───受験番号101番、遊城十代さん』

 

「おっ、ワタシの番だ!」

 

 

 驚く2人を置いて颯爽と階段を降りていった十代。

 が、降りている最中に何か思い付いたらしい、拳をポンッと手の平に置いて戻ってくる。

 

 

「ねえねえナナ、()()()()()貸してよ。ワタシも綺麗なコンボ決めてみたい!」

「コンボっていうと、オレがいつも《ゼロ(・・)》に使ってるあのカードか?」

「そうそう!」

 

 

 なるほど、どうやらさっきの白服の受験生に感化されたらしい。

 本来なら土壇場でデッキに他人のカードを借りるのは褒められた事じゃあないが、オレと十代のデッキは元々シナジー込みで作ったデッキだ。

 それにイケメン有名人に貰ったカードも入れてるだろうし、今更だろう。

 

 そう思い、オレは自分の腰に装着していた3種類ある内の赤いデッキケースから、1枚の魔法カードを抜いて十代に渡した。

 

 

「ほれ。忘れないように()()()()()()も入れておけよ」

「わかってるよ~!」

 

 

 カードを受け取った十代は、大事そうに胸に抱えて再び階段を降りていこうとする。

 

 

「君。何故、僕が2番なんだい?」

 

 

 その途中で、白服の受験生に呼び止められる。

 質問の内容は嫌味な感じじゃなく、ごもっともといった内容で、単に気になったから聞いているような感じだった。

 

 

「ふっふっふ〜、それはねぇ」

 

 

 そして聞かれた十代はというと、わざとらしく腕を組んで不敵な笑みを浮かべた後…自信満々に親指を立てて自分を差していた。

 

 

「1番はワタシだから!」

「……そうか」

 

 

 勿体ぶったわりに簡潔な、アイツらしい言葉を残して、今度こそ十代はフィールドへと向かっていく。

 白服の受験生はあまりに堂々と宣言してきた十代に一瞬目を見開いていたが、やがて見極めるような視線で十代の背中を見送っていた。

 

 

「僕より筆記試験が18番良いだけで、なんであんな自信が持てるんだろう」

「十代は自分のデッキを信頼してるからなぁ。ま、持ち味ってやつだよ」

「…羨ましい」

 

 

 ハハッ、同感だ。

 

 





高評価してくれた人達ありがとう。
感想とかも凄く嬉し味が深ひ…感謝、感謝。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。