魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

21 / 160
奈落を出た後の話の前に入れて置こうと思い、この話を入れました。誠司とイーブイの絡みが少なめな気がしたので……


技の特訓 でんこうせっか編

これは誠司達が奈落を出発する数日前のこと………

 

誠司はイーブイに何か新しい技を習得してもらおうと特訓をしている最中だった。ついでにハジメのイーブイも一緒だ。ハジメは新しいアーティファクトの構想が浮かんだらしく、今は工房で作業中だ。なので、ハジメのイーブイにも特訓をすることになった。ちなみにユエはシャンデラやモクローと一緒に新しい服を作っている。

 

どちらのイーブイも覚えている技は“たいあたり”や“てだすけ”、“スピードスター”といった技で今ひとつなものが多い。味方の技の威力を上げる”てだすけ“はまだしも、もう少し相手を撹乱させられるような技が欲しい。

 

そのため、誠司はイーブイ達に素早さを上げる訓練を行うことにした。そこから何か新しい技が閃くかもしれないからだ。そう説明すると、二体とも元気よく返事をした。どうやら、どちらも文句は無いようだ。

 

生まれたばかりの頃はどちらも大して性格に差は無かったが、今では性格も分かれてきている。

 

誠司のイーブイはオスらしく、せっかちな性格で好奇心旺盛な子だ。反対にハジメのイーブイはメスらしく、控えめな性格のようで花が大好きな子である。

 

同じイーブイでもこうも性格に差があると面白いものだ。誠司はどうしようか少し考え込むと良いアイデアが浮かんだ。イーブイ達にここで待つように指示をして早速、訓練の準備を始めた。

 

そして約二十分後、誠司が戻って来るとイーブイ達は待ちくたびれたのか仲良く眠ってしまっていた。誠司はイーブイ達を起こすと訓練の内容を説明した。

 

訓練の内容は簡単に言えば競争だ。オスカーの隠れ家と畑の周りを一周し、先にゴール出来た方はご褒美をあげるというものだ。コースには色々な障害物を置いてあるのでそれを上手く躱さないといけない。誠司も近道を通って様子を確認するので余程のことは起こらないだろう。

 

もしかすると「これが訓練なのか?」と言う者もいるだろうが、訓練というのはある程度は遊びの要素も入れておかないとモチベーションが続かない。ましてやこのイーブイ達は誠司やハジメ、ユエのポケモン達の中で最年少だ。まだまだ幼い。

 

説明を聞いたイーブイ達は早く走りたくてウズウズしているようだ。特に誠司のイーブイはジリジリとフライングしそうな勢いだ。誠司はその様子に苦笑しながら注意した。

 

「こらこら。ズルは駄目だぞ。準備はいいか? よーい、スタート!」

 

誠司の合図で二体のイーブイは元気に駆け出した。どちらも同じくらいの速さだが、誠司のイーブイの方が若干速い。イーブイ達はひょいひょいと身軽に障害物を乗り越えていく。そして、最後の、そして最大の障害が立ちはだかった。

 

「マクロ!」

「マッシェ!」

 

ヌマクローとマシェードだ。この二体には競争の妨害を頼んでいた。イーブイ達は一瞬動きが止まった。その隙をこの二体は見逃さない。

 

ヌマクローは“みずでっぽう”や“マッドショット”(もちろんある程度は手加減してもらっている)を、マシェードは”キノコのほうし“を連続で繰り出した。

 

「イブ!?」 「イーブ!?」

 

イーブイ達は必死に避けるが、二体の連続攻撃は止むことがない。その様子を少し離れた場所から見ていた誠司がイーブイ達に激励の言葉を掛ける。

 

「イーブイ! チャンスは必ずある! そのチャンスを掴み取れ!」

 

誠司の言葉を聞いたイーブイ達はお互いに顔を見合わせた。そして、同時に頷くと一気に駆け出した。

 

だが、ヌマクローもマシェードも簡単には行かせない。的確に狙いを定めて技を放とうとする。すると、イーブイ達の体がブレた。これにはヌマクローもマシェードも、誠司も戸惑った。

 

次にはイーブイ達は少し離れた場所にいた。そしてまたすぐに別の場所へ。凄い速さで移動するので攻撃が全然当たらないのだ。誠司は魔獣図鑑の技能で分析した。

 

「そうか…… イーブイ達は新しく“でんこうせっか”を覚えたのか……」

 

そうしている間にもイーブイ達はヌマクローとマシェードの間をすり抜けて行ってしまった。見事、最後の障害を突破したのだ。これにはヌマクローやマシェードは思わず悔しそうな顔を浮かべる。誠司は苦笑しながら二体を労うと、先回りしてゴール地点で一緒に待つことにした。

 

 

ゴール地点。イーブイ達は熾烈なデッドヒートを繰り広げていた。

 

「イブイブ!」 「イーブブ!」

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

イーブイ達は走るのに夢中で周りが見えていない。殆ど同時にゴールした。そして、抱きしめてやろうと身構えていた誠司に思い切り突っ込むことになった。これには思わず誠司もグエッと呻き声を上げて倒れて込んでしまった。

 

ヌマクローとマシェードが慌てて駆け寄った。どうやら誠司は大丈夫そうだった。嬉しそうにイーブイを撫でている。

 

「よしよし。良くやったぞ、イーブイ達。新しく“でんこうせっか”が使えるようになったな。マシェードとヌマクローも妨害役、サンキューな」

 

誠司がマシェードとヌマクローの二体に改めてお礼を言うと照れくさそうに頭を掻いた。

 

こうしてイーブイ達は新しく“でんこうせっか”を覚えた。ちなみに、イーブイ達の希望するご褒美は頭を撫でてもらうことだった。散々やってもらっただろうに。




次回からあのウサギ娘が登場します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。