ミュウの目の前に立つお姉さん、メイル・メルジーネは遥か昔に生きた神代魔法の使い手にして、西の海を牛耳る最強海賊団の女帝であった。何がどうなって、時を超えて二人の海人族が出会うことになったのか。それを知っているだろう影はダンマリを決め込んでいる。しかも殆ど薄くなっており、ミュウ達も視認出来ないくらいだった。
「みゅ? メイル? メルジーネ? んん?」
普段から誠司達の冒険譚をせがみまくっていたミュウは、「はて、何やら聞き覚えがあるような……」と首を傾げた。フローゼルも同様だ。いや、フローゼルの場合は「以前戦ったはずのダダリンが何故ここに?」という疑問だった。だが、詳細を思い出す前に、ミュウの前にしゃがみ込んで目線を合わせたメイルが質問を口にした。
「それで、ミュウちゃん。ここはどういう場所なのかしら? 実はお姉さん達、迷子なのよ」
心底困った様子で眉を八の字にするメイル。彼女が言うには、海賊仲間とは別の友人達と、アンディカという船上村の近海を警備とお遊びがてら巡回していたところ、突然の濃霧と大渦に巻き込まれ、気がつけば友人達ともはぐれてここにいたのだとか。どうやらミュウ達と同じ状況らしく、ミュウはキリッとした表情で答えた。
「メイルお姉さん、ミュウ達も迷子です!」
「フルルゥ」
「あら? この都……の子じゃないのかしら?」
「メイルお姉さん、いくらなんでも、ここで普通に暮らすのは無理があると思うの」
「た、確かにそうね……あら? よく見るとあなた、ディーネに似てる……妹に似た子に、呆れた目で正論を突きつけられるなんて……お姉さんちょっと傷ついたわ」
「ダリン……」
そう言ってしょんぼりし始めたメイル。メイルの傍らに立つだぁりんは、彼女に呆れた視線を向ける。その様子を見たミュウは内心で思った。「このお姉さん、なんだかいろいろと凄いけど、いろいろと残念な人っぽいの……」と。
「ええっと、それじゃあミュウちゃんはどうしてここに?」
ごほんっと咳払いを一つした後、メイルは気を取り直して質問を変えた。それにミュウが答えようと口を開きかけた、その瞬間、先程と同様の戦闘音が響いた。かなり近い場所から上空に向かって雷が飛び、一瞬空間が歪んだように見えたかと思えば廃墟の一角がまとめて木っ端微塵となる。
「ミュウちゃん。お姉さんの傍から離れちゃダメよ」
「は、はいなの!」
メイルの後ろにぴっとりと寄り添うミュウ。フローゼルもミュウの側を警戒する。ミュウは、メイルに対して強い安心感を覚えていた。助けてくれたとはいえ、初対面で凄まじい魔法を使う海賊を名乗る危険そうな女性を相手に。なんとなく、ミュウの深い部分が「この人は大丈夫」と訴えているのだ。フローゼルが彼女に敵意を向けていないのもあった。
一方でメイルも、素直にくっついている同族の女の子に、
(こ、この子やるわね! 人懐っこいし、素直だし、フローゼルがここまでよく懐いてるしレベルが高い! ディーネ並みに可愛い! 天使だわ!)
思い切り鼻の下を伸ばしていた。誠司達も知らないことだったが、この解放者は、妹のために都市一つ乗っ取ろうと画策したシスコン女帝である。出会ったばかりの自分を信頼して身を寄せる同族の幼女に、幸福感が溢れ出そうになって急いで鼻を摘まむ。
「ダリン……」
だぁりんはそんな相棒に呆れた様子で呼び掛ける。相棒に呼び掛けられ、メイルはハッとした表情を浮かべて雑念を払うかのように、顔を横に振った。
その時、いくつかの建物を倒壊させながら先程の化け物達が吹き飛んできた。ミュウは思わず、メイルの太ももにギュッと抱きついた。そんなミュウに、デレ顔で「大丈夫よ! メイルお姉さんが守ってあげるわ!」と言おうとしたメイルの前に、化け物達は酷い目に遭わされていた。
「よっくも超絶美少女なミレディちゃんにヌルヌルした得体の知れない液体をぶっかけてくれたなぁっ! ぶっ潰れちゃえ!」
「ソルルゥ!」
「ルナァーン!」
そんな元気いっぱいの怒声と同時に、目の前の化け物達は頭上に現れた黒く渦巻く球体に押し潰されてしまう。重さに耐え切れず、煙のように霧散してしまった。
スタッと地面に降り立った金髪碧眼の美少女、ミレディちゃんは涙目を浮かべながら、「うぇ〜〜んっ、オーくん! ミレディさん汚されちゃったよ〜」と後ろを振り返った。そして、ちょうど瓦礫の山を越えて姿を見せた眼鏡の青年に飛びつこうとした。
「うわっ、ミレディ! 僕とロコンまでヌルヌルになるだろ!」
眼鏡青年がサッと回避したために瓦礫に突っ込んでしまう。それを見たソルロックとルナトーンが心配そうにミレディに駆け寄って行く。
「……おい、オスカー。ここは黙って受け止めるところでしょ」
「コーン……」
ソルロックとルナトーンに助け起こされて、瓦礫から汚れた顔を抜き出したミレディは、強烈なジト目を眼鏡青年、オスカーに向けた。オスカーの肩に乗っているオレンジ色の毛並みをした狐ポケモン、ロコンが「だってヌルヌルになりたくないし……」と言っているかのように鳴き声を上げた。
「オスカー。今のはお前が悪い」
眼鏡青年の後ろから、寡黙そうな長身の男も姿を見せた。男の傍らには背中のトゲが特徴的なネズミポケモン、サンドパンが立っている。
「流石ナッちゃん! この鬼畜眼鏡にもっと言ってやって!」
涙目で、今度は長身の男、ナイズの背後に回り、オスカーに突き出そうというのか、手を伸ばしたミレディ。だが、その手が空を切る。ナッちゃんが物凄く機敏に避けたために。サンドパンも体を丸め、トゲだらけの背中を突き出してミレディが触れないようにする。
「………………おい、ナイズ。なんでミレディさんを避けた? そして、サンドパンもなんで丸まった?」
「…………………………ヌルヌルだからな」
「…………………………サン」
「この男共ぉーーーーー!!」
ミレディちゃんの悲憤に満ちた絶叫が轟く。そうして、意地でもヌルヌルをお裾分けしてやるぅっと飛び出したミレディと、わぁっと逃げ回るオスカーとナイズとサンドパン。ソルロックとルナトーンは、慌ててミレディを落ち着かせようとするが、ミレディの怒りはそう簡単に収まらない。そんな光景を見たミュウは一言呟いた。
「海賊さんって、愉快な人達なの」
「否定は……出来ないのだけど……少なくとも、あの子達を海賊の基準にするのはやめてもらえるかしら?」
そもそもあの子達は海賊じゃないし、とメイルは困った顔をしつつ、取り敢えずこのままでは話が進まないので、水流でミレディを呑み込んでヌルヌルを洗い流してやる。
丸洗いされてぺっと吐き出されたミレディと、オスカー達はようやくメイル達に気が付き、合流出来たことに喜びながら駆け寄ってくる。
「メル姉! だぁりん! 無事で良かった……ってぇええええっ、メル姉が幼女を誘拐してるっ」
「……だぁりん、“うずしお”」
「ごぽぽっ!?」
ミレディは再び、そして今度は少し手荒に水塊に呑み込まれ、丸洗いされる洗濯物の気分を味わう羽目になった。ペッと水塊から吐き出され、今度は水分を飛ばしてもらえず、びしょ濡れのまま女の子座りでべそを掻くミレディ。
「あ、あの……大丈夫ですか? なの」
そんなミレディを気の毒に思ったのか、そろりとメイルの後ろから顔を覗かせて、声をかけるミュウ。
「や、優しい……天使はここにいたんだね」
「ミレディの馬鹿はまぁ、置いておいて……メイルもだぁりんも無事で良かったよ。それでその子達は?」
「確か、この魔獣はフローゼル……だったか。その子の相棒か?」
「この子の名前はミュウちゃんよ。このフローゼルはミュウちゃんのお友達らしいわ。この子達も私達と同じ迷子ね。さっき妹にすることにしたわ」
突然のメイルの決定に、思わずミュウとミレディから同時に「えっ!?」の声が漏れる。オスカーはそんなメイルに呆れ顔をしつつ、ミュウの前で片膝立ちとなった。
「初めまして、ミュウちゃん、フローゼル……ちゃん。僕はオスカー・オルクス。それでこっちは相棒のロコン。少しお話を聞かせてくれるかな?」
「コンッ!」
フローゼルの背中の模様から女の子であることを確認しつつ、丁寧に挨拶をするオスカー。だが、そんな丁寧な挨拶を受けたミュウは、すぐに返事をしなかった。またもや記憶の端に引っ掛かるものを感じて、すぐに反応出来なかったのだ。
「……オスカー、お兄さん……オルクス? んみゅ? それって……」
「自分はナイズ。それと、相棒のサンドパンだ」
「……サンサンッ」
「ナイズ……お兄さん」
物凄く戸惑った様子でしきりに記憶を探るミュウに、復活したミレディがトドメを刺すかのように自己紹介を始めた。バッと立ち上がり、片足をクイッと曲げて、左手を腰に、右手を横ピースで目元に添える。ミレディの両隣にソルロックとルナトーンが寄り添う。
「そして私が超絶天才美少女魔法使いのミレディ・ライセンちゃんと、相棒のソルロック&ルナトーンだよ!」
「ソルルゥ〜!」
「ルナァ〜ン!」
決めポーズと一緒に、お茶目にウインクするミレディ。その瞬間、ミレディの頭に衝撃が走った。ああ! 思い出したの! そうだったの!と万歳しつつ、今まで誠司達が聞かせてくれた冒険譚そのままにビシッと指差して叫んだ。
「世界一うざい人!」
「ごふっ」
輝く笑顔で罵倒された天才美少女魔法使いは、膝から崩れ落ちる。それと同時に、ミレディ以外の解放者達、ポケモン達が「ぶほっ」と吹き出す。顔を背け、あるいは肩を震わせ笑い声を上げる。その中には、ミレディの相棒であるはずのソルロックとルナトーンも入っていた。
ミレディは、仲間をキッと睨むが、効果はない。目元をヒクヒクさせつつ、どうにか笑顔でミュウに向き合う。
「あ、あれ〜、おかしいなぁ。ミレディさん、ミュウちゃんと会ったことあったかな?」
「ないの! お話で聞いただけなの!」
「そ、そっかぁ。それで、誰に聞いたのかなぁ? 出来ればミレディさんの間違った情報を幼女に吹き込んだ不届者のことを知りたいんだけどなぁ」
「誠司お兄ちゃんやハジメお姉ちゃん達なの!」
「へ、へぇ〜、お兄ちゃんやお姉ちゃん達がね〜」
「そうなの! 皆言ってたの! 『後にも先にも、ミレディ・ライセンほどうざい奴は存在しないだろう。世界ウザレディ選手権があれば、永年優勝、殿堂入り間違いなしだ』って!」
『ぶはっ!!』
「え〜〜〜いっ! 皆も笑うなっ!」
「あ、あと……」
「ま、まだ何かあるの? 君のお兄さん、お姉さん達はどんだけミレディさんのことを嫌いで……」
「『便所に流された恨みは絶対に忘れない』とも言ってたの」
「嫌ってるどころか恨まれてるレベル!? っていうか便所に流すって何!?」
そこで笑い声が途絶える。オスカー達が冷たい視線でミレディを見ていた。「こんな幼子のお兄さん達を便所に流すなんて……ミレディ、君、そんな酷い奴だったんだな……」みたいな顔だ。
「ち、違うよ! 誤解だよ! ミレディさん、人を便所に流したことなんてないよ! っていうか、人は便所に流せないからね!」
そんな風に騒ぐミレディをよそに、ミュウは芋づる式に思い出した情報を嬉しそうに口にする。彼女のキラキラした目は、今度はオスカーを捉えた。
「お兄さんが、メイドが好きすぎて女装に走ったオスカーお兄さんですか!?」
「なっ!?」
ミュウの言葉に、思わずオスカーの眼鏡がズレる。ミュウはよく意味が分からずに発言していたが、言われた本人にとってはとても看過出来ない文言が混じっていた。
「ま、待て待て待て! 女装ってなんだ!? 僕にそんな趣味は……」
「みゅ? でも誠司お兄ちゃんが言ってたの。『男の一人暮らしで何故か大量のメイド服を持ってたから、多分何着かは自分でも着てたんじゃないか』って……」
今度はオスカーが、仲間達から冷たい視線を浴びる番だった。「メイドが好きなのは知ってたけど、まさかそこまでとは……」と言うかのようだ。肩に乗っているロコンでさえ、相棒に疑いの視線を向けている。オスカーは必死で反論した。
「事実無根だ! 良いかい、ミュウちゃん。確かに僕はメイド服が大好きだ! あれは、女性達が心地良く働くための、機能美が詰め込まれた……奇跡の結晶なんだ! いわば一種の芸術作品にも等しいんだよ! 分かるかい? その芸術作品とも言えるメイド服に僕が袖を通すなど、冒涜行為以外の何物でもない! だから……モガッ!?」
幼女に向かって、メイド服について熱弁するオスカーの口を塞いだのはナイズだった。
「その辺にしておけ、オスカー。今のお前は普通に気持ち悪いぞ」
「モガッ、モガーーッ!!」
必死に抵抗するオスカー。一方でミュウは、メイルの手で耳を塞がれていた。
「はーい、ミュウちゃん。別に聞かなくて良いからね〜」
メイルに耳を塞がれたままのミュウは、今度はメイルお姉さんに視線を向けた。
「『絶対にドSで大雑把』、『ミュウちゃんはあんな大人にならないでね』のメイル・メルジーネお姉さんなの!」
「!? あらあら、随分好き勝手言ってくれてるのね……ミュウちゃんのお兄さん、お姉さん達にはちょぉ〜っとお話が必要かしら?」
メイルの額に、ピキリと怒りマークが浮き出た。そして、メイルから離れたミュウは最後に残った一人に視線を向けた。
「それからお兄さんは……」
「むっ。じ、自分もか?」
たじろぐナイズ。十年レベルで引きこもっていたので、ミュウのお兄さん、お姉さん達と知り合う機会は無かったはずだが……
「『他の三人に比べるとめちゃまとも』、『きっと苦労人』のナイズ・グリューエンお兄さんなの!」
「っ、グリューエンの名を、知ってる……のか?」
他の三人とは別の意味での驚愕で、ナイズは目を見開いた。グリューエンとは、ナイズの生まれ故郷であり、彼自身が滅ぼした場所でもある。人前でナイズはグリューエンを名乗ったことはない。
そこで、ようやくミュウの異常性に気が付き始めたミレディ達。まじまじとミュウを見つめるが、ミュウの方もはたと気が付いた。
あり得ない、ということに。目の前の、あの解放者達は、遠い過去の人達、ポケモン達であることに。偽物かもしれないとも一瞬思ったが、誠司達から聞いていた特徴は確かにある。
混乱が、じりっとミュウを後退りさせた。そして、混乱のまま、ミュウはある言葉を口にする。
「どうして生きてるの?」
「ごふっ」
ミレディは再び崩れ落ちた。幼女から罵倒されたと思って。思わず涙目を浮かべてしまう。
「う、海人族は皆ドSなのかな……」
「こんな純粋そうな子でさえ、将来はこれになるのか……」
「ナイズくん? それどういう意味かしら? あと、オスカーくん。眼鏡かち割るわよ?」
そんな解放者達のやり取りを見て、ミュウは、どうやらミレディお姉さんを傷つけたようだとオロオロしてしまう。
そんなミュウの様子に気づいたオスカーが、安心させるように、「放っておいて良いよ。それより、君の知っていることを教えてほしいな」と口にした。オスカーの言葉に、ナイズもメイルも同意し、ミレディが「もっとミレディちゃんにも優しくしろぉっ」と吼えた。
激震が走ったのは、その直後だった。地下から突き上げるような衝撃の波が幾度も押し寄せる。「きゃっ」と声を上げて転倒しかけたミュウを、咄嗟にメイルが支える。
『……急ぐのだ、海の幼子よ。時間が……ない』
「影さん!?」
先程からずっとダンマリを決め込んでいた影が姿を現し、ミュウに声を掛けた。
「これは……!?」
「先程の化け物達とは……違う?」
「えっと……この幽霊みたいなのは何なの?」
「影さんなの!」
遥か彼方の廃城に視線を向ければ、その上空にある暗雲が渦を巻き、塔からドス黒い瘴気のようなものが吹き出しているのが見える。廃都を覆っていた黒い霧も、少しずつ濃度を増している。その直後、そんな暗雲を穿つように、複数の閃光が迸る光景が見えた。見覚えのある光景に、ミュウもフローゼルも歓喜の表情を浮かべた。
「あんなことが出来るのは……ハジメお姉ちゃん達なの!」
「フルフルゥ!!」
どうやら、ハジメ達は廃城の方に向かっていて、何者かと戦っているようだ。その時、影が再び語り掛ける。
『……海の、幼子よ……時間が……ない』
「っ、分かったの! すぐにハジメお姉ちゃん達のところに向かうの!」
「ミュ、ミュウちゃん、一体どういうことなんだい? この影みたいなのは一体……」
オスカーがミュウに説明を求めるが、今は悠長に説明している時間がない。影から伝わる焦燥と切実さが刻一刻と増しているからだ。現に影の気配が段々と薄れて、今にも消えそうになっている。
「この影さんが、助けを求めてるの! だから早くハジメお姉ちゃん達と合流しないといけないの!」
「え、えっ? 助けってどういう……」
意味が分からず、思わず胡乱な目を向けてしまうオスカーだったが、それを片手で制するようにして、ミレディが前に出た。先程までの残念さは欠片もない。
「ミュウちゃん、私達はどうすれば良いのかな?」
「あのお城へ!」
刹那、周囲に化け物達が、どこからか現れ始めた。まるでミュウの願いを踏みにじろうというかのように。だが、ミュウとフローゼルを庇うように、前に進み出たミレディの顔に恐れは一欠片も無かった。
「上等!」
胸の前で拳を掌をパシッと打ち付けた。それを合図に、相棒達も彼女の両隣に浮かび上がる。
「さぁ、オーくん! ナッちゃん! メル姉! 皆! 小さなお姫様からのお願いだ! 一つ張り切っていこうじゃないの!」
「ソルゥ!」
「ルナアアァァァッ!!」
言うや否や、向かってきた化け物達を超重力場で押し潰し、ソルロックの“てだすけ”でパワーアップしたルナトーンの“メテオビーム”が周囲を薙ぎ払う。
「まぁ、帰るための手掛かりもあそこにありそうだしね。やろうか、ロコン」
「コン!」
オスカーは肩を竦めながら、大量の魔剣を召喚して一掃にかかる。ロコンも炎で焼き尽くしていく。
「ふむ。子供の願いとあれば、無視も出来んな」
「……サン」
サンドパンの“ミサイルばり”で化け物達を串刺しにしたと同時に、ナイズは腕を振り抜いて空間を真一文字に割断する。
「うふふ、ミュウちゃんはもう、このメイルお姉さんの妹だもの。任せなさいな」
「ダッリーン!」
メイルは先程と同様に、激流の鞭を振るって全てを呑み込み、だぁりんが巨大なイカリで化け物を吹っ飛ばす。
周囲を覆うように現れた化け物達は、一瞬のうちに全滅していた。ミュウもフローゼルも目を丸くしていた。そんなミュウに向かって、ミレディが笑い掛けた。
「それじゃあ行こうか、ミュウちゃん」
「はいなのっ!」
こうして、ミュウとフローゼル、そして奇跡の邂逅を果たした解放者とその相棒ポケモン達は、中央の廃城に向かって、歩みを進める。
「君のお兄さん、お姉さん達には直接お話ししないと気が済まないからね! 誰が世界一うざい奴だ! 世界一の美少女ならまだしも!」
「うふふ、さぁ、どうしてやろうかしら」
「彼らにはメイドの素晴らしさをキッチリ叩き込んであげないといけないね……」
「お前達…………」
「えっと……よ、よろしくお願いします……なの」
「フルゥ……」
ロコン♀(後のキュウコン)
オスカーのことはかけがえのない相棒だと思っているものの、彼のメイドと眼鏡の拘りだけは理解出来ない。オスカーから頭を撫でられるのが好き。
ソルロック
ルナトーン
どちらもミレディのことは大切な相棒だと思っている。ソルロックは、ルナトーンと比べてミレディの悪ノリに付いていけることが多いが、残念な行動をするミレディに引くことも多い。ルナトーンは、昔よりも性格が明るくなって良かったとは思っているが、お淑やかさは捨てないで欲しかった……とも思っている。
サンドパン♂
ナイズのことは尊敬出来る相棒だと思っている。相棒には幸せになってほしい。水が苦手だから、メイルのことも苦手。嫌々ながらも船に乗ったら、酷い目に遭った。もう二度と乗らない。
ダダリン(NN:だぁりん)
メイルのことは信用出来る相棒だと思っている。ただ、シスコンはもう少し何とかした方が良いとも思っている。彼女のシスコンぶりにはドン引きすることも多い。