また、書き終わってないのに投稿してしまった。。。
気を付けねば…!
ではどうぞ!
「……は?」
「ふふ。君とはもうちょっと話したかったけど、私達にも予定があるんだ」
「……」
急にエトが僕の手を取って、一枚の紙を包み込むように乗せた。
「だから、指定の日時にこの場所に来てね」
じゃあまたね、とエトは手を振り消えてしまった。
「扉の向こうに案内係がいる。着いていけ」
タタラはそう言った後、ノロと一緒にエトと同様、消えてしまった。
はぁ…
僕はバンッと扉を開けた。
と同時にグチャッと音が聞こえた。
ん?
「ヒ、ヒィ…!」
目の前の喰種が怯えた声を上げる。
その目線は扉の向こうに向いていた。
そっと扉を動かす。
ズル…という音の後にベチャッと音が再び耳に入った。
そこには潰れた喰種が1人居た。
簡単に言うとグチャグチャ。それだけ。
「君が案内係?さっさとしてくれない?」
「ヒ、は、はいぃ…!」
あ〜…僕としたことが取り乱してしまったー!
気を取り直して笑顔、笑顔。
「あ!一応言っとくけど、さっきのこと誰にも言っちゃダメだよー!」
「は、はい…」
何をそこまで怯える必要があるのさ!
失礼だよ!
「あの…ここです…」
その部屋には万丈さんとガスマスクをつけている3人が居た。
「優理じゃねぇか!無事か!?」
「めっちゃ元気だよ!僕は無傷!それより金木君は?」
「…悪りぃ。ヤモリの野郎に連れてかれた…。ヤモリはその…」
申し訳なさそうに言う万丈さんは続きを口にするのを躊躇った。
「その?」
「…その…拷問が趣味のヤツなんだ…。金木に何かあったら俺のせいだ…」
「えー…やばいなソイツ…」
「ウチらも申し訳ないッス…」
「いやいや!万丈さん達は悪くないよ!どうしようも無かっただろうし…」
「ホントにすまねぇ…」
「それよりも!こんなところでウジウジしてる訳じゃないよね?」
「だけど、ウチらには出来ることなんて何も無いッスよ…」
4人はガックリと肩を落とす。
「さっさと金木君を誘拐して、さっさとここから脱出すれば良い話じゃん」
「簡単に言うなよ!ここには何百人も喰種がいるんだぞ!」
「要は見つからなければ良いんでしょ?」
「…不可能だ、そんなの」
「そうかなぁ…」
何もかも諦めモードの4人の横に僕はヒョイッと座った。
そしてうーん、と唸る。
「いくら考えても無駄だぞ」
「ふっふっふー、人生の中には無駄な事など無いのだよ!どんな作業でも大事な事なんだよ。辞書に書いてあるでしょ?」
「俺は字が読めねぇんだ」
「大丈夫、大丈夫。僕にも読めない字はこの世界に沢山あるから!」
「どうもお前と話してると通じてない気がするんだが…」
「?僕は日本語を喋ってるよ?」
「「「……(万丈さん…ウチらもそう思います…彼女はズレてる…)」」」
「…?」
何故か後ろの3人が苦笑いをしている。
何か変なことでも言っただろうか?
「おい」
「ふぁい」
「ちょ、馬鹿!なんつー返事を…!」
振り向くと僕達に声を掛けたのはヤモリだと言うことが分かった。
万丈さんは僕のふざけた返事にビクビクしながらヤモリの様子を見ていたが、特に危害を加えられる様子は無かった。
「お前らの中で1人俺に着いてこい」
「え、なんで?説明が無いと怖くて誰も行かな…」
むぐっと後ろからジロさんに口を塞がれた。
「お前は黙っとけ。…俺が行く」
万丈さんは僕を咎めた後、ヤモリの後に着いて行った。
万丈さんが帰ってきたのは約30分後。
その間わたわた焦って、万丈さんの心配をしている3人を僕は面白がって見ていた。
今、性格悪ぅ、って声が聞こえた気がするけど気のせいか。
「おかえりなさい、万丈さん!大丈夫ですか!?」
「…あ、あぁ。俺は大丈夫だ。でも、金木が…」
「…金木君がどうかしたの?」
「酷い有様だ。俺の口からじゃとても…」
「「「「………」」」」
無言で僕達4人は顔を合わせる。
万丈さんは疲れていたようだし、誰もこれ以上深くは聞かなかった。
「あぁ…それと…また誰か1人来て欲しいらしい。ニコが迎えに来るみたいだ」
「……じゃあ次はウチが行きますよ」
「その次は自分が…」
「じゃあその後俺」
「…そしたら僕が最後かな」
必須事項を決めた後、もう話す気力も無く、雰囲気でないからか、一斉に黙ってしまった。
次か、僕の番。
ジロさん、サンテさん、イチミさんが順に行って帰ってきたが、みんな暗い顔をしていた。
大体予想はつく。
これから何処に行って、何をし、何を見るのか。
僕は全て知っている。
だからーー驚く必要はない。
よって落ち着いて脱走まで事を運べるのである。
まぁ、上手く行く確証は無いけど。
なんなら失敗する可能性のが高い。
そうなるようにしたから。
…あとは君次第だね、金木君。
「はーい、じゃあ次の子、お願い!」
「んー、僕だねー。すぐ帰ってくるねー」
呼びにきたニコに僕は大人しく着いていく。
そして辿り着いた先には大きな扉があった。
ニコはノックもせずに、遠慮なく扉を開けた。
「ヤモリー!連れて来たわよぉ〜」
そんなに大声を出してよく殺されないね。
……やっぱりか。
扉の先にはヤモリ、そしてその斜め後ろに金木君がいた。
金木君は酷く疲れ切っていて、髪も黒から白に変わっていた。
体全体もボロボロであったが、さらに酷いのは手足だろう。
しかも…指が無い。一本も。
代わりに金木君が座っている椅子の前には赤黒い血溜まりが出来ていた。
もっと言えば、ヤモリの横には大量の指が入ったバケツが置いてある。
「君には掃除を頼みたいんだ。あそこの血溜まりとかね。このモップを使って」
そう言って水が入ったバケツとモップを渡された。
水は綺麗だったが、モップの先は…赤黒く変色している。
「………」
いや、よくこんな事、人に頼めるな!?
頭に脳が入ってないんじゃない!?
つーか!そもそも!拷問なんてすんな!
命をよく娯楽に使えるな!?命の重さはみんな等しいんだぞ!?
「じゃあ、部屋の外にいるから。よろしくね」
パタン、と扉が閉まるのを見て僕は小声で金木君に話しかける。
「金木君?大丈夫…じゃないよね…」
僕の声に反応して、俯いていた金木君は顔を上げた。
「…優理…。僕は大丈夫…」
「いや、大丈夫じゃないよ!今からアイツ潰してくる!」
「お願いだから、止めてくれ…。誰も傷つくところを見たくないんだ…」
「………」
僕は無言で金木君の手足に付いている金具を取ろうとする。
「…!?優理、何して…!」
「僕だって金木君が傷つく姿を極力見たくないよ。あんていくのみんなもそう。だから…
ここから逃げよう!」
「…!?そんな無茶な…!!」
「僕も上手く行くなんて思ってない。でも世の中、出来ないと出来るで判断してたら回らないんだよ?100%はどこにも存在しない。でも0%も存在しない。やる価値はあるよ!」
「(…確かに、優理の言う通りだ)…分かった、優理を信じるよ。でもどうやって逃げるつもり?」
「金木君が自由に動けるようになったら、扉を突き破って外まで全速力!」
「……(あ、無理な気がして来た…というかやりたくない…)」
僕は金木君の心内など知らず、金具を外そうと奮闘していた。
因みに、掃除はすでに秒で終わらせた。
どうでしたか?
闇抱えてるキャラって多いですよね。
まぁ悩み事が無い人は居ないですし。
辛いことがあったら、ノートを作って思った事をダラダラ書くと良いかもです。
人に相談って案外難しい。周りは簡単に言うけどね。
それでは良いお年を!