魔獣使いと錬成師が合わされば世界最強   作:マロニエ19号

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ライセン大峡谷~ライセン大迷宮
外へ、二匹のウサギ


誠司達が魔法陣を通って抜けた先は………洞窟だった。

 

そのまま地上に繋がっていると思っていた誠司とハジメはガッカリしたが、ユエの「隠れ家である以上隠されていて当然」という説明で納得した。たしかに隠れ家に繋がる通路など隠していて当たり前だ。もしも敵がそこで待ち伏せしていたら一網打尽にされてしまうだろう。いつの間にか浮かれていてその前提を忘れてしまっていたようだ。

 

気を取り直して洞窟内を進むと、道中トラップはあったものの白衣や上着の裏に着けていたベテランシンボルに反応して解除されていく。そのため、迷うことなく先に進むことが出来た。

 

そして、ようやく光が見えてきた。魔力などではなく、本物の太陽の光だった。どうやら出口のようだ。三人は目を合わせて互いにニッと笑みを浮かべると同時に光のする方向に駆け出した。もちろん最低限の警戒も忘れずに。

 

そして、三人は光に飛び込み、待望の地上に出た。

 

ライセン大峡谷。

 

そこは地上の人間にとっては地獄とも言える場所だった。断崖で覆われたこの地は魔法が殆ど使えず、強力で凶悪なポケモン達が多く生息するからだ。そのため、ここは処刑場としても使われている程である。そして、大迷宮の一つがあるとされる場所でもある。誠司達が出たのはこのライセン大峡谷の谷底に位置する洞窟の入り口だった。

 

地上と言うには深く、険しい場所ではあるが、地上には違いない。頭上には太陽の光が降り注ぎ、風は大地の匂いと共に吹き荒れる。

 

それらが改めて誠司達に地上に戻って来たという実感を与える。

 

「やっと…… 戻って……きたんだね………」

「んっ………」

「ああ…… 本物の太陽の光とか…… いつぶりだ………」

 

三人とも久しぶりの地上に感動していた。ハジメやユエなんかは嬉しさのあまり、今にも叫び出しそうだった。

 

誠司もそうしたい気持ちはあったが、まだ完全に気を抜くわけにはいかない。

 

「ハジメ、ユエ。嬉しいのは分かるが、ここには手強いポケモンが沢山いるんだ。あんま油断するなよ」

 

誠司がそう注意すると、二人はハッとした表情で周囲を見渡した。しかし、周囲にはまだポケモンの姿はない。それに二人はひとまず安堵した。

 

「……誠司。ここにはどんなポケモンがいると思う?」

「ん? そうだな…… こう岩ばかりのゴツゴツした場所なら岩・地面属性のポケモンは間違いなくいるだろうな。あとは飛行属性のポケモンもいそうだ……」

「意外と色々いるんだね……」

「まぁ、そこら辺の石や岩に注意すれば大丈夫だろ。ああ、あとここには恐らく……」

 

恐らく、いやほぼ間違いなく大迷宮の入り口がこのライセン大峡谷のどこかにあるはずだ。だが、少なくともこの大峡谷全体が大迷宮ということは無いだろう。単純にオルクス大迷宮と近すぎるからだ。ライセンを攻略すればすぐにオルクスに行けてしまう。あるとしたら分かりにくい場所にあると考えるのが妥当だ。

 

誠司がそのように自分の考えを述べると二人も同意した。

 

「同感だね。いきなり2つの大迷宮を連続で攻略は流石にないだろうし」

「……折角攻略したらすぐに別の大迷宮の中とか鬼畜すぎる」

 

流石ハジメとユエだ。すぐに納得してくれた。

 

「ああ。だから先に進もう。いつまでもここにいても仕方ないし。次の大迷宮の入り口を探しつつな」

「そうだね。それだったらさ…… 樹海側に進んだ方が良いかも」

「……? ……なぜ樹海側?」

「たしかライセン大峡谷は西に砂漠が、東に樹海が広がっていたと思う。峡谷を抜けていきなり砂漠横断はキツいよ。樹海側なら町にも近いだろうし」

「ん。……確かに」

「なるほどな。それなら樹海側に進むとするか」

 

誠司はそう言うと、モンスターボールからケンタロスを出した。ユエも同様にボールからシャンデラを出す。ハジメはまだ移動用のポケモンを持っていないため誠司と一緒にケンタロスに乗せてもらう。ユエはシャンデラにしがみ付く形で乗り込んでいる。

 

そして、ケンタロスとシャンデラは三人を乗せて大峡谷を突き進んで行く。ライセン大峡谷は基本的に東西に真っ直ぐ伸びた断崖である。そのため、脇道は殆どなく、真っ直ぐ進めばそのまま樹海に辿り着くことが出来る。

 

道中、ポケモンが誠司達に襲い掛かって来たりもしたが、疾走するケンタロスやシャンデラにビビって逃げ出す者が多かった。中には怯むことなく襲い掛かって来た骨のあるポケモンも二体ほどいたが、誠司がどちらも捕獲した。捕まえたのはワンリキー、エリキテルである。大迷宮攻略のために使える戦力は多い方が良いと思ったからだ。

 

そんな調子でしばらく走っていると、ハジメが何かを見つけた。誠司に言って止めてもらうと、ハジメは駆け出した。ハジメが見つけたのは青みがかった金属質のポケモンだった。鉄アレイのような見た目をしており、赤い一つ目と三本の爪が特徴的である。だが、そのポケモンはどうやら弱っているようだった。本来は浮遊出来るはずなのに浮遊する元気も無いようだ。

 

誠司がそのポケモンを見ると、頭に情報が入って来た。

 

「ダンバルか…… 随分と弱っているようだが……」

「……ダン……バ………」

 

ハジメが手元にある神水を使ってダンバルを回復させた。ハジメのその行いに誠司もユエも特に止めず見守る。傷ついたポケモンをそのまま放っておくのは寝覚めが悪かったからだ。神水を飲んでダンバルは元気になったのか嬉しそうにハジメの周りをフヨフヨと浮いている。

 

「ダンバ、ダンバ!」

「良かった。元気になったみたい」

「ああ。しかも、どうやら懐かれたみたいだな。折角だし仲間にしたらどうだ?」

「……ん。それが良いと思う」

「そうだね。ねえ、ダンバル。良かったら僕と一緒に来ない?」

「ダンバ!」

 

ハジメがモンスターボールを差し出すと、ダンバルは躊躇なくボタンを押してボールに入った。これでハジメも新しいポケモンを仲間にした。

 

ハジメがボールを見つめて満足そうに頷いたその時、悲鳴が聞こえて来た。それから少し遅れてポケモンの咆哮と足音も聞こえて来る。

 

一体何だ?

 

誠司、ハジメ、ユエ、ケンタロス、シャンデラが思わずその音がする方向に顔を向けた。そこには青みがかった白髪のウサ耳少女と灰色のウサギポケモンがティラノサウルスのようなポケモンに追いかけられている光景だった。追いかけているポケモンはウサ耳少女より小柄だが、随分怒っているようだ。見境ない感じだ。

 

「ひいやああぁぁ! 助けて下さいぃぃぃぃ!」

「ホビホッビィィ!」

 

ユエが誠司に尋ねた。

 

「......誠司、あのウサ耳と一緒にいるのは?」

「あれはホルビーだな。耳で穴を掘れるんだ」

「……じゃあ、あの追いかけているのは?」

「あれはチゴラスだ。顎の力が強力で噛みつかれたらタダじゃ済まないな」

「のんびり解説してないで助けて下さいいぃぃぃ!!」

 

ウサ耳少女が半べそをかきながらツッコんだ。

 

「でも、何で兎人族がこんな所にいるんだろ? ここが住処なのかな?」

「……ん? て言うか、こっちに向かって来てる……?」

 

それはつまり、チゴラスまでこっちに向かって来ているということだ。その事実に気付いた三人は思わず叫んだ。

 

「「「こ、こっちに来るなあぁぁぁ!!」」」

「そんなこと言わずに助けて下さーーい!!」

 

急いでポケモンに乗り込んで逃げようとするが、チゴラスは目の前にいる誠司達も敵と見なしたのか周囲の岩を尻尾で弾き飛ばして来た。幸いにも攻撃は当たらなかったが、もう戦いは避けられないだろう。

 

「……さっきみたいにモンスターボールで捕まえてみたら……?」

 

ユエがそう提案するが、誠司は首を横に振った。

 

「いや、あそこまで興奮してたら簡単には捕まらないぞ。仕方ない…… ポケモンを出して応戦するぞ!」

「分かった!」

「ん! 了解!」

 

3人ともモンスターボールを取り出すと、それぞれポケモン達を出した。誠司はヌマクロー、ハジメはヒバニー、ユエはモクローだ。

 

新たに現れたポケモン達にウサ耳少女は悲鳴を上げた。

 

「え、え……? な、何で魔獣が!? どこから!? あなた達は何者なんですかぁ!?」

 

 

あまりの展開に狼狽しているウサ耳少女をよそに誠司達は自分のポケモン達に指示を出した。ウサ耳少女に事情を説明するよりもチゴラスを何とかする方が先だからだ。そのため、悲鳴混じりの困惑の声が峡谷に虚しく響いた。




ウサ耳少女、シアのパートナーポケモンはホルビーです。

個人的にシアのイメージポケモンはホルビーだったので相棒にしました。最終的にゴツくなるのもそっくりだし。

あと、誠司はこれから色々なポケモンをゲットしていきます。魔法のトランクもあるので気兼ねなく。
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