魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

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たった二日間の出来事~誠司のポケモンゲット講座~

二日目、誠司は王都に残る野生ポケモン達の捕獲に向けて、トランクの中にいた。

 

「すっげぇ……」

「トランクの中にこんな空間が広がっているなんて……」

「うわ~、すごいよ、ここ! 岩場とか草原とか雪原とか色々ある!」

「広いなぁ。トランクの中とは思えないよ。中西君、こんなのも持ってたんだね」

「……驚いたな」

「へぇ、それに居心地も良さそうだな」

「これも南雲が作ったの?」

「いや、こいつは解放者の作品だよ」

 

誠司の側には、勇者パーティーの面々と、愛ちゃん護衛隊の園部優花、前線組の遠藤浩介がいた。優花と浩介は、大迷宮攻略に同行しないが、自分達もポケモンを育てたいと申し出たのだ。

 

優花は、愛ちゃん護衛隊を名乗っていながら、愛子の危機に自分達が何も出来かったことに酷く落ち込んでいた。対抗意識を燃やしていたデビッド達が愛子を救っていたことも大きい。今は護衛として何の役に立っていない自分でも、ポケモンの力を借りることが出来れば、今度こそ愛子をちゃんと守ることが出来るのではないかと思ったのだ。

 

そして、浩介もまた、今回の一件で自分が全く役に立たなかったことに悔しい思いをしていた。誠司達と一緒に大迷宮攻略に行く勇気は無かったが、それでもポケモンの力を借りられれば自分や親友達を守ることくらいは出来るのではないかと思ったのだ。

 

誠司としては、理由はどうあれ、手伝ってくれるというのなら、断る理由も無かったので、一緒にポケモンの捕獲に協力してもらうことにした。

 

誠司はモンスターボールからマシェードを繰り出すと、マシェードに指示を飛ばす。

 

「マシェード、皆を集めてくれ」

「マッシェ!」

 

マシェードは頷くと、頭のカサに力を溜め始めた。同時に白く光っていく。

 

「マーーーーシェッ!」

 

マシェードは上空に向かって、勢い良く“ソーラービーム”を発射した。空高く撃ち上がった“ソーラービーム”は上空で花火のように爆発すると、温かい光が地上へ降り注ぐ。

 

「中西君、これは……?」

「トランクの中にいるポケモンの数も多くなってきたからな。一ヶ所に集まってもらうための合図なんだ」

 

誠司がそう説明していると、ドドドドッという大きな足音が響いてきた。どうやら、トランクの中にいるポケモン達が全員集まったようだ。誠司は現在手元にあるポケモン達もモンスターボールから出した。

 

誠司が持っているポケモンは、マシェード・ラグラージ・ブースター・キュウコン・エレザード・ガチゴラス・ヘラクロス・ヤレユータン・クレッフィ・チルット・ガメノデス・モグリュー・マーイーカ・マホイップ・ミロカロス・レパルダス・ヤミカラス・ドダイトス・ツンベアー・ベトベトン・チヲハウハネ・ムウマージ・ミジュマル・キョジオーン……そして、数日前に神山に向かう途中でゲットしたフォッコの計二十五体だ。

 

誠司のポケモン達が勢揃いする光景に、光輝達は圧倒されていた。様々なポケモンを育てていることは聞いていたが、予想以上に多くて驚いたのだ。光輝は尋ねた。

 

「それで……中西はどうして俺達をここに連れて来たんだ? 新しく捕まえに行くんじゃないのか?」

「まずはお前らに、俺のポケモンを一体ずつ貸しておこうと思ってな。そいつと一緒に戦って、捕獲してみてくれ」

 

そう言って、誠司は龍太郎にマーイーカを、雫にはミジュマルを、鈴にはモグリューを、香織にはチルットを、浩介にはガメノデスを、優花にはクレッフィを、そして光輝にはヘラクロスをそれぞれ組ませていく。

 

ついでに、それぞれのポケモン達が覚えている技が書かれた紙も渡す。覚えられる技全てを短時間で把握させるのは難しいので、使えそうな技を四種類選んでいる。四種類にしたのは、それくらいの数が丁度良いだろうと思ったからだ。

 

一時的とはいえ相棒になり、それぞれ自由に交流を図る光輝達。ややぎこちなさがあるが、時間が経てばある程度は馴染むだろう。彼らを眺めていた誠司だったが、光輝とヘラクロスを見て、眉を顰める。そして、誠司は小屋へ走って行った。少しして、誠司があるものを持ったまま戻って来ると、それを光輝に手渡した。

 

「な、何だこれは……」

 

ガラスケースのようなものを手渡され、困惑する光輝。ガラスケースの中には、卵型の物体がゆらゆら揺れ動いている。以前、モットー商会から購入した、ポケモンのタマゴだ。ハジメお手製のケースに入れている。

 

「これはポケモンのタマゴだよ」

「ポケモンのタマゴ……って卵から生まれるの、ポケモンって?」

「うわ〜すごい! 初めて見た! ねぇねぇ、どんな子が生まれるの?」

 

ポケモンがタマゴから孵ることを初めて知ったらしく、興味深そうにガラスケースの中のタマゴを眺める光輝達。鈴が興味津々な様子でどんなポケモンが孵るのか尋ねるが、それは誠司にも分からないので黙って首を横に振る。

 

だが、いきなりそんなものを渡された光輝はもっと意味が分からなかった。なので、誠司に改めて尋ねる。

 

「それで、どうして俺にそんなものを……」

「この『孵化装置』はずっと肌身離さず持っていると、タマゴの孵化も早まる仕組みなんだ。折角だからお前に譲ろうと思ってな。このタマゴから孵ったポケモンがお前の相棒だ」

「い、いやいや、待て待て待て。何を勝手に……これから捕まえる奴を相棒にするんじゃなかったのか!?」

「最初はそのつもりだったんだが……お前、未だにポケモンへの敵愾心が消えていないだろ?」

「っ!? そんなこと……!」

「別に責めている訳じゃない。今まで敵として戦って来たのに、いきなり仲間として扱えと言っても難しいのは俺も分かる。だがな……ヘラクロスを見てみろ」

「え?」

 

誠司に言われて、光輝がヘラクロスに視線を向けると、心なしか自分とヘラクロスの間に距離があるように見えた。組んだばかりだからというのもあるかもしれないが、ヘラクロスは人見知りするような性格ではない。それにヘラクロスだけではない。他のポケモン達も、光輝に対して少し警戒を含んだ視線を向けていた。

 

「ポケモンというのは、敵意に敏感だ。そういうのをきちんと見抜いている。人に慣れているポケモン達でさえそうなのに、捕まえたばかりで人との距離感が分かっていないポケモンとまともな信頼関係を築けるとは思えない。だから、タマゴから育てろ。ポケモンと戦うのがどういう感じか体験して欲しいから、捕獲は手伝ってもらうが、お前の相棒はこのタマゴのポケモンだ。……良いな?」

「……っ」

 

誠司にそう捲し立てられて、光輝は反論出来なかった。孵化装置に入っているタマゴをジッと見つめる。思うところはあるだろうが、我慢してもらう。誠司はそれ以上は何も言わずに、自分の手持ちを選び直す。そんな誠司をよそに、龍太郎達が光輝を励ましていた。

 

 

ーーーーーーーーーー

それから誠司達は、王都内の、野生ポケモンが居着いてしまったエリアに移動した。野生ポケモンがいるため、復興はあまり進んでおらず、瓦礫だらけだ。

 

最初に誠司が手本を見せることにした。モンスターボールからブースターを出すと軽く説明していく。

 

「よし。それじゃあ、ポケモンの捕まえ方を簡単に説明していくぞ。俺のやり方を見本にしてくれ」

「ブギュ!」

 

光輝達はジッと誠司とブースターを見つめている。誠司は、近くで暴れているポケモンに目を向けた。夢で見たことのない、初めて見るポケモンだ。赤と緑の双頭が特徴的なポケモンで、魔獣図鑑の技能によると、名前はスコヴィランというらしい。

 

スコヴィランは、誠司達と目が合うと襲い掛かってきた。どうやら、誠司達のことを敵だと認識したようで、緑色の頭が“タネマシンガン”を発射する。誠司とブースターはそれを同時に躱す。

 

「まずは、相手の様子を見ながら技を浴びせるんだ。“ニトロチャージ”!」

「ブギュ!」

 

ブースターは、体に炎を纏うと、軽やかなステップで“タネマシンガン”を全て躱し、スコヴィランへ攻撃を仕掛ける。攻撃を受けたスコヴィランはグラリとよろめきつつも、赤い方の頭が、ブースターに向けて“かえんほうしゃ”を放って反撃する。だが、特性“もらいび”の効果で、ブースターに炎属性の技は効果がない。炎をあっという間に吸収してしまった。

 

「ポケモンが逃げてしまわないように注意しながら、攻撃を続ける。毒や混乱といった状態異常にさせるとより効果的だ。“ほのおのうず”!」

「ブーーギュッ!」

 

ブースターは“ほのおのうず”を放ち、スコヴィランの体を炎で包み込んだ。先程の“かえんほうしゃ”を受けたことで、“ほのおのうず”の威力が上がっており、スコヴィランは苦しそうに呻き声を上げた。

 

「よし! そろそろだな。ある程度弱ったら、よく狙ってボールをしっかり……投げる!」

 

誠司は義手を銃に変形させて、スコヴィランに向かってモンスターボールを発射する。発射されたモンスターボールはスコヴィランに命中し、スコヴィランはボールの中に吸い込まれていった。数回揺れた後に、ポカンという音が鳴る。それと同時に先程までスコヴィランを包んでいた“ほのおのうず”が霧散した。誠司は再度義手に変形させて、モンスターボールを引き寄せ、その手に収める。

 

「……とまぁ、ここまでがポケモンを捕まえる一連の流れだな」

 

誠司がそう言いながら振り返ると、光輝達は呆然としていた。誠司達のバトルで、他のポケモン達が集まってきたようで、今度はフクロウのようなポケモン、ヨルノズクが攻撃を仕掛けてきた。ヨルノズクは、目を青白く光らせ、“じんつうりき”を発動させる。それを見た誠司は、マーイーカと龍太郎を前に出させる。マーイーカが攻撃を受けるが、全く平気そうな顔をしていた。驚く龍太郎に、誠司は簡単に説明する。

 

「悪属性のマーイーカにエスパー技は効果がないんだよ。そこから反撃してみな」

「そ、そっか……それなら、マーイーカ! えっと……“あくのはどう”だ!」

「イカ!? マーイーーカァ!」

 

龍太郎の指示に、マーイーカは戸惑いの声を上げつつも、指示に従って技を放つ。龍太郎に渡したメモに書かれている技は、“あくのはどう”・“かえんほうしゃ”・“10まんボルト”・“イカサマ”だ。ノーマル・飛行属性のヨルノズクであれば、電気技の“10まんボルト”を使った方が良いのだが、どうやら龍太郎はヨルノズクをエスパー・飛行属性だと勘違いしているようだ。

 

そうこうしているうちに、今度は頭とお尻から炎を噴き出しているヤマアラシのようなポケモンが姿を現した。

 

「今度はマグマラシか。水・岩属性のガメノデスなら優位に戦えるはずだ。ほら、やってみろ」

「よ、よし。行くぞ、ガメノデス!」

「ガッデ! ガデス?」

「俺はここだよ……」

 

誠司に言われて、浩介とガメノデスが前に出るが、ガメノデスは浩介を見失ってしまったようで、キョロキョロと周囲を見回す。それを見た浩介はどこか悲しそうにツッコミを入れる。ポケモンにすら気付いてもらえない姿はどこか哀愁が漂っていた。

 

ーーーーーーーーー

それから野生ポケモンが出るたびに、光輝達に戦ってもらったが、やはり、ポケモンバトルというのは彼らには難しいようで、動きに迷いのようなものがあった。戦闘職故に、なまじ自分で戦う手段があるため、誰かに具体的な指示を出して、戦わせるという経験が不足していたのだ。

 

結局、お昼になるまでの四時間で、捕まえた野生ポケモンの数は、誠司の十九体に対して、光輝達は全員で合わせて八体と、誠司の半分以下であった。

 

「まぁ、こんなもんか……」

 

誠司はそう呟くと、このエリアの野生ポケモンを全部捕まえたので、光輝以外の面々の相棒ポケモンを決めることにした。

 

光輝達が捕まえたポケモン達の内訳は次の通りである。

 

光輝:オオタチ

龍太郎:ヨルノズク、マケンカニ

雫:なし

香織:ラッキー

鈴:イシズマイ、ノコッチ、シビビール

浩介:カクレオン

優花:なし

 

雫と優花は、一体もポケモンを捕まえることが出来なかった。二人とも目に見えて落ち込んでおり、光輝達が必死に慰めている。光輝や龍太郎、鈴が余分に捕まえたポケモン達を譲る形でも良いのだが、オオタチ・ヨルノズク・ノコッチ・シビビールは野生に帰りたがっていたので出来なかった。このポケモン達は元々王都の外から迷い込んだだけらしく、王都から出たがっていたのだ。

 

なので、オオタチ達は誠司が後で王都の外で逃がすことにした。誠司が捕まえたポケモンの中にも同様に、王都の外に出たがっているポケモンはいると思われるので、そいつらと一緒に。

 

一方で、それ以外のポケモン達は龍太郎達と一緒にいることに問題はなかったらしく、マケンカニは龍太郎の、ラッキーは香織の、イシズマイは鈴の、カクレオンは浩介の相棒ポケモンとなった。

 

それを見て、雫と優花は益々落ち込み始めた。その時、ミジュマルが誠司に呼び掛けた。

 

「ミジュ!」

「ん? ミジュマル、お前、そいつの相棒になりたいのか?」

「ミッジュ!」

 

誠司の言葉に、ミジュマルが大きく頷く。それを聞いた雫は目を見開いた。

 

「え? どうして……?」

 

戸惑いの声を上げる雫。ミジュマルが何か喋っているが、雫には何を言っているのかさっぱり分からない。だが、誠司には分かるようで、ミジュマルの話を聞いて申し訳なさそうな表情を浮かべていた。

 

「そうか……それだったらそっちの方が良いかもしれないな」

「えっと……何て言ってるの?」

 

「どうしてナチュラルにポケモンと会話しているのか」という疑問はあったが、それを隅に置いて、誠司に説明を求める。

 

誠司が言うにはこういうことだった。

 

このミジュマルはもっと強くなるために、故郷を飛び出し、それから紆余曲折あって誠司の仲間になった。そして、仲間のポケモン達は自分よりもずっと強い者ばかりだった。

 

最初は喜んで鍛錬を重ねていたのだが、段々とその鍛錬が苦痛に変わっていったらしいのだ。他のポケモン達とのレベル差が大きすぎて、どれだけ鍛錬を重ねても一向に縮まらなかったからだ。モチベーションが日に日に減っていたそんな時に、雫と一緒に戦って、久しぶりにバトルが楽しいと思ったらしい。だから、雫の相棒になりたいそうだ。

 

「……本当に相棒になってくれるの?」

「ミジュ!」

 

誠司は黙って、ミジュマルのモンスターボールを雫に差し出した。雫は嬉しそうにそれを受け取ると、ミジュマルにモンスターボールを向ける。

 

「ミジュマル、色々迷惑をかけるかもだけど、一緒に強くなりましょう。よろしくね」

「ミジュ!」

 

ミジュマルはモンスターボールに手を触れ、そのままボールの中に吸い込まれていった。こうして、雫の相棒ポケモンはミジュマルに決まった。光輝達は、自分のことのように喜びながら祝福の言葉をかけるが、すぐに気まずそうな表情を浮かべた。

 

結局、相棒ポケモンを持てなかったのが優花だけになってしまい、完全に落ち込んでいたからだ。仕方がないので、誠司が捕まえた十九体のポケモンの中から、選ぶことにしたのだが、それも駄目だった。十一体はオオタチ達と同様に王都の外へ出たがっていたし、残りの八体は優花に興味も示さなかったからだ。

 

午後も、別のエリアで野生ポケモン達を捕まえる予定だったので、そこで優花と一緒に彼女の相棒ポケモンを探すのを手伝うこととなった。




勇者パーティー、浩介、優花のポケモントレーナーとしての適性


・光輝:低くはないが、高くもない。平均以上。リーダーシップがあるので、懐くポケモンは懐く。

・雫:低い。グイグイ引っ張っていくタイプの性格のポケモンと相性が良いかもしれない。♀のポケモンから好かれやすい。

・龍太郎:意外と高い。犬を飼っているので、生き物の扱いに慣れている。ただし、脳筋タイプなので、エスパー・悪属性のポケモンとは相性が悪い。逆に格闘属性のポケモンとは滅茶苦茶相性が良い。

・香織:意外と高い。何でもそつなく出来る天才型。なので、大抵のポケモンとも仲良くなれる。

・鈴:勇者パーティーの中では一番高い。本人の希望とは裏腹に、虫属性のポケモン達から好かれやすい。

・浩介:低い。影が滅茶苦茶薄いので、まず彼の存在に気付いてもらう必要がある。

・優花:平均レベル。戦わせるより育てるのが上手い。

すみません。ミジュマルの性別を当初は♂にしていましたが、雫の相棒にする関係で♀に変更しました。混乱したかもしれませんが、ご容赦ください。やっぱり雫は女性からモテるので……

予想以上に長くなりそうだったので、ここで区切ります。優花の相棒ポケモンは次回で決まります。お楽しみに! まぁ、勘の良い人は察しているかもしれませんが。
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